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2017年5月7日日曜日

北朝鮮への武器輸送支援、67歳邦人野放し ミグ21戦闘機や大量ロケット弾…国内法整備追いつかず、制裁「本気度」問われる政府―【私の論評】憲法論議を憲法典の字面の改変程度に矮小化したつけがまわってきた(゚д゚)!

北朝鮮への武器輸送支援、67歳邦人野放し ミグ21戦闘機や大量ロケット弾…国内法整備追いつかず、制裁「本気度」問われる政府

 核・弾道ミサイルの開発に絡み、北朝鮮が求める巨額の外貨や物資、技術者の移動阻止が世界的課題となる中、日本の対北制裁への取り組みについて専門家から厳しい見方が出ている。国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会専門家パネルが、北朝鮮の制裁違反を繰り返し幇助(ほうじょ)したと断じた企業の日本人経営者の男(67)についても、国内法の未整備もあり制裁措置は取られていない。安保理決議には法的拘束力がある。違反を放置すれば日本の対北制裁への“本気度”を疑われかねない。(加藤達也)


 2013年7月、パナマ政府によって北朝鮮貨物船「チョンチョンガン」が拿捕(だほ)された事件が契機となり、北朝鮮海運事業に関与する香港企業が浮上した。

パナマで拿捕された北朝鮮貨物船「チョンチョンガン」 
 拿捕された船舶は北朝鮮の海運大手「オーシャン・マリタイム・マネジメント(OMM)」(本社・平壌)の所有で、キューバから北朝鮮へ向けミグ21戦闘機の胴体など大量の武器を運搬していた。

「中核的存在だった」

 調査の過程で、OMMと密接に連携する香港企業の経営者である日本人の男の存在が判明。一方、専門家パネルは安保理決議違反で14年7月、OMMを制裁対象に指定し、船舶の移動も禁じた。ところが、香港企業が複数の船舶をOMMに代わって運航、制裁は骨抜きになっていた。

 パネルは香港企業が同年12月、貨物船「グレート・ホープ」を中国から北朝鮮に移動させた事例などをつかみ、制裁違反に加担したとして香港企業を制裁対象に追加した。

 パネル報告書などによると、男は1990年代、OMMの前身の頃から北朝鮮の海運に関与。事実上のOMM東京事務所の所在地と同じ東京・新橋駅前の雑居ビルの一室に海運会社を登記していた。少なくとも香港で北朝鮮のフロント企業11社を運営し、中国人と協力して多数の船舶を動員。「海運分野で北朝鮮の制裁違反を手助けするネットワークの中核的存在だった」(海事関係者)

 ネットワークは制裁で身動きが取れない北朝鮮海運のため船舶を融通し、武器輸送などで暗躍。昨年8月、エジプトで大量の携行式ロケット弾が押収された事件にも関与していた。

法整備が追いつかず

 香港企業を経営していた日本人の男について、パネル報告書は実名を記載。日本政府関係者によると、男は現在、活動を休止しているとみられる。ただ、日本政府が安保理制裁決議違反だとして制裁や法的措置を科した形跡は見られない。

 対北安保理決議(1718、2094)は制裁違反を行った個人に対して、渡航禁止措置を科すことを加盟国に義務づける。

 ただ、日本政府は現在、在日外国人の核・ミサイル技術者や一部の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)幹部らについて訪朝後の再入国を認めないとの措置にとどまっている。国内法の整備などが追いついておらず、今後も類似事例で制裁を科すことは困難な状況だ。

 元パネル委員の古川勝久氏は「日本は取り組みが遅れている」と指摘した上で、「国連制裁は複雑化し、専門的な技術や法的知識を要する。米国や英国のように日本政府内にも制裁専門の組織が必要だ」と話した。


文世光事件 残した教訓

 重大な犯罪に関与した北朝鮮協力者に対する捜査や取り締まり、制裁について、これまでにも日本の姿勢が消極的だと指摘されたことはあった。韓国で1974年8月15日に起きた朴正煕大統領暗殺未遂(文世光)事件は代表例といえる。

 在日本韓国居留民団(当時)の団員で大阪市出身の文世光元死刑囚=当時(22)=は73年11月、朝鮮総連の大阪地方幹部の男にそそのかされ、資金提供や射撃訓練などを受けて朴大統領暗殺を決意した。

