2018年2月17日土曜日

【社説】本国Uターン企業、韓国2社・日本724社という現実―【私の論評】韓国は金融緩和しなければ、かつての日本のように八方塞がりになるだけ(゚д゚)!


ロボット導入でも、人手不足変わらず? 日本の製造業の実状
昨年、日本の製造業による雇用が7年ぶりに1000万人を突破した。海外に移転した工場が続々と日本国内にUターンしたことが主な理由だという。日本政府の調査によると、1年間で海外に生産設備を持つ日本企業の11.8%が生産を何らかの形で日本に移転した。トヨタや日産は年産10万台規模の北米の生産ラインを日本に移転した。資生堂も35年ぶりに日本国内に工場を建設することを決めた。大企業から中小企業まで、規模や業種を問わずに企業の「本国復帰」がブームとなっている。

 日本企業のUターンは日本がそれだけ企業が経営しやすい環境に変わったことを示している。企業の海外脱出に苦しんだ日本は2000年代以降、首都圏の規制をはじめ、さまざまな規制を減らし、雇用市場の柔軟化を図るなど企業誘致に総力を挙げた。安倍政権は法人税率を引き下げ、露骨な円安誘導も行い、企業のコスト負担を軽減した。その結果、高コスト・規制だらけの日本が魅力的な生産拠点に生まれ変わった。海外法人を撤収し、日本に回帰した企業は2015年だけで724社に達した。これが青年が職場を選ぶ「売り手市場」の原動力となった。

 米国はUターン企業の税金を軽減するなど積極的な政策で、7年間で1200カ所余りの海外工場を呼び戻した。そのおかげで米国で雇用が34万人分増えた。ドイツのスポーツ用品メーカー、アディダスが中国の生産ラインをドイツに移転したことも話題になった。本国復帰は先進各国の最優先政策になった。企業のUターンはトランプ政権の「米国優先主義」や日本の「アベノミクス」の重要目標でもある。

 韓国企業が海外で雇用する勤労者は286万人に達する。その10%を国内に回帰させるだけでも、政府による今年の雇用増加目標(30万人分)を軽くクリアできるはずだ。しかし、韓国企業のUターン実績は毎年1桁台で、昨年1-8月は2社にすぎなかった。韓国は規制王国、労組王国だからだ。企業が馬鹿ではない以上、韓国に戻ってくる理由はない。追い打ちをかけるように、新政権は企業の負担を増やす反企業政策を相次いで打ち出している。

 企業が世界地図を広げ、投資先を選ぶ時代だ。企業はあっという間に海外に逃げてしまい、一度逃げた企業が帰ってこない国の経済は成長できないし、雇用も生まれない。政治に溺れ、明らかな事実を直視していないだけだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

【私の論評】韓国は金融緩和しなければ、かつての日本のように八方塞がりになるだけ(゚д゚)!

さて、確かに昨年日本では、生産拠点を海外から国内に移す企業が増え、雇用を一段と押し上げています。製造業の雇用者数は1~8月平均で1003万人と7年ぶりに大台を回復すしました。アジアの人件費上昇や円安基調が定着してきたことが背景です。正社員の採用も増えており消費へのプラス効果も見込まれています。

この主な要因は、2013年4月から始めた、量的金融緩和の成果です。そうして、これはNAIRUを理解していないと、なかなか理解できないのかもしれません。NAIRU(Non-Acceelerating Inflation Rate of Unemployment、インフレ非加速的失業率)とは、労働人口における失業者の割合のことで、自然失業率のことをいいます。 

長期的に見たときに、一定の水準で出てくる失業者の割合です。日本では2%台半ばです、アメリカでは4%程度。これは、本当に単純な原理です。このくらいのことが理解できない人が日本の経済学者・エコノミストには多過ぎます。ここがわからないと、今の雇用状況も評価できず、賃金の上がり方も予測できません。インフレ目標に対応する失業率がNAIRU。これはマクロ経済の基本です。


日本でも、安倍総理やそのブレーンの一部のみがこれを理解しているようですが、その他大勢の政治家は理解していないようです。

日本では、2013年春から金融緩和をはじめましたが、2014年春からは増税ということで、緊縮財政をはじめてしまいました。そのため、せっかくの金融緩和の腰を折ってしまいましたが、それでも金融緩和は続けていたので、今日その効果が現れてインフレ率2%は達成していないものの、失業率が低下しているのです。

ブログ冒頭の朝鮮日報の記事でも、金融緩和と雇用が関係あるなどとはつゆほども気づいていない人が記事を書いているようです。米国の雇用が良いのも、今ではそうはしていないものの、一定期間大規模な金融緩和を続けていたからです。

雇用と金融政策には、上のグラフをみてもわかる通り大きな相関関係があるのです。過去の日本では、緊縮財政と金融引締めばかりしていたので、失業率があがり、超円高になっていたのです。

過去の日本では、このようなマクロ政策である、金融政策や財政政策は全く無視されて、構造改革などのミクロ的な問題ばかりが論議になっていました。韓国でも、同様です。ブログ冒頭の記事のように、金融政策に関しては全く無視されています。

以下の韓国のNAVARの記事をみていても、それは如実に現れています。
ソウル経済 韓国は、雇用最悪なのに···米国・欧州・中国は失業率最低記録を更新中 
米国・欧州・中国・日本など、主要国が昨年の経済回復に支えられ、失業率も大幅に改善されています。 3%台の成長率の回復にもかかわらず、歴代最悪の雇用難を経験している韓国はいったいどうなっているのでしょう。 
29日、韓国企画財政部が発表した世界経済の動向によると、世界経済は昨年3.7%成長して2016年3.1%より大幅に改善されました。 景気回復は雇用への追い風につながっています。 米国は昨年10~12月、相次いで失業率4.1%を記録しましたが、これは2000年以降最も低い水準です。 
19の欧州諸国の集まりであるユーロ圏と中国の失業率も昨年3・4四半期、それぞれ8年、10年ぶりに最低値を記録しました。 日本は経済回復に生産可能人口減少があいまって、事実上完全雇用状態を実現しています。 日本は昨年に入って毎四半期2%台の失業率を見せていますが、1994年以来、最も良い姿です。

一方、韓国の失業率は昨年3.7%で、前年と同じ水準を見せました。 韓国の失業率は、グローバル金融危機が進行中だった2010年3.7%を記録した後、2013年3.1%にまで下がり、以降、再び悪化して現在の水準にとどまっています。 特に昨年、青年失業率は9.9%で、関連統計が集計された2000年以降最悪です。 
一方、米国経済は雇用や主要経済指標の好調とともに、トランプ政府の税制改編案の可決に成長傾向を持続する見通しです。 法人税と個人所得税の引き下げなどを含んでいるいる税制改編案は今年の成長率の0.25~1%ポイント上昇と貿易赤字1,500億~2,700億ドル縮小を率いると予想されました。 ただ、税収は少なくとも1兆ドル以上減少が避けられず、財政収支の悪化懸念も出ています。

中国の場合、習近平主席の政治的権力が強固化したことによる安定的な政治基盤等を踏まえ、国際的影響力が拡大されるものとみられます。 企財部はただ、過度な企業の負債などによる危険要因が共存していると評価しました。

企画財政部は今年、ユーロ圏と日本経済については「回復の勢いが維持されるが、量的緩和の縮小などと、成長の勢いが小幅に減速するもの」と見通しました。

新興国も同様に、景気回復の勢いを保っていくが、米国の金利引き上げ、先進国の中央銀行の緊縮の導入などによる資本流出の危険要素として名指しされました。
この記事では、韓国以外の国は、どの国でも現在はそうでないにしても、大規模な金融緩和政策をとっていたことは完璧に無視されています。本来は、韓国の企画財政部が積極財政をするように政府に促して、韓国中央銀行が大規模な金融緩和をして、まずは雇用を改善しなければならなのです。

韓国の就活は日本の金融緩和前の状況のように厳しい状況が続いている
まずは、雇用を改善して、構造改革などの論議はその後にすべきなのです。 それと韓国の場合は、消費税も10%になっています。これもどうにかすべきです。日本の場合は、8%で据え置かれています。韓国の場合は、減税して8%かできれば、5%にすべきです。

ブログ冒頭の記事では、「企業の海外脱出に苦しんだ日本は2000年代以降、首都圏の規制をはじめ、さまざまな規制を減らし、雇用市場の柔軟化を図るなど企業誘致に総力を挙げた。安倍政権は法人税率を引き下げ、露骨な円安誘導も行い、企業のコスト負担を軽減した。その結果、高コスト・規制だらけの日本が魅力的な生産拠点に生まれ変わった」などとしていますが、確かにそういう側面はあったかもしれません。

しかし、もしこれだけをして、金融緩和をしていなければ、雇用が改善されたり、海外に移転していた、企業が日本にもどるということもなかったでしょう。これは韓国も同様です、金融緩和をしないで日本や他の国の真似をしても、絶対に雇用が改善されることはありません。

そもそも、金融引締めと、緊縮財政ばかりしていたころの日本は異常でした。特に製造業では、日本で製造して国内で販売するよりも、日本で製造した部品を韓国や中国に輸出して、そこで組み立てて製品を日本にもってきて販売したほうが、利益がでるというような異常状態でした。

だからこそ、日本企業は海外に移転したのです。それだけ、日本の金融・財政政策は異常というか、異様だったのです。韓国からすれば、日本が極端な金融引締めをしていたので、相対的に韓国銀行は何もしなくても、金融緩和をしているようなもので、ウォン安・円高傾向が長期間維持され、経済的にみてまるでぬるま湯に浸かったような状態でした。

かつて日本が超デフレ・円高だった頃の韓国はぬるま湯に浸かっような状態
しかし、13年からは日本も異次元の金融緩和をやりだしたわけですから、そのままであれば、今度は韓国銀行が何もしなくては、金融引締めをしたような状態になり、今度はウォン高・円安傾向になるのは当たり前です。

