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2019年7月4日木曜日

参院選で自民「40台」衝撃予測! 消費増税で国民の不満が蓄積…残る手は全品目の軽減税率だ―【私の論評】生理用ナプキンが安倍政権を窮地に追い込むのか?

安倍総理

参院選は4日に公示、21日投開票される。年金問題や消費増税問題などの争点が、有権者の投票行動にどう影響するか。

自民党は10月からの消費増税を決めたので、選挙では逆風も強まるだろう。マスコミは「年金問題が自民党にとって逆風要因」と書く。しかし、年金で老後の全てを面倒見ることは不可能だと国民は知っている。年金問題をあおっているのは、軽減税率をほしがり、消費増税を目立たなくしたい一部マスコミのように思える。

ともあれ、マスコミが書かなくても、国民には消費増税の不満がたまってくる。実際、政府が正式に消費増税を決めた6月21日の閣議の少し前から、テレビで軽減税率を見込んだCMが出始めた。今後は、10月から消費増税だからと、その前に買ったほうがいいというCMも出るはずだ。

そうなると、国民の怒りがジワリと出てくるだろう。すでにその萌芽(ほうが)は出ていて、6月21~23日にNHKが実施した世論調査までは、内閣支持率は前回調査より6ポイント減少し42%、自民党の支持率は5・1ポイント低下し31・6%になった。これには驚いた。

政界には、「青木方程式」というものがある。自民党の青木幹雄元参院議員会長の持論で「内閣支持率と政党支持率の合計が50%を切ったら、政権は終わり」というものだ。

内閣支持率と政党支持率は、過去の国政選挙の自民党の議席獲得率ともかなり密接な関係があるので、それを活用して、選挙予測ができる。

前月の調査結果から、予測される自民党議席数は「53」程度だったが、「48」程度まで落ち込んだ。その後、支持率は少し持ち直したが、消費増税問題が露出すると、獲得議席が落ち込む可能性も否定できない。

参院選の勝敗ラインについて、菅義偉官房長官は、自公両党で非改選を含む全体の過半数の確保といい、二階俊博幹事長は、改選過半数の確保という。

改選124議席の過半数なら63、非改選を含む全体の過半数なら123。自公の改選議席は77のため、菅官房長官のラインは25議席減でもいい。もっとも、二階幹事長のラインは14議席減で、これだと危ない。菅官房長官が勝敗ラインを明確にしたのは危機感の表れだろう。

20カ国・地域(G20)首脳会合で安倍晋三首相のテレビ露出はかなり大きいものだった。ただし、投開票日の7月21日で、消費増税の露出が大きくなる中で、どこまで自民党は持ち堪えられるか。

世界の著名エコノミストがこぞって批判する消費増税である。今からでも、対応可能な手はある。財務省は消費増税、公明党は軽減税率の導入を唱えている。この両者の意見を満たしながら、景気への悪影響を防ぐには、10月から10%への消費増税を行い、同時に全品目を8%の軽減税率の対象にするのだ。これであれば、軽減税率への対応努力も無駄にならないし、基本税率も10%に引き上げられたので増税派も満足だろう。実際の税負担は今と同じなので景気悪化にもならない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】生理用ナプキンが安倍政権を窮地に追い込むのか?

ブログ冒頭の記事で、「全品目を8%の軽減税率の対象にする」という主張は正しいと思います。実際、生活必需品で軽減税率の対象になっていないものがあり、かなりの話題となっています。

特に、生理用品やオムツなどの生活必需品が軽減税率の対象外になっていることに、ツイッター上などで不満が続出しています。

きっかけは、生理用品が対象でないと知ってびっくりしたと、7月3日に投稿されたツイートからです。

この投稿者は、生理用品は生活必需品ではないのかと不満を漏らし、嗜好品や贅沢品の扱いはおかしいと怒りをぶつけました。


さらに、トイレットペーパーや乳児・介護用のオムツも対象外なのを知って愕然としたとし、その一方で、新聞が対象になっているのは理解しがたいと訴えました。

国税庁のサイトにある軽減税率制度の手引きによると、対象品目は、酒類・外食を除く飲食料品と週2回以上発行される定期購読の新聞だけです。これらを対象にしたのは、低所得者への配慮からと説明されています。

とすると、生活必需品すべてが軽減税率の対象ではなく、先の投稿者は制度への誤解があることになります。投稿者は指摘を受け、後に一連のツイートを削除しています。

とはいえ、軽減税率の内容を理解している人は3割台に過ぎないとの調査結果もあり、投稿者のような誤解はまだ多い可能性があります。また、厚労省の調査で、「生活が苦しい」世帯が約6割と4年ぶりに増加に転じており、こうした背景もあってか、投稿者への共感の声は多かったです。

「なんで新聞ははいってて生活必需品はないんだ」「少子高齢化悪化させたいの?」「政治家の女性比率が少ないからだろうな」「新聞が行う政府批判が信じられなくなる」などです。

生理用品などが軽減税率の対象になっていないことに先の投稿者が驚いたのは、テレビで頻繁に放映しているレジ補助金のCMを見たからの可能性が指摘されています。以下のそのテレビのCMの動画を掲載します。



このCMは、政府が正式に消費増税を決めた6月21日の閣議の直前から流れています。その中で、スーパーのレシートを見せ、たまねぎやじゃがいもなどの飲食料品は対象品目のチェックが付いているものの、紙ナプキンなどにはチェックが付いていませんでした。

投稿者は、このレシート映像を見て、生理用ナプキンなどについても調べたのかもしれないです。そうして、近いうちに生理用品だけでなく、様々な適用除外品に関しても、不まおが鬱積していくと思います。

高橋洋一氏は、

「今後は、10月から消費増税だからと、その前に買ったほうがいいというCMも出るはずだ。

そうなると、国民の怒りがジワリと出てくるだろう」

としています。そうなると、これからジワジワと国民の消費税造成への反発が高まってくることになります。そうなると、高橋洋一氏が語っているように、参院選は自民党がかなり負けることになることが予想できます。

日本記者クラブが主催して、与野党7党による党首討論会が3日、東京都内で開かれました。安倍晋三首相(自民党総裁)は10月予定の消費税率10%への引き上げ後、さらなる増税について「消費増税を今後10年は、10%から上げる必要はない。社会保障などの財源は高齢者の再雇用による税収増で賄う」としていますが、そうならば8%からの引き上げも同じ理屈で必要がないはずです。

社会保障のため財政健全化をやらないと財政が持たないと、このブロクでは何度も指摘している財務省の大嘘を心の底から信じて、真正面から安倍首相に対し突きつけられるのは麻生氏しかいません。財務省は、麻生財務大臣を通じたことで、各方面に様々な増税キャンペーンを実施しやすかったとみえます。

麻生氏が財務省のトップではなくなったら、今後財務省は10%以上には増税できなくなるでしょう。ということは、安倍総理としては、増税10%後は、麻生切りができるとみているのでしょうか。麻生切とは、無論財務省の力を弱めるということです。


そうして、麻生切ができるということは、麻生氏が政権内にいなくても、安倍総理は十分に政権運営ができるということです。それの裏返しで、今はそれができないということですし、それがために勢いを回復した財務省に対して、増税せざるを得ない状況に追い込まれたということです。

参院選で負けて、その後に麻生切をしたとしたら、後は自民党どうなるのでしょうか。また、どうしなければならないのでしょうか。

今回の増税は10%とかなり切が良く、誰でも計算しやすいので、再び個人消費はかなり冷え込みます。そうなると、経済はまたデフレに舞い戻り、円高になり、雇用情勢も悪化することでしょう。そうして、国民の不満はつのっていきます。

現在の世界経済には不安要素がかなりあります。その不安が現実になり、そのときに日本経済が増税のために落ち込んでいた場合、リーマン・ショックを超えるショックが日本を襲うかもしれません。

そのようなときに、日本がリーマン・ショック時のように、緊縮財政、金融引き締めなどしていては、日本経済は再びどん底に落ち込むと思います。

そのような兆候が少しでもみられた場合、安倍総理はなりふりかまわず、減税と、再び異次元の量的緩和に踏み切るべきです。その時に麻生切ができていれば、それができるでしょう。そうでないと、安倍総理は念願の憲法改正はできずに、政治生命を終えると思います。

女性の恨みは怖いです。ナプキンで安倍総理は本懐を遂げられなかったということにならないようにしていただきたものです。そうして、本来ならばなんとしても最初から10%増税などするべきではありません。全品軽減税率対象などしてしまえば、煩雑な手間が増えるだけです。それにしても、財務省はしぶといです。

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2019年6月29日土曜日

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 参院選の自民議席、数量分析から予測すると...―【私の論評】次内閣改造で麻生氏が財務大臣にならなければ、官邸は財務省に挑戦し始めたとみなせ(゚д゚)!


