ラベル 確実 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 確実 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年3月9日月曜日

景気大打撃は確実だが…新型コロナからの「日本復活の秘策」はこれだ―【私の論評】日本は的確な経済・金融政策を実行し、年間自殺者2万以下の現状を維持せよ(゚д゚)!

景気大打撃は確実だが…新型コロナからの「日本復活の秘策」はこれだ

経済政策こそが生命を守る

各国の感染者数「最新の状況」

先週、海外ニュースや海外市場は、新型コロナウイルスの世界的な広がりで大混乱だった。

先週の本コラムでは、各国の感染者数と武漢との距離を表すために次の図を出したが、国別の感染者数では韓国が突出しており、多い順にイタリア、イラン、日本であった。


今週これを更新すると、次の図になる。


感染者数で韓国、イラン、イタリアが図抜けているが、フランス、ドイツ、スペインが日本の上になっている。

相変わらず日本のマスコミは、日本の感染者にクルーズ船の乗客を含めて、過大な数字にして報道しているが、クルーズ船の感染者数はWHOの統計上も日本の感染者ではない。日本とクルーズ船の数字を合わせて報じるのは、誤報ともいわれかねない。

現在はアメリカのカリフォルニア沖にクルーズ船があり、船内感染が起きている模様だが、この数字をアメリカの感染者数に含めて報道したら、アメリカ大使館から抗議が来るだろう。それくらい、日本のマスコミ報道はおかしい。

不安が引き起こす「市場の混乱」

ちなみに、感染者数ではなく人口10万人あたりの感染者率でみると、次の図のようになる。

日本は感染国とは言えないほどの数字だ。


なお、中国の発表する感染者数が増えていないので「すでに中国では終息している」という報道もある。

しかし、中国の統計データは先月に3度も統計変更があったが、通常は変更後と変更前の複数時系列が発表されるべきところ、そうした措置は見当たらず、信用ができない。習近平主席の発言にあわせて統計数字が作られているふしもある。筆者の推計値とも乖離があるので、信用していない。


いずれにしても、世界中が新型コロナウイルスを恐れている。新型コロナウイルスの致死率は、かつてのSARSほど高くなく、例年のインフルエンザより少し高い程度といっても、人々は恐れる。1年もすればワクチンができると言っても、やはり恐れる。それが、市場の混乱を引き起こしている。

「恐怖指数」は同時多発テロ並み

筆者は仕事柄、欧米のニュースを日頃見ているが、連日新型コロナウイルスの話ばかりだ。スポーツ番組でも、7月の東京五輪ができるかどうかという話題だ。プロ野球や大相撲が無観客試合になったことも報じられている。

こうした雰囲気を受け、アメリカの株式市場は乱高下だ。

FRBは、金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)について、定例の17、18日を待たず3日に緊急で開催し、政策金利0.5%の引き下げを行った。

これに対して株式市場は反応せず、ダウ平均は785ドル安だった。それほど、新型コロナウイルスはアメリカ人にとって脅威なのだろう。


アメリカ市場では、今後30日間の米株式市場の予想変動範囲を算出し、それを「恐怖指数」と呼んでいる。

過去のリーマンショック時には90近くまで上がった。NY同時多発テロ、アジア経済危機、ギリシャ危機などの時には、50近くまで上昇した。今回のコロナウイルス騒ぎでも、2月末に50近くまでにあがった。

この意味で、今回はリーマンショックほどではないが、過去の大きな経済危機並みに、アメリカの投資家心理に影を落としていると言えるだろう。

トランプ大統領は、コロナウイルスを過度に心配している。11月に大統領選が控えているいま、対応に不手際があると、再選が危うくなるからだ。こうした危機管理は国民の生命に関わる話なので、政治家は細心の注意を払うのだ。

ようやく尻に火がついた

実は日本でも、アメリカの恐怖指数と同様の数値「日経平均VI」がある。市場が予想する日経平均株価の将来1ヵ月間の変動の大きさ(ボラティリティ)を表す数値だ。


これを見ても、過去10年間で株式市場は最もナーバスになっていることがわかる。

現在は、安倍政権にとっても最大の試練になっている。どこの国であれ、危機管理ができない政府は国民から見捨てられるのが運命だ。

本コラムでは、安倍政権の初動、特に1月28日の感染症指定のミスを厳しく批判してきた。これを上手くこなせなかったために、水際阻止ができず、結果として中国からの全面的な入国制限やクルーズ船入港阻止もできなかったからだ。

ただしここにきて、ようやく安倍政権の尻に火がついたようだ。習近平主席の訪日延期は当然だ(2月10日付筆者コラム「新型コロナウイルスで『習近平訪日は中止』か…状況はかなり厳しい」)。

習近平主席の訪日延期がようやく決まったのが3月5日。これは、天皇謁見は30日前までに申し込まねばならないという「30日ルール」があり、さすがに1ヵ月前には予定を立てざるを得なかったのだろう。

急に始まった対策の数々

そして習氏の訪日延期発表の3時間後に、ようやく中国と韓国からの全面的な入国制限を実施することが決まった。遅きに失したとはいえ、やらないよりマシだ。

その後、安倍政権は吹っ切れたようだ。次々に対策が出てきた。

筆者は様々なメディアにおいて、日本政府がやるべき対策を述べてきたが、完全ではないものの、安倍政権はそれらの対策を矢継ぎ早に決定している。

筆者は3月4日、「生活用品の買い占め対策には、買い占め売り惜しみ防止法や古物営業法を使え」と言った。そうしたら翌5日、〈マスクの買い占め ネット転売禁止へ 政府総合対策取りまとめ〉と報道された。

買い占め防止には現行制度でも様々な方法があり、役人出身の筆者にとって対策をあげるのは難しくない。重要なのは、それを行う政治的な意思である。こうした対策について、国会議員からも質問主意書が出ている(2月10日、「マスクの買い占め・転売行為に対し、物価統制令、国民生活安定緊急措置法、買い占め防止法等を活用することに関する質問主意書」)。

政府は2月21日に「そうした状況でない」と答弁していたが、3月5日には一転して対応を始めた。安倍政権も追い込まれた上の決断だ。

残すは「消費減税」か

また新型コロナウイルスにより打撃を受けている旅行業界、観光業界、イベント業界、飲食業界などでは、緊急融資制度が必須になる。中国人観光客が来ず、国内のイベントも3月末までは中止が相次いでいるので、関係業界の経営は深刻である。

筆者は緊急融資制度について、「マイナス金利を活用して行うべき」と3月2日から言っている(https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1234395211410788352https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200306/dom2003060004-n1.html)。

すると3月7日、〈中小・小規模事業者などに実質無利子・無担保融資〉という報道があった。これは、マイナス金利とはいかないが、それでも従来の緊急融資制度より一歩前進するものだ。

これまで筆者が提言した政策で、残されたものは「消費減税」である(「日本経済『コロナ恐慌』回避への“劇薬政策”投入あるか 日銀談話の影響は限定的 識者『10兆円補正』『消費減税』提案」)。

5月18日に1-3月期GDP速報が発表されるが、マイナスになるのは確実である。10-12月期もマイナス(3月9日に2次速報の公表)で、2期連続のマイナスだろうから、2020年度補正予算が必要となっているはずだ。

