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2020年9月5日土曜日

【日本の解き方】「アベノミクス」いまだ理解せず、的外れな批判をするマスコミ 雇用やコロナ予算に威力発揮―【私の論評】菅政権が緊縮財政の転換の実現に成功すれば、安倍政権に次ぐ長期政権になり得る(゚д゚)!

 【日本の解き方】「アベノミクス」いまだ理解せず、的外れな批判をするマスコミ 雇用やコロナ予算に威力発揮

安倍首相

 安倍晋三政権で日銀のインフレ目標と金融緩和が実施されて7年以上が経過したが、「2%目標」の意味やその効果について、いまだに多くのメディアが正しく評価できない状況だ。

 日本のメディアは、アベノミクスのインフレ目標2%について、「実際に達成していないからダメだ」と論評する。しかし、これはインフレ目標の意味をキチンと理解していない薄っぺらなものだ。

 インフレ目標は、雇用(失業率)とインフレ(率)の関係を分かっていないと正しく理解できない。短期的にインフレ率が高い状況では失業率が低下し、逆に失業率が高いときはインフレ率が低下するというトレードオフ関係がある。これは、マクロ経済学の基本中の基本だ。

 いずれにしても物価と雇用は裏腹なのだが、失業率はゼロにはならず、一定以下には下がらない。一方、インフレ率はいくらでも上がる。

 こうした状況において、最低の失業率を目指すときに、金融緩和しすぎてインフレ率が高くならないように、ギリギリ許容できる水準としてインフレ目標があるのだ。

 要するに、完全雇用が達成できていれば、インフレ率が2%に達していなくても問題ではなく、それはむしろ喜ばしいことだ。政権ができるマクロ経済対策は、極論を言えば雇用の確保しかない。それができれば及第点だ。

 安倍首相は雇用政策としての金融政策を完全に理解した日本で初めての首相だ。その結果、安倍政権は失業率を引き下げ、就業者数を増やした。失業率統計は1953年から始まったが、それ以降の29の政権のうち、在任期間中に失業率を下げ、かつ就業者数を増やしたのは10政権しかない。

 その中で安倍首相は失業率を1番下げて、就業者数は佐藤栄作政権に次いで2番目に増やした。これは他の誰も実現できなかった断トツの実績だ。しかも、失業率2%前半という「完全雇用」の状態も達成できた。

 インフレ目標の導入は安倍首相の功績だが、その効果として雇用を作るとともに、財政政策と金融政策の一体化を進めることができるようになった。この点でも、安倍首相はこれを理解した初めての首相だった。

 インフレ目標の達成まで日銀で紙幣を刷って財源を作っても全く問題ないことを安倍首相は理解していたのだ。

 しかし、日本のマスコミは、「現下のコロナ対策により、借金が増え、将来世代にツケが回るのでアベノミクスの負の遺産になっている」という間違った解説をしている。インフレ目標2%に達しないからこそ、将来世代に負担をかけずに、日銀がカネを刷って、コロナ対策が可能になっているのだ。

 アベノミクス、とりわけインフレ目標の意味について、完全雇用達成を目指しつつも金融政策をふかしすぎないための歯止めであること、そしてその範囲内なら財政再建を意識する必要はないことを、いまだに日本のマスメディアが理解していない。このため、きちんとアベノミクスを評価できていないのは情けない。(元内閣参事官・嘉悦大教授)

【私の論評】菅政権が緊縮財政の転換の実現に成功すれば、安倍政権に次ぐ長期政権になり得る(゚д゚)!

第2次安倍政権は、約8年の憲政史上最長の政権となりましたが、6回の国政選挙において安倍首相率いる連立与党は国民の信任を得ることに成功しました。特に平成以降の日本の首相の在任期間が短かったことを踏まえると、日本の選挙制度では長期にわたり政権を保つことは、かなり困難と言えにもかかわらず、この偉業を達成したのです。

安倍政権に対する評価は様々でしょうが、批判はするのですが健全な政策論争を行わないように見える野党に対する国民の信頼が高まらない一方で、安倍政権が相応の実績を残して国民の期待に一定程度応え続けました。だからこそ、史上最長の政権となり得たのです。

外交面では、米国を中心とした民主主義体制の親密国との関係強化、TPP協定を実現して自由貿易推進の旗振り役になったこと等が主な成果です。それ以上に国民の支持を高めたのは、発動した経済政策によって2013年から経済状況が大きく改善したことです。

2000年代半ばの小泉政権は平成以降では数少ない長期政権でしたが、この時期も総じて経済状況改善が続きました。公務員などを除く多くの国民が市場経済のルールに直面している日本では、頻繁に選挙民によるチェックが行われるので、その政治基盤は経済政策の出来と経済状況が大きく左右しています。

第一次小泉内閣


2013年以降の経済正常化を端的に示すのは、上の高橋洋一氏の記事にもあるように、労働市場の環境改善です。コロナ禍前の2019年12月には失業率は2.2%まで低下しました。これは、1992年以来約30年ぶりの水準です。

1992年当時は、1980年代後半のバブルが崩壊してから2年が経過して経済悪化が始まっていたのですが、それでも労働市場の需給バランスがなんとか保たれ、ほぼ正常と呼べる経済状況でした。

安倍政権が始まってほどなく2014年頃から、メディアでは「人手不足」の問題が報じられていました。ただし、一部の企業が人手不足に直面している段階では、経済全体や労働市場の需要と供給のバランスが正常化しつつあるだけに過ぎません。

そして、2014年以降も失業率の低下という正常化が続き、上の高橋洋一氏の記事もあるように、2.2%と1992年以来の水準まで労働市場は改善しまはた。特に就職活動に直面する若年世代の就業環境を大きく変えまはた。

約10年前まで世間を賑わせていたブラック企業の悪評が少なくなり、転職機会が多い若年世代労働者の生活はかなり改善したことでしょう。

さらに、安倍政権になってから、自殺者数が大きく減ったことにも、労働市場の改善が大きく貢献しました。これは、このブログにも何度か掲載してきました。

安倍政権に対しては将来があまり見込めない中高年世代からの厳しい声が一定程度存在しています。ところがその一方で、将来がある若者世代の安倍政権への支持率が総じて高いのは、ある意味当然のことです。

経済環境を正常な状況に戻して国民の生活向上を実現するのが、1990年代後半からの日本の政治基盤を盤石にする最重要課題だったはずです。安倍政権において、長年実現しなかった失業率の大幅な改善がなぜ実現したのでしょうか。

経済再生の方針が掲げられても、従前の多くの政権において、政策手段の実行については経済官僚などにほとんど依存していたのが実情だったとみられます。

具体的に、基本的な経済理論が教える通り、失業率問題を改善するための手段は、上の高橋洋一氏の記事にもあるように、金融財政政策(マクロ安定化政策)をセオリー通りに実行することですが、それが不十分だったのです。この問題の本質を、安倍首相らは深く理解していたのです。

例えば、安倍政権以前の日本の金融政策は、日本銀行の内輪の理論によって、経済官僚が事実上決めていたとしか考えられません。ただ、第1次安倍政権下の2007年に行われた日本銀行による2回目の利上げに対して、安倍氏は強い疑念を抱いたとされています。

