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2017年1月14日土曜日

「汚い言葉を使う人ほど正直者」であることが研究で判明―【私の論評】なぜトランプ氏は大統領選で敢えて「汚い言葉」を用いて成功したのか?



悪口やののしりなどの「汚い言葉」を使うのは一般的にタブーとされていますが、「口の悪い人ほど根が正直」であるという研究結果が発表されました。

Frankly, we do give a damn: The relationship between profanity and honesty | Gilad Feldman - Academia.edu

http://www.academia.edu/29725191/Frankly_we_do_give_a_damn_The_relationship_between_profanity_and_honesty



A new study linking profanity to honesty shows people who curse are more authentic — Quartz
https://qz.com/881289/a-new-study-linking-profanity-to-honesty-shows-people-who-curse-are-more-authentic/

一般的に汚い言葉を使う人は社会規範を破りやすい傾向にあり、誰かをののしることは不道徳な行為と考えられています。一方で、無実の罪で逮捕された人は、罪を犯した自覚を持つ人より、取り調べの際に汚い言葉を使う傾向にあることも過去の研究で示されています。そこで、マーストリヒト大学心理学部のジラド・フェルドマン氏率いる国際研究チームは、「汚い言葉」と「率直さ」の関係性を、個人および社会レベルで分析するべく3つの研究を行ないました。


By Neil Girling

1つ目の研究は個人レベルの汚い言葉の分析が目的で、276人の男女に「一般的に人は悪い言葉を使っている」という事実を伝えた上で、「人気の汚い言葉リスト」から、それぞれの汚い言葉から連想する怒り・恥などの感情を答えてもらいました。その後、被験者に1985年に発案された「アイゼンク性格検査(EPQ)」を受けてもらい、汚い言葉に対して話したことの信頼性が調査されました。EPQの結果により、一部の人間がうそをついていることがわかるとのこと。

2つ目の研究は世界中から集めた7万人の被験者を集め、Facebookの更新内容から汚い言葉の使用頻度を割り出し、抽出された内容はオンラインユーザーの正直度を計測する「Linguistic Inquiry and Word Count(LIWC)」という分析にかけられました。この2つの研究はいずれも、「汚い言葉を使う人の方が正直である」という結果を残しており、研究チームは「特にFacebookでは、より多くの汚い言葉を使う人の方が、より正直な人であることを示していました」と話しています。

3つ目の研究では社会レベルの傾向を調べるため、アメリカの48の州で2012年にセンター・フォー・パブリック・インテグリティによって公的に行なわれた「Integrity Analyses(誠実性分析)」のデータが使われました。また、2万9701人のFacebookユーザーを集めて「汚い言葉がよく使われる州」と「汚い言葉をあまり使わない州」が調べられ、2つのデータを比較した結果、汚い言葉をよく使う州ほど、誠実性分析の点数も高いという相関が見られたとのこと。

研究チームは「3つの研究により、個人および社会レベルで汚い言葉の使用頻度に比例して正直度が高くなることがわかりました」と話しています。一方でこの件を取り上げたQuartzは「この研究は倫理的な部分は追求しておらず、口の悪い人が罪を犯さないというわけではない」と警告しています。なお、この研究結果は学術誌・Social Psychological and Personality Scienceで発表される予定です。

【私の論評】なぜトランプ氏は大統領選で敢えて「汚い言葉」を用いて成功したのか?

トランプ氏(左)とオバマ氏(右)
悪口やののしりなどの「汚い言葉」というと、最近では米国新大統領のトランプ氏と、前オバマ大統領を思い浮かべてしまいます。この二人対照的でした。

トランプ氏はいわゆる「汚い言葉」を語るということで、選挙戦当初は泡沫候補とされていましたが、最終的には大統領選挙に勝利しました。

一方オバマ氏はといえば、大統領選中も、大統領になってからも「汚い言葉」はほとんど使いませんでした。オバマ氏の占拠での合言葉は"Yes, we can."でした。

トランプ氏の大統領としての最後の演説の締めくくりは、"Yes We Can. Yes We Did. Yes We Can."でした。最後の演説は自画自賛で終わりました。外交においては、あれほど大失敗を繰り返し、アメリカの世界における存在感を毀損したにもかかわらず、全く反省がありませんでした。

上の心理学の研究の結果からすると、トランプ氏のほうがよりオバマ氏より正直ものであるということがいえそうです。

さて、トランプ氏の「汚い言葉」については、このブログでも以前とりあげたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
テロリスト扱い?軍人はこんなにヒラリーが嫌い 大詰めの大統領選、軍人票がトランプを押し上げる―【私の論評】トランプの暴言は軍人・保守派に対する強烈なメッセージだった(゚д゚)!
米フロリダ州オーランドで開かれた選挙集会で演説する米大統領選民主党
候補のヒラリー・クリントン前国務長官(2016年9月21日撮影、資料写真)
この記事は、米国大統領選挙前の10月5日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に一部分を引用します。

"
そうして、これがトランプ氏のあの暴言の謎を解く鍵になるかもしれません。アメリカの軍人は日本人の感覚からすると、かなり口が汚いです。特に新兵に対する訓練時の教育での教官は口が汚いです。

アメリカの軍人は口が汚い
たとえば、「フルメタルジャケット」という映画に出てくる、ハートマン先任軍曹の訓練兵に対する口のききかたは、以下のようなものです。

「口でクソたれる前と後に『サー』と言え! 分かったかウジ虫ども!」
Sir,Yes Sir!