解散恐怖症で党首討論を無為に費やした野党

    2019年6月26日、国会が会期末を迎えた。これで、7月4日公示、21日投開票が確定した。

    今国会での法案提出は新規57本、そのうち54本が成立した。与野党の対決法案は少なく、今国会はいつでも「解散可能」な状態だった。このため、野党はかなりビビった。19日の党首討論でも、解散せよと迫る野党はほぼなく、党首討論で安倍首相が解散しないと確信すると、形式的に内閣不信任決議案を後出しで出す始末だった。

    はっきりいって、党内事情から解散を迫れない野党は、自民党にとってはこわくない。それは、党首討論において安倍首相が余裕綽々だったことからもわかる。

マスコミが年金問題を「煽る」理由

自民党にとって恐ろしいのは世論である。消費増税を10月と決めたので、選挙では逆風もあるだろう。マスコミは消費増税を賛成し軽減税率をほしいので、年金問題が自民党にとって逆風要因と書くだろう。しかし、年金で老後のすべてを面倒見るとは不可能であることを国民は知っている。「年金」と煽っているのは、消費増税を目立たなくしたいマスコミなのだ。

年金問題を煽るマスコミ

ともあれ、消費増税が決まったので、いくらマスコミが書かなくても、国民には不満がたまってくる。実際、政府が正式に消費増税を決めた6月21日の閣議の少し前から、テレビで軽減税率を見込んだCMが出始めた。これから、10月から消費増税だからと、その前に買ったほうがいいというCMも出るはずだ。

そうなると、国民の怒りがでてくる。実際、21~23日にNHKが実施した世論調査までは、内閣支持率は前回調査より6ポイント減少し42%、自民党支持率は5.1ポイント低下し31.6%になった。

筆者は、数量分析を専門としているので、経済のみならず、外交軍事から感染症流行まで幅広く分析対象としているが、選挙も例外ではない。いわゆる選挙予測である。この分野は、日本では政治評論家が地道に足で調べた結果ばかりである。足で調べたというものの、ごく少ないサンプル調査でしかない。マスコミはそうした人からの「独特の分析」を掲載している。各政党も独自に調査をしているが、はっきりいってコストパフォーマンスはそれほど良くない。筆者はそうした調査を否定する者ではないが、別のアプローチで選挙予測をする。それは、内閣支持率と自民党支持率から統計的に算出するものだ。

「青木方程式」を活用してみる

政界には、「青木方程式」というものがある。自民党の青木幹雄・元参院議員会長の持論で「内閣支持率と政党支持率の合計が50%を切ったら、政権は終わり」というものだ。内閣支持率と政党支持率は、過去の国政選挙の自民党の議席獲得率ともかなり密接な関係があるので、それを活用して、選挙予測に使うのだ。

直近の調査でなく前月の調査結果から、予測される議席数は50台の半ばだったが、今は40台の後半にまで落ち込んでいる。これから、消費増税がさらに露出すると、さらに獲得議席は落ち込む可能性も否定できない。

今週はG20で安倍首相のテレビ露出はかなり大きくなる。ただし、投開票の7月21日まで、消費増税の露出が大きくなる中で、どこまで持ちこたえられるか。補正予算などの追加措置をいうだろうが、となるとなぜ消費増税なのかという不満がさらに増すかもしれない。

++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「日本の『老後』の正体」(幻冬舎新書)、「安倍政権『徹底査定』」(悟空出版)など。

【私の論評】次内閣改造で麻生氏が財務大臣にならなければ、官邸は財務省に挑戦し始めたとみなせ(゚д゚)!

国会は26日に会期末を迎えました。25日に野党側から衆議院に提出された内閣不信任決議案は否決されました。与野党の攻防の舞台は7月の参議院選挙に移りました。

今国会に提出された法案を見ると、5月以降はほとんど法案の審議がない状況でした。そのためいつでも解散できるような状態でしたが、結果的に安倍総理はしませんでした。なぜかということは、安倍総理しかわかりません。

ただし推測すると、これは解散するときに消費増税は延期もしくは凍結という話が出るでことになったでしょうが、麻生財務大臣としては、消費増税を実施したいという強い意向があり、これ優先したのだと思います。

結局、安倍総理は、財務省の文書変更、書き換えがあっても、普通ならば大臣の首は飛ぶところですが、それでも安倍総理は麻生財務大臣を守りました。次官のセクハラがあったときも守りました。

昨年の財務省の不祥事と人事をめぐる動き

徹底的に安倍総理は麻生大臣守ったのです。政権運営のためには、麻生大臣は切れなかったのでしょう。財務省もそれをよく熟知し、そこにつけ込みし消費増税の話を仕込んだのではないでしょうか。そう考えないと筋が通りません。

国会開催中でないと衆議院解散はできませんから。国会が終わったら衆議院は開かれないので、解散ができませんから、衆院解散、衆参同時選挙の芽は完全になくなったとみるべきでしょう。

消費増税の内容は、骨太の方針に先週21日に掲載されました。行政手続き論的には、骨太の方針の6月21日に閣議決定して、消費税増税もう決まりです。

その前にそういう動きになっていて、あとは手順だけでした。今回のこの動きは、財務省の影響力がかなり大きいです。

財政審議会の建議というものがあります。昔は財政審の建議が出て、それが経済運営の基本だったのですが、2001年から「骨太の方針」が出て、建議の意味があまりなくなりました。

「骨太の方針」のだいたい3週間くらい前に建議出すことになっていたのです。前に出さないと意味がないですから。いままで最短でも2週間、多くは1ヵ月というときもありましたが、3週間が普通でした。でも今年(2019年)は何と、建議が6月19日でした。そうして、骨太の方針が閣議決定されたのが、21日でした。

21日、19日、これはほとんど同時です。ということは、完全に財務省の官僚が予算のコントロールできて、それを実行したということです。

従来予算編成は財務官僚が完全握っていた時期がありましたが、それを大枠だけでも政治主導でやって行こうというのが「骨太の方針」の趣旨でした。

財務省の財政審の建議が3週間前に行われていたということが、財務省があまりパワーを持っていなかったことの証左でした。ところが、今回は21日と19日、ほぼ同時です。もう完全に財務官僚が予算編成のパワーを持ったということです。

メディアの報道を見ていると、安倍政権は長期政権となり、官邸主導だから行政が歪められているようなことを報道してますが、むしろ逆行してしまいました。2000年からの財政審の建議の日と骨太を見れば、3週間前という綺麗な関係があるのに、今年に限って2日です。こうなってしまうと、消費増税増税も確実に実施されることになります。

麻生氏は、安倍政権のなかの政権運営のための重要人物ですからから、財務大臣である麻生氏を経由して様々なことを財務省ができたのではないでしょうか。

安倍総理と麻生財務大臣

消費増税をして、経済は当然冷え込むだろうと多く人が指摘しています。少しでも冷え込みを回避するために補正予算を組もうと思っても、それすら財務省が緊縮路線ということになるととんでもないことになる可能性もあります。