こんなことを掲載すると、ブログ冒頭の記事のように「露骨な円安誘導」と「通貨戦争」などと言う人もでてくるかもしれませんが、それはうがった見方です。「通貨戦争」など妄想にすぎません。もし、「通貨安」を維持するために、金融緩和を続けていれば、今度はインフレになります。過度なインフレを防ぐためには、金融緩和も一定水準を超えるまでやり続けることはできません。

このような状況ですから、韓国は金融緩和しなければ、雇用はますます悪化し、ウォン高傾向になるのが当たり前ということです。まずは金融緩和しない限り、他のことを色々実行してみても、モグラたたきのような状況になります。

韓国の経済の現状は真打ちである「金融緩和」をしないで、モグラたたきをしているようなもの
何か対策をしても、今度は何か側悪くなる。そうして、悪くなったことに対して、何か対策を打てば今度はまた何かが悪くなるというような一昔前の日本のような八方塞がりの状況にあります。

それにしても、現在の日本は金融緩和を続けていますが、一歩間違えば、また金融引締めに走り、韓国のようになってしまう可能性もあります。まざに、人の振り見て我が振り直せというところだと思います。

韓国が金融緩和をすべきというと、韓国は経済構造が遅れていから無理とか、キャピタルフライトするからできないなどと言う人もいますが、遅れた経済の中で、金融緩和をしないでいれば、ますます経済は悪くなります。

また、実際にキャピタルフライトしたかつてのアイスランドと比較すれば、韓国の家計など借金は多いですが、それにしても海外からの借金の比率は低いですから、まだキャピタルフライトを心配するような水準ではないです。

韓国は、金融緩和をして積極財政をして、まずは内需を拡大して、雇用を改善すべきなのです。

韓国は、2013年からの日本のように異次元の金融緩和をすれば、劇的に雇用や経済が改善されることでしょう。はやく実行すべきです。

そうして金融緩和をして雇用を改善した政権は、文政権であれ、他の政権であれ、日本の安倍政権のように国民から支持されることになります。そうなれば、韓国もかなり安定して、極端な反日キャンペーンをしなくてもすむようになり、赤化の危機から脱却することになります。とにかく、国民にとっては経済の安定がまずは第一です。経済、特に雇用が不安定であれば、北からつけこまれやすくなります。

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2018年2月16日金曜日

苦難経て日本との友情深める台湾、先進国間の交流も可能な水準に アジアで際立つ中韓の「反日」―【私の論評】日米は姑息な中国の作り話を無視して、台湾との結びつきを強化すべき(゚д゚)!


中国の人民解放軍の上陸を想定した訓練に参加
した台湾の蔡英文総統=台湾・屏東県、2016年8月
台湾で6日深夜(日本時間7日未明)に発生した地震を受けて、安倍晋三首相が台湾にお見舞いのメッセージを送るとともに、日本政府は警察庁や消防庁などの専門家チームを派遣した。東日本大震災の際には台湾から200億円といわれる義援金が日本に送られた。日本と中国が緊張関係にあるなかで、台湾の位置付けを考えてみよう。

 台湾は、いろいろな調査で親日国の上位にランクされる。台湾の交流協会が定期的に行っている対日世論調査(2015年度)でも、「台湾を除き、あなたの最も好きな国(地域)はどこですか(1つ選択)」という質問に対して、「日本」との回答は56%と、2位の「中国」の6%などを大きく引き離してダントツだ。

 世代別にみると、20歳代が62%、30歳代が65%、40歳代が52%、50~64歳までが53%、65~80歳までで50%となっており、若い世代ほど親日という傾向がある。

 東南アジアでも日本は好まれている。外務省によるASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国における対日世論調査で、「あなたの国にとって、現在信頼すべき友邦はどの国ですか」という質問に対して「日本」を挙げた割合は、ブルネイが24%、カンボジアが33%、インドネシアが67%、ラオス36%、マレーシアが43%、ミャンマーが58%、フィリピンが74%、シンガポールが41%、タイが69%、ベトナムが71%と、いずれの国でもトップまたは上位ランクだった。

 調査方法が異なるので、単純な比較はできないが、台湾が有数の親日国であることは間違いない。戦前の日本統治時代における教育やインフラ整備を評価する高齢世代、それらを継承し、現代日本の文化を肯定的に捉える若者世代まで、高い親日感情につながっている。

 アジアの他の国でも似たような傾向がある。こうしたアジアの親日度を考えると、中国と韓国の反日感情だけが異様である。その特異性は、両国政府によって意図的に形成されたものであることを示唆している。

 日本と台湾の間に正式な国交はない。日本の基本的な立場は、(1)日中共同声明遵守(2)台湾独立不支持(3)台湾国連加盟不支持-というものだ。

 一方で民間交流は年々盛んになっている。昨年の訪日台湾人数は456万人、訪台日本人数は190万人。台湾の人口が2355万人であることを考えると、台湾人の5人に1人が昨年訪日したことになる。

 日台の蜜月ぶりに中国は相当な警戒感を示している。中国外務省は、安倍首相がお見舞いメッセージで、蔡英文氏に「総統」という肩書を使ったことに抗議した。日本政府はその後、削除したが、蔡氏から日本語で「まさかの時の友は真の友」という返事があったことに中国側が焦ったのだろう。

 1人当たり国内総生産(GDP)は、日本が約4万ドル、台湾が約2万5000ドルだ。この水準なら先進国間の経済・資本・技術交流が可能であり、それも中国に不安を与えたようだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日米は姑息な中国の作り話を無視して、台湾との結びつきを強化すべき(゚д゚)!

日本、台湾、韓国、中国の一人あたりの最新の名目GDPを比較すると、以下のようになります。

一人あたりの名目GDP(USドル)比較
 日本 38,882.64
 台湾 22,497.00
 韓国 27,534.84
 中国   8,123.26
           (USドル)

韓国のほうが台湾よりも高いですが、とはいいなが台湾は2万ドル台であり、日本とかけ離れている数字ではありません。人口は、2400万人です。これは韓国の5100万人よりは少ないですが、それでも多い方です。北朝鮮の2537万にとほぼ同じです。

GDPや、人口などがあまりかけ離れている国だと、国民同士が交流するのは難しいですが、台湾と日本ではさほど差はありませんし、そうして、台湾は他国に比較して、圧倒的に親日国です。

日本は韓国、中国などとの付き合いはやめて、台湾との付き合いを深めていくべきです。

台湾への米海兵隊派遣の問題で中国政府は

昨年2月17日に行われた中国外務省の定例記者会見では以下のような質問がありました。

「米国在台協会(AIT)の元台北事務所長は十六日、AIT(※正しくはAIT台北事務所)の新たな場所への移転後、米国は海兵隊を派遣して警備に当たらせると表明した。これは米国の台湾に表明する保証の象徴。中国側はこれにどう反応するのか」

実はこの「中国側はどう反応するのか」こそ、すでに台湾や米国の注視するところにもなっていたのです。

何しろ米国は海兵隊に在外公館の警備を担当させているのですが、国交のない台湾での大使館代行を務めるAIT台北事務所にまで海兵隊を送るとなれば、台湾を国と遇するに等しいとも言え、台湾侵略の野心から、あの島を自国領土と主張し、そして台米関係の強化を恐れる中国には、断じて許し難い動きと映ったことでしよう。

だから中国の「反応」はさぞや激越なものとなるだろうと、台湾メディアは予測していたし、そして中国の御用学者たちもそう言って、台米に警告のメッセージを発していたのだ。

ところが、会見で質問を受けた外務省報道官の答えは、意外と淡々とした内容だった。

嘘を吐くので精いっぱいだった中国外務省のコメント

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「我々は関連報道を注視しているが、具体的な状況については更に詳しく知る必要がある」と前置きしながら、次のように述べました。

「私が指摘したいのは、中国はこれまで一貫して、米国が台湾との間で、たとえいかなる形式のものであれ、政府間交流や軍事的連絡を進めることには断固として反対しており、米国が『一つの中国』政策と中米間の三つのコミュニケでの原則を遵守し、慎重、妥当に台湾に関わる問題を処理するよう望んでいるということだ」

以上の如く、予想されたほどの激しい批判ではなかったのです。

それにはきっと対米非難には時期が悪いとか尚早だとかいう判断が働いたか何かしたのでしょうが、ここで注目したいのはそのことではありません。

それは報道官が、これほど矛盾に満ちた誤魔化しのコメントしか発することができなかった、という事実なのです。

報道官のコメントをわかりやすく整理すると次のようになります。
1.米国には台湾を中国の領土の一部と認める「一つの中国」政策があり、また中米間の三つのコミュニケにおいて台湾を中国の領土の一部とする「一つの中国」原則の遵守を誓ったのだから、それらを忘れてはならない。
2.そして米国は「一つの中国」原則遵守の誓約を守り、中国政府の反対を無視した台湾との政府間交流や軍事的連絡という内政干渉をただちに停止しなければならない。
おおよそこんなところだ。それではなぜこうした主張が誤魔化しかと言うと、そもそも米国の「一つの中国」政策は、台湾を中国領土と認めるものではないからです。

三つのコミュニケにしても、米国はそれらにおいて、そのような承認などしていないのである。

米国には堂々と台湾と政府間交流をする権利がある

米国の「一つの中国」政策とは、三つの米中共同コミュニケ(72年、79年、82年の米中コミュニケ)を柱と位置付けるものですが、この三つのコミュニケで米国が台湾の問題に関して表明したのはせいぜい、「米国政府は中華人民共和国を中国唯一の合法政府であると承認する」(七九年)と「米国政府は、一つの中国しか存在せず、台湾は中国の一部であるとするのが中国政府の立場であると認識する」(同)に尽きるのである。