「ふざけるな! 大だせ! タマ落としたか!」

Sir,Yes Sir
貴様らは厳しいを嫌う!だが憎めば、それだけ学ぶ!

は厳しいがだ!人種差別許さん黒豚ユダ、イタを、は見下さん!
すべて―
等に―     
―価値がない!
以下にフルメタルジャケットのハートマン先任軍曹の動画を掲載します


この軍曹の口のききかたからすれば、トランプの暴言など霞んでしまうほどです。私は、トランプ氏は、軍人や保守層に訴えるため、あのような暴言をはいたのだと思います。これは、軟なリベラル・左派には出来ない芸当です。あれこそ、軍人に受ける言葉遣いなのです。

トランプ氏は数々のいわゆる暴言で、アメリカの軍人や保守層に以下のようなメッセージを発信したのです。
「てめぇら、アメリカがリベラル・左翼に乗っ取られてもいいのか、俺は厳しいが公平だ!人種差別は許さん!黒豚、ユダ豚、イタ豚を、俺は見下さん!すべて―平等に―リベラル・左派に屈するようでは価値がない!」
無論、周到に計算した上で、場合によっては、ネガティブに受け取られないというリスクをおかしてまで、強力に訴えたのです。そうして、自分はリベラル・左派とは全く異なる保守派であることを強烈にアピールしたのです。
"

ハートマン軍曹は映画に出てくるキャラクターであり、現実のものではないので、本当は違うのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。以下に、アメリカの最近のブート・キャンプの初日の動画を掲載しておきます。


字幕が出ていないので、はっきりとはわかりませんが、これは実際の海兵隊の訓練ですが、当に指導教官の罵声がひっきりなしに飛び交い、ファッキン、ガッデームが頻繁に聞こえ、かなり汚い言葉の連続のようです。確かに、リアル・ハートマン軍曹です。

アメリカでは新兵訓練は叩き上げのベテラン下士官が担当します。たいていは実戦経験豊かな鬼軍曹が担当し、絶対に手を上げないかわりに、これでもかっ、というくらい屈辱的な罵詈雑言で罵倒が行われます。新兵はどんなに罵倒されても絶対服従です。

映画『愛と青春の旅立ち』では新兵がバスで基地に到着すると、L.ゴセットjr演ずる鬼軍曹の、次のようなシーンがありました。

鬼軍曹がある新兵に出身を尋ねた。

鬼軍曹 「貴様の出身はどこだ?」
新兵  「サー、オクラホマであります!」
鬼軍曹 「何、オクラホマだと?いいかよく聞け、オクラホマには牛とホモしかいない、
貴様は角がないからホモだなっwww」
新兵  「いいえ、違います、サッー」
鬼軍曹 「ホモでも牛でもなければ貴様は牛の糞だっ、いや糞以下だ、覚えとけwww」
新兵  「ノー、サー」

このシーンが含まれている動画を以下に掲載します。



実際にアメリカの軍隊の新兵訓練はこのようです。多民族移民国家で個人主義のアメリカの学校教育では、自分の考えを持ち、はっきりと意見を言い、議論することが大切だと教わります。

それにしても、なぜ米軍の新兵訓練でここまで凄まじい罵詈雑言を浴びせかけるかといえば、それはやはり、より緊密なコミュニケーション能力を身につけさせるためであると思われます。ここでいう、コミュニケーションとはいわゆる、どうでもいい「ノミニケーション」や、「ホウレンソウ」の次元のものではなく、真の意味でのコミュニケーションです。

多くの新兵は、頭では軍隊とはどういうものかという解ったつもりでいるのでしょうが、その実解ってはいません。

軍隊において兵士とはまずは、『戦闘マシーン』であり、まずは上位下達の縦社会で、規則と命令のみで動く機械にならなければならないのです。まず必要なことは命令を実行し、任務遂行の為のチームワークです。

