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2015年2月3日火曜日

【日本の解き方】地域の景気回復「ふるさと納税」拡充が効果的 再配分を官から民の手に―【私の論評】「ふるさと納税」は実は画期的であり、財務官僚による『似非財政民主主義』に風穴を開けたという点でも評価すべきと心得よ(゚д゚)!


西伊豆町の例ですですが、無論他の自治体でも同じ流れです

内閣府が毎年公表している白書類の一つにあまり目立たないが、「地域の経済」というものがある。1月27日に発表された「地域の経済2014」は、安倍晋三政権が力を入れている地方創生の背景ともいえる。

「地域の経済2014」では、雇用は全地域で着実に改善し所得改善は地方へと波及している-としている一方、資産効果が大都市圏中心ということもあり、消費の回復は大都市圏で先行していると分析している。

景気循環の過程では、経済が回復するときにも、逆に停滞するときにも、都市部の方が先行して起こるのが普通だ。

ただし、長らく不況にあえぎ、待ちに待った景気回復であるので、地方でもできる限り早くその恩恵にあずかりたいという気持ちは理解できる。

そのための制度として、地方交付税交付金があるが、この制度は官僚の裁量性が多い割に、制度の自由度がない。

この制度改革はよほど腰を据えて長期間にわたって行わなければならず、今のところ、地方の景気回復のカンフル剤としては使いにくい。国の税収が増えれば、一定割合は地方交付税交付金として地方に配分されるのだが、それだけでは不十分である。

美しい西伊豆町の夕日 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

そこで、ふるさと納税の活用がある。この制度は、菅義偉官房長官が総務相を務めた時に導入したもので、実質的な都市部から地方への税移転である。2015年度から、寄付の上限が2倍になるが、それをさらに拡充してもいい。

この拡充策には、ふるさと納税の争奪競争のために、各自治体が商品競争をして、税のムダ遣いだという批判も出ている。ふるさと納税の本来の趣旨からずれているという人もいる。

しかし、そうした意見には、「官僚による再配分が望ましい」「そもそも都市部の税金を地方に配分することが好ましくない」「都市部の税収が失われるのが好ましくない」などといった前提があったりするから要注意だ。

ふるさと納税の本来の趣旨は、税配分について、官僚ではなく、納税者が行うところにある。この意味で、各自治体が獲得競争するために、地元産業を振興して商品を提供し、納税者が自分の納税額の一部を都市部から地方の自治体に移転することは、本来の趣旨だともいえる。なにより官僚による不透明な税の再配分よりいいではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】「ふるさと納税」は実は画期的! 財務官僚による『似非財政民主主義』に風穴を開けたという点でも評価すべきと心得よ(゚д゚)!

西伊豆町の海岸

上の記事でも、高橋洋一氏は、地方交付税制度に関して、「官僚の裁量性が多い割に、制度の自由度がない。この制度改革はよほど腰を据えて長期間にわたって行わなければならず、今のところ、地方の景気回復のカンフル剤としては使いにくい。国の税収が増えれば、一定割合は地方交付税交付金として地方に配分されるのだが、それだけでは不十分である」としています。

そうして、結論では、ふるさと納税の本来の趣旨は、税配分について、官僚ではなく、納税者が行うところにある。この意味で、各自治体が獲得競争するために、地元産業を振興して商品を提供し、納税者が自分の納税額の一部を都市部から地方の自治体に移転することは、本来の趣旨だともいえる。なにより官僚による不透明な税の再配分よりいいではないか。 

では、なぜ官僚による不透明な税の再配分がおこってしまうかというところに、焦点をあてていきたいと思います。

それは、財政民視主義による壁といっても良いようなものが日本には存在するということです。

財政民主主義について、以下に簡単に説明します。
国家が運営されていくには、天文学的な資金が必要であることは言うまでもありません、その膨大な資金を、どのように集め、どのように管理し、どのように使っていくのか、そのへんの国の運営資金の規定が、日本国憲法の第7章の「財政」、83条から91条までに定められています。 
ここの財政の章で規定されていることでまず抑えておかなければならないのは、財政民主主義(83条)という概念です。 
これが日本の国家財政を語る上での大原則になってきます。 
そして、この財政民主主義の考え方を、 
歳入面では租税法律主義(84条)、歳出面では国費支出議決主義(85条)と定めています。