つまり米国は、台湾の中華民国ではなく中華人民共和国を「中国唯一の合法政府」だとは承認したのですが、しかし「台湾は中国の一部」であるとは承認せず、ただ中国政府がそう主張しているということだけは「認識」しておくと表明したにすぎないのです。

また米国の「一つの中国」政策のもう一つの柱が台湾関係法です。

こちらも台湾は中国領土ではないことを前提に、台湾防衛や台湾の国家と同様の扱いなどを義務付けるものであり、こうした法律が存在する結果として、AIT台北事務所への海兵隊派遣が計画されたともいえそうです。

AIT台北事務所に派遣された米海兵隊
このように中国の主張とは全く逆に、米国は米中コミュニケ、「一つの中国」政策に基づいて、台湾との政府間交流や軍事的連絡を行うことができるわけなのです。

だがそのことを中国は隠蔽したいのです。それで先の報道官のように、米国の立場を捏造した宣伝を展開したわけなのです。

虚偽宣伝に基づく中国の日台接近妨害の要求

そのような中国との友好関係維持の必要性から米国は従来、台湾を中国の領土の一部とする中国の「一つの中国」原則にできるだけ配慮して来ました。

しかし今や中国は「台湾は中国の領土の一部」なるフィクションを盾に台湾、そして西太平洋を勢力下に納めようと脅威を増大させる一方です。そこで米国は台湾への海兵隊員の派遣を通じ、台湾との関係強化を中国に見せつけようとしているようです。

言わば、殻を一つ破ってみせたということでしょう。

それであるなら日本もそれと同様に、これまで中国への配慮で遠慮して来た台湾との政府間交流、軍事的連絡を進めるべきです。

もし日本が実際にそれに踏み出せば、中国側は間違いなく「日本が四つの政治文書を遵守し、慎重、妥当に台湾に関わる問題を処理せよ」と要求してくるでしょう。すでにあの国は事あるごとに、こうした要求を日本に突き付け、日台接近を牽制して来ました。

この所謂「四つの政治文書」(72年の日中共同声明、79年の日中平和友好条約、98年の日中共同宣言、08年の日中共同声明)において日本は、すでに台湾を中国領土の一部と認めていると言わんばかりです。

しかしこれもまた歪曲宣伝です。日本政府がこれらを通じて表明したのは、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」とする中国政府の「立場を十分理解し、尊重」するというものに過ぎないのである。

要するに日本も米国と同様、台湾を中国領土は認めていないのです。ただたんに「尊重する」(特に中国の主張に対して意見は言わない)と表明したのみなのです。

そのため、日本も台湾を中国とは異なる独立国と認め、交流することは可能であり、実施すべきなのです。

1年たってどうなったか

さて、米国がAIT台北事務所に米海兵隊派遣を決めてから、ほぼ1年たちました。その後台米関係はどうなっでしょうか。

それに関しては、以前もこのブログに掲載しました。以下にその記事のリンクを掲載します。
米国が見直す台湾の重み、東アジアの次なる火種に―【私の論評】日本は対中国で台湾と運命共同体(゚д゚)!
ランドール・シュライバー氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では米国は、ランドール・シュライバーの国防次官補にするという人事を発表しましたが、このランドール氏は台湾を戦略的に重視する人物です。これは、今後米国が台湾を重視することを示すものです。

シュライバー氏は、歴史問題を持ち出して日本を非難する中国に対して手厳しい批判を表明してきたことでも知られています。たとえば2015年10月に「プロジェクト2049研究所」がワシントンで開いた、中国の対外戦略についての討論会では、次のような諸点を指摘していました。
・中国の習近平政権は歴史を利用して日本を叩いて悪者とし、日米同盟を骨抜きにしようとしている。だが歴史に関しては中国こそが世界で最大の悪用者なのだ。中国ほど歴史を踏みにじる国はない。
・中国が歴史を利用する際は、1931年から45年までの出来事だけをきわめて選別的に提示し、その後の70年間の日本が関わる歴史はすべて抹殺する。日本の国際貢献、平和主義、対中友好などは見事に消し去るのだ。 
・中国の歴史悪用は、戦争の悪のイメージを現在の日本にリンクさせ、国際社会や米国に向けて、日本は今も軍国主義志向がありパートナーとして頼りにならないと印象づけることを意図している。 
・中国はそうした宣伝を、中国と親しく頻繁に訪中する一部の政治家らを巻き込んで日本の一般国民にも訴える。だがこの10年間、防衛費をほとんど増やしていない日本が軍国主義のはずはない。中国の訴えは虚偽なのだ。 
・中国は日本に「歴史の直視」を求めるが、大躍進、文化大革命、天安門事件での自国政府の残虐行為の歴史は、教科書や博物館ですべて改竄し隠蔽している。朝鮮戦争など対外軍事行動の歴史も同様だ。
こうした見解を堂々と表明してきた人物が、トランプ政権の国防総省のアジア政策面での実務最高責任者のポストに就く。日本にとって大きな意義があることは明白といえます。

そうして、この記事では中国としては、尖閣を奪取するよりも、台湾を奪取するほうがより簡単であると見ていた背景についても解説しました。

それについても、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、簡単にまとめると以下のような内容です。

まずは、日本の尖閣諸島は無人島であるとともに、日本の国有地にもなっています。また、日本の海上自衛隊は、海外の評価ではアジア第一であり、中国海軍を凌駕しており、独力で尖閣周辺の中国海軍等を撃退することができます。さらには、日本には同盟国の米軍が駐留しています。

これでは、大陸中国はいくら威勢の良いことを言ったり、尖閣諸島付近に公船や潜水艦を航行させてみても、実際に尖閣諸島を奪取することはなかなかできません。

一方、台湾には、大陸中国出身の人々やその子孫の人々も多く、その中には大陸中国に親和的な人々も多いです。大陸中国はそのような人々を利用して、台湾そのものを大陸中国になびくように台湾内部から誘導することも可能です。実際に勢力的にそれを行っています。

軍事的にみても、中国からみれば劣勢です。さらに、台湾には米軍は駐留していません。

これでは、中国からみてどちらが奪取しやすいと考えられるかといえば、無論台湾です。

ところが、上にも掲載したように、最近米国が台湾を重視する姿勢に転じています。米国が台湾を重視しはじめて、米国の艦船や空母などが、台湾にしばしば寄港することになれば、台湾奪取の試みはうまくいかなくなる可能性が大きくなります。

ここで、日本も米国同様に台湾重視する姿勢をみせて、実際に台湾の交流を強化したり、自衛隊の艦船などが寄港したりするようにすれば、台湾の独立はなお一層確かなものになることでしょう。

日米は、中国の身勝手海洋進出を阻止するためにも、台湾との交流を密にすべきなのです。そうして、現在の台湾自身もそれを望んでいます。

日米は姑息な中国の作り話を無視して、台湾との結びつきを強化すべきなのです。

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2018年2月15日木曜日

「工作員妄想」こそ妄想だったスリーパーセル問題―【私の論評】日本の安保でもあらゆる可能性を検討すべき(゚д゚)!

「工作員妄想」こそ妄想だったスリーパーセル問題



三浦瑠麗さんの「ワイドナショー」での発言に端を発する「工作員問題」。これに対する古谷経衡氏の反論が、放送から2日後にアップされ、一時はyahooトップにまで掲載されていました。

この記事に対してツイッター上ではすでに多くの方からの批判的指摘が飛んでおり、またアゴラでも新田編集長が指摘されていますが、古谷氏の記事には明白な事実誤認があるので、きちんと指摘する必要があるのではないかと思います。

というのも、yahooトップに掲載されたとなれば、そのビュー数は数百万に達したものと思われます。明らかな事実誤認のある記事に乗っかったまま「『スリーパーセル』は三浦瑠麗の頭の中にだけある存在」などと三浦批判をしている人も散見され、これはさすがにきちんと指摘すべきだろうと思うわけです。

①「スリーパーセル=潜伏する工作員」は実在する―『警察白書』より

古谷氏は当該記事の中で公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望(平29年)」を引用し、ここに「スリーパーセルなる文字がない」ことを理由に、その存在を〈三浦氏の発言は、根拠の無い「工作員妄想」の一種と言わざるを得ないのでは無いか〉〈三浦氏にだけその存在が知られている「スリーパーセル」〉などとしていますが、『警察白書』(平成29年)にはこうあります。

〈北朝鮮は、我が国においても、潜伏する工作員等を通じて活発に各種情報収集活動を行っているとみられるほか(以下略)〉


この「潜伏する工作員」こそ「スリーパー(セル)」であり、普段は通常の人々と同じような仕事をしながら(=潜伏)、一方で総連などに情報提供をしている人がいることを指摘しています。スリーパー(セル)などと検索すれば「潜伏工作員」との訳が出てきますので、仮に初耳だとしても記事を書こうと思えば検索してみるくらいはするでしょう。

もちろん彼らが、一旦緩急あればテロリストに変貌するのかどうかまでは分かりません。しかもそれが、金正恩が斃れた後に……という話はあくまで三浦氏が考えた可能性の範疇ですので批判されても仕方はないと思います。が、古谷氏の記事の中の、少なくとも〈三浦氏にだけその存在が知られている「スリーパーセル」〉なる一文は明確な誤りと指摘できるでしょう。

②公安調査庁と警察の公安部は別物

もう一つ、古谷氏の文章で問題があるのは、公安調査庁と警察の公安部門の混同です。

当該記事で公安調査庁が発表した「内外情勢の回顧と展望」を引き、そこに「スリーパー(あるいは工作員)の文字がない」として三浦氏の言及を「妄想」としていますが、記事中で公安調査庁は「公安当局」と変化し、さらに「我が公安警察」となり、最後は「我が公安や警察」となっています。

古谷氏の認識は定かではありませんが、公安調査庁の文書を引き、『警察白書』を引かずにいることから、公安調査庁と警察の公安部門が別の組織であることを知らないか混同しているのではないかと思います。