兵士の任務はいろいろありますが、戦争は基本的に殺人が前提条件です。これはきれいごとでなく現実です。

兵士は軍隊の規則に従い、敵の殺害も含めてまずは命令されたことを場合によっては、命をかけても忠実に実行する『規格品』でなければならないのです。

このことを頭や理屈ではなく、体で覚えさせるため、このような罵詈雑言を浴びせかける訓練が行われているのです。

経営学の大家であるドラッカー氏は、コミュニケーションについて以下のように語っています。
「上司の言動、些細な言葉じり、癖や習慣までが、計算され意図されたものと受け取られる」(『エッセンシャル・マネジメント』) 
 階層ごとに、ものの見方があって当然である。さもなければ仕事は行なわれない。だが、階層ごとにものの見方があまりに違うため、同じことを話していても気づかないことや、逆に反対のことを話していながら、同じことを話していると錯覚することがあまりに多い。 
 コミュニケーションを成立させるのは受け手である。コミュニケーションの内容を発する者ではない。彼は発するだけである。聞く者がいなければコミュニケーションは成立しない。 
 ドラッカーは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」とのソクラテスの言葉を引用する。コミュニケーションは受け手の言葉を使わなければ成立しない。受け手の経験に基づいた言葉を使わなければならない。 
 コミュニケーションを成立させるには受け手が何を見ているかを知らなければならない。その原因を知らなければならない。 
 人の心は期待していないものを知覚することに抵抗し、期待しているものを知覚できないことに抵抗する。 
「受け手が期待しているものを知ることなく、コミュニケーションを行うことはできない。期待を知って初めてその期待を利用できる。あるいはまた、受け手の期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるためのショックの必要を知る」(『エッセンシャル・マネジメント』)
さて、海兵隊などに入った新兵は、海兵隊という軍隊についても、一般社会常識や、自分たちがそれまで属してきた人種、地域、職場、コミュニティーと同じような価値感や、尺度が通用すると無意識に考えているところがあります。新兵たちは、そうであることをまさに期待しているのです。

しかし、軍隊は場合によっては敵を殺害しなければならないこともあり、一般社会とは全く異なる理念や組織風土があります。新兵はまずは、これを理解しないと、自らも危険ですし、これに関わる人々を危険に陥れかねません。

新兵訓練にあたる教官は、これを新兵に 周知徹底させるために、新兵の期待を破壊し、新兵が予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるためのショツクとして、このような罵詈雑言を用いているのです。

多民族国家ではない、単一民族で言葉も日本語だけで十分通じる日本の自衛隊などでは、新人に対してここまで罵詈雑言を浴びせかけなくても、コミュニケーションは成り立つので、十分自衛隊員を養成できるのでしょう。実際、日本の自衛隊は米軍との共同訓練を行っても、米軍が驚嘆するほどかなり良い成績を収めています。ただし、自衛隊でも罵詈雑言は浴びせかけないものの、何か間違ったことをしたり失敗したときには、その場で腕立て伏せをさせるというような罰則はあるようです。

以上のようなことを考えると「汚い言葉」を使う人にも、いろいろいて、本来の意味でのコミュニケーションを深めるために敢えて「汚い言葉」を使う人と、そうではなくてそれが習慣になっている人や病気の人もいるのだと思います。

病気と診断されるものして、汚言症があります。常に汚い言葉を発するのが特徴です。英語では、コプロラリア(Coprolalia)といいます。

社会に受け入れられないわいせつで卑猥な単語を言ってしまう人のことです。YouTube でCoprolaliaと検索すると患者さんの映像が映し出されます。特徴としては、性的なものを単語やフレーズにしてしまう場所や状況などお構いなしにです。

文章のつながりのないところで社会的に許されない場所で大声で言ってしまうため周囲から嫌われます。共通点は止めようと思っても止められない点です。

トゥレット症候群の重篤な多発性チックの症状である汚言症ですが、実際に、汚言症があらわれるのは、3分の1以下です。トゥレット症候群 と診断されたからといって汚言症というわけではありません。

また子どもがふざけて発することばや、わざと言っている場合コプロラリア(汚言症)とは呼びません。
丁寧な言葉では相手に本当の意味が伝わらないときがある
そうして、ブログ冒頭の記事で心理学者が発見した「口の悪い人ほど根が正直」というのは、無論「汚い言葉」を本来の意味でのコミュニケーションを深めるために敢えて意図して意識して使う人なのでしょう。そうして、敢えてこのようなことをしようとする人は、そうでない人と比較して正直者であるであろうことは、容易に納得がいきます。

無論、昨年物議を醸した「日本死ね」などという汚い言葉は、コミュニケーションを深めるためではなく、それこそ政治利用のために用いられたということですから、この言葉を用いた人は正直者ということはあてはまらないでしょう。

もしトランプ氏が、「汚い言葉」を単にリベラル・左派を攻撃するための政治利用のためだけに用いたとしたら今頃大統領にはなっていなかったでしょう。

周りの人とコミュニケーションなど取れなくても良いという人は、うわべではいつも慇懃に丁寧な言葉をつかいますが、その実腹の中では何を考えているのかわからないところがあります。

さて、トランプ氏は、大統領選のとき敢えて「汚い言葉」も有権者とコミュニケーションを深めるために用いたのだとと考えられます。

以前にも掲載したように、米国のマスコミの90%はリベラル・左派で占められていて、本当は米国にも全体の半分くらいは保守層が存在しているはずなのですが、それらの声はかき消され、リベラル・左派の考えが世の中の本筋であるかのように思う人が多いです。それは、今も基本的に変わっていません。