幸いにも、4月の習近平主席訪日が延期となったので、国会日程はかなり楽だ。もともと4月以降に通すべき重要法案もあまりないので、補正予算編成の絶好のチャンスだ。

経済政策は国民の生命を守る

政府は、2年を限度に新型コロナウイルスを新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象に加える改正案を準備し、10日に国会に提出し、13日の成立をめざす。そこでは、財政措置は最小限度のはずなので、本格的な景気対策は4月以降になるだろう。そこで、何とか、新型コロナウイルスがもたらす景気後退を防がなければいけない。

経済政策こそ、国民の生命に関わる問題である。

公衆衛生学者デヴィッド・スタックラーと医師サンジェイ・バスが著した『経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策』という興味深い書がある。いくつかの事例から、不況や経済危機における政府の政策対応如何により、人々の健康状態、ひいては生死に大きな影響が及ぼされるという主張だ。経済政策はどんな薬、手術、医療保険よりも命に関係するという彼らの言葉を、経済政策を研究する筆者も首肯したい。
新型コロナウイルスには、経済政策までやって初めて打ち勝てるのだ。
【私の論評】日本は的確な経済・金融政策を実行し、年間自殺者数2万未満の現状を維持せよ(゚д゚)!
日本では今、武漢肺炎対策としての経済対策が話題になっています。現状で世界中の国々が、防疫によりウイルス封じ込めに躍起になっています。そうして、このウイルスの蔓延が終息しようとしまいと、経済に与える悪影響は免れることはできず、これに対する経済対策が実行されることになるでしょう。

いずれの国でも、ウイルス対策に限らず、不況に陥ると経済政策をどのようにするべきか、議論されます。しかし、結局のところ、どのような政策が良いのでしょうか。そして、その決断を、イデオロギーや経済理論だけを頼りに行って、良いのでしょうか。

このような疑問に答えてくれるのが、冒頭の高橋洋一氏が紹介している『経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策』という興味深い書籍です。

『経済政策で人は下か?』の表紙

世界規模の不況に陥ったとき、国ごとに経済政策は異なり、それによって国民の運命も異なる方向に動かされてきました。公衆衛生学者と疫学者である本書の著者は、そのことを利用して政策の優劣を比較しました。

つまり、過去の各国の政策選択とその結果のデータを、世界恐慌からソ連崩壊後の不況、アジア通貨危機、そしてサブプライム危機後の大不況まで調査し、比較したのです。

ソ連崩壊後の不況に関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本経済は後半に回復する 増税スキップ&大型景気対策で中国・EUの不安払拭―【私の論評】殺人政策である10%増税見送りは当然!まともな経済対策で日本は再度成長軌道に乗る(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとて、この記事にはロシアの平均寿命の推移(上グラフ)を掲載しました。

このロシアの例では、ソ連崩壊後の不況においては、ロシア人男性の平均寿命が57.6にまで下がったことがあったことがわかります。経済政策のまずさによっては、人は死ぬのです。

比較の指標は、国民の生死です。政策の違いによって、国の死者数は増えたのか減ったのか、健康状態や平均寿命などがどう変化したかを比較しました。経済政策は、国の借金返済や構造改革、景気刺激など、さまざまな目的で行われますが、そもそも国民に死を強いるようでは元も子もありません。結果はどうだったのでしょうか。

実は数多くの人が、緊縮策の悪影響によって死んでいたのです。

著者らの研究によれば、不況下で危険な「緊縮政策」を選択した影響で増加する死亡数は、まさに驚くべきものです。最も悲惨なのは、ソ連崩壊後のロシアで、1990年代に経済政策の失敗により数百万人の男性が死んだ(主に自殺とアルコール関連の死亡)と考えられるといいます。

アジア通貨危機後にIMFに緊縮財政を強いられたタイでは、感染症対策支出を削らされたせいで、感染症による死亡率が大幅に上昇しました。緊縮財政をとったギリシャでは、これも対策費の削減によりHIV感染が拡大したほか、医療費カットで医療制度が崩壊し国民の健康状態はひどく悪化しました。

著者たちは次のように述べています。

民主的な選択は、裏づけのある政策とそうでない政策を見分けることから始まる。特に国民の生死にかかわるようなリスクの高い政策選択においては、判断をイデオロギーや信念に委ねてはいけない。…正しくかつわかりやすいデータや証拠が国民に示されていないなら、予算編成にしても経済政策にしても、国民は政治家に判断を委ねることができない。その意味で、わたしたちはこの本が民主化への第一歩となることを願っている。

本書をきっかけに、政策論争がイデオロギーを離れ、データに基づいたものになることを願っています。

以上では、ロシアなどの例をあげていますが、日本でも、経済政策のまずさで人が死んだといえるエビデンスがあります。

厚生労働省と警察庁は1月17日、2019年の全国の自殺者数(速報値)が前年より881人少ない1万9959人となり、10年連続で減少したと発表しました。

速報値が2万人を切るのは初めてです。3月に発表される確定値では、警察による捜査で自殺と判断された数百人が加わる見通しが、統計を開始した1978年以降で最も少なかった2万434人(81年)を下回る可能性が高いといいます。


このグラフで着目すべきは、自殺者が3万人台を超えていた期間です。この期間は、ほとんど全期間にわたって日銀が金融引締を実施した時期にあたります。この期間には、さらに追い打ちをかけるように、増税という緊縮財政が繰り返し行われました。

そのため、平成年間のほとんどの期間、日本はデフレと円高に悩まされました。この時期に自殺者が3万人を超えていたのは、やはりこうした経済政策による悪影響もあったとみるべきでしょう。

2014年には、消費税増税をしていますが、金融緩和政策は継続されていたので、雇用は改善され続けました。雇用が良くなったこと、政府の対策などが奏功してこのような結果になったのでしょう。

しかし、現在では10%への消費税増税が実施された他、武漢肺炎による経済の悪化もあります。せっかく、自殺者が2万人を切るような良い状況になったのですから、政府はこの傾向を今後も継続するため、的確な経済対策を実行していただきたものです。

自殺者の数をみていると、現状の武漢肺炎による死者よりもはるかに多いことがわかります。

「経済政策はどんな薬、手術、医療保険よりも命に関係する」という言葉の重みを感じます。

【関連記事】

前例のない大胆政策…安倍政権は「消費減税」決断を! 財務省は必死に抵抗するだろうが…ここが政権の「正念場」だ―【私の論評】積極財政と金融緩和政策の両輪で、増税と武漢肺炎による景気低迷に対処せよ(゚д゚)!

日本経済は後半に回復する 増税スキップ&大型景気対策で中国・EUの不安払拭―【私の論評】殺人政策である10%増税見送りは当然!まともな経済対策で日本は再度成長軌道に乗る(゚д゚)!

2019年1月29日火曜日

米、ファーウェイ副会長起訴 身柄引き渡し正式要請へ―【私の論評】米中の閣僚級通商協議は決裂するのが確実か?

