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2017年10月18日水曜日

【激闘10・22衆院選】自民危ない与野党大接戦の59選挙区 立憲民主追い風、失速から挽回試みる希望 選挙プランナー分析―【私の論評】実体は民主党菅政権の立憲民主党に引導を渡せ(゚д゚)!

【激闘10・22衆院選】自民危ない与野党大接戦の59選挙区 立憲民主追い風、失速から挽回試みる希望 選挙プランナー分析

希望の党の失速で、枝野代表率いる立憲民主党は
躍進の勢いだ=17日午前、東京都葛飾区
10・22衆院選の投開票日まで1週間を切った。報道各社は中盤情勢について、「自公3分の2超へ」(産経新聞17日付朝刊)、「自民 最大300超も」(毎日新聞16日付朝刊)などと、安倍晋三首相(総裁)率いる自民党の優勢を伝えているが、選挙は投票箱のフタが閉まるまで分からない。夕刊フジで、選挙プランナーの松田馨氏に情勢分析を依頼したところ、何と59選挙区で与野党候補が大接戦を繰り広げていた。失速からの挽回を試みる小池百合子代表(都知事)の希望の党や、野党第1党をうかがう枝野幸男代表の立憲民主党…。自民党は16日夜、50超の選挙区を「重点区」に指定し、党幹部や閣僚らの投入を決めた。激戦区の勝敗次第では、選挙結果は大きく変わる。

 「前回衆院選(2014年12月)で、小選挙区でも敗れながらも、比例復活した候補がいる選挙区が激しく競り合っている。報道各社が『与党優勢』と中盤情勢を伝えており、アナウンス効果で有権者の投票行動に影響を及ぼす可能性が高い。今後、与党幹部のちょっとした失言が命取りになることもある」

 松田氏は16日、こう語った。最新の情勢分析では、289ある小選挙区のうち、59選挙区で与野党候補が拮抗(きっこう)していた。自民党の「優勢予測」など、一気に吹き飛びかねない僅差といえる。

 注目の59選挙区は別表の通り。


 松田氏は激戦都府県として「東京」「神奈川」「山梨」「新潟」「愛知」「大阪」-を挙げた。大まかな傾向として、(1)激戦区では、立憲民主党がやや優勢(2)希望の党は他党の差別化で苦戦(3)民進党出身の無所属が底力を見せる-などだ。

 東京では、小池氏率いる希望の党の失速が大きい。小池氏の衆院議員時代の地盤・東京10区を引き継いだ若狭勝氏までが「やや劣勢」で、小池氏と二人三脚で追い上げを図っている。小池氏は豊洲移転問題で、石原慎太郎元都知事を激しく攻撃した。石原氏の3男、宏高元内閣府副大臣も当初、東京3区で劣勢が伝えられたが、「やや優勢」に盛り返してきた。

 希望の党の劣勢は、全国に及んでいる。大島敦・元民進党幹事長(埼玉6区)や、山井和則・元民進党国対委員長(京都6区)、馬淵澄夫・元民進党選対委員長(奈良1区)も「やや劣勢」だ。

 大阪では、前職3人が激突する大阪11区が注目される。

 自民党の佐藤ゆかり元経産政務官と、無所属で出馬した平野博文元官房長官、「Dr・イトー」としてメディアの露出度も多い日本維新の会の伊東信久氏が三つどもえの戦いを演じている。佐藤氏が「やや優勢」だが、維新のおひざ元だけに、最後まで分からない。

 このほか、与党大物としては、鈴木俊一五輪相(岩手2区)や、金田勝年前法相(秋田2区)もギリギリの戦いだ。

 過去にも、中盤情勢で「与党圧勝」が伝えられながら、最後に大負けした選挙がある。2000年6月の「神の国解散」だ。報道各社は、自民党が単独で安定多数(260議席、当時)を確保し、自民、公明、保守党の与党3党で300議席に迫ると伝えていた。

 ところが、森喜朗首相が投開票日の5日前、「無党派層は寝ていてくれれば」と、日本選挙史に残る大失言を炸裂(さくれつ)させ、有権者の強い反感を買った。投票率も上昇し、自民党は小選挙区と比例合わせて233議席となった。事前予測よりも二十数議席減となり、森氏の求心力は低下し、翌年2月の退陣へとつながった。