トランプ氏は、大統領選にあたって、まともなことをしていては、自分の味方になってくれる保守派の人々に自分の声や、自分の考えが届かずコミュニケーションを深めることもできないと考え、敢えて「汚い言葉」をつかったり、ポリティカル・コレクトネスなど無視したような話かたをしたのだと思います。

保守派の人々に対して、自分は今までの大統領候補者とは違うということを周知徹底するために、敢えて「汚い言葉」用いて、覚醒のためのショックを与えて、コミュニケーションを深めようとしたのです。

そうして、この試みは、トランプ氏が大統領選挙に勝利したということで、十分に報いられたのです。

もし、トランプ氏がオバマ氏のように"Yes, we can."のような生ぬるいメッセージを発したとしても、大統領選に勝つことはできなかったことでしょう。オバマの場合は、米国リベラル・左派が大挙してオバマを応援して、初の黒人大統領が誕生することを拒むような人は、人種差別主義者であるかのように思われてしまうような状況をつくりだしてしまったため、トランプ氏のようにコミュニケーションを深める必要性もなかったのでしょう。

もしトランプ氏が登場していなかったとしたら、アメリカのメディアは、大挙してクリントンを応援して、初の女性大統領が誕生することを拒むような人は、女性差別主義者であるかのよう思われてしまうかのような状況をつくりだし、クリントンが圧勝したことでしょう。

しかし、有権者とコミュニケーションを深めなくても、当選できたオバマ大統領は、当然のことながら、最初から良い仕事ができるわけもなく、実際オバマは及び腰外交で、在任中に米国の存在感を毀損してしまいました。

そうして、このことは私たちも肝に命じておかなければなりません。パワハラなどになることを恐れて、日々いつも丁寧な言葉を使い続け、本来コミュニケーションを深めなければならない人に対しても、苦言を呈したり、叱ったりするようなことができない人は、人の上に立つことはできません。

そのような人は、いつまでも一番最下位の職位に甘んじるべきです。企業なのどの組織の中で、今よりももっと大きな仕事をしようとか、進歩しようとか、向上しようとすれば、それを自分だけではなく、周りの人にも周知徹底しなければなりません。そんなときに、オバマのような生ぬるい言葉しか発することができなければ、何も成就できません。

組織の中でイノベーションをおこそうとか、周りの大事な人たちに少しでも良くなってもらいたいと思えば、場合によっては「汚い言葉」もつかう勇気も必要なのです。

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2016年2月23日火曜日

米国でも「STAP細胞はあります!」 共著者バカンティ氏、研究続ける 「正しいと確信したまま墓場に」―【私の論評】この事件誰が正しいか間違いかではなく、何が正しいか間違いかを検討しなれば、また同じ轍を踏むことになる(゚д゚)!


小保方さん(前列左)とチャールズ・バカンティ氏(前列右)
小島氏(後列左)、大和氏(後列右)
STAP細胞論文の共著者のチャールズ・バカンティ氏が、論文撤回後もSTAP細胞作製に向け、研究を続けていたとの記事を米誌ニューヨーカー電子版が22日、掲載した。同誌の取材に対し「(STAP細胞は)正しいと確信したまま墓場に行くだろう」と話したという。

記事によると、論文に不正があるのではないかと問題になった際、バカンティ氏は著者の小保方晴子氏に「データの捏造はしてないのか」と尋ね、「それならこんなに時間をかけて実験はしない」との回答を得たという。

バカンティ氏は論文の問題が指摘された後、2014年夏から1年間米ハーバード大を休職。大学は「復職後も再生医療の研究を続けている」としていた。

記事によると、同誌は昨年7月にバカンティ氏に取材。共著者の小島宏司医師と実験を続けていると説明。既に分化を終えた細胞にさまざまな刺激を与える手法で、どんな細胞にも分化できる万能性を獲得できるかどうかを検証した。万能性を示す遺伝子の働きを確認したが、実際に万能性がある細胞の作製には成功していないという。

STAP細胞の論文は14年1月に英科学誌ネイチャーに掲載され、7月に撤回された。 (ワシントン=共同)

【私の論評】この事件誰が正しいか間違いかではなく、何が正しいか間違いかを検討しなれば、また同じ轍を踏むことになる(゚д゚)!


