2016年5月31日火曜日

安倍内閣不信任決議案を否決―【私の論評】民進、共産、社民、生活の野党4党が理不尽であるこれだけの理由(゚д゚)!

安倍内閣不信任決議案を否決

衆院本会議で内閣不信任決議案が否決された=31日午後、国会
衆院は31日の本会議で、民進、共産、社民、生活の野党4党が共同提出した安倍晋三内閣に対する不信任決議案を、自民、公明両党とおおさか維新の会などの反対多数で否決した。賛成は124票、反対は345票だった。

これに先立ち、民進党の岡田克也代表は不信任案の趣旨弁明で「アベノミクスの失敗を正直に認めて、公約違反を国民に謝罪し、即刻退陣すべきだ」と批判した。同時に「重大な経済失政により消費税を引き上げられる状況をつくり出せなかった」と強調。与党が成立を強行した安全保障関連法に関し「憲法違反であることは明らかだ。憲法の平和主義を捨て去り、限定のない集団的自衛権の行使に道を開く」と反対姿勢を鮮明にした。

これに対し、自民党の松本純衆院議員は「アベノミクスにより雇用や所得環境は順調に改善を続け、日本経済は着実に回復に向かっている」と反論。不信任案を提出した野党を「党利党略、パフォーマンス政治そのものだ」と批判した。

【私の論評】民進、共産、社民、生活の野党4党が理不尽であるこれだけの理由(゚д゚)!

アベノミクスにより雇用や所得環境は順調に良くなっているのは事実です。以下にその証左となるデータを掲載します。

総務省の「労働力調査(基本集計)4月分(速報)」によれば、就業者数は6396万人で前年同月比54万人増、17か月連続の増加。雇用者数は5679万人で前年同月比で101万人増となりました。以下に、グラフを掲載します。


これは、直近の安倍内閣の期間だけですから、これだけではアベノミクスにおける金融政策が功を奏して、雇用状況が良くなったかどうかは認識しずらいです。

他のソースからも、金融政策が有効でアベノミクスは失敗ではなかった証左をあげておきます。

有効求人倍率、は4月は1.34倍に上昇し、24年5カ月ぶりの高水準になっています。

厚生労働省が31日発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.04ポイント上昇の1.34倍でした。上昇は2カ月連続。QUICKがまとめた市場予想(1.30倍)を上回り、1991年11月(1.34倍)以来、24年5カ月ぶりの高水準となりました。企業の求人数が増える一方、求職者数が減ったことが求人倍率の上昇につながりました。訪日外国人客の恩恵を受ける宿泊・飲食サービス業や卸売業・小売業などの分野で堅調な求人が続きました。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は0.16ポイント上昇の2.06倍でした。上昇は3カ月ぶり。正社員の有効求人倍率は0.03ポイント上昇の0.85倍と、04年11月の調査開始以来で過去最高となりました。都道府県別の有効求人倍率は東京都が0.07ポイント上昇の2.02倍と、1974年6月以来の高水準。就業地別の有効求人倍率は05年2月の統計開始以来、初めて全都道府県で1倍を上回りました。


まだ続きがあります。以下は先日このブログに掲載したグラフですが、再掲します。


中には、まだ「実質賃金がー」と叫ぶ方もいるようですが、これははっきり間違いです。これは最初からわかっていることですが、雇用情勢が急激に改善しているときには、実質賃金は下がります。

このようなことは常識で考えてもわかります。今季高卒や大卒の採用が大幅に改善しているわけですから、大企業などで高卒や大卒を大量にある企業が雇用したとします。従来よりも、高卒・大卒の若くて、賃金が低い人の構成比率が増えるわけですから、会社全体の平均賃金は下がります。国全体でも同じことです。

さらに、実質賃金は、金融緩和で失業率が構造的失業率まで下がらないと上がらないものですし、構造的失業率まで下がれば上がるものです。

ちなみに、構造的失業等の説明を以下にしておきます。

総務省では、失業を発生原因によって、「需要不足失業」、「構造的失業」、「摩擦的失業」の3つに分類しています。 
  • 需要不足失業―景気後退期に労働需要(雇用の受け皿)が減少することにより生じる失業  
  • 構造的失業―企業が求める人材と求職者の持っている特性(職業能力や年齢)などが異なることにより生じる失業  
  • 摩擦的失業―企業と求職者の互いの情報が不完全であるため、両者が相手を探すのに時間がかかることによる失業(一時的に発生する失業)
日本では、なぜか失業対策というと、すべて厚生労働省の管轄ということになっていますが、その考えは根本的に間違いです。

上記3つの失業のうち、構造的失業と摩擦的失業は、無論厚生労働省の管轄ですが、需要不足失業への対応の管轄は中央銀行、日本では日銀の管轄です。

しかし、このことが全く理解されていないので、数年前までは、雇用情勢がいつまでたっても改善されませんでした。

日銀の金融引き締めによる、需要不足失業が増えているときに、厚生労働省が構造的失業や摩擦的失業の対策を一生懸命実施したとしても、そもそも、雇用の受け皿が不足しているわけですから、何の対策にもならないわけです。

5年ほど前に、厚生労働省関連の役所の女性方が、自分の上司の課長さんが「自分は雇用ってよくわからないんだ」という話しているのを聞いてショックを受けたという話がサイトに掲載されていたことがありました。この課長さんの頭の中にも、雇用の受け皿は日銀の金融政策によるものであることがインプットされていなかったので、このような発言をしたものと思います。

雇用の受け皿が少ないときにジョブ・フェアを実施してもぼとんど効果はない
これは、昔から知られていてマクロ経済では当然のこととされていることなのですが、日本やアメリカのように人口が億単位の国では、日銀がインフレ率を数%あげると、その他は一切何もしなくても、たちどころに雇用が数百万人分創出されます。

逆に日銀かインフレ率を数%下げると、その他は一切何をしなくても、たちどころに雇用が数百万人分減ります。

これは、当たり前のことであり、日本以外の国では当然のこととされていましたが、なぜか日本では雇用と金融政策とは関係ないものとされていました。

本日アベノミクスは失敗として、内閣不信任案を提出した民進、共産、社民、生活の野党4党の方々、特に幹部の方々は、これを理解していないのです。金融政策と雇用の関係を理解していないからこそ、金融緩和によって、雇用が劇的に改善しても、それは自然にそうなったのであり、アベノミクスとは何も関係ないと考えているのだと思います。

そうでなければ、これだけ成果があがっている金融政策を目の前にして、「アベノミクスは失敗」などということはできないはずです。

しかし、雇用と金融政策に密接な関連があるというこの事実を知らない人は、そもそも国会議員になるべきではありません。マクロ経済学では、雇用情勢が悪くなければ、他の数値が多少悪くても良しとします。その点では、アベノミクスは、雇用情勢が劇的に改善しているということでは、及第点をあげるべきものと思います。

さらに、雇用が改善した結果として、自殺者が減ったこともあげられます。


政府は31日の閣議で、2016年版の自殺対策白書を決定しましたた。15年の自殺者数は前年比1402人減の2万4025人となり、4年連続で3万人を下回りました。自殺者数の減少は6年連続。1998年に自殺者が3万人以上に急増する前の97年(2万4391人)の水準まで減りました。
所管する厚生労働省の担当者は「経済問題を理由とした中高年男性の自殺がここ数年大幅に減っており、景気回復を背景にさまざまな対策が功を奏したのではないか」と話しています。

