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2017年7月20日木曜日

完全に終わる日銀の旧体制 経済の状況認識読み違えた時代錯誤な提案なくなるか―【私の論評】反アベノミクス的な経済政策が実施されれば『失われた20年』の再来に(゚д゚)!

完全に終わる日銀の旧体制 経済の状況認識読み違えた時代錯誤な提案なくなるか

佐藤健裕氏(左)と木内登英氏(右)
 19、20日の日銀金融政策決定会合で、木内登英、佐藤健裕両審議委員の最後の会合となる。

 特に木内氏は、現在の黒田東彦(はるひこ)総裁体制で反対票を投じてきたことで知られている。

 速水優総裁時代に審議委員を務めた中原伸之氏も、やはり反対意見を出していたが、それは量的緩和など、当時の日銀が採用していなかった政策を主張し、時代を先取りしていたもので、意義あるものだった。

 木内氏は、現在の日銀が実施している金融政策では副作用が大きいとして、年間80兆円程度のマネタリーベース増加額を45兆円程度へ減額すべきだと主張してきた。

 月刊資本市場2016年1月号の「『量的・質的金融緩和』再考」によれば、その前提として、「需給ギャップが2013年末頃にほぼ解消され、その後も概ね中立的な状態が維持されていること」をあげ、「金融機関の収益悪化が金融システムの不安定性に繋がりうるリスク」「金融政策の正常化の過程での金利上昇リスク」「財政ファイナンスとの認識が高まる可能性」「金利による財政規律メカニズムが損なわれるリスク」「国債購入の持続性と金利の安定性のリスク」を副作用としている。

 まず需給ギャップ(実際の国内総生産=GDP=から完全雇用状態の潜在GDPを引いたもの)の状況認識が間違っている。需給ギャップがほぼ解消されたように見えたのは、14年4月からの消費増税で需要が減少したからで、木内氏は需給ギャップを過大評価した。実際、インフレ率は14年5月に見かけ上の消費増税効果を除き1・6%となったのをピークとして、その後急速に低下した。

 なお、需給ギャップは、自然利子率(完全雇用のもとで貯蓄と投資をバランスさせる実質金利水準)や構造失業率(これ以上下げられない完全雇用水準)と密接な関係がある。需給ギャップを過大評価すると、自然利子率は過小評価、構造失業率は過大評価となる。いずれの場合でも、まだ金融緩和すべき時に引き締めるべきだと間違ってしまう。その結果、誤った金融引き締めを提言し続けたわけだ。

 佐藤氏も木内氏と似ている。日本経済の潜在成長率から考えても2%のインフレ目標は高すぎるとした。これも潜在GDPを間違って捉えたもので、木内氏の需給ギャップに関する認識の誤りと同じである。この誤った認識から、インフレ目標2%は無理だと主張していた。

 日銀は安倍晋三政権とインフレ目標2%を約束した。佐藤氏を任命した民主党政権との関係からいえば問題なしであっても、安倍政権になってからも本当に無理だと思うのなら、その時点で審議委員を辞めてもよかったのではないか。

 木内氏と佐藤氏が退任すれば、民主党政権時代に任命された人はいなくなる。その時代に任命された人はこれまで、需給ギャップの過大評価、自然利子率の過小評価、構造失業率の過大評価などで現実と違っていた。しかし、これからの日銀はこれらに染まっていない人たちになる。時代を先取りする提案はあっても、時代錯誤な提案はないはずである。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】反アベノミクス的な経済政策が実施されれば『失われた20年』の再来に(゚д゚)!

確かに、木内登英、佐藤健裕両審議委員が日銀審議委員から姿を消せば、上の記事で、経済の状況認識読み違えた時代錯誤な提案なくなるかもしれません。

この両者に関しては、上の記事で高橋洋一氏が指摘するように、いつも時代錯誤というか、頓珍漢な主張を繰り返してきました。

その最たるものは、2014年10月31日に日銀が発表したハロウィーン緩和と呼ばれる、追加金融緩和です。以下にこの時の産経新聞の号外の紙面を掲載します。


これは、当然のことです。2014年4月から、あの悪しき、今では完璧に大失敗だったと誰もが認める8%増税が行われました。そうして、増税推進派が主張していたように、日本経済への影響は軽微という、予測とは裏腹に、導入当初から日本経済は低迷しました。このような状況に対応するため、日銀が追加金融緩和をするのは当然といえば当然でした。

しかし、日銀の審議会がこれを決定するにおいては、4名の反対者がいました。ちなみに、審議会の正式名称は、政策委員会であり、これは総裁、副総裁(2人)および審議委員(6人)で構成されます。これら9人のメンバー(政策委員会委員)は、いずれも国会の衆議院および参議院の同意を得て、内閣が任命します。

4名の反対派は以下の4人です。これらは、全員が民進党政権時代に審議員に任命された人々です。


この委員会において、4人が反対したのですから、委員会のメンバーは9人ですから、あと一人が反対していたら、真っ二つに割れたわけで、この追加金融緩和は危ういところで決まったということです。

もしこのハロウィーン緩和が見送られたとしたら、どうなっていたかといえば、これは当初から予想されたことですが、当然のことながら、現在のかつてないほどの雇用状況の良さは実現されおらず、かなり雇用状況が悪化しており、アベノミクスの金融緩和は完璧に頓挫していてとんでもない状況になっていたことでしょう。

増税による経済への悪影響もさらに大きなものになっており、おそらく日本は完璧に再度デフレに突入していたことでしょう。

市場はこの状況に失望し、2015年の安保法制審議のときには、安倍政権はかなり支持を落としていたことでしょう。

これに関しては、一昨日のブログにも、この追加金融緩和によって、安倍政権は2015年にあれほどのネガティブキャンペーンにあいながらも、支持率をさほど落とさなくてもすんだ可能性があるということを示唆しました。

以下に昨日の記事のリンクを掲載します。
加計問題を追及し続けるマスコミの「本当の狙い」を邪推してみた―【私の論評】安倍政権支持率低下の原因はネガティブキャンペーンだけではない(゚д゚)!
2014年10月31日の「ハロウィーン緩和」を発表する日銀黒田総裁
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では市場は安倍総理は本当に、景気を回復できるのか疑心暗鬼になっており、最近の安倍政権の支持率の低下はこれも大きな要因の一つになっていることを掲載しました。以下、その部分を中心に以下に一部を引用します。
実際に、消費増税が行われた14年以降においては、政府が実施してきた中で、消費増税の先送りや毎年の最低賃金引き上げ、そして昨年度末の補正予算ぐらいが「意欲的」な政策姿勢だったという厳しい評価もできます。2%のインフレ目標の早期実現を強く日銀に要請することはいつでもできたはずです。ある意味で、雇用の改善が安倍首相の経済政策スタンスの慢心をもたらした、ともいえます。
さらに、自民党内には、安倍首相と同じリフレ政策の支持者は、菅義偉官房長官はじめ、自民党内にはわずかしかいません。ただし、二階派は、プライマリーバランスは先送り、景気が先としています。しかし、石破氏はもとより他の派閥は全部増税派です。 
そうして、次の日銀の正副総裁人事が来年の3月に行われるはずですが、そのときに最低1人のリフレ政策支持者、できれば2人を任命しないと、リフレ政策すなわちアベノミクスの維持可能性に赤信号が点灯することになります。 
このリフレ政策を支持する人事を行えるのは、安倍首相しかいないのです。それが安倍政権の終わりがリフレ政策のほぼ終わりを意味するということです。 
もちろん日銀人事だけの問題ではありません。仮に日銀人事をリフレ政策寄りにできたとしても、政府が日銀と協調した財政政策のスタンスをとらないと意味はありません。デフレを完全に脱却するまでは、緊縮政策(14年の消費増税と同様のインパクト)は絶対に避ける必要があります。デフレ脱却には、金融政策と財政政策の協調、両輪が必要なのです。 
ここにきて、直近では財務省人事や産業経済省の人事などで、増税派が順調に出世したことなどから、市場関係者には安倍政権は経済を立て直しができないかもしれないという、ある種の失望感が生まれるようなっていたのだと思います。
この記事では、「次の日銀の正副総裁人事が来年の3月に行われるはずですが、そのときに最低1人のリフレ政策支持者、できれば2人を任命しないと、リフレ政策すなわちアベノミクスの維持可能性に赤信号が点灯することになります」と掲載しました。