米、ファーウェイ副会長起訴 身柄引き渡し正式要請へ

保釈された孟晩舟

 米司法省は28日、米国の要請でカナダ当局が逮捕した中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の孟晩舟(もう・ばんしゅう)副会長兼最高財務責任者(CFO)をニューヨークの連邦大陪審が起訴したと発表した。同省は起訴を受け、孟被告の身柄引き渡しをカナダ当局に正式要請すると表明。カナダ公共放送は同日、同国の司法省が米政府から正式要請を受け取ったと報道した。米中両政府は30、31日にワシントンで閣僚級貿易協議を予定しており、米中関係のさらなる緊迫は確実だ。

 起訴状によると孟被告は、米政府による対イラン独自制裁に違反し、イランにある華為の関連会社「スカイコム」を通じてイランと商取引を展開。また、一連の制裁違反を隠蔽(いんぺい)するため、2007年ごろから米金融機関に虚偽の説明をしたとして詐欺などの罪に問われている。スカイコムと中国の華為本社、同社の米関連会社も起訴された。

 孟被告は昨年12月にカナダ当局に逮捕され、現在は保釈されている。米国とカナダの間で取り決められている引き渡し要請の期限は今月30日で、米国の正式要請を受けてカナダの裁判所が可否を判断する。

 司法省はまた、華為が米携帯電話大手「Tモバイル」からスマートフォンの品質試験を行うロボットの技術を盗み出した罪で、ワシントン州シアトルの連邦大陪審が華為の関連会社2社を起訴したと発表した。

 このロボットは「タッピー」と呼ばれ、人間の指を模した装置でスマホ画面の反応などを測定する。華為はTモバイルと業務提携していた14年ごろ、自社の社員を同社に潜入させ、ロボットの写真を無断で撮影したほか、指状の装置部分をひそかに取り外して盗み出そうとした。

 ロス商務長官はこの日、司法省で行われた記者会見で「嘘やいんちき、窃盗は適切な企業の成長戦略ではない」と強く批判。レイ連邦捜査局(FBI)長官も同じ記者会見で「米国の法を破り、司法妨害をし、米国の安全保障を危険にさらす企業をFBIは決して許さない」と強調した。

【私の論評】米中の閣僚級通商協議は決裂するのが確実か?

昨年4月16日、米国は、中国通信大手ZTEに対して、制裁違反を理由として、7年間の米国内販売禁止と米国企業によるソフトウェアとハードウェアの販売を禁じる命令を出しました。

これにより、スマートフォン北米市場でシェア4位だったZTEは事実上の事業停止状態に追い込まれました。現在、通信業界では次世代規格である5Gの規格決定と基地局などインフラ整備のテストと準備が始まっていますが、この処置によりZTEは次世代規格に加われなくなりました。

基本的に、現在のスマートフォンは米国企業が持つ特許なしには製造できません。なぜなら、現在のスマートフォンは、グーグルのアンドロイドもしくはアップルのiOSなしでは成立しないからです。また、通信チップもクアルコムやインテルなどがその中核を占めており、チップ供給なしではスマートフォンを生産することは不可能なのです。

そして、米国は中国の最大手通信機器企業であるファーウェイにもその捜査の手を伸ばしていました。ファーウェイは中国人民軍の工兵部隊出身者が創業者であり、中国政府や中国人民軍とかかわりの深い企業です。



実際に、2012年10月、米連邦議会下院の諜報委員会 は、ファーウェイとZTE社の製品について、中国人民解放軍や中国共産党公安部門と癒着し、スパイ行為やサイバー攻撃のためのインフラの構築を行っている疑いが強いとする調査結果を発表し、両社の製品を合衆国政府の調達品から排除し、民間企業でも取引の自粛を求める勧告を出していました。

この二社は昨年、米国の制裁対象になりました。実はこれに先立ち、昨年3月7日、米国財務省は、シンガポールに本社を置く半導体企業であるブロードコムによるクワルコム買収に懸念を示す声明を出していました。

ブロードコム、クワルコムともに通信チップの有力企業であり、ブロードコムはもともと米国企業であるが、華僑資本などによる買収により二大本社体制をとっている企業です。財務省はその理由を安全保障上の理由としている。

安全保障を考えた場合、通信は非常に重要な意味を持つ技術であり、これを他国に奪われることは非常に危険といってよいです。だからこそ、今回の処分となったといえます。

また、これは米国の反撃の始まりに過ぎないものでした。米国は中国への経済制裁をかけるにあたり、安全保障と知的財産権を大きな要素として挙げています。現在、米国が覇権国家の地位を維持できるのは、豊富な知的財産権とそれを前提にしたルール作りをできるからです。

当然、これを害するもの、それも不正な方法で害するものが出てくれば、相手が対抗できる存在になる前に潰すのが王道であり、今ならそれが可能です。

中国は他国企業の技術移転と技術を持つ多数の企業の買収により、一気に技術レベルを上げています。そして、このままでは世界の技術的主導権を握られる恐れすらあるわけです。

しかし、現在の中国は物を生産できても、その規格作りやチップなどキーパーツや生産機械の製造までは出来ないです。つまり、米国にとって、中国を潰すには今しかないのです。

規格作りやチップなどキーパーツや生産機械の製造まで、手がけるようになり、さらにそれを世界中に販売する力を持てば、これは米国でもなかなか潰すことはできません。

そうした中で、ファーウェイの孟晩舟(もう・ばんしゅう)副会長兼最高財務責任者(CFO)が昨年カナダ当局により逮捕され、さらに本日はニューヨークの連邦大陪審が孟氏を起訴しました。

米国最高裁

起訴を受け、首都ワシントンで30日から始まる米中の閣僚級通商協議は難航しそうです。中国の劉鶴副首相は米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表ら米高官と会談します。

米国側は中国に対して技術移転強要の中止や知的財産権の保護を求めています。一方、中国側はトランプ米政権に対して輸入関税の撤廃を求めています。

米国と中国の当局者は孟副会長の起訴を通商協議と切り離す意向を示しています。しかし米司法省が断固とした態度に出た以上、この問題を素通りするのは難しいでしょう。

さらに、米国議会の動きもあります。そもそも、米議会は7年も前から、中国を警戒してきました。米国議会の政策諮問機関の「米中経済安保調査委員会」は2012年2月15日日、公聴会を開き、中国の大手国有企業の対米活動について論議をしました。議員から、透明性を欠いたまま、政府の意向を体現しようとする国有企業の実態が報告され、最新軍事技術の流出の可能性も含め、警戒論が相次ぎました。

米下院情報特別委員会は2012年10月8日、中国の大手通信機器企業の活動が米国の国家安全保障への脅威になるとする調査報告書を発表、これら企業は中国共産党や人民解放軍と密接につながり、対米スパイ工作にまでかかわるなどと指摘しました。

当時問題視された中国企業は、米市場でも製品などが広く流通している「華為技術」と「中興通訊(ZTE)」。報告書ではまず、両社の中国の党、政府、軍との特別な関係を挙げ、それぞれ社内に共産党委員会が存在し、企業全体が同党の意思で動くとしました。

このようにファーウェイは米国側からは7年も前から超党派でスパイ工作の疑惑を指摘されていたのです。

米国議会

さらに、米議会の超党派議員は今月16日、華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)を含む中国の通信機器関連企業が、米国の制裁措置、もしくは輸出制限措置に違反した場合、米国の半導体やその他の部品の販売を禁止する法案を提出しました。

法案を提出したのは共和党のトム・コットン上院議員とマイク・ギャラハー下院議員のほか、民主党のクリス・バン・ホーレン上院議員とルーベン・ガレゴ下院議員。

同法案は米国の制裁措置、もしくは輸出制限措置に違反する中国の通信機器企業に対する米国の部品の輸出を大統領が禁止することを要求するもので、ファーウェイとZTEを名指ししています。