経済政策がまずければ自殺者は増えます。ここでは、詳細は説明しません。それについては、このブログでも解説したことがありますのでそちらをご覧になってください。


ただし、8%増税は大失敗でした。以下に、直近のGDPの表を掲載します。これも以前、このブログに掲載したものを再掲します。


これは、以前もこのブログに掲載したことですが、今年の2月はうるう年で普段より2月は日数が多いです。このうるう年効果を相殺すると、国内生産は、0.1%、年率換算では0.5%です。かろうじて、プラスという状況です。これは、8%増税が大失敗したことを意味します。経済が順調に伸びているときにこの数字ならさほど問題はないかもしれませんが、そうではないので、これはかなり悪い数字とみるべきです。この数字を見た後でも、10%増税を主張する人は全く経済オンチだと言わざるを得ません。

しかし、増税見送りなどというと、決まって「財政再建がー」と叫ぶ人がいます。しかし、このような人は、因果関係や経済対策を実行してから、効果が出てくるまのラグを全く理解していないのだと思います。

財政再建は、名目経済成長がなければ、そもそも無理ことで、名目経済成長すれば後からついてくるものです。これを無視して、増税をすれば、消費が冷え込み、名目成長は当然マイナスになります。そうなれば、税収が減り増税しても財政再建はできません。財政再建できなければ、社会保障改革も不可能です。そもそも、増税すれば社会保障改革ができると思い込むのは間違いです。これを理解しない人は、日本のGDPの60%が個人消費によるものであるということを理解していなのではないかと思います。

8%増税は最初から失敗することはわかっていて、しかも、実際に大失敗であることが数値で示された現在、10%増税を主張する人は愚かとしかいいようがありません。

そうして、8%増税のときを振り返ってみると、野党は無論のこと、新聞などもマスコミも、そうして自民党の大部分の議員も増税すべきという立場でした。野党の中には反対する党もありましたが、その理由は薄弱で、せいぜい世論調査で多数の国民が増税反対なので、反対したのであり、党利党略の域を出ていないものでした。いわゆるエコノミストといわれる人たちも、増税しても、日本経済に与える影響は軽微としていました。しかし、実際に増税してみるとその結果は惨憺たるものでした。

確かに、安倍総理は8%増税の決断をし、増税に踏み切りましたが、それで経済が悪くなったからといって、自民党の議員は無論のことは、野党もそのようなことは言えないはずです。そうして、私は安倍総理自身も、本当はアベノミクスの腰を折るような増税などしたくはなかったと思います。

安全保障関連法に関しても、これも前にこのブログで掲載しましたが、以下のような手続きを踏んで、審議しています。
2012年12月 解散総選挙。自民党は集団的自衛権の行使を可能とし、「国家安全保障基本法」を制定することを公約として、圧勝し政権与党に返り咲く。 
2014年7月 安全保障法制方針について閣議決定。同日に国民向けに安倍総理が記者会見、テレビ全国放送とネットに全文公開。 
2014年12月 解散総選挙 自民党の公約に安全保障関連も含まれる。与党が圧勝 
2015年5月 安保法制案を閣議決定し、安倍総理が再び記者会見。 
2015年6月 通常国会を過去最長の延長幅となる95日間延長。 
2015年 7月 衆議院 特別委員会で異例の116時間を超える審議後、本会議可決し、参議院へ送られる。 
2015年9月 参議院 特別委員会審議は100時間を超える審議後に本会議で可決、成立。
国会で審議拒否や乱闘を繰り返した野党
このような議会制民主主義のステップを踏んで、可決成立しているわけでし、野党はまともな代替え案も提出せず、審議拒否や乱闘を繰り返したわけですから、これはどう考えてみても「強行採決」などとは言えません。これを強行採決とするならば、議会制民主主義を否定することになります。

ブログ冒頭の記事では、自民党の松本純衆院議員は「アベノミクスにより雇用や所得環境は順調に改善を続け、日本経済は着実に回復に向かっている」と反論。不信任案を提出した野党を「党利党略、パフォーマンス政治そのものだ」と批判していますが、私はそれどころではないと思います「理不尽」でさえあると思います。

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【産経・FNN世論調査】内閣支持率55・4%で1年ぶりに5割回復 消費増税再延期「公約違反でない」72% 解散「必要ない」62%―【私の論評】なぜ効果が出ない?「安倍嫌い」がはまる大きな落とし穴(゚д゚)!





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2016年5月30日月曜日

【産経・FNN世論調査】内閣支持率55・4%で1年ぶりに5割回復 消費増税再延期「公約違反でない」72% 解散「必要ない」62%―【私の論評】なぜ効果が出ない?「安倍嫌い」がはまる大きな落とし穴(゚д゚)!

【産経・FNN世論調査】内閣支持率55・4%で1年ぶりに5割回復 消費増税再延期「公約違反でない」72% 解散「必要ない」62%


産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)は28、29両日に合同世論調査を実施した。安倍晋三内閣の支持率は55・4%で前回調査(4月23、24両日)から6・0ポイント上昇した。内閣支持率が50%を超えるのは昨年5月以来1年ぶり。主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)での首相のリーダーシップや熊本地震への対応が評価された形だ。不支持率は4・1ポイント減の34・0%だった。

政党支持率は自民党が41・1%で前回より2・1ポイント上昇。民進党は0・6ポイント増の7・9%、公明党は0・2ポイント増の4・0%だった。共産党は1・4ポイント減の3・8%、おおさか維新の会は1・0ポイント減の3・1%でそれぞれ支持率を落とした。

来年4月に予定する消費税率10%への引き上げを再延期した場合、首相が衆院を解散して国民の信を問うべきかについて「必要だと思わない」と答えた人が62・0%に達し、「必要だと思う」の33・6%を上回った。再延期を「公約違反だと思わない」は72・2%で、「公約違反」とする人は24・2%にとどまった。首相の「消費税増税再延期・衆院解散なし」路線にとって追い風となりそうだ。

消費税率については「8%から引き上げるべきでない」が40・7%、「引き上げは必要だが時期は遅らせるべきだ」が35・9%だったのに対し、「予定通り来年4月に10%」が18・6%だった。民進党の岡田克也代表が消費税増税を2年間先送りし、赤字国債で社会保障充実の財源を確保するよう提案したことについては「反対」が66・0%で、「賛成」の22・6%を大きく上回った。

 26、27両日に開かれた伊勢志摩サミットについて「成功だった」が71・9%、議長を務めた首相のリーダーシップを「評価する」が66・7%。首相の熊本地震での対応を「評価する」が66・1%に上り、こうした結果が内閣支持率の上昇につながったもようだ。政権の経済政策「アベノミクス」に対する評価は「道半ば」とする人は65・4%で、野党の主張する「失敗」とみる人は27・9%にとどまった。

 オバマ米大統領の広島訪問は「評価する」が97・5%と圧倒的な支持を得た。オバマ氏が原爆投下について謝罪すべきだったかとの問いでは「思わない」が68・2%だった。一方、沖縄県うるま市の女性の遺体を遺棄したとして米軍属の男が逮捕された事件に関しては「日米地位協定を見直すべきだ」が83・7%だった。