日銀は来年4月にかけて、黒田東彦総裁ら5人の政策委員が相次いで任期切れを迎えます。現状の新議員がすべてまともだったにせよ、5人もの委員が入れ替わるのですから、確かに1人のリフレ政策支持者で、既存の4人とあわせて何とかリフレ派が多数派ですが、中には中立的立場の人も1人(中曽根氏)いるのでこれでも安心できません。やはり、少なくとも2名が金融緩和に肯定的な人である必要があります。
こう考えると、確かに来年の4月までは、「完全に終わる日銀の旧体制」ということはできるとは思いますが、4月以降に金融緩和に否定的な人々が日銀の審議委員の多数派になれば、これは崩れるわけです。ただし、安倍政権が崩れない限り、安倍政権は金融緩和を支持する人事を行うことになるので、これは何とかなるものと思います。

そうして、現在安倍政権がおこなわなけばならないのは、財務省とのガチンコ対決に勝利を収めることです。

安倍政権では、経産官僚が力を持ち、かつて「最強官庁」と呼ばれた財務省は冷遇されてきました。安倍首相や菅義偉官房長官は消費税増税に消極的ですが、財務省は麻生太郎副総理兼財務相とともに抵抗してきました。現在の安倍政権の支持率が低下している状況は、財務省にとっては主導権奪還の好機です。

そうして、石破氏を含めポスト安倍の面々は、いずれも財務省を筆頭とする官僚依存の傾向が強いです。2度の増税延期で財務省と闘ってきた安倍首相との違いは大きいです。

安倍政権としては今後、支持率下落を受けて「経済重視に回帰する」とみられます。ただ、経済政策は今後の政治スケジュールとも密接にかかわってきます。

秋の臨時国会では、経済政策の強化のために補正予算が打ち出されることになるでしょう。

現状では、有効求人倍率や失業率、企業業績は改善していますが、14年4月の消費税率8%への引き上げ後の消費低迷の悪影響が尾を引き、デフレの完全脱却や2%のインフレ目標実現にはほど遠い状況です。日銀の量的緩和継続とともに、財政面での手当ても必要になります。

安倍政権の『20年の憲法改正』という目標から逆算すると、憲法改正の是非を問う国民投票は、18年後半に衆院選とのダブルで実施される可能性が高いです。19年10月に予定されている消費税率10%へ増税の是非も争点となります。

最善の手は「消費税の増税に対して消費税の減税を行なうこと」です。次善の手は「増税によって税収が入ったら、そのお金をすべて国民に撒くこと」です。冗談だと思う人もいるかもしれないが、ロジックでいえば当然で、増税しなかったのと同じ効果を与えるからです。

もちろん増収分を国民に撒くといっても、財政支出一辺倒だと供給制約が発生してしまいます。公共事業に予算をつけても、事業を行なう技能をもった人や組織には限りがあるからです。さらに減税や追加の大幅金融緩和に踏み切るなど、ダメージを緩和するための第三、第四のサブシナリオを考えることもできます。

石橋と小泉進次郎氏
これからも増税をめぐり、安倍政権の周囲でさまざまな画策が生じるはずです。財務省としては、石破氏や小泉進次郎氏のように、さらに自分の思いどおりになる与党議員を探して懐柔することでしょう。地方議員には「もし増税が潰れたら予算づくりもやり直しになってしまう。あなたの地元の要望も通らない」と脅しをかけ、経団連には「消費税増税なくして法人税減税なし」ということでしょう。

しかし、そもそも、税率と支出が結び付いて予算が青天井になる現行の仕組みは異常です。法人税は個人の所得税と重複する「二重課税」ですから、もともと無駄な税金です。マイナンバーなどで個人の所得をきっちり捕捉して増収を図るのが王道のはずです。

いずれにせよ、こうした動きを誰より注意深く見ているのは安倍総理自身です。マスコミは財務省のプロパガンダやとんでもエコノミストの観測気球ばかり流さず、ロジックとファクトに基づく報道をすべきでしょう。

18年9月には自民党総裁の2度目の任期満了を迎えます。『反安倍勢力が総裁選で勝つ』『衆院選で与党が敗れる』『国民投票で過半数に届かない』のいずれかになれば、10%への消費税増税が実施されることになるでしょう。これまで2度増税が延期されている財務省側にとっては好都合なことです。

反アベノミクス的な経済政策が実施された場合も、日本経済は、再び深刻なデフレに転落し、『失われた20年』の再来となるでしょう。歴代政権でも最高レベルになっている雇用環境も次第に悪化していくようになります。失業率が上昇すれば、自殺率が上昇し、強盗などの犯罪も増えるという統計もあり、社会不安が高まるのは避けられないことになります。

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2017年7月7日金曜日

“安倍辞めろ”の先にある「失われた20年」とデフレの再来 雇用悪化で社会不安も高まる―【私の論評】安倍首相が辞めたら、あなたは自ら死を選ぶことになるかも(゚д゚)!


自民党候補の応援演説を行った安倍晋三首相=1日午後、東京都千代田区

 東京都議選では、安倍晋三首相が街頭演説を行った際に「“安倍辞めろ”コールが起きた」などと報じられた。選挙の大敗を受け、仮に党内で安倍降ろしが加速した場合、金融政策や財政政策はどうなるのだろうか。

 自民党内で安倍政権に反対する人たちの中では、石破茂・前地方創生相が筆頭格だろう。経済政策では「反アベノミクス」を鮮明にしている。

 本コラムでも取り上げた自民党内の反アベノミクス勉強会がある。財務省OBの野田毅・前党税制調査会長が代表発起人を務めるこの勉強会には、石破氏も参加した。6月15日に開かれた2回目の会合の後、石破氏は「原油安と円安に頼る経済政策であってはならない」とアベノミクスを牽制したという。

 アベノミクスは、基本は「第1の矢」の金融政策によって失業率を下げる政策なので、石破氏は全く的外れのことを言っているわけだ。それもそのはずで、講師として来たエコノミストは、「金融緩和するとハイパーインフレになる」などと論じていた人で、そうした予想と現実は全く異なる動きとなった。

 別の講師には「消費増税しないと国債暴落」と主張していたエコノミストもいたが、これも実状と大きく異なる。的外れの政治家と的外れのエコノミストで、類は友を呼んでいる状況というべきだろうか。

 一方、安倍政権では、ノーベル賞学者であるスティグリッツ氏やシムズ氏を呼んでいる。彼らは「日本の財政問題はそれほど悪くなく、財政出動が必要だ」との見解だ。彼らは、政府の財政状況をみるとき、“子会社”である日銀を含めた「統合政府」のバランスシート(貸借対照表)で判断すべきだとしている。

 これは民間企業の財政状況をみるときと同じである。理論的には、財政再建目標は債務残高対GDP(国内総生産)ではなく、ネット債務残高対GDPを低位に保つのが重要だ。となると、異次元緩和により、日銀が保有している国債は400兆円以上になってきたので、現状で統合政府ベースでのネット債務残高対GDPはほぼゼロになった。こうした状況では、そもそも財政を気にする必要がないということになる。

 だが、もし石破氏が政権を握れば、マクロ経済政策では反アベノミクスなので、具体的には金融引き締めと財政緊縮路線に動くだろう。特に、2019年10月に予定されている10%への消費増税については、予定通りの増税実施を主張すると思われる。

 安倍政権は、14年4月の8%への消費増税という政策ミスはあったが、その後は再増税を思いとどまり、日銀はデフレ克服の処方箋として正しい金融緩和を続けている。その結果、雇用環境は歴代政権でも最高レベルのパフォーマンスになった。

 反アベノミクスの先にあるのは「失われた20年」とデフレの再来で、雇用も確保できなくなるだろう。失業率上昇に伴って自殺率が上昇し、強盗などの犯罪も増える。社会不安が高まるようになるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】安倍首相が辞めたら、あなたは自ら死を選ぶことになるかも(゚д゚)!

