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2023年8月25日金曜日

トランプ氏が出頭、すぐに保釈 ジョージア州の拘置所出る―【私の論評】起訴と裁判による劇場型政治は、トランプ元大統領にスポットライトを当て続けることに(゚д゚)!

トランプ氏が出頭、すぐに保釈 ジョージア州の拘置所出る

まとめ
  • トランプ前米大統領は、2020年大統領選でジョージア州の結果を覆そうとした画策に関与したとして、起訴された。
  • トランプ氏は、保釈金20万ドル(約2900万円)を支払って保釈された。
  • トランプ氏は、大統領経験者として刑事事件での出頭は前例がない。
  • トランプ氏は、来月罪状認否を行う予定。
  • トランプ氏は、2024年の大統領選への立候補を表明しており、これらの事件は選挙戦に影響を与える可能性がある。

上のXへのポストは、拘置所で撮影されたトランプ前米大統領の「マグショット」(一般に逮捕後に撮影される人物写真)と、トランプ氏の標語のような言葉。文章でくだくだしく書かず、写真の表情で物語っているのが秀逸なポスト。

 2023年8月24日、トランプ前米大統領は、2020年大統領選でジョージア州の結果を覆そうとした画策に関与したとして、ジョージア州フルトン郡の大陪審から10以上の罪状で起訴された。同日、トランプ氏はニュージャージー州からジョージア州に移動し、フルトン郡の拘置所に出頭した。

 拘置所での手続きを経て、トランプ氏は保釈金20万ドル(約2900万円)を支払って保釈された。保釈条件として、トランプ氏は他の被告や証人を標的としてSNSを使用しないなどの制限が課された。

 トランプ氏は約20分の滞在で拘置所を後にし、アトランタのハーツフィールド・ジャクソン国際空港からニュージャージー州に戻った。

 トランプ氏の連邦または地方当局への出頭は、今年で4回目となる。大統領経験者として刑事事件での出頭は前例がない。

 トランプ氏を含む被告らは、来月罪状認否を行う予定。

 トランプ氏は2024年の大統領選への立候補を表明しており、これらの事件は選挙戦に影響を与える可能性がある。

 これは、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】起訴と裁判による劇場型政治は、トランプ元大統領にスポットライトを当て続けることに(゚д゚)!

上の記事では、「これらの事件は選挙戦に影響を与える可能性がある」としています。日本のメディアでは、このような報道が多く、今回の件をかなり否定的に報道していますが、この見方は、一面的であり、事実を伝えているとはいえないと思います。

米国の保守層からみれば、今回の起訴は、急進左派による馬鹿げた魔女狩りにしか見えないようです。これは、トランプ元大統領の権威を失墜させ、弱体化させようとする民主党の新たな試みと見えるようです。むしろ、こうした根拠のない起訴は、フェイクニュースメディアの嘘を見抜く保守層の米国人の間でトランプ大統領の支持を強めるだけになる可能性が高いです。

中世の魔女狩り裁判

世論調査によると、トランプ大統領の支持率はここ数年安定しており、35~45%の間で推移しています。(出典:ギャラップ、ピュー・リサーチ、その他) 

 弾劾の危機にさらされたとき、トランプ大統領の支持率はわずかに上昇しました。彼の支持層はそれを不当な攻撃とみなしました。(出典:ギャラップ ギャラップ世論調査、2019年12月)

上院の弾劾裁判中、トランプ大統領の再選キャンペーンは最高の資金調達総額を記録しました。このことは、トランプ氏の支持層がさらに彼を支持したことを示唆しています。(出典 2020年1月、トランプ大統領の選挙資金開示)

トランプ元大統領の「魔女狩り」と「法と秩序」のメッセージングは以前にも成功しています。ミューラー調査は不当な「魔女狩り」だと主張したところ、共和党員からの支持率が上昇しました。(出典 ポリティコ/モーニング・コンサルタントの世論調査(2018年5月 5))