 文元死刑囚は74年5月、大阪停泊中の北朝鮮船「万景峰号」内で思想教育を受け、7月には大阪府警の交番から実弾入りの拳銃を盗み出し、8月に渡韓。日本統治からの独立を祝う式典壇上にいた朴大統領を銃撃したが失敗し、近くの陸英修夫人を射殺した。

朴正煕大統領暗殺未遂事件
 韓国当局は、朝鮮総連(北朝鮮側)の差し金で首脳殺害を企てたテロ事件とみて、日本国内での背後関係解明も視野に捜査。朝鮮総連の指令や支援のもとに行われた犯行と断定し、「対韓国テロの拠点」である朝鮮総連への捜査や、文元死刑囚を犯行に仕向けた男の身柄引き渡しを要請した。

 一方で日本側は、初動で文元死刑囚の渡航に協力した日本人女性を逮捕したものの、朝鮮総連の関与などについて解明できないまま捜査を終結させた。共犯とみられた男の身柄引き渡しにも応じなかった。

 朴大統領は「日本は赤化工作の基地だ」と指弾。日本政府の姿勢に不満を抱いた韓国民が在韓国日本大使館に乱入するなど、日韓関係は国交正常化後、最悪の状況となった。

 事件について、北朝鮮の対日工作に詳しい西岡力麗澤大客員教授は「日本がテロの基地になっていたことを示す事例だ」とし、「北朝鮮のテロに対して日韓がともに戦う体制が構築できず、結果として70年代後半に多くの日本人が北朝鮮に拉致されたといえる。テロと戦わないと必ず新たなテロが起きるという教訓を残した事件だ」と総括している。


【用語解説】国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会専門家パネル

 安保理制裁委の下で対北朝鮮制裁決議違反を調べる組織。北朝鮮の核実験を受けて2009年に設置され、定員は8人。調査は国連憲章7条により加盟国への法的拘束力がある安保理決議に基づいており、加盟国は調査への協力義務がある。調査結果は毎年、報告書にまとめられ、決議案にも勧告する。

【私の論評】憲法論議を憲法典の字面の改変程度に矮小化したつけがまわってきた(゚д゚)!

北朝鮮の武器輸出に関しても、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会で制裁違反を調べる専門家パネルがまとめた最新報告書の概要が2月8日に発表されています。

この報告書では、エジプトに昨年寄港した船舶から大量の北朝鮮製武器が見つかり、同国の弾薬類の押収量としては過去最多だとしています。北朝鮮が制裁逃れの手法を駆使して大規模な武器取引を続けている実態が浮き彫りとなりました。

最終目的地や具体的な押収量は明らかになっていません。北朝鮮による武器輸出は過去の安保理制裁決議で全面禁止されているのですが、核・ミサイル開発の資金源の一つとなっている可能性が高いです。

複数の外交筋によると、船舶から押収された武器には携行式ロケット弾なども含まれていました。エジプト政府関係者は、こうした武器が隠されていたコンテナの最終目的地はエジプトではなく、取引にも関与していないと主張しているといいます。

エジプトのほか、北朝鮮と軍事協力してきたシリアやアフリカに向けられたものだった可能性もあります。北朝鮮の武器取引を巡っては2009年、バンコクの空港に着陸した貨物機から携行式地対空ミサイルや対戦車ロケット砲など総重量約35トンが押収された例があります。

2009年12月、バンコクのドンムアン空港で、大量の北朝鮮製武器を積んでいるのが見つかった貨物機
共同通信が入手した報告書の要約は、北朝鮮による制裁逃れの手法が「より巧みになっており、規模や範囲も増している」と指摘しました。北朝鮮の制裁対象団体や銀行は海外の代理人を使って活動を続けており、世界有数の金融センターを通じて送金するなど国際的な銀行システムへのアクセスも維持しているとしました。

原則として取引を禁じられた石炭などの鉱物資源の輸出も続けています。

北朝鮮は昨年2回の核実験を強行、弾道ミサイル発射を繰り返し、安保理は2度にわたる決議採択で制裁を強化したのですが、専門家パネルは「制裁履行が不十分で一貫性がない」と指摘、加盟国の「政治的意思」が欠けていると厳しく批判しました。

