2013年2月15日金曜日

「10%よりも10倍のムーンショットを」:グーグル X責任者からの提言

「10%よりも10倍のムーンショットを」:グーグル X責任者からの提言:



ある事柄を現状より10倍良くするほうが、10%良くするよりも実は簡単なことがよくある……そう聞くと驚くかもしれないが、これは本当のことである。

何かを10%良くしようとするから、どうしても既存の手段や前提に注意が向くことになる。何かを10%良くしようとするから、多くの人々がたくさんの時間を費やして考え出した既存の解決策をベースに答えを見つけようとすることになる。ただし、そんなやり方で改善を進めようとすると、労力、資金、その他の資源が余計に必要になる。こうした形の改善からは、ある種の満足感も得られる。自分が真面目に働いているという感じ、ほかの人が失敗したかもしれないところでも、自分は歯を食いしばって辛抱を続けているという感じがしてくる。だがほとんどの場合、人は結局、以前と同じところで停滞し続けることになる。

それに対して10倍の結果を手に入れるとなると、どうしても勇ましさや創造性が必要になってくる。アポロ計画の月面着陸(「ムーンショット」)のような偉業は、そんな勇ましさや創造性の賜物といえる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


この記事の続きはこちらから!!



【私の論評】アベノミックスの一本の矢でもある「成長戦略」には池田勇人の「所得倍増計画」のような"ムーン・ショット"で臨め!!

上の記事でも述べているように、確かにアポロ計画は、人類を10年待たずして、送り込むことに成功しました。この計画では、とにかく10年後に人類を月に送り込むこととして、NASAが主体となって、10年後にはすでに人類が月に降り立ったものとして、そこから、逆算して、当時存在しなかった技術などを開発していったといわれています。見事に月に降り立つという「思い」を実現させました。

アポロ計画は不可能にみえたが人類を10年たたずし月に送りこんだ
このブログではアベノミクスについて、何回かとりあげていて、その三本の柱である、「大胆な金融緩和」、「起動的な財政出動」、「民間投資を喚起する成長戦略」のうち、一番最後の「成長戦略」に関しては、非常に懐疑的であることを掲載しました。

なぜ懐疑的なのかは、本日は本題ではないので、詳細をここで記すようなことはしません。以下にそれに関するこのブログの記事を掲載しますので、どうして懐疑的なのか、その理由を知りたい方はこの記事を参照して下さい。

【アベノミクスの希望と不安】規制緩和、自由化、TPP推進はデフレ対策を無効化 構造改革を阻止せよ―【私の論評】成長戦略においても、国は計画をたてたり主導することなく、インフラ整備だけに徹するのが筋!!余計なことをやれば、大失敗する!!

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、ノキアをひきあいに出して、ノキアのような民間企業ですら成長分野を見誤ったのですから、ましてや、官僚が成長分野を見つけられるはずはないこと、だから、政府はあくまでインフラ整備に専念すべきことを掲載しました。そうして、もし優秀な官僚が成長分野を見定めることができるなら、共産主義は大成功したはずなのにそうはなっていないことも掲載しました。

だから、私は官僚の成長戦略などには、かなり懐疑的なのです。しかし、一つのやり方として、上記の「ムーンショット」は非常に参考になりました。NASAは官僚組織ではありますが、人類を月に到達させるという目的のため、多くの民間人を雇用したり、あるいは、NASAだけではなく、外部の様々な民間企業などの数々の組織にも、仕事を依頼しています。だからこそ、うまく行ったのだと思います。NASAのアポロ計画に従事した航空宇宙産業企業によって導入されたプロダクト・マネージャー制に端を発したマトリックス型組織は今でも大規模なブロジェクトに使われることがあります。

特に、上の記事では、10%良くするということでは、「何かを10%良くしようとするから、どうしても既存の手段や前提に注意が向くことになる。何かを10%良くしようとするから、多くの人々がたくさんの時間を費やして考え出した既存の解決策をベースに答えを見つけようとすることになる。ただし、そんなやり方で改善を進めようとすると、労力、資金、その他の資源が余計に必要になる。こうした形の改善からは、ある種の満足感も得られる。自分が真面目に働いているという感じ、ほかの人が失敗したかもしれないところでも、自分は歯を食いしばって辛抱を続けているという感じがしてくる。だがほとんどの場合、人は結局、以前と同じところで停滞し続けることになる」ということが掲載されており。これは、まさに官僚か陥りがちな陥穽ではないかと思います。

経済対策でも、官僚は、10%良くするどころか、数バーセント良くすることを考えるのみで、大きな飛躍が期待できないどころか、後退してしまいかねません。このようなことは、私たちは過去にさんざぱら見せつけられて、多くの方々が辟易としているのではないかと思います。だかこそ、多くの人びとが、あの民主党の「官僚主導ではなく政治主導」という言葉に一時でも、魅力を感じたのではないでしょうか?