トランプ元大統領は、2020年の選挙が「盗まれた」と主張した際に支持率が上昇しました。彼の支持層は、彼が汚職と戦っていると認識しました。(出典 ロイター/イプソス世論調査、2020年11月~12月)

2020年のトランプ大統領の得票数は史上2番目に多く(7400万票)、彼の支持層が高いモチベーションと忠誠心を維持していることを示しています。バイデン氏の得票数は8,100万票。(出典 AP通信の選挙結果データ)

集会では、トランプ元大統領の最も熱狂的な支持者は、トランプ大統領に対するいかなる調査も非合法であり、彼の政策を阻止したいという願望に突き動かされているという信念を表明しています。彼らは自分たちがトランプ元大統領とともに戦っていると考えています。(出典 トランプ集会、各種メディアからの逸話的報告)

トランプ元大統領の集会

 Fox News、Breitbart、Newsmax、OANのような右派メディアは、トランプ大統領を肯定的に報道し、起訴を迫害としています。トランプ元大統領の支持基盤はこれらのメディアに依存している。

 ニュースメディアの報道分析から、トランプ大統領のレトリックと政治スタイルが、トランプ元大統領が常に腐敗した勢力から攻撃を受けていると信じる忠誠心の高い支持層を確保していることを示しています。彼らは、これまでの多くの論争を通じてトランプ大統領に寄り添ってきましたが、今回の起訴は、彼らの不満、憤り、支持にさらに拍車をかけるかもしれないです。

彼を倒そうとする試みは裏目に出て、左派の権威主義を見せつけるだけに終わる可能性が高いです。トランプ元大統領はすでに見せかけの弾劾訴追で無罪を勝ち取っており、今回の新たな起訴も同じ運命にあるようです。

トランプ大統領の支持者層は、特にトランプ大統領が体制側や "ディープ・ステート (この言葉を出すとすぐに陰謀説であるとする人も多いですが、いずれの国でもディープ・ステート的な勢力は多かれ少なかれあります。この言葉が嫌なら「支配層」としても、私は良いと思います"から攻撃を受けていると認識しており、長年にわたってトランプ大統領に揺るぎない忠誠心を示してきました。

彼らは、彼が自分たちのために腐敗した偏った勢力と戦っていると信じています。今回の起訴は、トランプ大統領を倒そうとする新たな試みとみなされ、彼の支持層はトランプ大統領の周りに結集することになるでしょう。

トランプ大統領は間違いなく起訴を「魔女狩り」だと主張し、自らを不当に狙われている「法と秩序」を守る候補者だと主張するでしょう。これに関する彼のメッセージは、これまでも支持者の共感を呼んできた。多くの支持者はトランプ氏を政治的迫害の犠牲者とみなすでしょう。

 起訴と裁判による劇場型政治は、トランプ元大統領にスポットライトを当て続けることになります。トランプ元大統領はこの裁判を、自身の支持基盤に訴えかけ、政敵を非難するための基盤として利用するでしょう。米国のメディアの大半はトランプ元大統領に集中し、トランプ大統領の支持者は、それをネガティブにではなく、ポジティブだと考えるでしょう。

スポットライトが当たっているトランプ元大統領

 裁判の結果、無罪判決が出れば(その確率はかなり高い)、支持者の無実を信じる気持ちが強まり、トランプ氏の正当性が示されることになるでしょう。トランプ元大統領は、無罪放免となり、これらの捜査はずっと紛い物だったという彼の主張が証明されたと見るでしょう。彼への信頼は再確認されることになるでしょう。

仮に有罪判決を受けたとしても、トランプ元大統領はそれを自分に不利な "不正操作 "が行われた誤審とみなすでしょう。彼の熱烈な支持者は、体制側と戦った殉教者として彼を支持することになるでしょう。