北に対する制裁は、結局のところあまり効果が無いようです。

以上のように闇ルートで北朝鮮の武器が世界中に販売されたり、北朝鮮が求める巨額の外貨や物資、技術者の移動がなされている実体を見ると、危惧されるのは、テロリストへの武器の流出です。

テロリストばかりではなく、工作活動に従事する各国の諜報機関も、非合法な武器の調達のため、実は北朝鮮を便利に利用しているのではないでしょうか。

北朝鮮が核開発を強力に推進している現実を見れば、現在の脅威は深刻です。北朝鮮の核兵器がテロリストの手に渡る可能性さえあります。
ISなどと協力し、北朝鮮が表に姿を現さず核テロを起こすこともあながちないともいえません。

とすれば北朝鮮は、既に東京でもワシントンでも、或いはモスクワや北京さえも、テログループにより核爆弾で吹き飛ばす能力を保持しているといえなくもありません。そのような計画がないとしても、少なくとも、そうした潜在能力を秘めているのは確かです。

これは、世界の安全保障に対する深刻な脅威です。日本国内にはなぜか、親北系組織が多いです。朝鮮総連、朝鮮学校、朝鮮出身者によるパチンコ等を一掃すべきです。北朝鮮の工作組織が、日本を活動拠点の一つにするのは、何としても阻止しなければなりません。

北朝鮮の制裁違反を繰り返し幇助(ほうじょ)した企業の日本人経営者の男(67)についても、国内法の未整備もあり制裁措置は取られていません。このままだと、北朝鮮の日本への脅威を自ら真似ていしまっているというこの事実が、日本にとって有害であるばかりではなく、世界から日本が北朝鮮の隠れた支援国と見做されてしまいかねません。

これらを排除することは、現在の日本国憲法の枠組みでも十分にできるはずです。

先日は、このブログで憲法典が変われば何もかもがすぐに変わると思い込むのファンタジーに過ぎないことを掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。 
【憲法施行70年】安倍晋三首相がビデオメッセージで憲法改正に強い意欲 「9条に自衛隊書き込む」「2020年に新憲法を施行」―【私の論評】憲法典を変えればすべてが変わるというファンタジーは捨てよ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では自衛隊のトイレットペーパーが自前であることや、陸自の国内のフアーストエイドキットがあまりにもお粗末なこと、陸自の自衛官の実弾訓練が米国の軍楽隊以下であることなどを例にとって、これらの事柄は憲法典を変えなくても十分できるはずのものなのに、できていないことを批判しました。

そうして、憲法典が変わればすべてが変わる単純に思い込むことはファンタジーに過ぎないことを主張しました。

本日は、世界から日本が北朝鮮の隠れた支援国と見做されてしまいかねない状況であることを指摘しましたが、この事実からしても、現憲法下でもできるはずの、北朝鮮への制裁が法整備の不十分でできない現状からみても、やはり憲法典が変わればすべてが変わると思い込むのはファンタジーに過ぎないことが良く理解できます。

世の中には憲法典のないまともな法治国家も存在します。それはイギリスです。


グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland、通称はイギリス)における憲法とは、議会決議や裁判所の判例、国際条約、慣習等のうち、国家の性格を規定するものの集合体です。憲法典が存在しないことは、憲法が存在しないことを意味するわけではないのです。

憲法典としては制定されていないため、不文憲法または不成典憲法であるといわれています。憲法を構成する大部分は成文法(憲法的法規、law of the constitution)であり、議会によって改正・改革が行われる軟性憲法であるのですが、慣習に基づき、伝統的に憲法を構成するとされる法典が、その他の法律のようにむやみに改廃されることはありません。

成文法の他、様々な慣習法(憲法的習律、conventions of the constitution)に基づく権力(国王など)の権能の制限、貴族の権限及び儀礼の様式なども、「イギリスの憲法」を構成する要素に含まれています。