 野党が進める参院選での統一候補擁立の動きについては「評価する」が48・2%、「評価しない」が41・6%だった。民進党や共産党の支持率は伸び悩んでいるものの、参院選対策には一定の理解が広がっていることがうかがえる。

【私の論評】なぜ効果が出ない?「安倍嫌い」がはまる大きな落とし穴(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の他にも、安倍内閣の支持率の調査があります。以下に日経新聞によるものをあげておきます。
内閣支持率56%に上昇、サミット外交評価 本社世論調査
 日本経済新聞社とテレビ東京による27~29日の世論調査で、内閣支持率は56%で4~5月の前回調査から3ポイント上昇した。不支持率は35%で5ポイント低下。先の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で議長を務めた安倍晋三首相の働きぶりは62%、オバマ米大統領の広島訪問は92%がそれぞれ「評価する」と答えた。一連の外交成果が支持率を押し上げた形だ。
 内閣支持率は2014年9月の内閣改造を受けた調査で60%を記録して以来の高水準となった。
 来年4月の消費増税は「反対」が63%と依然高水準。「賛成」は3ポイント上昇の32%だった。増税先送りで取り沙汰される衆参同日選は「反対」が1ポイント低下の42%、「賛成」は3ポイント低下し38%だった。経済政策「アベノミクス」は「評価する」が38%と2ポイント上昇し、「評価しない」は49%で4ポイント低下した。
それにしても、あれだけ多くの「安倍嫌い」がテレビなどで跋扈して「アベ政治を許さない」などとして、跋扈しているように見えても、現実には安倍政権の支持率は上がっています。これは、一体どうしたことなのでしょう。

 昨年は、安保法案の審議であれだけマスコミや野党がレッテル貼りをし、市民団体等が国会前で「戦争法案」反対としてデモ繰り返し、安保法案は「違憲」だと多数の憲法学者が意見を表明し、あれだけ大騒ぎして、「アベ嫌い」の大合唱していたし、最近では「伊勢志摩サミットもアベノミクスも失敗だ!」だと煽りたてているのに、なぜこのような結果になるのでしょうか。

直近の内閣支持率だけみていると、安倍内閣の支持率がどの程度なのかみえないところがあるので、下に歴代内閣の支持率のグラフを掲載します。


このグラフを見ると、最初のうちは支持率が高くても、2〜3年もの期間内閣を続けているとほとんどの場合、支持率が下がっています。安倍内閣のように、一度支持率が落ちてもさらに50%台にのせたのは、小泉内閣くらいかもしれません。

民主党内閣は、内閣末期には支持率がすべて20%台にまで落ちています。その前の自民党内閣でも同じことです。なぜこんなことになってしまうのでしょうか。

そうして、特に最近では「アベ嫌い」の必死のアベ批判にもかかわらず、安倍内閣の支持率があがってしまうのはなぜなのでしょうか。無論、最近の支持率の向上は、先の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で議長を務めた安倍晋三首相の働きやオバマ米大統領の広島訪問など一連の外交成果によるものといえます。

しかし、より根本的には、あまりにも「安倍嫌い主義者」の「安部嫌い」の理屈がハチャメチャであることと、特に民進党にみられるような揚足とりの産物でしかないからです。

特に最近の「伊勢志摩サミットもアベノミクスも失敗だ!」と煽り立てる連中はそうです。

彼らは、民進党の岡田克也代表の「首相のサミットでの発言は理解に苦しむ、増税延期に利用している」という発言にみられるように、消費税8%増税による日本経済へのダメージや、中国経済の低迷や、原油価格の低下による、新興産油国などの低迷などの、世界経済が不安定化していること等を無視して政府の消費増税先送りを牽制しようとしています。それによって、政権に対峙しようとしています。

そうして、彼らの代替政策のほんんどが、マクロ経済政策など無視して、構造改革主義的な発想で結局、経済低迷のしているときに、なぜか金融政策や、財政政策を無視し、あたかもこれらは経済に無関係であるかのようにみなして、生産性の向上をはかるか、経済成長による富の創造ではなく、限られた富をいかに分配するかという論議に終始して、結局さらに経済を低迷させるだけに終始するものであることも大きな問題です。

とにかく、彼らは現実を無視して、ひたすら政治的な駆け引きに終始するのみで国民のことなど二の次であり、政治的駆け引きを成功させるためには、デフレになるならないなどおかまいなしで、結果として国民を途端の苦しみに追いやることなど何とも思っていないようです。

なぜこのようになってしまうのでしょう。これには、根本的な問題があります。結局彼らは、正しい妥協ができないのです。たちの悪い妥協しかできないのです。

妥協に関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【ニッポンの新常識】日本人が金慶珠氏に一定の敬意を払うべき理由 民主主義の根本は「是々非々」―【私の論評】真の保守は中庸を旨とする!敵をつくるより味方を増やそう(゚д゚)!

金慶珠(キム・キョンジュ)東海大学教授

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事の元記事では、ケント・ギルバート氏による、金慶珠氏が、李明博(イ・ミョンバク)前韓国大統領が島根県・竹島(韓国名・独島)に上陸したり、天皇陛下への侮辱発言を行った一件を真正面から批判したことをもって、日本人は彼女に対して一定の敬意を払うべきだという主張を掲載しました。

ケント・ギルバート氏は、以下の様にも述べていました。
自分と意見が違う人物を深く考察せず、全否定して排除しようとする傾向が、「自称・保守派」の一部に見られる。二元論的に「敵か味方か」と決め付けるのは、子供か全体主義者の思考回路である。民主主義の根本理念は「是々非々」なのだ。「昨日の敵は今日の友」になる場合もある。 
少し考えてから行動しないと、安倍晋三政権の政策に、脊髄反射で反対する勢力と大差ない。
このような主張に関連して、私は保守の規範というか、私なりの理想像について掲載しました。 そうして、保守は誤った妥協ではなく、正しい妥協をすべきことを主張しました。その部分を以下に引用します。
真の保守とは、たとえ立場が違った人とも、一致できるところは一致し、妥協できるところは妥協し、敵よりも味方を多く作ろうとする人々のことです。それによって、順次世の中の仕組みを変えたり、良い方向に持っていこうとする人々のことです。


ソロモン王の裁き 半分のパンは役にたつが半分の赤ん坊は遺体に過ぎない
そうして、妥協と言った場合、無論半分の赤ん坊ではなく、半分のパンの妥協であるべきというソロモン王の裁きの故事を忘れるべきではありません。世の中には、妥協の仕方がわからず、いつまでも妥協できずに何も変えられないとか、半分のパンを得ることもかなわず、結局半分の赤ん坊を得てしまう事ばかりで失敗する人も多いですが、無論そのような妥協をする人も真の保守とはいえません。 
妥協には正しい妥協というものがあります。というより、保守を自認する人は正しい妥協を厭いません。そもそも、民主主義とは妥協の連続です。何もかも、スパっと自分の思い通りにできるのは、全体主義のトップだけです。ただし、それも束の間の事にすぎません。
結局「安倍嫌い主義者」は、正しい妥協ができないため、半分のパンを得ることができず、半分の赤ん坊を得ることしかできない人たちなのだと思います。

妥協には2つの種類があります。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づくものです。前者では半分は必要条件を満足させます。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となります。半分の赤ん坊では妥協にもなりません。