有罪判決が出れば、支持者はさらに活気づき、トランプは一種の擬似的なフォークヒーロー(民衆の英雄)になるかもしれないです。実際、トランプ氏の起訴は、彼の熱烈な支持者を萎縮させるどころか、むしろ動機づけ、再活性化させています。

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2024年1月22日月曜日

デサンティス氏、米大統領選からの撤退表明-トランプ氏支持―【私の論評】2024年大統領選:トランプ氏の優位性と共和党内での台頭、バイデン政権との比較から見る米国と同盟国の未来

 デサンティス氏、米大統領選からの撤退表明-トランプ氏支持

まとめ
  • デサンティス氏が共和党候補指名争いから撤退
  • デサンティス氏はトランプ氏支持を表明
  • 共和党候補の指名獲得レースはトランプ氏とヘイリー氏の2人の争いとなる
ディサンティス フロリダ州知事

 2024年米大統領選挙の共和党候補指名争いで、フロリダ州のデサンティス知事が撤退を表明した。デサンティス氏は、トランプ前大統領を支持する考えを明らかにした。これにより、共和党候補の指名獲得レースは、トランプ氏とヘイリー元国連大使の2人の争いとなる。

 デサンティス氏は、2年前に知事選で地滑り的な勝利で再選を決め、共和党の大口献金者たちから党の将来を担う候補者との評価を受けていた。しかし、今回の大統領選からの撤退は、同氏の政治的命運を揺るがす打撃となる。

 デサンティス氏の撤退を受け、トランプ氏は同氏からの支持を歓迎した。ヘイリー氏は、デサンティス氏の撤退を惜しむコメントを発表した。

【私の論評】2024年大統領選:トランプ氏の優位性と共和党内での台頭、バイデン政権との比較から見る米国と同盟国の未来

まとめ
  • トランプ前大統領は2024年の共和党大統領指名候補として最有力であり、保守派から圧倒的な支持を受けている。
  • ニッキー・ヘイリーは穏健であり、共和党支持層からはRINO(名前だけの共和党員)と見なされ、勝利の可能性がないだろう。
  • デサンティス氏は若く、将来を期待される共和党の有望な候補者でありら、トランプ氏を支持をすることで、将来の大統領選において有力な立場を築くことができる。
  • トランプ氏の2024年の優位性は、支持基盤の強さ、共和党の組織的な支持、実績、経済政策、アウトサイダーとしての成功、メディア操作、支持者の熱狂などに根ざしている。
  • トランプ氏は外交においてもアメリカ・ファーストの政策を追求し、中国に対して強硬な姿勢を示し、中東での和平交渉や対ISISの成功を実現。一方バイデン政権は中国に対して軟化し、中東や外交政策において失敗が続いている。


トランプ前大統領は保守派から圧倒的な支持を得ており、2024年の共和党大統領指名候補の最有力候補であることは、疑いの余地はなくなりました。ニッキー・ヘイリーはRINO(名前だけの共和党員)にすぎません。

彼女はあまりにも穏健で、民主党と協力することを望んでいるようです。トランプ大統領は、米国保守派の価値観を守る唯一の大統領選候補者といえます。デサンティス氏はトランプ大統領を支持するという正しい選択をしました。

デサンティスはまだ若く、共和党内での明るい未来があるので、今明確な勝者を支持したのは賢明でした。2024年のトランプ大統領の地滑り的勝利は、2028年か2032年にデサンティスが出馬する道を開くことになります。

ヘイリーには勝利への道はなく、これ以上の恥をかかないためにも、今すぐ降板したほうが良いと思います。共和党支持層は圧倒的にトランプ大統領を支持しています。

トランプ氏は、減税、国境警備、軍備強化、保守派裁判官の任命など、1期目に多くのことを成し遂げました。多くの有権者は、トランプ大統領があと4年間の大統領の人気を全うすることを望んでいるようです。

ヘイリーや他の穏健派は、支持層を活気づけることも、競争に必要な資金を集めることもできないでしょう。トランプ大統領の集会は大観衆を集め続けており、彼の人気と党内での強さは他の追随を許さない状況です。