コットン議員は声明で「ファーウェイは事実上、中国共産党の情報収集機関だ」と指摘。「ファーウェイのような中国の通信機器メーカーが米国の制裁措置、もしくは輸出制限措置に違反した場合、死刑に値する措置を受ける必要がある」としました。

このように、司法も議会もファーウェイに対しては、かなり厳しい見方をし、断固とした態度に出た以上、トランプ政権はこの問題は素通りできないです。

通商協議はおそらく決裂し、トランプ大統領がさほど間を置かずに怒りのツイートを発することでしょう。実際、昨年5月には共同声明で中国が米農産物やエネルギーの輸入拡大に合意し、知財権の重要性を認めたにもかかわらず、数日後にトランプ大統領はこの枠組みを拒否していました

これでは、30日から始まる米中の閣僚級通商協議は決裂するのが最初から決まっているようなものです。そうして、米国の対中冷戦は次の次元に入っていくのは確実です。

【関連記事】

2018年11月5日月曜日

米中間選挙情勢 接戦6州が焦点 6日投開票―【私の論評】トランプ共和党は確実に過半数を維持する(゚д゚)!

米中間選挙情勢 接戦6州が焦点 6日投開票



米中間選挙は6日に投開票される。与党・共和党が上下両院で過半数を維持できるかどうかが焦点で、戦いの行方は2020年の大統領選で再選を目指すトランプ大統領の政権運営を大きく左右する。共和党は上院で優勢にある一方、下院では厳しい戦いを強いられており、トランプ氏の野党・民主党に対する攻撃は最終盤で過熱している。

 上院(定数100、任期6年)は35議席、下院(定数435、任期2年)は全議席が改選される。全米50州のうち36州では州知事選も行われる。

 米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」は2日現在、上院では非改選分も含めて共和が50議席、民主が44議席を獲得すると予測している。与党は採決で賛否同数の場合、副大統領が兼務する上院議長の決裁で法案を可決させられるため、50議席で議決権を握れる。

 中西部インディアナ、ミズーリ、南部フロリダ、西部アリゾナ、ネバダ、モンタナの6州は支持率5ポイント差以内の接戦だ。トランプ氏は共和の現有51議席からの上積みを目指し、3日にモンタナ、フロリダ両州で演説するなど最終盤のテコ入れに努めている。

 一方、同サイトは、下院選では民主が203、共和が196の選挙区で優位にあり、過半数218をめぐる攻防は接戦36選挙区にかかっているとみている。

 下院については一時、民主の圧勝も予想されたが、9月後半から共和が追い上げている。民主が保守派のカバノー連邦最高裁判事の人事承認をめぐって女性暴行疑惑を追及し、トランプ氏の支持層が反発して結束したとみられている。

 最終盤でトランプ氏は、民主党が不法移民に寛容すぎると非難。中米から米国に向かう移民集団への対処のため、最大1万5千人の米軍部隊を国境地帯に派遣すると表明した。民主党候補を応援するオバマ前大統領は2日、「勇敢な兵士を国境での政治的な人気取りに使っている」と批判した。移民問題の争点化が、有権者の投票行動にどう影響するかも注視される。

【私の論評】トランプ共和党は確実に過半数を維持する(゚д゚)!

私自身は、米国の議会選挙に詳しくないですし、日本国内の選挙の票読みなども上手にはできません。しかし、トランプ大統領の誕生については、少なくとも1年前くらいから、十分ありえることであると予測して、それは最後まで変えませんでした。

なぜそのようなことをいえたかとえば、やはりトランプ大統領候補が誕生した背景と、米国社会の現状を分析していたからだと思います。このときは、日米のメデイアよりは、よほどまともな予測ができたと思いました。

今回は、やはりトランプ大統領、すなわち共和党側が有利と判定しました。その根拠はこのブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本メディアが報じない「トランプ支持急上昇」の裏事情―【私の論評】上昇は偶然ではなく必然!リベラル派が期せずして火をつけた(゚д゚)!
トランプ大統領の(ときに根拠は不明の)過激発言が保守派支持層を熱狂させている
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に私なりに分析した「トランプ大統領有利」の根拠について引用します。
元々、カバノー氏は清廉潔白の士であり、公平な人物との評価の高い人物でした。だからこそ、トランプ大統領が、最高裁判事に指名したのです。 
このような人物を中傷することで、「またリベラルにいいようにされる」と危機感を抱いた保守派が団結したのです。だから、キャバノー氏が中間選挙の追い風になったのです。
ブレッド・カバノー氏

次に、「カラバン問題」に関しても、「ランプ大統領は「カラバン」の中に犯罪者、テロリスト、中東からの亡命者も含まれていると根拠希薄な主張を繰り返し、断固として国境を守るとアピールしている」としていますが、これも本当に根拠希薄な主張であるといえるかどうか、冷静に判断すべきです。
まずは、「カラバン」の中にテロリストや中東からの亡命者が全く存在しないという主張は正しいでしょうか。私は、その可能性は全く否定することはできないと思います。
そもそも、安全保障などはあらゆる可能性を検討すべきものであり、最初からそのようなことはあり得ないなどとして、検討するなどということは間違いです。大量の移民・難民が押し寄せればその中にはテロリストどころか、武装難民も存在するかもしれないことは否定できません。これは人種差別ではありません。国を守るということを前提とすれば、当然て出て来る懸念です。
米国のマット・ガエッツ下院議員(共和党)はツイッターに、主催者がキャラバン参加者の女性と子供にお金を渡している動画を投稿し、大規模移民団の背後に政治的な動機があることをほのめかしました。またそのツイートでは「Soros?」と書き、ジョージ・ソロス氏の支援する団体との関連をほのめかしていましたが、オープン・ソサエティ財団はすぐさま同団体とソロス氏の一切の関与を否定するリプライを返しています。
 カバノー連邦最高裁判事に対する中傷は、ほんんどの保守派に怒りの感情を燃え上がらせる結果となりました。「カラバン問題」に関しても、リベラル層がこの危険を煽るトランプ大統領を、あらゆる手段で批判・攻撃するリベラル層にやはり怒りの感情に火をつけました。

この怒りの感情はかなり大きなものです。何かができていない、できないことに関して、それを妨げるものに、多数の人々が怒りの感情を燃え上がらせることができれば、それも単純ではなく、ある程度管理できるようなやり方で燃え上がらせることができれば、できていない、できないことを出来るにすることはさほど難しくないと思います。

そうして、これは何も悪いことで否定されるべきことではありません。世の中には、これによって成功した事例はいくらでもあります。ビジネスマンの経験が長い、トランプ大統領はこのようなやり方に長けているのでしょう。

だから、今回の中間選挙は「トランプ大統領」に有利と見たのですが、その後も有利とみれる事柄がいくつかでてきましたので、ここで紹介させていただきます。

まずは、世論調査に現れない「隠れトランプ」が増えていることがあげられます。有力な世論調査会社「ラスムッセン」は2日「また静かな赤い波が押し寄せるのか?」との分析記事を配信しました。

同社では全米1000人の有権者を対象に「中間選挙で誰に投票するか他人に知られても構いませんか?」と質問した結果、民主党支持者の60%は「構わない」と言ったのに対して共和党支持者でそう答えたのは49%に過ぎなかったのです。