半分のパンは無いよりまし
民進党を例にとると、どう考えても劣勢で、このままだと次の選挙では惨敗を喫してしまうことは、明らかです。しかし、何とかして存在感を増し、選挙に勝たねばなりません。

しかし、現状では議席数も少なく、安倍政権にはなかなか歯がたちません。そこで何らかの妥協をしなければなりません。

もし民進党が「増税を見送る」ことに賛成して、他の争点で争うようなことをすれば、経済の落ち込みを回避することができ、国民からも民進党は正しい選択をしたということで、国民からの信頼も増し、半分のパンを得ることができます。これは正しい妥協です。あるいは、減税して消費税を5%にするなどの代案を出せは、半分どこかパンを一個まるまるもらえるかもしれません。

民主党(現民進党)は安保法案審議のときにも、「戦争法案」などとレッテル貼りをしたほか、国会で乱闘するなどするばかりで、代替案など出しませんでした。これも本当に異常なことでした。議会制民主主義の根幹を揺るがす、とんでもないことをしでかしました。

安保法制の審議に関して今から振り返ってみると、自民党は以下のようなステップを踏みました。

2012年12月 解散総選挙。自民党は集団的自衛権の行使を可能とし、「国家安全保障基本法」を制定することを公約として、圧勝し政権与党に返り咲く。

2014年7月 安全保障法制方針について閣議決定。同日に国民向けに安倍総理が記者会見、テレビ全国放送とネットに全文公開。

2014年12月 解散総選挙 自民党の公約にも含まれる。与党が圧勝

2015年5月 安保法制案を閣議決定し、安倍総理が再び記者会見。

2015年6月 通常国会を過去最長の延長幅となる95日間延長。

2015年 7月 衆議院 特別委員会で異例の116時間を超える審議後、本会議可決し、参議院へ送られる。

2015年9月 参議院 特別委員会審議は100時間を超える審議後に本会議で可決、成立。

このような議会制民主主義のステップを踏んで、可決成立しているわけですから、これはどう考えてみても「強行採決」などとは言えません。

民主党などの野党は、議席数が少ないためまともに議会で戦えば負けるので、妥協の産物として「戦争法案」などとレッテル貼りで煽ったり、国会で乱闘をして審議を妨害したりするなどという、暴挙に出ました。しかし、この妥協はテレビや新聞などのマスコミや市民団体も加担して煽り立てたため、その当初は一見効果があるようにも見えました。

しかし、時がたつにつれて、落ち着いてくると、結局あまり効果がなかったことがわかります。

これも、結局妥協として「半分の赤ん坊」を得るようなものです。本来は、民主党あたりが、反対なら反対で、しっかりとした代替案をだして、それをもとに与党に反対し、まともな審議をすべきでした。そうすれば、半分のパンを得られる妥協になったかもしれません。

結局「伊勢志摩サミットもアベノミクスも失敗だ!」などとと、わめく連中は、ソロモン王の故事にでてくる半分の赤ん坊を得ることにより、政治的駆け引きをしたつもりなのでしょうが、結局それでは、最初から何の妥協にもならないということです。

結局のところ、自分たちでは随分うまく立ちまわったつもりでも、最初から半分の赤ん坊を得るようなことしかしていないので、結局安倍政権の支持率の上昇を招くばかりで、空回りをしているだけなのです。このような、落とし穴にずっぽりと嵌り込み、身動きができなくなってしまっているのです。

どこかで、正しい妥協をする道を選ばなければ、凋落傾向にさらに拍車がかかり、取り返しのつかないことになるでしょう。

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2016年5月29日日曜日

消費税増税2年半延期 安倍首相が麻生、谷垣氏らへ方針伝達 麻生氏は「解散」主張―【私の論評】安倍総理は、伊勢志摩サミット声明に盛り込んだ「機動的財政政策」で衆院選大勝利(゚д゚)!

消費税増税2年半延期 安倍首相が麻生、谷垣氏らへ方針伝達 麻生氏は「解散」主張



安倍晋三首相は28日夜、首相公邸で麻生太郎副総理兼財務相、自民党の谷垣禎一幹事長、菅義偉官房長官と会談し、来年4月に予定している消費税率10%への引き上げを平成31年10月まで再び延期する方針を伝えた。国会会期末の6月1日にも発表したい考えで、政府・与党内の調整を急ぐ。

会談で首相は、消費税率の引き上げを「2年半延期したい」と伝えた。これに対し、麻生、谷垣両氏は財政規律維持の観点から予定通りの増税を求めて異論を唱え、引き続き協議することになった。

増税烈士の麻生、谷垣両氏
麻生氏は「再延期するなら衆院を解散して国民の信を問うべきだ」とも主張した。首相は同調せず、菅氏は公明党に配慮して衆参同日選を見送るべきだとの考えを示した。

連立与党の公明党も社会保障の財源確保のため再延期には否定的な立場をとってきた。首相は近く、同党の山口那津男代表とも会談して理解を求める。

26日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の世界経済に関する討議で首相は、現在の状況が「リーマン・ショック前の状況と似ている」と指摘。世界経済が直面するリスク回避のため、あらゆる政策をとることで合意した伊勢志摩サミットの議論を踏まえ、政策を総動員して対応する方針を示していた。

首相は28日の政権幹部との会談でも、同様の観点から消費税増税の再延期の必要性を説明した。再延期については27日の記者会見では「是非も含めて検討し、参院選前に明らかにしたい」と語っていた。

ただ、首相は26年11月に消費税増税を1年半延期して衆院を解散した際に「再び延期することはない」と断言。その後は、20年のリーマン・ショックや23年の東日本大震災級の事態の発生を再延期の条件としていた。 

首相は新たな経済対策を盛り込んだ28年度第2次補正予算案の編成に向けた検討にも入った。補正の規模は5兆~10兆円程度になるとみられ、近く閣議決定する「骨太の方針」や「ニッポン1億総活躍プラン」から施策を盛り込む。

【私の論評】安倍総理は、伊勢志摩サミット声明に盛り込んだ「機動的財政政策」で衆院選大勝利(゚д゚)!

さて、消費税増税見送りはこれで決まったと見て良いと思います。なぜなら、いくら麻生、谷垣両氏が財政規律の立場からこれに反対したとしても、増税すればさらに個人消費は落ち込み、税収が減ることは過去の三度の3%、5%、8%増税のときであまりにもはっきりしすぎているからです。

むしろ、財政規律を重視するというのなら、10%増税はすべきではないです。にもかかわらず、なぜ増税するかといえば、財務省が税金の配賦権限を強め、さらに霞が関で絶大な権力を得ようという魂胆があり、財務省がそれを目指して、税と社会保障の一体改革などとして、無理やり増税が正しいというキャンペーンを繰り返し、政治家や新聞などのマスコミなどを巻き込んできたからです。

最近発表された今年1月〜3月期のGDPの発表をみても、どう考えても増税すべきでないことは、あまりにもはつきりしすぎています。それについては、このブログでも最近掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
やはり嘘だった財務省の「増税の影響は軽微」 衆参ダブル選再燃も―【私の論評】政府は私が中学の時に味わった、鮮烈なアハ体験を国民に味合わせるべきだ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より2016年1〜3ガ突きのGDPのポイントと、うるう年効果に関する表、ならびに最近のGDPの推移を以下に再掲します。