上の記事では、反アベノミクスの先にあるのは「失業率上昇に伴って自殺率が上昇し、強盗などの犯罪も増える。社会不安が高まるようになるだろう」としています。アベノミクスをやめて、増税した場合本当にそうなることでしょう。

そうなった場合、どうなるかということは、2010年あたりよりも前の日本を思い出せば誰にでもわかると思います。このときには、日銀は金融引締めを繰り返し、財務省はなにかといえば、緊縮財政をしていました。

この時代は、今でいえば、反アベノミクスの立場から、増税を行い、日銀は金融引締めに転じたのと同じような状況です。しかし、人の記憶など曖昧なもので、実際にこの時代にとんでもない状況を経験した人以外は忘れてしまったかもしれません。

とんでもない状況にあった人も、なぜ自分が酷い目にあったのは単に運が悪かっただけと考えているかもしれません。しかし、この時代に塗炭の苦しみにあえいだ人たちの大部分は、日銀の金融政策、財務省の財政政策によって、そのような目にあっていたということを理解していないかもしれません。

ここでは、自殺者の推移から、経済対策のまずさがどのような影響を及ぼしているのかを見てみたいと思います。

それに関しては、2014年にまだデフレの悪影響が色濃く残っていいたときに、このブログに掲載しています。

その記事のリンクを以下に掲載します。
【正論】「欲ない、夢ない、やる気ない」……現代日本の最大の危機はこの「3Y」にある 作家・堺屋太一―【私の論評】団塊の世代以上の世代には想像もつかない現代の若者の窮状(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、まずは自殺者の推移のグラフとそれに関する説明に関する部分を以下に引用します。
ところで、自殺者数と景気は相関が高いことが知られていますが、この数年間の経済状況の改善と、さらに自殺対策にここ数年経費を増加させていく方針を採用していることもあり最近は自殺者数が減っています。類似の事例はホームレス対策にもいえ、ホームレス数は景気要因に関わらず対策費の増加に合わせて減少しています。 
自殺者数の減少については、マクロ(景気)とミクロ(自殺対策関連予算の増加スタンス)の両方が功を奏していると考えられます。 
自殺対策関連予算の推移はまとまったデータがないので拾い集めてみると
平成19年 247億円 平成20年 144億円 平成21年 136億 平成22年 140億 平成23年 150億 平成24年 326億 平成25年 340億 平成26年 361億 となってます。

以下に、失業率と自殺者数の推移のグラフを掲載しておきます。
日本がデフレに突入した、97年あたりからそれまで、2万台であった自殺者数が、一挙に3万人台になっています。このグラフをみただけでも、経済政策の失敗は自殺者数を増やすということがいえそうです。
この内容を読んでいただくと、経済対策のまずさが人を自殺に追いやる可能性もあることを理解できると思います。そうして、これをご覧になれば、ブログ冒頭の記事の高橋洋一氏の話は決して誇張ではないことがお分かりいただけると思います。

しかし、日本ではこのことが全く報道されないため、これでも半信半疑の人いらっしゃるかもしれません。そのような方のため、この記事からさらに引用させていただきます。
さて、ここで、一冊の書籍を紹介させて頂きたいと思います。

経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策

この書籍には、経済政策と死者数と間の相関を調べた内容が記載されています。 
さて、日本では、現在アベノミクスの是非が話題になっています。世界中どこでも、不況に陥ると経済政策をどのようにするべきか、議論されます。しかし、結局のところ、どのような政策がよいのでしょう。そして、その決断を、イデオロギーや経済理論だけを頼りに行って、本当に良いのでしょうか。 
世界規模の不況に陥ったとき、国ごとに経済政策は異なり、それによって国民の運命も異なる方向に動かされてきました。公衆衛生学者と疫学者である本書の著者は、そのことを利用して政策の優劣を比較しました。つまり、過去の各国の政策選択とその結果のデータを、世界恐慌からソ連崩壊後の不況、アジア通貨危機、そしてサブプライム危機後の大不況まで調査し、比較したのです。 
比較の指標は、国民の生死です。政策の違いによって、国の死者数は増えたのか減ったのか、健康状態や平均寿命などがどう変化したかを比較しました。経済政策は、国の借金返済や構造改革、景気刺激など、さまざまな目的で行われますが、そもそも国民に死を強いるようでは元も子もありません。結果はどうだったのでしょうか。 
著者らの研究によれば、不況下で危険な「緊縮政策」を選択した影響で増加する死亡数は、まさに驚くべきものです。最も悲惨なのは、ソ連崩壊後のロシアで、1990年代に経済政策の失敗により数百万人の男性が死んだ(主に自殺とアルコール関連の死亡)と考えられるといいます。
アジア通貨危機後にIMFに緊縮財政を強いられたタイでは、感染症対策支出を削らされたせいで、感染症による死亡率が大幅に上昇しました。現在、緊縮財政をとっているギリシャでは、これも対策費の削減によりHIV感染が拡大しているほか、医療費カットで医療制度が崩壊し国民の健康状態はひどく悪化しています。
著者たちは次のように述べています。
民主的な選択は、裏づけのある政策とそうでない政策を見分けることから始まる。特に国民の生死にかかわるようなリスクの高い政策選択においては、判断をイデオロギーや信念に委ねてはいけない。…正しくかつわかりやすいデータや証拠が国民に示されていないなら、予算編成にしても経済政策にしても、国民は政治家に判断を委ねることができない。その意味で、わたしたちはこの本が民主化への第一歩となることを願っている
まさに、アベノミクスによる積極財政、金融緩和策をするかしないかという選択は、国民の生死にかかわるようなリスクの高いものであり、これをどうするかという判断についてイデオロギーや「安倍はやめるべき」などとという単純な信念に委ねてはいけないのです。

このブログは2014年に掲載したものなので、その後の自殺率の推移も含めたグラフを以下に掲載します。グラフをみれは、順調に減っていることがわかります。


日本だけではなく、以下には国際比較も掲載しておきます。


 グラフをみれば、日本は減少傾向にありますが、韓国の上昇がきにかかります。やはり、このブログで何度か掲載したように、韓国は雇用がかなり悪化し、特に若者雇用は最悪では、この状況を韓国では若者はチキン店を運営するか、死ぬしかないなどとその深刻さが表現されています。このような状況であるにもかかわらず、韓国では金融緩和をする気配がなく、文在寅大統領もその気はないようですから、これからますます酷くなり若者の自殺率も高くなることが予想できます。

以上みてきたように、もし安倍総理が辞めて、まだ経済が十分に回復しきっていない日本で、財政などを重視し、金融緩和から金融引締めに転じ、より緊縮度の高い財政政策がおこなわれるようになった場合とんでもないことになります。

自殺の問題だけではなく、また年末には派遣村が全国いたるところに開設されようになります。就活も、またとんでもないことになり、就職率が低下し、若者がまた苦しむようになります。ブラック企業がまたはびこり、とんでもないことになります。

あなたの職場でも、リストラの嵐が吹き荒れることなります。それよりも、何よりも運が悪ければ、あなた自身が自ら死を選ぶことにもなりかねないのです。安倍総理が早期にやめれば、私達はこのように大きな代償を払わなければならないことになります。

安倍総理以外の人が、まともな金融政策、財政政策を理解していれば良いのですが、現実はそうではありません。そもそも、自民党の中でも、これを理解しているのは安倍総理自身と、菅官房長官などごく一部に過ぎません。

野党は、ほとんどが理解していません。理解しているのはほんの一部の例外的な人です。

この状況で本当に安倍総理が辞めたら、日本経済はとんでもないことになります。まずは、今のところは、安倍長期政権が成立し、安倍総理や菅官房長官など、自民党内部に財務省など官僚の悪影響を受けない、まともな経済政策を考えられる後継者を育てるべきです。そうでなけれぱ、たとえ安倍長期政権が成立したとしても、安倍総理が辞めた途端、日本はまたデフレスパイラルのどん底に沈むことになります。

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2017年5月4日木曜日

アベノミクス、完全に成功…戦後3番目の長期好景気突入、「失われた20年」を脱出―【私の論評】経済認識に関しては、国民に負けた民進党(゚д゚)!