議会主権を基礎とすることから、通常の手続に従って議会が法律を制定することにより、憲法的事項を制定、変更することが可能です。

そうして、憲法典のないイギリスでは、イギリスという国の成り立ちや、国柄、法典制定の過程で論議されて生まれてきた国家に関する基本的考え方を憲法としているのです。

この考え方からすれば、憲法典の文字面を多少変えたからといって、すぐに何もかもが急に変わるというわけではないことがご理解いただけるものと思います。

もし日本国憲法に「人間の命は永遠である」と書いた途端に日本人が不死身になったり、そこまでいかなくても日本人の多くが長寿にはならないということです。

日本の対北制裁への取り組みについて、真剣に考えれば、日本という国の成り立ちや国柄、その他日本国に関する基本的な考え方も議論されなければならないはずです。そのようなことを真剣に考えてこなかったのが今までの日本です。

だからこそ今日北朝鮮への制裁が十分にできないどころか、世界から日本が北朝鮮の隠れた支援国と見做されてしまいかねない状況を招いてしまっているのです。これは、与党にも野党にも重大な責任があります。

憲法論議を憲法典の字面の改変程度に矮小化して、議論してきたつけがまわってきたのです。

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2017年5月3日水曜日

【憲法施行70年】安倍晋三首相がビデオメッセージで憲法改正に強い意欲 「9条に自衛隊書き込む」「2020年に新憲法を施行」―【私の論評】憲法典を変えればすべてが変わるというファンタジーは捨てよ(゚д゚)!




 ご来場の皆さま、こんにちは。自由民主党総裁の安倍晋三です。

 憲法施行70年の節目の年に、「第19回公開憲法フォーラム」が盛大に開催されましたことに、まずもって、およろこびを申し上げます。憲法改正の早期実現に向けて、それぞれのお立場で、精力的に活動されている皆さまに、心から敬意を表します。

 憲法改正は、自由民主党の立党以来の党是です。自民党結党者の悲願であり、歴代の総裁が受け継いでまいりました。私が総理・総裁であった10年前、施行60年の年に国民投票法が成立し、改正に向けての一歩を踏み出すことができました。しかし、憲法はたった一字も変わることなく、施行70年の節目を迎えるに至りました。

 憲法を改正するか否かは、最終的には、国民投票によって、国民が決めるものですが、その発議は国会にしかできません。私たち国会議員は、その大きな責任をかみしめるべきであると思います。

 次なる70年に向かって日本がどういう国を目指すのか。今を生きる私たちは、少子高齢化、人口減少、経済再生、安全保障環境の悪化など、わが国が直面する困難な課題に対し、真正面から立ち向かい、未来への責任を果たさなければなりません。

 憲法は、国の未来、理想の姿を語るものです。私たち国会議員は、この国の未来像について、憲法改正の発議案を国民に提示するための具体的な議論を始めなければならない。その時期に来ていると思います。

 わが党、自由民主党は、未来に、国民に責任を持つ政党として、憲法審査会における具体的な議論をリードし、その歴史的使命を果たしてまいりたいと思います。

 例えば、憲法9条です。今日、災害救助を含め、命がけで24時間、365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く。その任務を果たしている自衛隊の姿に対して、国民の信頼は9割を超えています。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が、いまなお存在しています。「自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば命を張って守ってくれ」というのは、あまりにも無責任です。

 私は、少なくとも私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、「自衛隊が違憲かもしれない」などの議論が生まれる余地をなくすべきであると考えます。

 もちろん、9条の平和主義の理念については、未来に向けてしっかりと、堅持していかなければなりません。そこで、「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という考え方、これは国民的な議論に値するのだろうと思います。

 教育の問題。子供たちこそ、わが国の未来であり、憲法において、国の未来の姿を議論する際、教育は極めて重要なテーマだと思います。誰もが生きがいを持って、その能力を存分に発揮できる「1億総活躍社会」を実現する上で、教育が果たすべき役割は極めて大きい。

 世代を超えた貧困の連鎖を断ち切り、経済状況にかかわらず、子供たちが、それぞれの夢に向かって頑張ることができる、そうした日本でありたいと思っています。

 70年前、現行憲法の下で制度化された、小中学校9年間の義務教育制度、普通教育の無償化は、まさに戦後の発展の大きな原動力となりました。

 70年の時を経て、社会も経済も大きく変化した現在、子供たちがそれぞれの夢を追いかけるためには、高等教育についても、全ての国民に真に開かれたものとしなければならないと思います。これは、個人の問題にとどまりません。人材を育てることは、社会、経済の発展に、確実につながっていくものであります。