 有権者の投票行動を左右するアナウンス効果も気になるところだ。

 劣勢と伝えられた候補や政党に支持が傾く「アンダードッグ効果」が働けば、野党側に有利となる。反対に「勝ち馬に乗ろう」として、優勢と報道された政党や候補者に投票しがちになる「バンドワゴン効果」が出れば、与党が有利なまま選挙戦を終える。

 松田氏は「アナウンス効果がどう出るか、正確に分析するのは難しい。ただ、有権者の間には『自民党の勝ち過ぎ』に警戒感が広がっているのは間違いない。野党では、立憲民主党に行った民進党出身者が支持を集め、各選挙区で善戦している。一方、希望の党に行った候補は苦戦している。野党でも明暗が大きく分かれているようだ」と語った。

 夕刊フジは前回予測(10日発行)で、いち早く、「自民、公明両党で300議席を超える」可能性を報じた。希望の党の失速で「政権交代」の可能性が後退し、有権者の衆院選への関心が低下し、投票率が下がり、自民党に消極的支持が集まり、議席数を伸ばす-という分析だ。

 現状では予測に近いが、「火事は最初の5分、選挙は最後の5分」といわれる。少しの油断が有力視されていた勝利を逃し、最後まで諦めない姿勢が大逆転を現実にする。

 官邸に近い関係者は「あまりにも無風過ぎて怖い。これまでも、ちょっとしたことが大きな反動になったことがある。気を引き締めなければならない」と語った。

【私の論評】実体は民主党菅政権の立憲民主党に引導を渡せ(゚д゚)!

都内では、立憲民主党の動きが活発です。以下に都内の、選挙戦の状況をまとめておきます。

25選挙区中、与党が20の選挙区で優位に立つ。野党は、立民が5選挙区でリードする健闘をみせ、都知事の小池百合子が代表を務める希望は苦戦しています。

※「接戦」「競り合う」「互角」等の表現は、名前が前の方が僅かにリードしている状況を指します。

1区は、前回は民主党代表ながら落選した立民海江田が優勢に立ち、自民山田が追っています。

「安倍さんの歩いてきた4年10ヶ月はことごとく憲法を踏みにじった足跡だ!!」と訴えた海江田氏
2区も、立民松尾が自民辻をわずかに先行、希望鳩山は支持の広がりに欠けています。
自民辻氏に先行する松尾あきひろ氏
3区は自民石原が過去5回競り合ってきた希望結党メンバーの松原をリード。