日本国憲法は、国家財政において、この3つを基本原則として規定しています。 
財政民主主義(83条) 
「財政」とは、国家が使う費用について、その資金を徴収し予算を組んで配分し、実際に支出するまでの一連の流れのことをいいます。 
これらの資金は、国民から徴収し、直接的にも間接的にも国家国民のために支出するわけです。国民からしたら、どのように徴収され、どのように予算として組まれ、ちゃんと支出されたのかは重要な関心事となるわけです。 
そこで憲法は、この財政に関して、国民の民主的コントロールが直接及ぶ議会にて決めさせる規定を置きました。 
実際に予算を執行していくのは行政(内閣)ですが、国家機関のうち、民主主義機関といえる国会に財政を委ねるというのは、国民主権における民主主義の観点からも当然の帰結といえるでしょう。


これを「財政民主主義(83条)」といいます。 
83条
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。 
租税法律主義(84条)、国費支出議決主義(85条)
財政民主主義に関する憲法の規定は、上記のごとくです。しかしながら、国会議員などは選挙活動などかなり忙しく、財政の細かなことまで認識していません。

その結果どういうことになるかといえば、高橋洋一氏が述べているように、地方交付税に限らず、かなりの部分が官僚により不透明な再配分がなされてしまいます。特に、特別予算という予算は、かなり複雑で一般の政治家には理解も及ばないというのが現実です。

これにみならず、財務官僚によって、日本の税収の再配分政策のかなりの部分が、左右されてしまうというのが実情です。

再配分どころか、徴税の部分まで、財務官僚がくちばしをはさみ、大きく左右しているというのが健在の日本の実情です。これに関しては、このブログの読者の方々なら十分おわかりになると思います。

明らかに大失敗に終わった、8%増税、日本経済を破滅させることになった10%増税に関しては、財務省主導により、政治家、マスコミを巻き込んた大キャンペーンとなり、8%増税は導入され、10%増税に関して、昨年末の安倍総理による解散総選挙により、かろうじて阻止されました。

