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2020年4月1日水曜日

新型コロナ危機を利用し世界的地位向上を図る中国―【私の論評】世界に謝罪しないと米国の怒りをかい、石器時代に戻るかもしれない中国(゚д゚)!

新型コロナ危機を利用し世界的地位向上を図る中国
岡崎研究所

 新型コロナウィルスの武漢での感染が、制御の利かない様相を呈し、海外に拡散する勢いを見せ始めた当初、中国は負い目を感じ、あるいは海外からの批判に神経を尖らせていたのではないかと思う。米国が中国からの入国制限に動いたことに過剰反応だと反発したのもそれであろう。


 ようやく感染を封じ込める見通しが立ったかに思われるこの段階に至って、中国は反転攻勢に出て来た。「環球時報」など中国メディアは、中国は新型コロナウイルスの拡散を遅らせることに貢献して来た、中国はウイルスとの戦いに勝ちつつある、しかるに欧米諸国は警戒と対応が緩慢で感染を広げてしまった、との説を流すことに忙しいようである。例えば、3月19日、中国は前日の新たな国内感染が初めてゼロになったこと、34の感染例はすべて海外感染のケースだったことを公表した。

 3月13日、アリババのジャック・マー(馬雲)が、50万個の検査キットと100万枚のマスクを米国に寄贈すると発表した。このことに関して、米国バード大学のウォルター・ラッセル・ミード教授は、3月16日付のウォールストリート・ジャーナル紙で、この危機を利用してグローバルな地位の強化を図りたいという中国の思惑の兆候であると述べている。3月11日に、四川大学華西医院の医師や中国赤十字関係者ら7人の専門家チームが、検査キットやマスクなど医療器材を携行してイタリアに入ったと伝えられることも、その表れだと指摘する向きもある。

 この種の中国の行動を、純粋に国際協力の精神によるものだと受けとれないことには理由がある。上述の中国メディアの宣伝工作もそれである。更に言えば、コロナウイルスの震源地である中国が、事態発生の初期に、問題発生の経緯、中国が講じつつある措置、諸外国および国際機関に対する協力の要請をとりまとめて最高指導者が内外に宣明するという一事を怠ったことがある。それがために、海外に不満と不信が漂う状況ではなかったか。3月 11日、米国のロバート・オブライエン大統領補佐官が「武漢の感染拡大は隠蔽された」「そのため世界は対応までに2週間を失った、その間に我々は中国で起きたこと、および世界で今起きていることを劇的に抑え込めていたであろう」と述べたのは、不信の表れであろう。翌3月12 日、これに反応して、中国外務省の趙立堅(報道官)は、「武漢にウイルスを持ち込んだのは米軍かも知れない......米国には説明責任がある」とツイートしたが、中国の弁護に有用だったとは思われない。

 その後、トランプ大統領は「中国のウイルス」、ポンペオ国務長官は「武漢のウイルス」と言ったが、国内対策の遅れに対する批判もあって、言外に中国の責任を問うたものであろう。

 いずれにしても、ミード教授の論説の主眼は、中国の影響力拡大の危険を警告することにあった。今後、新型コロナウイルスは途上諸国に拡散することになるかもしれないが(もっとも、気温が高い気象条件の影響を受けるかも知れないが)、新型コロナウイルスだけでなく、原油価格の暴落その他の複合的な原因で途上諸国は混乱に陥る。これに乗じて、中国は援助の提供と中国のガバナンス・モデルの優位性(共産党の一党支配体制が欧米流の民主主義よりも優れている)についてのプロパガンダにより、その影響力の拡大を企てる。その結果、嵐が過ぎて見渡せば世界は一変しているかも知れないと、ミード教授は警告する。この主張は誇張が過ぎるようにも思えるが、10日間で病院を作って見せる中国のことだから、この可能性はある。

 そうであれば、西側諸国としては、途上国の混乱の早期収束に協力する他ない。この論説では、西側諸国にその用意があるかを疑っているように読めるが、そうするしかない。新型コロナウイルスについては、WHOを中心に支援の体制を組むことが正攻法であろうが、それとともに西側主要国が枢要な途上国に効果的な援助が出来るかどうかが鍵となろう。

【私の論評】世界に謝罪しないと米国の怒りをかい、石器時代に戻るかもしれない中国(゚д゚)!

