2016年12月23日金曜日

【日本の解き方】デフレの危険性に鈍感な人たち 雇用悪化の副作用理解せず、消費税の影響も「不都合な事実」―【私の論評】経済常識が一般常識にならない困った日本(゚д゚)!

【日本の解き方】デフレの危険性に鈍感な人たち 雇用悪化の副作用理解せず、消費税の影響も「不都合な事実」

 日本で「格差が拡大している」「生活保護受給者が増えている」「国内消費が低迷している」といった話題はしばしば報道される。その際、「デフレ」や「消費増税」の悪影響が指摘されることはあまりなく、逆に「値段が安いのは良いこと」「消費税は増税すべきだ」といった方向に議論が進むことがしばしばある。こうした風潮の背景にあるものは何なのか。

 まず、デフレについて、基本的な理解不足がある。これはしばしばテレビなどで「識者」とされる人でも混同するのだが、「個別価格」と「一般物価」の違いである。

 ほとんどの人は、ものの値段は安い方がいいという。たしかに、自分の給料を一定とすれば、個別の財やサービスは安いほうがいいに決まっている。これはいわゆる「主婦感覚」にもマッチするので、テレビなどでも受け入れられやすい。

 しかし、全体での物価水準を示す一般物価が下落することは一般的に失業率の上昇を伴う。その場合、「個人の給料が一定」という前提が危うくなる。一般物価の下落、つまりデフレにはこうした経済全体でみた「副作用」があるのだ。

グラフはブログ管理人挿入 以下同じ

 このため、デフレ脱却が政策課題になっているのであるが、デフレが雇用の喪失を伴う点については、いまだに理解されているとは言いがたい。

 これは、アベノミクス批判でよく見られる話だ。「いくら金融緩和しても経済は上向かない」「インフレ目標も達成していない」というものだ。

 しかし、この批判は失業率の低下を無視しており、論評に値しない。失業率が下がっていれば、物価が上がっていなくても、たいした問題ではない。

失業率の推移
 失業率低下の恩恵は、限界的な労働市場である大学生の就職率に現れている。大学の就職率は1年前の失業率と大きな逆相関関係がある。アベノミクスの金融緩和によって失業率が低下したので、大学の就職率も上昇したのだ。

今春卒業した大学生の就職率は97・3%で、前年同期から
0・6ポイント増え、調査を始めた1997年以来最高となった。

 論壇や大手メディアがデフレの危険に鈍感なのは、エスタブリッシュメント(既得権層)であるからだろう。大企業ではデフレでも雇用に影響は少ない。ただし、デフレも長引いているので、そろそろメディアへの悪影響も出始めている。

 一方、論壇やメディアで消費税の悪影響が軽視されているのは、さんざん財務省の口車に乗って、消費増税の影響が軽微だと間違ったことを言ってきたからだろう。いまさら悪影響があったと言うのはさすがにまずいということではないか。消費増税によって現実の景気は悪くなったが、論壇やマスコミにとっては「不都合な事実」なのだ。

 消費増税論者は、景気の悪化を無視して増税を主張するので、筆者には理解不可能だ。増税論者が根拠としているのは「日本の財政が危ない」という主張だ。しかし、政府と日銀を合算した統合政府のバランスシート(貸借対照表)をみれば、政府の借金1000兆円はほぼ解消して、事実上財政再建が達成できているという事実があり、おかしいと言わざるをえない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】経済常識が一般常識にならない困った日本(゚д゚)!

上の記事では、一般物価と、個別価格について掲載してあり、識者ですら混同する人がいるということが掲載されていました。

そのため本日は、まずは一般物価と個別価格の違いについて掲載します。それも、教科書的に書いても面白く無いので、それとは全く反対のスタイルで掲載しようと思いスマ

世の中にあるいろいろな財やサービスをバスケットの中に入れてぐちゃぐちゃにして、加重平均したものが一般物価です。この代表的な指数が消費者物価指数です。


一方、個別価格は読んで字のごとく、車とか住宅とかエネルギーなどの個別の価格のことです。

そんなのわかってるよ、バカにしてんのか?って声が聞こえてきそうですがでは、一般物価は何で決まるんでしょう?それは、ずばり金融政策によって決まるのです。

つまり、世の中に出回っている全体のおカネの量が一般物価を決めるのです。一般物価は人口も個別の需要や供給も、何にも関係ありません。

日本国の発行するおカネ全てが入る財布があるとします。財布に入っているおカネの量が一般物価を決めるんです。そうして、個別価格は、個別のモノの需要と供給で決まるのです。