最近、米国の都市の一部ではトランプ大統領のスローガンの「アメリカを再び偉大に」と書いた赤いキャップをかぶっていると袋叩きにあったり、レストランで共和党を支持するようなことを喋ると他の客の嫌がらせを受けて店をおいだされるようなこともあるので「トランプ共和党を支持する」と公言するのをためらう空気があるようです。

昨年トランプ大統領が登場するまで、米国ではリベラルが圧倒的に幅をきかせていました。教育機関、学会、役所、組合、民間企業、芸能界、メディアのほとんどすべてが、リベラルが幅を効かせ、リベラルの価値観が正しいとされ、保守層などこの世に存在かのような扱いでした。

この傾向は、トランプ大統領が登場したからといって、すぐに是正されるわけもなく、現在でも、リベラルは幅を効かせているようにみえます。しかし現実は違います。少なくとも米国の人口の半分は、保守層が存在しなければ、トランプ大統領が登場することはおこりえないはずです。

しかし、現実には、保守派は社会のあらゆる機関や、側面で保守派であることをもろに宣言することはなかなか難しいです。だからこそ、保守派であることや、トランプ支持者、共和党支持者は、「トランプ支持者」であることをなかなか公言しないのです。

その逆はよく目にすることがあります、たとえば、有名な芸能人などが、テレビなどで、自分は若い頃熱心な共和党支持者だったことを告白し、今は民主党支持者のリベラルであることを誇らしく語るという番組が結構あります。

この差が世論調査に反映されると、共和党支持の声は民主党のそれよりも低く出るということになって選挙予測を誤らせることになりかねないです。

実は同社は二年前大統領選挙の際にも同様の調査を行なっており、「誰に投票するか知られたくない」とした者が共和党支持者の間で民主党支持者よりも6%多く、この「隠れトランプ支持者」を読み切れなかったことが大方の予想を誤らせた原因とされました。

しかし今回は、その差が11%と二年前よりさらに広がっています。つまり今回の中間選挙では「隠れトランプ支持者」が増えているということなら「また赤い(共和党色)の波が押し寄せるのかもしれない」とラスムッセンは分析しているのです。

その中間選挙ですが、「大統領政党が負ける」というジンクスに加えて、民主党が潤沢な選挙資金を武器に初戦は大きくリードし「青い(民主党色)の波が押し寄せてきた」とも言われました。しかしその後カバノー最高裁判事の任命を巡って民主党が露骨な妨害をしたことで批判され、その一方で景気は上向き続けて共和党が盛り返しています。

メキシコ国境を超えたカラバン

上でもあげたように、特に最近は中米から数千人の移民キャラバンが米国国境を目指していることが米国民の危機感をあおり、移民に寛容な民主党にとって不利な材料になっています。

ブログ冒頭の記事にもある通り、各社の世論調査をもとに選挙予測を行う「リアル・クリア・ポリティックス」の最新の分析では、上院では共和党がすでに過半数の50議席を確保しており、下院では民主党203、共和党196で未定36と接戦になっています。

しかしこれには「隠れトランプ共和党支持者」は考慮されていません。とすれば、共和党は下院でも世論調査に現れている以上の得票を得て、民主党に過半数の218議席を与えないと考えるのが、妥当ではないかと思います。

故に、「トランプ共和党は過半数を維持する」といえると思います。そうして、この勝利は、トランプ大統領の再戦を有利にすることは確実です。


2017年1月5日木曜日

南シナ海で横暴の支那に米空母で鉄槌か 演習実施で牽制―【私の論評】トランプ新大統領による対支那強硬策で習近平失脚は確実(゚д゚)!

南シナ海で横暴の支那に米空母で鉄槌か 演習実施で牽制

カール・ビンソン
 南シナ海で横暴の限りを尽くす支那に対し、米が鉄槌(てっつい)を下すのか。米太平洋艦隊がニミッツ級の原子力空母カール・ビンソンを中心とする第1空母打撃群を西太平洋に派遣すると発表した。南シナ海で演習を実施する可能性もあり、昨年末から年明けにかけ、南シナ海で空母による挑発行動を繰り返している支那への牽制(けんせい)が狙いとみられる。

 支那海軍の空母「遼寧」は昨年12月、初めて「第1列島線」(九州-沖縄-台湾-フィリピン)の宮古海峡を越えて西太平洋で訓練を実施した。その後、台湾・フィリピン間のバシー海峡を通過し、南シナ海から海南島の三亜の海軍基地に到着した。

 空母による支那の挑発行動は、昨年12月27日に米ハワイで行われた日米首脳会談でも議題となった。安倍晋三首相とオバマ大統領は「中長期的観点からも注視すべき動向だ」との認識で一致し、支那を牽制した。

 ところが、支那は行動を改めるどころか、さらなる攻勢に出た。遼寧は年明けの1日、南シナ海で艦載機の発着艦訓練を実施した。支那国営中央テレビ(CCTV)の報道では、遼寧の乗組員は「1日の間に出動できる艦載機が当初の4倍まで増えた」と語り、副艦長は「2017年は訓練の内容と海空域を拡大し、空母部隊の戦闘力建設を引き続き推進する」と述べた。挑発行動を今後もやめるつもりはないということだろう。

 遼寧だけではない。支那は昨年、米国に対する実力行使にも踏み切っている。12月15日に、南シナ海で米海軍の無人潜水機を強奪したのだ。

 トランプ次期米大統領はツイッターで「支那は米海軍の無人潜水機を公海で盗んだ」と非難した。これに対し、支那の官製メディア、環球時報が運営するニュースサイトは、楊毅海軍少将の「トランプ氏の米大統領就任後は南シナ海での中米の衝突が、さらに激烈になるだろう」との談話を掲載した。

 支那はその後、無人潜水機を米側に返還したが、緊張関係は続いている。こうした中、西太平洋に派遣されるカール・ビンソンは5日か6日に米西部サンディエゴを出発する予定だ。米中関係は年明けから、さらに緊迫しそうだ。

*ブログ管理人注:この記事では、支那のことを「中国」と記していましたが、このブログでは「中国」とい表記は使用しないため、「支那」と書き改めています。

【私の論評】トランプ新大統領による対支那強硬策で習近平失脚は確実(゚д゚)!