本年度2月のうるう年効果、公表されたGDPの値から"うるう年効果"を控除したのが実質値


さて、公表されたGDPの1月〜3月の値は、実質成長0.4%で、年率換算では1.7%です。しかし、この値は無論のこと、うるう年効果は相殺されたものではありません。うるう年効果を相殺すると、1月 〜3月期のGDPの修正値は、0.1%、年率換算では0.5%です。

これをみれば、ぎりぎりプラスであり、もし海外情勢などの何か別な悪い要因が少しでも重なれば、マイナスになった可能性は大です。

これではとても、実質経済が安定しているとはいえません。ちなみに、昨年の10月〜12月もマイナスでした。2期連続でマイナスになれば、マクロ経済学では不況期入とみなしますから、日本経済はぎりぎりで、不況期入にはならなかったわけです。

この状況をみれば、8%増税の悪影響は明白であり、この上さらに来年の4月から、10%増税ということにでもなれば、とんでもないことになったことでしょう。

この状況をみて、アベノミクスは失敗などという人も多いですが、現在のところ金融緩和の政策が奏効して、雇用環境がかなり良くなっています。今春卒業した大学生の就職率は97・3%で、前年同期から0・6ポイント増え、調査を始めた1997年以来最高とななりました。

文部科学省と厚生労働省が今月20日発表した。2011年に最低(91・0%)を記録した後、5年連続で改善し、これまでの最高だったリーマン・ショック前の08年3月卒(96・9%)を上回りました。高卒の就職率もかなり改善しています。金融政策は成功しているのです。少し前までは、非正規雇用ばかり増えているなどと語っている人もいましたが、これをみれば、もはやどう考えても正規雇用も増えつつあるのは明らかです。


中には、まだ「実質賃金がー」と叫ぶ方もいるようですが、これははっきり間違いです。これは最初からわかっていることですが、雇用情勢が急激に改善しているときには、実質賃金は下がります。

このようなことは常識で考えてもわかります。今季高卒や大卒の採用が大幅に改善しているわけですから、大企業などで高卒や大卒を大量にある企業が雇用したとします。従来よりも、高卒・大卒の若くて、賃金が低い人の構成比率が増えるわけですから、会社全体の平均賃金は下がります。国全体でも同じことです。

だから、正確にいえば、8%増税が大失敗であったことは疑う余地がありません。これで、増税せよという人の神経が全く理解できません。さらにこのブログには、何度か掲載したきたように、現状認識として今の日本の財政状況は悪くはありません。連結政府(統合政府)のB/Sでネット債務残高のGDP比は40%以下で米英より良い状況です。財政再建は一般論として必要でも今の状況で優先順位はかなり低いです。仮に必要としてその手法として増税は間違いです。現状では、経済成長が最適です。

麻生氏、谷垣両氏は一体この現実をどう認識しているのでしょうか。彼らの言動は、増税のための増税と主張しているようにしか見えません。彼らは、増税烈士というあだ名がふさわしいかもしれません。

ところで、衆院解散で衆参ダブル選挙になるかどうかは、まだ五分五分の状況です。

この状況に関して、日経新聞では以下の様に論評しています。
12年12月に発足した安倍政権は安倍、麻生、菅の3氏と、経済再生相だった甘利明氏をあわせた「3A1S」で運営していた。1月に甘利氏が政治資金問題で辞任に追い込まれた後は「2A1S」の状態が続いています。 
しかし、増税再延期と同日選をめぐる結果が出れば、首相を頂点とした麻生、菅両氏の三角関係が、二等辺三角形なのか、そうでないのかがはっきりする。
麻生氏は再延期に反対し、同日選に賛成。一方、引き続き公明党と足並みをそろえる菅氏は再延期派で、同日選には否定的だ。28日夜の会合でも、首相は2人の意見の違いを把握できたはずだ。 
 サミット成功とオバマ米大統領の歴史的な広島訪問という大きな実績を築き、首相は勢いに乗る。ただ、政治決断の着地の仕方によっては、自身を支える政権幹部との関係を変えるリスクもある。
しかし、現実にはさらなる日経新聞の予想を上回るサプライズも考えられます。それは、8%減税が大失敗だったことははっきりしているわけですから、この悪影響を取り除くために、消費税減税を行い消費税を5%にして、その是非を問うために、衆院を解散して、衆参同時選挙にするというサプライズです。

8%増税は、大失敗とわかったわけですから、まともに考えればこの道もあり得るわけです。8%増税をそのままにして、新たな経済対策を組んだとしても、少なくとも10兆円、できれば20兆円クラスの対策でなければ、焼け石に水です。

無論、これはやってできないわけではありません。財源をどうするのかなどとい話もありますが、それはたとえば、為替特会労働特会もあるわけで、特に雇用情勢が良くなりかつ円高傾向の現在では、労働特会を主に用い、為替特会を為替対策に使いつつも余剰の分も一部使うなどの方法でも、十分すぎるほどです。

しかし、これには欠点もあります。経済対策は長期にわたっては続けられないということです。一方、8%増税も含めて、消費税増税は一度増税されると、それは不可逆的で永遠につづくものと見られています。

実際、過去には消費税は、上がる一方で、下がることはありませんでした。だから、経済情勢はどうであれ、一度決まった消費税率は下がることはないと思われています。

これでは、結局大規模な経済対策を行っても、それは一時のことであり、一度あげられた消費税率は、永遠に下がらないものと多くの国民は、思っているため一時の経済対策を行っても、長期的には消費が冷え込む恐れがあります。

しかし、ここで消費税を5%に減税したらどういう効果があるでしょうか。無論、8%増税の悪影響を取り除くことができます。しかし、これは一つの効果でしかありません。もう一つ大きな効果があります。それは、一時上がった消費税は下がることもあり得ると多く国民に理解してもらえることになります。これは、マクロ経済学では当たり前のど真ん中です。増税、減税は政府がその時々で採用する財政政策の一つすぎないのです。

マクロ経済循環 そもそも増税論者の頭の中にはこの循環がないのでは?まさか
政府がお金を支出するとそれは、この世の中から消えると思っているのでは?
そもそも、増税は緊縮財政の一つの手法です。これは、景気が良すぎでインフレのときなどに景気を冷ます効果があります。

一方減税は、積極財政の一つの手法です、景気が悪くてデフレのときなどに景気を浮揚させる効果があります。

安倍総理は、今回減税して、消費税を5%に戻し、今後政府は景気が悪すぎのときには消費税減税を、景気が良すぎの時には消費税増税をするという機動的な財政政策を行うことを宣言して、その是非を衆院選でその是非を国民に問うようにすべきです。実際に安倍総理は、伊勢志摩サミットの共同宣言で「機動的財政政策」という文言を盛り込んでいます。この言葉、マスコミなどはネガティブに受け取っているようですが、ポジティブに受け取ると、このようにも解釈できます。

同時に、日銀も不景気のときには、金融緩和を景気が良すぎるときには、金融引き締めという機動的な金融政策を行うことも、宣言して、衆院選でその是非を国民に問うようにするのです。できれば、それを実行できるように、日銀法の改正も宣言すると良いと思います。