中国は、新型コロナ危機を利用し世界的地位向上を図っているようですが、そのようなことが本当に成功するでしょうか。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
今も新たな感染者、武漢封鎖を解除する中国の無謀―【私の論評】微笑外交でEUを取り込もうとする中国(゚д゚)!
武漢駅で消毒作業の準備をするために集まった消防士たち
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で中国が微笑外交でEUを取り込もうとしている様を掲載しました。しかし、この記事で、イタリアを例に出してそのようなことはできないであろうことを掲載しました。この記事から結論部分を掲載します。
しかし、そのようなことが簡単に成就できるでしょうか。現状では、確かにイタリアなど武漢ウイルスにより社会経済が沈んでおり、中国の助力を請おうとする姿勢もみられますが、コロナであれほどの惨禍に見舞われたイタリアです。そうして、そうなったのは、中国の隠蔽による初動対応のまずさにあります。 
ある程度武漢ウイルスが終息すれば、多くの国民から中国への批判は相当高まることになるでしょう。 
さらに、中国で再び中国で武漢ウイルスの第二次の爆発的感染がはじまるかもしれません。 
中国がEUを中国の傘下に取り込むことに執着すれば、インド太平洋との2正面作戦になってしまいます。無論EUに対しては、軍事的な行動はとらないでしょうが、それにしても、経済支援などはし続けなければならず、現在の中国にそれができるのかは疑問です。 
いずれにせよ、コロナ後の中国の動きに関しては、日米ともに協調し、注意深く見守りつつ、EUへの中国の動きも牽制しなければならない時が来るかもしれません。 
日米ともにまずは、国内の武漢ウイルス感染を一日も早く終息に向かわせるべきです。
いずれ、武漢ウイルスの感染が静まれば、当然のことながら、イタリアでは中国に対する批判の声どころか怨嗟の声があがるでしょう。

      新型コロナウイルスにより毎日多くの死者が出ているイタリアで、
      柩が多く並べられた教会内の写真が公開された。

ただし、気をつけなければならないところもあります。EUは最近の感染拡大が著しいイタリアやスペインなどが、大規模な対策に迫られているとして、財政状況の厳しい加盟国を支援するための基金も活用することや、ユーロ圏の各国が共同で発行し資金を調達する「ユーロ共同債」の発行を求めましたが、ドイツやオランダの反対で見送られました。これでは、何のための「EU」なのかという声がイタリア国民からあがるのは当然です。

イタリアの政治は、武漢ウイルス禍の前からかなり混乱していました。

第1に、「EU懐疑主義」はいわゆるイギリスに特有の病気ではなかった、ということです。イタリア国民は3月の総選挙で、2つの「ポピュリスト(大衆迎合主義)」党である「同盟」と「五つ星運動」を勝利させました。EUに不満があるから、というのがその大きな理由の1つです。

第2に、今回のイタリア政治の混乱は、EUに異議を唱えるのが、特に単一通貨ユーロ圏に加わっている国の場合はいかに大変か、というのを示しています。イタリア政府はEUとの関係を再交渉で見直し、おそらくユーロを離脱することを望んでいるのかもしれないですが、どうしたら実現できるのか見えてきません。EUはただ1つの方向、つまり統合に向かってのみ進み続けていて、後戻りはできないのです。これこそが、EUに向けられる非難の1つです。

第3に、イタリア危機は、単一通貨が経済にもたらす悲惨な結果を物語っています。実際のところユーロは、ヨーロッパの国々を「ますます緊密な連合」にまとめ上げようとするための政治的なプロジェクトでした。その前提となり得るほどにはこれらの国々の経済は「同水準に近付いて」いなかったし、今もそうなっていません。イタリアはそのために苦しみ続けてきた国の1つです。

イギリスが単一通貨ユーロに参加しないことを決定した当時は、親EU派からは「歴史的なチャンスを逃した」と言われたものでした。ところがイギリスの選択が賢かったことは、これまでに十分証明されています。

ユーロ圏内最強の経済国ドイツにとっては、確かにユーロは利点が大きいです。経済のより弱い他の加盟国のおかげでユーロ価格は比較的低く抑えられ、ドイツの輸出を助けています。ところが経済の弱い国々からしてみれば、ユーロは強過ぎ、ドイツ経済のせいで高止まりしているようなものです。それが、こうした国々の景気を阻害しています。

南欧諸国の若年者失業率は、破滅的な状況が続いています。イタリアでは18~25歳の45%が失業中です。EUが移動の自由をあれほど主張している理由の1つもここにあります。もしも仕事のないスペインやイタリアの若者がイギリスのような、雇用創出できるほど経済が好調な他の国々に移動できないとしたら、社会的影響は恐ろしいことになるでしょう。