補正予算でいちばん簡単なのは、国債費を積み増しして、だいたい2兆円くらい余計に積んでいます。それをそのまま使うことです。国債費をたくさん積んでも金利は低いですから、実は不要だと使わなくなるのが普通です。そうなると後で減額修正しなければならなくなります。

減額修正するのだったら、それを補正で使うのが普通のパターンです。これがいちばん簡単なやり方です。ただし、そもそも2兆円では焼け石水ですし、さらに財務省がそうするかどうかはなはだ疑問ですし、もし財務省がそうしなければ、とんでもないことになります。無論経済は悪化し、デフレに舞い戻るのは必至です。

いずれにしても、現在内閣支持率が落ちているところにきて、与党は増税を前提として、参院選を戦わなければならなくなります。そうなると、冒頭の記事にあるとおり、「前月の調査結果から、予測される議席数は50台の半ばだったが、今は40台の後半にまで落ち込んでいる。これから、消費増税がさらに露出すると、さらに獲得議席は落ち込む可能性も否定できない」ということになりかねないです。

さらに、今後自民党総裁の任期が満了する21年9月末までの間で「解散カード」を切る時期は限られてきます。しかも、これが増税の後に行われることになれば、やはり政権の支持率が落ちかなり不利な情勢になります。

参院選後の10月には消費税率が10%に引き上げられます。党内には「増税前にやらないと難しくなる」(中堅議員)との見方があります。しかし、7月21日投開票の見込みの参院選後には議長をはじめとする参院人事や内閣改造が行われます。

このようなことが予め予想されているのですが、政権運営のためには麻生氏切りで財務省の力を鈍化させることはできないという、ジレンマに安倍総理はさらされているのです。

こうなると、参院選挙後の内閣人事が注目されます。このときに麻生氏が財務大臣にならなければ、安倍政権は何らかの活路を見出して財務省に対して戦いを挑み始めたということです。

何らかのウルトラCで、10月増税を阻止するか、それができなくても、ひよっとして短期間のうちに、10%増税から減税するかもしれません。

仮に、今回の参院選挙後の内閣改造でなくても、その後の内閣改造で、麻生氏が財務大臣にならなければ、その芽はでてきます。そうでないと、経済は悪化の一途をたどり、憲法改正もできず、おそらく安倍内閣はレイムダックになることでしょう。

それと同時に、財務省の実体も最近では一部のメディア様々に報道されるようになってきたため、財務省に対する国民の不満もつのることになるでしょう。最近は、テレビをワイドショーで以前は財務官僚を「リスペクト」すると言っていた、弁護士のコメンテーターが、財務官僚を批判していて、時代の変化を感じました。そのことは、安倍総理が一番知っていることでしょう。なんとかして、安倍総理に活路を見出していただきたいものです。

それにしても、日本では財務省が政治のネックになっていることは確かです。財務省は、本来会社でいえば、財務部のようなものであり、会社の一部門にすぎません。ところが、これが実質的に金の力で、取締役を支配しているような歪な構造になっています。これはいずれ何とかしなければならない最大の課題です。

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2018年9月22日土曜日

【日本の解き方】二度あることは三度ある!? 消費増税「スキップ」あるか 改憲とデフレ脱却の切り札に―【私の論評】安倍総理は増税を再延期を公約として参院選になだれ込む(゚д゚)!

【日本の解き方】二度あることは三度ある!? 消費増税「スキップ」あるか 改憲とデフレ脱却の切り札に

総裁選後はじめて官邸に入る安倍総理

自民党総裁選で安倍晋三首相が3選されたが、憲法改正やアベノミクスの今後など、残る首相在任期間中の課題は少なくない。

 憲法改正の手続きは、国会が改正案を示し、最終的には国民が投票で決めるが、まず衆参両院の憲法審査会に国会議員が憲法改正原案を提出するところから始まる。まだ、安倍政権はスタートにも立っていない。

 今回の総裁選を受けて、憲法改正について自民党内での意見集約が進むだろう。安倍首相は国会議員から多くの支持を受けているので、争点はいつ、憲法改正原案を自民党として国会に提出できるかである。

 仮に提出できれば、衆参両院において憲法審査会での可決、本会議において総議員の3分の2以上の可決があってから、憲法改正を国会が発議でき、国民投票にかけられる。国民投票では賛成過半数によって、ようやく憲法改正ができる。

 このように憲法改正では、衆参両院の3分の2と国民投票による過半数という普通の法律にはない高いハードルが待っている。

 安倍政権は、この憲法改正のスケジュールをどう考えているのだろうか。最短でいけば、総裁選後、自民党内で憲法改正原案をもんで来年の通常国会に提出し、衆参3分の2で国民投票案を可決して、その半年後に国民投票というスケジュールだ。来年には改元もあるので、新しい時代に新しい憲法という流れだ。自公は衆参ともに3分の2をとっているので、参院選前に国民投票案を可決しやすいという環境を生かせる。

 しかし、これは公明党がどう出てくるかが問題になる。もし「参院選前にはやめてくれ」となるとスケジュールは崩れ、来年7月の参院選で自公で3分の2を維持しなければ、憲法改正は遠のく。

 となると、来年の通常国会を諦め、参院選で再び勝利を目指していくのか。そのためには、来年10月に予定されている消費増税をぶっ飛ばすのが政治だ。

 もちろん、来年10月の増税はすでに法律があり、準備作業に入っている。財務省は、システム対応が行われているので、来年になってからの消費増税のスキップは社会混乱を招くと主張するはずだ。

 ただし、実務を考えると、来年春に増税スキップを打ち出せばギリギリ間に合うだろう。そうした公約で参院選に突入すればいい、と筆者は考えている。

 これは、アベノミクスの課題対応にもなり、一石二鳥である。というのは、消費増税スキップはデフレ完全脱却の切り札になるからだ。

 来年10月の消費増税の悪影響をなくすためには、バブル景気並みの良い環境と、かなりの規模の減税を含む財政措置が必要だが、消費増税をスキップすればそうした措置も不要で、デフレ完全脱却への近道になる。

 安倍政権は、これまで2回も消費増税をスキップした。二度あることは三度あっても不思議ではない。確かに、安倍首相は来年10月の消費増税を明言しているが、来年7月の参院選の前に「君子豹変す」となっても筆者は驚かない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】安倍総理は増税を再延期を公約として参院選になだれ込む(゚д゚)!

来年の10月に消費税を10%にした場合、経済が相当落ち込むことは想像に難くないです。なにしろ、今度はかなり消費税が計算しやすくなります。1000円のものを購入すれば、消費税は100円です。1万円なら千円です。10万円なら1万円です。かなり計算が苦手の人でも、すぐに正確に計算できます。これは、かなり消費に悪影響を与えることになるでしょう。

10%への消費税増税が日本経済にかなり悪影響を与えることや、現状では消費税をあげる必要など全くないことはこのブログで何度も掲載してきて、いまさら再度似たようなことを掲載するのも何やら倦怠感すら覚えてしまうほどなので、それは本日はやめておきます。

その変わり目先を変えた変わった見方を掲載しようと思います。それは、産経新聞特別記者の田村秀男氏の記事です。以下にその記事のリンクを掲載します。
【田村秀男のお金は知っている】自民総裁選に物申す、「消費税増税中止」の議論を
この記事は、9月15日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にグラフと、一部を引用します。