そうして、安倍氏は、デフレと経済の長期停滞が様々な経済問題をもたらし、そしてその根本原因は金融財政政策が不十分であると認識しのです。これが、いわゆるアベノミクスが大きな成果を挙げた経緯です。

安倍政権が始まって早々、それまで日本銀行が採用しなかった2%インフレを「共同目標」としてコミットさせ、その上で、日本銀行の執行部(総裁、副総裁)の人事には、従前の慣行にとらわれず、それまで日本銀行の金融政策を批判してきた人物を採用しました。

この日本銀行の政策転換は、米FRB(連邦準備理事会)をはじめとした各国の中央銀行と同様に、目標と責任を明確にするというだけのことです。

それでもこの政策転換の経済的な効果は大きいものでした。その後、2012年までの行き過ぎた円高が大きく修正され、停滞していた株式市場が上昇しました。そうして、金融緩和の効果が実態経済に浸透してデフレが和らぎました。

金融政策が一貫して緩和方向に作用して労働市場の需給バランス改善(正常化)が続き、雇用機会が増えて、多くの人の生活苦を緩和したのです。

安倍政権の最大の功績は、安倍総理が責任回避を優先し、自らの無誤謬を主張しつつ内輪の理屈で行動する官僚組織の弊害を見抜き、それを正して国民生活を改善させる責務を果たしことです。

今後、菅政権誕生となれば、安倍政権の経済政策を継承するでしょうが、妥当な政策対応が何であるのかを、安倍政権を支えてきた菅氏は深く理解しているでしょう。

これまで2%インフレ目標は実現しておらず道半ばですが、このことは、コロナ禍前においても、日本の労働市場には一段の改善余地が依然あったことを意味します。

2020年のコロナ対応のために金融財政政策の役割が一段と高まっていますが、これを徹底的に使えば、安倍政権同様に次期政権が国民の支持を得る可能性は格段に高まるでしょう。そして、安倍政権が実行しなかった緊縮財政政策の転換という、有用な政策手段が次期政権に残っていることは明白です。

菅官房長官(左)とポンペオ国務長官


安倍氏が、金融政策をセオリー通りに実行できるようにし、菅氏が次の段階で、財政政策をセオリー通りにできるようにすれば、日本は安泰です。日本経済は最近安定傾向ですが、それにしても未だに韓国よりも経済成長率が低いとか、一人あたりのGDPが韓国並というような、ありえない状況(2019年、韓国は2%成長、日本は1%以下になる見込み)を改善できると思います。

この緊縮財政の転換を実現すれば、菅政権は長期政権になるでしょう。ただし、菅氏の年齢は71歳であり、安倍総理の年齢は65歳ということもあり、安倍政権のような長期政権にはならないでしょうが、それにしても一期で終わりということではなく、それ以上の長期になる可能性が大です。

もし、菅政権が緊縮財政の転換に失敗し、さらに増税するなどのことをしてしまえば、短期の繋政権になる可能性が大きくなり、その後も緊縮財政の転換がなされなければ、自民党政権であろうと、他の政権であろと、短期政権になるのは確実です。

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2020年8月5日水曜日

河野防衛相“ムッ”「なぜ中韓の了解がいるのか?」 ミサイル防衛で東京新聞記者の質問に不快感 「記者の質問に絶句」の声も— 【私の論評】経済に対する理解も安全保障には不可欠、それを考えると河野防衛大臣をはじめ全ポスト安倍は失格!(◎_◎;)

河野防衛相“ムッ”「なぜ中韓の了解がいるのか?」 ミサイル防衛で東京新聞記者の質問に不快感 「記者の質問に絶句」の声

さすがに怒った河野防衛相

     河野太郎防衛相が4日の記者会見で、気色ばむ一幕があった。ミサイル防衛に関する自民党提言について、東京新聞の記者から「中国や韓国の理解を得られる状況ではないのでは?」と質問され、「中国がミサイルを増強しているときに、なぜその了解がいるのか」と語気を強めたのだ。

 自民党は、中国や北朝鮮の軍事的脅威の増大を踏まえ、「専守防衛の考え方の下」で「ミサイル阻止能力」の保有を検討するよう求める提言をまとめた。

 冒頭の会見で、東京新聞の記者は「安全保障の見直しでは周辺国からの理解が重要だが、現状は理解を得られる状況ではない。防衛政策の責任者として今後、理解を得られるのに必要なこととは何か?」と質問した。

 河野氏が「周辺国とは、どこのことですか?」と聞くと、東京新聞の記者は「主に中国や韓国」と答えた。

 これを受け、河野氏は「主に中国がミサイルを増強しているときに、なぜ、その了解がいるのか」と言い切った。

 一瞬沈黙が流れたが、記者は「では、韓国に関しては?」と続けた。

 河野氏は「何で韓国の了解が必要なのか。わが国の領土を防衛するのに」と答え、着用していたマスクを外し、不快な表情をみせた。

 この動画が流れると、ネット上では「記者の質問に絶句」「中国の軍拡を、日本がいつ理解を示したのか」「自宅の鍵をかけるのに、泥棒に同意を得るのか」「内なる敵が正体を現した」などといった意見が続出した。

 夕刊フジは4日午後、東京新聞に対し、「日本の防衛を考えるのに周辺国の理解が必要とは、記者の見解か? 東京新聞の見解か?」という趣旨の質問状を送った。

 東京新聞編集局からは同日夕、「従来から個々の取材についてはお答えしていません」との回答があった。

 一連のやりとりを、どう見るか。

 東京新聞OBである、ジャーナリストの長谷川幸洋氏は「河野氏の発言こそ正論だ。中国は急速にミサイル開発・配備を進め、日本に脅威を与えている。日本の抑止力を強化するのに、中国の了解を得る必要はない。同様に韓国の了解もいらない。東京新聞などの左派メディアは、中国も韓国も『話せば分かる相手』だと思い込んでいるようだ。記者もそのロジックで質問したのだろうが、間が抜けている。河野氏はカチンときて真正面からガツンとやったのだろう。世界が話が分かる国や人ばかりなら、この世にある、さまざまな対立なんて起きはしない。左派メディアは現実を知るべきだ」と語った。
【私の論評】経済に対する理解も安全保障には不可欠、それを考えると河野防衛大臣をはじめ全ポスト安倍は失格!(◎_◎;)

河野防衛大臣は、何も突拍子もない事を言っているわけではなく、むしろ当たり前の事を言っただけです。

自国の領土防衛能力について、安保条約を結び日本国内に基地を置いている米国ならまだしも、領海侵入を繰り返す中国や、敵か味方かわからない韓国に「こんな防衛力持ってもいいでしょうか」とお伺いを立てるバカはいません。

「中国や韓国の理解が重要ではないか」というのはおそらく日本だけでしか聞かれないタイプの質問です。他の国でこんな質問したら、された方はたぶん意味がわからないでしょう。「どうして敵に聞くんですか」ということになるだけです。

ただ残念ながら日本ではこういう質問が普通に出て、政治家もそれにゆるーく答えてきたというのがメディアにおける当たり前の風景でした。だから毅然と答える政治家は「変人」と揶揄されたり、「保守強硬派」などと批判されたりしたのです。

もしかしたら日本人は他国が攻めてくるなんて考えていないのではないかという疑念を抱いたことがあるのですが、なるほどという記事を見つけました。朝日新聞のインタビューに対し岩屋毅前防衛相が以下のように答えていたのです。