4区は自民平が圧倒しています。

5区は、立民手塚と自民若宮が競り合う。自民から希望に移り国替えした福田は劣勢を強いられています。

自民若宮氏と競り合う立憲民主党手塚よしお氏 民主党時代のポスター
6区は、立民落合が左派系の票も取り込んでいるが、自民越智が優勢です。

7区は、知名度の高い立民長妻が優位に立ち、自民松本が追いかけている。希望荒木は失速気味です。

立憲民主党代表代行の長妻氏
8区は自民石原が立民吉田、希望木内を寄せ付けず圧倒しています。

9区も自民菅原が大きくリードしています。

10区は、自民鈴木が三つどもえの激戦から一歩先行、立民鈴木、希望若狭が追いかけています。

11区は自民下村が8選に向け他候補を圧倒。

12区は、公明太田が自民票も取り込み優位に立ち、共産池内は政権批判票の上乗せで激しく追っています。

13区は自民鴨下、14区は自民松島がともに優勢。15区も自民秋元が希望柿沢を引き離しています。

16区は、立民初鹿と自民大西が互角の戦い。希望田村は伸び悩んでいます。

自民大西氏と互角の戦いをする立憲民主党初鹿氏
17区は自民平沢が圧倒。18区は、自民土屋が優位に立つ中、立民菅が激しく追っています。

19区は自民松本が頭一つ抜け出し、立民末松が追う。20区は自民木原が大きくリードしています。

21区は自民小田原が希望長島をわずかに上回っています。

22区は自民伊藤が立民山花を抑えています。

23区は自民小倉を希望伊藤が追う。24区は自民萩生田、25区は自民井上がそれぞれ優勢です。

※希望の党の東京比例復活枠は現在の情勢だと3議席しかないので、長島・松原・柿沢・伊藤の惜敗率次第では若狭は比例復活すらできない可能性もあります。

最新のJX通信社 衆院選第4回情勢によれば、立憲民主党に無党派・政権不支持層から最多の支持を得ているそうです。

報道ベンチャーのJX通信社では、9月下旬以来毎週、東京都内で衆院選情勢調査を実施しています。10月14日(土)・10月15日(日)の両日に実施した最新の調査(第4回)では、比例東京ブロックでの投票意向首位は自民党で30%(1ポイント増)となる一方、第2党として立憲民主党が23%(5ポイント増)で続きました。2週間前の前々回調査で首位だった希望の党は2週続けて投票意向を減らし、16%(前回比2ポイント減)にとどまりました。

支持政党別では、支持する政党はないとしたいわゆる無党派層が30%(前回比4ポイント減)、自民党が28%(2ポイント増)となった他、立憲民主党が19%(4ポイント増)、希望の党が11%(2ポイント減)、共産党が6%(1ポイント増)と続きました。
東京都内では投票意向先、政党支持率ともに立憲民主党が希望の党を大きく上回り、第2党の位置を占める傾向が明確になったと言えます。
加えて注目すべきなのは、無党派層の投票先です。無党派の有権者に比例代表東京ブロックでの投票意向先を聞いたところ、最多となったのは立憲民主党の17%でした。前回まで無党派層で最多の支持を集めていた希望の党は16%となり、立憲民主党を1ポイント下回りました。
立憲民主党は安倍政権を支持しないとする「政権不支持層」からも最多の支持を得ており、東京都内では非自民・反政権票最大の受け皿となりつつあります。

希望の党を率いる小池百合子知事の東京都内での支持率は前週比3ポイント減の34%でした。不支持率は59%となり、今年1月の都内での調査開始以来最も高くなっています。対する安倍政権の支持率は41%で、不支持率は54%でした。

今回の調査に加え、過去の選挙結果や調査データをもとに衆院選比例代表東京ブロックでの各党の獲得議席(定数17)を予測したところ、自民党が6議席を固め、最大で8議席までの伸びしろがある状態で第1党となる可能性が高いです。続く第2党は立憲民主党で現状4議席を固めており、最大で6議席まで獲得できる可能性があります。希望の党は3議席を固めたが上限は届いても4議席と見られ、共産党と公明党はそれぞれ1~2議席にとどまりそうです。日本維新の会は1議席を獲得できるかどうか微妙な情勢です。


また、東京都内に25ある小選挙区では、支持を伸ばしている立憲民主党の候補が自民党候補と接戦になっている選挙区が複数あり、情勢が注目されます。東京の25小選挙区のうち、各党で獲得が見込まれる選挙区の数は上図の通りです。昨年の参院選では、事前の情勢分析の相場観よりも1人区で自民党候補が敗北するケースがやや多くなり「取りこぼし」を指摘されました。立憲民主党の候補擁立に関しては、公示間際に「野党共闘」の枠組みで共産党が候補を下ろした選挙区もあります。立憲民主党への支持が短期間で伸びたことで、東京都内の小選挙区でも同様の自民「取りこぼし」の現象が生じないか注目されます。

上では、立憲民主党の都内での状況をお伝えしましたが、この傾向全国に波及する可能性もでてきました。

それにしても、都内の無党派層の方々は、立憲民主党とは何者なのか理解されているのでしょうか。

そもそも、代表の枝野幸男は極左暴力集団革マル派からの資金提供について答えてないですし、立憲民主党は菅・枝野・辻元・長妻など菅内閣のメンバーそのままです。しかも菅は菅政権は良かったと未だに言っています。過激派との関係も深刻です。いわゆる彼ら支持する市民とは過激派かもしれないです。違うと言うなら枝野は革マルとの関係等を選挙前に説明すべきです。

有権者その中でも無党派層のみなさん 騙されてはいけません。 民進党は 「希望の党」と 「立憲民主党」の二つに分裂し 2種類の党名を名乗っていますが いずれにしても 元は”あの民進党”です そのことをお忘れなきように。


