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2011年4月30日土曜日

首相指導力に不満76% 共同通信世論調査―【私の論評】もしもドラッカーが日本の総理なら、どうするか?

首相指導力に不満76% 共同通信世論調査


共同通信社が29、30両日に実施した全国電話世論調査によると、東日本大震災や福島第1原発事故での菅直人首相のリーダーシップについて「発揮していない」とする回答が76・0%に達し、先月下旬の前回調査の63・7%から12・3ポイント増えた。

原発事故への政府対応を「評価していない」とする回答も70・6%と前回から12・4ポイント増。被災地支援への取り組みに関しては「評価していない」とする回答は52・3%と半数を超え、前回に比べ13・1ポイント増となった。

菅首相の交代時期について「直ちに退陣すべきだ」は23・6%で、前回の13・8%から退陣論が拡大。菅内閣の支持率は26・8%と前回に比べ1・5ポイントの微減だった。

首相のリーダーシップは「あまり発揮していない」との回答が45・7%、「全く発揮していない」が30・3%。「大いに発揮している」は1・3%、「ある程度発揮している」は21・0%だった。

原発事故対応は「あまり評価していない」との回答が43・6%、「全く評価していない」が27・0%、「大いに評価」は1・8%、「ある程度評価」は25・9%だった。

被災者や被災地支援に関しては「全く評価していない」12・4%、「あまり評価していない」39・9%、「ある程度評価」41・1%、「大いに評価」5・0%となった。

【私の論評】もしもドラッカーが日本の総理なら、どうするか?
これは、日本では前からずっと続いているのですが、何か、政治といえば、人さえ変われば、すべてが良くなるという幻想が続いているような気がします。このブログでも、過去においては、菅さんに対する批判も相当してきました。

しかし、本日は、また違った観点からこの問題について見てみたいと思います。というのも、最近、NHKで「もしドラ」のアニメをやっているので、ドラッカーならどういう見方をするのかという観点で見てみたいと思うのです。ちなみに、「もしドラ」は皆さんご存じでしょう。書籍は、200万部突破です。アニメ化も、され、6月には、映画が放映されます。下に、映画の予告編を掲載してきます。


ドラッカーによれば、組織の役割とは、人の強みを発揮させ、人の弱みを中和してしまうことであるとしています。本当に解りやすい定義です。人の強みを発揮させるには、無論人の強みを見なければならないということです。多くの人は、菅さんの弱みはどんどん言いますが、強みについてはほとんど言いません。しかし、厚生大臣を務めていたときには、薬害エイズ問題で活躍したという経歴がありますし、もともとは、市民運動家です。こうしたところに強みがあるのかもしれません。

では、菅さんのこうした強みを発揮させ、菅さんの弱みを中和するのが、政治組織の役割ということになります。菅さんの弱みについては、皆さんも良くご存じでしょうし、このブログにも過去に数多く掲載してきました。

弱みを中和する政治組織とはどのようなものでしょうか。現状の政治組織は、このような役割を果たしていません。では、どうすればよいかということになりますが、それには、まずは、官僚組織を変える必要があります。それを目指して、民主党も、政治主導などといスローガンを掲げましたが、結局はうまくはいっていません。結局は官僚主導、それも、特に財務官僚主導になっているというのが現実です。

結局、民主党は、政治主導といいながらも、何の組織改革をしなかったことに問題があります。やはり、官僚の組織に手をつけて、改革しなければならなかったのです。それをせずに、政治主導として官僚の力を全く借りないとか、利用しようとしなかったのが大間違いです。

政治家と、官僚の関係は、会社でいえば、取締役以上のトップマネジメントと、本社や本部の事務方という関係のようなものです。事務方の力を借りずに、それをトップマネジメントがやったとしても、会社の経営はうまくはいきません。会社の事務は膨大です、そんなことはトップマネジメントが自らやったり、あるいは、いちいち監督していたのでは何もできません。そのために、事務方がいるのです。政治の世界も同じです。