グラフは10年前のリーマン・ショック前後からの家計消費動向である。リーマン後、急速に落ち込み、アベノミクス開始後に急回復したが、増税で台無しだ。最近になって持ち直す兆しが見えるが、3%の税率上げ幅分を差し引くと、消費水準は10年前を大きく下回る。 
安倍首相は来年の再増税について「自動車とか、住宅とかの耐久財の消費を喚起する、あるいは商店街等々の売り上げに悪い影響がないように、きめ細やかな対応をしていきたい」と述べたが、小手先の対応に腐心するよりも、すっぱりと中止を宣言すべきではないか。 
石破氏は「経済の7割は個人消費が支えている。個人が豊かにならなければ消費は増えない」と一見もっともらしく語るが、所得がわずかに増えたところで、消費税増税で年間8兆円以上も家計からカネを吸い上げ、内需を抑圧しておいて、どうやって賃金が上がると言うのだろうか。他方で「地方創生」を最重要目標に据えるが、飼料代が増税分だけ負担増になるのに、卵1個の出荷価格の1円上げすらままならぬ地方の養鶏家の苦境にどう応えるのか。 
消費税と自然災害は無関係とみなす向きもあるだろうが、天災はすなわち人災である。人災とは政策の無為または失敗を意味する。国土の安全は治山治水インフラ、それを維持、運営するコミュニティーと組織・機構が整備されなければならない。支えるのはカネである。 
財務官僚が政治家やメディアに浸透させてきた「財源がない」という呪文こそは、国土保全に対する危機意識をマヒさせ、インフラ投資を妨げてきた。「財政健全化」を名目にした消費税増税によって、デフレを呼び込み、税収を減らして財政収支を悪化させ、さらに投資を削減するという悪循環を招いた。「備えあれば憂い無し」という常識が失せたのだ。 
もとより、国家の政策とは、安倍首相が強調するように「政治主導」で決まる。家計簿式に単純な収支計算によって国家予算の配分を決める財務官僚にまかせる従来の方式では大規模で長期にわたる資金を動員する国土安全化計画を遂行できるはずはない。 
多発性の災害までが加わった「国難」に対処する手始めは、消費税増税の中止など緊縮財政思考の廃棄とすべきではないか。
石破氏は経済の7割は個人消費が支えていると言っていますが、これは日本のGDPに占める個人消費の割合が六十数パーセントであることを示しているのだと思います。

増税すると、個人消費が低迷して結局GDPの成長率が落ちてしまうということです。そのことをこのグラフは良く示していると思います。

このグラフ各年は、4月始まりで3月終わりとなっているのでしょう。2014年の4月から、消費税の3%分を差し引いた家計消費はどんどん下がっています、17年でも元の水準に戻っていません。これは、各家庭が増税前よりも消費を減らしているということです。

8%増税で、これだけ消費が低迷しているわけですから、10%増税などしたらとんでもないことになります。

このようなことは、安倍総理はしっかりと自覚していると思います。というより、財務省はもとより、増税推進派の官僚や政治家、マスコミなどは全く信用しておらず、根強い不信感を抱いていると思います。



現状では、安倍首相と菅官房長官が財務省に包囲されてしまい、消費増税阻止のハードルが高くなっているという説が有力のようですが、これは増税派の願望かもしれません。

しかし、それを一応事実であるとして仮定すると、財務省は国民からの文書改ざん、トップのセクハラ疑惑での辞任、パワハラ的構造などでの批判など一切影響をうけずに自分たちの思いのままに政治を攻略していることになります。

さすがの財務省もここまで強くはないと思います。私は、安倍総理は総裁選の前後は無論のこと、後になってもしばらくは増税の再延長などには意図して意識して全く触れないようにしているのではないかと思っています。

なぜなら、そうすれば、財務省や大多数の議員、マスコミ、識者らの増税賛成派に警戒心を与え、増税推進のための大キャンペーンをはられて、それこそ2013年の8%増税決定のときのようになってしまうことを恐れているのではないかと思います。

私としては、やはり憲法改正の国民投票を成功させるため、高橋洋一氏もブログ冒頭の記事で主張しているように、増税の先送りを後押しに利用すべきだと思います。最近は改憲派が増えてきたとはいっても、依然護憲派の力も大きいです。何より、マスコミが護憲派の後押しをするということが大きいです。

改憲派の人でも、いざ国民投票となって、投票するということになれば、おそらくその時にはマスコミが徹底してかつてないほどの巨大な護憲大キャンペーンをすることでしょうから、それに押されて一時的にも護憲のほうに回る人も増える可能性が大です。

そんな時に、消費税10%引き上げをすでにしてしまっていたとすれば、それに伴う駆け込み需要・反動減を抑えるための大型景気対策を実施したとしても世論の不興は避けられないです。憲法改正の国民投票で過半数の賛成票を集めるためには増税の再々延期をすべきです。

そうして、護憲派を強力につなぎとめ、デフレからの完全脱却と、改憲も成功させるのです。そうして、それは安倍総理にとっても良いことです。もし、増税をそのまま強行してしまえば、再び個人消費が今度は8%増税のときよりもさらに低迷して、日本はデフレに舞い戻ります。そうなれば安倍政権は改憲どころか、安倍おろしの嵐が吹き荒れ、政権の座から追われることにもなりかねません。

そんなことは、当の安倍総理が絶対に避けることでしょう。最近、文部科学省の戸谷一夫事務次官が汚職事件の責任を取って辞任し、前任の前川喜平氏と2代続けて事務方トップが不祥事により途中で辞める事態になっています。

辞任した文部科学省の戸谷一夫事務次官

さて、先程の述べたように、財務省は国民からの文書改ざん、トップのセクハラ疑惑での辞任、パワハラ的構造などで批判を浴びています。確かに、佐川国税庁長官が辞任したり、次官は辞任したりはしていますが、まだこれでは甘いと言わざるを得ません。

私は、来年の4月あたりに、さらなる財務省の悪事が露見して、先の文部省人事よりもさらに厳しい人事が行われ、事務次官辞任はもとより、かなりの人数が辞任などに追い込まれたりで、財務省を骨抜きにした後に安倍総理は、増税スキップを打ち出し、それを公約としてで参院選に突入するのではないかと睨んでいます。

財務省に言いたいです、「首を洗って待て」と。一国の総理を甘く見るととんでもないことになります。一国の総理をなめているということは、多くの国民をなめていることでもあります。ふざけるなと言いたいです。

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2016年9月27日火曜日

【朝日新聞研究】参院選「18歳選挙権」 朝日新聞の姿勢がよく表れたシールズ「解散報道」―【私の論評】情報操作がひときわ目立つ朝日、今のままではいずれ存続困難に(゚д゚)!

【朝日新聞研究】参院選「18歳選挙権」 朝日新聞の姿勢がよく表れたシールズ「解散報道」

「18歳選挙権」や「SEALDs」に関する朝日新聞の記事
写真はブログ管理人挿入。以下同じ。
昨年秋に安全保障関連法制が成立した。劣勢を挽回しようとした野党陣営にとって、今年7月の参院選が重要な目標になった。朝日新聞も一貫して安保法制には反対してきた。そこで注目したのが、今回の参院選から始まった「18歳選挙権」だったのだろう。

 朝日新聞は昨年12月22日から今年6月19日まで、断続的に「私たちも投票します・18」という大型企画を掲載した。第1部から第4部まで、実に計14回。新たに選挙権を得る若者の代表としてアイドルグループ「AKB48」の3人が登場し、憲法学者の木村草太氏と、ジャーナリストの津田大介氏と対話しながら、政治や選挙について学ぶものだ。

 18歳選挙権について、朝日新聞はこれ以外にも多くの記事を掲載し、若者にアピールしていた。中でも、学生グループ「SEALDs(シールズ)」については、細かくていねいに報道していた。

 ところで、参院選の結果はどうだったのか。

 朝日新聞の頑張りにもかかわらず、野党に投票した若者は少なかった。

 共同通信の出口調査で、18、19歳の比例代表の投票先は、自民党が40%で、公明党が10・6%と、与党だけで半数を超えた。野党支持者は高年齢層に多かった。朝日新聞のキャンペーンは失敗したようだ。