そのような宣言して、衆院選に勝利できれば、財務省や日銀が政府の意向に沿わない、財政政策や、金融政策を実行しようと思ってもできなくなくなります。

これは、サプライズ中のサプライズです。これを実行して、過去の日本のように15年以上もの間デフレスパイラルの泥沼に沈むようなことが二度ないようにしていただきたいものです。これを宣言して、実行すれば、あっという間に日本経済は、回復軌道にのります。

このような衆院解散であれば、解散そのものと減税という2つの大サプライズを起こすことができます。

そうして、この2つとサプライズは大いに有り得ることです。もう、安倍総理も国民も、日銀と財務省に悩まされることにはうんざりです。そうして、上記のような要求は当たり前のど真ん中の、マクロ経済のど真ん中の政策を日銀や財務省に実行してほしいというだけで、根拠も明確ですし、説明をすれば、大多数の国民も認めるでしょうから、市場もかなり好感するでしょうし、衆院選も大勝利になります。

これは、たとえ衆参同時でなくても、まずは今回は参院選だけで、消費税見送りをして、その後に衆院を行うにしても、これを争点にすれば、かなりの大サプライズです。伊勢志摩サミットでも声明に盛り込んだ、「機動的財政政策」により機動的に景気が過熱したときには増税、景気が落ち込んだときには減税をその時々の経済状況に応じて実行することを宣言すれば、日本の経済政策の分岐点にもなる画期的なことになります。

衆参同時であろうが、衆院単独であろうが、ぜひとも実行していただきたいものです。

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2016年5月28日土曜日

【ニッポンの新常識】日本人が金慶珠氏に一定の敬意を払うべき理由 民主主義の根本は「是々非々」―【私の論評】真の保守は中庸を旨とする!敵をつくるより味方を増やそう(゚д゚)!

【ニッポンの新常識】日本人が金慶珠氏に一定の敬意を払うべき理由 民主主義の根本は「是々非々」

金慶珠(キム・キョンジュ)東海大学教授 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
東京・有楽町のよみうりホールで19日、「南シナ海情勢フォーラム」(主催・産経新聞社 月刊「正論」)が開かれた。第1部は、軍事ジャーナリストの井上和彦氏の基調講演。第2部は、井上氏と、東海大学の山田吉彦教授、同大の金慶珠(キム・キョンジュ)教授、私の4人で、パネルディスカッションを行った。7月1日発売の月刊「正論」で詳報される。

金氏とは報道番組などで何度か共演したが、祖国を愛する韓国人なので、日本と韓国の主張が対立する場面では、原則として韓国側に立つ。日本側の立場で見れば、乱暴で腹が立つ主張も行う。結果、彼女は「反日」と思われているが、かなりの誤解がある。

金氏と私は、長期滞在の在日外国人であり、祖国の政治家や官僚以上に日本の歴史や国民感情に精通している共通点がある。当然、2人とも日本と祖国との良好な関係を常に願っている。

他方、金氏と私には決定的に違う点が1つある。私の祖国・米国は「言論の自由」を重視する国だが、韓国は違うという点である。

韓国人評論家の金完燮(キム・ワンソプ)氏は、日韓併合を肯定的に書いた『親日派のための弁明』(草思社)を出版したが、韓国では「青少年有害図書」に指定され、逮捕された。刑事・民事両方の名誉毀損(きそん)で何度も訴えられ、罰金刑や損害賠償の判決を受けた。韓国政府はパスポートの更新に応じないので、事実上の出国禁止状態にある。

済州(チェジュ)島出身で、日本に帰化した拓殖大学の呉善花(オソンファ)教授は2013年7月、韓国への入国を完全拒否された。

『韓国人による恥韓論』(扶桑社新書)など、韓国批判の一連の著作が累計40万部に及ぶシンシアリー氏は韓国在住の歯科医だそうだが、素性を明かせば平穏な生活は二度と戻らない。

これほど厳しい言論環境の下でも、前出の金慶珠氏は、李明博(イ・ミョンバク)前大統領が島根県・竹島(韓国名・独島)に上陸したり、天皇陛下への侮辱発言を行った一件を真正面から批判した。日本人は一定の敬意を払うべきだと思う。

自分と意見が違う人物を深く考察せず、全否定して排除しようとする傾向が、「自称・保守派」の一部に見られる。二元論的に「敵か味方か」と決め付けるのは、子供か全体主義者の思考回路である。民主主義の根本理念は「是々非々」なのだ。「昨日の敵は今日の友」になる場合もある。

少し考えてから行動しないと、安倍晋三政権の政策に、脊髄反射で反対する勢力と大差ない。

■ケント・ギルバート

【私の論評】真の保守は中庸を旨とする!敵をつくるより味方を増やそう(゚д゚)!

ケント・ギルバート氏の上の主張もっともだと思います。このブログでも、誰が正しい、誰が間違いなどという考えはすべきではなく、何が正しくて、何が間違いであるべきかを議論すべきことを何度か掲載しました。本当に、誰が正しくて、誰が間違いという議論の仕方ほど不毛で、危険なことはないと思います。

どんなに優秀な人だって、間違うこともあれば、どんなに愚かな人だって、正しいことを言っている場合もあります。

危険であるとは言い過ぎという人もいるかもしれませんが、考えてみてください、全体主義の国家では、トップが絶対に正しいということにするということを思い出すべきです。

パルチザンに射殺され逆さ吊りにされたムッソリーニらの遺体
かつてのソ連では、スターリンは何が何でも全部正しく、ナチス・ドイツではヒトラーが何が何でも正しく、現在の北朝鮮では、金正恩が何が何でも、全部正しいのです。

ムッソリーニは独裁者でしたが、敗戦後パルチザンにつかまり、裁判もなしで射殺され逆さ吊りにされました。パルチザンからすれば、ムッソリーニは悪いやつなので、殺すのは当然だったのかもしれません。しかし、本来ならば、ムッソリーニの行った何が悪かったのか、それを裁判などで明らかにすべきでした。「誰が悪い」という主張は極端になるとここまでいってしまうのです。

上の記事で、ケント・ギルバート氏が語っているように、誰の言っていることは間違い、誰の言っていることは正しいという論法を好んでする人は、全体主義に走りやすい性向を持つ人だと思います。

呉善花氏や、朴裕河氏はとりあげたことがあるのですが、金慶珠(キム・キョンジュ)氏に関しては、このブログでははじめてとりあげました。この方、時々テレビに出るのを見たことがあります。今月はじめ頃の「そこまで言って委員会NP」に出演されていました。

この番組でも司会の辛坊氏に指摘されていたのですが、とにかくよく喋る方です。番組内でそれを辛坊氏に指摘されると、金慶珠氏は「私は考えながら喋る」と語っていました。実際この方がテレビに出ている時には、かなり喋るので、焦点がぼやけてしまって、結局何が言いたかったのか記憶に残っていないというのが正直な感想です。

ただし、一つだけ記憶に残っていることがあります。それは、上の記事でも指摘されていたように、李明博(イ・ミョンバク)前大統領が島根県・竹島(韓国名・独島)に上陸したり、天皇陛下への侮辱発言を行った一件を真正面から批判したことです。これには、正直驚きました。だからこそ、記憶に残っているのだと思います。



