2015年7月18日土曜日

宮崎正弘の国際ニュース・早読み(李克強首相が谷内局長と異例の会談)―【私の論評】中国が安保法案に賛意を評する時に、しれっとハシゴを外される反対派の狼狽ぶりが今から楽しみだ(゚д゚)!

宮崎正弘の国際ニュース・早読み(李克強首相が谷内局長と異例の会談)

宮崎正弘氏のメルマガより

発行日:7/18



ついに強欲凶暴な中国が日本に再度、近寄る必要に迫られたのだ
****************************************

安保法案は衆議院と通過した。弐ヶ月後、成立する運びとなる。

中国は静かに反対の態度を表してはいるものの、いつものような絶対反対の絶叫はなく、軍国主義復活などと無謀な宣伝文句もが見られない。不思議である。
 なにかの予兆を示唆している。

香港の『サウスチャイナ・モーミングポスト』などは「日本の法律改正は戦争の機会を増大させたと中国専門家が分析」などセンセーショナルは報道だったが、南シナ海の中国軍の蛮行を前になにをほざくかという印象である。

日本は戦争機会を拡大させたと報じた
サウスチャイナ・モーミングポスト
日中間のささくれだった空気は中国が一方的に醸成したもので、東シナ海にガス井建設の無鉄砲から、さらにエスカレートして尖閣諸島周辺へ中国海監の艦船が出没して領海侵犯を繰り返し、小笠原諸島近海からは赤珊瑚をごっそり盗んでいった。
 劉空侵犯による自衛隊のスクランブル出動も年初来110回以上である。

日本が尖閣諸島の国有化をなすと、言いがかりを付けての反日暴動とやりたい放題。すっかり嫌気がさした日本企業がどっと撤退をはじめ、「チャイナ・プラス・ワン」の合い言葉の元、アセアン諸国からインドへの進出を加速させた。

賃金高騰により「世界の工場」ではなくなった中国は輸出に支えられて高度成長を遂げてきたのに、国有工場で生産した品物は売れ残り、在庫の山が各地でみられ、暴動も頻発し、社会不安が拡大した。

こうした環境の下で、海外からの直接投資が激減しては経済が立ちゆかなくなる。ドイツと韓国以外、中国に投資を増加させた国はない。

苦肉の策として在庫処分と中国企業の海外でのビジネス拡大を目的としてAIIBに、信用格付けの問題から、どうしても日本に加盟して欲しかったが、日本はすげなく、鳴り物入りの銀行の船出となった6月26日の「署名式」では7ヶ国が署名しなかった。

そして上海株暴落が開始された。

中国は焦りだした。

▲中国は本格的に焦っているのだ

華夷秩序のフォロアーと思っていたフィリピン、ベトナムが鮮やかに反旗を翻し、シャングリラ対話では米国から名指しの非難を受け、四面楚歌の状態にあることを中国はやっとこさ認識できた。 

14年11月の北京APECでは安倍首相と会談した習近平のよそよそしい態度が際立ったが、15年4月のインドネシア会議を利用しての日中首脳会談は、むしろ中国側から呼びかけてきた。

習は気味悪いほどに、にこにこ笑っていた。

そして5月、自民党の二階総務会長は安倍親書を携えて訪中した。三千人の人民大会堂での夕食会に、習近平が忽然と現れ、日中友好は子々孫々までと、あっと驚くようなおべんちゃらをのうのうと言ってのけた。

こうした変化を背景に、安倍密使として谷内安全保障局長が密かに北京入りした。

7月16日に中国外交を司る楊潔チ国務委員(前外相)と五時間以上も会談した。これにより九月初旬の安倍訪中に関しての事前調整の大筋がみえてきた。

そして17日、李克勝首相と谷内は35分間会談した。政治家でもない政府高官と首相がじきじきに会談するのは異例のことである。

それだけ中国は日本に秋波を送りたいのである。いや、日本に近づかなければ行けない事情が国内にあるからだ。

記者会見によれば、安保法案、安倍談話などの話はまったく出なかったというが、他に喫緊の議題はない。要はこれで九月初旬の安倍訪中の段取りが殆ど決まったとみて良いだろう。

【私の論評】中国が安保法案に賛意を評する時に、しれっとハシゴを外される反対派の狼狽ぶりが今から楽しみだ(゚д゚)!