公安調査庁は法務省の外局であり、警察の公安部門は都道府県警察本部の警備局に「公安課」として設置されているほか、警視庁は「公安部」を持っています。同じ「公安」でも別組織です。

当該記事の「公安当局」が何を指しているのか不明ですが、少なくとも公安部(公安課)を持つ警察の資料である『警察白書』には「潜入する工作員」の文字があるので、〈公安当局による報告書の中には「スリーパーセル」なる特殊工作員や活動家の記述は一切存在していない〉との記述は誤りでしょう。

以上の通り、二点の単純な事実誤認について、ご本人は早急に本文を訂正するべきと思います。

これを機会に、学びましょう

それにしても、第三者のチェックが入らないままアップされ拡散されてしまうのがネット記事の怖いところ。私も他人事ではありません。この記事だって、誤りがあればすぐに修正しなければなりません。

公安調査庁と警察の区別がついていないなどの事実誤認を含んだ記事がそのままウェブ上に掲示され、一部からは好評を得てさえいる一方、確かにざっくりとした指摘の中で具体的な地名を出したり、引用元の一つに不用意なネタ元をつかってしまったとはいえ、三浦氏の発言は批判されるだけでなく「大学に通報しろ」だとか、「同僚としてある行動をとった」などと仄めかすような文言まで飛び交っているというのはどうもおかしな感じがします。この記事のように、とすると幾分手前味噌感が臭いますが、ただただ普通に、論拠を示して淡々と「ここがおかしいと思う」と指摘するだけではいけないのでしょうか? 

三浦氏が大阪という地名を出したことについても、私は差別とは思いません。皇居や国会、官庁街がある東京に比べて警戒度は低いながら地下鉄や商業施設、イベント施設などがある大都市を狙うのはテロリストからすれば十分あり得る発想ですし、例えば東京五輪の時であれば「開催地以外の大都市」が狙われるのも、危機管理の専門家が指摘するところです。テロの発動条件は議論されてしかるべきであっても、テロの危険性がある都市の一つの例として大阪を挙げることに不自然はありません。

地名を挙げたのがダメだ、差別だという文脈で言うならば、三浦氏が挙げてもいない「あいりん地区」「鶴橋」「生野区」などさらに具体的な地名を挙げて「今は大丈夫だけど過去はやばかった」的な記述をしてしまった古谷氏の方が非難されるべきなのではないかと思わなくもありません。それに工作員は必ずしも在日外国人や外国出身者に限らないのです。

とはいえ、私を含め、工作員や公安の在り方、あるいはテロの可能性についてほとんどの人はそうそう普段から考えてもいないと思いますので、これを機にみんな勉強したらいいのではないでしょうか! いや、本当にいい機会だと思います。

【私の論評】日本の安保でもあらゆる可能性を検討すべき(゚д゚)!

スリーパーセルかどうかは別にして、日本は元々スパイ天国で、各国のスパイが日本国内に多数存在しているのは、間違いないものと思います。そうして、そのスパイはときどきその存在が発覚し、テレビなどで報道して私達も目にすることになるのですが、それ以外は滅多に表には出てきません。

そもそも、スパイがすぐにそれとわかるようではスパイとはいえません。隠密裏に行動すして誰にも知られないよう行動するからスパイなのです。

しかし、それが時々表に出て来ることもあります。その典型的なものが以下の新聞記事です。

北朝鮮が日本国内から韓国内の工作員を操っていた!「225局」活動の一端とは
産経新聞 2月11日(木)17時0分配信 2016.2.11 17:30
ニュース番組やワイドショーが元プロ野球選手、清原和博容疑者(48)の報道一色になった今月2日、警視庁公安部がある重大事件を摘発していた。北朝鮮が日本国内で展開していた工作活動の一端があぶり出されたのだ。 
工作を主導したのは北の対外情報機関「225局」。容疑者は日本で教育者を装いつつ、韓国内で活動する工作員に指示を伝える役割を果たしていたとされる。 
日本国内から韓国内の工作員を動かしていたとみられるこの事件。「スパイ天国」とも揶揄(やゆ)される日本で、外国の諜報機関が跋扈(ばっこ)する実態が浮かび上がった。
これらのスパイの中に、スリーパセルも存在するかもしれないと考えるのは、突飛な考えではないし、むしろ妥当な考え方だと思います。

そうしてアゴラの新田編集長が指摘していた、10年前に毎日新聞で阪神大震災のときに、ある被災地の瓦礫から工作員のものとみられる迫撃砲などの武器が発見されたという報道がなされていますが、その記事が下の写真です。

阪神淡路大震災の時といえば、瓦礫にはさまっている人達を助ける為に海自の護衛艦に陸自の救出部隊を載せ向かったのですが、結局神戸港に接岸出来なかったということがありました。一部の神戸市民から『戦争の船は来るな!』と抗議されたためであるとされています。

今なら考えられないですが、そのような風潮がこの時代にあったのは確かで、だからこそ阪神淡路大震災のときには、このニュースが報道されなかったのでしょう。

さて、北朝鮮の工作員による工作活動の可能性については昨年このブログに掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
北朝鮮有事が日本に突きつける8つのリスク【評論家・江崎道朗】―【私の論評】 森友学園問題で時間を浪費するな!いまそこにある危機に備えよ(゚д゚)!
江崎道朗氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、江崎道朗氏は北朝鮮の工作員の破壊活動に関して以下のように言及しています。
  第3に、北朝鮮はすでに日本国内に多数のテロリストを送り込んでいて、いざとなれば発電所や交通機関などを攻撃する可能性が高い。 
 天然痘ウイルスをまき散らすといった生物・化学兵器を使用する恐れもある。天然痘ウイルスの感染力は非常に強いことで知られていて、感染者からの飛沫や体液が口、鼻、咽頭粘膜に入ることで感染する。北朝鮮は、天然痘感染者を山手線に乗せて一気に関東全体に広める生物兵器テロを計画しているという話もあり、こうした危機を前提に、ワクチンの準備も含め地方自治体、医療機関が予め対処方針を立てておく必要があるだろう。
このような危機の可能性は、全くあり得ないこととして、否定することはできないです。三浦氏は12日、自身のブログで「正直、このレベルの発言が難しいとなれば、この国でまともな安保議論をすることは不可能」と反論しています。

スリーパー・セルの問題をデマや差別問題としてしまえば、それこそ北朝鮮のかく乱作戦の術中にハマることになりかねないです。

スリーパーセルの存在の可能性に関して、蓋をしてしまい全く論議をしなければ、その脅威が消えるというわけではありません。むしろ、スリーパーセルの存在もあり得るものとして、それを確かめたり、あるいはその危機が現実のものになった場合を想定してどのように行動するのか、予め定めておけけば、混乱を防ぐことができるはずです。

もし、スーパーセルなるものが存在しなけば、それはそれで良いことですが、もしも存在した場合どのようなことになるか、何も考えていなけば、とんでもないことになるだけです。

平和憲法があれば、これを防げるなどということは絶対にないです。安保では、あらゆる可能性を含めて検討すべきであり、タブーなどをもうけてある問題からは、目をそらすということは許されません。

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2018年2月14日水曜日

韓国の野望粉砕! 安倍首相とペンス副大統領、制裁逃れの「南北融和」阻止―【私の論評】「強い日本」とそれを志向する米保守派とって元々金王朝はあってはならない存在(゚д゚)!


平昌五輪開会式に出席した安倍首相(右)とペンス副大統領。ともに表情は厳しい
安倍晋三首相と、マイク・ペンス米副大統領の連携が、南北朝鮮の野望を打ち砕いた。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、世界の脅威である北朝鮮の「核・ミサイル開発」を棚上げにするように、平昌(ピョンチャン)冬季五輪に合わせた「南北融和」を進めていたが、安倍、ペンス両氏がこれを阻止したのだ。文氏には「大恥」となったようだ。

「今、会えませんか?」

五輪開会式当日の9日夕、平昌のホテル「竜平(ヨンピョン)リゾート」のタワー・コンドミニアム9階。文氏との首脳会談を終えて、くつろいでいた安倍首相に、10階に滞在していたペンス氏から連絡が入った。

2人は、9階の部屋で南北朝鮮の動向について意見交換をした。

安倍首相が「平昌五輪を北朝鮮に利用させないようにすることが大事だ。しっかりと韓国に対応させるべく連携しましょう」と言うと、ペンス氏は深くうなずいた。

北朝鮮は平昌五輪に、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長だけでなく、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)氏まで送り込んできた。国連の経済制裁が効いている証左であり、国際的な包囲網を突破するため、「従北」の文政権に狙いを定めていた。

安倍、ペンス両氏は、文大統領主催のレセプションに、ペンス氏の副大統領専用車に一緒に乗って、会場に乗り込んだ。文氏のスピーチが始まっていたが、別室でスピーチが終わるのを待った。

「遅刻」も予定通りだった。スピーチ前の集合写真に、金永南氏らと一緒に写りたくなかったのだ。

安倍、ペンス両氏は、スピーチを終えた文氏を別室に招き入れ、日米韓の3人だけで写真を撮影した。「3カ国の連携を絵に残る形で打ち出したい」という米側の意向の表れだった。

文在寅大統領は、平昌オリンピック開会式が開かれる9日午後、江原道龍平で
開かれた五輪開会式レセプションで安倍首相、ペンス米国副大統領と記念写真
 ペンス氏は写真撮影を終えると、レセプション会場で数人と言葉を交わした後、5分ほどで会場を立ち去った。ペンス氏は最初から北朝鮮を無視する腹づもりだったとされ、着座する考えはサラサラなかった。