それは、立憲民主党の手作りの選挙カーをみてもよくわかります。以下に手作り前と、手作り後の写真を掲載します。

改造前
 
改造後
立憲民主党の生い立ちは、衆院選で民進党ではほとんどの議員が、当選できないことが予想されたため、 民進党の両院総会において、満場一致で希望の党へ の合流を決めました。 このときには、辻本議員も「小池さんは日本のメルケル、シンパシ-を感じる」と発言しました。 ところが、小池さんにゴミはいらんと廃除されました。その途端に 「 小池はクズだ!無所属出馬だ!  でも多くの議員が、無所属しんどい大変だということになり、 そうして、そのようなゴミの受け皿として、立憲民主党旗揚げされました。立憲民主党は、 まったく筋の通らない、ゴミのような人たちの集まりなのです。

そうして、このゴミと過去を比較すると、過去最悪の民主党菅内閣の主要閣僚が立憲民主党のメンバーであることがわかります。


このような立憲民主党は衆議院で日本を機能不全にできる拒否権(1/3)を狙っているとしか思えません。国会で、拒否権を発動されたら、日本は何もできなくなるかもしれません。しかも、共産党と希望の造反組と合算でそれを狙っているのでしょう。何が何でも、改憲を阻止したいのです。彼らは、かつての民進党と同じように考え方がバラバラなのですが、ここだけは一致しています。

立憲民主+希望+共産党の勢力が衆院で、本当に1/3以上になり、国会で拒否権を発動できるようになれば、いわゆるねじれ国会どころではありません。北朝鮮対応も満足にできなくなり、韓国、北朝鮮の思うがままにあしらわれるようになるかもしれません。そうなれば、米国などからも見放されます。そうなれば、日本は韓国・北朝鮮の属国になってしまうかもしれません。そうなれば、最終的には中国の餌食になるしかなくなります。これが、彼らの狙いでしょう。

この立憲民主党の動きは、いつか通った道を思い出させます。そうです。 8年前マスコミにだまされて出来た民主党政権の暗黒時代です。立憲民主党あの民進党の菅内閣と同じ顔ぶれです。 経済も日米同盟も他国のとの外交もぼろぼろになり、 中国と朝鮮半島は大喜びしました。現在は、やっと安倍政権が民主党政権でボロボロになった日本を立ち直らせている途中です。 立憲君主党を支持する人々は、また地獄に自ら落ちに行くつもりなのでしょうか。そこまで、考えていないというのなら、考え直すべきです。

だからこそ、自公圧勝報道に騙されるべきではありません。自公は最後まで手を抜かないで、取りこぼしのないようにしていたただきたいです。

そうして、有権者は過去の民主党の亡霊のような立憲民進党に今回の選挙で、引導を渡すべきです。
民主党菅政権

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2017年5月5日金曜日

ルペン氏、偽ニュースも利用=挽回に必死―仏大統領選―【私の論評】ローマ帝国が瓦解したように、EUもいずれ崩壊する(゚д゚)!

ルペン氏、偽ニュースも利用=挽回に必死―仏大統領選

国民戦線のルペン候補
 フランス大統領選の決選投票が7日に迫っている。

 世論調査では中道系独立候補のマクロン前経済相(39)が優勢を保ち、極右政党・国民戦線(FN)のルペン候補(48)は足踏みが続く。挽回に必死のルペン氏は、偽ニュースさえ利用してマクロン氏を批判したり、事実に基づかない主張を繰り返したりするなど、なりふり構わない姿が目立っている。

 「あなたが租税回避地に口座を持っていると後で判明しないことを願う」。ルペン氏は3日のテレビ討論で、金融機関勤務時代に巨額の報酬を得たマクロン氏の「税逃れ疑惑」に言及した。マクロン氏は「中傷だ」と直ちに否定している。

 仏メディアによると、ルペン氏がこの発言のために参照したのは、トランプ米大統領の支持者とみられる人々が3日に英語で配信した偽ニュースとされる。この記事は「マクロン氏脱税か」と題し、同氏の偽造サインが書かれた租税回避地の口座運用に関する偽の契約書まで掲載していた。