これを実現するためには、本来的にはいろいろと準備する必要がありました。たとえば、政策決定の大部分は、官僚がやってきしまた。これを改める必要がありました。会社でいえば、経営企画をするような、政策企画を専門とする機構をつくる必要がありました。

アメリカでは、良くも悪くも、見事に政治主導が実現されています。政策決定をする高級官僚などアメリカでは昔から存在しません。なぜかといえば、それは、政策決定のほとんどに官僚は関わらず、官僚はあくまで、国民や政治家の公僕だからです。政策決定は誰がやるのかといえば、それは、有能な政策決定のできるシンクタンクです。無論、シンクタンクが作った政策案がそのまま政策となることはなく、国会で議決という手続きは踏むのですが、アメリカでは、政策案を有能なシンクタンクがつくります。これに関しては、以前このブログでも掲載したことがあります。

日本では、残念ながら、政策決定ができるようなシンクタンクは存在しません。これらは、せいぜい、シンポジュウム、パネルディスカッションをしているにすぎません。まるで、会社経営でいえば、研修や、シンポジュウム、パネルディスカッションばかりやって、実質的な指導ができない、質の低い経営コンサルタントのようなものです。これに関しても、以前このブログに掲載したことがあります。

日本の場合は、アメリカなどと異なり昔から政策決定に官僚が大きな役割を果たしてきましたから、すぐにおいそれと、シンクタンクでつくるといってもできないでしよう。そうできるように、シンクタンクを整備するとしたら、10年はかかるでしょう。だから、たとえば、比較的若い官僚を各省庁から横断的に集めた、他から独立した政策企画案を立案する集団を擁する機関を設置しても良いかもしれません。それを実質的な日本の政策決定のできるシンクタンクとするのです。そうして、若いうちに政策立案をして、その後は、それを実施する所轄官庁に移って、監査をするなどの組織が良いかもしれません。

いずれにせよ、政治家と、官僚は、会社でいえば、経営者と、企業の事務方のような関係です。今の政治の状況は、会社でいえば事務方が経営企画立案しているようなものです。事務方は、経営を実行するための機関であるはずです、それが、経営企画など立案したら、内部統制上非常にまずいです。ても、政治の世界では、それが行われてきたということです。もう、この組織では機能不全をおこしているということです。

この方式は、すでに随分前から、制度疲労を起こしています。だから、これをアメリカのシンクタンクのようなものを導入するかどうかは別にして、改革していく必要があります。

それに、内閣府や、国会や、政党などの組織も変えていく必要があるでしょう。それに、必ずしも二大政党にする必要はないとは思いますが、二大政党が根づいているアメリカでそうであるように、たとえ政権交代が起こったとしても、政治の継続性の原則から、六割型は、前の政権の政策を引き継ぎ、後の4割で、現政権の色をだすようにすべきです。特に、安全保障や、外交、財政、経済政策はそうすべきです。そうでなければ、混乱を招くばかりです。根底から変えるというのであれば、3年くらいしてから、徐々に変えていく方式が望ましいです。根本的なものを急速に変えるのは、混乱のもとです。

また、ドラッカーは、「頻々と同じような問題が起こる場合には、最早人の問題ではなく、システムの問題である。すみやかにシステムを変更する必要がある」としています。総理大臣がこのようにころころ変わるのは異常です。やはり、政治システムに問題があります。これも変更しなければなりません。

どのように変えるべきかといえば、無論、選挙の仕組みから変えていく必要があります。そうして、ザル法といわれる政治資金規制法も変えていく必要があります。特に、政治にあまりお金をかけなくても、済むシステムを早急につくりあげるべきです。

比例代表制などの方式などの仕組みも変えるべきでしょう。違憲とされている、一票の格差についても是正すべきでしょう。結局、いくら、総理大臣、政治家、官僚を変えてみても、組織やシステムを変えなければ、同じことです。何も変わりません。