1951年5月25日の上下両院合同会議で、はじめて
月着陸計画の決定を発表するケネディー大統領
しかし、上の記事など読んでいると、NASAは官僚組織ですから、官僚が物事を推進したからといって、何もかもが駄目とうことではなさそうです。根本は、どこが主導するかということではなく、ムーンショットにするかどうかということが大事なようです。ただし、この計画は確かに官僚主導でしたが、最初に提唱したのは、当時のケネデイー大統領です。そうして、ケネディー大統領がは、最初から10年以内にと国民に向かって宣言していました。やはり、アポロ計画も政治主導から始まったの゛です。ただし、政治主導がムーンショットであったということです。


上の動画は、1962年9月12日ライス大学でのケネデイー大統領の演説です。この時、はっきりと人類を10年以内に月に送ると発表しました。

アベノミクスの「成長戦略」も10倍のムーンショットを狙うべきです。そうして、過去の日本のムーンショットを振り返ってみると、「池田政権」の「所得倍増政策」があります。この「所得倍増計画」は、10倍ではないものの、後でも説明しますが、当時の日本としては、不可能にも思えた、素晴らしいムーンショットでした。

所得倍増計画とは、ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんので、以下にwikipediaより引用させていただきます。

国民所得倍増計画は1957年に岸内閣のもとで策定された「新長期経済計画」に代わり、1960年12月27日に池田内閣において閣議決定された。岸内閣の安保政策重視から一転、経済政策を前面に押し出す格好となった。 
日米安全保障条約の締結により日本は国土の防衛をアメリカに一任できるようになり、高コストの軍事費(防衛費)を抑え経済政策に優先的に配分できるようになった。国民所得倍増計画の目的は輸出増進による外貨獲得を主要な手段として国民所得(国民総生産)を倍増させ、これによって雇用を拡大し失業問題を解決する(完全雇用を目指す)ことで生活水準を引上げることにある。またこの過程で地域間・産業間における所得格差の是正もその目的とされている。具体的には農業近代化、中小企業の近代化、経済的な後進地域の開発(工業の分散)である。 
これらは特に目新しい政策というわけではない。岸内閣の「新長期経済計画」において既に国民総生産と経済成長率という概念を用いており、さらに完全雇用についても言及されている。ただ、岸政権が経済成長よりは政治大国としての復活を意図し、近い将来の改憲まで視野に入れていたことや、佐藤栄作、福田赳夫といった有力政治家、エコノミストの多くが「安定成長論者」として高度成長路線に批判的であったことを考えれば、池田が他の様々な可能性の中からあえて強気の成長路線を選択し、「所得倍増」という卓抜なスローガンと共に推進したことには大きな意味があるといえよう。
国民所得倍増計画は経済政策として劇的な成果を上げた。計画の数値目標は1960年度の国民総生産額である13兆6000億円の2倍、26兆円を10年以内に達成するというもので、1960年度から年間平均11%の経済成長率を維持し、以後3年で17兆6000億円に到達させることが中期目標とされた。しかし日本経済は予想以上の成長を遂げた。実質国民総生産は約6年で、国民1人当りの実質国民所得は7年(1967年)で倍増を達成した。経済成長率も驚異的な記録を見せ、計画開始1年目(1961年度)にして早くも目標が達成された。これによって政府は計画の上方修正を迫られ、早くも高度成長の「その後」の手当を図ることとなった。
また、所得倍増計画は日本共産党の勢力拡大を大幅に抑制する効果もあった。従来共産党の主要な支持層であった賃金労働者の雇用が安定し賃金が上昇して生活水準が向上したことで、会社に対する不満が急速に解消し、共産党が推進する労働組合活動に参加するよりも仕事に専念した方が会社の業績が上がって自分達の賃金もより上昇したためである。
その後、佐藤内閣によって高度成長によるひずみの是正や社会資本整備を目的とする「中期経済計画」(1965年策定)および「経済社会発展計画」(1967年策定)が策定されてゆく。
アポロ計画で初めての有人宇宙飛行を行なっアポロ7号の打ち上げ

当時の池田政権は、10年で所得を倍増することを目標としたのですが、実際には、10年どころか7年で実現しています。

無論、倍増は、10倍ではありませんが、高度成長末期には、ささら所得は増えて、池田内閣発足当時から比較すれば、貧乏国から世界第二位の経済大国となり、10倍以上なりました。まさに、ムーンショットです。それに、その時までの日本は軍事大国であったことはありますが、経済大国になどなったことは一度も経験したことがなく、当時の所得倍増政策は、まさにムーンショットと言っても過言ではないと思います。

1961年6月の訪米中に、ケネディ大統領(右)の専用ヨットで会談する池田勇人首相。

こんなことから、私は、アベノミクスにおける「成長戦略」もこのような、ムーンショットにすべきと思います。池田政権のムーンショットは、あくまでも、「所得倍増」をうたいましたが、政府が成長戦略の設計図を描いてそれに向かって政府が直接財政支出して、これに民間企業が乗って成長したというわけではありません。政府はあくまで、インフラを整備しただけです。

このような歴史を持つ我が国においては、政府による成長戦略はあくまでも、ムーンショットで政府主導ではなく、民間主導であり、あくまでも政府はインフラ整備に徹するべきと思います。なかなか、良いムーンショットがないというのなら、再度10年で、所得倍増計画を実施しても良いのではないかと思います。そんなことは、不可能ですて?そんなことはありません。実際、日本がデフレ基調に入ってから、国民の所得は横ばいから少し下がる傾向でしたが、他の先進国では、同じ期間で倍になっています。日本だけが、デフレ政策で、所得が伸びませんでした。であれば、日本だって、デフレをやめ、経済成長戦略をとれば、十分可能だと思います。私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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