ヘイリー氏

2024年の指名は彼のものであり、民主党がいかなる有力な社会主義者を指名しようとも、トランプがこれを打ち負かすでしょう。

現時点でトランプ大統領が2024年の大統領選で圧倒的に有利な理由はいくつかあります。

1.2020年のトランプ大統領の得票数は7400万票を超え、史上2番目の多さでした。彼の支持者は依然として情熱的に忠誠を誓い、関心を持ち続けています。彼らは再びトランプに票を投じるでしょう。

2. トランプ氏は共和党を完全に掌握しています。共和党幹部や候補者は、トランプを支持しなければ有権者の怒りに直面することを理解しています。つまり、党の組織と資金調達装置はトランプを全面的に支援することになります。

 3.トランプ氏には大きな実績があります。トランプ氏は減税を実現し、規制を撤廃し、軍事費を増やし、3人の最高裁判事と200人以上の下級裁判所判事を任命しました。多くの有権者は結これらの成果を支持しており、トランプはかれらにとって好ましい結果を出したのです。

4. パンデミック前のトランプ政権下で経済は好況でした。トランプノミクスは記録的な低失業率、堅調なGDP成長、特にブルーカラー労働者の賃金上昇をもたらしました。経済が回復し続ければ、これはトランプに利益をもたらすでしょう。

5. アウトサイダー候補としての成功。トランプ氏の「沼の水を掃け(Drain the Swamp:抜本的な政治改革を意味する)というメッセージと反体制的な人柄は、通常の政治から切り離されていると感じている多くのアメリカ人の共感を呼んでいます。

彼は、今回も小市民のためのアウトサイダー「ファイター」として再出馬できるのです。

6. メディア報道を支配し、対立候補を定義づけることに長けています。トランプ氏は、ソーシャルメディアを巧みに使い、常に自分に有利な物語を作り出しています。彼は、対立候補を過激な社会主義者として描き、彼らがそれを否定することを迫ります。

7. 有権者の熱狂はトランプに有利。現時点では、トランプ支持者は民主党支持者よりもはるかに元気でやる気があるように見えます。熱意は投票率を押し上げるので、この「情熱の差」はトランプに有利に働きます。

大統領選はまだ先のことではありますが、トランプ氏とその支持者にとっては、自分の立場に非常に自信を持てる理由がたくさんあります。多くのことが変わり得ますが、現時点では、トランプ氏が共和党の指名を獲得し、再びホワイトハウスを手にするためには、明確かつ圧倒的に優位にあるのは間違いないです。

現状では、トランプが優勢であり、トランプ大統領が誕生する確立は高いです。これに対して、多くの国々のメディアや識者は、トランプ外交に脅威を抱いているようです。しかし、失敗続きのバイデン外交をみていれば、私はトランプ外交は、少なくともバイデン外交よりはるかにまともなものになると思います。

トランプ氏は、アメリカの利益を優先する「アメリカ・ファースト」政策を追求しています。バイデンは同盟国や敵対国を喜ばせることに関心があるようで、結果として米国は弱く見えます。トランプのタフで一方的なアプローチは、世界の舞台でより多くの尊敬を集めました。

そもそも、まともな人からみれば、いずれの国の指導者も自国の利益を一番に考えるのが当たり前であって、そうでない指導がいれば、馬鹿か間抜けか、あるいは魂胆があると考えるのが普通です。民間企業の指導者でも、他社の利益のために頑張るというような人間は信用されません。長期的な観点から、国益を追求するのが、まともな指導者のあり方です。

 トランプは中国に対して強硬路線をとり、不公正な貿易慣行に対処させた最初の大統領です。バイデンはすでにトランプの関税の一部を撤回し、中国に対してよりソフトな態度をとっています。