一般物価は金融政策による全体のおカネの量で決まり、個別価格は需給で決まるのです。でもこれだけでは、何のことやらまだ理解しがたいところがあります。

しかし、次のはこの一般物価と、個別価格の違いを知るためにすごく大事な論点です。

今、ある財の供給が過多になり、個別価格が下がりました。例えば、自動車の価格やパソコンの価格が需要減で下がりました。

そうなると、マスコミはデフレが深刻化する大変だと騒ぐかもしれません。しかし、少し、待って下さい。

一般物価は何で決まるんでしたっけ?そうです、金融政策です。金融政策が一定なら一般物価は変わらないはずです。そうです、たとえパソコンや自動車の価格だけが下がったとしても一般物価は変わらないのです。

たとえ、パソコンや自動車の価格が需要不足で下がったとしても、それ以外の価格が上るので一般物価は上がらないのです。

このあたりを良く理解しないがための誤解があまりに多いのです。これを誤解するマスコミなどは、個別価格の低下をデフレを招くと騒ぎたてることになるのです。

でも本当は違うのです。金融政策が一定で消費性向が変化しなければある個別価格の低下は他の製品の需要を押し上げることになるのです。例えば給与が30万円で貯蓄が10万円なら消費に回せるおカネは20万円です。金融政策が同じなら、個別の価格が下がろうが上がろうが、使うお金は20万円と考えるのです。

そうして、インフレやデフレは個別価格の上昇や低下によって引き起こされるものではなく、あくまで金融政策によって決定され、消費に回せるおカネの量で決まるのです。

そこが非常に大事な論点です。しかし、これを理解していない人が、識者の中にも存在すると、高橋洋一はいうのです。確かに、これを理解していなければ、デフレが何が悪いのかということになります。

しかし、これは単なる勉強不足というだけであって、デフレに関して無頓着な人は、このへんは上の文章でも参考にして勉強していただきたいです。識者で、これを知らないというのは、問題外でしょう。このような知識にに欠ける人が、日本経済に関して論評すべきではありません。

この違いが理解できいないと、雇用と金融政策の関係の理解も覚束ないと思います。雇用と金融政策に関しては、以下のフリップス曲線といわれるグラフをご覧いただければ、一発で理解可能です。


物価上昇率と失業率はトレードオフの関係にあります。一般物価が上昇すれば、失業率は低下し、一般物価が下落すれば失業率は上昇するということです。

これは、マクロ経済学では当たり前のど真ん中の理論です。要するに、金融緩和をすれば、失業率は低下、金融引き締めをすれば、失業率は上昇するということです。

高橋洋一氏は、ブログ冒頭の記事の結論で「政府と日銀を合算した統合政府のバランスシート(貸借対照表)をみれば、政府の借金1000兆円はほぼ解消して、事実上財政再建が達成できている」と述べていますが、これはまったくその通りです。

これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下にこの記事にも掲載した「統合性不ベース」での政府純債務残高の推移と予測のグラフを掲載しておきます。

 

これは、ある方の試算ですが、私も自分で計算して大体これと同じ推移をたどることを確かめましたし、高橋洋一氏も大体同じ予測をしています。

それにしても、一般物価と個別物価の区別、統合政府ベースで財政をみること、フリップス曲線の意味するものなど、これらは世界的には特に先進国では一般常識になっていて、詳細は別にして、その意味くらいは多くの人が知っています。日本でも、多くの人に一般常識として知っていただきたいものばかりです。

しかし、日本ではこれは一般常識になっていないようです。なぜ、このようなことになるのか、本当に高橋洋一氏と同じく理解に苦しみます。

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