 これらの議論の他にも、この国の未来を見据えて議論していくべき課題は多々あるでしょう。

 私は、かねがね、半世紀ぶりに夏季のオリンピック、パラリンピックが開催される2020年を、未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだと申し上げてきました。かつて、1964年の東京五輪を目指して、日本は大きく生まれ変わりました。その際に得た自信が、その後、先進国へと急成長を遂げる原動力となりました。

 2020年もまた、日本人共通の大きな目標となっています。新しく生まれ変わった日本が、しっかりと動き出す年、2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っています。私は、こうした形で国の未来を切り拓いていきたいと考えています。

 本日は、自由民主党総裁として、憲法改正に向けた基本的な考え方を述べました。これを契機に、国民的な議論が深まっていくことを切に願います。自由民主党としても、その歴史的使命を、しっかりと果たしていく決意であることを改めて申し上げます。

 最後になりましたが、国民的な議論と理解を深めていくためには、皆さま方、「民間憲法臨調」「美しい日本の憲法をつくる国民の会」のこうした取り組みが不可欠であり、大変心強く感じております。

 憲法改正に向けて、ともに頑張りましょう。

【私の論評】憲法典を変えればすべてが変わるというファンタジーは捨てよ(゚д゚)!

自民党安倍政権は憲法改正を目指しています。私自身は進駐軍軍に銃剣を突きつけられて、与えられたような憲法はいずれ改正すべきだとは、考えています。

現憲法の制定手続きが正当であり、合法的というならば、ナイフを突きつけてセックスを強要することも強姦ではなく、合意の上の行為となります。このようなことは、文明社会で許されるものではありません。

このような「強姦憲法」を不磨の大典かのごとく崇め奉っているいる日本のマスコミ、リベラル・左派、左翼の皆様は、強姦を是とするのでしょうか?
 
その一方で、保守改憲論者の言動をみていると不安になります。自衛隊を巡る法整備やら、予算の問題やらなにやらの諸問題が憲法それも憲法典(文書に書かれた憲法)を改正すればたちどころに解消するかのようなことを主張しています。

しかし、憲法(典)改正は魔法の杖ではありません。憲法を変えなくとも、法律や予算を変えるだけでも可能なことも多々あります。

かつての有事法、国民保護法の制定でも一部それが、実現しました。さらには、2015年には、集団的自衛権を含む安保法制が国会を通りました。ですが、彼らは憲法改正をしなくてもできる、地道な法改正や予算の増額などを主張することはあまりなく、とにかく憲法を変えればすべては劇的に解決するとファンタジーを主張しているようです。

さらには、現行憲法でさえ憲法の解釈を変えればできることはいくらでもあります。実際、このブログでも憲法9条の解釈を変更すれば、自衛隊は違憲ではなくなるし、防衛戦争も可能になることを主張したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
佐々木惣一の「憲法第九条と自衛権」―【私の論評】安保法制=戦争法案としてデモをする人々は、まるで抗日70周年記念軍事パレードをする人民解放軍の若者と同じか?
佐々木惣一
以下に、佐々木惣一氏の憲法9条に関する考えを簡単にまとめた部分のみ引用します。
法によれば、国家は、戦力、武力による威嚇及び武力の行使については国際紛争を解決する手段としてではなく、自衛などの国際紛争を解決する手段以外では、日本国が戦争をし、武力による威嚇をし、武力を行使することを禁じているのではない。 
交戦権については、「第一項は戦争するという事実上の行動に関する規定であり、第二項は、戦争に関する意思の活用に関する規定である」として、国際紛争を解決する手段としての戦争をする意思を活用することを表現している。そのためこの交戦権も自衛権を放棄していることではない。 
この佐々木による解釈は純粋な法理論のモノであり、現実の政策とは分けて考えるべきであり、どんなに憲法解釈が純法理的にすばらしくても、現実に平和が維持されないでは意味をなさない。
そうして、この考えは、他国の憲法を検討すれば、正しいことがわかります。憲法・比較憲法学を専門とする西修氏によると、現行の憲法典182のうち、なんらかの平和主義条項を有する憲法典のある国は、 150カ国もあり、これは全体の82%超です。