岩屋毅前防衛相

記者が北朝鮮によるミサイルの飽和攻撃に言及したのに対し、岩屋氏は「そういう映画か漫画のような話をすべきでない。日米同盟に本気で挑戦するのは自殺行為だ。蓋然性は極めて低い」と答えているのだ。北の攻撃はマンガ?これが河野氏の前に防衛相だった人の認識なのです。

私は、以前町内会で「北朝鮮のミサイルの危機」について話をした時に、あるご老人から「そんなことまで心配しなければならないのか」などと反応があったのですが、岩屋氏の発言はこのご老人とレベル的に同次元です。

政治家も記者も冷戦の「平和な時代」の癖が抜けていないのでしょうが、現代の国際情勢は全くそうではないし、かなり多くの日本国民もそのことに気づいています。

河野氏は自民党総裁選への立候補に意欲を示しているが「まだ早い」との声も根強いです。確かに政治家としてもう少し幅広く経験を積んだ方がいいかもしれないですが、「平和ボケ」していない事は次の日本のリーダーとしてとても重要な資質です。

ただし、残念なこともあります。それは河野氏の経済対策観です。これは、高野氏のブログなどのサイトにも、その主張が見られますが、はっきりいわせていただくと、経済に関する理解が今一としか言えないです。そもそも、ガチガチの緊縮派です。

特に河野氏の、国債論は、酷いの一言に尽きます。進次郎氏も河野氏も、彼らのお父さん世代の財政再建主義、構造改革主義から何も進歩していません。世代を超えて財務省の洗脳が続いています。

小泉環境大臣

河野氏は、せっかく良い資質を持っているのですが、経済に関しては、どう考えてもマイナスです。実際、総理大臣になったとしたら、まともな経済政策はできないでしょう。

特に、このブログで最近よく取り上げた、財務省抜きの、政府と日銀の連合軍に関して、これが実際何を意味しているのが、どうしてそうしなければならないのか、などということに関しては、河野氏は全く疎いと思います。小泉氏とともに、国債は将来世代へのつけなどと、いいかねません。いや、言うでしょう。

私としては、このブログにも掲載したように、コロナ対策のために、政府と日銀の連合軍が出来上がったのですから、この連合軍は、これからも何か未曾有の出来事が発生して、経済が落ち込むたびに連合を組み、日本経済の低迷を救うのに役立てるべきと思っています。

政府と日銀の“対コロナ連合軍”は、政府が国債を発行し、日銀がそれを全部買い取り、政府がコロナ対策のための資金を得るという方式のことです。

5月22日の黒田東彦(はるひこ)日銀総裁と麻生財務大臣の共同談話により、合意されたものです。

       5月12日、麻生太郎財務相の記者会見で、マスコミと財務省を、
       財政崩壊をいたずらに煽る「狼少年」だと揶揄
これは、何のためかといえば、経済が落ち込んだときに、政府と日銀による、積極財政と、金融緩和を同時に実行するということです。ざっくりというと、積極財政だけを大々的に実行すると円が逼迫し、デフレ・円高傾向になり、経済に悪影響を及ぼすので、無制限の金融緩和も同時に実行すべきということです。

日本では、この両方を同時に実行するという欧米では定番となっている考え方が、ほとんど受け入れらていません。ここでは、詳細は説明しませんが、国債を大量に発行したとしても、日銀が買い取れば、何の支障もありません。ましてや、将来世代につけになどなりません。唯一の危惧は、インフレですが、現状の日本はデフレからすっかり抜けきっていないので、インフレの心配もありません。

自民党の議員でも、この両方をすべきとする人は、少なく、経済政策というと、積極財政か、金融緩和をいずれかをすると考える人がほとんどです。河野氏の頭にもこのようなことは組み込まれていないようです。

かなり経済が落ち込んだり、落ち込むことが予想される時の、経済対策の基本はこれです。無論実務的には、どのくらい、どの期間、どの方法を実行するかということでは様々な方法や組み合わせがありますが、方向性としては、これ以外にありません。

これ以外を実行すれば、失敗するだけです。実際、平成年間のほとんどの期間は失敗して、日本はデフレ状態でした。いい加減、このことに多くの国会議員が気付くべきと思うのですが、財務省の縛りが激しく、そうはなりません。

経済が落ち込み続ければ、防衛費も削減せざるを得なくなるわけですから、経済に対する理解も安全保障には不可欠です。それを考えると、河野防衛大臣は、残念ながら失格といわざるを得ないです。

ただし、それは、自民党の他の議員もほぼ右に倣えで、河野防衛大臣だけがそうというわけではありません。

私としては、安倍総理がさらに4期目も総理大臣を務めつつ、若手を育てていくか、それが叶わないなら、メンターとして、ポスト安倍を育てられる、環境とシスステムを整えるべき思います。

それが、ここ20年最も経済的にも、安全保障的にも、外交的にも、最もパフォーマンスの良かった、安倍総理ならではの、最後の最大のつとめだと思います。

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2019年7月30日火曜日

日・ロ・中・朝から袋叩きの韓国 米韓同盟の終焉を周辺国は見透かした―【私の論評】周辺国の本音も理解せず、舞い上がったピエロのような文在虎はこれからも叩き続けられる(゚д゚)!

日・ロ・中・朝から袋叩きの韓国 米韓同盟の終焉を周辺国は見透かした

「周辺大国から袋叩きにされている」と悲鳴をあげる韓国人。だが、米国側に戻るフシはない。韓国観察者の鈴置高史氏が対話形式で米韓同盟消滅への道筋を読む。
悲鳴を上げる保守系紙
鈴置: 韓国人が泣き叫んでいます。保守系紙、朝鮮日報の7月26日の社説の見出しが「今度は北ミサイル、袋叩きにされる韓国の安保」(韓国語版)です。

 7月1日以降、韓国は日本、ロシア、中国、北朝鮮と、すべての周辺国から圧迫されています。時系列表「袋叩きの韓国」をご覧下さい。

 日本は韓国向けの半導体素材の3品目に関し、輸出管理を強化しました。7月1日発表、4日実施です。8月には韓国を「ホワイト国」から外し、軍需品に転用可能な物質全般の輸出管理を強化する見込みです(「日本の輸出規制、韓国では『単なる報復ではなく、韓国潰し』と戦々恐々」参照)。

 7月23日にはロシアと中国が韓国周辺の上空で合同演習を実施、韓国の防空識別圏に無断で侵入しました。ロシア軍機は韓国が実効支配する竹島(韓国名・独島)上空も侵犯しました。

 翌24日には中国が国防白書を発表。米軍が韓国に配備したTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)に関し「アジア太平洋地域の戦略的均衡と安全保障の利益をひどく傷つけた」と撤去を要求しました。

 さらに、その翌日の25日には、北朝鮮が短距離弾道ミサイル2発を試射。元山(ウォンサン)から日本海側に向けて発射し、1発は690キロ、もう1発は430キロ飛びました。