「遼寧」の戦闘力は、かなり低く戦略的にも、戦術的にも何の意味もないことはこのブログでも以前述べたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【支那空母、太平洋進出】遼寧は台湾南部を抜け南シナ海へ―【私の論評】ボロ船「遼寧」で支那の国内向けイッツ・ショータイムが始まる(゚д゚)!
先月24日、航行する支那の空母「遼寧」
「遼寧」の能力の低さについては、この記事をご覧下さい。

「遼寧」に関しては、日米にとっては、戦術的にも戦略的にも無価値な代物です。ただし、日米以外の南シナ海の近隣諸国にとってはそうではありません。ボロ船「遼寧」でも十分に脅威になります。

これを牽制するために、米軍は第1空母打撃群を南シナ海に派遣するのでしょう。しかし、オバマが大統領のうちは、牽制とはいっても大したことはしないでしょう。

何しろオバマは今まで、南シナ海では何ら有効な牽制策を打ってきませんでした。

2016年当初、支那は南シナ海の7つの人工島のうちスービ礁、ファイアリークロス礁、ミスチーフ礁に、それぞれ3000メートル級滑走路の建設を進めていました。今やそれらの滑走路は、戦闘機から爆撃機や大型旅客機まであらゆる航空機が使用できる状態になっています。

滑走路周辺にはまだ完全には完成していないものの、戦闘機や爆撃機などの格納施設や整備施設も姿を現しており、管制施設やレーダー施設をはじめとする空軍設備群の建設も完成目前であります。そのため、2017年中には、それら3カ所の航空基地に人民解放軍海軍あるいは空軍の航空部隊が配備されることは十二分に可能な状態になります。

それぞれの人工島には、航空施設に加えて、支那海軍艦艇や支那海警局巡視船艇が拠点とすることができるだけの港湾施設の建設も進められています。いまだ海軍艦艇などが母港化している状態ではないものの、2017年中にはいくつかの人工島港湾に海軍フリゲートやコルベットそれに海警局武装巡視船が配備されるかもしれません。

海洋戦力の強化にとって、軍艦や航空機といった装備の充実は当然ながら極めて重要であす。前方展開拠点の確保はこれまた非常に重要な要素です。そのためアメリカ海軍・海兵隊は日本(横須賀、佐世保、沖縄、岩国)やバーレーン、それにディエゴ・ガルシアという海外に設置してある前方展開基地を手放したくないのです。

ただし、アメリカ海軍にとってそれらの海外前方展開基地はすべて他国の領土内にあります。そのため、日本でのいわゆる沖縄基地問題のように未来永劫安定的に確保できる保証はありません。

それに対して支那は、ファイアリークロス礁、スービ礁、ジョンソンサウス礁、クアテロン礁、ガベン礁、ヒューズ礁そしてミスチーフ礁と、少なくとも支那の主張によっては自国の領土である7つもの環礁に前方展開基地を手にすることになったのです。

南シナ海を睥睨する支那軍事拠点 
さらに、それぞれの人工島には、地対艦ミサイル部隊や地対空ミサイル部隊が各種レーダー施設と共に配備され始めています。かねてより米海軍戦略家たちが危惧していた通り、南沙諸島に支那海軍が数セットの空母艦隊を展開させたような状況が現実のものとなりつつあります。

オバマ政権最後の年ということで、支那は南沙諸島の7つの人工島で軍事施設の建設を加速させただけではなく、西沙諸島の軍事的防衛態勢も強化し、フィリピンから奪取したスカボロー礁の軍事拠点化を進める態勢を明示し始めました。それに対してオバマ政権は(支那側の期待通り)効果的な対抗措置をとることはありませんでした。

米海軍戦略家の多くは支那による人工島建設の動きを事前に探知し、オバマ政権に「支那の南シナ海における拡張政策にストップをかける諸対策を実施すべき」との進言を繰り返していました。しかしながら、支那との深刻な軋轢を何よりも恐れていたオバマ政権は、そうした提言に耳を貸そうとはしませんでした。

2015年後半になって、かなり進展した人工島建設状況をCNNが実況して騒ぎになると、ようやくオバマ政権は支那に対する牽制作戦にしぶしぶゴーサインを出しました。しかし、海軍が許可された「FONOP」(公海航行自由原則維持のための作戦)はあくまで中国側を過度に刺激しない限度に制限されたため、さしたる効果が期待できる代物ではありませんでした。

支那に対して及び腰な対応しかできなかったオバマ
2016年にオバマ政権がアメリカ海軍に実施を許可したFONOPはわずか3回です。それらは、いずれも支那が実効支配中の島嶼・環礁に接近した海域を、国際法によって軍艦に与えられている無害通航権の範囲内で“平穏無事”に通過するだけの、中国にとっては痛くも痒くもないレベルのデモンストレーションに過ぎませんでした。

オバマは、軍衝突を避けると見た支那は、人工島建設を加速化させ、オバマ就任中にほぼ工事を終えてしまいました。後は、付属施設を構築し、航空部隊を配置してしまえば、不沈空母以上の前進基地が完成します。

オバマが最後の命令として、厳しい措置をするように第1打撃群に要請することはないでしょう。トランプ氏も就任したばかりでは、すぐに有効な手をうつことはできないかもしれません。

しかし、就任後1〜2ヶ月後にはトランプ氏は必ず、支那に対する牽制策をとります。それは、最初は軍事的なものではない可能性が高いです。

これについては、以前このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【スクープ最前線】トランプ氏「支那敵対」決断 台湾に急接近、習近平氏は大恥かかされ…―【私の論評】トランプ新大統領が支那を屈服させるのはこんなに簡単(゚д゚)!
台湾の蔡英文総統との電話会談で中国を牽制したトランプ次期米大統領
詳細は、この記事をご覧いただくものとしして、この記事より一部を以下に引用します。
超大国といわれるアメリカの一番の強さは、軍事力でもなく、イノベーション力でもありません。それは、米国による世界の金融支配にあります。現在の世界の金融体制は、ブレトン・ウッズ体制に端を発しています。これは、第二次世界大戦末期の1944年にアメリカのブレトン・ウッズで連合国通貨金融会議が開かれ、国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD)の設立が決定されたものです。 
当時、世界の金の80%近くがアメリカに集中しており、アメリカは膨大な金保有国でした。その金と交換できるドルを基軸通貨とし、他国の通貨価値をドルと連動させるという仕組みで、金・ドル本位制ともいわれます。 
世界各国、特に先進国の中で、食料や資源を100%自給できている国は少ないです。中国の食料自給率は85%以下といわれており、アメリカから穀物を買えない事態になれば、13億の人民は飢餓に苦しむことになります。
トランプ新大統領は、このようなことも視野に入れていると思います。まずは、軽い金融制裁により様子見をして、それでも中国の態度が改められなければ、さらに強化し、中国はとんでもない状況に追い込まれることになります。それでも、態度が改められなければらなる金融制裁の強化、最後の最後には軍事力に訴えることになります。

それも、段階を踏んてすこしずつ強化していくことでしょう。 
中国は、早めにこのようなことを自覚して、南シナ海や東シナ海での暴挙をやめるべきです。そうでないと、本当にとんでもないことになります。 
オバマと違って、トランプ大統領にとっては、中国を屈服させるのはこんなに簡単なのです。というより、米国の実力をもってすれば、元々かなり簡単なことなのですが、オバマ大統領がそれを実行してこなかったため、中国が増長したというのが現状です。ごく最近の中国を一言で表現すれば、「身の程知らず」だったということです。大統領就任中に、かなりのところまでこれを実施するというのがトランプ氏の腹です。
過去の支那の信用力は、大量のドルを持っていることによるものでした。今や、このドルがどんどん支那から海外に逃避しています。米国が何らかの金融制裁措置をとれば、これからさらに加速され、中国からドルが消え失せることになります。

それどころか、トランプ氏は「中国が人民元の対ドル市場を不正に低水準に保っている」として、中国を為替操作国として認定し、対抗措置として中国からの輸入品に45%もの関税をかけるという経済政策を主張していました。これを実行する可能性もあります。

そうなれば、支那は軍事どころか、人民にまともに食料品を供給することすらできなくなります。そうなると、人民の憤怒のマグマは習近平を頂点とする、共産党中央政府に向くことになります。そうなれば、習近平は失脚するでしょうが、それでも中国が南シナ海での暴挙を続ける限り、金融制裁は緩められことはないでしょう。そうなったとき、支那には全く勝ち目はありません。