日本の財政民主主義は、結局財務省にかなり恣意的に左右されるという意味では、似非財政民視主義と呼んで良いものと思います。

日本には、他にも似非財政民主主義による、落とし穴があります。それは、主にNPOなどの活動資金のための寄付金制度にみられます。

これについては、随分前にこのブログにも掲載したことがあります。そこから、抜粋します。
財務官僚が提唱する他国では今となっては、どこも主張していない、いかなる思想的ルーツもない根無し草理論である「似非財政民主主義」という概念です。もし、財務官僚が、財政に限って共産主義を標榜しているといえば、わかり易いのですが、そうではありません。無論、財政民主主義の本来の意味での考え方ではありません。 
日本ではNPOに寄付をしたらその分税金の控除が受けられるなど、寄付を盛んにしようという政策がとられていません。 
海外との比較をしてみると、2006年度において、国民一人当たりの寄付金額が、日本 2,034円、米国 84,825円、 英国 33,597円という大きな開きがあります。だから私は、もっと寄付文化が盛んになるように税制を変えてNPOを活性化していくべきとこのブログでも何回も主張してきました。 
しかし、そこでネックになるのが財務省の財務官僚が提唱する今となっては、おかしげな、「似非財政民主主義」という概念です。財務省は、個人の意向でNPOに寄付をしそのお金で公的な業務をNPOが進めることは、「財政民主主義」に反するという主張をしているそうです。 
この似非財政民主主義に関しては、その背景を簡単に説明します。 
日本ではNPOに寄付をしたらその分税金の控除が受けられるなど、寄付を盛んにしようという政策がとられていません。 
海外との比較をしてみると、2006年度において、国民一人当たりの寄付金額が、日本 2,034円、米国 84,825円、 英国 33,597円という大きな開きがあります。だから私は、もっと寄付文化が盛んになるように税制を変えてNPOを活性化していくべきとこのブログでも何回も主張してきました。 
しかし、そこでネックになるのが財務省の財務官僚が提唱する今となっては、おかしげな、「似非財政民主主義」という概念です。財務省は、個人の意向でNPOに寄付をしそのお金で公的な業務をNPOが進めることは、「財政民主主義」に反するという主張をしているそうです。 
他の先進国では、当たり前になっている、NPOに寄付をしたらその分税金の控除が受けられるなど、寄付を盛んにしようという政策が日本ではとられていません。 
ちなみに海外と寄付金額の比較をしてみると、2006年度において、国民一人当たりの寄付金額が、日本 2,034円、米国 84,825円、 英国 33,597円という大きな開きがあります。だから私は、もっと寄付文化が盛んになるように税制を変えてNPOを活性化していくべきとこのブログでも何回も主張してきました。 
さて、元の記事にはいろいろと書いてありますが、ここで転載をやめます。このブログを書いていた当事は、あまり経済の勉強もしていなかっので、金融政策などについても述べていません。今考えると、金融政策の重要性を訴えるべきであったと考えます。

そのため、当事の記事を自分で読むと、気恥ずかしい部分もありますが、自分の成長過程を知るためにも、削除せずにそのままにしてあります。

さて、この記事を書いた当事においては、日本では財政民主主義は、憲法上では定められていても、現実にはそうはならず、いわゆる似非財政民視主義状態になっていることを批判しました。そうして、私はそうすれば、経済も少しはまともになると考えていました。

しかし、当事は似非財政民主主義を正したにしても、日本の経済が良くなることなどあり得なかったと思います。まず、実行すべきは金融緩和であり、その次に積極財政だったと思います。

しかし、昨年の4月に増税をしてしまったとはいえ、追加金融緩和を実施している現在、日本の財政民主主義を正すということも重要なテーマになりつつあると思います。

そもそも、何から何まで、政府が税金として徴収し、それを実質的に財務省が省益にもとづいて恣意的に再配分を行うというのでは、本来の意味での財政民主主義が守られるはずもありません。

ふるさと納税には様々な特典が・・・。

そうして、まさに、高橋洋一氏の語るように、「ふるさと納税は、なにより官僚による不透明な税の再配分より良い」という点において、「ふるさと納税」は、日本の『似非財政民視主義』に風穴を開けたという点でも、評価すべきものと思います。

そうして、次の風穴としては、NPOに対する寄付などの税額控除をもっと拡充すべきと思います。そうして、こういうところから、日本の財政民主主義の真の改革がはじめられると思います。

このようなことが、今では一大政治勢力ともなっている、財務省の省益のみにもとづく、似非財政民視主義の壁を打ち砕くきっかけになると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!

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2012年8月27日月曜日

脱原発に必須の天然ガス調達で中部電と大ガスがあけた風穴 - Close Up―【私の論評】東電・国グループは、中部電力・大阪ガスグループに太刀打ちできるか?

脱原発に必須の天然ガス調達で中部電と大ガスがあけた風穴 - Close Up:



原子力発電所の停止でフル稼働が続く火力発電所の主燃料となるLNG(液化天然ガス)。そのコストは電気料金の値上げ、電力各社の赤字の原因になっているが、中部電力と大阪ガスがLNGの調達で風穴をあけた。天然ガスの大量産出で、ガス価格が大幅に低下している米国での契約にこぎ着けたのだ。

