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2019年7月14日日曜日

<輸出規制発動>混乱続く韓国 事実を報道しないマスコミのせいで更なる大混乱に―【私の論評】今後日本政府が対韓国制裁に踏み切るか否かは、まさに今後の韓国政府の行動次第(゚д゚)!

<輸出規制発動>混乱続く韓国 事実を報道しないマスコミのせいで更なる大混乱に

韓国の報道をキャッチしている人ならわかると思いますが、史上空前の大混乱が続いています。

文大統領と 金正恩委員長との「歴史的会談成功」の時ですら、ここまでの報道はありませんでした。しかも、その大量に溢れかえる報道が、ちゃんと事実を報道していません。はっきり言ってメチャクチャな状態です。

■なぜ、韓国国民は責任を日本のせいと考えるのか
「日韓対立「日本の責任」61% 韓国世論調査」 
韓国ギャラップが12日に発表した世論調査結果によると、元徴用工訴訟や輸出規制などを巡る最近の日韓対立について、61%が「日本政府に責任がある」と回答した。「韓国政府の責任」は17%、「両政府の責任」は13%だった。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47297470S9A710C1EA2000/

韓国の一部には日本製品の不買を推進する運動もある(5日、ソウル)
現在の日韓対立の原因が、日本にあると考える韓国人が6割以上もいるんですね。なんでこんな結果になっているかというと、少なくとも理由が2つあります。

1つは、日本が史上初めて韓国に反撃(の準備)をしたことです。日本側にはちゃんとそうするだけの理由があるのですが、彼らに見えるのは「日本が韓国より上の立場になろうとしている」(韓国を日本の下の立場にしようとしている)ということなんですね。

この辺が日本人には、なかなか理解し難い思考なんですが、ずーっと中国の脅威に晒されてきたせいなのか、韓国人は他国から「立場が下」な扱いされることを、恐ろしく嫌がります。具体的にどんな扱いかというと、以下のようなものを言います。
「「日本がわざと冷遇」会合場所を韓国メディアが批判「おもてなしにほど遠い」」

韓国紙、中央日報(電子版)は、事務用の机や椅子を並べた会場を「みすぼらしい」と表現。日本の「おもてなしとはほど遠く、日本側がわざと冷遇したといえる」と批判的に報じた。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190713/for1907130002-n1.html

普通の課長クラスの会議のはずだが、韓国メディアは・・・

筆者はうっかり電車の中でこの記事を開いて、その写真に「ブフッ」って噴き出してしまい、隣にいたオバサンに、「なんだコイツ」というような冷たい視線を貰ってしまったんですが。

こういう「冷淡な扱い」のことを韓国では、「無視された」と表現します。日本とは「無視」の意味が違うのですね。経産省が韓国の嫌がる形を、こういう分かり易い方法で示したのは、ある意味日本が一番変わったところです。今までの外務省なら無理だったのでは、ないでしょうか。

2つ目は、 韓国のマスコミがこれまでキチンと事実を報道して来なかったことです。文政権が日本の姿勢を本気に捉えて来なかったこともありますが、「日本側が何をどこまで問題にしているか」ということについて、「選挙目当ての安倍首相のパフォーマンスだ」という結論が必ずと言っていいほど、報道に結論として書かれてきました。しかも新聞の論説委員や、大学教授や、外交部関係者など様々な立場の人間が、そういうコメントをしているんですね。お陰で一般国民には、突然日本が輸出規制を始めたように見えているのです。

ただ、たぶん国民性なんでしょうね。反応が脊髄反射のような、よく考えないものなんですよ。
一部の団体が推進する日本製品の不買運動については67%が参加の意向を示し、27%が「参加しない」と答えた。 
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47297470S9A710C1EA2000/
 日本製品の不買をするなら、そもそもやり玉に挙がったレジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミドをまず不買にする必要があるんじゃないですかね。だって日本製なんだから。この辺のことは矛盾を感じないんでしょうか。

■韓国は脊髄反射国家か

今の韓国の大混乱は、「日本に反撃された」「日本が韓国の扱いを下にしようとしている」という理解で、上から下まで脊髄反射していることに理由があります。そのいくつかを見てみましょう。
「輸出優遇除外:戦略物資管理も弁明もでたらめな韓国産業部」(2019年7月11日) 日本の西村康稔官房副長官が「戦略物資会議が開かれていないのは韓国のせいだ」という趣旨の発言をすると、韓国産業部関係者はすぐに「2018年に戦略物資会議が開かれなかったのは、当時の日本側担当局長の座が空席だったからだ」と反論した。すると9日、世耕弘成経済産業相はツイッターで「(日本側担当局長の座が空席だったという)韓国政府の説明は明白な事実誤認だ」と指摘した。経済産業省の石川正樹貿易経済協力局長は2017年から今月5日まで在職していたからだ。韓国産業部は「勘違いだった」と釈明した。 https://news.livedoor.com/article/detail/16756499/ 
「韓国のせいだ」と言われたので、「違う日本のせいだ」って言いたかっただけ、としか考えられません。何でちょっと調べれば判明するような内容を平然と間違うんでしょうか。
「ハ・テギョン議員「北朝鮮にフッ化水素を密輸出した国は日本」」 ハ議員が公開した資料には、日本企業が1996年1月に大阪港に入港中だった北朝鮮船舶にフッ化ナトリウム50キロを、2月には神戸に入港中だった北朝鮮船舶にフッ化水素酸50キロをそれぞれ輸出託送品として船積みし、北朝鮮に不法輸出したという内容が出ている。 2003年4月には直流安定化電源3台をタイを経由して北朝鮮に不法輸出したなどの内容も含まれている。 http://japan.hani.co.kr/arti/politics/33869.html
フッ化水素摘発のリストが出てことに対する反応です。しかしそもそも、北朝鮮に対する経済制裁は2013年からです。その10年も前の資料を出して、「日本の方が悪い」と言うのは、無理があり過ぎでしょう。

さらに、このフッ化水素不正輸出事件は、北朝鮮の支援団体、朝鮮総連系の企業が関わっており、逮捕者も在日朝鮮人でした。この事件を持ち出した議員は、その背景を全く調べないで「北朝鮮にフッ化水素を不正輸出したのは日本」と言っているのです。ただ反論したいだけ。まさに脊髄反射です。
「専門家が見た韓国不正輸出リストの問題点……韓国政府は悪質企業名の公表を」韓国の産業通商資源省は以下の通り指摘した。

「日本は我が国とは違って総摘発件数も公開しないでいて、一部摘発事例だけを選別して公開している(www.cistec.or.jp)。」
これは誤りである。 
まず、このURLのリンク先は、経済産業省参加の一般財団法人「安全保障貿易センター(CISTEC)」のホームページであり、日本政府の機関ではない。この情報をもとに日本政府を批判するのは、筋違いである。https://www.fnn.jp/posts/00047206HDK/201907121200_KatsuhisaFurukawa_HDK
なんと禁輸資材の取り締まりとは、全然関係ない外郭団体を問題にしてしまいました。やり玉に挙がったCISTECの紹介文は、「1989年4月に設立されたわが国で唯一の輸出管理問題に関する民間の非営利総合推進機関です。」とあり、民間の海外進出をサポートする団体であります。

記事でも指摘していますが、韓国の産業通商資源省が、日本の輸出管理部門がどこにあるのか知らないってことが大問題です。

今の韓国は、こうした脊髄反射の記事で溢れかえっております。「アメリカが日本に警告を与えた」だの、「輸出禁止措置で日本の経済がヤバいので、安倍首相が選挙で敗北する」だの、事実と違う記事がものすごい数飛び交っているのです。

「輸出管理に関する事務的説明会」で、またまた議事内容と韓国政府の発表が違ってましたが、抗議だけで終わらせず、ちゃんと事実確認を行わないと韓国の脊髄反射は止まりません。経産省にはもう少し頑張ってほしいですね。

【私の論評】今後日本政府が対韓国制裁に踏み切るか否かは、まさに今後の韓国政府の行動次第(゚д゚)!

現状では、ブログ冒頭の記事を書いた記者のような反応が一般的なのだと思います。

文春オンラインは「韓国への輸出規制強化に賛成ですか? 反対ですか?」という緊急アンケートを実施しています。その内容を以下に掲載します。

7月5日から10日の6日間で964の回答があり、10代~80代、幅広い年齢層の男女から意見が集まったそうです。早速回答を見ていきます。

 ◆◆◆

結果は、964票中、「賛成」が784票(81.3%)、「反対」が180票(18.7%)と今回の措置に納得している人が圧倒的多数でした。



このアンケートでは、最後に、「日韓当局の事務レベルが12日、この問題で接触したものの、菅義偉官房長官は「あくまでも事実関係を確認したもの。協議ではない」と説明。今後日本からの輸出規制がさらに強化される可能性もある」と締めくくっています。

ブログ冒頭の記事で、大方の韓国人は反応が脊髄反射なのは、韓国政府は日本政府に対して謝ることはなく、事実関係を明らかにする努力もしないとみているからでしょう。今後当然日本からの輸出規制がさらに強化されると認識しているからだと思います。

実際そうだと思います。そうして、日本国内ではこれについて、左派系マスコミが「自由貿易を守れ」などと一斉に頓珍漢な批判をしています。

朝日新聞は「対韓輸出規制 『報復』を即時撤回せよ」と題した3日付の社説で、「自由貿易の原則をねじ曲げる措置」と批判しました。毎日新聞も「通商国家の利益を損ねる」という4日付社説で「日本が重視してきた自由貿易の原則をゆがめるものだ」と指摘しました。