アベノミクス、完全に成功…戦後3番目の長期好景気突入、「失われた20年」を脱出

官邸ホームページより 
 2012年12月に始まったアベノミクス景気が、バブル期を超えて戦後3番目の長さになった。現在の景気は、安倍政権の経済政策が功を奏しているのか。

 これについて日本経済新聞は、景気回復の実感が乏しいとして、その理由に潜在成長率の低下を挙げている。マクロ経済分析の問題であるにもかかわらず、金融緩和に触れていないのは不思議だ。

 景気の動向は、内閣府が作成する景気動向指数によってみることができる。景気動向指数の一致系列指数によって、景気が改善または悪化しているかにより、回復期か後退期なのかが判定されている。

 景気動向指数の一致系列指数としては、以下が挙げられる。
・生産指数(鉱工業)
・鉱工業用生産財出荷指数
・耐久消費財出荷指数
・所定外労働時間指数(調査産業計)
・投資財出荷指数(除輸送機械)
・商業販売額(小売業、前年同月比)
・商業販売額(卸売業、前年同月比)
・営業利益(全産業)
・有効求人倍率(除学卒)

 これらをみてもわかるが、幅広い経済部門から経済指標が選ばれている。

 一致系列で指数は、生産面に重点が置かれている。筆者は経済を分析する際、第一に雇用、第二に所得をみる。つまり、雇用が確保されていれば経済政策は及第点であり、その上で所得が高ければ、さらに満点に近くなる。それ以外の指数、例えば輸出や各産業別の景気分析、所得の不平等などは、人それぞれの価値判断が入るので、評価の対象外にする。経済をシンプルに考えているので、景気判断に必須な経済指標としては、失業率(または有効求人倍率、就業者数)とGDP統計でだいたいの用は足りる。

 こうした筆者の立場から見ると、景気動向指数の一致系列指数は、生産面の指標が重複し、雇用統計が足りないと考える。今の失業率2.8%はバブル景気以来なので、及第点を与えられる。ただし、14年の消費増税以降は消費が伸び悩み、GDPはそれほどでもないので満点とはいえない。

 前出の日経新聞のように雇用を重視しない解説をみていると、経済がわからなくなってしまう。同紙読者は大企業正規雇用者が多いと考えられるので、雇用など確保されていて当然というスタンスなのかもしれない。その立場からみれば、雇用政策たる金融政策には関心がなく、金融市場に影響を与える金融政策にしか興味がないのかもしれない。

 雇用を経済政策のミニマムラインとする筆者からみれば、アベノミクス景気は実感できる。筆者の勤務する大学はいわゆる一流校ではなく、そのときどきの「景気」によって、就職率が大きく変化する。4、5年前には卒業生の就職率が芳しくなく、なんとか学生を就職させるのに四苦八苦だった。ところが、今や就職で苦労することはかなり少なくなった。この間、学生の質が向上したとはいえないにもかかわらずだ。これは、アベノミクスの金融緩和によって失業率が低下したことの恩恵である。

アベノミクスの勝利
 以上は経済的な分析であるが、アベノミクスの成否は政治的には決着済みである。どのように野党が批判しようが、アベノミクスの勝利である。経済的には、「景気がいいのはアベノミクスと無関係」という方便も使えなくもない。しかし、政権交代とともに景気回復が始まり、その後、野党は国政選挙で惨敗が続いているので、政治的には勝負ありだ。

 名目経済成長率について、IMFデータによって1980年代、90年代、2000年代、10年代の平均の世界ランキングをみてみよう。日本のランキングは、以下のとおり。

・1980年代:138国中下から28位
・90年代:150国中最下位
・2000年代:188国中最下位
・10年代:190国中下から15位
 日本の場合、下から20位くらいであれば十分にやっていける。名目経済成長率は、マネー供給量の伸び率と7割程度の強い相関がある。この伸び率は人為的に動かせるので、マネー供給量を増やせば名目経済成長できるといってもいい。ちなみに、1990年代、2000年代の日本のマネー伸び率は世界で最下位だった。これが失われた20年の原因である。

 アベノミクスによって、日本は失われた20年からようやく脱出しようとしている。これこそが、野党がなんだかんだと批判しても、打ち破れない真理である。
(文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授)

【私の論評】経済認識に関しては、国民に負けた民進党(゚д゚)!

以下に直近の経済指標について、詳細に踏み込んで検証します。

1-3月期GDPでは、ついに消費主体の経済成長が実現しそうです。消費は、今期は高めの伸びが期待でき、ここ3期をならした速度は年率1.6%となることでしょう。それは、消費増税の大打撃の前の2012~13年の伸びと同レベルであり、日本経済の復調を意味することになります。失われた10期を超え、16兆円もの大損害を残しつつも、成長は戻ってきたのです。今後は、雇用数の増加に見合う年率2.0%成長へ更に加速できるかが焦点となります。

3月の商業動態の小売業は前月比+0.2であり、CPIの財が-0.3であったことを踏まえると、実質では、これを上回る伸びとなるでしょう。したがって、3月の日銀・消費活動指数は、若干のプラスが見込まれ、1-3月期の前期比が+0.8まで高まる可能性があります。前期が低迷した反動も含まれますが、ここ3期をならしても+0.6という高さになります。消費の復調と加速をうかがわせるのに十分な数字です。

また、3月の家計調査は、相変わらず不安定な動きを見せ、消費水準指数(除く住居等)が前月比-2.0もの低下となったものの、1,2月の「貯金」で、前期比は+0.2に収まりました。GDPの消費を占う内閣府・消費総合指数は、3月がそれなりの低下となるでしょうが、前期比で+0.7程を確保できそうです。ここ3期の平均は、先述の活動指数より下がるにせよ、+0.4くらいになると考えられます。

+0.4というのは、2012~13年にかけての民間消費の伸びと同レベルです。その後、消費増税による大打撃に対処するため慌てて日銀が異次元緩和第二弾を打ったのですが、輸入物価高で苦しめただけで、2015~16年は+0.1へと沈みました。そのため、増税前のトレンドとの差は広がり、今や16兆円に及びます。8兆円の税収を得るのに、2倍の消費を潰したのだから、度を過ぎた財政再建の愚かしさが分かるというものです。+0.4への復調は、この傷口が広がらなくなったことを示しています。


今後の焦点は、成長の基礎体力である消費がさらなる加速を見せるかいなかにかかっています。その可能性は十分にあります。なぜなら、毎月勤労統計の常用雇用は、消費増税後も、コンスタントに前期比+0.5~+0.6を保ってきたからです。雇用が堅調でも、消費が低迷したのは、消費増税や輸入物価高で実質賃金が低下したことによるものです。ここに来て、パート増による平均賃金や労働時間の押し下げにも歯止めがかかり、雇用増がストレートに所得と消費の増加に反映される環境が整ってきています。

3月の新規求人倍率は、除くパートが+0.06の1.87倍と、12月の1.90倍に次ぐ高水準になりました。他方、パートの求人は一服し、人手不足の現状ではパートでは人員を確保しがたくなってきたので、正社員を集めようとする形へ変化しているようですは。こうした形はバブル期にも見られました。求人は、医療・福祉が多いのは当然ながら、1-3月期は、建設、製造、運輸という、賃金が高めで男性の雇用に結びつく求人が加速しました。

他方、3月の労働力調査では、就業者数が前月比+13万人、雇用者数が+1万人でした。プラスではあるものの、1-3月期の増加には、やや陰りが見られます。完全失業率は、男性が3か月続けて低下して2.8%となり、女性は2.7%が続いています。一時的かもしれないのですが、次第に人材の供給力に制約が現れてきています。雇用量の動向については、連休明け公表の3月毎勤でも確かめたいところです。

先月参議院の来年度予算案審議でアベノミクスの成果を強調する安倍首相
景気の先行きについては、輸出は拡大トレンドを維持しており、住宅は小康を保ち、公共は底を打っています。これらで構成される追加的需要は、12月頃に下ブレしたものの、それを取り戻すように推移しています。鉱工業生産は、3月が前月比-2.1となり、1-3月期の前期比が+0.1にとどまったのですが、4、5月の予測指数は、+8.9、-3.7と非常に高水準であり、景気の加速を予感させる内容となっています。

鉱工業指数に関しては、設備投資の指標である資本財(除く輸送機械)の出荷は、1-3月期の前期比が、前期の急拡大の反動もあって-2.9となりました。建設投資の目安となる建設材出荷も、同様に-1.0にとどまりました。それでも、GDPの設備投資については、輸送用機械が堅調で、企業の建設投資が盛んだったため、寄与度0.0~-0.1と見られます。また、住宅と公共の建設投資の寄与度は、ほぼゼロでしょう。