中国はかつて約束していた保八(経済成長率8%)すら達成できなくなっている

中国は本当に焦っています。いやそれどころか、切羽詰まっています。経済は不調で、当面回復する兆しは全くありません。上海株式市場は、政府の強引な介入によっても、暴落は止められそうにもなく、近いうちに大暴落します。AIIBは確実に失敗するか、失敗までしないものの、有名無実になる可能性がかなり高いです。中国西端には、第二イスラム国の脅威が間近に迫っています。

中国の金融は空洞化しいている

これらについては、このブログでも掲載してきました。最近は、日本のメディアなど安保一色で、他の成果情勢の変化などほとんど報道しないので、中国の変化についてもほとんど認識されていません。しかし、上のニュースはかなり重要なものと思います。

背に腹を変えられない中国は、そろそろ日中首脳会談にて中国は日本との関係改善をさせたいとの打診をしてくると考えられます。

これは、安倍総理にとって大きなチャンスになると考えられます。まず考えられるのは、中国が最近の日本に安保法制の改定に関して、反対するのは取り下げて支持を表明することが考えられます。そこまでいかなくても、黙認ということも考えられます。

中国共産党による安保法案賛同です。この可能性はゼロではないどころか、大いにありそうです。安倍首相がプーチン来日を成功させ日露関係が飛躍的に発展すれば、中国にとっては、西からのイスラム国の脅威、北からのロシアの脅威、東からの日本の脅威という地政学的に非常に困難な状況になると考えられます。

であれば、少なくとも、日ロの脅威は取り除きたいと考えるはずです。日、ロ、第二イスラム国の脅威を考えた場合、交渉などによってもっとも容易にとりのぞけそうなのは、日本の脅威です。

それにしても、安倍総理は全く焦る必要も何もありません。鷹揚に構えて、中国が譲歩するとこは、譲歩するなら、それに対して日本も応分の何かをするという考えで良いと思います。譲歩しないというのなら、全くのノータッチで良いと思います。

日本側からは、何も言わず、中国側が何か言ってきた場合、それに応分の何かをするという程度で十分と思います。間違っても、こちらがわから譲歩したり、経済援助を申し出るようなことはすべきではありません。

安倍総理は、安全保障のダイヤモンド構想を着々と進めて、かなりの成果をあげています。過去の日本の総理大臣とは180度異なる、安倍総理の態度と行動には、中国共産党幹部もかなり危機感を抱くとともに、今の中国の状況を考えると、それこそ、疲労困憊していると思います。


それにしても、中国が安保法制に関して、まかり間違えて賛意を評したり、そこまでいかなくても、黙認した場合、あれだけ反対した、朝日新聞をはじめとする日本のメディアや、民主党をはじめとする野党、左翼の連中はかなり狼狽すると思います。

頭はほとんど使わなかっにせよ、あれだけ精力を費やして中国にとって良くない安保法制改正を阻止しようとしたのにもかかわらず、中国が黙認したり、賛意を評したりしたら、とんでもないことになってしまいます。まさに、青天の霹靂です。

中国に釣られて、安保法制改正が違憲だとか、戦争法案だとどんちゃん騒ぎをして、盛り上がったと思ったところでしれっとハシゴを外されるのですから、たまったものではありません。



もしそうなったら、安保反対などの運動や、デモなどもいずれ下火になることでしょうが、かなり急速に下火になるどころか、反対した人たちもかなり興ざめして、多くの人々が今後は扇動されにくくなることでしょう。

日本のメディアなど、中国に右に倣えというところが多いですから、もし中国が賛意を評したりしたら、日本のメディアも豹変して、いきなり安保賛成ということになるかもしれません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】





【関連図書】

本日の元記事の筆者である、宮崎正弘氏の著書など以下に三冊チョイスさせていただきました。宮崎氏は長年中国に実際に足を運びながら、中国に関するレポートを発信する、日本では中国問題の第一人者ともいえるエキスパートです。


日本に惨敗し ついに終わる中国と韓国
宮崎 正弘 室谷 克実
徳間書店
売り上げランキング: 1,885

「アジアインフラ投資銀行」の凄惨な末路
宮崎 正弘
PHP研究所
売り上げランキング: 10,141

日本が在日米軍を買収し第七艦隊を吸収・合併する日
宮崎 正弘
ビジネス社
売り上げランキング: 26,133

0 件のコメント:

財政審「コスト重視」の噴飯 高橋洋一氏が能登復興遅れ激白 補正予算編成せず 過疎地の財政支出「ムダと認識」で邪推も―【私の論評】災害対策の予算措置は補正予算が最適!予備費では遅れる

高橋洋一「日本の解き方」 財政審「コスト重視」の噴飯 高橋洋一氏が能登復興遅れ激白 補正予算編成せず 過疎地の財政支出「ムダと認識」で邪推も 高橋洋一 能登半島地震の復興が、従来の復興に比較して遅れている。 野口健氏が「東京と現地の温度差」を指摘し、被災者に「見捨てられた」感があ...