「従北」の文氏による「米朝対話」実現への露骨な演出はお見通しだったのだ。

日韓首脳会談でも、安倍首相は文氏を圧倒した。

安倍首相は会談冒頭、韓国が公表した慰安婦問題の日韓合意に関する新方針を「受け入れられない」と断じ、在韓日本大使館前の慰安婦像撤去などの合意履行を迫った。

文氏は「微妙な問題だから簡単には解決できない」などと釈明した。

安倍首相はたたみかけるようにこう言った。

「朴槿恵(パク・クネ)前政権の時に(10億円など)取るものは取っておいて実行できないというのはあり得ない」「日韓合意には、日本にも国民から強い反発があったが、『ここで決断しないと日韓関係は前に行けない』と考え合意に応じた。あなたも国民の高い支持があるんだから決断しなければならない」

文氏の顔から愛想笑いが消えた。

【私の論評】「強い日本」とそれを志向する米保守派とって元々金王朝はあってはならない存在(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事は示すように、今回の文在寅による、韓国の平昌五輪をきっかけとした、対北宥和政策の試みはことごとく失敗したようです。

韓国大統領府で10日、文在寅(ムンジェイン)大統領(左)と並んで歩く
金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の実妹、金与正(キムヨジョン) 氏
この文の行動と態度に、日本政府は懸念と不満を強めています。小野寺五典防衛相は10日、視察先の佐賀県で記者団に「過去、日本も韓国も北朝鮮の融和的な政策に乗ってしまい、結果として北朝鮮が核・ミサイル開発を継続した」と指摘。「その反省は韓国も十分認識し、しっかり対応されると思う」と話しました。

外務省幹部は「北朝鮮は非核化への具体的な行動を一切示していないのに文氏が訪朝するなどありえない」と語りました。

そもそも安倍晋三首相の訪韓は、ペンス氏とともに文氏に圧力強化に向けた日米韓の結束を念押しするのが大きな目的でした。

日本政府関係者は「韓国がこれ以上北朝鮮に傾斜しないよう、日米で連携してクギを刺し続ける必要がある」としています。

これからも、日米がクギを指し続けるどころか、様々な制裁措置に出る可能性もあります。実際、トランプ大統領は平昌五輪が始まる2日前に、韓国に対するセーフガード(貿易制限措置)を発動させています。

この米国の行動そうして、日本の行動の変化に文在寅はさぞ驚いたことでしょう。文から見れば、ペンス副大統領も、安倍総理も全く話が通じない異次元の人間のように見えたにちがいありません。

文在寅自身はリベラル・左派であり、彼の取り巻きもリベラル・左派であり、保守派のペンス副大統領や安倍総理のものの考え方や行動は、彼が日常目にするものとはかけ離れているに違いありません。

そもそも、日本の安倍総理も米国のペンス副大統領も米国保守の志向する「強い日本」を念頭においてものを考え、行動しています。

従来は安倍総理がそうであっても、オバマ大統領や民主党の議員らのほとんどは「弱い日本」を志向しており、結局のところ「強い日本」を表だって表明することは困難でした。

そのためもあり、日本は中国や韓国、北朝鮮などに「弱い日本」の側面を徹底的に利用されてきたという側面があります。

ルーズベルト
さて、この「強い日本」「弱い日本」の考え方を実際に政治に適用したのは米国の大統領ルーズベルトが最初でした。

ルーズヴェルトは大統領に就任すると直ちにソ連と国交を樹立し、反共を唱えるドイツや日本に対して敵対的な外交政策をとるようになりました。

ルーズベルトは、「強い日本はアジアの脅威であるばかりでなく、アメリカの権益を損なう存在」とみて、「弱い日本」政策を推進しました。

他方で、「大陸国家(ロシアや中国)の膨張政策の防波堤として日本を活用すべきだ」とする「強い日本」政策を進めようとしたのが保守派の人たちです。

ミスター共和党と呼ばれたロバート・タフト上院議員たちは「弱く、敗北した日本ではなく、強い日本を維持することがアメリカの利益となる」と主張しました。

ロバート・タフト上院議員
また、「勝者による敗者の裁判は、どれほど司法的な体裁を整えてみても、決して公正なものではあり得ない」し、「日本に対してはドイツと異なり、復讐という名目が立ちにくい」と、東京裁判を批判してきました。 

タフト上院議員が「ヤルタ協定」批判を行い広範囲の支持を得たきっかけは、元ソ連のスパイで「タイム・マガジン」誌編集者あったH・チェンバースが1948年に「ルーズヴェルト大統領の側近としてヤルタ会談に参加した国務省高官のアルジャー・ヒルはソ連のスパイだった」との告発でした。 

アルジャー・ヒス
1950年以降、ジョセフ・マッカーシー上院議員の赤狩りで自殺者が多く出るようになると、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなど代表的なリベラル派マスコミが「魔女狩りだ」と批判を強めていきました。

戦前戦後を通じて米国には「草の根保守」が存在してきました。その数は1200万人とも言われ、真珠湾攻撃をめぐる「ルーズヴェルトの陰謀説」を支持してきました。

しかし、新聞・テレビはリベラル派に牛耳られて「草の根保守」の意見はほとんど報じられないため、両国の総合理解を妨げてきたと言われています。

1995年以降、米政府が第2次世界大戦中のソ連諜報機関の交信を米陸軍秘密情報部が傍受・解読した機密のヴェノナ文書を公開し始めました。これにより、チェンバースの告発が正しかったことが論証され、保守派の勢いが盛り返してきたとされます。

ブッシュ大統領(当時)が2005年5月7日、バルト3国の一国、ラトビアの首都リガで行った演説はその延長線上にありました。 


ブッシュ元大統領は「安定のため小国の自由を犠牲にした試みは、反対に欧州を分断し不安定化をもたらす結果を招いた」と述べ、「史上最大の過ちの1つだ」とヤルタ会談を強く非難しました。

第2次世界大戦の連合国であったルーズヴェルト米大統領、ウィンストン・チャーチル英首相、ヨシフ・スターリンソ連首相は1945年2月クリミヤ半島のヤルタで会談しました。

この際、国際連合構想にソ連が同意する見返りとして、ポーランドやバルト3国などをソ連の勢力圏と認め、対日参戦と引き換えに満州の権益や南樺太・北方領土をソ連に与える「秘密協定」を当事国である東欧諸国や日本の同意を得ずに結びました。

中国国共内戦の激化と共産党政権の樹立、朝鮮半島の分割、満州と北方領土の占領などは、その協定がもたらした結果です。

ヤルタ会談が行われた時点では米国に原爆が完成しておらず、日本本土上陸作戦では50万人の兵士が犠牲になると予測され、大統領はソ連の参戦が必要とみていたとされます。また、大統領は病気で覇気を失っており、スターリンがルーズヴェルトの弱みにつけ込んだとの見方もあります。

1945年、昭和20年2月9日ヤルタ会談に臨む、チャーチル・ルーズベルト・スターリン
米国の保守派がヤルタ協定を批判するのは、ロシアの参戦は必要なかったとみているからであり、参戦が共産主義帝国構築への道を開き、朝鮮戦争をもたらし、また今日の北朝鮮における金一族の独裁体制へつながったという認識をもっているからです。

このような考え方を持った米保守派の系譜であるのが、ペンス副大統領です。そうして、安倍総理も無論「強い日本」を志向しています。

この二人の保守派が今回韓国に乗り込んで、韓国の野望を粉砕したのは、当然といえば当然です。

米国の保守派からすれば、ルーズベルトが独裁者スターリンのロシアと組んだ事自体が間違いであり、さらに当時朝鮮半島から満州にかけてソ連と対峙していた日本と戦争をしたことも大きな間違いだと認識しています。

米保守派は、極悪人ルーズベルトが、ロシアと手を組んで、日本を攻撃して負かしたらからこそ、その後のソ連や中国などの共産主義帝国構築への道を開き、朝鮮戦争をもたらし、また今日の北朝鮮における金一族の独裁体制へつながり、それが今日米国に核の恐怖をもたらしていると認識しているのです。

リベラル派のオバマの民主党政権と、現在の保守派トランプ政権は全く質が違うのです。そもそも、米保守派がみれば、北朝鮮の金王朝という存在はあってはならない存在なのです。私は、「強い日本」とそれを志向する米保守派がいずれ金王朝を打ち砕くことになると思います。

文在寅も、金王朝もいずれそのことに気づくことになると思います。「強い日本」と米国保守派は今後北制裁をさらに強化することはあっても、緩めることはないです。オバマ政権と違い、妥協したり「戦略的忍耐」をするなどということはありません。

どんどん強くなり、最終的には「戦争」になることも厭わないでしょう。文在寅は無論のこと、金王朝もそのことに気づかなければ、いずれ致命的な大やけどをすることになります。外交音痴の文在寅も、金正恩もこのことにはまだ気づいていないでしょう。

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2018年2月13日火曜日

キム・ジョンナム氏暗殺事件 背景に後継問題の密告か―【私の論評】なぜ中国は今頃この事実を公表したのか?