失業が多ければ、日本や米国のような国であれば、金融緩和をすれば、雇用が良くなるのはマクロ経済の常識です。ただし、各々の国生産性を超えたところまで、緩和をしてしまうと、ハイパーインフレになってしまいます。

ユーロ圏では、イタリアが金融緩和をしようとしても、イタリア銀行(イタリアの中央銀行、日本の日銀にあたる)自由にはできません。それを実行できるのは、欧州銀行です。あくまで、欧州全体が緩和をしたほうが良いと判断された場合、緩和をするのです。だから、イタリア等はいつも割を食うわけです。

財政政策に関しては、各々の国の財務省が実行することができますが、それにしても、このブロクでも以前述べたように、イタリアの経済も、マンデル・フレミングの法則があてはまります。

マンデル・フレミングの法則とは、変動相場制において、財政政策の効果は非常に低くなるということです。だから、効果のある財政政策を実行しようとすれば、金融政策も同時に行う必要があります。しかし、イタリア銀行は、イタリアのために独自の金融政策を実行することはできないのです。

この状況ですから、イタリア国民には以前から、EUに対する不満が鬱積していたのです。イタリアのポピュリスト政党が推し進めようとする経済計画が現実的だなどと言う気もないし、イタリア国内の多くの問題を生んだ責任がイタリア自身にはないなどとも言うつもりもないですが、それでもイタリア有権者がこの政治状況を選んだ理由の一部は、EUにあるといえます。

このあたりの事情を中国が理解し、イタリアに対する支援を強化すれば、イタリアがEUを脱却して、中国の傘下に入るということも十分考えられます。それどころか、多くの南欧諸国が右にならえで、EUを脱退するかもしれません。

さらに、中国はイタリアやEUだけではなく、世界中の国々の不満を利用して、傘下に収めるかもしれません。

そうなると、EU崩潰や、戦後の米国を頂点とする世界秩序も崩れる可能性があります。そうならいためにも、EUはもっと柔軟な体制に構築し直すとか、日米なども当面は自国の武漢ウイルス対策に追われるものの、早期に解消して、EUや世界中の国々、経済的に弱体化している国々を支援するべきです。支援としては、経済支援だけではなく、中国になど頼らなくても、独立独歩の道を歩めるように様々な支援をすべきです。

そうでないと、武漢ウイルスを奇貨として、中国は世界中の国々を自らの傘下に置き、世界秩序を自らの都合の良いように作り変えていくかもしれません。

ただ、中国では新型コロナウイルスに感染したものの症状が出ない人(無症候性キャリアー)が相当数存在するもようですが、最新の統計では、これらを感染者に含めていないため、実態は不明のままです。そのため無症候性キャリアーが現在もなお、自覚がないままウイルスを拡散させている恐れがあるとの不安が高まっています。

中国共産党としては、独裁体制であるため、これらの問題は十二分に対処できると高をくくっていると思われますが、私はそのように簡単に事がすむとは思っていません。

日本を含めた多くの国々も、中国からの入国制限を継続しています。一度、中共とWHOに裏切られているわけですから、これは、相当期間にわたって継続されるものと思います。

米国では、「消防士を装う放火犯」である中国に対して、多くの人々が怒り心頭に達しています。

米国議会では、中国政府の法的かつ財政的な責任を問う具体的な動きがすでに広まっています。

米国連邦議会の上院のジョッシュ・ホーリー議員(共和党)、下院のセス・モールトン議員(民主党)、エリス・ステファニク議員(共和党)ら約10人の超党派議員グループは3月23日、コロナウイルス感染症に関して中国政府の責任を法的に追及し、感染の国際的拡散によって被害を受けた諸国への賠償支払いを求める、という趣旨の決議案を上下両院に提出しました。

同決議案に署名した1人、ジム・バンクス下院議員(共和党)は議場での発言で、中国の責任追及のためには、単なる決議ではなく、米国として強制力を持つ法律を作って、中国政府への損害賠償を法的に迫るべきだという提案を明らかにしました。

