2017年11月20日月曜日

日本版トマホーク、政府が開発の方向で検討―【私の論評】日本がトマホークを持つということは、先制攻撃能力を持つということ(゚д゚)!

日本版トマホーク、政府が開発の方向で検討


 政府は、地上の目標を攻撃できる巡航ミサイルを開発する方向で検討に入った。

 防衛省が2018年度から研究を始める予定の対艦ミサイルに対地攻撃能力の付加を計画しているもので、日本が対地巡航ミサイルを本格的に開発するのは初めてとなる。敵に占領された離島の奪還が主目的だが、敵基地攻撃も性能上は可能で、北朝鮮への抑止力向上にもつながる見通しだ。

 巡航ミサイルは搭載したレーダーなどによって攻撃目標に向かう精密誘導兵器で、弾道ミサイルが放物線を描いて上空から飛来するのに対し、飛行機のように翼とジェットエンジンで水平飛行する。米国の「トマホーク」と共通点が多いことから、防衛省内では開発するミサイルを「日本版トマホーク」と位置付けている。

【私の論評】日本がトマホークを持つということは、先制攻撃能力を持つということ(゚д゚)!

上の記事にでてくる、米軍の「トマホーク」とは、全長:5.56m、直径:0.52m、速度:時速880km、射程:3000kmといわれています。

「トマホーク」は主にレイセヨン社が開発した巡航ミサイルであり、高い性能と実績を持っています。開発は1970年代にスタートして、1980年から対地・対艦攻撃用の兵装として前線に配備され始めました。トマホークミサイルは使用する目標によって主に二種類あり、対艦攻撃用、対地攻撃用に分類されます。

通常のミサイルは射程は150~200kmぐらいですが、速度はかなり速いです。トマホークの場合は速度は比較的遅いものの、北海道の最北端の稚内から九州までは余裕で飛んでしまうということになります。さらに、かなり低空で飛行するため敵のレーダーに発見されにくいです。

それほどの距離を飛ばすだけでも凄いですが、誘導させて3000km先の標的に命中させることができます。

この巡航ミサイルは、デジタル式情景照合装置を使い、最終的に誤差10mまでの精度で命中させるとのことです。とはいいながら、誤爆も多いと聞きます。

これはどうやら狙った建物などの標的に、子供などの民間人がいて巻き添えを食らったため、結果的に誤爆という報道に繋がっているようです。精度は高いのでしょうが、結果的には敵のみをピンポイントで狙うということはかなり難しいことのようです。

飛行するトマホーク
トマホークミサイルは様々なバリエーションがあるため、その威力も多岐にわたります。弾頭を変更できるので、破壊力は搭載されている種類によって変わります。核搭載型もあります。

対艦攻撃型弾頭は着弾による破壊と延焼で艦の機能を喪失させる能力を持っていました。その破壊力は凄まじく、1発で通常の艦艇はもちろんのこと、大型艦も戦闘不能に陥ります。

現在運用されている対地攻撃型の中には通常弾頭の他に戦車や装甲車などの車両を広範囲で破壊するために子爆弾を100個以上内蔵したものがあります。広範囲にわたって甚大なダメージを与えることができます。さらに、地下の目標を攻撃するための強化徹甲弾頭を搭載したものもあり、地下陣地の破壊などに使用されます。

このように地上攻撃型は陣地や車両を破壊するには十分な威力があり、軍事施設も機能を喪失させることが可能です。実際にアメリカ軍が対地攻撃に使用する時は、1、2発とかではなくかなりの数のトマホークを発射するので破壊力は凄まじいものになります。

以下に、湾岸戦争の開始以来、米軍が発射したトマホークの数を国別に表示した表を掲載します。


トマホークミサイルの値段は搭載する弾頭によっても違いますが、約1億円といわれています。2017年4月にアメリカがシリアを攻撃した時に打ったトマホークミサイルの数は59発です。これだけで60億円です。日本で開発するとしても、そんなには変わらない額になることが予想できます。

日本が日本版トマホークを開発することは、北朝鮮への抑止力になる事であり大賛成です。そうして、何よりも良いのは、ミサイルなので、北朝鮮などの敵を攻撃するにしても戦闘機で空爆するのとは異なり、人的被害がおさえられるというのが、良いです。

このブログでアメリカの戦略家である、ルトワック氏による日本の北朝鮮への対応は、先制攻撃か降伏しかないという内容を掲載したことがあります。ルトワック氏は、中途半端な対応は、許されないし、北朝鮮の誤解をまねくだけになるとしています。

中途半端な態度を取り続ければ、降伏したつもりはないのに、北は降伏したものとうけとり、日本に無理難題を押し付けくる可能性もあるのです。

そんなことにならないためには、日本は現実的な対応力として、北の拠点を攻撃する能力を持つべきだとルトワック氏は主張しています。

その一つの方法として、既存の戦闘機に装備品を買い足せば、あまり費用をかけることもなくすぐにも北朝鮮に対する先制攻撃ができるとしています。

北の防空体制は、無きに等しいので、実際これでも可能なのでしょう。そうして、これが北朝鮮に対する抑止力にもなるわけです。

さらに、日本がトマホークを開発すれば、戦闘機などと異なり、戦闘によって人を失うという危険性がさらにへるわけです。

このブログでは、先日、日本も数ヶ月以上も自力で巡航できる、水中ドローンや空中ドローンを開発すべきことを主張しました。これらと、日本製のトマホークや既存の戦闘機、艦艇などと有機的にネットワークで結びつければ、かなりの戦力になると予想されます。

米国の軍事用ドローン
日本は、日本独自の軍事力を持つべきです。日本や、敵国の人員をなるべく殺傷せずに、それでいて効果的にピンポイントで敵の要衝を攻撃して、戦闘力を奪うというような方式の新たな軍事力をもつべきです。

そのためにも、トマホークは役に立つと思います。「はやぶさ」などの高度な遠隔操作技術を持つ日本が、本格的にこれに取り組めば、日本がさらにピンポイントで正確に敵の標的を攻撃できるようになり、敵の戦闘員を殺傷することを最低限にしつつ、ミッションを遂行できるものを開発できる可能性が高いです。

それにしても、日本がトマホークを持つということになれば、それはルトワック氏がいうように日本が先制攻撃能力を持つことを示していることになります。日本がそのつもりではなくても、北朝鮮や中国はそう受け取ります。そうして、かなりの抑止力になることが期待できます。

【関連記事】

0 件のコメント:

「誤解受け不安にさせたのは当然」中国企業ロゴ問題で辞任の大林ミカ氏、会見主なやりとり―【私の論評】[重大警告]自民党エネルギー政策への中国の影響力浸透の疑惑 - 大林氏中国企業ロゴ問題で国家安全保障上の深刻な懸念

「誤解受け不安にさせたのは当然」中国企業ロゴ問題で辞任の大林ミカ氏、会見主なやりとり まとめ 問題発覚の端緒は、内閣府TFに提出された資料に中国国営電力会社のロゴマークが入っていたこと。 大林氏は、ロゴマークの存在に気付かなかったことを謝罪し、TF委員を辞任。 大野氏は、財団と国...