しかし、韓国政府は慰安婦問題では日韓両国が合意して設立した「和解・癒やし財団」を韓国は一方的に解散しました。自衛隊機に対するレーダー照射事件では、言い逃れに終始しました。いわゆる「元徴用工」の異常判決でも、文政権は日韓請求権協定を無視して、日本企業への賠償要求を事実上、容認したままです。

さらに、文政権の北朝鮮への宥和姿勢は、目にあまるものがあります。韓国は表向き「非核化」を求めているようですが、海上自衛隊は韓国籍の船が北朝鮮のタンカーに横付けした現場を確認しています。韓国は北朝鮮に原油を供給する瀬取りに積極的に加担している疑いが強いです。

韓国は日本に敵対するだけでなく、日本を脅かす北朝鮮を支援しているのです。 今回、日本政府は「韓国側の輸出管理に不備があり、『不適切事案』が複数発生した」と指摘しています。具体的中身は明らかにしていないですが、韓国は3品目を北朝鮮に横流している可能性があります。いずれも軍事転用が可能です。

今回の措置は「日本の国益と安全保障をどう守るか」という観点からなされたものです。世界貿易機関(WTO)の貿易ルールは、安全保障を理由にした禁輸措置を認めています。

WTOのロゴ

今回の「韓国に対する輸出規制」に関しては、メディアは朝日新聞のような報道をしたり、『半導体材料を“事実上の禁輸”』『対韓輸出規制を発動』などと、勇ましく報道しています。それと同時に、記事では、『自由貿易を掲げてきた日本へ各国から批判が集まる懸念もある』『各国に恣意的なルール変更ともとられかねない』といった頓珍漢な指摘もしています。果たしてそうなのでしょうか。

日本政府は3品目を禁輸していません。韓国の貿易管理体制が信頼できないので、3品目を含めて包括的に認めてきた韓国向け輸出を個別契約ごとの審査に切り替えただけです。

日本は包括的認可の対象国を「ホワイト国」として扱っています。しかし、相手が信頼できないならリストから除外し、元の個別認可に戻るのは当然です。そうしなければ、日本の貿易管理体制に疑問が生じてしまいます。

もちろん個別審査の結果、輸出を許可しない事例も出てくるでしょう。「不適切事案」があったなら、それまた当然です。軍用品に転用可能な素材である以上、それなりに厳格に管理してもらわなければならないです。

それでも「韓国への報復ではないか」という議論はあるでしょう。私もそう思いますし、報復すべきだとも思います。事実このブログでは、"Economic Statecraft(経済的な国策)
"を発動すべきとしています。実際その可能性は否定できません。これがうまくいけば、中国やロシアにも発動するかもしれません。

しかし、現状では政治論と貿易手続き論は別次元の話です。左派マスコミが「自由貿易を守れ」などとピンぼけ批判を繰り返しても、日本政府は痛くも痒くもありません。ルールに沿って運用しているだけだからです。

むしろ、これで明らかになったのは、安倍晋三政権を批判するためなら、韓国擁護も躊躇しない「左派マスコミの政治的体質」です。それと韓国内では、韓国の半導体産業が日本の支えがないと成り立たないという現実です。

韓国 このまま行けば、8月上司に半導体、液晶、有機EL生産停止、8月中旬には自動車や機械関連生産停止 します。停止しても在庫がありますから、1ヶ月ぐらいはなんとかなると思いますが、その後はどうするのでしょうか。

上にも示したように、韓国向けの輸出規制に80%以上もの人が賛成している現状では、韓国を擁護するような日本の左派マスコミはますます、多くの人々から信頼されなくなることでしょう。

そうして、現在の措置から日本政府が対韓国"Economic Statecraft"に踏み切るか否かは、まさに今後の韓国政府の行動にかかっています。今のまま何も変えないで、ただ騒ぎまくるというのであれば、いずれ発動されてしまうことになるでしょう。

たとえば、日本は韓国に対して安保上の理由でいつでも送金停止の処置ができます。韓国の銀行は既に米国で送金できなくなっています。日本の銀行が送金を停止すれば、韓国の金融取引は止まり、輸出入ができなくなります。その結果、韓国は金融危機に陥ることになります。

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2019年5月30日木曜日

財政破綻論が、降水確率0%で「外出を控えろ」と言う理由―【私の論評】確率論でなくても、日本国を家族にたとえれば、財政破綻するはずがないことがわかるが・・・(゚д゚)!

財政破綻論が、降水確率0%で「外出を控えろ」と言う理由

高橋洋一:嘉悦大学教授

「長期停滞」脱却に
財政赤字拡大を主張


 日本は悪性の『長期停滞』、つまり民間需要の不足に直面している。完全雇用を維持するには、金融政策は可能なことをすべて行った今、財政政策の役割が求められている――。

 国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミスト、オリビエ・ブランシャール氏が、公債発行額とその元利払いの公債費を除いた財政の基礎的収支(プライマリーバランス)の赤字を維持し、さらに拡大すべきだというツイートを日本語で行ったことが話題になっている。

 日本では相変わらずの「財政再建至上主義」の財務省や、財政健全化を唱える学者も多い。ブランジャール氏の一連のツイートでの主張との違いはどうして起きているのか。

 ツイートのもとになっているのは、ブランシャール氏と田代毅氏が、二人が席を置くピーターソン国際経済研究所で5月に出したペーパーだ。それは日本語でも読める

 田代氏については、筆者は面識がないが経産官僚のようだ。そのペーパーでは、結論にこう書かれている。

 「現在の日本の環境では、プライマリーバランス赤字を継続し、おそらくはプライマリーバランス赤字を拡大し、国債の増加を受け入れることが求められています」

 「プライマリーバランス赤字は、需要と産出を支え、金融政策への負担を和らげ、将来の経済成長を促進するものです。 要するに、プライマリーバランス赤字によるコストは小さく、高水準の国債によるリスクは低いのです」との結論が書かれている。

 ペーパーは、政府と中央銀行(日銀)の負債・資産を一体で見る「統合政府」論による分析がされており、「(政府の債務は)総債務ではなく純債務が正しい概念です(少なくとも良い概念です)」という前提だ。

 こうした考え方による主張は、財政省が、狭義の政府で見た総債務の分析から導き出す情緒的な結論よりは、筆者にとっては信頼できる。

 その内容も、筆者が本コラムなどでかねて主張しているおおよその方向性と同じだ。財政政策と金融政策の一体運用に基づいて、まだ財政政策の余地があるという主張に異論はない。

インフレ目標は
財政規律維持の枠組み


 つまり、今の日本は、「2%インフレ目標」に達していないという現実から考えても、金融政策で物価を上げる余地がまだあるとともに、財政政策で需要を喚起する余地がある。

 財政赤字拡大を問題視する論者がいるが、「統合政府」で見れば、政府が発行した国債を中央銀行が購入するのは、統合政府の負債としての国債と、日銀の供給するマネタリーベースの交換にしかならない。

 ここで、マネタリーベースは基本的には無利息無償還である。

 この場合、国債発行がやり過ぎかどうかはインフレ率に出てくる。

 つまり、インフレ率がインフレ目標を上回ることになれば、財政赤字は過大ということになる。インフレ目標は、財政規律を維持するものとしても意味があり、財政規律維持の枠組みになり得るのだ。

 日本では、こうした政府と中央銀行の連携を「財政ファイナンス」として禁じ手のように言う論者がいるが、インフレ目標の範囲であれば実体経済に弊害はなく、日銀の国債購入を否定する理由はない。

 また、現状の日本経済を考えると、プライマリー赤字を過度に恐れる必要はなく、それによる成長を目指したほうが、結果としての経済やその一部である財政にとっても好影響になると思う。

財政健全化は
成長の後からついてくる


 こうしてみると、財務省がマスコミや一般国民に垂れ流している考え方は、財政再建至上主義といえることがわかる。

 財政が経済を動かすという世界観で、プライマリーバランスの均衡化が最優先になる。

 一方、ブランシャール氏らの考え方の背景にあるのは、財政は経済の一部であり、マクロ経済学の基本通りに政策運営をすれば、経済成長で税収も増え財政(健全化)はおのずと後からついてくるという経済主義だ。

 この考え方では、日本経済には一時的なプライマリーバランス赤字は問題でなく、経済再建のほうが優先される。

 日本での議論を見ていくと、日本では財政再建至上主義の裏側に、「財政破綻論」が根強いのに気がつく。

 筆者が考えるその一例は、東大金融教育センター内にある、すごい名称の研究会である。その名前は、“「財政破綻後の日本経済の姿」に関する研究会”だ。

 代表は、井堀利宏(東京大学大学院経済学研究科教授)、貝塚啓明(東京大学名誉教授)、三輪芳朗(大阪学院大学教授)という日本の経済学会を代表する学者らだ。

井堀利宏氏

 活動内容はホームページに記載されており、2012年6月22日が第1回会合で、2014年10月3日まで22回も開催されていた。

 ホームページには、研究会発足にあたり、「われわれは日本の財政破綻は『想定外の事態』ではないと考える。参加メンバーには、破綻は遠い将来のことではないと考える者も少なくない」と書かれている。

