2016年10月23日日曜日

【衆院ダブル補選】東京10区は小池百合子氏支援の自民・若狭勝氏が勝利 福岡6区は鳩山邦夫氏の次男が分裂選挙を制す―【私の論評】知事選等で野党勝利でも国政レベルでは何も変わらない(゚д゚)!

【衆院ダブル補選】東京10区は小池百合子氏支援の自民・若狭勝氏が勝利 福岡6区は鳩山邦夫氏の次男が分裂選挙を制す

 7月の参院選後、初めての国政選挙となる衆院東京10区と福岡6区の補欠選挙は23日、投開票が行われた。東京10区は自民党前職の若狭勝氏(59)=公明推薦、福岡6区は無所属新人で前大川市長の鳩山二郎氏(37)の当選が確実となった。

 補選は8月に発足した第3次安倍再改造内閣、9月に就任した民進党の蓮舫代表にとっても初の国政選挙。16日投開票の新潟県知事選で与党系候補が敗れ、いったんは遠のいたとみられた衆院解散だが、今回の2補選での勝利で再び「解散風」が強まり、首相の背中を押す可能性もある。

東京10区補選候補者
 東京10区補選は、7月の東京都知事選で転身した小池百合子知事の議員失職に伴って行われた。都知事選で自民党の方針に反して小池氏を支援した若狭氏だったが公募の結果、党公認として出馬。民進党新人の鈴木庸介氏(40)との事実上の一騎打ちとなった。若狭陣営は、小池氏が頻繁に応援に入ったほか、安倍晋三首相や公明党の山口那津男代表も応援に駆け付け、終始優位に選挙戦を進めた。


 福岡6区補選は、鳩山邦夫元総務相の死去に伴い実施。自民党からは、邦夫氏の次男の二郎氏に加え、県連が推す蔵内謙氏(35)も出馬。党本部は候補者の一本化を図ったが、不調に終わって両氏の公認を見送った。二郎氏が当選したことで、党本部は追加公認する方針だ。民進党は新人の新井富美子氏(49)を擁立したが及ばなかった。

 野党は両補選とも民進党候補に一本化し、共産、自由、社民各党が支援。共産党は野党共闘を進めるためとして、擁立する予定だった公認候補を取り下げていた。


【私の論評】知事選等で野党勝利でも国政レベルでは何も変わらない(゚д゚)!

上の記事では、「16日投開票の新潟県知事選で与党系候補が敗れ、いったんは遠のいたとみられた衆院解散だが、今回の2補選での勝利で再び「解散風」が強まり、首相の背中を押す可能性もある」とありますが私は新潟知事選挙に関しては国政選挙である衆院選には最初から影響は全くなかったと思います。
それも、安倍晋三首相の解散戦略だけでなく、今後のエネルギー政策についても、ともに国の政策なので、地方選で左右されるものでは全くありません。

エネルギー政策に関しては、新潟県知事選では、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題が争点となり、県民の過半が再稼働に慎重だったので、米山氏に風が一気に吹いたのでしょう。

原子力行政について、実は与党と野党との政策の差はあまりありません。ほとんどの政党は脱原発という方向性は同じで、そのスピードに差があるという程度に過ぎません。

エネルギー政策は、原発即ゼムというのでなければ、現状の政府と方向性は同じ
先の参院選での公約を見ても、自民党は原発依存度を下げ、安全性の確保を前提として原子力規制委員会に認められたものを立地自治体の理解を得て再稼働を進めるという立場です。

民進党は「脱原発」ですが「原発即ゼロ」とは言ってはいません。

公明党は原発新設を認めず、原発ゼロを目指すとしていますが再稼働については自民と同じです。日本維新の会は「原発フェードアウト」、共産党や生活の党などは「原発即ゼロ」という具合です。