この一点をもっても、ケント・ギルバート氏は金慶珠氏を日本人は一定の敬意を払うべきとしています。これは、正しい指摘だと思います。私達日本人はテレビなどの日本語の流暢な外国人の発言を、彼らの背景をあまり考えずに、日本人などと同じレベルで考えてしまいます。

しかし、同じ外国人の発言であっても、米国やEU内等の人の発言であれば、日本人と同じく自由に発言できるのですが、韓国や中国、ましてや北朝鮮などともなれば、なかなか自由には話すことはできません。場合によっては、危険をおかしてまでも話していることを忘れるべきではありません。

それと、これは外国人ではないですが、私は常々このブログの中で旧民主党や現民進党を批判しますが、その民主党の中でも尊敬する議員がいらっしゃいます。それは、金子洋一先生です。先生がかねてから主張しておられる、経済政策は本当に正しいです。民進党の幹部も金子先生の主張する経済政策に耳を傾けるべきです。そのことについてはこのブログに以前も掲載したことがあります。

金子洋一参議院議員
さらに、私はマルクス主義経済学を信奉するものではありませんが、松尾匡・立命館大教授の左派の立場こそ本来、金融緩和を重視するべきだとの主張には大賛成です。これに関しては、朝日新聞でもその主張が掲載されているので、是非ごになってください。

立命館大経済学部の松尾匡教授
私は、どうして左派やリベラルの人たちが、上の二人の主張を無視するのか全く理解に苦しみます。これは、左派やリベラルの人たちの多くが、ケント・ギルバート氏がいうように是々非々でものごとを考えないからです。安倍総理の提唱する経済政策である金融政策には絶対にくみしないということです。

このようなことは、保守派にもみられることで、ケント・ギルバート氏は、以前にもブログ冒頭の記事と似たようなことを語っていたことがあります。それもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【ニッポンの新常識】SEALDsだからおかしい、との主張に私は与しない―【私の論評】誰が正しい間違いという考え方は、そもそも大間違い!成功は対立の中にある。自分と違う意見の人を見つけて、あえて議論せよ(゚д゚)!
ケント・ギルバート氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事でケント・ギルバート氏は以下の2つを主張していました。
「誰の主張か?」ではなく、「主張内容は合理的か?」を検証すべきだ。

学習や変化、進歩を拒むのは個人の自由だが、私はさび付いた常識に基づいて生きるつもりはない。
この主張も正しいです。特にこの2番目の主張は、「昔のケントはあんなことは言わなかった」と批判する人に向けてのものですが、これも正しいものと思います。世の中は変わっていきます。昔のままと何もかわらぬ主張をしていれば、一部の人は「ぶれない」などと評価するかもしれませんが、それでは何の進歩もありません。かといって、いつも革新・改革というのも考えものです。

だからこそ、保守的な考えが必要になってくるわけです。ケント・ギルバート氏は保守を自認していますが、まさしく、保守とは上の記事などでケント・ギルバート氏の主張していることを実践する人や考え方のことをいうのだと思います。

保守派というと、自民党が保守で野党は革新などという人もいますが、ご存知のように、このような分類は今や無意味になりました。さらに、人によっては、このような主張をする人が保守で、あのような主張をする人が革新やリベラルなどという人もいます。

しかし、このような考えは根本的に間違いだと思います。主義主張そのものは、保守であるかないかを明確に区分するものではありません。

それよりも、世の中の仕組みをどうするかというときに、「ステップを踏むなんてもどかしい」と「ウルトラCに賭ける」のが急進派、革命派であり、「ウルトラCなんかない」から「ステップを踏んでいくしかない」と考えるのが(反動ではない正しい意味での)保守派であり、中庸派であるということです。

コマネチ、オリンピックで10点満点。機械のように、
正確に技をこなすところはある意味怖いくらいだった。

そうして、民主主義の根本理念はケント・ギルバート氏が語るように「是々非々」であることを忘れるべきではないのです。世の中の仕組みを変えるときに、極端に走らず「是々非々」の民主主義というステップを踏む中庸主義が、保守主義と言えるでしょう。

そういうステップを踏まずに、「誰の主張か」で物事を判断して、事を進めようとする人はそもそも保守ではないのです。

それは、結局のところ真の保守ではないのです。世の中には、本当は保守はではないにもかかわらず、あたかも保守であるように振る舞う偽装保守などといわれる人々もいますし、そうではないまでも、主義主張がいわゆる保守派といわれる人々に似ているので、自分を保守とする自称保守という人もいます。

偽装保守、自称保守の見分け方は簡単です。一見保守のように振る舞いながらも、「誰の主張か」にもとづき物事を考え、変化や進歩に対応するのに、ステップを踏まずに一挙に「変革」を求めるようなことをする人です。特に、この変革に際しては、社会や現実をよく確かめもせずに「制度設計」等で性急に対応しようとします。

私たちは、このようなことにならないように、頭を使うべきです。そうでないと、「安倍死ね」と語る人々と大差がなくなってしまいます。

あるいは、単純な陰謀論者になってしまいます。SEALDsと日本会議が、日本を裏で動かす勢力であると考える陰謀脳の皆さんたちにはつきあいきれません。

このような考え方をする人たちは、結局多数の敵を作ることはできますが、味方を作ることはできません。

このような人たちは、断じて保守ではありません。真の保守とは、たとえ立場が違った人とも、一致できるところは一致し、妥協できるところは妥協し、敵よりも味方を多く作ろうとする人々のことです。それによって、順次世の中の仕組みを変えたり、良い方向に持っていこうとする人々のことです。

ソロモン王の裁き 半分のパンは役にたつが半分の赤ん坊は遺体に過ぎない
そうして、妥協と言った場合、無論半分の赤ん坊ではなく、半分のパンの妥協であるべきというソロモン王の裁きの故事を忘れるべきではありません。世の中には、妥協の仕方がわからず、いつまでも妥協できずに何も変えられないとか、半分のパンを得ることもかなわず、結局半分の赤ん坊を得てしまう事ばかりで失敗する人も多いですが、無論そのような妥協をする人も真の保守とはいえません。

妥協には正しい妥協というものがあります。というより、保守を自認する人は正しい妥協を厭いません。そもそも、民主主義とは妥協の連続です。何もかも、スパっと自分の思い通りにできるのは、全体主義のトップだけです。ただし、それも束の間の事にすぎません。

最後に、ケント・ギルバート氏は、ご自分のブログも公開されています。これは、日本語と英語で書かれています。ブログ冒頭の記事も英語と日本語で書かれています。これは、本当に英語の勉強になります。特に保守的な考えかたをされている人には、格好の英語の教材になると思います。以下にリンクを掲載しておきます。是非こちらもご覧になってください。
http://ameblo.jp/workingkent/
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2016年5月27日金曜日

【伊勢志摩サミット】中国「強烈な不満」表明 南シナ海問題言及のG7首脳宣言を批判―【私の論評】南シナ海からの中国の排除の準備が着々と進められている(゚д゚)!