 シールズは予告通り、その後解散したが、朝日新聞による大々的な「解散報道」には、同紙の姿勢がよく表れている。

 まず、8月14日に「あす解散」という予告記事を打ち、16日夕刊で当日行われた記者会見を報じた。17日には「市民が争点作る 種まいた」という大型記事と社説を載せ、18日から27日まで「街頭政治 SEALDsが残したもの」という9回もの連載を掲載した。まさに洪水のような報道ぶりだった。

 その中身は、終始シールズ称賛に感じた。今回の野党共闘が実現したのは、シールズのおかげであるかのような論調だった。薩長同盟の坂本龍馬のごとき持ち上げ方である。記事を読む限り、朝日新聞とシールズの関係は、取材者と取材対象というより、一心同体のように思えた。

 参院選の1人区で一定の当選者を出したことを、大きな成功と捉え、次への夢をつないだと評価するわけである。ただし野党共闘は7月末の東京都知事選でも実施され、シールズも支援していた。この都知事選の大敗北については、この大量な記事では言及されていない。

 連載の9回目で、シールズの活動を当初から見ていたという、作家で明治学院大学教授の高橋源一郎氏が「彼らを『若者の代表』に祭り上げたのはマスコミだと思います」と語っていた。語るに落ちるとは、このことではないか。

 酒井信彦(さかい・のぶひこ)

酒井信彦氏

【私の論評】情報操作がひときわ目立つ朝日、今のままではいずれ存続困難に(゚д゚)!

今年の参院選から始まった18歳参政権
朝日新聞の語るに落ちる紙面については、他の方も批判しています。その記事を以下に引用します。

それは、門田隆将氏の記事です。以下にリンクを掲載します。
【門田隆将の新聞に喝!】“ご注進”を続け自国を不利にする新聞…有様を教えてくれる真夏の紙面
2016.8.29 03:00

国会前でリズムに乗って安保関連法案への反対運動を
繰り広げたシールズのメンバーら=2015年9月
 毎年8月の紙面は、各紙の特徴が出るので興味が尽きない。今年は17日付紙面に目が留まった。仕事柄、毎日、全紙に目を通している私も、朝日の報道に驚きを禁じ得なかった。 
 1面の題字下の目次欄に〈SEALDsが残したもの〉という見出しのもとに〈街頭デモから新しい政治のあり方を模索してきた学生団体「SEALDs(シールズ)」が解散した。彼らが残したものを追った〉という紹介文があったので、朝日がずっと支援してきたあの学生たちの組織が解散したことを知った。ページを繰(く)ってみると、2面に、これでもかというほどの礼讃(らいさん)記事が並んでいた。 
 〈市民が争点作る 種まいた〉〈国会デモ・野党共闘…シールズ解散〉〈東アジアで先行 若者連携〉といった見出しが躍り、さらに、10面の社説では、〈個人の連帯これからも〉と銘打って、その意義を謳(うた)い、解散を惜しんだ。朝日がシールズ解散を報じた行数は、社説も含め、実に総計285行に及んだのだ。

 私には、特に台湾のひまわり学生運動や香港の雨傘運動の若者たちと同列視し、記事をシールズの奥田愛基氏の〈「香港だって台湾だって、実際に政治を動かすまで数年かかっている。日本の動きは始まったばかりだ」〉とのコメントで締めていたのには、二の句が継げなかった。 
 目前に迫った中国による人権抑圧と必死に闘う台湾と香港の学生たちの運動と、逆に、1992年に定めた「領海法」によって日本領の尖閣(中国名・釣魚島)を「自国の領土」とし、紛争を前提に挑発を繰り返す中国の側を喜ばす主張を展開するシールズを「同列に位置づける」神経に言葉を失ったのだ。 
 尖閣を守るため、つまり、「戦争を防ぐ」ためには、当該海域での日米の連携を強化し、中国に「手を出させない」体制を構築することは急務だ。そのために18年ぶりに改定された日米ガイドライン協議があり、安全保障法制があった。だが、シールズには、そんな安全保障上の危機感もなければ、昔ながらの左翼陣営の主張に丸乗りした現実無視の「観念論」しかなかった。
彼らの主張は若者にさえ受け入れられず、逆に参院選では、20代の若者の43%が、比例投票先が自民党となる結果を生んだのではなかったのか。 
 一方、同じ日の産経紙面には、尖閣に押し寄せた400隻もの中国漁船に、100人以上の中国民兵が乗り込み、漁船には、貢献の度合いに応じて数万から十数万元の手当が出ていることがすっぱ抜かれていた。 
 新聞には、世の中の出来事を正確に伝え、警鐘を鳴らす役割がある。しかし、日本には悲しむべきことに、相手国に“ご注進”を続けて外交カードを与え、自国を決定的に不利な立場に追い込む新聞が存在する。8月は、そんな日本の新聞の有様(ありさま)を国民に示してくれる貴重な時期である。今年も、そのことをじっくり考えさせられた夏となった。 
                  ◇ 
【プロフィル】門田隆将 かどた・りゅうしょう
門田隆将氏
SEALDsに関して、経済史の田中秀臣氏も、批判しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
田中秀臣の超経済学連載  まさに不勉強の産物! SEALDsは「貧困プロパガンダ」で自滅した
これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部だけ引用させていただきます。

アベノミクスが格差拡大や貧困を加速したという証拠は、2015年当時も現在も代表的なデータは事実上ない。つまりSEALDsの勝手な思い込みにすぎないのだ。例えば、貧困率は2012年までしか利用できず、ジニ係数の推移は2010年までしか利用できない。 
経済格差は高齢化とともに拡大する傾向にあるが、現段階の雇用状況の大幅改善、雇用者報酬の増加、さらには最近の実質賃金の増加傾向も含めると、安倍政権の政策の結果で貧困や格差が増加しているようには思われない。 
もちろんさらに経済状況を改善する余地があるとか、または現状の消費低迷からくる経済低迷(停滞ではない!)を改善するという主張なら賛成である。しかしSEALDsはまずアベノミクス全否定ありきなのだ。こんな事実に支持されず、また若い世代の実感にも乏しいオピニオンが支持されるわけがないだろう。
上武大学ビジネス情報学部教授田中秀臣氏
朝日新聞が、SEALDsがあたかも、若者の代表による政治運動をする団体であるかのように印象操作したのは、確かなようです。

この印象操作は、今のところ全く成功していないようです。これは、昨日のこのブログに掲載した記事のテレビのキャプチャー画像をご覧になれば、一目瞭然です。その画像を以下に掲載します。


何と、最近のFNNの世論調査では、10代・20代に限ってみると、安倍内閣支持率は団゛位で72.7%、女性では64.7%です。

そうして、これは多いに納得できる統計値です。この年代だと、高校・大学ということになると思いますが、安倍内閣になってから、高卒・大卒の就職率は数十年ぶりの良さです。

わずか数年前まで、最悪であったことを考えると、隔世の感があります。やはり、この年代では、就職が大きな関心事だと思います。この年代では、劇的に雇用が改善されたことを実感していると思います。そうして、これは安倍政権になってからの、金融緩和による成果です。

事実、就職担当の高校の先生や、大学の教授などは口を揃えて就職率が良くなったと言います。これに対して、これ以外の年齢層ではまだ、あまり賃金などの雇用情勢が良くはなっていないので、安倍内閣の経済政策の恩恵を受けていないのでしょう。それにしても、安倍内閣支持率56.6%に上昇しています。

いずれにしても、10代・20代がこれだけ安倍内閣を支持しているということは、SEALDsが若者の中でも少数派であることを裏付けているものと思います。

朝日新聞というと、最近でも情報操作をうかがわせるような記事を掲載していました。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
朝日新聞が戸惑う「改憲賛成」圧倒多数―【私の論評】どうして朝日新聞独自の調査では全く逆の結果がでるのか?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、朝日新聞が9月7日朝刊で報じた朝日新聞と東大谷口研究室共同調査との合同世論調査において、で憲法改正の賛成が反対の2倍近く、つまり圧倒的に上回るという結果が出たことを掲載しました。