では、米山氏はどういう考え方だったのでしょう。米山氏は10年ほど前に政界に入ったのですが、当初は自民党でした。その後、維新に移り、維新が民進党に吸収され、今回は無所属での出馬でした。維新は脱原発の方向ですが、原発即ゼロという立場ではなく、民進も原発即ゼロではありません。

原発即ゼロでない限り、再稼働は、安全確保の上で原子力規制委員会が認めたものを地元自治体の理解を得て行うという政府方針と大差がありません。

新潟県の場合、前任の泉田裕彦氏は再稼働に慎重で、県の「技術委員会」もあり、福島第1原発事故を独自に検証しています。泉田氏は「福島事故の検証と総括なしには再稼働の議論はしない」という立場で、米山氏もそれを踏襲すると考えられます。

そうした科学的見地からの意見が出てくるのは県民のために望ましいことです。それらが県の見解となって、政府判断における「地元の理解」を形成することになるのでしょう。

衆院解散は、安倍首相の専権事項です。安倍首相自身が国会において「ない」と否定しました。そもそも地方固有の話と国政は別物です。そして米山氏が原発即ゼロでない限り、再稼働に慎重という意味では与党方針と大差はないのです。

新潟県知事選で勝利し、万歳する米山隆一氏(右)=16日夜、新潟市
新潟県知事選で与党候補は、こうした「慎重判断」の流れを理解しないまま、県民に支持されていた泉田県政を批判したことで、昔ながらの行政をすると見切られて敗北したのでしょう。

いずれにせよ、新潟知事選挙は地元の事情を反映したものに過ぎず、国政レベルでは元々何も変わらなかったとみるべきです。

これについては、公明党の斉藤鉄夫選対委員長も同じようなことを語っています。16日夜、同日投開票された新潟県知事選で自民、公明両党が推薦する前長岡市長、森民夫氏の敗北が確実となったことを受け、斉藤委員長は「県民生活向上に向けた森候補の訴えが十分に浸透せず残念だ。支援くださった皆様に心から御礼申し上げる。国政への影響はないと考えている」との談話を発表していました。

これに関しては、沖縄も同じことです。野党も沖縄を即独立させよなどと言っているわけではありません。民進党等が沖縄独立を主張するというのなら別にして、そうでない限り、結局のところ沖縄の基地問題など、「地元の理解」を得ながら、辺野古への基地移転をはかるということですから、沖縄の知事やその他の自治体の首長がいかに反対しようとも、野党も結局「地元民の理解」を得ながら基地移転するなどの選択肢しかありません。

沖縄県民で独立賛成派は1%に過ぎない
沖縄の防衛に関する県民意識調査
そもそも地方自治体レベルで、安全保障を考えるなどということは、それこそ江戸時代の幕藩体制に戻るということであり、それはどう考えても成り立ちません。単なるアナクロニズムであり、どんな理屈を持ってしても、これを沖縄県が考えるようにするとしたら、沖縄が独立して一つの国となり、その国において考えるということでなければ、成り立ちません。

これは、あの鳩山由紀夫氏の「勉強すれば勉強するほど、沖縄の米海兵隊の重要性がわかってきた」という発言からみても、明らかです。いくら地元の自治体等が騒いだにしても、野党も政府とは全く異なった見解を持っているように装ったにしても、結局国政レベルでは安全保障の責任は政府が持つものであり、地方自治体が担うものではないという原則は、動かすことはできず、結局政府と同じようなやり方になるし、もし野党が沖縄独立を主張したりすれば、それこそ、国政選挙では大きなマイナスになるだけです。

結局、仮に野党が政権をとった場合、現政府と同じようなやり方しかできません。そのようなことはわかりきっているのに、野党はエネルギー問題でも、沖縄基地問題、安全保障でも、政府と全く異なった見解を持っているように装っているだけです。

このあたりに目覚めず、沖縄問題をことさら大きく扱う野党は、共産党のように万年野党になるか、選挙で負け続けるだけになり、いずれ社会党のように消えてなくなります。

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