以下にチャールズ・バカンティー氏とSTAP細胞に関して、wikipediaからまとめたものを以下に掲載します。
チャールズ・バカンティ(英: Charles Alfred Vacanti)氏は、アメリカ合衆国出身の、麻酔科医(医師:M.D.)。研究分野は、麻酔学、組織工学、細胞生物学。 
マサチューセッツ大学メディカル・スクール麻酔科教授、同 再生医科学センター長、国際再生医学会長、アメリカ麻酔学会長を歴任し、ティッシュ・エンジニアリング学会・学会誌の主宰者。現在はハーバード・メディカル・スクール及びブリガム&ウィメンズ病院教授。 
1995年10月に「ミミネズミ(バカンティマウス)」がBBCテレビで報道され、その視覚的に強烈なインパクトにより、バカンティと生体組織工学(組織工学、ティッシュ・エンジニアリング)は世に広く知られるようになった。同分野で多くの特許を持ち、生体組織工学においては著名な人物です。spore-like cellsやSTAP細胞の提唱者でもあります。
  ミミネズミ(バカンティマウス)
2001年にバカンティは弟のマーティン・バカンティとともに、生物の成体に小さなサイズの細胞が眠った状態の多能性細胞が存在するのではないかとの仮説を提唱。これを「spore-like cells」(胞子様細胞)と名付けました。 
しかし、同僚たちは同研究に極めて懐疑的であり、弁護に疲れ果てた末職場を去る決意をしました。新しい職場での面接では、胞子様細胞仮説に触れないように意識したといいます。その後、2008年に小保方晴子がハーバード・メディカルスクールに留学して来ることにより、研究が再始動。小保方は博士論文の研究として多能性の検証を行いました。 
2001年にJournal of Cellular Biochemistry誌へ掲載された論文での画像盗用の疑いや2011年3月TE誌論文での不適切な画像使いまわし。TE誌については2014年3月にバカンティが実験データを示す複数の画像や画像の説明内容を訂正しました 
前述のように、バカンティや小島宏司の下で小保方晴子は胞子様細胞に関する研究を行っていたのですが、2010年頃に彼らと大和雅之は、刺激により細胞が初期化されているという解釈に至りました。本研究は2011年以降、小保方が所属した理化学研究所を中心に研究が進み、2012年3月には米国仮特許出願、同年にはネイチャー、サイエンス、セルへ論文を投稿しましたが、3誌とも査読を通りませんでした。 
2012年12月から笹井芳樹が論文指導を行うことにより、論文は大きな変貌を遂げました。バカンティは笹井が共著者や責任著者に加わること、理化学研究所内で研究をあまりオープンにしないことを要求。また、特許の本出願を急がせてたり、論文共著者に誰を入れるか等についても注文を付けていました。 
2013年4月には特許の国際出願を済ませ、2014年1月30日には2報の論文がイギリスの科学雑誌ネイチャーに掲載されました。バカンティは取材で「小保方がいなければSTAP細胞の研究発表は先にまでずれこんでいただろう」と語り、STAP細胞はバカンティ自身の研究成果であり、小保方は研究協力者の1人との立場をとっています。
nature (ネイチャー) ダイジェスト 2014年 03月号 [雑誌]
STAP細胞に関して、2014年3月に掲載された"Natureダイジェスト"  
同年2月1日にはバカンティのチームがヒツジ治療にSTAP細胞を試みたこと、2月5日には新生児の皮膚線維芽細胞から作成したSTAP細胞の可能性がある細胞の写真を公表する等、BWH独自の研究成果も発表していきました。
日本でSTAP細胞の論文を巡りデータや画像に不自然な点があった問題が発生し、同年3月14日に小保方以外の共同執筆者が論文の取り下げに同意していたが、バカンティは「論文に提示されたデータが正しくないという説得力のある証拠がない限り、論文を撤回すべきではない」とコメントし、論文の取り下げに反対していた。同年5月末にネイチャーから強制撤回よりも自主撤回を促すコンタクトがあり、撤回に同意する方針に転換。小保方も撤回に同意し、STAP細胞の研究は撤回されて白紙になる見通しとなりました。なお7月2日のネイチャーによる論文撤回にあたっても、バカンティは自説を変えず、ボストン・グローブ誌はSTAP細胞やハーバードに対して否定的な報道を行いました。 
記者会見をする小保方さん
2014年8月12日にはブリガム&ウィメンズ病院により、バカンティが麻酔科長退任と1年間の長期休暇の意向であることを表明。病院はこれらの理由やSTAP問題との関連を明らかにしていないのですが、8月11日に自身のブログでメールを公開したポール・ノフラーは、病院で内部調査が進んでいる可能性を指摘しています。また、理化学研究所の検証実験中間報告が行われた一週間程後の同年9月3日に、小島宏司と共にプロトコル(手順)の改訂版を発表しました。
Charles A. Vacanti, Koji Kojima (2014-09-03) (PDF), REVISED STAP CELL PROTOCOL 2014年9月20日閲覧 
STAP細胞作製が簡単にできるのは間違いで個人差が大きいことを認めたものの、自分達が作成に成功したか否かは明らかにしませんでした。
さて、 チャールズ・バカンティー氏に関しては、疑惑は多いものの、それにしても、日米を含めて、責任を追求されて、一番大きな損失を被ったのは、小保方さん一人のみということで、やはりこの事件何やら割り切れないところがあります。