たとえ軍事的手段に打って出たとしても、到底米国には及びません。米国が本気を出して軍事衝突すれば、「遼寧」を含めた艦艇はあっという間に海の藻屑と消え、環礁の前線基地は、即座に破壊されてしまうでしょう。イラクのような砂漠地帯ではない、海洋では、半日程度で決着がついてしまうでしょう。

習近平にとっては、オバマが大統領だったときの米国は、かなり御しやすかったと思います。支那という国は、ほとんどが自国内部の都合で動く国です。外交も自国内部の都合にかなり左右されます。というより、最初に自国の都合があって、その後に外交があるというとんでもない国です。

オバマが大統領だったときは、習近平はまず支那国内を優先して、国内対応を中心として動いていたものと思います。習近平にとっては、オバマは国内の習近平反対派の、胡錦涛派(共青団)の李克強氏、上海閥と太子党の江沢民派のほうが、余程大きな存在だったに違いありません。

胡錦濤(左)と江沢民(右)
オバマ大統領は、習近平にとっては、胡錦濤や江沢民のほうが余程大きな存在であったに違いありません。

しかし、トランプ氏が大統領になれば、胡錦濤や江沢民よりも、トランプ氏のほうがはるかに大きな存在になるに違いありません。

今までは、習近平は、中国国内の胡錦濤派と江沢民派と腐敗撲滅運動という名の下での権力闘争を繰り広げて、時折米国対応をしていれば、比較的楽に権力闘争を戦えたのですが、トランプ大統領になれば、そのようなわけにはいかなくなります。

そうして、反習近平派はここぞとばかり、権力闘争を強めてくるに違いありません。習近平としては、今までは2つの派閥にプラスアルファ程度で戦ってこられたのが、派閥が3つに増え、しかも増えた派閥が、それまでの派閥よりはるかに強力になったというような状況になります。

以前にも、このブログでは、権力闘争で手詰まりの習近平は失脚するであろうことを掲載しました。権力闘争が手詰まりなのに加えて、トランプ大統領が登場して、対支那強攻策を実行すれば、習近平の失脚はほぼ確実です。

何か大きく情勢が変わらないかぎり、習近平は失脚に追い込まれるのは確実とみるべきでしょう。

ポスト習近平が、米国に対してどのような対応をするのかはまだ見えてきません。それについては、いずれまた掲載させていただきます。

【関連記事】



2016年10月13日木曜日

「みんなが解散と言うときには解散なし」 「超裏技」の選挙日程とは―【私の論評】与党の助っ人蓮舫氏が民進党代表のうちに解散総選挙はほぼ確実(゚д゚)!

「みんなが解散と言うときには解散なし」 「超裏技」の選挙日程とは

もう永田町は解散風が吹いている。公明党が早期解散を容認しているのは、来(2017)年7月に実施される東京都議選と衆院選がかぶらないようにしたいためだ。また、先の国会で衆院選の1票の格差是正と議員定数10減のための改正公職選挙法が成立したことも大きい。

ただし、区割りには時間を要するために、来年6月以降にならないと、新たな区割りでの衆院選はできないと見られている。現職の衆院議員は、これまでの区割りで選挙をしたいと望むだろう。このことから、衆院選は来年5月までに行われる公算が強い。

解散風の吹く永田町
蓮舫代表の二重国籍問題の陰

このスケジュールは、過去の衆院選を見てもわかる。衆院任期は4年であるが、戦後、任期がまっとうされた上での衆院選は、1976年12月の1回しかない。それ以外は任期満了の前に解散総選挙が行われている。これまでの衆院の平均任期は2年9か月なので、2年を過ぎれば、常在戦場だ。今の衆院議員は2016年12月で任期2年となる。

中曽根政権(第1次は1982年~)以降を見ると、3年以上経過して解散した例が8回と多い。2年以上3年未満で解散したのは、1986年7月、2005年9月、2014年12月と3回しかない。ただし、この3回ともに与党の圧勝であった。これも早期解散の根拠となる。

なにより、今は相手になる民進党が弱すぎる。今日(16年10月13日)の国会で、安倍晋三首相は、蓮舫・民進党代表の二重国籍問題について答弁した。同じく二重国籍だった自民党の小野田紀美参院議員が日本国籍選択を証明する戸籍謄本を公開した事を引き合いに出し、蓮舫氏も国民に証明の努力をすべきとした。蓮舫代表は公開を拒否しているからだ。

この問題は、民進党にとって打撃である。もし蓮舫代表に二重国籍問題がなければ、小池氏が東京都知事になって行われる東京10区の衆院補選に、蓮舫氏が出馬していただろう。

党代表でありながら参院議員であるのは、かなりのハンデである。蓮舫氏は参院議員であるので、衆院の代表質問では野田幹事長に委ねざるを得ない。蓮舫代表が野田氏を幹事長に指名した事に対しては、野田氏が増税論者で民主党政権転落の原因でもあるので、民進党内でも大不評であるが、東京10区の補選に蓮舫代表が出ていれば、民進党の勢いも違っていただろう。

日ソ首脳会談前に...

東京10区も福岡6区も衆院補選は、今のところ与党圧勝の情勢である。福岡6区は自民党の分裂であるが、野党は足下にも及ばないようだ。二つの補選ともに、小池都知事が応援演説で入ると大勢の観衆が集まる。小池人気の凄まじさを見せつけられるが、同じ女性である蓮舫代表は、集める観衆の数で小池都知事に負けている。自民党勢は小池人気で野党候補を破ってしまうだろう。

そうなると、次は、いつ衆院解散か、となる。一般的には、12月の日ソ首脳会談をへて、来(16)年1月解散となっている。このスケジュールはそれなりの確度があるが、「みんなが解散というときには解散なし」という言葉もある。

奇抜なので、その可能性は少ないが、11月21日(先勝)に解散し、プーチン会談の前の12月11日(大安)に投開票というのも頭の体操としてある。

12月15日に日ソ首脳会談であるが、その前に11月19-20日にペルーで開催されるAPECでプーチン大統領と会うので、帰国後解散という超裏技だ。もちろん、TPP法案をどうするかなど難問があるが、ちょうど2年前の2014年11月21日解散、12月14日投開票で衆院選が行われたときと同様な選挙日程であり、絶対に不可能とはいえない。

それも、相手が蓮舫新代表率いる民進党では、安倍首相がいつ解散をしたくなっても、仕方ないだろう。

++ 高橋洋一

【私の論評】与党の助っ人蓮舫氏が民進党代表のうちに解散総選挙はほぼ確実(゚д゚)!