 第1回会合では、三輪氏が「もはや『このままでは日本の財政は破綻する』などと言っている悠長な状況ではない?」という論点整理メモを出して、勇ましい議論をしている。

 要するに、財政破綻は当然起こるので、破綻後のことを考えようというわけだ。

 はじめのうちは、財務省、日銀らの実務家を呼んで議論をしていたようだが、その後、安倍政権が誕生し、アベノミクスに研究会の関心も移った。

 2013年4月12日の第11回では、インフレ激化、財政破綻が顕在化する問題が指摘され、アベノミクスにかなり懐疑的な様子だ。ところが、長期金利は一向に上がらず、歴史やテクニカルな金融分析を行うようになる。

 2014年8月27日の第21回会合では、〈8月末時点の長期債の最終利回りは0.5%を下回っている。ある意味、不可解な現象である。われわれは過去2年間「現状の日本でなぜ国債価格の大幅下落、急激なインフレを伴う「財政破綻」は現実化しない、その予兆も見えないのはなぜか…?」という問題意識を抱き、研究会を続けてきた〉と、もどかしさを隠しきれない様子だ。

 彼らの本音は、自分たちは正しいのに、世間の現実が間違っているということだろう。
 こうした研究がおかしいとは思わない。学者というのはどこか浮世離れしているもので、そこに存在意義があるともいえるからだ。
曖昧な政府債務の定義
「財政破綻本」の警鐘当たらず


 ただし、この研究会の危機感は、債務残高対GDP比が発散すると考えているようだ。

 日本の数字をいえば、「借金1000兆円でGDP500兆円の200%」というのが財務省の常套句だが、いつも疑問に思うのは、どうして資産を引いてネットで考えないのだろうか、ということだ。

 政府単体だけでも資産を相殺したネットで考えれば、対GDP比100%にはならない。ちなみにネットでアメリカと比較すれば、日本のほうが低い。

 政府単体ではなく、政府子会社(日銀は政府子会社である)も含めた連結ベースで見たらどうか。

 ブランシャール氏のように「統合政府」というのでもいい。

 その上でネットで見ると、債務は0%に近い。こうなると、先進国の中でトップクラスの出来である。

研究会で勉強をするのは結構なことだが、そもそも議論のスタートである「財政破綻があるはず」という認識がかなり怪しかったのだろう。

結局、研究会自体も今から4年半前の2014年10月3日の22回で終わり、現在は休止になっているようだ。

こうした議論の根本的な問題は、日本の財政状況をしっかりと数量的に把握していなかったことだ。

財政破綻というのは、債務残高対GDP比率が発散するということだとは認識していたと思うが、この場合の債務残高について、グロスなのか、ネットなのかさえ明確でない。

筆者にはなんとなくグロスと思い込んでいるように思える。

参加している経済学者は、会計的な知識が乏しく、国のバランスシートさえ頭に浮かばなかったようだ。

経済学者によるいわゆる「財政破綻本」もかなり出ている。

例えば『2020年、日本が破綻する日』(2010年8月)、『日本経済「余命3年」』(2010年11月)、『金融緩和で日本は破綻する』(2013年2月)などなどだ。

しかしこれらの本が“警鐘”を鳴らした「財政破綻」は現実に起こらなかった。財政破綻は面白い材料なのか、これらの本以外にも、それに類する本は少なくない。

ある国会議員は、財政破綻の問題を国会質疑で20年近くも主張しており、筆者が、予言は当たっていないと指摘すると、当たっていないことは認めるが、言わざるを得ないと言っていた。

実現したら困るので、根拠なしでも言う必要があるというものだ。この意味では、ノストラダムスの予言と大差ない。

一方で、財務省はこうした「財政破綻本」は増税の根拠にできるので、放置している。むしろ、財政破綻論を書きたい著者には財政資料をレクチャーするなどして後押しすることもある。

『絶対に受けたい授業「国家財政破綻」』(2010年6月)は興味深い本だ。財政破綻論が書かれている。

その本の筆者は、私にも見解を求めてきて、まず財政は破綻しないという私の意見も掲載されている希有な本だ。

破綻のリスク試算
「5年以内では確率1%未満」


筆者が日本財政はまず破綻しない、と言ってきたのには理由がある。

各国国債の信用度は、それらの関わる「保険料」(CDSレート、債券などの債務不履行のリスクを対象にした金融派生商品の取引レート)から算出される。

危ない国債に対する「保険料」は高くなるはずだからだ。

しかも、この「保険料」がもっともらしいのは、それがネット債務比率対GDPと、かなり(逆)相関の関係を持つことだ(下図)。



 これは、ファイナンス理論と整合的な結果である。

 これをもとに考えれば、筆者の試算では、今後5年間以内における日本の財政破綻の確率は1%未満だ。

 日本の財政破綻について言及する人について不思議に思うのは、財政破綻のリスクがあるという言い方をしている人が多いことだ。

 「財政破綻本」の中には、財政破綻までの期間を明示したものもなくはないが、リスクという表現は、もともと確率を表現できるものをいう。

 それにもかかわらず、ほとんどの財政破綻論者は確率表現を用いることができず、感覚的に使っている。

 天気予報の降水確率でも、「今日の降水確率○%」という言い方をし、地震でも「今後○年間以内に発生確率は○%」と言うのに、なぜか、財政破綻のリスクについては“雰囲気”でしか論じない。

 その割に、財政破綻がいかにもすぐに起こり得るかのようにいって、緊縮財政を目論むのが財務省であり、それをうのみにしているのがマスコミである。

 確率表現できないのに、財政破綻リスクを言うのは、筆者には考えられないことだ。

 今の財政破綻に関する議論の状況を例えれば、降水確率0%なのに、万が一天候が急変するかもしれないので、外出を控えましょうと言っているようなものだ。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)

【私の論評】確率論でなくても、日本国を家族にたとえれば、財政破綻するはずがないことがわかるが・・・(゚д゚)!

日本政府が財政破綻しないことは、確率論でなくても説明はできます。本日はそのような説明をします。

政府の財政を家計にたとえて、「給料等の収入が631万円しかないのに975万円も使っていて、不足分の344万円は銀行から借りているような家計は、早晩破産するでしょう」と言う人がいますが、これは大変ミスリーディングなたとえです。全くの誤りです。

財政を家計のように捉えるのは全くの間違い

家族が倹約した場合、家族の赤字は減ります。家族旅行を我慢すれば、ホテルや交通機関の収入が減る一方で、家族の家計は改善します。収入が減って困るのは、赤の他人(ホテルや交通機関の従業員等)ですから、気にする必要はありませんし、自分の収入に跳ね返ってくることもありません。したがって、「家計が赤字なら倹約しろ」というのは正しいのです。

これは、政府の財政とは全く状況が異なります。実際の経済では、政府が歳出を削減すれば、民間部門の収入が減ります。それにより、国民が貧しくなり、失業が増えたり、政府の税収が減ったり失業対策で歳出が膨らんだりするわけです。

政府にとっては、国民は赤の他人ではありません。国民が失業しようと貧しくなろうと、自分の財布が潤えば良い、というものではありません。そこを無視した議論は、現実的ではありません。

一方、日本国を4人家族(構成員はサラリーマンである夫、専業主婦である妻、夫の親、夫婦間の子)とすれば、上手に説明ができます。日本政府を夫、民間部門を親と妻と子にたとえるわけです。

日本国を四人家族にたとえると・・・・・

日本政府の一般会計予算の歳出(平成31年度)を見ると、社会保障が34兆587億円、国債費が223兆5082億円、地方交付税交付金等が15兆9850億円、となっています。

社会保障は主に高齢者への給付ですから、家計で言えば夫から親への小遣いに相当します。地方交付税交付金は、収入の多い人から少ない人への移転ですから、家計で言えば夫から妻と子への小遣いに相当します。国債費は、過去の借金の元利払いです。夫は親や妻や子から借金をしているので、その分の元利払いが必要なのです。公共投資等々は、電気ガス水道代、妻への家事担当の対価(後述)、等々に相当しますが、金額的には妻に支払う家事労働の対価が主です。

親は多額の預貯金を持っていますが、生活費を負担する気はありません。夫が給料の範囲で暮らせないことは知っていますが、不足分を親が貸すことはあっても、負担はお断り、というわけです。小遣いも、多額に要求します。「嫁が家事を担当していることで、それに対する対価を要求される。その分は預貯金を取り崩すのは嫌だから、その分くらいは小遣いをよこせ」というわけです。

妻は、家事労働の対価を要求します。それが相当高いので、夫の公共投資等々の支出の多くは、妻の手に渡ります。親や子からも、家事を担当していることの対価をもらうので、ますます妻は潤います。一方で妻は倹約家なので、収入はあってもあまり消費はせず、残りを夫に貸し出します。夫が借りない分は、銀行に貯金します。

子は、小遣いをもらいますが、倹約家なので、あまり使いません。妻に家事の対価を支払い、残りは夫に貸すか、銀行に貯金します。

夫は、稼いだ給料以上に金を使っているので、赤字です。その分は親や妻や子から借りています。借金の残高は膨大で、元利払い額も巨額です。

妻は、家事一切を担当し、夫や親や子から対価を得ていますが、電気ガス水道は全額夫が負担しているので、妻は家事労働の対価として得た収入を夫に貸しています。夫は、妻などからの借金に対し、元利払いを行なっています。

上記をよく見ると容易に理解できるように、給料として外部から得てきた金は、家庭内で動き回っているだけで、外部にはあまり出ていっていません。せいぜい電気ガス水道代と、家族の趣味の費用(皆が倹約するので、少額)くらいです。

夫は、親や子に小遣いをやりすぎているのかもしれません。妻に家事担当の対価を払い過ぎているのかもしれません。人気取りのためだとすれば、やめましょう。というわけで、ある時「借金が嫌だから、親と子の小遣いを半分にする」と宣言したとします。