しかし、朝日新聞はこの結果をどう報じたのかといえば、以下がその記事の見出しは、≪7月参院選の投票先 憲法重視層は民進 経済分野自民強み≫というものであり、これはどう考えても情報操作としか思えないことを掲載しました。
さらに、この共同調査は、朝日新聞が憲法記念日を前に実施した世論調査、さらにその前の世論調査〈3・4月実施〉とも真逆の結果になっていることを掲載しました。

そうして、どうして真逆になるかの私なりの分析として、アンケートの質問方式に原因があるように思えることを掲載しまた。この記事、まだご覧になっていないかたは、是非ご覧になって下さい。

このような朝日新聞の情報操作は、新聞としては、決して許されないものです。

さて新聞購読者数の推移はどうなっているのか、朝日新聞も含めた全国紙の推移を以下に掲載します。

元々各紙とも販売部数が大きいため、その変移だけでは動向が把握しにくいのも否めません。そこで切り口を変え、その流れを確認していくことにします。まずは前半年期比。単半年期のグラフは半年ごとの定点観測記事で掲載しているのですが、その値をつなぎ合わせたものですが、産経新聞がイレギュラー的な値を示しており、やや見難いものとなったため、産経新聞をのぞいた版も併記します。

↑ 主要全国紙の朝刊販売数変移(前半年期比)
↑ 主要全国紙の朝刊販売数変移(前半年期比)

↑ 主要全国紙の朝刊販売数変移(前半年期比)(除く産経)
↑ 主要全国紙の朝刊販売数変移(前半年期比)(除く産経)

要は前回(半年前)販売数と比べてどれだけの割合で増えたか、減ったかを示すものですが、基準となるゼロ%より下の領域で多くの線が行き来していることから分かる通り、新聞の販売部数は総じて減少傾向にありま。また個別の新聞における傾向を見ると、以下の様になります。
・読売新聞…健闘はしていたが1000万部割れの2011年前半期以降失速へ。特に2年前に生じた下落ぶりが著しい。 
・朝日新聞…2010年から下落加速化。2014年後期から2015年前期は前例のない下げ幅で、ようやく直近では加速感が収まった。ただしマイナス1%台の高い下げ率は維持。 
・毎日新聞…2008年以降は下落。2010年前半期の下げが一つのピーク。最近は下げ幅縮小だったが。前半期で再び加速化、直近半期で前回ピークを上回る下げ幅を見せる。
・日経新聞…2011年前半期に一時持ち直すも再びマイナス圏に。2013年が下げ幅ピークで最近は持ち直しを見せる。 
・産経新聞…押し紙制度廃止の影響(?)が極めて大きい。その後は復調・横ばい。ここ1、2年は部数上乗せの機会も
産経新聞は、2009年に押し紙を廃止しています。朝日新聞を含め、他の新聞は今でも押し紙をしています。
朝日新聞今後も上記で指摘したような、報道続けていくようであれば、将来も存続し続けることは難しいでしょう。無論、他の新聞も似たり寄ったりのところはありますが、朝日新聞が印象操作で導こうする朝日新聞の理想像と、現実が乖離しており、この乖離が誰の目にも明らかになるときは必ず、来ます。それでも報道姿勢を改めない時は、購読者数が激減して、維持できなくなることでしょう。

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2016年7月11日月曜日

参院選で民進党が犯した「二つの致命的なミス」―【私の論評】経済も、改憲も岡田民進党代表は安倍首相の強力な助っ人で在り続ける(゚д゚)!

参院選で民進党が犯した「二つの致命的なミス」

参院選で大勝利を収めた安倍首相 満面の笑み
 民進党が失った貴重な人材

おおかたの予想どおり、参院選は自民が勝った。

選挙直前の各紙の予想は、自民56~60、公明14、民進27~30、共産7~10、おおさか維新6~8というところだったが、実際には自民55、公明14、民進32、共産6、おおさか維新7。共産はやや期待外れ。そして、改憲4党の議席数が参議院の3分の2を超えた。

野党はアベノミクス失敗と叫んだが、説得力を持てなかった。多少景気はよくないが、それでも民主党政権時代には、いまよりもっと円高、株安だったことを国民はよく覚えている。

そして、自公政権になってから雇用がよくなったことも事実である。野党が「アベノミクス失敗」といっても、民主党政権の時にはもっと悪かった。どれだけ失敗といい立てても、野党の経済政策には自公よりも信頼が置けないということだった。

本コラムで何回も強調してきたように、野党がダメなのは、アベノミクスの第一の矢である金融政策をわかっていないところに、根本原因がある。

世界標準の金融政策は、雇用政策である。欧州の左派政党が最も重視する政策であるが、日本の左派政党はここがわからない。海外から著名人を招いて講演してもらっても、わからない人ばかりが今の日本の左派政党の幹部になっている。

もちろん民進の中にも、金融政策が雇用政策であることをよくわかっている人もいる。神奈川の金子洋一氏である。彼は元内閣府官僚であり、国際経験も豊かなエコノミストだ。左派政党に必要な希有な人材を、今回の選挙で失ってしまった。ますます民進が復活する可能性は少なくなったにちがいない。

 さっそく経済立て直しに臨む安倍首相

一方、安倍政権はアベノミクス第一の矢(金融政策)を放つことで、左派政党よりまともな雇用環境を創りだした。全国の都道府県で有効求人倍率が1を超える成果だったと安倍首相に言われて、民進党は「雇用政策」というお株を奪われてしまった。

ただ、安倍政権は、アベノミクスが不十分であることも認識している。第一の矢の金融政策でも、まだ失業率の底といえる構造失業率(筆者の試算では2.7%程度)まで失業率は下がっていない。

第二の矢の財政政策では、2014年4月からの消費増税が大失敗であった。このため、消費は低迷し、現在でも需要不足になってGDPギャップ(潜在GDPと現実のGDPの差)はまだ10兆円ほどもあり、景気不透明感がある。こうした現状認識は、5月30日の本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48779)を参照してほしい。

世界経済の不透明感を含めて考えると、アベノミクスをさらに進めるモノとして、筆者は政府が行うべき金融緩和と積極財政を含む5つの経済対策を、6月27日付けの本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49016)で示している。これらのいくつかは、これから実現するだろう。

なお、安倍首相は野党党首とは異なり、海外の著名な学者の意見をよく聞き、それを経済政策にうまく生かしている。今週も、バーナンキ氏が来日する予定である。同氏は、筆者のプリンストン大時代の恩師であるが、ヘリコプターマネーの理論化などを、象牙の塔にこもらずに実践的な経済政策として打ち出してきた。

アメリカをリーマンショックから救った氏だが、かつては日本のデフレ対策でも優れたアイディアを出してくれた。おそらく今回も日本経済にとってベストなアドバイスをするのではないだろうか。

 「改憲」ホントのところ

経済政策のところで、野党はダメだった。金融政策は雇用政策を理解しないと、何回選挙をやっても勝てないだろう。これに加えて、今回はさらにミスをした。

それは野党共闘だ。共産は自衛隊が違憲という主張だ。これは時代錯誤も甚だしい。今の若者に聞いたらわかるが、自衛隊を違憲という意見はまったく少数意見である。共産と共闘した野党も同類と見なされて困った。

共産は、与党から「自衛隊は違憲」姿勢をつかれて防戦一方だった。それに、選挙戦の最中に、共産の藤野政策委員長が、NHK全国放送で「防衛予算は人殺し予算」と失言してしまった。その後、発言取り消しで政策委員長は更迭されたが、駟も舌に及ばずである。共産が予想外に不振だったことの原因は、自衛隊違憲と選挙期間中の失言だろう。