キム・ジョンナム氏暗殺事件 背景に後継問題の密告か


1年前にマレーシアで北朝鮮のキム・ジョンナム(金正男)氏が暗殺された事件について、中国政府関係者は、北朝鮮のナンバー2とされたチャン・ソンテク氏が以前、中国を訪問した際、当時の胡錦涛国家主席に対し、ジョンナム氏を北朝鮮の最高指導者にしたいという意向を明らかにし、この情報がキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長に伝えられたことが事件の引き金になったという見方を示しました。

この事件は、ちょうど1年前の去年2月13日、マレーシアのクアラルンプール国際空港で北朝鮮のキム・ジョンウン委員長の兄のジョンナム氏が、猛毒のVXで暗殺されたものです。

この事件について、中国政府の関係者はNHKの取材に対し、6年余り前に死去した北朝鮮のキム・ジョンイル(金正日)総書記の後継問題が背景にあることを明らかにしました。

それによりますと、死去から8か月たった2012年8月、当時、北朝鮮のナンバー2とされ、キム・ジョンウン委員長の叔父にあたるチャン・ソンテク氏が、北京で中国の胡錦涛国家主席と個別に会談した際、「ジョンイル氏の後継にはキム・ジョンナム氏を就かせたい」という意向を伝えたということです。

この会談は、当時、中国の最高指導部のメンバーだった周永康政治局常務委員が部下を使って盗聴しており、周氏は翌2013年はじめに、北朝鮮の最高指導者となっていたキム・ジョンウン氏に会談の内容を密告したということです。

周永康 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
この年の12月、チャン氏は国家反逆罪などで処刑され、さらにジョンナム氏は去年2月にマレーシアで暗殺されており、中国政府は、周永康氏によってもたらされた情報がキム・ジョンウン委員長のげきりんに触れ、事件の引き金になったと見ています。

なぜ周永康氏がキム・ジョンウン委員長に情報を伝えたのか詳しい理由はわかりませんが、当時、周氏の周辺には汚職捜査の手が及んでおり、周氏としては、北朝鮮とのパイプを利用することで指導部の動きをけん制しようとしたのではないかとの見方が出ています。

その後、周氏は汚職や国家機密漏えい罪などに問われて無期懲役の判決を受けましたが、関係者によりますと、北朝鮮への密告が国家機密漏えい罪に当たると判断されたということです。

中国政府は、ジョンナム氏暗殺事件について終始沈黙を守っていますが、今回確認された情報は、今後の中朝関係を読み解くうえで重要な手がかりになりそうです。

周永康氏とは

中国の周永康元政治局常務委員は、江沢民元国家主席に近く、前の胡錦涛政権で最高指導部入りし、警察や情報機関などを統括する公安部門の責任者を務めて強大な権力を握っていたとされます。

周永康氏は江蘇省無錫出身の75歳。北京石油学院を卒業し、1980年代から90年代にかけて石油工業省の次官や国有会社の中国石油天然ガスの社長などを歴任し、いわゆる石油閥の大物と見なされてきました。

1999年からは四川省トップの共産党書記、2002年からは警察にあたる公安省のトップを務めました。そして、2007年に共産党の最高指導部である政治局常務委員に上り詰めました。

周氏は、当時9人いた政治局常務委員の中で序列は9位でしたが、犯罪捜査や治安維持などを担う公安部門や情報機関をはじめ、検察や裁判所まで管轄する中央政法委員会のトップの書記を務めていたため、強大な権力を握っていたとされています。

周氏は、一時、最高指導部入りの可能性も指摘され、その後失脚した薄煕来元重慶市書記の後ろ盾だったと見られていて、薄元書記と共謀して習近平指導部の転覆を企てていた疑惑が持ち上がるなど、胡錦涛前国家主席や習近平国家主席と激しく対立していたことが明るみに出ました。

薄煕来(はくきらい)
そして、「虎もハエもたたく」という腐敗撲滅のスローガンを掲げて大物の摘発に乗り出した習指導部のもとで身柄を拘束され、2015年6月に汚職や国家機密漏えいの罪で無期懲役の判決を受けました。このとき、国営新華社通信は「裁判所は、一部の犯罪事実の証拠は国家の秘密にかかわるため非公開にした」としていました。

判決言い渡しの模様は中国国内で国営テレビによって生中継され、以前は黒かった髪の毛が真っ白になって出廷した周氏の姿に国民の間では衝撃が走りました。

髪の毛が真っ白になって出廷した周
中国の最高指導部経験者が汚職などの罪で有罪判決を受けたのは、周氏が初めてです。

チャン・ソンテク氏とは

チャン・ソンテク氏はキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長のおじで、キム委員長が、死去した父親のキム・ジョンイル総書記の権力を世襲したあと、後見人とされた人物でした。

チャン氏は1946年に東部のハムギョン(咸鏡)北道チョンジン(清津)で生まれ、妻はキム総書記の妹のキム・ギョンヒ氏でした。

キム・イルソン(金日成)総合大学を卒業したあと入党したチャン氏は、キム総書記とのつながりを背景に頭角を現し、党の筆頭部局である組織指導部の第1副部長などを歴任しました。2010年には国防委員会の副委員長に就任し、2011年のキム総書記の葬儀では、キム委員長とともに、ひつぎを載せた車に付き添って歩きました。

チャン・ソンテク氏
北朝鮮の経済改革や外資誘致で主導的な役割を担っていたチャン氏は、中国との経済協力に積極的に取り組み、2012年に北京を訪れた際には当時の胡錦涛国家主席と会談するなど、中朝間のパイプ役を担っていました。

しかし、2013年にチャン氏は、「反党、反革命的な行為をした」などとして、すべての職務を解任されて党から除名されたうえ、特別軍事裁判で「国家を転覆させようとする極悪な犯罪を行った逆賊だ」として死刑判決を言い渡され、直ちに処刑されました。

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さて、上の記事により、北朝鮮の金正恩が、叔父である張成沢(チャン・ソンテク)氏を処刑、兄である金正男を暗殺した理由が見えてきたように思います。

さすがに、いくら北朝鮮が軍事独裁体制の国家であったにしても、張成沢氏と金正男氏を殺害するのはやりすぎではないかと思っていましたし、このようなことをするには余程の理由があるのだろうとも考えていました。

その理由がこれだったわけで、ある程度納得のいくものでした。無論、だからといって金正恩が、これら二人を殺害したことを認めるというわけではありません。このような残忍な殺害は絶対に許すことはできません。

とはいいながら、金正恩が残忍であることを前提としたうえで、なぜそのようなことになったのか合点がいくということです。

2012年8月、当時張成沢氏が、北京で中国の胡錦涛国家主席と個別に会談した「正日氏の後継には金正男氏を就かせたい」という意向を伝えた当時は、北朝鮮内部には正男氏を後継にすべきとする派閥と、正恩氏を後継にすべきという派閥があり、これらが熾烈な争いをしていたのでしょう。

そうして、結局のところ正恩派が勝利を収めて、張成沢氏は処刑され、正男氏は暗殺されたのです。もし、正男氏側の派閥が勝っていれば、正恩が暗殺されることになったかもしれません。無論、正男氏はそのようなことはしないかもしれませんが、派閥の力学などでそのようなことになる可能性も十分あります。

金正恩時代の粛清政治は、彼が最高指導者になった翌2012年から始まりました。7月15日の政治局会議で、父・金正日氏が金正恩氏を支える側近として抜擢した朝鮮人民軍参謀長の李英鎬(リ・ヨンホ)氏が電撃的に解任され、表舞台から消え去りました。そうして、おそらく処刑されたと考えられます。

李英鎬(リ・ヨンホ)氏(写真右)
この粛清劇については叔父である張成沢氏が主導したとの説もありますが、最終的に金正恩氏が決断したのは間違いないでしょう。

金正恩氏が主導する粛清政治が本格化するのは、2013年からでした。先述の李氏の粛清を主導したとされている張氏が、北朝鮮メディアで「犬にも劣る人間のゴミ」と罵倒されたうえ、時をおかず処刑されました。張氏処刑以後、金正恩氏は北朝鮮史上希にみる恐怖政治を始めました。暴君へと変化するターニングポイントがこの時だったと言えるでしょう。

金正恩氏の恐怖政治の対象は政治家だけにとどまりませんでした。2015年3月には、金正恩氏の妻である李雪主(リ・ソルチュ)夫人も一時期在籍していた「銀河水管弦楽団」のメンバーらが銃殺されました。北朝鮮での銃殺刑は珍しくないですが、メンバーらは凄惨きわまりない殺され方で銃殺されたと伝えられています。

銀河水管弦楽団
同年5月には、玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長が公開銃殺されました。この時は人間を文字通り「ミンチ」にする「高射銃」が用いられました。北朝鮮の歴史は、国内の派閥闘争と粛清の歴史でした。しかし、わずか7年間で、ここまで大規模な粛清の嵐が吹き荒れるのはありえませんでした。

公開処刑された玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)氏
極めつけは、昨年2月に金正恩氏の母親違いの兄である金正男氏が猛毒のVXによって暗殺された事件です。

金正恩氏の父である金正日氏は、叔父の金英柱(キム・ヨンジュ)氏や母親違いの弟である金平日(キム・ピョンイル)氏との後継者争いに勝利し、最高指導者に登り詰めました。しかし、建国の父である金日成氏の血を引くこの二人を手にかけることはありませんでした。

一方、金正恩氏は金正日氏の長男である金正男氏を暗殺しました。北朝鮮の権力闘争史上、初めて金日成氏の血を引く身内に手をかけるというタブーを犯したのです。

残忍きわまりない金正恩氏の恐怖政治も2017年に入って以降なりを潜めているという説もあります。その理由として金正恩体制が磐石になったからという分析もありますが、はたしてそうなのでしょうか。

今のところ金正恩氏は核・ミサイル開発など、対外的な政治に重きを置いています。これがある程度落ち着いた時、必ずや国内統治に関心が向きます。その時、またもや金正恩氏の恐怖政治の嵐が吹き荒れるかもしれないです。

このような状況ですから、北朝鮮では現状では、中国のような派閥はないようにも見えます。あったにしても、寝たふりをしているのでしょう。派閥が形成されたり、過去の派閥が蘇ったりすれば、金正恩は、ただちに派閥の首謀者やその取り巻きを処刑することでしょう。

これでは、誰も怖くて、派閥など作れません。だから、北朝鮮からは派閥争いなどの情報はありません。現状では派閥はないのでしょう。そのため、北朝鮮の意思=金正恩の意思、もしくは金正恩を後継者にすべきと主張していた派閥の一強、ということになっているものと考えられます。