 朝鮮日報が見出しを「今度は……」としたのも分かります。韓国人からすれば、日・ロ・中から圧力を受けているところに「北朝鮮までが加わった」感じなのです。
「初めて」の圧迫、4連発
――周囲が皆、敵ですね。
鈴置: 注目すべきは、どの国の圧迫も過去にはなかった強いものであることです。これが韓国人の「袋叩き感」を高めています。
 日本の輸出管理。まさか日本が自分の経済的な弱点を突いてくるとは韓国人は夢にも思っていなかった。文在寅(ムン・ジェイン)政権も、経済界もメディアも国民も、予想外の出来事に狼狽するばかりです。
 中ロの軍用機が歩調を合わせて韓国の周辺を飛行して威嚇する、というのも初めてのことです。「独島の上空侵犯も初めて」と韓国紙は書いています。
 中国が国防白書で「在韓米軍のTHAADを撤去せよ」と要求するのも初めてです。2017年3月、朴槿恵(パク・クネ)政権末期に米国はTHAADを配備しました。
 自らの弾道ミサイルの威力が落ちることを懸念する中ロは、強く反対していました。ことに中国は強硬で、自国民の韓国観光を制限したうえ、在中韓国企業に嫌がらせしました。ロッテ・グループは中国全土で展開していた量販店網を売却・撤退しました。

 THAAD問題は一段落したかに見えていました。それが初めて中国の「国防白書」に登場。韓国は今、「次は何をされるのか」と首をすくめているのです。

北朝鮮の弾道ミサイルも「初めて」?(「我が民族同士」ホームベージより)
岩国基地も射程に

――北朝鮮の弾道ミサイル試射も「初めて」ですか?

鈴置: ある意味では「初めて」なのです。このミサイルは高空に打ち上げられた後に急速に落下、低空を飛行して標的を狙う新型です。

 ロシア製の「イスカンデル」か、そのコピーと専門家は見ています。韓国軍の保有するミサイルはもちろん、米軍のTHAADでも撃ち落とせないとされます。

 韓国人は北朝鮮の核弾道ミサイルの前で「初めて」丸裸になったのです。射程が690キロもありますから、それは日本にとっても同じことなのですが。軍事境界線のすぐ北から撃てば、山口県岩国の米軍基地まで届きます。

――北朝鮮が「岩国まで射程に入れた」と言っているのですか?

鈴置: そんな米国を刺激するようなことは、北朝鮮は絶対に言いません。米韓を明確に分け、あくまで韓国だけを脅しています。

 試射の翌日の7月26日、朝鮮中央通信はミサイル発射に関し「南朝鮮(韓国)に先端攻撃型兵器を持ち込み、軍事演習を強行しようと熱を上げる軍部勢力に警告を送る武力示威の一環だ」と報じました。
見逃す米国

――米国もこの試射を問題視しませんでした。

鈴置: その通りです。それどころかトランプ(Donald Trump)大統領は韓国人にとって聞き捨てならないことも語ったのです。

 まず、「あれは短距離ミサイルだ。多くの国が持っているではないか」と、問題にしない姿勢を打ち出しました。

 それに対し「米国にとっては短距離ミサイルに過ぎないかもしれないが、同盟国である日本や韓国にとってはそうではない」と質問が出ました。

 すると、トランプ大統領は以下のように語ったのです。ホワイトハウスのサイトから引用します。なお、「彼」とは金正恩(キム・ジョンウン)委員長、「彼ら」とは南北朝鮮を指します。

・He didn’t say a warning to the United States. But they have their disputes. The two of them have their disputes. They’ve had them for a long time.

「彼は米国に対する警告とは言わなかった。あれは彼らの紛争なのだ。彼らはずうっとそうやってきたのさ」と、ミサイルの試射は韓国の問題であって米国の問題ではないと言い切ったのです。

 北朝鮮は国連制裁によって経済の困窮が進んでいます。米国は金正恩政権の立場が弱まって核を放棄するのを待つ作戦です。だから米国を交渉に誘い出そうと北朝鮮がミサイルを撃っても、敢えて無視しているのです。

 もちろん、大統領がそうとは露骨には言えないので「米国向け警告ではない」と誤魔化したのですが、そこで思わず「朝鮮民族の内輪もめ」と本音をしゃべってしまった。同盟国であるはずの米韓の間に一線を引いてしまったのです。
演習名から消える「同盟」

――「南北朝鮮は勝手に争え」ということですね。

鈴置: それがトランプ大統領の、多くの米国人の本音でしょう。韓国は米国に守ってもらいながら、中国包囲網――インド太平洋戦略に加わろうとしない。それどころか米国を裏切り、中国と手を組もうとしている(「日本に追い詰められた韓国 米国に泣きつくも『中国と手を切れ』と一喝」参照)。

 韓国の裏切りに、米国の外交関係者は怒り心頭に発している。そしてついに、米韓の間の亀裂を見透かして周辺国が一斉に動いたのです。それが7月に起きた「韓国袋叩き」の本質です。

 日本だって、米国が仲裁に乗り出すと読んだら、韓国に対する輸出管理の強化には乗り出さなかった可能性が高い。

 中ロが共同軍事演習で韓国を脅しあげたのも、米国が反応しないとの確信があったからでしょう。米韓は2019年8月の演習を最後に、合同軍事演習を取り止めると見る専門家もいます。

 この演習も当初は「19-2同盟」との名称で呼んでいましたが、「同盟」を削除する方向です。北朝鮮に忖度した文在寅政権が言い出しました。米韓同盟はまず、「名」から消えて行くわけです。

 中国の国防白書も米韓の亀裂に付けこみました。中国も今、脅せば韓国が、在韓米軍のTHAADを追い出すと踏んだのです。

 2017年10月、文在寅政権は中国の脅しに屈して「THAADを追加配備しない」との条項を含む「3NO」を中国に約束しています(『米韓同盟消滅』第1章「離婚する米韓」参照)。

 当時以上に米韓関係は悪化していますから、中国が「ここでもうひと押しすれば、THAAD撤収を実現できる」と期待するのも当然です。

 北朝鮮が短距離弾道ミサイルを堂々と発射するのも、米韓の亀裂のおかげです。米国からやり返されないうえ、孤立感を深める韓国をよりコントロールできるようになります。韓国が8月以降の合同演習に、さらに消極的になるのは間違いありません。
自ら引いたアチソン・ライン

――「米国との亀裂が袋叩きを呼んだ」との自覚はあるのですか。
鈴置: 尹徳敏(ユン・ドクミン)韓国外国語大学碩座教授が朝鮮日報に「我々自らが招いたアチソン・ライン」(7月29日、韓国語版)を寄稿しました。

 「アチソン・ライン」とは1950年1月に、アチソン(Dean Acheson)国務長官が講演で語った米国の防衛ラインのことです。「アリューシャン列島―日本―フィリピン」と設定し、韓国を外しました。

 当時、米国は韓国と同盟を結んでいなかったのです。この「亀裂」を見透かした北朝鮮が同年6月に韓国に侵攻し、朝鮮戦争が始まりました。尹徳敏教授の主張を要約します。

・なぜ突然、大韓民国は周辺大国の袋叩きにあったのか。我々自らが「第2のアチソン・ライン」を引いたからだ。
・バランス外交との名目で韓米同盟の比重を減らし、韓中関係を重視した。「中国の夢」や「一帯一路」を通じ、中国とは運命共同体となった。一方、インド太平洋戦略には冷淡であった。
・韓米同盟が確かなものだったら、日本が安全保障を口実に経済で報復したり、中ロの戦略爆撃機が我が領土を侵すこともなかった。