上の記事では、蓮舫氏の二重国籍について掲載されていますが、蓮舫氏に関してはこれ以上に酷いスキャンダルが問題となっていました。

蓮舫氏は2011年に写真週刊誌にダイナシティの中山諭元社長との密会写真が週刊誌に掲載され、国会で追及されました。中山氏はバブル崩壊後に不動産業界でのし上がった風雲児で、ジャスダック上場までしたのですが、05年に脱税でガサ入れされた際、覚醒剤を打っているところを発見され、覚醒剤取締法違反(使用、所持)罪で懲役3年、執行猶予5年の判決がくだされました。にもかかわらず、蓮舫氏は執行猶予中のN氏と密会していたところを写真に撮られたのです。

当時の週刊誌の紙面の写真を以下に掲載します。


蓮舫氏は、脱税や覚せい剤取締法違反容疑で逮捕歴がある元不動産会社社長(ダイナシティの中山諭元社長)と、2010年8月、青森県のねぶた祭りを見学に行ったり、2011年9月21日には、東京・麻布十番で飲食したりしていました。

写真週刊誌が、2011年9月21日の蓮舫と中山諭元社長の麻布十番での会食をキャッチしました。

数年ぶりに大型台風が首都圏を直撃した9月21日の午後7時過ぎ。 蓮舫氏が食事を楽しんでいた相手は、かつてマンション業界の風雲児ともて囃されたダイナシティの元社長だでした。

この週刊誌の紙面の写真など、現在はネット上にほとんど残っておらず、何らかの作為を感じのす。おそらく意図的に削除されていると思われます。

さて、この件に関しての国会の追求の様子を記録した動画を以下に掲載します。


以下に動画の説明を掲載します
西田昌司(自民党)参院予算委員会11/15.
①~④.
国士・西田先生が蓮舫のダーティ交際を暴きます!!
参院予算委員会2011/11/15 質問:西田昌司氏(自民党) 参院の名物男、西田昌司氏が蓮舫議員の黒い交際、韓国民潭と野田民主党との癒着問題について鋭く追及.
参議院予算委員会 西田昌司 野田総理と民団 20111115 20111206 西田昌司 野田総理と外国人献金 参議院予算委員会 1/4
野田総理と蓮舫が脱税と覚醒剤で逮捕されている人間の家族の披露宴に出席し、 御車代として50万、100万円単位で受け取っていた。 20111206 西田昌司 野田総理と外国人献金 参議院予算委員会 1/4
蓮舫、覚醒剤と脱税で逮捕されたダイナシティの中山諭元社長との「黒い交際」(不倫スキャンダル) ・蓮舫は「2011年9月まで犯罪を知らなかった」とウソ答弁・実は犯罪者と知って交遊
このスキャンダルのせいでしょうか、この後すぐに蓮舫氏は行革刷新相を辞任しました。

ガソリーヌ、山尾志桜里などの報道と、蓮舫氏の二重国籍の問題に霞んでしまい、現在ではほんど報道されませんが、蓮舫氏にも政治資金問題があります。

写真は週刊ポスト誌面(切り抜き)平成22年年1月15・22日号(P141)より

この週刊誌の報道では、蓮舫氏の「政党交付金使途報告書」記載の「事務所経費」(賃借料)の項目に「不透明な支出」がある、との指摘が持ち上がった、と記し、渡辺龍二氏(ジャーナリスト)の次の指摘を紹介しています。 
云く、「報告書によれば、この団体(蓮舫氏の資金団体)は06年には63万3280円、07年には54万5980円、08年には54万4980円、3年間で約172万円の事務所賃借料を計上しています。しかし、この報告書には、その支払先についてはまったく記されていない。さらに、蓮舫議員に近い筋から話を聞いても、“彼女は議員会館以外に事務所をもっていないはずだ”というのです」(同)と。この指摘にもとづいて、誌面が「(報告書に)記された東京・目黒区内の住所を尋ねてみた。ところがその場所にそびえ立っていたのは、敷地400平方メートル、高さ2メートルはある荘厳な白壁に覆われた2階建ての“白亜の豪邸”だった」(同)、と事務所の表札すら無い蓮舫氏の個人宅であった、との様子を記している。 

このような疑惑があったせいでしょうか、蓮舫氏はしばらく影を潜めたような状況でしたが、人の噂も75日ということわざもあるように、これらのスキャンダルから随分と月日もたち、多くの国民からこれらの事実の記憶も消えかけていたころに、再度二重国籍問題がもちあがったわけです。

二重国籍問題に関しては、このブログにも何度か掲載してきたように、利益相反の問題があるのは明らかです。安倍首相は、13日の参院予算委員会で、日本国籍と台湾籍のいわゆる「二重国籍」だった民進党の蓮舫代表について「国会議員として蓮舫氏の責任において国民に対し証明の努力を行わなければならない」と述べ、詳細な説明が必要だとの認識を示しました。首相が蓮舫氏の二重国籍問題に直接言及したのは初めてです。これは、自民党の三原じゅん子氏の質問に答えたものです。

二重国籍問題をめぐっては、自民党の小野田紀美参院議員も米国籍との二重国籍状態であることが判明しました。しきし、三原氏は、小野田氏が国籍法に基づいて日本国籍選択の宣言をし、外国国籍離脱の努力義務を果たしていたと強調。日本国籍選択を証明する戸籍謄本も公開した小野田氏と比べ、蓮舫氏は国籍選択宣言の有無などが明確でないとして批判しました。蓮舫氏は戸籍謄本の公開について「極めて個人的な件だ」として拒否しています。

これを受け、首相も「小野田氏は戸籍謄本を示し、選択という義務を果たしたことを証明した」と述べ、蓮舫氏との対応の違いを強調しました。

首相は「国会議員は国民の負託を受けている。自らの言動について疑念を持たれぬよう常に襟を正していなければいけないことは当然だ」とも述べました。


民進党の蓮舫代表は5日、参院予算委員会で代表就任後初めて質問に立ち、安倍晋三首相と直接対決しました。憲法改正をめぐり、自民党改憲草案に対する自身の見解を述べることを避けようとする首相に「逃げないで頂きたい」と追及しました。稲田朋美防衛相の過去の発言の問題点も突いていました。

それにしても、最近の蓮舫氏の相変わらずの舌鋒鋭く、内容に乏しい言質をとるためとしか見えない国会での質問や、他の民進党議員の質問などみていると、蓮舫代表自身も、他の民進党議員の大部分も、蓮舫氏や民進党が与党にとって、最高の助っ人になってしまっている状況を理解していないのではないかと思います。

これを滑稽と言わずして、何を滑稽と言えば良いのでしょうか。衆院解散、総選挙の日程はあくまで安倍首相の腹づもりで決まるものです。ですから、年末・年始になるのか、それともブログ冒頭の高橋洋一氏の記事のように、別の日程になるのかは、わかりません。

しかし、安倍首相は蓮舫氏が民進党の代表であるうちに、衆院の解散総選挙に踏み切るのは間違いないと見て良いでしょう。

【関連記事】

蓮舫・野田氏が相手なら、次の選挙で「自民党300議席」は堅そうだ―【私の論評】岡田氏より超強力な安倍政権の助っ人蓮舫・野田氏で民進自滅(゚д゚)!






「誤解受け不安にさせたのは当然」中国企業ロゴ問題で辞任の大林ミカ氏、会見主なやりとり―【私の論評】[重大警告]自民党エネルギー政策への中国の影響力浸透の疑惑 - 大林氏中国企業ロゴ問題で国家安全保障上の深刻な懸念

「誤解受け不安にさせたのは当然」中国企業ロゴ問題で辞任の大林ミカ氏、会見主なやりとり まとめ 問題発覚の端緒は、内閣府TFに提出された資料に中国国営電力会社のロゴマークが入っていたこと。 大林氏は、ロゴマークの存在に気付かなかったことを謝罪し、TF委員を辞任。 大野氏は、財団と国...