STAP細胞がある特定の手法を用いてる必ず、生成されるという次元にはありませんが、それにしても、バカンティ教授以外にも、STAP現象はあり得るかもしれないことを実証した実験結果は存在します。それに関しては、このブログにも以前掲載したことがありますので、その記事のリンクを以下に掲載します。
小保方さんの発見は真実!ネイチャーにマウスの体細胞が初期化して多能性を持つ「STAP現象」がアメリカの研究者により発表される―【私の論評】日本のマスコミや識者もSTAP細胞騒動を二度と繰り返すな(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、このような発見もあったことですから、少なくともSTAP現象については存在するかもしれないことを全く否定はできなくなったと思います。

STAP細胞をめぐる問題で、小保方晴子さんが理化学研究所(理研)から「ES細胞」を盗んだ容疑で、兵庫県警から任意での事情聴取を受けているそうです。2月18日、そんな衝撃的なニュースが飛び込んできました。これは、昨年1月に、理研OBの男性が容疑者不詳で窃盗容疑の告発状を県警に提出し、捜査が進められていた件で、現在はあくまで参考人の1人とされており、真相は不明です。


理研の調査委員会は2014年12月、STAP細胞は「(生成過程で)似たような特徴を持つES細胞が混入したものである」と結論づけていました。

では一体誰がES細胞を混入させたのでしょうか? 声を上げたのは理研OBの石川智久氏。独自調査の結果、STAP細胞論文の共著者の一人である若山照彦・山梨大教授が理研在籍中に構えていた研究室で行方不明になったES細胞入りチューブが、小保方研究室で発見されたというのです。


 若山氏は2013年3月まで理研で研究活動を行い、小保方氏は若山研の研究員でした。石川氏の見立てでは、ES細胞を若山研から盗んだのは小保方氏以外に考えられず、それを意図的に混入させSTAP細胞と偽った可能性があるといいます。

この調査結果をもとに15年1月、兵庫県警にES細胞の窃盗がなされたとして告発状を提出。同年5月に正式に受理されました。ただし、告発相手は小保方氏と決め付けず「被疑者不詳」としました。  

ここがポイントです。舞台裏を知る関係者は「被疑者不詳、つまり誰が盗んだかは分からないことにして、捜査範囲を広げた。今回の件で動いたのは兵庫県警だけではない。地検や警察庁までもが動き、立件できるか精査した。裏を返せば、受理したのだから、当局はイケると踏んでいるということだ」と話したそうです。 

水面下で理研職員や関係者から事情を聴いて外堀を埋めた上で、満を持して“本丸”小保方氏への参考人聴取に踏み切ったとみられます。 

「小保方研にあった試験管には『ES細胞』と手書きされていたものがあった。調査委員会はそれ以上調べなかったが、当局が筆跡鑑定すれば誰が書いたか一発で分かるだろう」とは別の関係者。

1月28日、小保方氏がSTAP細胞問題で14年末の理研退職後に初めてまとまった主張を行った手記「あの日」(講談社)を出版したことも、少なからず捜査に影響を与えたのかもしれません。 

同書で小保方氏は「私がES細胞を混入させたというストーリーに収束するように仕組まれているように感じた」「私の上司にあたる人たちによって、周到に準備され、張り巡らされた伏線によって仕掛けられた罠だったとも受け取れた」などと“陰謀論”を展開していました。 

あの日


さて、この事件これからどのような展開をするのか予断を許さないところだと思います。

それにしても、もし本当にES細胞を小保方さんが意図的に混入させたと仮定したとして、理研という組織ではそんなことが簡単にできてしまう組織ということなのでしょうか。STAP細胞の生成が、事実だったとすれば、世紀の大発見のはずです。

そんな大発見にもかかわらず、ES細胞を小保方さんが、簡単に持ち込んで、さらにそれを混入させることができるとすれば、別に小保方さんでなくても、誰でもできる可能性はあると思います。

このような、大発見などをする研究所ならば、それ相当の秘密保持の体制ができていなければ、おかしなことというか、異常です。

ましてや、理研は国立の研究所です。国民の税金が投じて運営されている研究所が、一研究員の不正を事前に察知できないとすれば、これはかなりの問題です。

マスコミなどは、こうした観点からの報道は一切行わず、何やら小保方さんの倫理の欠如を追いかけるのみです。

これに関しては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
手記出版「あの日」…小保方さんは何を語っているのか―【私の論評】小保方さんの手記ではみえないSTAP細胞問題の背後にある危機(゚д゚)!
これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この問題の背後にある本当の危機について以下にコピペします。

まずは、STAP細胞に関しては、一連の騒動で、まるでまがい物の代表であるかのごとく印象付けられてしまっていますが、決してそうではないということを示した部分を以下にコピペします。