もし、金正男氏が後継者になっていたら、北朝鮮にも少なくとも中国のように派閥があったかもしれません。そうして、これらの事実がもう一つの疑問に答えてくれます。

それは、なぜ中国側が今頃になって、金正男氏暗殺事件の背景に後継問題の密告があったことを表に出したかということです。

その理由は、上記のように現在の中国の体制は、習近平派と胡錦濤派が協調して、江沢民派を一掃しているような状況であり、金正恩は胡錦濤に恨みを抱いており、それと協調する習近平に対しても敵意を抱いているということがあります。要するに金正恩は中国の現体制には敵対的なのです。

だから、現在の中国は北朝鮮にいうことを聴かせることはおろか、効果のある制裁もできない状況です。

そんな中で、習近平はトランプ氏に北朝鮮制裁をすることを迫られています。これについては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【お金は知っている】国連の対北制裁強化で追い込まれる習主席 「抜け穴」封じなければ米から制裁の恐れ―【私の論評】中国が米国の要求を飲むのは時間の問題(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では現在の中国は軍事力では米国に遠く及ばないのは無論のこと、金融大国の米国に本格的な金融制裁をされれば、とんでもないことになるため、対北制裁に関して中国は、米国の要求を飲むのは時間の問題であろうことを掲載しました。

ただし、上でも示したように、現在の北朝鮮は中国に対して敵対的であり、中国の言うことなどなかなか聞きません。また、習近平派、胡錦濤派以外に、北朝鮮に近い勢力もあるため、たとえ習近平が対北制裁強化をしようにも限界があるのです。

私は、中国がこの限界を米国に理解してもらうため、今頃になって金正男氏暗殺事件の背景に後継問題の密告があったことを公にしたのだと思います。

習近平も、どう頑張っても出来ないものは出来ないし、限界があることを米国に示そうとしたものと思います。

さて、これに対して、トランプ氏は次の一手をどのように打つのでしょうか。私としては、次には海上封鎖をするのではないかと思っています。

現在でも、これに近いことを実行しています。日本の海自も戦後一度も踏み入ったことのなかった黄海に護衛艦や航空機を派遣して監視活動をしています。

今後は、さらにこれを強化して、臨検なども含む事実上の海上封鎖をするのではないかと思います。それでも、効果がなければ、さらに機雷を敷設して完全封鎖ということもありえると思います。そうなると、もう戦争状態に入ったといっても良いと思います。

そうして、中国はこれを黙認することでしょう。それでも、陸上から物資を供給するなどの制裁破りなどもありえますが、これは微々たるものです。海上封鎖がされれば、さすがに北朝鮮も音を上げる可能性があります。

それに、海上封鎖ということになれば、これはもう、戦争一歩手前ということになり、北朝鮮に対する今までにない強力な圧力になると思います。

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2018年2月12日月曜日

【主張】台湾東部地震 今度は日本が支える番だ―【私の論評】大陸中国という癌から台湾を守れ(゚д゚)!


前日より傾斜が強まった12階建て集合住宅兼ホテル=8日午前、台湾・花蓮市
 台湾加油(頑張れ)。東部を襲った6日深夜(日本時間7日未明)の地震で、花蓮市の12階建て集合住宅兼ホテル「雲門翠堤大楼」など4棟が倒壊状態となり、多くの死傷者が出た。

 日本政府は警察庁、消防庁などからの専門家チーム7人を被災現場に派遣し、人命救助活動を支援している。

 地震発生直後に100人を超えていた安否不明者の多くは無事が確認された。しかし、現地は強い余震が続き、被災者は不安を募らせている。

 被災者の医療、生活支援、仮設住宅の建設など、今後は時間の経過とともに必要とされる人員、物資は多様化していく。被災者の立場に立った効果的な支援で台湾の人たちの力になりたい。

 東日本大震災では、台湾からの温かい支援が被災者の心の支えになった。今回の台湾東部地震では「今度は私たちが台湾の人たちを支える番だ」といった東北からの呼びかけがインターネットなどで広がった。安倍晋三首相も蔡英文総統へのお見舞いメッセージで同じ趣旨の支援の意思を伝えた。


 台湾と日本列島は一連の地震多発帯に位置する。1999年の集集地震(台湾大地震)の犠牲者は約2400人にのぼり、2年前の台湾南部地震も死者が100人を超える大災害となった。

 今回の地震で被害が大きかった4棟は、6~12階建てビルの低層階が押しつぶされ、全体が倒壊したり大きく傾いたりした。2年前の熊本地震でも同じように低層階が押しつぶされたマンションがあった。

 また、4棟はいずれも活断層の直近に建つビルだった。日本にも上町断層がある大阪市をはじめ市街地の直下を活断層が走っている都市がある。

 災害時の相互支援とともに、地震学や土木、建築の専門家レベルでも日台が緊密に連携、協力することも重要だ。地震による揺れや建物への影響、倒壊の原因などを詳しく分析し、耐震化や都市防災の取り組みに生かしたい。

 今回の地震で台湾が海外の支援を受け入れたのは日本だけだ。中国が申し出た支援は「人員、物資は足りている」と辞退した。

 大切なのは信頼関係である。政府レベルでも市民同士でも、支え合い、互いに向上していける日本と台湾の関係を大事にしたい。

【私の論評】大陸中国という癌から台湾を守れ(゚д゚)!

上の記事では、台湾も日本も一連の地震多発地帯に位置することが掲載されています。両国とも、地震による災厄にいつまきこまれるかわからないのです。両国が互いに信頼関係を構築し、これからも互いに助けあっていくべきなのは、言うまでもありません。

そうして、さらに両国には、共通の災厄があります。それは、大陸中国です。このブログにも何度か掲載してきたように、大陸中国は日本の尖閣諸島や、台湾そのものをいずれ奪取しようと虎視眈々と狙っています。

日本や台湾のような国が、大陸中国のすぐそばに位置していることは、本当に残念なことです。近くに大陸中国さえなければ、これからもずっと両国は平和と繁栄を続けることができたかもしれません。しかし、大陸中国が近くに存在するということで、将来の平和と繁栄を守るためにも、大陸中国に対峙していかなけばならないのです。

そうして、この大陸中国は、人体でいえば、癌そのものということができると思います。


人体を構成する最小の単位である、細胞にはアポトーシス(apoptosis)という現象が起こります。これは『細胞の自殺』のことで、たとえばオタマジャクシがカエルに変わるとき、尻尾がなくなって足が出てきますが、これも細胞の自殺です。尻尾の役割がなくなったので、自己犠牲の精神で自ら消滅していくのです。

つまり、より良い個体を作るため、また新しい生命を産むため、古いものは自ら死んでいくのです。子供が大人になったら、親が死んでいくように、人類を含め生命とはそういう循環の中に生きています。自分の機能が駄目になったら、新しい生命に道を譲る。資源を明け渡すわけです。

しかし、もしこのような生物的原理が狂えば、自然はすべてが狂ってしまうことでしょう。しかし、その原理に従わないものがあります。それが癌細胞です。

癌細胞が普通の細胞と大きく異なる点は、まず非常に利己的で自己中心的であるということです。癌細胞は無限増殖します。悪性が高ければ高いほど、均一性に欠けるモザイク現象を起こします。なぜなら、この細胞は『俺が、俺が』ということで他の細胞を食べる『共食い』現象を起こし、強い者が弱いものを食い尽くして崩壊させていくからです。

ところが、癌細胞は独自では生きていけず、必ず他の細胞に寄生して、その栄養素を奪い取って大きくなっていきます。やがて癌細胞に蝕まれた生体は最終的には死ぬことになり、生体を食い尽くした癌細胞も、それによって死滅するのです。

現在の中国を見ていると癌細胞とそっくりです。どの特徴も中国そのものです。

生物原理の中ではアポトーシスという『譲り合いの精神』が働いて、新しい生命が生まれます。しかし、癌細胞はこの精神をまったく持ち合わせていません。癌細胞は自己中心的です。胃の癌細胞なら、『俺は胃だ。文句あるか』と強引に肝臓に押し入っていきます。これが胃癌の肝臓転移です。

アポトーシスは人間の正常な体細胞でも日常的に見られる現象
一方、ネクローシスは「細胞他殺」と言える。
この自己中心的なところ、『俺さえ良ければそれでいい』『俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの』という性格は中国そのものです。まさに、中国は地球という生命体に巣くう癌細胞以外のなにものでもないのです。

そうして、過去のアメリカは中国に騙され、北朝鮮に対する「戦略的忍耐」という誤った戦略と同様の煮え切らない戦略をとり、大陸中国の癌を大増殖させてしまいました。我が国も「日中友好」の美名のもと、ODAや技術移転を初めとする様々な有形・無形の援助により中国癌を増殖させることに寄与してきました。

現在の喫緊の課題が北朝鮮問題であることはいうまでもありませんが、それはそれとして、私達は大陸中国のすぐ近くにある台湾の人たちの悲痛な叫び声に耳を傾けて、この忌まわしき中国という癌から地球を救わなけばならならないのです。

幸いなことに、安倍総理は総理大臣に就任する直前の2012年に国際NPO団体PROJECT SYNDICATEに英語論文『Asia’s Democratic Security Diamond』を発表しています。これに書かれた外交安全保障構想が「セキュリティダイヤモンド構想」で、安倍総理は中国封じ込め政策を提唱しています。

セキュリティダイヤモンド
この構想は、オーストラリア、インド、アメリカ合衆国ハワイの2国1地域と日本が四角形に結ぶことで中国の東シナ海、南シナ海進出を抑止することを狙いとしています。日本政府としては尖閣諸島の領有問題や中東からの石油輸出において重要なシーレーンの安全確保のため、重要な外交・安全保障政策となっています。

安倍総理は、総理大臣に就任以来、この構想に従い外交を展開してきました。そうして、この構想は着々と現実のものになりつつあります。

さらに最近、米国は台湾を重視する方向に転じました。これについては、このブログにも掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
米国が見直す台湾の重み、東アジアの次なる火種に―【私の論評】日本は対中国で台湾と運命共同体(゚д゚)!
ランドール・シュライバー氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、トランプ米大統領は12月12日、「2018会計年度 国防授権法」に署名し、同法が成立したことを掲載しました。同法が今回注目されたのは、高雄など台湾の港湾への米国海軍艦船の寄港、ならびに台湾海軍艦船の米国港湾への寄港が盛り込まれていたからです。