なかには、核兵器や生物兵器、化学兵器を持たないことを明記したり、外国の軍事基地を設けないことなど、日本よりももっと徹底した平和主義条項を持つ国があるのです。

世界には、日本のように平和憲法を持ちながら、防衛軍などの名称で軍隊を保有し、自衛のためであれば、戦争することを是とする国も多数存在するのです。であれば、日本も憲法解釈を変えることによって、自衛戦争を可能にすることもできるはずです。

しかし、まずは憲法解釈を変えるとか、予算や法律を整備することにはあまり熱心でなく、とにかく憲法典の条文を変えれば、それで事が足りると無邪気に信じる護憲派もおおいです。

しかし、現状の憲法を変えなくても、できることはあるのです。たとえば、陸上自衛隊には2012年までファーストエイドキットもまともにありませんでした。その後採用されたキットも国内用と国外用(PKO用)があり、特に国内用は包帯と止血帯しか入っていません。これは現代の軍隊ではありえないお粗末さです。

ここで陸自の「個人携行救急品」の海外用(国内用は3アイテム)と米陸軍の「IFAK(Improved First Aid Kit) II」の構成品の違いを検証します。

IFAK IIは従来のIFAKよりも収納力を増やし、個人用アイテム整備の効率化や経済化を図ることを改良の主眼にしており、「米陸軍が専用に装備するアイテム」「米陸軍全員に使用法を習熟させるべきアイテム」として選定した12品目を「基準アイテム」として常備しています。

そしてこれを全員に支給しておき、静脈路確保用留置針、留置針固定用テープ、胸腔減圧用脱気針などの病院であればどこでも備蓄しているアイテムは必要の都度調達し、最大18品目まで補完することで、携行品数に柔軟性を付与するようになっています。

これは管理することが難しく、使用期限のある医療資材を効率的に整備すると共に教育が不十分な兵士が誤用するケースを防ぐ目的もあるといいます。IFAK IIの構成品は12品ではなくその最低基準アイテムが今は12個ということです。

以下に図表で説明します。


以下に自衛隊の個人傾向衛生品の詳細を掲載します。驚くべきことがわかります。


国際活動等の装備としては8つのアイテムがあるのですが、平素の装備(国内用)は3つのアイテムしかありません。何と救急品袋、止血帯、救急包帯だけです。震災のときなど、米軍をもうならせるほどの展開能力をみせたほどの、底力を見せつけた陸上自衛隊ですが、普段の個人傾向のファースト・エイドはこのようなお粗末さです。

東日本大震災の時も、個人が携行したのはこのような貧弱な装備だったと思います。無論、他の装備は別に持たせたのでしょうが、それにしてもあまりに貧弱です。

これは、ほんの一例ですが、現在の自衛隊の置かれて立場を象徴的に現していると思います。他にも自衛隊装備の貧弱さをあらわすものがあります。

たとえば、トイレットペーパーです。全国の自衛隊駐屯地でトイレットペーパーは2ロール目から自腹です。


上の写真は、陸上自衛隊駐屯地のトイレのものです。 悲しいのですが、これが現状なのです。これでは、緊急時に対処できません。常に有事に備えるのが自衛隊のはずです。憲法改正も、有事法制も必要ですが、もっと切迫した有事にも備えて欲しいです。 自衛官自身が有事に常に備えてトイレットペーパーを携行せよという事なのでしょうか?

さらには、射撃訓練をするために予算を削られている陸上自衛官は、平均して年間200発も射撃訓練をしていないそうです。これはアメリカ軍楽隊以下の水準です。

以上のようなことは、他にもいくらでもあります。代表的な例をあげただけです。これに対処するにはどうしたら良いのでしょうか。それは、無論のこと予算を多くすることです。

これらのことは憲法を変えないとできないことなのでしょうか。

訓練費も定足数も、同じ話です。これらを充足するためには、憲法どころか、法律の改正すらいらないです。

必要なものを必要と主張すればよいのです。堂々と財務省主計局に予算請求すればよいのです。しかし、防衛省自衛隊関係者の前では、予算の話はタブーなのです。どこの省庁も、もはや錦の御旗と化している「財政健全化」を持ち出されたら、予算支出の増額を言いにくくなるのですが、官界では最弱小官庁の防衛省自衛隊は主計局の前では蛇に睨まれた蛙に等しいのです。

安倍内閣で防衛費が5年連続増額しているのを、評価する向きもあるでしょう。しかし、防衛費1%枠などという何の根拠もない霞が関の掟を頑なに守っている枠内での話に過ぎません。