菅さんは、いずれにしても、能力不足のためおそらく総理大臣の任期を全うできないでしょう。しかし、本来ならば、この菅さんをもってして、優秀な人が総理大臣になるほどではないですが、それでもある程度のことはできるようにするのが、本来の政治組織や政治システムのあり方です。

総理大臣になる人がすべて有能であるとは限りません。有能な人は稀です。政治組織や、政治システムなどがまともでなければ無能か、有能かで国の政治が左右されてはたまったものではありません。会社でトップマネジメントを決めるのに、有能な人が現れるのを待たなければならないとすれば、大変なことです。ドラッカーも凡人をもって非凡なことをさせるのが、組織の役割であるとしています。要するに、有能な人を期待してもまた、本当に有能な人が、トップマネジメントや、総理大臣になったとしても、組織や、システムが用をなさなければ意味がないのです。

菅総理や、鳩山前総理が総理大臣をやっているのだから、自分が総理をやれば、もっとできるのではないかと思う人もいるようです。あのバラエティー番組「太田光の私が総理大臣になったら・・・秘書田中」が、この番組もそうした趣旨でしょう。多くの国民が今の総理大臣などどうしようもない、誰かまともな人が総理になれば、世の中は随分変わると思っていたのだと思います。しかし、そのような人は幻想を抱いているだけです。なぜなら、たとえ、定評のある優秀な人が総理大臣になったとしても、その人でさえ、半年から1年もすれば、今の組織やシステムを変えなければ、行き詰まり、立ち止まり、機能不全に至ることは目に見えているからです。


あるカルトと思しき集団の人が、「もしもドラッカーが日本の総理ならどうするか?」という書籍を出していますが、この書籍読んだことがないので、批評などしませんが、書評など見ている限りではまとはずれのようです。

この仮定にわたしなりに答えるとすれば、まずは、ドラカー氏が、ご存命だったときにそのような要請を受けたとしても、総理大臣にならないでしょう。その代わりに、まずは、上のような論点から、日本の政治組織改革、政治システム改革を推奨することでしょう。

それと日本のリーダーであるべき、総理大臣のリーダーシップに関して、以下のようなことを付け加えることでしょう。

 「リーダーシップとは人を引きつけることではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。そのようなものはセールスマンシップにすぎない」(『現代の経営』)

リーダーシップシップとは、世間一般でいわれているような資質やカリスマ性とは、全く関係がありません。まともなリーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に誰にでも見えるようにすることです。リーダー仕事とは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持することです。そうして、そのことにより、組織の人々の視点を高めることです。

真のリーダーと似非リーダーとの違いは明確な目標をするか否かで見分けることができます。どんなに有能なリーダーでさえ、妥協が必要になることがあります。しかし、優秀なリーダーは、政治、経済、財政、人事など、現実の制約によって妥協せざるをえなくなったとき、妥協するにしても、その妥協が制約の中でさえ、使命と目標に沿った形で妥協をします。それからかけ離れた者は、似非リーダといわざるをえません。

ドラッカー氏は多くの一流のリーダーたちを目にしてきたと自分の著書にも書いておられます。そうして、その中には、外交的な人も内省的な人、多弁な人も寡黙な人もいたとしています。どれとして、一つの型にはまるようなことはなかったといいます。リーダーシップと、資質は無関係なのです。優れた資質があったからといって、優秀なリーダーになれるとは限らないのです。

 「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである」(『プロフェッショナルの条件』)としています。

「もしドラ」が200万部を超える売上げになっているということは、もはや、多くの国民が、政治の世界も、人が変われば、変わるというのは幻想に過ぎず、組織や、システム改革が必須であり、しかもリーダーたるものは、今までの似非リーダーシップではなく、真のリーダーシップを発揮しなければならないことに気がつきつつあるという査証なのかもしれません。そうして、それは、政治の世界に限らず、自分たちの身の回りの、職場や、コミュニティーに対してもこのような見方に変わりつつあることの査証なのかもしれません。

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