さらに、トランプ政権は国防総省のアジア担当の要職にランディ・シュライバー氏を任命しました。シュライバー氏は歴代政権のアジア専門ポストで活躍してきたベテラン戦略家です。共和党保守本流と位置づけられる同氏の起用によって、トランプ政権の対アジア政策は保守、現実志向へと向かうことが予測されます。

シュライバー氏は、以前から台湾への支援と、中国を抑止を主張する人物です。そのシュライバー氏を国防総省のアジア担当の要職に就けたわけですが、トランプ政権は台湾重視、中国封じ込めに一歩を踏み出したことは間違いありません。

日本のダイヤモンドセキュリティ構想、そうして米国の台湾重視、中国抑止へのスタンスの偏向という台湾への大陸中国の癌細胞の侵入は阻止しやすくなったものと見られます。

今後日米ともに、台湾に対して空母などの艦船を寄港させたり、軍隊を駐留させたりの、武器を提供したり、対中国の軍事演習などを頻繁に行うへきです。

台湾は、日本の生命線です。いや、世界の生命線です。もし、台湾が大陸中国の傘下に収まることになれば、その次は日本の尖閣、その次は沖縄という具合に大陸中国の癌細胞はとめどもなく侵入してくることになります。

そうして、それは世界各地に侵入をして、癌細胞に蝕まれた世界は最終的には死ぬことになり、生体を食い尽くした癌細胞も、それによって死滅することになりす。

そんなことは絶対に防がなければなりません。だからこそ、日米はいや、世界は台湾を守りきらなければならないのです。

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2018年2月11日日曜日

【写真掲載】中国紙、韓国メディアの「首都台北」の字幕に猛反発―【私の論評】大陸中国が平昌の「台湾」に神経をとがらす理由(゚д゚)!

【平昌五輪】中国紙、韓国メディアの「首都台北」の字幕に猛反発

平昌五輪の開会式で入場する台湾代表チーム=9日、平昌
 平昌冬季五輪の開会式で台湾選手団が入場行進した際、韓国の複数のテレビ局が字幕で台北を台湾の「首都」と表記したとして、中国国内で反韓の声が広がっている。

 この字幕問題は、韓国文化を研究している米国人男性が、SNS上で発信して発覚した。

 「韓国のテレビ局はチャイニーズ・タイペイ(中華台北)とアナウンスしたが、画面上のハングルの字幕は台湾としていた。ハハハ」

 投稿には韓国のテレビの画像を写した写真も添えられていた。

 国際オリンピック委員会(IOC)は、台湾が五輪などの国際競技大会に出場する際の呼称を「チャイニーズ・タイペイ(中華台北)」としている。「台湾は中国の一部」との立場の中国はそれにも満足せず、一方的に漢字表記を「中国台北」に変えている。

 平昌五輪への参加が「過去最多の92カ国・地域」と表記されるのは、台湾などを「国家」として数えていないことが関係している。台北を「首都」と表記することは台湾を「国家」と見なしてることになり、中国は受け入れられないというわけだ。

 中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報のニュースサイトは米国人男性の投稿に「大問題だ」と反応し、独自に調査を実施した。

 その結果、MBC、KBS1、SBSの各テレビ局がそろって、字幕で「台湾」と表記していたことを確認。「疑いではなく、確かに重大な間違いが出現していた」と騒ぎ出した。環球時報は特に、台北を「首都」と表記したMBCとKBS1の問題が非常に大きいとしている。

 環球時報は「KBS1は明らかにIOCが中華台北と呼んでいることを知っている。中華台北と呼ばなければならないことを知ってる状況で、『首都台北』と字幕を出すとは常軌を逸している」と主張している。

 環球時報のサイト掲示板には、「これは間違いではなく、故意だ。韓国人は中国を分裂させることはできない」「こんな韓国メディアに制裁を加えるべきではないか。世界中でもっとも反中なのは韓国メディアだ」「人民解放軍を台湾に駐留させさえすれば、ほかの雑音は問題ない」といった過激な書き込みが殺到している。 (五輪速報班)

【私の論評】大陸中国が平昌の「台湾」に神経をとがらす理由(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、米国の韓国文化研究者のSNS上での書き込みで、「韓国のテレビ局はチャイニーズ・タイペイ(中華台北)とアナウンスしたが、画面上のハングルの字幕は台湾としていた」とありますが、実際にはどうだったのか調べてみると、SBSの放送内容の画面で確かに「台湾」と表記している画像がみつかりました。それが下の画像です。


この画像をみると、確かに「台湾」と赤字で表記されています。株式会社SBS(エスビーエス)は、韓国のソウル首都圏を放送エリアとするテレビ・ラジオ兼営の放送局です。純粋な民間放送局「ソウル放送」として1990年に設立、2000年に現社名に変更しました。本社をソウル特別市陽川区に置いています。

次に、KBS1の画像で、これでは台北を「首都」と表記しています。これでは、「チャイニーズタイペイ」とハングル語の表記の下に確かに、ハングル語で「首都:台北」と表記があります。


韓国放送公社(韓国語: 한국방송공사, 英語: Korean Broadcasting System, KBS)は、大韓民国(韓国)の公共放送局である。略称は、2001年以降は韓国放送も併用しています。

KBS1は、ニュース・時事・教養番組中心のチャンネルです。KBS2は、ドラマ・芸能番組中心のチャンネルです。以前存在した東洋放送というTV局と統合した時にできたチャンネルです。

SBSは民法ですが、KBSは公共放送で、日本でいえばNHKのような存在です。これは、単なる間違いではなく、意図的に実施したものと考えられます。

そうして、中国はこの動きにかなり神経を尖らせているようです。なぜこのようにとがらせるかといえば、先日もこのブログに掲載したように、中国としては、尖閣を奪取するよりも、台湾を奪取するほうがより簡単であると考えていたにもかかわらず、最近米国が台湾を戦略的に重視する姿勢をみせたからです。

これに関する記事のリンクを以下に掲載します。
米国が見直す台湾の重み、東アジアの次なる火種に―【私の論評】日本は対中国で台湾と運命共同体(゚д゚)!
ランドール・シュライバー氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では米国は、ランドール・シュライバーの国防次官補にするという人事を発表しましたが、このランドール氏は台湾を戦略的に重視する人物です。これは、今後米国が台湾を重視することを示すものです。

そうして、この記事では中国としては、尖閣を奪取するよりも、台湾を奪取するほうがより簡単であると見ていた背景についても解説しました。

それについても、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、簡単にまとめると以下のような内容です。

まずは、日本の尖閣諸島は無人島であるとともに、日本の国有地にもなっています。また、日本の海上自衛隊は、海外の評価ではアジア第一であり、中国海軍を凌駕しており、独力で尖閣周辺の中国海軍等を撃退することができます。さらには、日本には同盟国の米軍が駐留しています。

これでは、大陸中国はいくら威勢の良いことを言ったり、尖閣諸島付近に公船や潜水艦を航行させてみても、実際に尖閣諸島を奪取することはなかなかできません。

一方、台湾には、大陸中国出身の人々やその子孫の人々も多く、その中には大陸中国に親和的な人々も多いです。大陸中国はそのような人々を利用して、台湾そのものを大陸中国になびくように台湾内部から誘導することも可能です。実際に勢力的にそれを行っています。

軍事的にみても、中国からみれば劣勢です。さらに、台湾には米軍は駐留していません。

これでは、中国からみてどちらが奪取しやすいと考えられるかといえば、無論台湾です。

ところが、上にも掲載したように、最近米国が台湾を重視する姿勢に転じています。米国が台湾を重視しはじめて、米国の艦船や空母などが、台湾にしばしば寄港することになれば、台湾奪取の試みはうまくいかなくなる可能性が大きくなります。

ましてや、台湾に米軍が駐留することにでもなれば、大陸中国による台湾奪取は不可能に近くなります。実際過去には、台湾にはアメリカ台湾協防司令部(1955-1979)が設置され、台湾に米軍が駐留していた時期もあります。

アメリカ台湾協防司令部(1955-1979)のバッジ

このように、大陸中国の台湾奪取への試みが後退するかもしれないまさにそのときに、韓国メディアにより「首都台北」「台湾」などの字幕が掲載されたわけですから、猛反発しているわけです。

先日このブログでは、東京五輪で、台湾の選手を「台湾」「TAIWAN」の名前で参加させよ、との運動が、台湾と日本で行われていることを掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
なぜ「台湾」での東京五輪出場にこだわるのか―【私の論評】東京五輪には過去と同じく台湾は台湾として出場すべき(゚д゚)!
台湾の国旗「青天白日満地紅旗」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では以下のように締めくくりました。
五輪の政治利用というと、顔をしかめてしまう人いるかもしれませんが、大陸中国は今から東京オリンピックを最大限に政治利用して、台湾は大陸中国に属することを最大限にアピールするものと考えられます。 
その腰を折って、東京五輪に台湾を台湾として参加してもらうようにして、開会式の旗も1964年の東京オリンピックのときのように、「青天白日満地紅旗」を用いてもらうことには大きな政治的な意義があると思います。 
これに対して大陸中国が不満を抱き、東京五輪に参加しないということにでもなれば、ますます国際的に台湾が独立国であることをアピールできます。 
是非とも、そのような方向にもっていくべきと私は思います。
もし、来る東京オリンピックで、台湾の選手らが「 青天白日満地紅旗」を掲げて開会式に入場することになれば、大陸中国の反発は凄まじいものになると思います。

しかし、そうなれば、大陸中国の海洋進出には、日米台が断固反対していることを大陸中国と全世界に鮮烈な形で示すことになります。

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