GDPの在庫の寄与度は、7-9月期が-0.3、10-12月期が-0.2と成長率を下げてきたのですが、1-3月期は、プラスとなりそうです。鉱工業指数で分かるように、製品在庫はプラス、流通在庫は変わらず、原材料在庫の仮置きがマイナスというところで、寄与度は0.1弱と見られます。また、GDPの外需については、ニッセイ研の斎藤太郎さんによれば、寄与度0.1強のようです。以上を踏まえるなら、1-3月期GDPの成長率は2.0%前後が妥当でしょう。

一部に「今の景気の回復ぶりからすれば、この4月からの消費増税は可能だった」との声もありますが、それをしていれば、増税幅と同じ5兆円の消費減に見舞われた上、失速状態が更に長く続いたでしょう。経験には学ばねばならいです。そうして、この半年の回復局面は、財政出動も、金融緩和も、成長戦略も、大してないまま達成されています。つまり、角な緊縮財政をしなければ、放っておいても日本経済は成長する。まさに8%増税は、百害あって一利なしの悪手中の悪手だったことがわかります。

以上ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事とあわせて、ご覧いただければ、アベノミクスの金融緩和策は大成功、一方8%増税は大失敗でしたが、相対的には成功していることがご理解いただけると思います。

昨年夏の参院選で民主党(現民進党)代表岡田氏が掲げた公約
高橋洋一氏は、「アベノミクスの成否は政治的には決着済み」としています。それは、昨年7月10日の参院選ではアベノミクスが最大の争点となり結局与党側が勝利したことを指しています。無論のその前の衆院選でもアベノミクスの継続をあげた与党が勝利しています。

野党側が「アベノミクスが限界にぶち当たっており、新しい経済政策を展開しなければならない」(岡田克也民進党代表=当時)などと批判したのに対し、安倍晋三首相は熊本県熊本市での第一声で「問われているのは、(現在の)経済政策を前に進めるか、低迷した時代に逆戻りするかだ」と反論しました。野党側はアベノミクスの現状を一時的に大企業の業績を回復させたものの、国民の所得増につながらず、失敗に終わったと考えました。

これに対し、与党側は長年、デフレ下にあった日本経済を回復へ向かわせているとみたわけです。選挙戦は与党側の勝利に終わり、アベノミクスが国民の信任を得た形になりました。そうして、その当時はこの与党側の主張が正しいのか否かは、予測としては正しいとはいえたものの、まだ経済統計などでははっきりとはしていない状況でした。

しかし、直近の数字を見ていると、明らかにこの国民の審判が正しかったことが理解できます。野党よりも、国民の目のほうが確かだったわけです。

民進党などの野党は、与党どころか国民に追いつかなければ正しい経済状況の認識ができなくなったのです。情けない限りです。

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2013年6月2日日曜日

安倍首相経済ブレーン 消費増税は2年待たなければならない―【私の論評】増税は、アベノミクスで景気が加熱し、インフレがいきすぎたとき(@_@;)、それ以外に増税を主張する日経新聞は単なる大馬鹿か、単なるスパイ(゚д゚)!増税報道姿勢で明らかになった真実(@_@;)!

安倍首相経済ブレーン 消費増税は2年待たなければならない


消費増税がいよいよ来春の4月に迫ってきた。安倍首相はこの4~6月のGDPを見て増税を実行するか最終判断するという。ただし、片腕の麻生副総理は4月20日、アメリカで「予定通りに(消費税率を)引き上げる」と明言するなど、増税に前のめりだ。

アベノミクスでの好景気が喧伝されるが、現状では恩恵を受けているのは株や不動産などの資産を持つ一部の富裕層だけ。政権内で既定路線になっている増税は、投資に縁のない庶民の生活を直撃することは間違いない。

だが、そもそもなぜ増税が必要だったのかを思い出してほしい。政府によると、増えた税収分はすべて「年金や医療費などの社会保障費の財源にあてる」と説明されている。政府は税率1%当たりで2.7兆円、5%で13.5兆円の増収を見込み、そのうち年金財源には合計3.5兆円をあてると計画している。

先日、麻生太郎・副総理は「アベノミクスで年金運用はウン兆円の黒字だ」と大威張りだった。少なくとも3.5兆円程度は稼ぎ出しているのだろう。ならば、年金財源にあてる分の消費増税はまったく不要ではないか。

安倍首相の経済・財政政策のブレーンとして知られる嘉悦大学教授の高橋洋一氏もこう指摘する。

「財政再建に何よりも必要なのは、経済成長による税収増です。増税はその経済成長の腰を折ってしまいかねない。

たとえば、金融緩和策によって景気回復が進んでいたイギリスでは、2011年1月に2.5%の消費増税が行なわれたことによって成長が鈍化した。現在、日本では幸いにもアベノミクスで景気が上向いているので、増税は延期して様子を見たほうがいい。

今後、日本経済の名目成長率が4、5%程度を維持し続ければ、増税なしでも財政再建は十分に可能です。その成長率に達成できるかどうか見定めるのに、おおよそ2年かかる。その間に増税して成長を止めてしまうことは本末転倒です。だから私は、消費増税は2年は待たなければならないといっているのです」

※週刊ポスト2013年6月7日号

【私の論評】増税は、アベノミクスで景気が加熱し、インフレがいきすぎたとき(@_@;)、それ以外に増税を主張する日経新聞は単なる大馬鹿か、単なるスパイ(゚д゚)!増税報道姿勢で明らかになった真実(@_@;)!

上のニュース、かなり良くまとまっているので、全文掲載させていただきました。まずは、とう考えても来年の4月に増税してしまえば、上でも指摘しているように、増税すれば、経済の成長を止めてしまうことになります。その結果何がおこるかといえば、さらなるデフレから脱却が遠のくということです。

こんなことは、消費税が創設されてから、デフレでないときには、増税して多少税収が増えたこもありますが、デフレに完璧に突入してから増税した後には、一度も増税前の税収を上回ったことはなく、デフレ期の増税は全く間違いであることは周知の事実です。イギリスの例をみても、明らかです。イギリスでは、後から若者雇用が落ち込んだので、大幅な金融緩和をしましたが、それでも景気は回復していません。無論のこと、税収も増えておらず、今でも財政債権の目処もたたない有様です。こんな事実の羅列よりも、高校あたりの政治経済を理解していれば、増税するべきでないのは誰もが理解できる、当たり前のど真ん中です。

来年の4月の時点では、いくらアベノミクスで経済がよくなったにしても、どう考えても、未だ日本はデフレから脱却しているとは考えにくいですから、そこで、何も考えずに増税してしまえば、経済がさらに冷え込み、失われた20年がさらに続き、おそらく失われた30年に突入することになるでしょう。そうして、深刻なデフレが続くことから、また、円高傾向になると思います。元の木阿弥です。



そんなことは絶対に許容することはできません。増税すべきでないことは、あのリチャード・クー氏も主張しています。それに関しては、このブログにも掲載したことがありますから、そのURLを以下に掲載します。
野村総研クー氏「今は消費増税すべきでない」(QUICK特別セミナー)―【私の論評】各界のリーダーが虚心坦懐にならなければ、日本は良くならない?!
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分のみコピペさせていただきます。
 野村総合研究所の主席研究員のリチャード・クー氏は2日、QUICKと日本経済新聞社共催のセミナーで講演し「今は消費増税すべきではない」と指摘した。民間企業が実質ゼロ金利下でも借金の返済を優先する「バランスシート不況」の状態から脱しておらず、政府支出の抑制を進めれば景気が落ち込み、結果的に財政再建は失敗するとの見方を示した。

民間の資金需要が乏しいことは「借金返済のトラウマがあるほか、キャッシュ・フローで設備投資できる状況になっているため」と説明。民間の資金需要を高める様々な努力が必要だと主張した。
 この記事そのものは、昨年の10月のものですから、まだアベノミクスのうちの金融緩和ですら、始動していない時期のものです。しかし、日銀黒田氏による、金融緩和を行なっている最中ですら、デフレから脱却していないうちに増税してしまえば、リチャード・クー氏が語っているように、景気が落ち込むのははっきりしています。