それは以下のような提案でした。
全世界に被害をもたらした中国政府の法的な責任を明確にして、中国に賠償金を支払わせる方法として、第1には、中国政府が保有する莫大な額の米国政府債券の一部を放棄させる方法、第2には、中国からの輸入品にこの賠償のための特別な関税を新たにかけて、「コロナウイルス犠牲者賠償基金」を設けさせる方法、などが考えられる。
こうした方法の実効性は現時点では不透明ですが、米議会にここまで具体的な中国政府への賠償請求の動きが広がっていることは注視すべきです。

米国議会の共和党、民主両党が一致してここまで強硬な態度をエスカレートさせたことは、今後の米国の中国への姿勢がまた格段と厳しくなる展望を示したといえます。その展望は“脱中国”とも呼べるでしょう。米国のこうした極端で過激な対中姿勢は、同盟国の日本の対中政策にも複雑に影響してくるはずです。

中国がこのような厳しい措置を受けるようになっても、ウイルス発生源であるにもかかわらず、世界の「ヒーロー」になる試みを継続するなら、米国はさらに厳しい最終手段をとるかもしれません。それは、中国に対する全面戦争等ではなく、ドル元交換の禁止やドル使用の禁止などの厳しい措置です。


そのようなことになれば、中国は貿易ができなくなり、石器時代に戻るかもしれません。そうなる前に、中国は「ヒーロー」になることをやめて、世界に感染を広めたことを真摯に謝罪すべきです。しかし、中共は絶対に謝罪はしないでしょうから、石器時代にまっしぐらかもしれません。いや、その前に統治の正当性を失い崩潰するでしょう。

イタリア人も、日本人も、韓国人も、その他の国々の人たちも、もっと怒るべきです。今日世界がこのような状態にあるのは、あなたや私や、各国の政府が悪いのではなく、元を正せば、中国共産党だけが悪いのですから。怒りの矛先は、中共だけに向けられるべきなのです。

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2018年5月16日水曜日

【激動・朝鮮半島】トランプ米政権、米朝首脳会談中止の可能性に言及した北の真意を精査 現時点では「開催予定に変更なし」―【私の論評】正恩の判断一つで石器時代をむかえる北(゚д゚)!


10日、米中西部インディアナ州で、支持者に応えるトランプ米大統領

 トランプ政権は、北朝鮮が朝鮮中央通信を通じた声明で米朝首脳会談を中止する可能性に言及したことに関し、安全保障担当の高官らを招集して北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の真意などについて分析作業に入った。

 サンダース米大統領報道官は15日、声明をめぐる報道に関し「承知している」とした上で、「米国として北朝鮮の発言内容を独自に精査し、同盟諸国と引き続き緊密に連携していく」と強調した。

 国務省のナウアート報道官は15日の記者会見で、米朝首脳会談について「引き続き準備を進める」と述べ、現時点で開催予定に変更はないとの認識を明らかにした。

 ナウアート氏はまた、「金正恩氏は以前、米韓が合同演習を続けることの必要性と効用について理解すると発言していた」と指摘。国防総省のマニング報道官も同日、一連の米韓演習は「毎年の定例」であり、「防衛的性格であることは何十年にもわたって明確にしてきており、変更もない」と強調した。

 マニング氏は演習の目的について「米韓による韓国防衛の能力を向上させるとともに、米韓の相互運用性と即応能力を高めるため」とした。

 北朝鮮が問題視している米韓共同訓練「マックス・サンダー」は定例の空軍演習で、今年は米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22やB52戦略爆撃機などが参加。既に始まっており、25日まで行われる。

【私の論評】正恩の判断一つで石器時代をむかえる北(゚д゚)!

マックス・サンダーに参加中のステルス戦闘機F22ラプター

以前もこのブログに掲載したことがありますが、北朝鮮には40年前のレーダーしかなく、実質上防空施設はないと考えて良いです。航空機も時代遅れのものが多く、米韓の航空兵力には全く太刀打ちできません。核ミサイルばかり注力してきたので、昔中東や、ベトナムで活躍した北朝鮮空軍の面影は全くありません。

このような北朝鮮ですから、米韓の航空機による普通の攻撃も脅威ですが、これに加えて、金正恩を恐怖に陥れる戦法もあります。

それは《電磁パルス(EMP)攻撃》や《地中貫通核爆弾》を用いた戦法です。

米軍による電磁パルス攻撃の模式図

EMP攻撃の方は、日本国内ではもっぱら北朝鮮が日本を筆頭に米韓に仕掛けるというパターンの報道が多いです。現に、北朝鮮がICBM搭載用水素爆弾の6回目実験を行った昨年の9月3日、北の朝鮮労働党機関紙・労働新聞がEMP攻撃を完遂できると強調していました。これは、おそらく本当でしょう。