改憲勢力が3分の2をとるかという論点も、マスコミから流された。改憲勢力が3分の2以上になると、あたかも改憲が実現するような言いぶりだった、実際に筆者が出演したテレビでマスコミの人に聞いたが、多くの場合、憲法改正に必要な、国民投票制度を知らなかった。

この制度は、日本国憲法の改正手続に関する法律に基づいて行われる。同法は2007年に成立している(筆者は当時官邸勤務だったのでよく覚えている)。同法では、憲法改正原案について、両院それぞれの本会議にて3分の2以上の賛成で可決した場合、国会が憲法改正の発議を行い、国民に提案するものとされる。

その上で、憲法改正案に対する賛成の投票の数が投票総数(賛成の投票数と反対の投票数を合計した数)の2分の1を超えた場合、国民の承認があったものとなる。

ここでポイントは、国会では発議、国民投票で改憲、という二つのステップが必要、ということだ。しかも、憲法改正原案は、内容において関連する事項ごとに区分して個別に発議するものとするとされている。

例えば、安全保障に関わる条文改正案と、環境権を新しく創設するという条文案が、一括して投票に付された場合、一方につき賛成、他方には反対という意思を、一つの記号で示すことはできないので、別々にやらなければいけないのだ。

今回、「改憲勢力」とひとくくりにされているが、憲法改正内容はまったく各党で異なっている。公明党は(新たに条項をくわえる)「加憲」を主張しており、おおさか維新は教育無償化、憲法裁判所、地方分権の3点を改憲項目とし、第9条は対象でないとしている。

改憲については、憲法審査会で審査されるだろうが、なかなかハードルは高いだろうし、その改正項目では、公明とおおさか維新がキャスティングボートを握るだろうから、憲法9条の改正にはなりそうもない。

 都知事選。増田氏の「評判」

さて、参院選は予想どおり自民が勝ったので、東京都知事選(告示14日、31日投開票)に話題が移るだろう。10日夜に増田寛也氏が出馬表明した。

自民都連は増田氏を推薦するので、小池氏は推薦願いを取り下げた。自民は、増田氏と小池百合子氏の間で1999年以来の分裂選挙になった。

増田氏は、岩手県知事、総務大臣と歴任してきた。もともと建設省官僚であったので手堅い。ただし、リーダーシップを発揮するというより、官僚の提案に乗るタイプだ。総務大臣時代、地方法人税という地方税を国税化する政策を進めた。これは地方税を中央集権で配分する仕組みだ。

地方への再配分が必要として、地方間で行うのが地方分権であるが、総務省官僚はそれが嫌いで、地方法人税を好む。それを進めた増田氏は総務省官僚の評判がよかった。ただし、東京都は地方分権に反すると反対であった。こういう感じなので、思い切った都議会改革などは決して行わないだろう。

一方、小池氏はどうだろうか。

 ここでも野党は存在感ナシ

小池氏が掲げた公約は三つ。①冒頭解散、②利権追及チーム創設、③舛添問題の第三者委員会設置。なかでも度肝を抜いたのが、都議会の冒頭解散だ。

今の制度では、総理には国会の解散権があるが、都知事には都議会の解散権はない。都議会の解散は、都民からのリコール、自主解散、都知事不信任に対する対抗としての都知事によるものの3つしかない。都知事としてできるのは、都民にリコールを起こさせること、都議会改革をして都議会を締め上げること、都知事支持の都議会議員をつくって議会解散への流れを作ることだ。

もちろん、小池氏も都知事に都議会の解散権がないことは承知していると、会見で明言している。無理筋を承知で、先手を撃つために、意図的に話題になるような言い方をしたのだろう。このあたりは、かつて小泉純一郎元総理が「自民党をぶっ壊せ」といったのによく似ている。

都知事選は、これまで知名度を生かした後出しが有利とされてきたが、知名度のある小池氏はそれと違う「先手」できた。相当の勝負師である。しかも、環境大臣や防衛大臣を経験しているので、政策実務にも精通している。

注目はこの二人となるのだろうか。自民党が分裂したというのに、野党候補がかすんでいるとはもの悲しい。野党の存在感が、ここでも薄くなっている。

民進党の行方だが、獲得議席は30を超えたし、岡田代表のお膝元である三重県でも民進党候補が勝った。岡田代表の辞任問題はただちには発生せず、9月の代表戦までは代表を務めるだろう。

おそらく安倍政権にとっては、岡田代表が辞めないほうが、今回やらなかった次の総選挙を戦いやすいので、代表継続を望んでいるだろう。情けない限りだ。

■高橋洋一

【私の論評】経済も、改憲も岡田民進党代表は安倍首相の強力な助っ人で在り続ける(゚д゚)!

上の記事で、金子洋一参議院議員が落選したということが掲載されていました。これは、民進党の幹部連中はほとんど意識していないでしょうが、民進党にとってかなりの痛手です。
金子洋一氏 自身のツイッターのプロフィー写真
上の記事でも高橋洋一氏が「民進の中にも、金融政策が雇用政策であることをよくわかっている人もいる。神奈川の金子洋一氏である。彼は元内閣府官僚であり、国際経験も豊かなエコノミストだ。左派政党に必要な希有な人材を、今回の選挙で失ってしまった。指摘しているように、金子洋一氏は、おそらく現在の民進党内では、マクロ経済に関して一番まともな考えを持った人だと思います。

このブログでは、何度か金子洋一氏について掲載しています。その代表的なもののリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】経済予測をことごとく外してきた面々は合理的な推測をしているのか―【私の論評】奴らは論評をしているのではない!論病に過ぎない(゚д゚)!
この記事は、昨年の4月28日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとしして、この記事から一部以下に引用します。

 民主党の金子洋一参院議員はツイッターで、「日経平均、続伸し15年ぶり2万円乗せ。わが国経済のためにまずは喜ばしいこと。やはり債券を主に買い入れ、株式を含む実物資産に民間資金をシフトさせる日銀による金融緩和の力は大きかった。われわれが提言したとおり、民主党政権でこれをやっていれば、経済の回復はより早かった。残念だ」とつぶやいた。彼の行動を知る筆者としても同感だ。
民進党幹部は、この優秀な議員の落選をあまり重要なものと捉えていないようです。岡田代表は、三重で「ここで負けたら、代表戦に出馬しない」などとして、三重にかなり力をいれていましたが、本来なら三重など放置して、金子氏が出馬していた神奈川で金子氏を徹底的に応援すべきでした。

民進党では、馬淵澄夫氏も経済には詳しいです。私としては、民進党幹部は、一度で良いから、この二人に、経済に関してはフリーハンドでやらせみるくらいの度量が欲しかったです。特に政権を担っているときに、そうしたらその後の民進党も随分変わったものになったものと思います。


このような人材をむざむざと落選させてしまうのですから、やはり民進党はもう二度と政権を担う機会は訪れないことでしょう。これを機に、さらに没落していくことになるでしょう。それに、金子洋一氏ほどの経済政策の理解者が世間ではいまいち評価されないことに、いまの日本の限界を見る思いがします。

こんなことでは、安倍総理の経済政策である"アベノミクス"が多くの人々になかなか理解されないのも、無理はないです。とはいいながら、今回の選挙は国民による"アベノミクス"の審判でもあつたわけですから、意外と国民は理解しているのかもしれません。