私自身は、何も永遠に増税するなと主張しているわけではありません。経済とはバランスが重要です。デフレのときに増税するのは、明らかな大間違いです。しかし、それでも、永遠に増税がまかりならぬと言っているわけではありません。いずれ日本がデフレから脱却し、さらに景気が加熱して、過度のインフレになれば、そのときは逆に増税すべきです。増税を含む緊縮財政をすくさま実行し、日銀は金融引締めをすべきです。金利も、資産物価が以上に上がれは、下げるべきです。


スティグリッツ氏

増税に関しては、マスコミがスティグリッツ氏の来日公演についての報道で明確になったことがあります。この同じ事柄に関する、下の対照的な報道を御覧ください。

まずは、テレ朝によるものです。
 消費税は消費を冷やす“悪い税金”ノーベル賞学者

ノーベル賞を受賞したアメリカの経済学者、ジョセフ・スティグリッツ氏が講演で、来年4月からの消費増税に慎重姿勢を示しました。

米・コロンビア大学、ジョセフ・スティグリッツ教授:「消費税のみ単独で増税するには時期尚早です。増税するのであれば、ほかの政策も同時に実施しなければなりません。消費税よりも効果があるのが環境税です。環境対策にもなり、次世代を守ることにもつながります」

スティグリッツ氏は、東京都内での国際会議で、消費税は消費を冷やす「悪い税金だ」と指摘しました。また、テレビ朝日などの取材に対し、政府が目指している来年4月の消費増税は時期尚早だと述べたうえで、消費税よりも、二酸化炭素の排出量に応じて課税する「環境税」のほうが税収につながるという見方を示しました。環境税は企業に新たな設備投資を促すため、経済活性化にもつながるとしています。

一方、株価の乱高下が続き、アベノミクスの副作用が懸念されていることについて「実施しないほうが将来的なリスクになる」と述べ、安倍政権が進めている経済政策の成果を評価しました。
 このニュース元記事には、動画もついていて理解しやすいです。是非ご覧になって下さい。

さて、以下は、上と同じ内容の日経新聞の記事です。
 財政収支の黒字化、20年までに「達成可能」 スティグリッツ氏(日経新聞)

コロンビア大教授のジョセフ・スティグリッツ氏が31日、都内で日本経済新聞社などの取材に応じ、財政の基礎的財政収支を2020年度までに黒字化する政府の目標について「達成可能」と述べた。日本の国内総生産(GDP)に対する税収の比率は他の先進国に比べ低く「引き上げ余地がある」と指摘。増える税収の一部を最も投資効果が大きい教育や科学技術に回せば「短期にも長期にも経済成長をもたらし税収の増加につながる」とした。

長期金利の上昇が日本経済にもたらす影響については「そんなに心配していない」と話した。市場はよく乱高下し、特に経済政策が変わる過程で短期的な変動に陥りやすいと指摘。金融当局は「国債の購入量を増やすなど長期金利を引き下げる道具を持っている」と今後の日銀の対応に期待を示した。

安倍政権の経済運営は成功しているとの認識を示したうえで、潜在的な日本経済の成長力は「そんなに悪くないと国民に明確に伝えたこと」を理由に挙げた。長引く景気低迷で「日本には過度に暗い雰囲気があった」と指摘。一方で、失業率は低く「悪いことばかりではなかった」と話した。
 この記事二つ比較してみると良くお分かりになると思います。ANNは、スティグリッツ氏が一番いいたかった、「消費税は消費を冷やす“悪い税金”、来年4月の増税は時期尚早」ということ、はっきりと伝えていますが、日経新聞は、「日本の国内総生産(GDP)に対する税収の比率は他の先進国に比べ低く「引き上げ余地がある」と指摘」などと、確かにスティグリッツ氏が言った言葉を掲載しているのでしょうが、報道姿勢が全く異なることがわかります。

日経新聞の記事だけ見ると、まるで、スティグリッツ氏が増税に賛成しているかのようにしかみえません。これは、スティグリッツ氏の発言の一部を切り取って、印象操作して、増税の世論を強化していることがみえみえです。

日経新聞の経済記事はどこの観測気球?

これによって、見えてくるのは、日経新聞は未だに、財務省増税派の尻馬に乗っているただの大馬鹿か、それとも、日本の経済が復活すると窮地におちいる中国・韓国などのスパイであるかのいずれかということです。どっちにしても始末に負えないです。これでは、私が前々から主張している、日経新聞を読むと、日本経済がわからなくなるという主張をさらに裏付けるようなもので、何も変わっていません。本当に困ったものです。

日本経済の本当の姿を知りたいと思えば、日経新聞は読むべきではありません。読むとすれば、特に経済記事に関しては、最初から猜疑心を持って、性悪説で、どこの政府機関の観測気球記事なのか、あるいは、どこの国に迎合しているのか見極めるため、頭脳訓練をするために読む新聞と心得て読むべきです。特に経済記事などは、最初から疑って読むべきです。日経新聞の経済記事の読む価値はそれ以外に最早ないと思います。皆さんは、どう思われますか?

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2012年12月1日土曜日

安倍自民の単独過半数もありえる!? 政権公約に「自主憲法制定」を盛り込んだ維新が加わり、参院選後に「自公維」実現の可能性も―【私の論評】直近の選挙では安部自民党が大勝利すること、来年夏の参院選でも大勝利を収めるようにし、失われた20年が30年になることだけは避けよう!!

安倍自民の単独過半数もありえる!? 政権公約に「自主憲法制定」を盛り込んだ維新が加わり、参院選後に「自公維」実現の可能性も:


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[ 歳川隆雄「ニュースの深層」 ]
安倍自民の単独過半数もありえる!? 政権公約に「自主憲法制定」を盛り込んだ維新が加わり、参院選後に「自公維」実現の可能性も 

[歳川 隆雄]

12月4日の衆院選公示を前にして離合集散を繰り返した第3極は、嘉田由紀子滋賀県知事を代表とする「日本未来の党」が11月28日、東京都選挙管理委員会を通じ総務省に新党設立を届けたことによって、「日本維新の会」(代表・石原慎太郎前東京都知事)、「みんなの党」(渡辺喜美代表)の3分化で決着した。これによって、16日投開票の総選挙は12党の争いとなった。

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【私の論評】直近の選挙では安部自民党が大勝利すること、来年夏の参院選でも大勝利を収めるようにし、失われた20年が30年になることだけは避けよう!!

ここしばらく、安部総裁の応援記事が続いていますが、本日も結果として、そうなりました。選挙は、いわゆる水ものといわれ、やってみないとわからないところがありますが、上記記事では、安部自民党が次の選挙で圧勝するのは間違いないとみて良いようです。そうして、来年夏場の参院選に言及しています。詳細は、上の記事を読んでいただくものとして、以下に結論部分だけコピペしておきます。
 そこで注視すべきは、本稿で重ねて指摘したように「政権の枠組み」である。安倍自民党が、一時期言われていた「200議席に届かない」という見立てはどうやら間違いで、各選挙区で組織力を発揮して「自民vs民主、維新、みんな、未来」の対立構図から抜け出して230議席、場合によっては単純独過半数(241)に届く勢いである。例えば選挙区で見ても、鹿児島5選挙区、宮崎3選挙区、山口4選挙区、島根、鳥取2選挙区、石川、福井3選挙区は全勝する可能性が強い(富山3選挙区も?)。
 そして、第3極分裂に利を得た公明党は手堅く25~30議席を死守するとなると、自民、公明両党で安定多数(269)に限りなく近づく。因みに、話題となった未来だが、①嘉田代表の全国での知名度が低い、②嘉田代表個人のインパクトが弱い、③小沢(一郎前国民の生活が第一代表)色が強すぎる---などから、事実上の「卒原発」だけではフィーバーに至らず、維新の半分にも届かない。所詮、維新に振られた党(個人)の受け皿になっているのが実情だ。比例代表で良くて20議席プラスα、選挙区が10議席以下の合わせて30議席前後ではないか。
 となると、上述の「政権の枠組み」である。維新の政権公約に「自主憲法制定」が滑り込んだことで、安倍自民党が単純過半数を占めれば、来夏の参院選後に「自公維」が実現することが十分考えられる。そこで注目すべきは、消費増税関連法案を成立させた「民自公」3党の協調路線に拘りを持つ石破茂自民党幹事長が総選挙後、どういう出方を見せるのかである。安倍氏周辺では、石破氏を主要閣僚で処遇して、安倍氏の信が厚い菅義偉幹事長代行を昇格させるべきだとの声がすでに上がっている。