韓国の公共放送KBSは昨年9月3日夜のニュースで、韓国がEMP攻撃に遭えば「自動車などの交通手段や金融機関や病院、通信施設など、全基幹施設が停止したり、誤作動を起こしたりして、事実上『石器時代に戻る』」という専門家の声を紹介してもいました。

しかし、『石器時代に戻る』のは北朝鮮ではないでしょうか。

EMP攻撃は、高度30~400キロの上空での核爆発を起点とします。その時生じたガンマ線が大気を構成する窒素や酸素などの分子に衝突。分子中の電子がはじき飛ばされて雷のような巨大な電流が発生するなどした結果、強力な電波の一撃であるEMPが地上に襲来します。「宇宙より押し寄せる津波」に例えられるゆえんです。

EMPは送電線を伝ってコンピューターといった電子機器に侵入。電圧は5万ボルトに達するので、機器はIC(集積回路)の機能停止で損壊し、同時に大規模停電にも見舞われます。

影響範囲は爆発の高度や規模によるが、高度100キロで広島型原爆の3分の2に相当する10キロトン(TNT火薬換算)のケースでは、日本全土をほぼ覆う半径約1100キロにも達っします。

現代社会は電気なしでは成り立たちません。大規模停電で公共インフラを支える電子機器が損壊すれば、都市機能はマヒします。携帯電話&電話&インターネットなどの通信やガス&水道の供給が停止。飛行中の航空機が操縦不能になり、電力を絶たれた原子力発電所が制御不能に陥ります。自衛隊・警察・消防の指揮・命令系統や金融機関も機能不全となります。 

EMP攻撃は地上への核攻撃と違い、ミサイルの弾頭部分を大気圏再突入時の超高熱から守る素材や突入角度制御に関わる技術は必要ありません。小型の核弾頭を搭載したミサイルを発射し、目標上空で起爆するだけです。米国防総省では、北朝鮮が既に核弾頭の一定程度の小型化に成功し、EMP攻撃能力を備えたと確信しています。

この恐るべき兵器を米国は当然、研究・開発し、実戦段階まで昇華しています。

スターフィッシュ・プライム時にホノルルでみられたオーロラのような現象

実際、米国は1962年、北太平洋上空で高高度核実験《スターフィッシュ・プライム》を実施、高度400キロの宇宙空間での核爆発でEMPを発生させました。ところが、爆心より1400キロも離れた米ハワイ・ホノルルなどで停電が引き起こされ、予想通りの「魔力」が実証されました。
 
米国の専門家チームが近年まとめたシナリオでは、10キロトンの核爆弾がニューヨーク付近の上空135キロで爆発すると、被害は首都ワシントンが所在する米国東部の全域に及びます。損壊した機器を修理する技術者や物資が大幅に不足し、復旧には数年を要し、経済被害は最悪で数百兆円に達します。

EMP攻撃で、北朝鮮の核・ミサイル施設&基地を含む軍事拠点や各種司令部&各部隊間をつなぐ電子・通信機器=指揮・統制システムを不通にできれば、もはや戦(いくさ)はワンサイド・ゲームと化すことになります。

その上、EMP攻撃敢行のハードルは、核爆弾の直接攻撃に比べハードルが低いです。EMPの場合、核爆発に伴う熱線や衝撃波は地上には届かないです。EMPは被攻撃側の人々の健康に直接影響しません。

半面、食糧不足や病気などで数百万人単位もの死傷者は出ます。病院をはじめ、無線などの情報通信やテレビ・ラジオもマヒし、被害情報把握も救援・復旧活動も困難になります。信号機も突如消え、交通事故や火災で死者を増やし、大パニックに陥るためです。

こうした、一般の北朝鮮国民への被害をどう局限し、国際世論の批判をかわすか、米国は昨年、シミュレーションを繰り返していました。

もちろん、米国にとり最優先事項は人道ではなく、EMPの届きにくい地下坑道に陣取る北朝鮮・朝鮮人民軍の通常・核兵器による報復の芽を摘み取る点にあります。核施設の制御不能回避も大きな課題です。以上の課題も、米国昨年着々と解決しました。