トランプの政策は功を奏し、中国に交渉を迫っていたのですが、バイデンの弱腰は中国を増長させることになるでしょう。

トランプはイスラエルとアラブ諸国との歴史的な和平交渉を仲介しました。バイデンはすでにイスラエルとアラブ諸国関係を緊張させています。トランプは、何十年もの間、他国から遠ざかっていた中東での外交的突破口を開き、懐疑論者が間違っていたことを証明しました。

 トランプは記録的な速さでISISのカリフ制国家を壊滅させました。ISISはオバマ-バイデン政権下で急成長し、トランプはその混乱を一掃しなければなりませんでした。トランプは軍を解き放ち、ISISを迅速に粉砕し、イスラム過激派のテロに対する強さを示しました。

 バイデンは、イラン核合意やパリ協定といった不公正な取引に再び参加しようとしています。トランプは、米国に不利なこれらの取引から当然のごとく脱退しました。

バイデンは、これらの取引に再び参加することで、影響力を失い、見返りも何も得られないでしょう。

トランプはメディアからの批判にもかかわらず、COVIDの蔓延を遅らせる渡航禁止措置をとりました。バイデンはこの禁止措置を「外国人嫌い」と呼びましたが、賢明な措置であることが証明されました。

バイデンの政策がボリティカル・コレクトネスによって推進されているように見えるのに対して、トランプは命を救う可能性の高い厳しい決断を早期に下しました。


バイデンやオバマのより伝統的な政治的アプローチよりも、トランプの堂々とした「アメリカ・ファースト」政策がより良い結果を生んだことは明らかです。それは、米国にとってもその同盟国にとってもそうでした。

メディアはトランプを脅威として描いていますが、彼の政策は世界における米国の地位を強化し、敵対国に責任を負わせ、外交政策で大きな勝利を収めました。トランプの外交は、世界の舞台で米国の影響力を低下させるバイデンの外交よりはるかに優れています。全体として、トランプ氏のリーダーシップのほうが、米国とその同盟国はより安全で安心できる環境をもたらしたといえます。弱い米国は、米国だけではなく、日本含む同盟国にとっても不利益をもたらすのです。

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2018年7月25日水曜日

米ロ会談が酷評でも支持率上昇のトランプ―【私の論評】日米マスコミの報道は鵜呑みにできない、特に総理と大統領関連の報道はそうだ(゚д゚)!

米ロ会談が酷評でも支持率上昇のトランプ

「命運が尽きた」と言われながらも支持層は盤石

ベルギーの首都ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、
北大西洋理事会の会合の会場に到着したドナルド・トランプ米大統領(2018年7月11日)

 西欧訪問やロシアのプーチン大統領との会談を終えた米国のドナルド・トランプ大統領が米国主要メディアから酷評を浴びている。政界でも民主党側はもちろん共和党の一部からも批判が起きた。

 だが、その一方で米国民一般のトランプ大統領支持は5割に近い水準を保ち、共和党支持者の間では一段と高くなっている。激しく糾弾されるトランプ大統領と、支持層を堅く保つトランプ大統領と、まるで2人の人物が存在するかのようだ。

根拠が薄弱な米国メディアのトランプ評

 欧州を訪問し、ロシアのプーチン大統領と会談したトランプ大統領の言動に対して、米国のメディアや民主党系識者たちからは以下のような非難がぶつけられた。

「トランプ大統領は西欧との同盟を破壊する」

「敵であるはずのロシアと手を結ぼうとする」

「トランプ氏は無知で衝動的であり、政策がない」

 トランプ批判の先頭に立つニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストの記事は、このような非難に満ちていた。その筆致はまるでトランプ大統領の命運が尽きたと断じているようでもあった。

 このようにトランプ大統領を切り捨てる論評は、そのほとんどがトランプ大統領のメディアとのやりとりや、トランプ氏自身のツイッターでの発信が根拠となっている。トランプ大統領が正式に発表した政策や決定を基にしているのではなく、記者が個人的な感想を述べるという次元の記事が多いのが実状だ。