親と子は妻に「家事は半分で良いから謝礼も半分にしてくれ」と言うでしょう。妻がそれを飲めば、妻の収入が減りますから、妻が夫に貸し出せる金額が減ります。夫としては、「借りる必要のある金額」と「借りることができる金額」が同時に減るだけなので、家計は何も変わりません。

もっとも、妻が仕事と収入を半分失い、親と子が手抜きの料理で我慢させられることになる分だけ、家族の生活水準は落ちます。場合によっては、親と子の栄養失調を気にして夫が親と子に御馳走してあげる必要が生じるかもしれませんね。そうなると、その分だけ家計が悪化する可能性さえ、あるわけです。

これは、夫にとっては由々しき事態です。夫にとっては、自分が破産しないことと同じくらい、妻や親や子の生活を守ることが重要で、家族を犠牲にして自分の財布を豊かにすることが重要なわけではないのです。

強いていえば、親も妻も子も貧しくなるので、家の外で使う金が一層減るかもしれません。その分は家計が改善されるでしょう。もっとも、もともと家の外での出費が収入に占める割合は大きくありませんから、これは無視しても良いでしょう。

家族の仲が悪くなれば、様々な問題が生じるでしょう。妻は夫に「金は貸さない」と言い、夫は親と子に「小遣いを払わない」と言い、家族は崩壊するかもしれませんが、各人がそれを知っているので、無茶は言いません。夫が不足している分は妻(および親および子)が借りたいだけ貸してあげます。夫もそれを知っているので、赤字を気にする必要もありません。

日本国債の見本

つまり、民間部門が喜んで国債を買い続けることを前提とすれば、政府の赤字は気にする必要が無いのです。

上記のように、政府の財政を夫の財布にたとえれば、夫が倹約した場合(親や子への小遣いを減らした場合)、親や子の収入が減ります。上の例では、妻が半分失業したり、親や子が手抜き料理で我慢させられたり、夫が親や子に御馳走したりする必要が出てくるかもしれないわけです。

それが望ましいことなのか否かは、「将来、家族の仲が悪くなり、もう貸さない、といった最悪の事態」が起きるか否かにかかっています。この最悪の自体が起これば、確かに政府の財政は破綻するかもしれません。

最悪の事態を避けるためならば、家族の生活水準を落としてでも、夫は親などへの小遣いを減らすべきでしょう。しかし、そうした必要性は今の日本では全くありません。

「将来、家族の仲が悪くなり、もう貸さない」という状況は現実にはどういう現象でしょうか。それは、政府の発行する国債の金利が高騰して大暴落してしまった状態です。しかし、多くの方もご存知のとおり、日本の国債は暴落するどころか、低金利の状態が続いています。

この状況では、どう考えてみても、財政が破綻することはほんどありえないのです。現実の世界でみても、国債の金利が突然大幅にあがった場合には、注意が必要ですが、現実にはそのようなことはありませんでした。これからも、そうなる見込みはほとんどありません。

無論、短期で0.5%とか、0.数%あがったとか、下がったとかで、大騒ぎしている人もいたようですが、そんなことで一喜一憂する必要もありまません。やはり、長期でみていくべきでしょう。

しかし、国債の金利の動きを見ていれば、どう考えても、現在の日本政府が近い将来に破綻するとは考えられません。

ほとんどの財政破綻論者は、財政を単純に家計のように考えているか、あるいは何かの目的のためにそのように見せかけているということなのでしょう。

ただし、政策論的にはやはり確率で語ることができないのは、問題であるとは思います。数%にすぎないのか、50%を超えているかでは、対処方法も大きく変わるはずです。そもそも、数値で語れば、危険か危険でないか誰にでもすぐにわかります。

これが、自然災害か地震予知のように、不確定要素が多すぎるならまだしも、財政破綻に関してはかなり容易に正確に計算できます。

確率抜きで財政破綻を語る人は、信用すべぎないです。

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2017年8月31日木曜日

日本政府が元慰安婦からの訴状を拒否「日本の主権を侵害」=韓国ネット「へ理屈としか言いようがない」「もう解決した問題なのに…」―【私の論評】日韓には最早慰安婦問題は、政府・民間・個人すべてのレベルで存在しない(゚д゚)!

日本政府が元慰安婦からの訴状を拒否「日本の主権を侵害」=韓国ネット「へ理屈としか言いようがない」「もう解決した問題なのに…」

慰安婦とされる女性と少女像
2017年8月28日、韓国・聯合ニュースによると、日本政府が、韓国の元慰安婦らが韓国の裁判所に起こした損害賠償訴訟の訴状を受領せずに送り返していたことが分かった。

韓国の元慰安婦クァク・イェナムさんらが昨年12月、日本政府を相手取り、韓国の裁判所に起こした損害賠償訴訟を担当するイ・サンヒ弁護士は28日、「裁判所が被請求人の日本政府に訴状を発送したが、今月16日付で返送された」と明らかにした。

イ弁護士が公開した裁判所の公文書によると、日本政府は返送した理由について「この要請(訴状の受領)に従うことは、ハーグ送達条約の第13条により日本の主権を侵害するものと見なされる」と明らかにした。

ハーグ送達条約(民事または商事に関する裁判上および裁判外の文書の外国における送達および告知に関する条約)の第13条は「送達の要請者がこの条約の規定と一致する場合、被嘱託国はこれを履行することが自国の主権または安保を侵害すると判断した場合に限り、これを拒否することができる」と定めている。

イ弁護士は「人倫に反する犯罪に対しての責任を問うことがなぜ主権の侵害に当たるのか全く理解できない」とし、「外交チャンネルを通じて日本に訴状を送達できる方法がないか、外交部に問い合わせる」と明らかにした。

これについて、韓国のネットユーザーからは「『主権の侵害』はこういう時に使う言葉だったっけ?盗っ人たけだけしいとはまさにこのことだ」「韓国の主権を侵害し、韓国国民を相手に犯した罪について明らかにすることが主権の侵害?へ理屈としか言いようがない」など日本の対応に不満の声が寄せられている。

そのほか「韓国政府も過去の被害者らに謝罪と賠償をしてほしい」「韓国政府が『主権の侵害に当たる理由を説明せよ』と日本に要請するべき」などと主張する声も。

一方で「韓国政府がお金で解決させたのだから、韓国国民が何を訴えても無駄。日本は何も悪くない」「慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決した。いまさら騒ぎ立てるのはみっともないよ」など慰安婦問題は2015年末の日韓合意で解決したと主張する声もみられた。


【私の論評】最早日韓には慰安婦問題は、政府・民間・個人すべてのレベルで存在しない(゚д゚)!

ドイツ・ハンブルクでのG20にて、安倍首相(左)と文在寅大統領(右)
ドイツ・ハンブルグでの20カ国・地域(G20)首脳会議に出席した安倍首相は、7月7日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談しましたが、あらためて慰安婦問題に関する日韓合意がくすぶり続けている様が見てとれました。

文氏は大統領選前は、日韓合意の無効や再協議を主張してきましたが、就任後は「再協議」は公言せず、「前政権での日本との慰安婦合意は韓国人、特に被害者(元慰安婦の女性)に受け入れられていない。彼女たちは合意に反対している」などと語ったと報じられています。

このときには「慰安婦問題が関係発展の障害となってはいけない」とだけ語ったようで、日本政府が一貫して政府合意を守れ、と主張しているのに対し、じりじりと後退を続けています。支持者の手前、強い態度を見せたい一方で、経済・防衛問題でこれ以上、日本政府との関係をこじらせたくない、というジレンマに陥っているようです。

文氏の発言で引っかかるのは「前政権での日本との慰安婦合意」という言い方です。

近代的な契約社会では、たとえば会社同士の契約であっても、会社を仮想的な「法人」と捉え、会社間の契約は「法人」間の契約であって、社長が替わっても、すべての権利や義務は引き継がれる、という事になっています。

国家も同様であって、政権が替わっても、国家間の条約は変更できない、というのが国際社会の原則です。文在寅大統領が「前政権での合意は受け入れられない」などと言うなら、日本も戦前の大日本帝国の行為に現在の日本国の責任はない、と言えることになります。

国際法には、国内法と同じような強制力はありません。文在寅氏が語るように国家間の約束を反故にするには、韓国が日本と戦争をして勝った場合のみです。しかし互いに戦争でもしていない国同士では、一度締結した契約などは履行されなければ国際法違反です。文在寅大統領は日本に戦争を挑むつもりなのでしょうか。

いくら一般の韓国人の多くが「日韓合意」に反対であったとしても、国家間の条約を簡単に破ったり、反故にしたりすることはできません。たとえば、60年の日米安保条約改訂の際には、どんなに過激派が大暴れしようと、日本国の首相が合意をしたら、それは日米間の正式な条約として成立しているので、反故にはできません。反故にするとすれば、米国と戦って勝たねばなりません。

学生30人、大使館入居ビルで騒ぎ=日韓合意反対叫び連行―ソウル 2015年12月30日
安倍政権は国内の一部の反対を押し切って、韓国との合意を結びましたが、それは国際法を有効に使って、韓国のプロパガンダを押さえ込む妙手でもありました。

たとえば、今回の合意で「最終的かつ不可逆的な解決」という文言が使われており、しかも、それが韓国側外交部長官の発表でも使われている点です。これは「二度とこの問題を蒸し返さない」という意味であり、こう言った政府がまたこの問題を蒸し返せば、国際社会では二枚舌と受けとられてしまいます。