中部電力
LNGは原子力発電所の停止でフル稼働している火力発電所の主燃料で、その価格は電気料金に直接跳ね返る。では、何がサプライズなのか──。

まず1点目は、天然ガス価格が現状、圧倒的に安い米国から調達するということだ。

大阪ガス本社
米国では近年、従来の天然ガスとは別の地層から産出される「シェールガス」が大量生産され、ガス価格が大幅に低下。これまで天然ガス価格は原油価格に連動するのが一般的だったが、米国だけ全く違う値動きをする「シェールガス革命」が起こっている。

一方、日本は原油価格連動で購入している上に、福島第1原発の事故以降、調達に走り回った結果、売り主に足元を見られて、LNGの高値掴みを余儀なくされた。日本の輸入価格は、米国の天然ガス価格の約6倍にも達し、「ジャパンプレミアム」と呼ばれるほどだ。

中部電力カーリング部
この構造を打ち破るべく動いたのが、中部電と大ガスだった。現在の価格で見ると、米国の天然ガスを輸入すると液化加工や輸送費を含めても通常の輸入価格より4割は安くなる計算。「既存の枠組みでの価格交渉には閉塞感もあり、突破口が欲しかった」と大ガス資源・海外事業部の揚鋼一郎ゼネラルマネジャーは動機を話す。

ただ、こうした動きは特に電力業界では珍しかった。「数年前まで米国のほうが価格は高かった」(電力会社幹部)と過去を振り返るだけで、中部電を除くと動きは皆無。資源エネルギー庁は「そもそも電力業界には1円でも安く調達しようという気合がない。中部電は異端だ」と指摘する。

2点目は、燃料調達の“プロ”である商社を頼らずに、新たな契約を実現したことだ。

国内ではガス権益だけでなく、LNGも商社を通して購入するケースが大半を占める。米国からの調達は三菱商事や三井物産などが交渉を主導している。だが、「商社は価格下落へのエンジンにはならない」(橘川武郎・一橋大学教授)のが実情だ。商社は、高く販売できたほうがよいからだ。関係者の1人は「もちろん商社は今も必要だが、今回は商社がいたら成功しなかっただろう」と指摘する。

3点目は、天然ガスの「生産者」としての権利を手にしたことだ。

これまでの調達契約は、生産基地から一定量のLNGを購入し、日本に運ぶだけというのが一般的だった。だが、今回の契約では米国内の好きな場所で天然ガスを購入した後、生産量を調整して転売などトレーディングの材料として活用することもできる。


今年初め、韓国のガス公社が米国で別の調達契約を決め、日本では「また韓国に先にやられた」との批判が上がったが、中部電燃料部の佐藤裕紀部長は「あの件はただの調達契約。最初から契約の幅が広いフリーポートに狙いを絞っていた」と打ち明ける。

今後は上流のガス田との関係構築やパイプライン輸送を直接手がけることもできる。佐藤部長は「これまで一部のメジャー企業だけがやっていた未知の領域が自分たちでできるようになり、日本にとっての調達のあり方が抜本的に変わる」とその意義を強調する。

最後のサプライズは、電力会社とガス会社が共同で動いたことだ。共同調達は「そう簡単にはできない」と敬遠する声ばかりだったが、条件がそろえば短期間で実現可能なことを、両社は証明した。

「市場を変えていくんだという意気込みのある人と巡り合えた」と成功の秘訣を語る佐藤部長。両社があけた風穴が業界全体に広がれば、今後日本のエネルギー価格は適正に低下していくかもしれない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 森川 潤)

【私の論評】東電・国グループは、中部電力・大阪ガスグループに太刀打ちできるか?

シェール・ガス・オイルに関しては、このブログにも過去に記事としてとりあげたこ とがあります。そうして、そのときには掲載しませんでしたが、当然日本でもこれを活用するところもあるのだろうと、思っていましたが、まさに、それを行ったのが、中部電力と大阪ガスということです。 本日は、中部電力カーリング部の画像とともに掲載させていただきます!!