 親ロシア的な考えを持つルペン氏の当選を狙い、ロシアが情報操作を仕掛けた可能性も取り沙汰される。マクロン氏は4日、虚偽情報流布の疑いで当局に被害届を出し、検察が予備捜査に着手している。

 また、ルペン氏は3日の討論で「ユーロ導入を機に物価が上昇した」と主張した。しかし、仏紙ルモンドは「ユーロ導入以前から物価上昇は始まっている」と反論。同紙は、事実誤認に基づくルペン氏の発言が19に上ったと指摘した上で、昨年の米大統領選で誇張や放言を繰り返したトランプ氏の手法と類似していると分析した。

 ルペン氏は自国通貨復活や移民受け入れ制限を通じ景気や治安を改善すると主張。失業やテロの不安におびえる人々の支持を集める。しかし、ルペン氏の思想は排他的だとして危険視する層も多い。仏紙レゼコーが4日発表した世論調査結果では、マクロン氏が61%の支持を得て39%のルペン氏を引き離している。

【私の論評】ローマ帝国が瓦解したように、EUもいずれ崩壊する(゚д゚)!

独立候補のマクロン前経済相
上の記事を読んでもわかるように、相変わらず日本のマスコミの報道は浅薄です。このブログでは、もっと根本に遡り、EUが今後どうなるのか、私の考えを掲載させていただきます。

マクロン氏もルペン氏も既存政党出身ではないという共通点があり、それが選挙の帰趨をわかりにくいものにしています。そうして、両者の経済政策は好対照です。マクロン氏は、欧州連合(EU)や単一通貨ユーロの枠組みを堅持し、合法的な移民についても受け入れるとしています。内政では、公務員・議員定数削減を行いつつ、法人税減税や失業保険創設などを訴えています。

他方、ルペン氏は、自国優先主義を主張しています。具体的には、ユーロからの離脱と旧通貨フランの復活、外国人を雇用する企業への追加課税、輸入品への3%関税-といった政策を掲げています。

両者の違いは、フランスの「失業率10%」をどう見るかで異なってきます。フランスの失業率は、1970年代初めは3%台を切る水準でした。それが急速に上昇し、9%台がほぼ定位置になってしまいました。そうして、最近では10%の水準です。

フランスの失業率の推移
隣国ドイツはの失業率は、3・9%です。ドイツにとっては、失業率を下げるための金融緩和は不要であり、フランスの高失業率は構造失業率が高いためで、構造改革して失業率を下げるべきだという理屈になります。

しかしフランスにとっては、金融緩和すれば10%の高失業率を下げる余地がまだあるのに、フランスは単一通貨のユーロ圏でもあるので、金融政策は自国の自由にはならず、ドイツの事情をくむ必要があるため実施できません。そこでユーロを離脱してフランスの事情だけで金融緩和できるようにすれば雇用を確保できることになります。

さらに、財政政策についても問題があります。フランス経済は簡単にいえば、より積極的な財政政策を必要としていることは明白です。しかし、EUの中心国であるドイツは相変わらず財政規律を重視するスタンスを崩していません。また積極的な財政政策もEUの制約に服さなければいけません。マクロ経済政策的には金融政策も財政政策も自由度がかなり限られているのです。

そうしてやっかいなことに、ドイツにはもともと財政規律を重んじる土壌があります。この秩序(オルド)を重んじる経済思想の風土は、戦後のドイツ経済思想の根幹といって良いものです。

このオルド自由主義は、ルペン氏や米国のトランプ政権を支えているようなポピュリズム的傾向を否定しています。例えば、大衆消費、大衆向きの生産が拡大し、それが産業の独占化を招き、経済を閉塞(へいそく)してしまう、というのがオルド自由主義の見方です。全く理解に苦しむ、謎と言っても良い理論です。

オルド自由主義は、20世紀ドイツで生まれた社会思想で、自由主義思想の一つです。オルドー自由主義、秩序自由主義ともいいます。オルド自由主義に基づいて社会的市場経済がつくられた。また、新自由主義の源流の一つとされる。独占・寡占を導く古典的自由主義(自由放任主義)と計画経済はともに全体主義や経済の破綻を導くと批判し、消費者主権の経済を主張しました。そのため再分配を支持し、カルテルやコンツェルンを否定している。