 韓国人は米韓同盟が累卵の危うきにあるのに、それを認めようとはしなかった。見たくないものは見ない、という心情からです。でも、これだけ「袋叩き」にあった以上、無視するわけにはいかなくなったのです。
ほくそ笑む文在寅政権

――韓国はどうするのでしょう?
文在寅政権は「しめしめ」といったところでしょう。この政権の中枢部は「米韓同盟が諸悪の根源である」と信じる人で固められています(『米韓同盟消滅』第1章「離婚する米韓」参照)。

 彼らにとって、米韓同盟が消滅するのは願ってもないことです。ただ、自分から「同盟破棄」を言い出せば保守も普通の人も大反対します。「困った時にも助けてくれない米国」を国民に知らしめ、米韓同盟をあきらめさせるのが一番いいのです。

――保守派はどうする?
鈴置: もちろん、政権批判に乗り出しました。朝鮮日報は連日「同盟の消滅」「安保の危機」を訴えています。7月29日以前の社説の見出し(韓国語版)をさかのぼって並べます。なお、7月28日は日曜日で休刊日です。

・「同盟国たる米国まで信じられなくなったという現実」(7月29日)

・「金が『対南警告』と言うのに文は沈黙し、軍は『問題なし』とは」(7月27日)

・「今度は北ミサイル、袋叩きにされる韓国の安保」(7月26日)

・「中ロの主権侵害になぜ、一言も言えないのか」(7月25日)

・「我々の空を侵す中ロ、その隙を突き独島に仕掛ける日本」(7月24日)

・「いまや韓米訓練の時に『同盟』を使えないと言うのか」(7月23日)
にじみ出る属国意識
――連日の悲鳴ですね。ついに保守派は同盟堅持に動き出した……。

鈴置: ところが、そうはならないのです。保守は安保の危機を訴え、米韓同盟を破壊する文在寅政権を厳しく批判します。

 でも、インド太平洋戦略に加わって、米国と共に中国を包囲しよう、とは誰も言わないのです。同盟強化には腰が引けているのです。朝鮮日報の一連の社説は皆、そうです。

 尹徳敏教授も「インド太平洋戦略に加わらないことが同盟破綻の原因」とは分析しますが、「加わろう」とまでは主張しないのです。

 韓国人にとって長い間、宗主国であった中国に逆らうのは、とてつもなく「恐ろしいこと」です。韓国人の中国に対する恐怖感は日本人の想像を超えます。

 米国人もようやく、それを理解し始めました。『米韓同盟消滅』を読んだ米国人から質問が集中するのも「韓国人の心情」部分です。アジアの専門家とはいえ、冊封体制下の朝貢国の民の心情にまではなかなか思いが及ばなかったのでしょう。

 興味深いのは、比較的に韓国人の心持ちを理解する米国人の多くが、東欧からの移民か、その子孫であることです。旧ソ連の衛星国支配から中国の冊封体制を類推するためと思われます。
ポンペオも漏らした本心

――中国の朝貢国に戻っていく韓国を、米国はどう扱うのでしょうか。

鈴置: 引き戻そうとはしないと思います。それどころか、これだけ「袋叩き」になっても米国側に戻ろうとしない韓国、それも保守派まで含めて――を見て「やはり中国側の国なのだな」と確信することでしょう。

 そもそも、トランプ政権は「米韓同盟の廃棄」を「北朝鮮の非核化」との取引に使う方針です(『米韓同盟消滅』第1章「離婚する米韓」参照)。

 どうせ長持ちしない同盟なら、それを交換条件に北朝鮮に核放棄を迫ろう――との発想です。公言すれば「カード」としての価値が落ちますから、大声では言いませんが。でも時々、その本音を見せてしまうのです。

 7月22日、ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官がインタビューに答え「核を放棄したら、北朝鮮に安心を与える一連の安全保障上の措置を講じる用意がある」と語りました。

「これは(シンガポールでの首脳会談で)金正恩委員長とトランプ大統領が大筋で合意していることだ」とも述べました。米朝首脳会談を開くために歩み寄りを呼びかけたのです。国務省のサイトで読めます。

・President Trump’s been very clear: We’re prepared to provide a set of security arrangements that gives them comfort that if they disband their nuclear program, that the United States won’t attack them in the absence of that;
・That’s the outlines of the agreement that Chairman Kim and President Trump have made.
「反日」で現実逃避
――「北朝鮮に安心を与える安全保障上の措置」がミソですね。
鈴置: まさに、そこです。攻撃しないと口でいくら約束しても、北朝鮮は信じません。究極的には、米国が朝鮮半島から離れてこそ――北朝鮮のライバルである韓国との同盟を打ち切ってこそ、安心できるのです。

 2018年6月のシンガポールでの米朝首脳会談で、米国は非核化と引き換えに「安全の保障」を約束しています。これは煎じつめれば「米韓同盟の廃棄」を意味するわけです。

 ポンペオ長官は非核化に動かない北朝鮮にしびれをきらし、ついに、この約束の履行を言い始めたのです。

――それを韓国はどう報じていますか?

鈴置: 私が見た限り、韓国メデイアはこの微妙な文言をほとんど報じていません。「見たくないものは見ない」のでしょう。

 もっとも有効な「見ない」手口は、反日で陶酔することです。袋叩きにあい、米国からは見捨てられる。そんな絶望的な現実を忘れるには「日本と戦おう」「安倍をやっつけろ」と叫ぶのが手っとり早い。韓国の国を挙げての反日はますます激しくなることでしょう。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集
【私の論評】周辺国の本音も理解せず、舞い上がったピエロのような文在虎はこれからも叩き続けられる(゚д゚)!
冒頭の記事では、韓国が日・ロ・中・朝から袋叩きになっている様を詳細に掲載しています、これに関しては現時点では上の記事が一番詳しいかもしれません。しかし、なぜ袋叩きにあっているのか、その根底にはどのような背景があるのかについてはほとんど記載されていません。
これについては、以前このブログに掲載したことがあります。結論からいうと、日米・ロ・中・朝は、朝鮮戦争後の状況を変えることなど望んでおらず、現状維持(status quo)を望んでいるにもかかわらず、文在虎だけがそうではないということです。 その記事のリンクを以下に掲載します。
北朝鮮『4・15ミサイル発射』に現実味!? 「絶対に許さない」米は警告も…強行なら“戦争”リスク―【私の論評】北がミサイル発射実験を開始すれば、米・中・露に圧力をかけられ制裁がますます厳しくなるだけ(゚д゚)!
 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、現状の朝鮮半島の状況がまさしく現状維持(Status quo)であることを述べた部分を以下に引用します。
北朝鮮の望みは、体制維持です。金正恩とその取り巻きの独裁体制の維持、労働党幹部が贅沢できる程度の最小限度の経済力、対外的に主体性を主張できるだけの軍事力。米国に届く核ミサイルの開発により、大統領のトランプを交渉の席に引きずり出しました。間違っても、戦争など望んでいません。 
この立場は、北朝鮮の後ろ盾の中国やロシアも同じです。習近平やウラジーミル・プーチンは生意気なこと極まりない金一族など、どうでも良いのです。ただし、朝鮮半島を敵対勢力(つまり米国)に渡すことは容認できないのです。