この柔軟な動き、政府や他の役所よりも役所といわれている、電力会社やガス会社ではできなかったということです。特に東京電力には無理だったようです。

以下に、最近の東電の状況をまとめておきます。

政府は31日、原子力損害賠償支援機構を通じて東京電力に1兆円の公的資金を投入し、50.11%の議決権を取得して実質国有化を完了しました。東電の経営破綻を回避し、福島第1原発事故の賠償や、電力安定供給に支障がないようにすることが目的です。政府はリストラなどで黒字転換させた後、1兆円の公的資本を回収する方針ですが、再建が暗礁に乗り上げた場合、機構が立て替えている1兆円余りの賠償資金すら回収できず、2兆円規模の国民負担が生じる懸念もあります。
東京電力本社
「いずれは純粋な民間企業の形に戻ってもらう」。枝野幸男経済産業相は31日の会見で公的管理は「一時的」と強調。しかし、公的資本の回収は「相当長期にわたる」と述べ、具体的な言及を避けました。

『超整理手帳』でも有名な野口悠紀雄氏
経済学者の野口悠紀雄氏は、戦時経済が確立した「1940年体制」が日本経済を蝕んでいると主張してきましたが、競争を否定する思想が根強い電力業界こそその象徴だとみなしています。これに関して、このブログでも以前掲載したことがあります。

国有化を通じて東電に民間活力を取り戻させるという逆説的な取り組みは、日本経済が市場重視の体質への転換が進むかどうかの試金石になるのでしょうか?
老朽火力更新で改革へ布石
約100ページに及ぶ総合計画の中には今後の電力市場改革の起爆剤になる可能性がある項目が含まれています。原発の再稼働が容易に見込めない中で、東電が安定供給を果たすには火力発電の高効率化に注力する必要があります。ただ、1兆円の公的資本注入を受ける東電には、従来通り電力事業のための高水準の設備投資を続ける資金的な余力はありません。 
このため、総合計画では東電が老朽火力設備を他社に売却したり、設備更新を他企業と共同で取り組み、パートナー企業にその主導権を握らせるプランが盛り込まれました。東京湾岸だけで、更新投資が必要な古い火力設備は1000万キロワット程度と中国電力(9504.T: 株価, ニュース, レポート)全体の発電規模に迫ります。「都市ガス、商社、石油、鉄鋼などがパートナーとして参加することに関心を示してる」(関係者)といいます。 
これらの発電設備が最新鋭の高効率火力に生まれ変わるには7年程度の期間を要しますが、いずれ東電以外の資本に主導権が移り、 新電力(特定規模電気事業者)や卸電力取引所に供給することも想定されます。枝野幸男経済産業相は、総合計画の認定を表明した後の記者会見で、火力関連の項目について、「関東エリアにおける電力事業の改革が、(日本)全体のシステムに先行する行動として大きなインパクトを持つと期待している」と語りました。 
競争と統制の歴史
明治期に始まった日本の電力産業は、時代の変遷とともに大きく姿を変えてきました。大正(1912―1925年)末期には、東京電灯、関西地盤の宇治川電気、東海と九州北部が地盤だった東邦電力など「5大電力」が激しい顧客争奪戦を繰り広げました。
戦時色が深まった1939年(昭和14年)には電力国家管理体制のもと全国の発電から送電まで手掛ける日本発送電が設立され、1942年(同17年)には配電統制令に基づき全国に9配電会社が発足しました。9社の地域ブロックは「現在の電力9社の供給エリアと基本的には変わっていません。戦後から現在に至る電力体制は、戦前に東邦電力を率い、「電力の鬼」といわれた松永安左エ門が再編を主導し、1951年に確立しました。 