オルド自由主義の創始者ヴァルター・オイケン
このオルド自由主義は、債務(政府の借金)を否定的にとらえている倫理的な価値判断も強く、そのため積極的な財政政策を嫌い、財政的な秩序を重んじる傾向にあります。簡単にいうと、大衆の欲求よりも、道徳的な秩序を最優先に考えるものです。このオルド自由主義の経済思想が、ドイツの経済政策や世論さえも拘束しています。

このように、国内の雇用確保で考えればルペン氏の政策のほうが分がいいです。しかし、対外関係重視だとマクロン氏の政策にも一理あり、これはフランス国民の選択に委ねられることになります。

ルペン氏が勝利すると、短期的にはユーロの動揺が起こることでしょう。これはギリシャ危機の時に、ユーロがかなり混乱したことの二の舞いです。

もっとも、長期的にみれば、ユーロという単一通貨で複数の国を縛り付けておき、さらにはオルド自由主義により他国の財政政策を縛り付け、結果としてドイツだけが独り勝ちになるというデメリットよりも、複数通貨によって各国で最適な金融政策と財政政策をするメリットの方が上回ります。

マクロン氏が勝利すれば、今の体制が維持されるので、短期的には大きな混乱はないはずです。しかし、フランス国内の高い失業率を下げるのは容易ではないです。しかも移民受け入れにも支障が出て、長期的には問題含みになることは必定です。

私自身は、EUはいずれ破綻するものと思っています。人為的にたとえ一つの経済圏を作ったとしても、それを構成している各国の経済レベルがあまりにも違います。少し考えれば判ることですが、ポルトガルとスゥエーデンの経済はかなり異なります。ポルトガルの経済は未だ労働集約的ですが、イギリス、ドイツ、イタリアなどの先進国では資本集約的な経済になっています。

そのため、EU圏内で、不振対策をしようということになると、ごく標準的なものにならざるを得ず、一旦不況に陥れば、回復するまで結構時間がかかります。

EUのように、ヨーロッパ全体が団結して、大きな影響力を持とうという試みは、大昔からありました。その起源はローマ帝国にまで遡ります。ローマ帝国が栄えていたころは、現在のイギリス、スペイン、フランス、ドイツなど現代のEU圏にある経済大国がすべてローマ帝国の版図に編入されていました。

だから、ヨーロッパの人たちには、大昔からローマ帝国への憧憬の念や、憧れの念がありました。そのため、ローマ帝国滅亡より、機会があれば一致団結しようとしました。これは、古くは神聖ローマ帝国にまで遡ります。

ナポレオンのヨーロッパ征服、ヒトラーのナチスドイツによるヨーロッパ征服なども、ことごとく失敗しました。

おそらく、これからも無理だと思います。だから、私は、EUも結局は成功しないと思います。長い間には必ず失敗し没落していくものと思います。

過去のローマ帝国は、強力なローマ軍団による他国に抜きん出た軍事力があったからこそあれだけ版図を広げて、維持することができたのであり、現代では過去のローマ帝国の再現など単なる幻想に過ぎません。

それと、 現在のEUは過去のローマ帝国とは違い、意思決定にあまりにも時間がかかりすぎます。ローマ帝国の意思決定は、ローマ帝国の元老院(皇帝による場合もあった)によって行われました。しかし、現在のEUは欧州会議によるものです。元々は別の国だった数々の国の代表者からなる会議を運営するのは至難の技です。

そうして、当のローマ帝国も瓦解しているわけですから、EUが将来どうなるかなど、推して知るべきです。

ローマ帝国の重装歩兵
さらに、経済対策も、EUの経済対策は、必ずしも個々の国にとって良いことばかりではありません。EU全体の経済という考え方で行うため、この経済対策では経済が良くならない国には、不満が鬱積することになります。

EUは、いずれ滅ぶでしょうが、最近その予兆として、イギリスの国民投票によるEU離脱の表明、今回のルペン氏の躍進など様々な綻びが目立って来ているのだと思います。

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