さらに、この合意には、アメリカを仲介人として巻き込んでいるということもあります。この1月、釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置されると、安倍首相はバイデン米副大統領と電話で会談し、「米政府として慰安婦問題に関する日韓合意を支持しており、着実に履行されることを強く期待する」という発言を引き出しました。

アメリカとしては、自らの仲介で日韓合意を成立させたにもかかわらず、わずか1年のうちに韓国がそれを無視した、という事で、面子をつぶされています。そしてそれが国際社会の面前で行われたことにより、韓国の国際常識のなさが世界の国々にも明らかになってしまいました。

国際的に、中でも米国が公式にその共同宣言を担保した形で合意に至った日韓合意
慰安婦問題は、過去においては「日本がどのように反省し、謝罪するか」という「日本側の誠意」の問題にされていたのですが、日韓合意後は「アメリカも巻き込んで合意した最終的かつ不可逆的な解決を韓国はなぜ守らないのか」という国際法上の問題に置き換えられたのです。

そのため文大統領が「前政権での日本との慰安婦合意は韓国人、特に被害者(元慰安婦の女性)に受け入れられていない」と発言したとしても、日本政府としてはこの問題に全く関与する必要はないのです。

それは、もはや日本が対処すべき問題ではなく、韓国政府が対処すべき問題なのです。

我が国はそもそも、「日韓合意」より前から韓国とはすでに「日韓請求権協定」を結び、相互の請求権はすべて消滅しています。そういう国際法上の原則をしっかり主張しなかったため、ここまで慰安婦問題がこじれてしまったのです。今回の「日韓合意」も、国際法上は屋上屋を重ねたものではありますが、国際法の次元でこの問題に終止符を打とうとするものです。

この考え方に立脚すれば、今回の日本政府の、韓国の元慰安婦らが韓国の裁判所に起こした損害賠償訴訟の訴状を受領せずに送り返した行為は全く妥当なやり方で、非の打ち所がないものです。

今後政府の慰安婦問題への対処の仕方は、これに右ならえということになるでしょう。民間レベルでもそれで良いです。そうして、特に民間レベルは韓国と縁のある民間企業などは致し方ないかもしれませんが、国際法すら無視するような信頼できない国は、カントリーリスクがあまりも高すぎるので、韓国との付き合いはやめるか、最小限にとどめるべきです。

日韓には最早慰安婦問題は、政府・民間・個人すべてのレベルで存在しないものとみなして行動すべきです。

韓国政府や韓国の民間・個人が慰安婦問題に関して抗議をしても「日韓合意」で解消ずみとして、一切対応すべきではありません。ただし、抗議に対しては抗議をし、韓国以外の国が批判をすれば「内政干渉である」として突っぱねれば良いです。

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2017年3月17日金曜日

【痛快!テキサス親父】辺野古反対派リーダーの勾留「政治的な理由」ってマジか? NGOが国連人権理事会で主張―【私の論評】「国連人権委」の実体は左翼による内政干渉機関(゚д゚)!

【痛快!テキサス親父】辺野古反対派リーダーの勾留「政治的な理由」ってマジか? NGOが国連人権理事会で主張

国連欧州本部にて トニー・マラーノ氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 ハ~イ! みなさん。

 俺は現在、スイス・ジュネーブにある国連人権理事会の会合に来ている。慰安婦像や碑の設置が、米国人から見ていかに迷惑な問題かや、慰安婦問題の批判が、いかに日本たたきのためにでっち上げられた捏造話かを、米軍の資料などを元に説明するつもりだ。

 人権理事会の会合には、俺たちと正反対の主張をしている日本のNGO(非政府組織)もいたぜ。

 昨年の人権理事会で、「慰安婦問題で、日本政府はもっと謝罪や賠償をすべきだ」と、韓国側の主張に沿った立場で訴えていた人々だ。

 彼らは今年は、沖縄県・米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の抗議活動中に逮捕され、傷害などの罪に問われた山城博治被告について、「軽微な犯罪で長期間身柄拘束されており、国際人権規約に違反する」などと、日本政府を糾弾し、即時釈放を求めていたぜ。

山城博治 沖縄キャンプ・シュワブ前で
 まさか、日本政府が、ジュネーブにあるとでも思っているのか?

 一緒に来ている親友のシュン(藤木俊一・テキサス親父日本事務局長)によると、山城被告とは辺野古移設に反対するグループのリーダーだという。彼の保釈請求については、日本の最高裁が2月、保釈を認めなかった那覇地裁決定を支持し、特別抗告を棄却したそうじゃないか。

 NGO側は人権理事会でのスピーチで、「山城被告は、政治的な理由で拘束されている」とも語っていた。

 ただ、日本の共同通信が配信した記事(2月23日)を英訳して読ませてもらったが、《山城被告は昨年10月、米軍北部訓練場(東村など)のヘリコプター離着陸帯の建設現場近くで有刺鉄線を切った疑いで県警が現行犯逮捕。その後も2度再逮捕され、傷害や威力業務妨害の罪で起訴された》とあったぜ。

 米国でも、何度も罪を犯す人間の勾留期間は長くなる。当然だ。善良な一般市民の安全と平和のための措置だからな。NGO側はその点については指摘していなかったが、何か意図でもあるのか。

 以前、このコラムでも指摘したが、国連人権理事会は、NGOの主張をもとに、対象国の「リスト・オブ・イシュー」(=問題点のリスト)を作り、謝罪や賠償を求める勧告を出している。NGOはそれを振りかざして政府を攻撃する。まさに、「マッチポンプ機関」と言ってもいい。

 俺は、国連自体が無駄な組織だと思っているが、こうした問題を放置すると、慰安婦問題のようになってしまう。

 親愛なるみなさんと、日本と米国に神のご加護がありますように。欠席裁判にしないためにも、日本政府のきっちりした対応が必要だと思うぜ。

 では、また会おう!

 ■トニー・マラーノ 

【私の論評】「国連人権委」の実体は左翼による内政干渉機関(゚д゚)!

国連人権理事会はとんでもない組織です。前からそのような傾向だったのですが、とにかく日本を貶めようとする勢力の巣窟となっています。先月も日本における「表現の自由」の現状を調査するため国連人権理事会が特別報告者に任命したとされるデビッド・ケイが問題を起こしています。


デビッド・ケイは日本には「表現の自由」に関して、4項目の問題点があるとしています。そうして、日本政府はこの4項目について反論を提示していることが先月25日、分かっています。その4項目を以下に掲載します。


ケイ氏は沖縄県の米軍基地に反対する活動家への取り締まりや、政府による報道機関への圧力に懸念を表明しています。政府はケイ氏が6月に提出する報告書で、事実と異なる見解が盛り込まれることを防ぎたい考えです。

ケイ氏は国際人権法を専門とする米カリフォルニア大アーバイン校教授。昨年4月には約1週間、調査のため日本を訪問し、政府関係者や非政府組織(NGO)、報道関係者らと面会しました。6月の報告書提出に向け作業を進めており、人権理事会で報告の場も設けられます。

来日時は「匿名のジャーナリスト」の証言を根拠として政府による報道への圧力に懸念を表明。戦時中の慰安婦制度を「犯罪」と決めつけ、教科書の記述に関して「政治的な意図が反映していると感じた」と述べていました。

政府はケイ氏が来日した際の記者会見や予備的報告書を詳細に分析。(1)報道の独立の危機(2)歴史教科書への政府の介入(3)特定秘密保護法の問題(4)在沖縄米軍基地の反対活動家に対する過剰な権力行使-の4項目について、事実誤認や政府の立場と大きく異なる内容が含まれると判断しました。

ケイ氏は報告書提出前に草稿を日本政府に提示した上で協議することが義務づけられています。しかし、政府はこれに先立ちケイ氏と接触することが必要と判断。今年に入ってからも情報提供を行うとともに政府の見解を説明しています。

特別報告者の報告書に法的な拘束力はありません。ただ、1996年には特別報告者のクマラスワミ氏が慰安婦を性奴隷と位置づける報告書を提出し、韓国政府や日本の活動家に利用された経緯があります。このため、政府はケイ氏の報告書が独り歩きして影響を及ぼすことを警戒しています。また、6月の報告時には中国や北朝鮮の代表者が発言を求め、日本を非難する「宣伝戦」に利用する可能性もあります。

一方、「表現の自由」を調査する特別報告者は当事国が受け入れなければ現地調査を行えません。このため、「欧州諸国などが取り上げられることが多く、本当に問題がある国は対象になりにくい」(外務省関係者)との不満もあります。

ケイ氏は来日時の記者会見や予備的報告書で、4項目について日本政府を批判したほか、記者クラブ制度やヘイトスピーチ(憎悪表現)にも懸念を表明。公職選挙法に関しても選挙運動に対して「非合理的な規制を行っている」としました。

国連人権委員会とは、加盟国の各国からの政府代表ではなく個人が任意で、に、ボランティアとして手を挙げて参加するメンバーで構成されています。従って、委員会の決議等には拘束力は全くありません。

議題は、各国のNPOやNGOが持ち込んだものです。当然のことながら、中国や北朝鮮、韓国などのNPOが盛んに“問題”を持ち込んでいます。

日本の場合は問題を持ち込むのは左翼がほとんどです。そのため、日本から持ち出される問題も、かなり偏向した議題がほとんどです。

そもそも、委員会の議長や委員も、中国人や北朝鮮人が多いです。そのため、中国のチベット殲滅などの途方もない人権侵害や非人道的行為は全く議題になることなく、日本のアイヌ問題や在日差別が議題となることが多いのです。