だから、後ろ盾になっているのです。結束して米国の半島への介入を阻止し、軍事的、経済的、外交的、その他あらゆる手段を用いて北朝鮮の体制維持を支えるのです。 
ただし、絶頂期を過ぎたとはいえ、米国の国力は世界最大です。ちなみに、ロシアの軍事力は現在でも侮れないですが、その経済力は、GDPでみると東京都を若干下回る程度です。

ロシアも中国も現状打破の時期とは思っていません。たとえば、在韓米軍がいる間、南進など考えるはずはないです。長期的にはともかく、こと半島問題に関しては、現状維持を望んでいるのです。少なくとも、今この瞬間はそうなのです。 
では、米国のほうはどうでしょうか。韓国の文在寅政権は、すべてが信用できないです。ならば、どこを基地にして北朝鮮を攻撃するのでしょうか。さらに、北の背後には中露両国が控えています。そんな状況で朝鮮戦争の再開など考えられないです。
米国の立場を掲載した部分を以下に引用します。
米国・中・露とも現状維持を望んでいるのです。韓国は中国に従属しようとしてるのですが、韓国は中国と直接国境を接しておらず、北朝鮮をはさんで接しています。そうして、北朝鮮は中国の干渉を嫌っています。そのため、韓国は米国にとってあてにはならないのですが、かといって完璧に中国に従属しているわけでもなく、その意味では韓国自体が安全保障上の空き地のような状態になっています。 
この状況は米国にとって決して悪い状態ではないです。この状況が長く続いても、米国が失うものは何もありません。最悪の自体は、中国が朝鮮半島全体を自らの覇権の及ぶ地域にすることです。これは、米国にとっても我が国にとっても最悪です。
 このような最中に、韓国だけが南北統一など、現状を変更する動きをみせたため、米国はおろか、中国・露も韓国に対して良い顔はできないわけです。日本も当然そうです。
日本が一番望むのは、拉致被害者問題の解決であり、米国のトランプ大統領はこれに関して、関心を示し、北朝鮮側にも打診をしました。
ところが、韓国にも北による拉致被害者も大勢いるはずなのに、それには無関心で拉致問題など脇に追いやり、南北統一に熱心な文在虎は、日本にとっては邪魔な存在以外の何者でもありません。
北朝鮮の金正恩も現状維持を旨としています。文在寅に良い顔をしていたのは、単に制裁のがれをするためです。そのために、文を利用しただけです。
にもかかわらず、文在虎は、その腹も読めず、自分は世界平和に貢献し、世界からも自国民からも歓呼の声で迎えられ、そうしていずれノーベル平和賞を受賞されるかもしれないなどと妄想して有頂天になって、勝手に自分で舞い上がってしまっただけです。
これでは、周りの国々や米国にとって、文在虎は厄介なピエロにすぎません。
日本でも報道された南北首脳ノーベル平和賞受賞の妄想

厳しい制裁を逃れたい、金正恩も制裁解除に熱心だった文在虎には最初は期待し、これ迎合するようにみせかけ様々なパフォーマンスを実演しましたが、中国に従属することをやめようともせず、さらに朝鮮半島の現状維持を破壊しようとする文在虎にはほとほと愛想が尽きたのでしょう。
それどころか、自分も日本、米中露などから、文在虎とともに朝鮮半島の現状維持を破壊しようと試みる者と判断されては、たまったものではないと思い始めたのでしょう。だからこそ、最近では韓国に対して厳しい措置をとるようになったのです。
金正恩は、文在虎のようにに中国に従属しようとする気持ちなど全くありません。中国の干渉を極度に嫌っています。たとえば中国と近かったとされる、張成沢氏の粛清、実の兄の金正男氏の暗殺はその現れとみられます。北の核は実は、中露にとっても脅威なのです。

北朝鮮と北朝鮮の核・ミサイルは結果として、中国の朝鮮半島への浸透を防ぐ役割も果たしています。この状況はたとえ米韓同盟が破棄されたとしても変わらないでしょう。

なお、上の記事にもあるように、7月23日、中国とロシアの空軍は日本海と東シナ海上空で初の合同パトロールを実施、核兵器搭載可能な長距離爆撃機4機(中国のH6K2機とロシアのTU95MS2機)も参加しました。ロシア国防省は「世界の安定強化」が目的だったと説明しましたが、これも、朝鮮半島後の秩序を崩そうとする韓国に対する牽制の一つとみるべきでしょう。

周辺国の本音を理解せず、南北統一と、中途半端な中国への従属をやめない、文在虎はこれからも叩かれ続けることでしょう。
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2019年7月2日火曜日

米国を怒らせてただで済むか。中国にすり寄る日本にトランプ激怒―【私の論評】米保守派の歴史観を多くの日本人は理解していない(゚д゚)!


トランプ氏の発言は選挙目当てのディールと見て良いのか?

G20直前の6月27日、「日米安保条約における同盟関係が片務的」だと日本に対して露骨に不満を表明したトランプ大統領。なぜこのタイミングだったのでしょうか。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは、自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、最近のタンカー砲撃事件や、日本の対中政策に対して「米国が抱くであろう不満」を解説するとともに、日本が70年前と同じ過ちを起こさぬよう警鐘を鳴らしています。

G20、トランプは、なんで怒ってるの???

G20で、世界のリーダーたちが、日本に集結していますね。いろいろありますが、もっとも気になるのは、トランプさんの言動でしょう。
トランプ氏「米国が攻撃されても日本は助ける必要はない」安保条約に不満
毎日新聞 6/27(木)0:44配信
トランプ米大統領は26日、米FOXテレビの電話インタビューで、日米安全保障条約について「もし日本が攻撃されたら、米国は第三次世界大戦を戦う。あらゆる犠牲を払って戦う。しかし、米国が攻撃されても日本は助ける必要はない。ソニーのテレビで、攻撃されているのを見ていられる」と述べ、防衛義務の片務性に関し不満を述べた。
これ、選挙戦中はよくいっていましたが、大統領になってからはいわなくなっていた。G20前にいいだしたのは、偶然とは思えません。日本に来てからも。
トランプ大統領来日「日豪の面倒みてきた」同盟が片務的と強調
毎日新聞 6/27(木)22:20配信
トランプ米大統領は27日、主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に出席するため大統領専用機で大阪の伊丹空港に到着した。市内のホテルでモリソン豪首相と会談し、3日間の滞在日程をスタートさせた。会談冒頭、日本や豪州との関係について「とてもよく面倒をみてきた」と発言。「巨額の貿易赤字を抱え、軍事面でも助けている」と述べ、貿易、安全保障両面で同盟国との関係が片務的との主張を繰り返した。
なんだか「不機嫌」ですね。思い出されるのは、トランプさん、5月に来日した時は「幸せそうだった」ということ。5月末時点で、安倍―トランプ、日米関係は大変良好だった。

しかし、トランプさんは今、日米関係にいろいろ文句をいっている。ということは、1か月間の日本、あるいは安倍さんの行動に不満だということでしょう。何が?