現在、日本ではSTAP細胞=ウソ、いかがわしいものの代名詞のような扱いを受けています。しかし、複雑な手順を経ることなく万能細胞を生み出そうとするSTAP細胞と同様のコンセプトを掲げ、世界中の科学者たちが日夜熾烈な競争を繰り広げており、小保方さんもその渦中にあったことだけは間違いないです。

今や世界の先進国で日本だけが、STAP細胞まがい物という、世論が形成されている稀有な国と言っても過言ではないと思います。

日夜熾烈な競争というと、化学や物理学等の他の分野もそうなのですが、それにしても、これらの学問の歴史は古いので現状ではある程度落ち着いたという感がありますが、生物学の分野は裾野も広く、ここ数十年で長足の発展をとげ、それこそ最先端の分野では、激烈な競争が繰り広げられています。

その激烈な競争の一端を知ることができるあのiPS細胞の生みの親である、山中教授の発言もあります。

京都大学の山中伸弥教授が応じた『週刊朝日』のインタビューでは、この構造が「仁義なき戦い」と形容され、山中氏自らこう語っています。

「簡単に言いますと、ヒトのiPS細胞は自分たちのほうが先に作っていたんや、とアメリカのベンチャー企業が主張しました。同社の特許の請求内容を見たら、京大が先に出願していた請求内容とほとんど違わない。もう完全に戦争するつもりできているわけですね」(『週刊朝日』、2014年11月7日号)
山中教授がiPS細胞を発表したほぼ同時期に、アメリカのベンチャー企業が、同じ内容の論文を発表しています。これはつまり、アメリカが京都大学のデータを盗んでいたということを意味します。この時に京都大学がとった措置は、アメリカで裁判を起こすと不利になるため、アメリカでの特許権を放棄する代わりに、アジア・ヨーロッパで認めてもらうように図らうことでした。

山中伸弥教授 iPS細胞の世界で熾烈な理研争いが・・・・
これと同じように、STAP細胞に関しては、最先端の熾烈な研究活動だけではなく、利権を巡る熾烈な戦いもすでに始まっていたということです。

おそらく、世界的な医療分野の巨大企業は、かなりの投資をして、この分野の利権を得ようと血眼になっています。

理研も当然そのことは、承知しており、その渦中に小保方さんのSTAP細胞の研究があったということです。

そうして、アメリカの巨大企業は、何が何でも、ありとあらゆる手段で、STAP細胞の利権の先陣争いに勝とうと画策しているのは間違いありません。
"
 それと理研のリスク管理体制がまったくなっていないことを示す内容を以下にコピペします。

これは、クライン孝子さんという現在ドイツ在住の方の発言です。

「理研の平成24年度の内訳には予算が844億円、正社員が3000人くらいいる、外部から出入りするのが3000人くらい。外人のところを見てぎょっとした。636人中、中国が141人、韓国が88人、東南アジアは131人、欧州は192人、北米が60名。3分の1が中国韓国」。

「いろんなところで開発しようとしている。日本はかなりいい線いっているところを、日本の開発を止めさせようとしているのは見え見えだね」。


「理研も外国人の研究員や教授を呼んで、中国と韓国人で3分の1を占めて、本当に丸裸にされてきた。それに気がついていない。今になってこういう問題が出てくるのは当たり前だし、上の方は責任逃れだし。どうにもならない」。
この発言からも、うかがえるように、理研のリスク管理体制は脆弱です。ES細胞混入に関しても、小保方さんのみが疑われているようでもありますし、小保方さんは、著書で若山氏が混入させたと主張しています。

しかし、これはいずれも違うかもしれません。それこそ、理研というか、日本は他国では当たり前のスパイ防止法すらない国ですから、海外のスパイの活動をなかなか阻止できないと思います。

このようなことを考えると、あのSTAP細胞騒動に関しては、あのような問題を起こさせてしまった要因が取り除かれてもいないし、これからもとり除かれることもないかもしれません。

なぜなら、マスコミはとにかく、問題をすべて小保方さんの倫理問題にすりかえて、この問題を報道するだけです。理研の対応もそれに終始しているように思えてなりません。

警察や司法は、犯人探しと、その物的証拠を探すことに集中するだけです。無論、警察や司法はそれが仕事ですから、それだけでも良いと思います。

しかし、マスコミや、それに特にマネジメントする側の、理研の管理者や、理研を統括する文部科学省がそうであってはならないはずです。

このブログでは、良くドラッカーのマネジメントの原則を掲載することがあります。その中で、意思決定の原則として、「誰が正しいか、誰が間違いかではなく、何が正しいか、何が間違いかで意思決定すべきこと、また最初から何が受け入れるかを考慮して意思決定をしてはならない」というものがあります。

その原則を掲載した、このブログの過去の記事のリンクを以下に掲載します。
民主など 首相の大阪でのテレビ出演に抗議―【私の論評】最初から誰が正しいか何が受け入れられるかで意思決定するな!すれば与野党ともドツポにはまる(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただものとして、以下に意思決定の原則に関する部分をコピペします。