ちなみに上の写真は、国連女子差別撤廃委員会に押しかけた札幌アイヌ協会のメンバー。 左から、光野智子理事、阿部千里、多原良子副会長 緑服は糸数慶子議員、赤服は鄒曉巧(Zou Xiaoqiao)副委員長。杉山審議官の強制連行否定に文句を言った人物です。支那と結託する人権屋どもです。

このような馬鹿げた実態にも拘わらず、日本で報道される時は、「国連人権員会」が「日本批判の決議」とか、「日本政府へ改善勧告」などと、いかにも権威あるものであるかのように報道されています。

しかし、「国連人権委員会」とは、日本に関しては反日左翼と中韓などが結託して、日本と日本人を貶める場所として利用しているのです。

日本のマスコミはそうした事情を知っていながら、さも権威ありげに利用します。そうして、無論海外勢力もさも意味ありげに無意味な、「国連人権委員会」の報告書などを日本を貶めるために活用します。

そうして、 国連人権理事会は、ブログ冒頭の記事でトニー・マラーノ氏が指摘するように、NGOの主張をもとに、対象国の「リスト・オブ・イシュー」(=問題点のリスト)を作り、謝罪や賠償を求める勧告を出しているのです。NGOはそれを振りかざして政府を攻撃する。まさに、「マッチポンプ機関」です。

このような組織は、単なる左翼による比較的まともな先進国等に対する中国や北朝鮮、韓国などの異様な非民主的社会体制の国々による内政干渉機関に過ぎません。

そもそも国連などに日本も米国も分担金を支払うのをやめて、いずれ崩壊させて、なきものにすべきと思います。

ブログ冒頭の記事でトニー・マラーノ氏は、山城博治被告に関する「軽微な犯罪で長期間身柄拘束されており、国際人権規約に違反する」という左翼主張に関して、「こうした問題を放置すると、慰安婦問題のようになってしまう。 親愛なるみなさんと、日本と米国に神のご加護がありますように。欠席裁判にしないためにも、日本政府のきっちりした対応が必要だと思うぜ」と危惧の念を主張しています。

しかし、デビッド・ケイに対しても政府自ら抗議行動をしていることなどから、今後かつての慰安婦問題のように左翼に利用されるということはないのではないかと思います。

この政府の活動に関しては、このブログでも応援していきます。
用語解説【特別報告者】 
表現の自由や拉致問題など特定の国の人権状況を調査・監視し、報告書を提出するため国連人権理事会が任命します。個人の資格で務め、無報酬。任期は最高6年。デービッド・ケイ氏は2014年8月に任命され、任期は3年。日本のほか、カザフスタンやトルコも調査対象としています。
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2016年6月27日月曜日

英国離脱「リーマン級の経済危機」を避けるために、いま日本政府がすべき5つのことを示そう―【私の論評】投票のときの候補者見極めの方法をはこれだ(゚д゚)!

英国離脱「リーマン級の経済危機」を避けるために、いま日本政府がすべき5つのことを示そう


高橋 洋一



 参院選。各党の実力を見極める3つのポイントはここ

選挙期間中は、メディアも街中も政策のウィンドウショッピングと化す。どの政党がどのような政策を我々国民に売ってくれるのか、国民はどの政党の政策を買うのか。もちろん、すべての政策が一致する政党はまずないだろう。すると、どの点に力点を置くのか、になるが、これは個人の問題となる。

選挙ではいろいろな政策を見なければいけないが、大きなポイントは、安全保障と経済である。選挙公約を見ても、いろいろ書いてあるから、判断に迷ってしまうだろう。

そこで、安全保障と経済について、単純な質問を三つ考えてみよう。それらについて各党がどう考えるかを見ることで、どの政党に投票すべきかが簡単にわかる。各党によるテレビ討論では、そうした疑問に答えてくるときもあるので、それを参考にしてもいい。

まず、安全保障では、「自衛隊について合憲か違憲かのどちらと思うか」という質問がいい。高校や大学で憲法を習うと、自衛隊は違憲であると教わることが多い。

実際の憲法学者の大半は、自衛隊は憲法違反であるとしている。筆者が学生時代にも自衛隊は憲法違反であると習った。

しかし、社会人になったら、自衛隊は合憲であることを前提として社会の仕組みができていることがわかった。もし自衛隊が違憲であれば、将来は自衛隊をなくすべきだ。しかし、自衛隊が合憲であれば、このまま自衛隊があっていい。

ちなみに、自民、公明、おおさか維新は自衛隊を合憲としている。共産は一貫して自衛隊は違憲という立場だ。民進は自衛隊が合憲という立場である。民進は共産とこの参院選では共闘しているので、両党から推された候補者は股裂き状態になる。

具体的には、個別的自衛権の行使についてである。民進党は自衛隊合憲、個別的自衛権の行使も問題ないとしている。ただし、共産は自衛隊違憲としているので、個別的自衛権も行使できない、という立場だ。となると、両党は、一体国防をどのように行うのだろうか。

 安保も経済も、民進党はまったくなってない

26日のフジテレビの「報道2001」で、共産党の藤野政策委員長は「自衛隊は憲法違反」と明言した。NHKの「参院選特集」では、藤野氏は「軍事費は戦後、初めて5兆円を超えた。人を殺すための予算ではなく、人を支え育てる予算を優先する改革が必要だ」と述べた。

NHK日曜討論「参院特集」より

この発言には驚いたが、事実を言うなら、他国の軍隊と日本の自衛隊は異なり、人殺しはしない。むしろ、災害救助を中心に行っているので、人助けである。

人殺し防衛費というのは、共産の本音が出たのだろうが、さすがにこの発言は酷いので、これからも藤野氏が出てくるかどうかわからない(編集部注:藤野氏は後日発言を取り消した)。この共産の暴言に対して、自民、公明、おおさか維新などは良識的な反論をしていた。

次に、経済では「新卒者の就職率を高める政党はどこか」がいい質問だ。経済はいろいろな角度から見ることができるが、雇用の確保が最も重要である。雇用の確保ができないと格差問題も解決しない。職がない人と職がある人では格差が最も大きくなるからだ。

雇用の確保が大切といい、就業者数が増えていることや全国各地で有効求人倍率が1を超えているというと、すぐ非正規が増えているだけとか、賃金がまだ上がっていないという人がいるが、その人たちの意見は争点そらしであるから、注意しよう。

非正規でも増えているほうがいい。なぜなら、非正規になる前は無職だからだ。

それに「賃金、賃金」というが、無職から有職になってもはじめの賃金は低い。そのために平均の賃金を見ると下がって見えるが、いままでと同じ賃金の人がほとんどで、そこに無職で賃金なし、ではなく、平均より安い賃金の人が増えているので、下がって見えるだけだ。

このあたりの経済理論からの説明は、2015年12月21日の本コラム「民主党は雇用政策のキホンすら知らないのか…安倍政権批判のつもりが、自らの経済オンチっぷりを露呈」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47022)を読んでいただきたい。

 イギリス離脱のインパクトをどう見積もるか

最後に、経済分野ではここをみよ、という点を。「イギリスのEU離脱に対してどのような政策をするか」という質問は、各党の危機管理能力を示す質問だ。

まず、現状認識としては、先週の本コラムに書いたように、英国離脱が経済に与える影響は、リーマンショック級と思ったほうがいい(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48953)。

EU離脱というかつてない事態がイギリスで起こるわけで、今後のEU離脱交渉の中で予想外のことが起こるたびに、ポンドや株が売られ、円高が進みかねない。

離脱の手続きの行方はまったくわからない。EUに通知してから、2年を原則として正式に離脱が決まるが、EU側は速やかに通知すべきとする一方、肝心のイギリス側は、誰がそれを決めるのかさえ明らかでない。

キャメロン首相は10月までに辞めるが、次期首相候補とされるボリス氏は「離脱交渉を急がない」としている。この不透明感は、あらゆるビジネスを停滞させる。その停滞が不況をもたらす可能性があるのだ。

さらに、その過程の中で、EUの緊縮財政に反対する国、たとえばスペイン、イタリア、ギリシャなどの、さらなるEU離脱を誘発しかねない。そうなったら、それこそ金融混乱は繰り返して起こることとなる。

かつて、リーマンショックの際に「ハチに刺された程度」と対策を怠り深刻な円高不況を招いた過去を忘れてはいけない。

イギリスEU離脱は連鎖反応を起こし、アメリカ経済、日本経済、世界経済を悪くする可能性がある。その二の舞を避けるためには、その影響度はリーマンショック級と見ておくほうがいい。これはあくまで危機管理上の問題なので、そう見るしかないわけだ。

 「雇用」「賃金」の読み解き方

雇用は、正規雇用などの既得権のコア部分ではその変化はわかりにくく、新卒者などの既得権がなく限界的なところでの変化に顕著に表れやすい。

大学の就職率は、文科省・厚労省方が公表しているが、2016年は97.3%と、統計を取り始めた1997年以来で一番高い数字だ。実は、大学の就職率は前年の失業率に依存している(下図)。




前年の失業率が1%低下すると、就職率は3%程度上昇するという関係になっている。景気と失業率の間には、逆相関の関係がある(オークンの法則)から、これは景気がいいと新卒者の就職が楽になるという単純な事実だ。

なお、民主政権時代の2010~2012年の就職率は91~93.6%であった。データから見れば、安倍政権のほうが就職率は高くなっている。

もちろん、就職率なんてどうでもいいという人もいる。一流大学であれば、景気に関係なく就職はあまり困らないし、就職できるかどうかは景気より個人の能力と考える人は、就職率は考慮対象にしていない。