競争を否定する思想
戦後の9社体制への再編、70年代以降の国策民営による原子力の推進と、体制や業容を変化させながら、電力業界は民間セクター最大の設備投資の発注者として産業界と地域経済に絶大な影響力を行使してきました。地域独占に加え、事業コストに一定の利益率を加えた総原価に基づく電気料金の設定が許されてきた電力会社の経営は従来、赤字とはほぼ無縁で、市場競争を仕掛けるインセンティブもありませんでした。2000年の電力小売りの一部自由化の導入で電力会社が営業区域を越えて顧客に電気の供給が可能になっても実例はほとんどなく、競争を忌避する体質が染みついていました。 
戦時体制を確立した1940年体制を「市場経済を否定する考えが基本にある」と、長年にわたり問題視してきた野口悠紀雄氏(早稲田大学ファイナンス大学院総合研究所顧問)は、昨年10月、ロイターの取材に対し、「私がずっと言ってきたことだが、東電は1940年体制の権化だ。さらにいうと、経団連と経済産業省。この3つはワンセットで40年体制の権化だ」と語り、メスを入れる必要性を強調しました。 

中部電力の動向が電力改革のカギ握るか
これまでは原発推進で一枚岩だった電力業界ですが、福島第1原発の事故を契機に結束が弱まる可能性もあります。「国策民営の罠 原子力政策に秘められた戦い」(日本経済新聞出版社)を著した竹森俊平・慶応大学経済学部教授は、中部電力(9502.T: 株価, ニュース, レポート)の動向に注目しています。竹森教授はロイターの取材で、「浜岡原発の再開はどうみても無理だ。中部電は原発の依存度も低くて、経営の方向性がはっきりする」と話しました。 
中部電は昨年5月、大規模な東海地震の発生が予測される浜岡原発について、菅直人前首相の停止要請を受け入れました。現在、津波対策の強化工事を行い再稼働を目指しています。ただ、同原発が立地する静岡県の川勝平太知事は、ロイターのアンケート調査(2月下旬から3月上旬実施)に対し「当面、再稼働を認めない」と答えており、ハードルは高そうです。 
原子力発電のスタンスは「電力会社によって違う」(業界関係者)とされています。竹森氏は「原子力発電は事業として市場経済に合わない。国が原子力発電の運営をやるのでないと、東電だけではなく電力事業そのものが成り立たない」と指摘しています。同氏に限らず「原子力の国有化論」を唱える有識者は多いですが、ある政府関係者は「経済産業省も財務省もそこまで責任を取る気はない」とみています。
市川美余(カーリング)・中部電力主将として、日本カーリング選手権連覇
こうした最中にあっての、上記の風穴である、中部電力と大阪ガスグループによる、天然ガスの「生産者」としての権利の取得です。今回東電は、直接原発の大被害を受けさらに、地域に対する賠償もしなければならなてということで、中部電力などとは根本的に異なるところがありますが、このスタンスやはり、政府主導ではなかなか出てこないものと思います。

このブログでも、以前、政府主導で日本再生戦略を実行することなど不可能であることを掲載したことがあります。これに関しては、一見無関係に見える、NASAによる国際宇宙ステーションの無残な経済性追求の失敗についても事例をあげました。

政府や官僚が、経済性を追求するには、かなり無理があると思います。そもそも、自由経済においては、誰が成功を収めるのかなど、その時々では誰にもわからず、様々な民間企業が、その時々でいろいろなことをやっていて、その中で、うまく適応・適合した企業が次の市場を大きく開拓していくというのが普通です。これに関しては、民間企業も難しいというのに、政府や官僚がこれができると思いこむことに関しては、かなり無理があります。

これができるというのであれば、共産主義、社会主義下の計画経済もうまくいったはずです。私自身は、上の二つの事例をみていて、やはり、中部電力、大ガスグルーブのほうは、なんとかうまくいきそうですが、東電、政府の組み合せは、無理だと思います。

国有化することは、ある程度無理もないところもあると思いますが、やはり、東電・大ガスのようにより柔軟な発想も可能にするようにするため、NASAが、米国議会において、経済性追求の任を解かれ、NGOが担当するようになったように、国が直接関与するよりも、有力NGOや、民間企業などもいれて、新たな市場を開拓することと、ユーザーにとっても最も良い体制を模索すべきと思うのは私だけでしょうか?


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