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2017年12月9日土曜日

【日本の解き方】日銀の資金供給量鈍化でインフレ目標達成できるのか 国民経済のための金融政策を―【私の論評】年長者こそ、正しい金融政策に目覚めよ(゚д゚)!

【日本の解き方】日銀の資金供給量鈍化でインフレ目標達成できるのか 国民経済のための金融政策を


日銀が市場に供給しているお金の量(マネタリーベース)の増加額が、11月は前年との差が51・7兆円(末残高ベース)と異次元緩和開始以降、事実上最低になったと報じられた。

 日銀は昨年9月から長期金利をゼロ%程度にするように調整しており、その意味では、マネタリーベースの増加額は金利維持のために必要な額となるので、長期金利がゼロ%になっていれば、増加額が低下すること自体はさほど意味があるわけでない。

 12月6日時点の新発10年国債利回りは0・055%であり、ほぼゼロ%金利水準は達成されているといえよう。今年初めからの動きをみても、おおむね0~0・1%の範囲になっているので、日銀の意図した金利ともいえる。

 問題は、それでインフレ目標2%が達成できるかどうかである。もちろん、インフレ目標の達成には、本コラムで述べたように、内閣府が算出するGDP(国内総生産)ギャップでプラス2%程度になる必要があるので、金融緩和と財政出動が必要である。

 過去10年間の10年国債利回りの推移をみると、昨年9月以前はマイナスレンジであったが、日銀がゼロ金利を打ち出してから、若干のプラスレンジになっている。ほぼ同時期に、日銀のマネタリーベースの増加額が減少し始めるが、それは日銀の国債購入額の減少によるものだ。つまり、国債購入額の減少が、長期金利の若干の上昇をもたらしている。

 こういう日銀のオペレーションは、果たしてインフレ目標達成の近道になっているのだろうか。データを見る限り、失業率の低下は足踏み状態だし、インフレ率についても、11月の全品目消費者物価指数対前年同月比は0・2%。生鮮食品を除いてみると0・8%、食料とエネルギーを除くと0・3%であり、インフレ目標2%にはほど遠い状況だ。こうしたデータから、筆者は日銀のオペレーションは短期的には正しい方向には見えない。

 金融政策は、これ以上は下げられない失業率を達成し、無用なインフレを起こさないためのものだ。つまり、経済学でいう「NAIRU(インフレを加速しない失業率)」を達成する最低のインフレ率をインフレ目標とするもので、NAIRUとインフレ目標の最適点を目指すものといえる。

 日本で具体的に言えば、NAIRUは2%台半ばであり、そのために必要なインフレ率は2%であるので、それをインフレ目標としているわけだ。

 現時点では、失業率3%弱、インフレ率0%強という程度で、最適点には民主党時代よりかなり近づいたが、いま一歩のところで足踏みをしている。

 米国は、NAIRU4%程度、インフレ目標2%という「最適点」に到達したので、出口の議論が起こっている。

 日本の出口はまだまだなのに出口議論が盛んなのは、国民経済のための金融政策を、金融業界の利害のために使おうとしているからだろう。それに日銀は加担してはいけない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】年長者こそ、正しい金融政策に
目覚めよ(゚д゚)!
時期合計(平均残高)前年比
2017/10473.9兆円+14.50%
2017/09471.1兆円+15.61%
2017/08466.3兆円+16.28%
2017/07465.1兆円+15.55%
2017/06459.5兆円+17.01%
2017/05456.0兆円+19.43%
2017/04456.2兆円+19.80%
2017/03436.3兆円+20.33%
2017/02431.0兆円+21.41%
2017/01435.2兆円+22.56%
2016/12426.4兆円+23.09%
2016/11417.7兆円+21.53%
2016/10413.9兆円+22.13%
2016/09407.5兆円+22
マネタリーベースの前年同月比増加率の推移

マネタリーベースとは、日銀が発行している紙幣発行残高と日銀当座預金、貨幣流通高(100円玉などの硬貨)の合計金額です。言い換えると、市中に流通している現金(紙幣+貨幣)と日銀当座預金の合計です。