26日のテレビ討論では、自民は雇用の成果を強調したが、民進は、雇用ではなく賃金に話をすり替えた。これでは、経済政策の基本がわかっていないことが明白になってしまう。

 イギリス離脱のインパクトをどう見積もるか
最後に、経済分野ではここをみよ、という点を。「イギリスのEU離脱に対してどのような政策をするか」という質問は、各党の危機管理能力を示す質問だ。まず、現状認識としては、先週の本コラムに書いたように、英国離脱が経済に与える影響は、リーマンショック級と思ったほうがいい(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48953)。
EU離脱というかつてない事態がイギリスで起こるわけで、今後のEU離脱交渉の中で予想外のことが起こるたびに、ポンドや株が売られ、円高が進みかねない。

離脱の手続きの行方はまったくわからない。EUに通知してから、2年を原則として正式に離脱が決まるが、EU側は速やかに通知すべきとする一方、肝心のイギリス側は、誰がそれを決めるのかさえ明らかでない。

キャメロン首相は10月までに辞めるが、次期首相候補とされるボリス氏は「離脱交渉を急がない」としている。この不透明感は、あらゆるビジネスを停滞させる。その停滞が不況をもたらす可能性があるのだ。

さらに、その過程の中で、EUの緊縮財政に反対する国、たとえばスペイン、イタリア、ギリシャなどの、さらなるEU離脱を誘発しかねない。そうなったら、それこそ金融混乱は繰り返して起こることとなる。

かつて、リーマンショックの際に「ハチに刺された程度」と対策を怠り深刻な円高不況を招いた過去を忘れてはいけない。

イギリスEU離脱は連鎖反応を起こし、アメリカ経済、日本経済、世界経済を悪くする可能性がある。その二の舞を避けるためには、その影響度はリーマンショック級と見ておくほうがいい。これはあくまで危機管理上の問題なので、そう見るしかないわけだ。

 イギリス離脱対策。私ならこうする

その意味で、2017年度からの消費増税の見送りは日本にとっては正解だった。

その判断の前提であった安倍首相の「ひょっとしたらリーマンショック級のことが世界に起こりうるリスクがある」というのは(発言当初はさんざんと非難されたが)、結果として慧眼であったといえよう。もし消費増税を決めた後で、イギリスがEU離脱になったら目も当てられないことになっていたはずだ

筆者の考える危機対応策は以下の通りである。

1. 消費増税は延期ではなく、凍結にすべき。

2. 日銀の政策決定会合を臨時で開催して、量的緩和30兆円

3. 参院選後の補正予算で、財政支出 60兆円(20兆円×3年)。財源は、埋蔵金、財投債、国債。支出対象はインフラ整備、減税+給付金。

4. 事実上無制限の為替介入。そのために、今の介入枠を参院選後の補正予算で引き上げる。

5. 1と2、1と3はセット。前者がヘリコプターマネー、後者は非不胎化介入となって効果がある。

26日のテレビ討論では、英国ショックについて、自民の稲田政調会長から「安定政権、国際協調」、民進の山尾政調会長から「円安、株高に依存したアベノミクスからの転換」、共産の藤野政調会長から「アベノミクス転換、内需を強く」、公明の石田政調会長から「国際協調、政治の安定」、おおさか維新の下地政調会長から「大型補正予算、大型金融対策、為替介入の明確化」という対応策が出された。

正直言って、自公からの対応策は抽象的で、日本として何をやるのかが明確でない。民共はアベノミクスの否定であるが、第一、第二の金融政策、財政政策を否定したら、リーマンショック後の対応より酷い、無策である。この両党は危機管理能力がないと言わざるを得ない。おおさか維新だけが及第点をあげられる、と現時点では言っておこう。

【私の論評】投票のときの候補者見極めの方法をはこれだ(゚д゚)!

いつもながら、素晴らしい高橋洋一氏の分析です。来る参院選において、私達が誰に投票すれば良いのかを判断する上で、上の記事を読んでいるかいないかでは、大きな差がでてしまうことと思います。そんなこともあるので、上の記事長いのですが、全文引用させていただきました。

さて、上の記事に関しては特段付け加えることもないのですが、皆さんにより良くこの記事をご理解いただき、選挙のときの判断材料の縁としていただくために、若干説明を加えておきます。

特に、一番最後のほうのイギリス離脱対策に関する部分に関して若干の説明を加えようと思います。

1. 消費増税は延期ではなく、凍結にすべき。

高橋洋一氏は、凍結にすべきということを主張していますが、今後の政治日程などを考慮に入れると、今回の増税延期は実質上の凍結に近いものです。そのことに関しては、以前このブログでも掲載しましたので、その記事のURLを以下に掲載します。
次の消費増税にむけて財務省が打った「布石」〜「給付型奨学金」をめぐる唐突な態度変更の理由―【私の論評】負けたふりの安倍総理!年内衆院解散でデフレ根絶か?


詳細は、この記事をご覧いただくものとして以下に今回の増税は実質的な凍結に近いものであることのみを以下に引用します。
一部の経済学者など、日本は成長しないという人もいますが、これ暴論です。過去の日本がデフレでないにもかかわらず、経済成長しなかったのなら、この話も理解できまが、デフレのまっただ中では、成長しないのが当たり前です。
いずれの道を選ぶべきかといえば、当然のことながら、本当は財務省にとっても、景気が上向くまで、積極財政を実行することです。 
しかし、現在の財務省はそんなことはおかまいなしに、とにかく何が何でも増税するという姿勢は崩していません。
そのことは、安倍総理の「増税見送り」という言葉にも現れています、結局のところ未だ財務省は全面敗北はしていないので、「増税凍結」とはならなかったのです。ただし、これは実質的には、「凍結」と同じです。安倍総理は、「負けたふり」をしているのです。 
なぜなら、増税予定だった17年4月から2年半後の2019年10月といえば、安倍首相の自民党総裁任期である18年9月を過ぎてしまいます。実務的にも19年10月から増税しようとすれば、ぎりぎり19年3月ごろまでに決断すれば良いことになります。 
いずれにせよ安倍首相の任期が終わった時点なので、10%への増税をするかどうか本当に決めるのは、安倍総裁の任期が延長され首相に留任しないかぎり、次の首相という話になります。次の首相が誰になるか分からないのに加えて、次期首相が安倍首相の約束を守るかどうかもわかりません。 
いまの衆院議員の任期は18年12月です。それまでに衆院選があればもちろんですが、任期満了で総選挙になったとしても、選挙結果次第で、最終決断する19年3月時点では自民党政権が続いているかどうかさえも分かりません。 
つまり2年半後の政権が決まっていないのだから、増税がどうなるかは当然、分かりません。結局、はっきりしているのは「いまの安倍政権が続いている間は増税しません」という話だけなのです。 
延期というなら、次は実施できる条件がそろっていなくてはならないはずですが、そんな条件はいま安倍政権の手元にはありません。だから、これは再延期というより実質的には「安倍政権による凍結」というべきです。
 さて、安倍総理はこの記事でも述べたように"負けたふり"をしていると考えられるわけですが、これはかなり良いやり方です。はっきり凍結と言ってしまえば、財務省も身構えて、あるゆることで非協力的になるかもしれませんが、「延期」という言葉を使っているので、財務省の面目も保たれるわけです。

以下の2つの政策を合わせて、高橋洋一氏はヘリコプターマネーとしています。

1. 消費増税は延期ではなく、凍結にすべき。

2. 日銀の政策決定会合を臨時で開催して、量的緩和30兆円

ヘリコプターマネーとは、あたかもヘリコプターから現金をばらまくように、中央銀行あるいは政府が、対価を取らずに大量の貨幣を市中に供給する政策のことをいいます。米国の経済学者フリードマンが著書「貨幣の悪戯」で用いた寓話に由来しています。中央銀行による国債の引き受けや政府紙幣の発行などがこれにあります。


中央銀行は通常、市場に資金を供給する際、対価として民間金融機関が保有する国債や手形などの資産を買い入れます(買いオペレーション)。ヘリコプターマネーの場合、そうした対価を取らずに貨幣を発行するため、中央銀行のバランスシートは債務だけが増え、それに見合う資産は計上されず、債務超過の状態になります。その結果、中央銀行や貨幣に対する信認が損なわれる可能性があるため、平時には行われません。

ただし、現在の日本は8%増税の悪影響で、個人消費が落ち込み、GDPの伸び率が低い状況にあります。インフレ率もかなり低いです。さらに、英国のEU離脱などの悪影響も見込まれるため、とても平時といえるような状況ではありません。であれば、当然のことながら、ヘリコプターマネーを実施すべきです。

日本がデフレから完全脱却を目指し、しかももう20年近くデフレ傾向なのですから、そこから完璧にしかも素早く脱却することを目指すなら、今こそがヘリコプターマネーの実施どきです。しかも、国債の信任はあつく、ほとんど金利がゼロです。今をのがして一体いつ実行するというのでしょうか。

以下の2つの政策を高橋洋一氏は、"非不胎化介入となって効果がある"としていますが、これについての説明がないので以下に解説しておきます。

1. 消費増税は延期ではなく、凍結にすべき。

3. 参院選後の補正予算で、財政支出 60兆円(20兆円×3年)。財源は、埋蔵金、財投債、国債。支出対象はインフラ整備、減税+給付金。

そもそも「非不胎化」という日本語は、「非」と「不」の二重否定が「胎化」に被さっており、こなれていません。もともと「不胎化」は、sterilizeの経済学での訳語です。sterilizeとは、無力化するとか無効化するという意味である。「非不胎化」は、その否定でunsterilizeの訳です。

これらの英語で議論されていたころは、固定相場制が当たり前であり、いずこの政府も中央銀行の資金を使って、為替介入をしていました。



何やらこの解説だと消化不良をおこしてしまう方もいらっしゃるかもしれません、結局どういうことかといえば、ざっくり言えば1.3.の政策を実行することにより、政府や日銀は特段為替介入など何もしなくても、円安傾向にもっていけるということです。

以上高橋洋一氏の記事に解説を加えました。

以上のことを良く理解した上で、各候補者の声を聞けば、誰がまともなことを言っているのか、良くご理解いただけるものと思います。特に、経済に関してはそうです。

以上のことを良く理解しないで、投票すれば、良かれと思って投票した結果が、とんでもないことになりかねません。そんなことのないように、皆さんには是非上の内容を熟知した上で、投票をしていただきたいと思います。

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2016年2月22日月曜日

朝鮮学校の補助金中止通達へ 日本政府、北への新たな制裁措置―【私の論評】朝鮮半島は有事一歩手前、当然の措置(゚д゚)!