さて、上の記事では、高橋洋一氏が、これから政府の実行すべき政策について、リンクを掲載していました。そのリンクを見ると、以下の政策が提言されていしました。

1. 消費増税は延期ではなく、凍結にすべき。 
2. 日銀の政策決定会合を臨時で開催して、量的緩和30兆円 
3. 参院選後の補正予算で、財政支出 60兆円(20兆円×3年)。財源は、埋蔵金、財投債、国債。支出対象はインフラ整備、減税+給付金。 
4. 事実上無制限の為替介入。そのために、今の介入枠を参院選後の補正予算で引き上げる。 
5. 1と2、1と3はセット。前者がヘリコプターマネー、後者は非不胎化介入となって効果がある。
これを政府が実行すれば、英国のEU離脱の悪影響や、中国の経済の低迷が深刻になったにしても、日本経済はさほど影響を受けることなく、ふたたび成長軌道にのるものと思います。そうして、上で掲載した金子洋一氏の頭の中にも、これと似たような経済対策があるものと思います。

この政策については、以前このブログでも解説をしたことがありますので、それを以下に再掲します。

"
以下の2つの政策を合わせて、高橋洋一氏はヘリコプターマネーとしています。

1. 消費増税は延期ではなく、凍結にすべき。
2. 日銀の政策決定会合を臨時で開催して、量的緩和30兆円

ヘリコプターマネーとは、あたかもヘリコプターから現金をばらまくように、中央銀行あるいは政府が、対価を取らずに大量の貨幣を市中に供給する政策のことをいいます。米国の経済学者フリードマンが著書「貨幣の悪戯」で用いた寓話に由来しています。中央銀行による国債の引き受けや政府紙幣の発行などがこれにあります。


中央銀行は通常、市場に資金を供給する際、対価として民間金融機関が保有する国債や手形などの資産を買い入れます(買いオペレーション)。ヘリコプターマネーの場合、そうした対価を取らずに貨幣を発行するため、中央銀行のバランスシートは債務だけが増え、それに見合う資産は計上されず、債務超過の状態になります。その結果、中央銀行や貨幣に対する信認が損なわれる可能性があるため、平時には行われません。

ただし、現在の日本は8%増税の悪影響で、個人消費が落ち込み、GDPの伸び率が低い状況にあります。インフレ率もかなり低いです。さらに、英国のEU離脱などの悪影響も見込まれるため、とても平時といえるような状況ではありません。であれば、当然のことながら、ヘリコプターマネーを実施すべきです。

日本がデフレから完全脱却を目指し、しかももう20年近くデフレ傾向なのですから、そこから完璧にしかも素早く脱却することを目指すなら、今こそがヘリコプターマネーの実施どきです。しかも、国債の信任はあつく、ほとんど金利がゼロです。今をのがして一体いつ実行するというのでしょうか。

以下の2つの政策を高橋洋一氏は、"非不胎化介入となって効果がある"としていますが、これについての説明がないので以下に解説しておきます。

1. 消費増税は延期ではなく、凍結にすべき。
3. 参院選後の補正予算で、財政支出 60兆円(20兆円×3年)。財源は、埋蔵金、財投債、国債。支出対象はインフラ整備、減税+給付金。

そもそも「非不胎化」という日本語は、「非」と「不」の二重否定が「胎化」に被さっており、こなれていません。もともと「不胎化」は、sterilizeの経済学での訳語です。sterilizeとは、無力化するとか無効化するという意味である。「非不胎化」は、その否定でunsterilizeの訳です。

これらの英語で議論されていたころは、固定相場制が当たり前であり、いずこの政府も中央銀行の資金を使って、為替介入をしていました。




何やらこの解説だと消化不良をおこしてしまう方もいらっしゃるかもしれません、結局どういうことかといえば、ざっくり言えば1.3.の政策を実行することにより、政府や日銀は特段為替介入など何もしなくても、円安傾向にもっていけるということです。

"
高橋洋一氏は、政府はこれらのうちいくつかを実行することになるだろうとしていましたが、これを全部実行していただきたいものです。これをすべて実行すれば、"アベノミクスは失敗"などという批判を跳ね除け、"アベノミクスはまだ途上にある"という政府の主張が正しかったことが早期に実証されることになるでしょう。

参院選で、改憲勢力が3分の2をう回ったことを伝えた報道番組
改憲についてですが、これはいくら改憲勢力が2/3を上回ったからといって、すぐに憲法9条や、憲法自体を根本的に作りなおすなどということにはなりません。それは、上の高橋洋一氏の述べています。私も、そう思います。

それに憲法改正を実施するというなら、まずやるべきことがあります。それに関しても、以前このブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
自民、27年ぶり単独過半数獲得も 参院選議席予測 浅川博忠氏 ―【私の論評】実は、岡田民進党代表こそ安倍政権の真の救世主だ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から改憲をするなら、七条四もしくは、五十三条からすべきという内容を引用します。


"
《その一》

まずは、七条の誤植は改正する。

七条四  
国会議員の総選挙の施行を公示すること。
 
国会議員の選挙の施行を公示すること。

天皇の国事行為を列挙した七条の四号には、誤植があります。「国会議員の総選挙」など日本国憲法下では存在しません。今回は夏に衆参同日選挙があるかもしれないといわれいましたが、そうなった時でも参議院の半分は非改選なので、「国会議員の総選挙」ではありません。

この「総」の一文字が誤植なのです。まず憲法改正でこの一文字を削れなくて何ができるでしょうか。そのようなことを言い出すと、また岡田さんには反対することでしょう「安倍首相は、戦争をする気だ」だとまた声高に叫ぶに違いありません。

誤植一文字を削れば戦争になると絶叫する護憲派を見て、まともな日本人がどう思うことでしょうか。岡田さんの絶叫は、護憲派の正体を国民の前に炙り出すことになり、岡田さんがまた安倍首相に大きな味方をすることになります。

《その二》

五十三条の不備を修正する
五十三条

内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。 いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。 
     自民党案に変える。
 自民党改憲案五十三条
内閣は、臨時国会の召集を決定することができる。 いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があったときは、要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない。
昨年、野党が日本国憲法五十三条の規定に従って臨時国会の召集を要求したにもかかわらず、政府は外交日程を理由に開催しませんでした。日本国憲法では、日程の制限がないので憲法違反にはならないとの解釈が有権解釈になっています。

これに対し先の国会で、民主党の岡田克也代表が「なぜ臨時国会を開かなかったのだ!憲法を無視するな」と要求しています。しかもご丁寧に「自民党案では二十日以内と謳っているではないか」とまで付け加えていました。


それでは、岡田さんの要求に従い、五十三条改正を訴えればいかがでしょうか。これには、岡田さんは反対のしようもないわけです。なぜ最初に、七条四号と五十三条を変えるべきなのか。その理由の一つが、変えても誰も困らないし誰も影響を受けないということです。九条にしろ他の条にしても、野党と対立的な条文を変えると、改正どころか改悪になる可能性が大きいです。そもそも、国会の三分の二と国民の過半数の支持を得るのは難しいです。

いきなり対立的な条文を変えようとして、玉砕して二度と変えられないより、明らかな誤植と、野党第一党の代表である岡田氏が与党に不備の改正を要求している条文から入るべきではないかと思います。

とくに、五十三条では、またまた岡田氏が強力な助っ人になることは間違いありません。本当に、岡田さんは安倍政権の力強い助っ人ですから、参院選にたとえ惨敗しても、是非とも代表を続けていただきたいものです。たとえ、代表を辞めたにしても、民進党の幹部であり続け、引き続き安倍政権の強力な助っ人であり続けて欲しいです。
"
こう考えると、参院選では金子洋一参議院議員という、実務的マクロ経済のブレーンを失い、民進党をさらに経済オンチに追い込み、どう考えても与党には全く及ばない状況に追い込み、改憲でも、安倍総理に格好の憲法改正の緒を提供するということで、岡田代表は与党にとって強力な助っ人です。

代表今回の、参院選で敗北の責任をとるつもりはさらさらないようで、続投するということです。9月の民進党代表選にも出馬するかもしれません。また、代表に再選されて、安倍総理を助けて、日本のために貢献して頂きたいです。

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