ここで、忘れてはならないのは、マスコミなどでは、すでに増税はあたかも規定路線のように語られることが多いですが、実はそうではないということです。確かに、民自公の三党協議で、増税法案は成立しました。しかし、平成14年の4月から、増税するためには、平成13年の秋の時点で、政府が承認しなければできないことになっています。そうして、安部総裁は、平成13年の秋の時点では、どんなに頑張っても、デフレから脱却している可能性は低いので、この時点での増税は、見送りとしています。

わずか3年前の政権交代選挙は何だったのか?
そうして、上の記事では、現場では、安部自民党が最初想定されていたよりは、はるかに上回る議席数を確率し、第1党になる確率も高いことが予想されています。そうして、来年夏場の参院選のことも言及されています。参院選では、「自公維」が実現する可能性まで指摘しています。

そうなると、増税に対する危機が解消されない可能性があります。私自身は、いずれ増税することは、ある程度やむなしとも思っていますが、デフレ最中の増税だけは絶対に避けるべきと思っています。デフレが解消された時点でもまずいと思っています。最も良いタイミングは、安部総裁が主張する財政・金融政策を実施した結果景気が上向き、それを通り越して景気が過熱気味になった以降に増税すべきと考えています。

消費税増税は時期を間違うととんでもないことになる!!
なぜそんなことをいうかといえば、過去にこのブログにも何回も掲載してきたように、過去に消費税を5%に引き上げたときには、まさにデフレの真っ只中での増税ということになり、税率をあげても、結局上げる前の税収を一度も上回ったことはないからです。それに、イギリスでは、財政赤字を解消するための施策として、2011年1月に日本では消費税に相当する付加価値税の税率を大幅に引き上げたのですが、結局今に至るまで、税収があがる見込みがつかず、財政赤字が解消される見込みは、まったくたっていません。


景気が過熱気味になったときに、緊縮財政の一環としての増税、それに、日銀による金融引き締めするというのが、まともな、経済対策だと思います。安部総裁は、間違いなくこのようなシナリオを考えていると思いますが、維新と公明は違います。あろうことか、14年度4月から増税すべきとはっきり公約で掲げています。このことだけで、私は、維公は、結局は国民のためにならないと思います。だから、もし「自公維」体制が出来上がった場合、安部総裁がどこまで、自分の主張が通せるかが、焦点になると思います。公維が、議席数を増やし、自民がそうでもないということにでもなれば、安部総裁は苦しい立場に追い込まれ、主張は、通りにくくなると思います。


私は、日本の経済を考えた場合、現状では、当然安部総裁を応援するのが、一番だと思います。これは、何も安部さんが好きとか、嫌いとか、素晴らしい人格であるとか、善人だとかそうではないとか、などなどという問題ではありません。それに、自民党が良いとか悪いとかでもありません。日本の現状のどうしようもない、デフレ対策状況から抜け出しすために、最もまともな政策をあげているのが、安部総裁ということです。国民のため、強い日本をつくるため、まずは、デフレ脱却は、必須であり、それを一番実現する可能性が高い政策を打ち出しているのは、安部総裁以外にないということです。

中川昭一氏が今日のこの日を迎えられなかったのは、かえすがえすも残念でならない!!
上の記事を読んでいるうちに、参院選の重要性も理解できました。それにしても、まずは、直近の選挙に確実に勝利していただくこと、それに続く参院選でも、大きな勝利を収めていただき、安部総裁の主張が全面的に通るように、していくべきです。これが実現できなければ、デフレ下の増税が実行される可能性がたかまりもし実行されることにでもなれば、デフレ状況はまだまだ続き、失われた20年が、30年になってしまいます。それだけは、絶対に避けたいです。本当に、一難去ってまた一難という感じです。

そんなことにならないためにも、このブログでも安部総裁を応援していくつもりです。皆さんは、どう思われますか!!

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五輪に沸くロンドンが「ゴーストタウン」化 短期的な景気浮揚効果の予測に疑問符―【私の論評】不況のイギリスでは増税した後で増刷して、さらにオリンピックでも景気浮揚の効果はなくなったというのに、日本ではこれから増税とはこれいかに?



日銀総裁を公募で選ぼう―【私の論評】次の日銀総裁人事は、自民党総裁すなわち安部新総裁が大きく関われるようになっていなければならない!!




【五輪閉会式】景気後退、将来への懸念は消えず 政争の予感も―【私の論評】イギリスの今日の姿は、明日の日本の姿である!!






2012年6月6日水曜日

岡田副総理に学生から厳しい声“公約違反”“増税しても増収できない”中央大で講演―【私の論評】中央は、まともだ!!他大学の学生は一体どうなっているのか?

岡田副総理に学生から厳しい声“公約違反”“増税しても増収できない”中央大で講演


2日、都内の中央大学で講演した岡田克也副総理の「一体改革」の説明に会場の学生から厳しい意見が相次ぎました。

岡田氏は消費税増税はすべて社会保障のために使うという破綻ずみの説明を繰り返し、さらに「みなさんには申し訳ないが」と、就職難の学生の現状に遠慮しながら、国家公務員新規採用を2年間で56%削減すると宣言。「明日の安心」と題する「対話集会」ながら、若い世代の将来を不安で暗くする集会となりました。

これに意見した学生たち。「民主党はマニフェスト(政権公約)で4年間は(消費税の)増税はしないといっていたが、増税ありきになっている。内閣支持率は30%を切った。増税も6割が反対だ。民主主義の観点から大いに疑問がある」(商学部1年男子)など辛口が続出。

応援の意見もありましたが、岡田氏は「マニフェスト違反だとは思っていない」「『けしからん』というなら、次の選挙でそういう投票行動をしてもらえばいい」と強弁。公務員削減への疑問も「日本の財政からみるとやむをえざる苦渋の決断」だと切り捨てました。

また、「税率を上げて不景気になれば税は増収できない」(法学部1年男子)との声も。岡田氏は「はっきりといつ経済が回復するかを示すことはできない」と理解できない説明に終始。財政の借金が減らなければ「もう1回増税するかという話だ。2015年前後にもう1回考えて国会で議論するしかない」と、将来の再増税にまで言及しました。(信)

中央大学多摩キャンパス


【私の論評】中央は、まともだ!!他大学の学生は一体どうなっているのか?
上の記事、共産党の赤旗新聞ということで、取り上げてみました。左翼系からも、増税は反対されているということです。民主党は左翼政党であるにもかかわらず、共産党とは異なる主張をしているということです。しかし、もともと、政権交代選挙においては、民主党も「増税」など、全く触れておらず、菅さんが、総理大臣だったときの参議院選挙で、自民党の谷垣総裁が、「増税」を言っていたのに呼応して、増税を主張して、選挙に臨んだものの、結果は、惨敗でした。その結果、いわゆるねじれ国会なるものができあがりました。

2010年参議院議員選挙で、演説する谷垣氏と、菅氏
中央大学の学生の対応、当然のことと思います。これが当たり前の反応だと思います。そもそも、マクロ経済学など学ばなくても、高校の経済・社会の授業で、「景気が悪いときには、政府は、大規模な財政出動を行って、公共工事を大々的に行うとか、減税を行い、日本銀行は、金融緩和策として、お札を増刷したり、金利を低くする」、「景気が良すぎて、加熱したときには、政府は、緊縮財政を行い、大規模な公共工事を控えたり増税などを行い、日本銀行は、金融引き締めとして、お札の増刷をしないとか、金利を多角する」と習うはずです。このような教え方をしないような、教科書は、教科書検定を通らないでしょうし、そんな教え方をしない高校は、文部省の指導要領に反するということになります。

であば、デフレの現在は、不況なのですから、増税などとんでもないということです。この時期には、減税をするというのが正しいありかたです。そうして、政府は、大規模財政出動、日本銀行は、金融緩和をすべきということてず。こんな当たり前の真ん中のこととに、全く反することを、政府も、日銀こぞって実行しつつあるということです。