日銀当座預金は、民間金融機関が日銀に預けているお金の合計で、民間金融機関は日銀当座預金を通じて銀行間取引などを行っています。

ちなみに、マネタリーベースに占める貨幣流通高は微々たるものです。したがって、日銀が刷った紙幣残高(貨幣の発行は政府になる)と日銀に預けられた預金残高の合計がマネタリーベースの金額とほぼ一致します。

マネタリーベースは、日銀が金融政策を通じてコントロールしており、景気が加熱しすぎたと思ったらマネタリーベースを減少させ、景気が悪化していると考えれば思い切り増やします。ただし、日銀が黒田総裁よりも前の時代には、このような金融政策をとらずに、何かといえば引き締め政策をしました。

マネタリーベースを増やす金融政策を量的緩和と言い、これは金融機関から主に国債を買い取って、日銀当座預金を増加させる(日銀が民間金融機関から国債を買い取った代金を日銀当座預金に振り込む)政策です。

従来は金利の上げ下げを目的とした金融政策が行われていましたが、近年は先進国で金利を下げる余地がなくなってきたため、お金の量をターゲットにした金融政策を実行する手法が取られています。

マネタリーベースの増加に敏感に反応する指標の1つが株価で、日銀がマネタリーベースを増加させる政策を採用すると株価も上昇トレンドに入ります。

マネタリーベースを拡大させると、金融機関が日銀当座預金に溜まったお金を原資にして貸出を増やしてマネーストック(世の中に出回るお金の総量)が増え、経済が活性化すると期待されるからです。株価は将来の経済環境を先取りして上昇するわけです。

日銀はこれまでにない規模でマネタリーベースを拡大していますが、米国と比較すると、少し遅れて拡大しています。

2008年9月のリーマン・ショックで景気が下振れし、それに伴い米国はマネタリーベースを拡大(金融緩和)していたのですが、日銀は効果的な金融政策を打ちませんでした。2013年に日銀の正副総裁が代わり、ようやく世界標準の金融政策をとるようになりました。

マネタリーベースのコントロールする方針は、日銀の金融政策決定会合で決められます。

以下に、失業率の推移のグラフを掲載します。


最近のニュースを見ていると9月末の都市銀行5行の貸し倒れ引当金は、前年同月比13.4%減の9016億円だと言い、1985年2月以来「32年半ぶり」に1兆円を下回ったと言います。

更に、10月の有効求人倍率は「43年ぶり」の1.55倍だそうです。このように実に、四半世紀以上を経過している現象が、次々に市場を賑わしています。先日の日経平均株価の16連騰は、東証の創設以来の歴史的な現象が生まれたのです。

これらの現象は、やはり2013年から金融緩和を継続してきたからこそ今日このようなことが実現されてきたということです。これは金融緩和を継続するということ自体は、正しいことであることを示しています。

しかし、ブログ冒頭の記事で高橋洋一氏が指摘するように、失業率は未だNAIRUの2%台半ばには達していません。高橋洋一氏は、適正なNAIRUを算定した上で、2%半ばとしているようですが、私自身は日本が本格的にデフレに突入する前には、NAIRUは2.7%くらいであるといわれていたことを根拠にやはり、NAIRUは2.7%くらいであると考えています。

この頃は、失業率が3%台になると、雇用状況が悪化しつつあるといわれていました。しかし、その後日本がデフレに突入してからは、3%台は当たり前どころか、悪くない数値と受け取られる程に日本の雇用は悪化しました。

多くの人(特に50歳以上の人)は、過去の日本では3%を超えると雇用は赤信号であるとされていたことを忘れているようです。これでは、年長者の知識を活かせているとはいえません。

NIRUが達成されてはじめて、経営者の心を動かし、厳寒状態だった「心の壁」の氷を溶かし始め、貯めこんだ現預金残(内部留保)の活用に向かいます。この状況は、産業ごと企業ごとでも違います。たとえば、現状のファナックは、フル操業を続けており、それでも間に合わない状況にあります。