朝鮮総連中央本部千代田区)。朝鮮学校の教育内容、人事、財政に影響を持つ

 日本政府は、核実験や事実上の弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮への制裁措置として、新たに朝鮮学校に補助金を支出している地方自治体に対して、中止を求める通達を出す方向で検討に入っている。朝鮮学校と朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の関係はよく知られている。この問題に詳しい、自民党の長尾敬(たかし)衆院議員に聞いた。

 「政府は、北朝鮮への独自制裁措置を決定したが、朝鮮学校への補助金中止要請は含まれていなかった。朝鮮学校には問題が多い。地方自治体とはいえ、公的な補助金を投入すべきではない」

 長尾氏はこう語った。衆院・北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会のメンバーでもある。
長尾敬衆議院議員
 朝鮮学校は、在日朝鮮人の子女が通う学校。朝鮮総連の強い影響下にあるとされ、北朝鮮の指導者を礼賛する特異な教育が行われているという。2013年度で、都道府県からは計約1億7000万円、市町村からは計約1億8000万円、全国で計約3億5000万円が投入されている。

 このため、北朝鮮の暴挙を受けて17日に開かれた自民党の拉致問題対策本部の会合では、出席者から「地方自治体が朝鮮学校に支出している補助金の廃止を検討すべきだ」という意見が出た。

 長尾氏は「会合では、公安調査庁から初めて、『朝鮮総連には工作員などが(日本国内に)約7万人いる』という報告があった。私が『その中に朝鮮人学校の関係者が含まれているのか?』と質問すると、同庁は『その理解で結構です』とはっきり認めた」という。

 北朝鮮は12日、日本の独自制裁強化を受けて、拉致問題に関する特別調査委員会の解体を表明した。自国が国際社会の制止を無視して核実験やミサイル発射を強行しておきながら、国家が主導した残酷極まりない誘拐拉致事件の調査を止めるなど、日本国民として認められる話ではない。

 長尾氏は「朝鮮学校と朝鮮総連が“財務上の関係”にあることは、すでに警察庁も公安調査庁も国会答弁で認めている。自治体は『教育上の観点』から支出しているが、補助金を支出する必要はない。現在、文科省が補助金中止の通達を検討している。ぜひ、世論も後押ししてほしい」と語っている。 (ジャーナリスト・安積明子)

【私の論評】朝鮮半島は有事一歩手前、当然の措置(゚д゚)!

この措置当然といえば、当然です。いや、それどころか、そもそも今まで在日朝鮮人の子女が通う学校に補助金を出していたということ事態が異常です。

朝鮮人学校の概要を以下に掲載しておきます。
  • 在日朝鮮人に対して朝鮮語を用いた教育を行う民族学校(教育施設)。
  • 韓国系学校とは異なる(参照:韓国学校(wikipedia) )。
  • 校長人事などの運営および教育内容については、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)中央本部および朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の支配政党である朝鮮労働党が決定している。
  • 北朝鮮は、朝鮮学校に教育援助費と奨学金を送っている。
  • 幼稚班・初級学校・中級学校・高級学校・大学校があり、教育課程は、日本の6・3・3・4制に合わせたもので、北朝鮮国内の学校制度とは異なる。
    これらの教育施設はすべて各種学校(学校教育に類する教育を行うもので、所定の要件を満たす教育施設)であり教育基本法6条・学校教育法1条に定める「法律に定める学校(1条校)」には該当しない。
海外にある日本人学校の場合、現地の政府から補助金を受けているというケースはまずはありません。そのような事例をご存知の方がいらっしゃれば教えていただきたいものです。

では、海外の日本人学校がどのように運営されているのか、特に金銭面ではどうなっているかといえば、主に現地の日系企業や日本人会からの寄付、保護者の負担、日本国政府からの補助等で成り立っています。

ただし、現地政府のはからいにより、賃貸料を安めにしてもらったり、一定程度の免税等、協力をしてもらっているケースもあらますが、それ以上のことはありません。そのような場合でも、現地人の雇用(事務、清掃、運転手、警備員等含め)という点で、ギブアンドテイクのことが多いです。現地採用者の減給や解雇が認められない等、条件付きの事も多いです。

海外における日本人学校が、日本の朝鮮人学校のように、地方自治体から直接補助金を受けているという事例はありません。

さらに、日本における朝鮮以外の外国の学校はどうなのかといえば、無論地方自治体から補助金を受けているという例はありません。

東京のインターナショナル・スクール
東京には、アメリカン・スクール、インド人のインターナショナルスクールもありますし、フランス語圏のリセ・フランコ・ジャポネ・ド・東京もあります。群馬県にはブラジル人のエスコーラ・パラレロもあります。横浜中華街には横浜中華学院もあります。

ところで、このらような外国人の学校の学費はどのくらいかというと、インターナショナルスクールによって違いがあるものの、一般的には特別な出費を除いた学費だけで年間200万円以上が目安と言われています。

日本には、朝鮮人以外の外国人も多数働いていて、日本人と同様、税金だって地方税だっ年金も長期滞在の人は、支払い義務を果たしています。しかし、朝鮮人の学校は、補助金が地方自治体から支給されていますが、それ以外の学校には支給されていません。

無論、外国人の子弟でも、当然のことながら、日本の普通の小中高校には入学できます。その場合は、日本人の子弟と学費その他は、全く同様です。

日本の高校に通う外国人の女子高生
朝鮮人学校だけが例外中の例外です。このような補助金は、本来あってはならないはずです。朝鮮人学校も当然のことながら、北朝鮮から補助金等で賄われるのが筋です。

北朝鮮の暴挙というと、最近の大陸間弾道弾の打ち上げや、核兵器開発などがクローズアップされがちですが、そんなことよりも何よりも、日本人多数を拉致したゴロつき国家です。

朝鮮人学校の各教室には、故金正日主席、現金正恩総書記の父・子の肖像画が掲げられ、主体思想が教えられていることも明らかです。北朝鮮では、金日成主席は「首領さま」、金正日総書記は「将軍さま」と呼ばれ、金正恩は「偉大なる指導者」などと呼ばれています。そうして、独裁者への個人崇拝教育が、日本国内でも行われています。

朝鮮人学校の教室 金正日と金正恩の写真が黒板の上に掲げられている
北朝鮮といえば、金正恩の所業も酷いものですが、その父親の金正日も、ラングーン爆弾テロ(1983年)や、乗客・乗員115人が犠牲になった大韓航空機爆破事件(1987年)を計画したとされ、日本人拉致事件にも直接深くかかわっている疑いが強いです。

横田めぐみさんは13歳を迎えた翌月に拉致されました
拉致されて、未だ日本に帰還できない日本人のことを考えると、国家テロを主導する独裁者を神聖視する教育は我が国の国民感情としてとうてい受け入れられないですし、地方自治体から直接補助金を支払うなどのことは、即刻永久に中止すべきです。

が朝鮮学校に支出している補助金の廃止は、永久中止の前段階として、実施すべきです。

それにしても、日本の野党は何を考えているのはわかりません。今の状況だと、解散総選挙すると、自民党は270~280議席程度を獲得できる見込みです。

その対抗策として、5野党(民主党、共産党、維新の党、社民党、生活の党)は党首会談で
1.安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を共通の目標とする。
2.安倍政権打倒をめざす。
3.国政選挙で現与党及びその補完勢力を少数に追い込む。
4.国会における対応や国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力を行う。
を決めたそうです。結局のところ、安保法制しか共通点はありません。これでは野合です。このほかに、消費増税ストップくらいは出てくるでしょうがが、安倍政権も同じように対抗するはずで、野党は経済政策では全く対抗できません。

しかも、このブログでも最近何度か掲載したように、朝鮮半島は有事一歩手前の状況なのに、安保法制廃止とは冗談としか思えません。

野党は、朝鮮人学校についてどのように見ているのでしょうか。やはり、彼らは朝鮮人学校の補助金を切るなどということは、思いも浮かばないのでしょうか。

朝鮮人学校の補助金を切るなどと国会で与党が公表しようものなら、野党はやっぱり大反対で、「北朝鮮と戦争になる」などと意味不明のことを言い出し、またまた国会でまともな審議ができなくなるのでしょぅか。そんな野党からは、ますます国民の心が離れ、次の選挙で野党はとてつもない大敗を喫することになりそうです。

この異様なアンバランス何とかしてほしいものです。

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