ところで、北朝鮮の韓大成・駐ジュネーブ国際機関代表部大使は昨年9月5日、あろうことかジュネーブ軍縮会議で「米国が北朝鮮に圧力を加えようと無駄な試みを続けるなら、わが国のさらなる『贈り物を受け取ることになる』だろう」と演説しました。しかし、現実には『贈り物を受け取ることになる』側は、北朝鮮になるかもしれないです。

B2ステルス爆撃機とそれに搭載する地中貫通爆弾

さて次は、《地中貫通核爆弾》について論じます。 

バラク・オバマ政権は政権の最終盤に入って、ようやく北朝鮮の脅威に気付きました。一昨年11月の政権引き継ぎ会談で、当時のオバマ大統領は大統領選挙を制したドナルド・トランプ次期大統領に「米国の最大脅威は北朝鮮」だと、自戒を込めて伝えました。米国防総省も引き継ぎ直前、秘中の秘たる《地中貫通核爆弾B-61タイプ11》の模擬弾投下試験を超異例にも公表。大統領選で激突していたトランプ候補とヒラリー・クリントン候補に、暗に覚醒を促しました。

大型貫通爆弾=MOPのパワー・アップ費&生産費や、MOPのプラットフォームとなるB-2ステルス爆撃機の改修費について、米国防総省は2000年代に入り近年でも頻繁に請求し認められています。 

対する北朝鮮の核・ミサイル施設は地下深く、鉄筋コンクリートや硬岩、鋼鉄などを巧みに組み合わせて構築されています。しかも、時間の経過とともに地下施設は補強され、強度を増しています。

このように、米国が「克服しなければならない課題」は多数残っています。しかし、「克服しなければならない課題」は昨年着実に「克服」されてきたのです。

30センチ以下の動く対象を捉える米国の偵察衛星は移動式発射台のワダチをさかのぼり、核・ミサイル格納トンネルを特定します。

軍事利用している衛星の種類には資源探査型があり、地質構造・地表温度を識別して、地下施設・坑道の構造や深度が一定程度判別可能です。

こうして長年蓄積し続けた膨大な量の偵察・監視資料を精緻に総合的に再分析します。すると、見えなかった地下施設が浮かび上がるのです。

例えば、地下施設建設前と建設後で、地上地形がどう変化していったか/地形変化のスピード/掘削機の能力割り出し/トラックで運び出される土砂の量/トラックで搬入されるセメント・鉄骨・鋼板などの量/労働者数…など。

地下施設といえども、兵器や技術者、軍人が出入りする出入り口は絶対に必要です。換気施設も然り。絶好の監視対象であり爆撃ポイントになります。 

金正恩の執務室があるとされる15号屋の衛星写真、地下150メートルには秘密居所があるされている

北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の秘密居所は地下150メートルともいわれ、MOPですら荷が重い恐れがありますが、先述の《地中貫通核爆弾B-61タイプ11》であれば確実に粉砕します

《電磁パルス(EMP)攻撃》と同様、地中貫通核爆弾B-61タイプ11は他の核搭載兵器に比べ、実戦投入のハードルは低いです。爆発威力を抑えれば、地下での起爆であり、一般国民の住む地上の被害を抑え、核汚染被害も局限できます。地下に蓄えられる朝鮮人民軍の生物・化学兵器も、核爆発力を抑えた「小さな核爆弾=ミニ・ニューク」が発する熱波で蒸発→無害化に一定程度貢献することでしょう。

やはり、「贈り物」が届く先は金正恩委員長が震えながら閉じこもる「地下のお住まい」のようです。

このような2つの贈り物で北朝鮮は「石器時代」に戻ることになるどころか、金正恩氏も蒸気になって跡形もなく消え去ることになりかねません。

石器時代に戻る北朝鮮?

マックス・サンダーでは当然のことながら、これら2つの兵器の訓練も行っているのでしょう。

金正恩からすれば、この訓練がいつのまにか本当の作戦行動になり、いつ北朝鮮が石器時代にもどり、自分がこの世から消えるかもしれいないという恐怖に苛まされているはずです。

北朝鮮は朝鮮中央通信を通じた声明で米朝首脳会談を中止する可能性に言及したといいますが、北朝鮮にそれを選択できる余地などありません。

米朝会談に主席するか、出席しないで、米国に北朝鮮攻撃の格好の理由を与えるかのいずれかのみです。

米朝会談に出席したとしても、米国の要求を飲まなければトランプ大統領は途中で退席することになるでしょう。まさに、金正恩の判断一つで北朝鮮は石器時代を迎えるかもしれません。

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