ファナックのロボット製造工場
事前に工場用地を手当てして工場を建設していましたが、積極的なファナックでさえ半年、遅かったと言われています。

一方、シャープは、亀井工場に続き、堺工場の建設が、命取りに繋がりました。

すべての企業が、積極的になるにはまだ十分ではないのです。

NAIRU2%半ばが達成されてはじめて、一部の限界的な産業や企業を除いてほとんどすべての産業や企業で、本格的に人手不足が実感されるようになり、賃金を上げざるを得ない状況に追い込まれ、経営者の心を動かし、厳寒状態だった「心の壁」の氷を溶かし始め、貯めこんだ現預金残(内部留保)の活用に向かい、本格的なイノベーションのため賃金をあげたり、設備投資をしたりして、需要増に応えるようになり、日本経済は本格的に上向くことになるのです。

NAIRUも達成されておらず、物価目標にまだ程遠い日本では、金融緩和の出口には未だ程遠い状況にあるのです。特に年長者こそ、過去の失業率などから、この状況を正しく判断すべきです。多数の若者は、就職率が格段にあがり、もう過去に戻りたくないと考えていますが、実質賃金の上昇などの恩恵にいまだあずかっていない年長者や、年金生活者の年長者はそうは思っていない人が未だ多いようです。

多数の年長者の覚醒と、若者層により金融政策に関するまともな世論が形成されなければ、またまた国民経済のための金融政策を、金融業界の利害のために使われてしまったり、マスコミの無知で無責任な報道により、日本は金融政策は中途半端に終わり、またまたデフレスパイラルのどん底に沈むことになります。そのようなことは絶対に避けるべきです。

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2017年10月29日日曜日

自民党支持の東大生「愛国心には右も左もないのに国が好きと言った瞬間に右翼だと言われてしまう」―【私の論評】年長者も次世代のため正統保守の考え方を身につけよ(゚д゚)!

自民党支持の東大生「愛国心には右も左もないのに国が好きと言った瞬間に右翼だと言われてしまう」

腹BLACK 2017年10月29日

テレビや新聞で受動的に情報を受け止める時代が終わり、インターネットで能動的に情報を取りに行く時代になった。そんな中においてやはり現代の若者は政治を冷静に観察している。

東大生の本質を突いた意見。

吉木誉絵「東大生にアンケートをとった、けっこう有名でインターネットでも出回っているものがある。東大生に『なんで自民党を支持するのですか?』とアンケートをとったところ『国が好きということに右も左もないのに、好きって言った瞬間に右翼だと言われてしまうこの風潮が馬鹿らしい』だとか、あと『安全保障はリアリズムに基づいていかないといけないのに非現実的な議論が国会で多すぎる』と。そういったところに飽き飽きしている若い人たちはどうしても多くなっているということを私も感じます」

この声に大いに賛同する日本国民は多いだろう。日本という世界でも有数の平和で恵まれた国に生まれ、帰属意識や感謝の気持ちを育んできた人は自然と愛国心を持つようになり、国を大事に思う精神が育つはずだ。しかし、現代においてはなぜか愛国心に基いて意見を表明するとすぐに「右翼」だとか「ネトウヨ」という野次が飛ぶ。自分を育ててくれた国に感謝するという自然なことがなぜ誹謗中傷の対象になるのか。

安全保障についても東大生は現実的な政策を求めており驚くほど冷静だ。新聞とテレビの偏向報道に全く騙されていない。

2017年3月に実施された東大新聞のアンケート。「あなたの支持政党はどこ?」



出典:http://www.todaishimbun.org/survey20170422/

圧倒的に支持されているのは自民党で、民進党の支持率はなんとわずか3%。立憲民主党、希望の党に分裂した今も同程度の結果であることは想像に難くない。

新聞を購読せず、家にテレビがないことも珍しくない若者たち。情報収集は基本的にスマホで、中高年とは全く違うライフスタイルを持つ新人類だと言っても過言ではない。その若い世代が政治について現実的な考えをしているというのは大変喜ばしいことだ。

メディアはなぜかSEALDsのような連中を若者代表のような雰囲気で取り上げる。しかしSEALDsはごく一部の例外であり、同じ若者世代から白い目で見られているということを指摘しておきたい。

【私の論評】年長者も次世代のため正統保守の考え方を身につけよ(゚д゚)!