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ドラッカー氏は、『経営者の条件』という書籍で以下のように述べています。
 意思決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。
これは、意思決定の過程においては、まずは「誰が正しくて、誰が間違いか」などという論議すべきではなく、あくまで「何が正しくて、何が間違いか」という議論をすべきであって、そうでなければ、全く不毛な論議となってしまい、まともな意思決定ができなくなってしまうということです。

いわゆる「安倍嫌い」は、最初から「誰が正しくて、誰が間違いか」という主張をしているに過ぎません。要するに、上のTweetで田中氏が述べているように、「自分と意見違うものはリンチという徹底した態度」ではまともな論議ができず、まともな意思決定もでなきないということてず。

そのためでしょうか、国会での最近の安保法制の議論など、全くまともな議論になっておらず、国民にとっても理解しがたいものになっています。

しかも、大方の政治家は、せっかくの意思決定も実行されなければ意味がないと思うものです。そのため、最初から落としどころとしての妥協を考えてしまいます。

妥協には昔から知られているように2つの種類があります。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づくものです。

前者では半分は必要条件を満足させる。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となる。しかし、半分の赤ん坊では妥協にもなりません。

ラファエロ作『ソロモンの審判』
『ソロモンの審判とは、』旧約聖書に出てくる話であり、イスラエルの賢王ソロモンが、いかにも当時の絶対専制君主らしく、子を剣で半分に切って女二人で分けよと審判します。このような妥協ならしないほうがずっとましです。

民主党などの野党は、とにかく「安倍嫌い」の立場から、安倍総理の主張は全く間違いであり、自分たちが正しいものとして、物事を考えているようです。そうして、そのスタンスで安倍総理に対峙するものですから、とにかく憲法解釈の変更による集団的自衛権に関わる、安保法制は違法として、安倍総理に対峙しようとします。

そのため、全く話が噛み合いません。そうして、いずれ妥協の段階に入るとは思いますが、安倍総理の立場からすれば、民主党などの言うとおりに妥協してしまえば、まともな「戦争抑止法案」とはなりえず、それこそソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」という結果を招いてしまい、とんでもないことになってしまうため、妥協はできません。そのため、無意味な審議は長引くばかりです。

ドラッカーは、何が受け入れられやすいか、何が反対を招くから触れるべきでないかを心配することは無益であって、時間の無駄だと言います。心配したことは起こらず、予想しなかった困難や反対が突然ほとんど対処しがたい障害となって現れるとしています。
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理研のこの事件に関する、調査は本当にしっくりきません。何やら、責任はすべて小保方さんの倫理観にあるかのような調査結果の内容です。

要するに、理研も「誰が正しいか、誰が間違いか」という観点で調査を行うという過ちを犯しているのだと思います。

このような調査ですませていては、今回自殺者まで出してしまった、事件に関して、一時しのぎはできるかもしれませんが、小保方さんがES細胞を混入させたさせないという観点ではなく、どうしてES細胞が混入するような事態が生じてしまったかという観点で調査すべきです。

小保方さんや、若山さん、あるいは他の人が混入させたにしても、そもそも、なぜ混入などという不祥事が生じてしまったのか、その背景と、それを阻止するための方策にまで言及すべきです。

人間は不完全ですから、誰でも間違いや失敗をすることはあります。しかし、その後でそれを単に個人の倫理観に委ねていては、何も解決しません。単に「あいつが悪い」で終わってしまいます。

そうして、それを起こしてしまった、システムや背景など何も改善されません。マスコミはまるで、倫理判定装置のような見方で報道するのではなく、こうした観点から、報道すべきですし、理研の幹部や、文部省は、このような観点から調査をするのはもとより、その結果から、理研のシステムを変更するとか、危機管理システムを創設するか、内容を変更するなどの具体的な行動をして、このような事件を再発しないように、あるいは似たような事態が生じた場合には、早めにリスク管理行動を起こして、傷口が今回のように大きく広がることを阻止すべきです。

このようなことを実行しないということは、結局それこそソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」という結果を招いてしまい、また似たような事件が発生し続け、とんでもないことになりかねません。

いずれにしても、今回の事件では「小保方が悪い」などという単純な倫理の問題にすり替えていては、何も進歩しないことだけは確かです。そのようなことは、小学生にだってできます。それに犯罪に関しては、司法に任せれば良いことです。

まともな大人であれば、「何が正しい、何が間違い」で判断し、そうして「最初から何が受け入れられやすいか」などという観点で意思決定をすべきではありません。

こんなことをしていては、「半分の赤ん坊は、いないより悪い」という結果を招くだけです、考えかたを根本的に変えて妥協するにしても「半切れのパンでも、ないよりはまし」というまともな妥協ができるようにすべきです。

結局この問題、まともな意思決定ができていないため、過度に小保方さんに責任をかぶせることで、「半分の赤ん坊は、いないより悪い」式の妥協になつてしまっているようで、非常に後味が悪いです。

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