しかし、こんなやり方は、経済学の常識に反しており、先ほどの高校の事例でいうまでもなく、全く間違いです。そうして、現在の経済の状況下で、増税するなどと答えるようでは、それこそ、センター試験ですら合格できません。こんな、馬鹿で愚かなことを多数の政治家が主張しており、日銀も主張しており、さらに、新聞がこれを後押ししているという全く不思議な状況にあるのが、今の日本の現状です。

そんな中での、岡田副総理の中央大学での講演です。しかも、その内容は、増税に関するものです。これに対して、会場の学生から厳しい意見が相次ぐのは当然のことです。それにしても、これと同じようなことは、野田首相が慶応大学で同じような講演をしていましたが、そこで、公演を聴いていた学生たち、何か、大人しく黙って聴いていたようでした。だから、私は、非常に奇異に感じました。私の感覚からすれば、中央大学の学生のような反応が当然のことと思います。大学の先輩てであるというのなら、話はわからないでもないですが、岡田さんは、東大出身ですし、野田さんは、早稲田出身です。


今の時期の増税の間違いを示す査証は、他にも事実による裏づけがいくつもあります。たとえば、あの「復興税」なる言葉消えうせました。今、これを主張する人は誰もいなくなりました。なぜなら、間違いであることがはっきしているからです。昨年この復興税を正当化するために、財務省は、世界で、増税によって、復興を行い、成功した事例を探したようです。その結果、結局、世界にはそのような国はどこにもないことが判明しました。もし、そのような国があったとしたら、財務省ならびに、これに追随する大手新聞も、「○○国では、復興税で大成功!!」と一大キャンペーンを打っていたことでしょう。しかし、それはできなかったということです。

復興税なる言葉はなぜ消えた?
地震などの大災害があったときに、増税するなどという不埒なことをした政府は古今東西どこにもありません。そんなこと、経済的な知識がなくても、良く考えてみればわかることてず。ただでさえ、被災した人たちが、生活に困窮するときに、増税なんぞしたあかつきには、普通の国なら、暴動になってしまいます。

被災したときなど、普通の場合は、減税はありえますが、増税などまったくありえないことです。そうして、これには、日本でも先例があります。それは、関東大震災のときです。関東大震災のときは、日本政府は、すみやかに、国債を発行しましたが、当時の日本は、今のように豊かではなかったため国内での国債の引き受け先が、少なかったので、海外でも売り出したのです。要するに、外国から多大な借金をして、復興にあたったのです。震災の3ヶ月後には、いまでいうところの、復興庁のような組織をつくり、海外からの借金で、本格的な復興が始まったのです。

関東大震災で全壊したチャータード銀行 大正12年
そうして、その直後に政府は、減税をしました。歴史を振りかっても、このように減税の例は、あっても、増税などという馬鹿げたことをしたなどという事例はありません。それに、過去の消費税増税でも一度も、増税前の税収をうわまわったことはありません。

この事例を見ても、増税がいかに馬鹿げたことがお分かりになると思います。さすがに、復興税は、影を潜めましたが、未だ、あの日本が財政破綻するなどという馬鹿げたことを言っていますが、これも、あきかに間違いです。それに関しては、過去にこのブログにも過去に再三にわたって、掲載してきたことなので、ここでは、新たに詳細を説明はしません。それに関しては、下の【関連議事】のところに、URLをコピペしておきますで、それを参照なさってください。

中央大学2011年ミスコントップの冨張愛さん

しかし、これだとて、過去の歴史を虚心坦懐に振り返れば、別に経済の知識がなくても、容易に理解できます。それは、先に述べた、関東大震災での復興資金の調達です。国債を発行したものの、日本国内では、消化しきれず、外国に多くを買ってもらいました。

これに比較して、今の日本はどうでしょうか、復興のために大量の国債を発行したとして、全部を国内で消化できます。昔の日本とはまったく異なるということです。こんなことを書くと、また、国債が暴落するなどという愚か者もでてきますが、現実には、全く異なることが、起こっています。たとえば、最近では、日銀が国債の買いオペ(日銀が金融緩和の一環として、市中銀行が保有している国債を買い取り、市中に出回るお金を多くすること)をしたところ、何と札(ふだ)われを起こしてしまいました。

札われとは、日銀が、この買いオペをするにあたって、市中銀行がこれに応募するわけですが、実際に日銀が予定していたよりも、市中銀行が応募して、実際に銀行が日銀に売ろうとした、国債の額面価額が下回ったということです。それに、最もわかりやすいのは、円高です。財政破綻する国の通貨は、価値が下がりまずか、上がることなどありません。たとえ、日銀が円を増刷しないという諸事情があったにしても、これだけ、上昇するなどということはありません。財政破綻するというなら、通常は、円安になるはずです。円安にならず、円高になるということは、少なくとも、国債為替市場は、日本が財政破綻するなどと考えていないことのあらわれです。お金とは、正直なものです。

ということは、日本国債は、暴落するどころか、超人気ということです。だから、市中銀行でも、日本国債が品薄状態になっているということです。であれば、国内で調達できるということであれば、国債を発行しても、日本国の借金にはならないわけですから、どんどん発行して、限度一杯くらいまで、発行すれば良いのです。

それにしても、今の日本は、過去の日本とは違いますから、数百兆円も発行すれば、復興には十分だと思いますので、毎年百兆円ほど、数年間発行して、徹底的に復興ならびに、他の必要不可欠な、公共工事などをやれば良いわけです。そうして、日銀も、デフレ是正のため、金融緩和措置を実施し、増刷をすればよいわけです。

慶応大学ミスコン2011グランプリの浅見明日香さん
そうなれば、復興は、もとより、デフレ克服もできます。そうなれば、増税なんぞしなくても、税収が増えます。こんなことを言うと、ハイパーインフレになるなどいう輩もいまずか、今は、デフレです。日本が、いつからデフレになったかといえは、公開資料でみれば、1998年からです、今2024
年ですから今年で、26年目になります。26年目ですよ!!これは、全く異常なことです。失われた10年という言葉は、つい最近のことのように思われていましたが、もうすでに、失われた20年になっており、しかも、すでに、失われた、30年に近づこうとしているのです。

国債をこれだけ、発行しろとか、円を増刷すれなどという私の意見を奇異に思う人もいるかもしれません。しかし、これは、どこの国でも、デフレを抜け出すときには、当たり前の事実です。私は、26年間継続して、デフレだったことのほうが、よほど奇異に感じられます。これを脱けだすためには、このくらいのことを思い切ってしなければ、抜け出すことはできません。というよりは、これは、他のアメリカなどの先進国では当たり前のことです。ただし、あまりやりすぎて、効き目がなくなっているのが、今のアメリカの姿です。日本は、26年間もこのようなことをやってこなかったのですから、一度くらいやったからといって、そんなに悪影響などでません。

日本経済に対して悲観的な考えを抱いており、日本経済は、このまま落ち込む一方で、駄目になってしまうと信じ込んでいる人たちもいるようですが、そんなことはありません。その根本原因は、国民にあるのではなく、20年以上にもわたって、緊縮財政を続けてきた、政府、こちらも、20年以上にわたって、金融引き締め政策をしてきた、日本銀行にあるのです。

今は、増税などすっとんきょうな馬鹿真似をするときではありません。まずは、緊縮財政をやろうとする政府と、日銀を成敗すべきです。



こんな状況にあることを中央大学の学生は、理解しているということです。それにしても、慶応大学の学生は、野田首相の話をきいて、なんとも思わなかったのでしょうか?それとも、思っていても、何もいわなかったということでしょうか?そんなことは、ないと思います。このへんのところ、事情通の方がいらっしゃいましたら、是非コメントをいただきいたものです。

さて、こまま、今の時期の増税など許容していたら、失われた30年が確定していましいます。だからこそ、中央大学の学生のように、増税には、ノーといいましょう。次の選挙では、緊縮財政を標榜するような政党には、ノーをつきつけましょう。日銀法を改正して、中央銀行の役割は、政府の金融政策に従い、その手段を専門家的立場から、選ぶ自由があるという本来の形に戻すことを主張する政治家に投票しましょう!!



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