トランプ米大統領は、「同盟国は義務を果たすべきだ。せめて防衛費を文明国水準のGDP2%にまで引き上げよ」と訴えています。

これは大きなチャンスです。増やせば良いのです。これだけ北朝鮮が暴れまわり、中国やロシアといった不安定要だらけの隣国に囲まれているのです。日本が防衛費をGDP2%に増やしたとて文句を言うのは敵国だけです。

しかし、国内には防衛費増額を拒む勢力がいます。財政支出抑制を金科玉条とする財務省主計局、彼らに唯々諾々と従う防衛省自衛隊、そしてそれを是とする政治家。

防衛費増額と憲法は何の関係もありません。それとも、自衛隊が、「米軍並のファーストエイドキット携行できるにようにするとか、軽武装をできるだけの人数を充足させる、アメリカ軍楽隊よりもマシな訓練を行えるようにする、トイレットペーパーの減り具合を気にしないで済むようになする」というような、これらの予算請求もすべて憲法改正をしなければできないのでしょうか。そんな馬鹿な話があるはずがありません。

平成27年度自衛隊音楽まつりに参加した米軍の軍楽隊
本気で戦争に備えているのであれば、防衛省は予算の拡大を要求するはずです。現状を見るに、自日本の本気で戦争する気は無いように思えます。このような現状は仮想敵国には見透かされているでしょう。であれば、自衛隊の抑止力はかなり低いと考えられます。

憲法を改正する以前に、努力してより自衛隊を実戦的に変えることは可能なはずなのです。ところが威勢のいいことを言う「保守の論客」はこのような小さな問題をコツコツと掘り起こし、解決しようという地道な努力をしようとしません。

世論を煽り、新しい玩具を買え、防衛費を増やせ、自衛隊の定員を増やせ、憲法を変えろと叫ぶだけです。まあ、その方が楽だし人気もでるのかもしれません。しかし、いくら喰うためとはいえ、そんなことで良いのでしょうか。

できるかどうかもわからない、非常にハードルが高い憲法改正を叫び、それが出来れば世の中は変わると主張し、小さな努力はしない。それでは沖縄で反基地闘争をやっている連中と同じではありませんか。

彼らは沖縄の戦略的な重要性を知っており、米軍が撤退しないことも知っています。仮に撤退しても自衛隊が代わりにその隙間を埋めることを知っています。しかし、憲法典が代わると、途端に日本は侵略戦争を開始し、国内では憲兵隊が個人の自由を著しく制限するようになるというファンタジーを信奉しているようです。

沖縄の基地反対運動
右も左も、手間がかかり、地味な改革には見向きもせず、簡単には実現しもそうもないことを実現しようと、大きなスローガンを掲げて、声を張り上げているほうが楽だし、楽しいし、金が儲かるのでしょう。民進党などの野党にもそのような傾向があります。

やっていることや主張は少なからずプロ市民や観念に凝り固まった非現実的な左翼と大同小異です。こういう手合いに限って自衛隊を美化礼賛し、自衛隊は常に正しい、という無謬論を唱えます。

防衛省、自衛隊に問題があるとするならばそれは憲法が悪いからだと、問題を矮小化してしまいます。このようなことで、本当に憲法が改正できるのでしょうか。いろいろなできることをやった上で、これ以上変えるためには憲法を変えるしかないと主張するのが筋なのではないでしょうか。

このように、無邪気に憲法が変わればすべてが変わると、主張する単純な人たちが憲法を変えようと主張することは極めて危険です。憲法典が変われば、すべてが変わると考えるのは、ファンタジーに過ぎません。

憲法改正ももちろん大事でしょうが、我々はもっと地道な努力をすべきです。ブログ冒頭の、安倍総理のビデオメッセージは確かに、立派です。しかし、安倍総理が憲法を改正するにしても、その前にできることをしなければ、無意味になってしまいます。

憲法典が改正されたとしても、自衛隊のトイレットペーパーの個人負担や、ファーストエイドキットがまともになったり、射撃訓練がまともにできるようならなければ、何も変わらないのです。

安倍総理には、これらの地道な努力を重ねていった上で、最終的に憲法を改正するという道を歩んでいただきたいです。

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