最近東大生に限らず、若者の自民党の支持率が高いことをもって、若者が保守化しているという論評が多いです。AmebaTVの「みのもんたのよるバズ」でもその話題が話されていました。以下にその動画を掲載します。
この動画では、江田憲司氏は「若者は安定志向で保守化してるのと、戦争から遠いから。その辺が影響してる」という分析をしているのに対し、吉木誉絵さんは、「民主党政権時代の就職率の悪さのインパクトが凄く残ってるのと、テレビを余り見ず、ネットでも情報を得てるから」と分析しています。

この分析は、おそらく吉木誉絵さんの分析のほうが正しいと思います。結論から言うと、若者は、現状の就職率の良さに着目しているのだと思います。

ツイッターでは以下のような動画が流されていまし。この動画では、立憲民主党から立候補し落選した元朝日記者、現実を知る「(選挙運動中)若者に『何党?』と聞かれ、立憲民主と答えたら『あんたらが一番ウザイ』『アベノミクスを止めると困る』と言われたと語っています。

この動画では、若者はやはり「就職率の良さ」に着目していることが良くわかります。

これについては、このブログでも最近説明したことがあります。
若者は保守化しているのか 雇用改善で政権支持の実態、左翼色強い報道にも縁遠く―【私の論評】まもなく実質賃金も上昇しはじめ、吠え面をかく反安倍派?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、高橋洋一氏はこの記事の論評元記事で、若者の中国に対する態度から、今の若者は決して保守化しているわけではないことを示した上で、結論を以下のように締めくくっています。
 大学教員をしている筆者には切実な問題だが、大学生にとっての最大の関心事は就職である。初めての就職がうまくいくかどうかが、その後の人生を決めるともいえる。 
 民主党政権時、残念ながら就職率は低く、就職できない学生が多かった。ところが、安倍政権になってから就職率は高まり、今では就職に苦労していない。正直なところ学生のレベルが以前と変わっているわけではなく、政策によってこれほどの差があるとは驚きだ。
 しかも、今の学生の情報入手はネットが中心で、左翼色が強く政権批判が多いテレビをあまり見ない傾向がある。そうした意味で老齢世代と若い世代は正反対だ。
 安倍政権の金融緩和と表裏一体の雇用重視は本来、左派政策なので、「保守化」していない若者にも受けるのだろう。
このことを多く江田憲司氏のような政治家や、 山田厚史(元朝日新聞)は気づいていないようです。

このように、若者が保守化したなどという一方的な見方をしかできないようでは、国民、その中でも将来を担う若者たちに訴求できるような政策提言など永遠にできないでしょう。

日本を根本から立て直すためには、自ら能動的に考える、現代の若者のような態度が必要です。現在、旧来的な『保守』と『革新』といった対立はもはや存在していません。

右派と左派という二区分では説明がつかず、少なくとも四区分は必要になっています。まず一つ目は、本物の左派、つまりは共産主義者です。日本という国が嫌いで、日本政府も大嫌いな人たち。彼らはソ連が滅んでからはさすがに少数派になりました。

二番目は、日本という国は大嫌いにもかかわらず、日本政府は大好きという困った人たちです。戦後日本では最大派閥でしょう。たとえば、東大憲法学、官僚ら組織の利益を国益だと言い張り、権威、権力、栄誉、勲章の類いに目がありません。

古くは、東京大学で教鞭を執っていた横田喜三郎という人がこの類型です。彼は『天皇制は廃止すべきだ』という本を書いていたにもかかわらず、勲章をもらえるとわかった途端、古本屋も含めてその書籍を回収してまわったというエピソードを持つ人物です。彼の小型版は現在でも大勢います。

これらの二つの勢力の特徴は敗戦の影響を過大に受けていることでしょうか。その一方で戦後教育を中心とした価値観に違和感を覚える人たちも増えてきています。

次は、日本という国が好きで、日本政府を簡単に正当化してしまう人たちです。たとえば、ネットウヨと呼ばれる人たちは自らの頭で考えず、何でも素直に受け入れてしまいます。

重要な点は、『国家と政府は違う』という当たり前の事実に気づいているかどうかです。自称・保守という人に限って、『財務省や日銀は頭のいい人たちが集まっているのだから、批判している人こそ考えが足りないのだ』『財務省が増税を推進し、日銀が頑なにお札を刷らなかったのには、きっと理由があるはずだ』と考えてしまいます。しかし、実際は何もなかった。要するに、思考が停止しているのです。