日本は、「タンカー攻撃イラン犯行説」を疑う

この1か月で、もっとも目立ったできごとは、安倍さんがイランにいったことでしょう(6月12~14日)。アメリカとイランの仲を好転させようとした。しかし、うまくいきませんでした。このことは、問題ないでしょう。正直、「安倍総理の仲介で、アメリカとイランの仲は劇的に改善される」と思っていた人はいません。

問題は、訪問中におきた「タンカー攻撃」です(6月12日)。トランプさんは、即座に「イランがやった!」と断定しました。アメリカは、証拠らしきものも出した。
タンカー攻撃、「機雷除去するイラン軍」の映像 米が公開
6/15(土)6:04配信
【AFP=時事】中東のオマーン湾(Gulf of Oman)でタンカー2隻が攻撃を受けた問題で、米政府は、イラン革命防衛隊(IRGC)がうち1隻の攻撃に関与したことを示すとする低画質の映像を公開した。米中央軍(US Central Command)のウェブサイトで13日に公開された映像は、イラン巡視船の乗組員が不発の吸着型機雷を船腹から除去する様子を捉えたものとされる。船体についているマークは、攻撃を受けた日本のタンカー「コクカ・カレイジャス(Kokuka Courageous)」を撮影した過去の映像や写真と一致しているように見える。
しかし、「イラン説」を支持したのは、イギリス、イスラエル、サウジなどわずか。ほとんどの国は、「ほんとにイランがやったんですか~~~」という反応だった。さて、わが国はどのような反応だったのでしょうか?
タンカー攻撃、米に証拠提示要求 政府、「イラン関与」同調せず
共同 6/16(日)6:00配信
政府がホルムズ海峡付近で起きたタンカー攻撃を巡り、イランが関与したとする米国の説明に同調せず、裏付けとなる証拠を示すよう米側に求めていることが分かった。米側主張は説得力に欠いているとの受け止めが背景にある。
なんと日本政府は、アメリカの主張を信じなかった。それで、「証拠だせ!」と要求した。「安倍はトランプのポチ論者」に「どこがポチだ!?」と質問してみたいものです。

私は、この対応、正しかったと思います。アメリカは、イラク戦争時も、2013年8月のシリア攻撃の時も大きなウソをつきました。だから、ごく一部以外の国は、日本と同じ対応です。

しかし、それはそれとして、トランプさんは、おもしろくなかったでしょう。「イギリス、イスラエル、サウジのように支持してほしかった」ことでしょう。そのせいか、後でトランプさんは、「タンカーは自分で守れ」と発言しました。

日本は、アメリカの敵に接近する

こちらは、イラン問題よりもっと深刻。アメリカは2018年、中国と「覇権戦争」を開始しました。これは、ただの「貿易戦争」ではありません。「世界の覇権」をかけた戦争です。

もちろん「戦争」といっても、「戦闘」ではありません。情報戦、外交戦、経済戦。それでも、米ソ冷戦と同じように、「世界の覇権をかけた戦争」であること、間違いありません。

ところで日中関係は、2010年の尖閣中国漁船衝突事件、2012年の尖閣国有化以降、ず~~~と悪かった。しかし、2018年に米中覇権戦争が起こったら、とたんによくなった。これ、わかりますね。アメリカにたたかれた中国が、日本にすり寄ってきたのです。

日本は、この動きを大歓迎した。わかります。中国は、「日本には、尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない!」と宣言している。日中関係がよくなれば、中国が尖閣、沖縄を侵略する可能性は減るでしょう。

しかし、アメリカから見るとどうでしょうか?「日本は、アメリカと中国を戦わせて、漁夫の利をえようとしているのではないか??」と疑念をもちます。日本としては、「ただすべての国と仲良くしたいだけ」かもしれない。しかし、アメリカから見ると「安倍は、狡猾な野郎だ!」とうつるに違いない。
安倍氏「日中、完全に正常軌道」 習氏「来春訪日いい考え」 日中首脳会談
6/27(木)21:38配信
安倍晋三首相は27日夜、主要20カ国・地域(G20)首脳会議のために来日した中国の習近平国家主席と大阪市内のホテルで会談した。中国の国家主席の来日は、2010年11月の胡錦濤氏以来9年ぶり。首相は「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」とし、「来年の桜の咲く頃、習主席を国賓として日本に迎えたい」と表明。習氏は「来春の訪問は極めていいアイデアだ。外交部門で具体的な時期について調整してほしい」と応じた。両国は首脳往来を軌道に乗せ、日中関係を発展させる方針だ。
日本の同盟国アメリカは、覇権をかけて中国に戦いをいどんでいる。そんな時アメリカの同盟国は、アメリカの敵中国と、「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」と大喜びしている。アメリカから見れば、これは「深刻な裏切り行為」に見えるでしょう。

日本の問題はなんでしょうか?トランプさんがなぜ不機嫌なのかわからないことです。

日本は「いつか来た道」をいくのか?

現在の世界は、「米中覇権戦争」を中心にまわっています。平時であれば、「善隣友好外交」はよいことでしょう。しかし、戦争がはじまったら、どっちにつくか選ばなければなりません。

中国は、「日本には尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない!」と宣言している。アメリカは、日本の領土を狙っていない。そして、アメリカは日本の同盟国である。だから日本は、はっきりとアメリカの側につくべきなのです。

第2次大戦中、日本は愚かにも負ける側のドイツを同盟国に選んでしまいました。今回は、中国を選び、アメリカを怒らせ、また敗戦国になるのでしょうか?

安倍総理は、ここまで外交を非常にうまくされています。しかし、最後の最後で選択を間違えば、すべて台無し。せめて、「同盟国(米)は、日本の領土を狙う国(中国)より大事」という常識を忘れないでいただきたいです。

【私の論評】米保守派の歴史観を多くの日本人は理解していない(゚д゚)!

昨年は、日本の総理大臣による7年ぶり中国公式訪問がなされました。昨年10月25日からの安倍総理中国訪問を日本の各メディアは「歓迎」という言葉で報じましたが、日本人の多くは、なぜ歓迎できるのかがわからなかったようです。

首脳会談に際し安倍総理を迎えた習近平国家主席の表情が「柔らかかった」のも話題となり、メディアはその理由を躍起になって解説しました。そしてたどりついたのが「『米中貿易戦争』で中国が日本にすり寄ってきた」という理屈でした。

つまり、米国との深刻な対立を抱えた中国が日本の理由価値を見出して寄ってきたというわけです。

安倍総理の訪中いあわせて天安門前で翻る日の丸

これは、現在でも、最も説得力のある解説として市民権を得ているようです。そして同じ文脈で語られるのが、「日本が利用されないように……」という警戒です。ブログ冒頭の記事もまさにこのことを指摘しています。

しかし、この解釈は必要条件の一部は満たしているようですが、十分条件にははるかに及ばないと言わざるを得ないです。

日本人が好む「1+1=2」という公式的な思考ですが、逆算して、日本との関係を改善した中国が、それを理由に対米関係を改善できるかといえば、その可能性はほとんどゼロに近いことを考えれば無理のある理屈です。

そもそも昨年の首脳会談の実現は、中国が「すり寄ってきた」ことで実現したのでしょうか。

首脳会談前後の歓迎ぶりを見る限り、中国が対日関係の改善に前向きであるのは疑いないようではありました。しかしそれは、中国式表現を借りて「氷は解けたのか?」と言われれば、明らかにそうではないです。周辺の氷は確かに解けたのですが、真ん中の氷はまだ解けてはいないからです。