【伊勢志摩サミット】中国「強烈な不満」表明 南シナ海問題言及のG7首脳宣言を批判

北京の中国外務省で記者会見する華春瑩副報道局長=27日

 中国外務省の華春瑩副報道局長は27日の記者会見で、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の首脳宣言が南シナ海問題に言及したことについて「日本とG7(先進7カ国)のやり方に強烈な不満を表明する」と批判した。

 議長国を務めた日本に対し「サミットを主催し、南シナ海問題をあおり立て、緊張を高めた」と反発。南シナ海問題の議題化は「先進国が経済について話し合う場というサミットの性格にそぐわない」と指摘した。

 G7に対しては「客観的で公正な立場に基づき、無責任な言論をやめ、地域の平和と安定に資するよう望む」と要求。南シナ海での軍事施設建設などは「完全に主権の範囲内だ」と重ねて主張した上で「個別の国が『航行の自由』を掲げて中国の顔に泥を塗るのには断固として反対する」と述べ、米国を暗に批判した。

【私の論評】南シナ海からの中国の排除の準備が着々と進められている(゚д゚)!
伊勢志摩サミットの記念撮影に臨む(左から)トゥスクEU首脳会議常任議長、イタリアのレンツィ首相、ドイツのメルケル首相、米国のオバマ大統領、安倍晋三首相、フランスのオランド大統領、英国のキャメロン首相、カナダのトルドー首相、ユンケル欧州委員長。後方は英虞(あご)湾=26日午後4時、三重県志摩市の志摩観光ホテル

G7伊勢志摩首脳宣言(骨子)に関して、その概要は以下のリンクをご覧ください。
G7伊勢志摩首脳宣言(骨子)
宣言の概要は、この骨子をご覧いただくものとして、中国が問題とする部分のみ以下にピックアップしておきます。4項目目の、(6)に以下のような記載があります。

4 政治外交

(6)海洋安全保障 
●国際法に基づいて主張を行うこと,力や威圧を用いないこと,紛争解決には,仲裁手続 を含む司法手続によるものを含む平和的手段を追求すべきことの重要性を再確認。東 シナ海・南シナ海の状況を懸念し,「海洋安全保障に関するG7外相声明」を支持。
これは、中国を名指しこそしていませんが、中国の南シナ海での環礁の埋め立てを、G7首脳は全員これを認めないことを示しています。

これは、骨子ですが、宣言には「法の支配の3原則」が明記されています。これに関しては、前もってこれを盛り込むことは、サミットの前に決定していました。これは、安倍総理による中国に対する最終警告と言っても良いものです。これに、に関して、以下に説明します。これは、安倍晋三首相が海洋安全保障をめぐって2014年に提唱したものです。

この3原則は、(1)国家は法に基づき主張する(2)力や威圧を用いない(3)紛争解決へ平和的解決を徹底する-が柱となっています。

これにより、伊勢志摩サミット首脳宣言は、中国による、南シナ海での軍事拠点化への懸念と反対を盛り込んだ宣言の素案に3原則の内容を新たに加えることで、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海での挑発行為なども念頭に置き、名指しは避けながらも中国に対して「強い反対」を打ち出しました。

中国は14年5月、安倍首相がシンガポールで開かれたアジア安全保障会議で3原則を表明した際に反発した経緯がありました。G7によるこの3原則を含む首脳宣言は、中国にとって“屈辱的宣言”となりました。だからこそ、ブログ冒頭の記事のように中国は、本日「強烈な不満」を表明したのです。

中国が軍事基地化を進める南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島にあるスビ礁
日、米、カナダ等とは異なり、欧州各国は、中国の覇権主義的手法を問題視しながらも、地理的に軍事的な脅威にやや鈍感で、中国を刺激して経済的利益を損ねないよう及び腰になる部分もありました。

これを、安倍首相が議長国の立場を活用して議論をリードし、南シナ海の「航行の自由」を守るオバマ氏とともに、欧州各国の対中観との隔たりを縮めていきました。

結果、各国首脳からは「力による現状変更や規範の無視は許されない」「基本的な規範や国際法の順守が重要だ」「海洋の安全保障や力による現状変更への反対には、明白で厳しい姿勢で臨むべきだ」などと賛同する意見が相次ぎました。

そうして、最終的にこの3原則が、首脳宣言に盛り込まれことになったのです。

これをけん制するため、中国海軍のミサイル駆逐艦「合肥」「蘭州」、ミサイル護衛艦「三亜」、総合補給艦「洪湖」からなる南海艦隊遠洋訓練艦隊は21日午後、西太平洋某海域で実弾射撃訓練を実施したことを、人民網日本語版が23日、中国軍網の報道として伝えていました。

中国南海艦隊
まさに「盗人猛々しい」とは、このような中国の振る舞いです。南シナ海の岩礁を勝手に埋め立てて軍事基地化したり、東シナ海の日中中間線付近に軍事拠点化が懸念される海洋プラットホームを次々に増設して、地域情勢を緊張させているのは、中国です。

さて、上で示した首脳宣言のなかの「海洋安全保障」の項目には、 「国際法にもとづき主張を行うこと」との記載があります。この意味するところを以下に掲載します。

国際法には「法」という字がついていますが、日常生活で「法律」という言葉からイメージするものとは大きな違いがあります。

民事や刑事の訴訟などで使われる法律は国内法です。国内法は主権を持った統一政府によって強制される法なので、「強制法」といいます。国内では、警察などの法執行機関が法律を破った人を取り締まるわけです。

一方、国際社会には警察のような強制力を持った組織はありません。国際法はあくまで主権国家同士の合意によって成り立っているものなので、「合意法」といいます。当事国のどれか一国が仲裁裁判所の裁定を破った場合は、その他の国は守る義務はありません。

この国際法の原則からいえば、現状のままだと、米国が軍事力を行使したとすると、中国は米国を強く非難することになります。それこそ、虚妄の南京虐殺や慰安婦問題などで鍛え上げた、ありもしない虚妄にもとづき歴史を修正して、米国に徹底的に噛みつきます。国連の場や、ありとあらゆる機会を利用して、様々な活動を展開して、米国を悩ますことでしょう。

オランダ・ハーグの常設国際裁判所
それに対して米国は反論することもままならない状況に追い込まれることすら予想されますが、南シナ海の領有権問題でオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所の判断が今年の夏あたりに、出される予定です。この裁定は、当然のことながら、国際法に照らして、中国にとってはかなり不利な裁定となるのは必定です。

さらに、今回G7の首脳宣言は、上記で示したような海上の安全保障に関する宣言も含んでいます。これは、少なくとG7の首脳は、仮に中国が南シナ海の領有をやめない場合は、中国が一方的に国際法を破棄したものとみなすことになります。

裁定がおりた後なら、米国が南シナ海や、東シナ海で軍事力を行使したとしても、中国による力による現状変更を、力によって元に戻したということになるだけです。これは、上で示したように、中国が一方的に国際法を破ったことになり、南シナ海や東シナ海から中国を力ずくで排除したとしても、国際法を破ったことにはなりません。

中国が、現状を変更しないかぎり、米国は、何の後腐れもなく、軍事行動に打って出ることができるのです。

米国が本格的に軍事行動にでれば、南シナ海における中国にはなすすべがありません。中国の軍事力、特に海軍力は、米国よりはるかに劣っています。軍事力ランキングなどで比較すると、海軍力は日本よりも劣っています。

これでは、もう時間の問題です。中国としては、負け犬の遠吠えをする以外に何もできないわけです。

今回のサミットは、中国にさらに楔が強く打ち込まれた形となりました。着々と、南シナ海からの中国の排除が進められています。

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