そうして、最後は正統保守とも言うべき人々です。これらは、自ら能動的に考える人々です。

この正統保守については、昨日もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】5年たってもアベノミクスをまともに分析できない人たち、マクロ経済知らずけなすだけ ―【私の論評】首相は正統保守的立場から金融政策を手持ちの道具にした(゚д゚)!
アベノミクスによる異次元緩和は、まだ5年もたっていない  写真はブログ管理人挿入 
それは、第1に、過去のためのものではない。正統保守主義とは、「明日のため」のものである。あくまでも未来志向のものである。 
正統保守主義とは、第2に、なんらかの青写真に沿って社会を形成しようとするものではない。なんらかの万能薬を服さしめようとするものでもない。 
それは、ケース・バイ・ケースで問題を解いていこうとするものである。医学にしても、万能薬を求めているあいだは進歩しなかった。風邪には風邪、腹痛には腹痛の治療を求めてから急速な進歩が見られた。したがって、それは、「具体的な問題を解決していくものである」。 
正統保守主義とは、第3に、手持ちの道具、役に立つことが実証ずみの道具を使って問題を解こうとするものである。理想的な道具を新たに発明しようとしても無理である。「それは、既に存在するものを基盤とし、既に知られているものを使うものである」。 
かくしてドラッカーは、改革のための原理は、保守主義たるべしとする。 
「第一に、過去は復活しえないことを認識することが必要である。第二に、青写真と万能薬をあきらめ、目前の問題に対する有効な解決策をみつけるという、控え目で地味な仕事に満足することを知ることが必要である。第三に、使えるものは既に手にしているものだけであることを知ることが必要である」(『産業人の未来』)
私は、日本のように数千万以上の人口を有する国単位で何か改革をするといった場合には、正統保守主義的な立場から改革をすべきであると考えています。それは、なぜかといえば、以下のような観点からです。
保守主義とは、明日のために、すでに存在するものを基盤とし、すでに知られている方法を使い、自由で機能する社会をもつための必要条件に反しないかたちで具体的な問題を解決していくという原理である。これ以外の原理では、すべて目を覆う結果をもたらすこと必定である。(ドラッカー名著集(10)『産業人の未来』)
過去において、保守主義の原理での改革以外の改革は、すべて目を覆う結果をもたらすことは必定であるからです。共産主義の失敗その典型例です。

現在の若者のように情報入手はネットが中心で、左翼色が強く政権批判が多いテレビをあまり見ない傾向にあります。こうした若者は、正統保守主義の考え方も理解しやすいでしょう。

私は、現在の若者がすべて正統派保守主義になるべきであるとは思っていませせん。それは若者自身が選ぶべきです。

左翼、左派、リベラル(新左翼ではなく真の意味でのリベラル)、正統保守、保守など様々な考え方があっても良いと思います。

ただし、日本という国単位での改革という場合は、正統保守主義的な立場の改革を重視するようになっていただきたいです。

そうして、今の若者はそれ以外の年代層よりも、そのような考え方を容易に受け入れらそうであるという点で、かなり期待できると思っています。

これから、改憲や安全保障の問題を考えるときにも、正統保守的な考え方が重要です。今の若者なら、そのような考え方ができると思います。ただし、現在現役の政治家やマスコミも次世代にまともな日本を残すという意味で、正統保守的な見方を身につけなければならないです。

左右、上下にかかわらずある程度年齢のいったまともな大人で、企業などの組織(マスコミや正統組織も例外ではない)などで、管理職的立場にたち、改革の先頭にたったことのある人なら、変わりゆく社会に対応するために、組織で本気で改革に取り組むなら、この正統保守的な考え方に立脚しないと不可能であるということは気づいていると思います。珍奇な考え方を振り回しても、改革はおぼつきません。やはり、正統保守的な考え方でなければ、まともに管理職は勤まりません。

そうして、真の変革とは何らかの形で社会に変革をもたらすものであるということを理解していると思います。変革のゴールは、組織内部ではなく、組織の外である社会を変えることであることを知っているはずです。

国の改革を考えるときも、同じことです。国の改革だけが、そうではないという考えかたは成り立ちません。50歳も超えると、なかなかそうした考えた馴染めない人もいるかもしれません。しかし、そうしなければ、世の中から取り残され若者からウザい存在になるだけです。

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