例えば、日本側は当初、安倍総理の訪問を日中平和友好条約40周年に合わせた10月23日を希望し、それに合わせて調整されてきていたのですが、最終的に中国側の都合で25日からに変更されましたた。

いったいどんな重要な用事でそうなったのかといえば、それはなんと同時期に開通した「港珠澳大橋」の式典への習近平氏の出席と広東省視察のためでした。中国が何が何でも日本を取り込もうとするならば、日程は調整できたのではないでしょうか。

昨年10月23日「港珠澳大橋」の式典に参加した習近平
安倍総理との首脳会談に臨んだ習近平国家主席は、広東省の南部戦区の視察から駆け付けたということで、テレビ番組によってはそっちがトップニュースで、2番目に日中首脳会談という扱いのところもありました。


とても死活的、短期的に日本との関係を改善したい国の行いではありません。

このことは首脳会談とそれに絡む行事を詳細に見てゆくと、なお鮮明となります。

例えば、習近平国家主席が首脳会談で述べた言葉ですが、日中の現状を評して「双方の共同の努力の下で、目下の中日関係は正常な軌道に戻りつつあり」と語っています。注目点はあくまで「戻りつつあり」と表現していて、「戻った」とは言っていなかったことです。中国の文面を確認しても同じく「勢頭」という言葉がついていました。

とはいいながら、中国が日本のとの関係を突き放しているのかと言えば、それも違います。

李克強総理は日中平和友好条約40周年招待会でのスピーチで、「正常な軌道に戻ったうえで積極的な発展の勢いを呈している中日関係」と評していたからです。

総理が「(正常な軌道に)戻った」と語っているのに、国家主席が「戻りつつある」としたのは単なるミスではありませんでした。「言葉の国」と表現される中国がそんな雑なことをしたはずはありません。

では、どういうことだったのでしょうか。

考えられることは、経済を担当する国務院総理は「戻った」と言い切ることができても、政治を担当する国家主席(党中央総書記)はまだ現段階で「戻った」とは言い切れなかったということです。

これは国民の目を意識しつつ、手放しで日本との距離を詰めるのには、ほんの少し慎重でなければならないということを意味していたのです。

日本との関係を深めたい動機は、早くから中国に芽生えていたのですが、その歩度は石橋を叩いて渡る如くというわけです。

そもそも日中の接近は、中国が2016年の末にその必要性を認識したからでした。理由は、安定した経済発展を続けるためには、外国と対立を抱えることが大きなマイナスになることを中国自身が実感したからです。


とくに南シナ海問題で袋叩きに遭った直後から全方位的に各国との関係改善に乗り出したころに始まり、日本側は2017年4月のマール・ア・ラーゴの米中首脳会談でトランプ大統領と習近平国家主席の間に良好な関係が築かれたことで対中包囲網という途方もないアイデアに終止符を打ったことに始まり、その後も駐日中国大使館主催の国慶節イベントに総理が出席してラブコールを送るなど、双方の動きは1年以上も前から活発で米中対立の前からのことでした。

つまり米中対立は日中接近の動機の一つの要素として指摘することは間違いではないのだですが、十分な説明とはならないのです。

ところが、おそらく日本では単純化されて「『米中貿易戦争』で中国が日本にすり寄ってきた」という解説だけが残ったようです。

この小さな誤差は、間違いとははっきりとは言えないものだけにやっかいで、最終的には日本人の対中国観を大きく歪めてゆくことになることが心配です。

しかし、「中国が日本に対してすり寄りしていない」証拠として一つはっきりしていることがあります。中国による尖閣付近での示威行動が未だに続いているということです。

沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で2日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認しました。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは17日連続です。

第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告しました。

このようなことがなくならない限り、日本は中国が日本にすり寄ってきているなどとみなすべきではないのです。

「『米中貿易戦争』で中国が日本にすり寄ってきた」等というのは、一部の財界人と、いわゆる親中派・媚中派の政治家のみととらえるべきでしょう。

そうして、このような勢力が日本に存在していることが、トランプ大統領を苛立たせているのです。

米国では、このブロクでも何度か解説したように、メディアのほとんどがリベラル派によって占められています。大手新聞は、すべてリベラルです。ウォールストリート・ジャーナルなどを保守系のメディアとする人もいますが、歴史が古いだけで、やはりリベラルです。

テレビ局も大手は、ほとんどリベラルで、例外的にフォックスだけが、保守です。

そのため、表立って保守派が声を大にしてものを語っても、メディアは取り上げずかき消されることが多いです。しかし、米国の少なくとも人口の半分は保守派です。そうでなければ、トランプ大統領は誕生していなかったはずです。米国には、トランプ大統領の誕生の原動力ともなった、草の根の保守運動が息づいています。

そのリーダー的存在だった、フィリス・シェラーフリー女史(2016年逝去)は、以下のように語っています。
我々がルーズベルト外交の再検証をしているのは日本を見直すためにしているのではない。 
なぜ我々アメリカ人は今、中国共産党の台頭に苦しまなければいけないのか。なぜ我々は北朝鮮の核に悩まなければいけないのか。 
なぜ我々は今、こんな状況なのか。なぜ今、アジアはこんな状況なのか。 
それらを過去にさかのぼって調べていくと、ルーズベルトのヤルタ外交に行き着くのだ。ヤルタの見直しは過去の問題ではない。今の外交政策を見直すためにルーズベルト外交の徹底的総括は乗り越えなければいけない。
また、以下のようにも語っています。
私たちの草の根運動は60年代に反共運動としてスタートした。当時の反共アメリカ人はヤルタ会談は間違いでルーズベルトは裏切り者と考えていた。 
ヴェノナ文章のおかげで自分たちが正しいと言うことが分かった。 
アメリカの保守主義者はルーズベルトの工作によって、当時日本が真珠湾攻撃をせざるを得なかったと理解している。そのことを日本に知ってほしい。
米国の保守派は、反共の防波堤としてソ連と対峙して日本と戦争をしたのは間違いであったという歴史観を持っています。このようなことは、米国のメディアのほとんどが、リベラルであるため、つい数年前まではほとんどの日本人は知りませんでした。今でも、知っているのは一部の人だけでしょう。

ルーズベルト

米国の保守派は、ルーズベルトにより、米国はかつてはソ連の台頭をゆるし、今は中国の台頭を許し、北朝鮮の核に悩むことになったという歴史観を持っているのです。

そうして、現在米国は保守派だけではなく、超党派で中国と対峙し、冷戦を戦っています。そんな中で、同盟国であるはずの日本の一部の財界人、与党内にも存在している親中派、媚中派の政治家が存在するということに、トランプ氏は怒りが収まらなかったのでしょう。

最近トランプ大統領が、日米安保見直しの可能性を示唆したのも、こうしたことの延長線上にあるものとみるべきです。

まさに、「同盟国(米)は、日本の領土を狙う国(中国)より大事」という常識を忘れないでいただきたいですし、米国保守派は先の大戦で、日本と米国が戦ったのは間違いであり、そのためにソ連を台頭させ、現在では中国を台頭させ、北朝鮮の核に悩むことになったという歴史観を持っているのです。

このような歴史観に立脚すれば、日本の一部の財界人、親中派、媚中派の政治家など裏切り者と見えるのは当然のことです。この歴史観を理解していないからこそ、大方の日本人はトランプ氏の怒りを理解できないのです。

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