 確かにトランプ氏の言動は既成の政治リーダーとは、まったく異なる。単純明快だが、粗雑である。ごく平均的な米国人たちが日ごろ口にするような言葉で、難しい国際問題や国内問題を平易に説明しようとする。そうした言葉遣いは、政治やメディアの世界のエリートとされる層をいらだたせ、怒らせ、反発させる。

 日本でのトランプ評も、米側のそんな傾向に依拠するところが多い。実際に、いまだに以下のようなトランプ評が見受けられる。

「トランプ氏は不動産業出身だから大統領職はまともには務まらない」

「大統領としての行政や統治も、みな損得のディールなのだ」

「トランプ氏の最近の言動はみな中間選挙目当てである」

 だが、こうしたトランプ評は根拠が薄弱であり、明らかに事実と異なる部分もある。まず「不動産業だから」という批判は、不動産業への差別意識だともいえる。かつて1981年に共和党のロナルド・レーガン大統領が登場したとき、民主党側の政治家やメディアは「しょせん彼は映画俳優だったから」と見下す言葉を浴びせた。映画俳優という職業への偏見だった。しかし、現実にはレーガン大統領は米国の政治史でも最高レベルの国民の人気を得る国家指導者として名を残した。

 トランプ大統領は政策や理念ではなく金銭上の損得だけを考えて「ディール」している、中間選挙で共和党の勝利を得るために目先の人気取りだけで動いている──といった批判も、裏付けとなる事実があるわけではない。

国民の支持を得ているトランプ大統領の政策

 米国メディアは、以上のようにトランプ大統領を徹底的に「浅薄、無知、無思慮、無政策、無思想な人物」として描き、「ドン・キホーテのように孤立して奇矯な人物」というレッテルを貼ろうとしている。

 だが現実のトランプ大統領は、決してそうではない。

 私は、2015年6月にトランプ氏が大統領選への立候補を宣言したときから大統領選キャンペーン中の彼の言動を追い、トランプ氏が大統領に就任してからも、その政策や演説を取材してきた。また、トランプ大統領の支持層にも接してきた。その体験を踏まえて彼を眺めると、どうしても異なるトランプ像がみえてくる。

 今、話題になっているトランプ大統領の欧州への防衛政策やロシアへの態度に焦点を当てて説明しよう。

 今回の欧州訪問で北大西洋条約機構(NATO)の首脳会談に出席したトランプ大統領は、NATOの欧州側加盟国に防衛費の増額を強く要求した。加盟各国は最低限、GDP(国内総生産)2%の防衛費支出をするという約束を守れ、という要求だった。

 トランプ氏のこの要求は、NATOを壊す動きだとして広く報道された。トランプ氏はきわめて衝動的であり、米欧同盟の破壊につながるという批判も多かった。

 しかし実際には、トランプ氏は「NATO諸国の防衛費負担の増大」を2016年4月の大統領候補として初の外交演説で第1の公約として挙げていた。当時から一貫して変わらない「公正な負担を」という政策なのだ。国民から広く支持を得ている政策であり、オバマ前政権もこの政策を推していた。

 また、トランプ大統領は「NATO体制の維持と強化」も政策として掲げてきた。昨年(2017年)末から今年初頭にかけてトランプ政権が発表した「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」でも、大統領として明言している。米国が主体となって進めるNATOの維持や強化は、今回のNATO首脳会議での共同声明でも確認された。トランプ大統領はNATO堅持を主張した上で公正な負担を求めているのだ。

 ロシア政策にしても、トランプ大統領は前記の「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」の中で、ロシアをはっきりと米国主導の国際秩序を侵食し、破壊することを企図する危険国家として位置づけてきた。トランプ大統領はプーチン大統領と握手はしても、ロシアのクリミア奪取を許してはいない。ロシアへの経済制裁もまったく緩めていないのだ。

 トランプ政権のロシアへの基本姿勢は、軍事力の強化によっても明らかだといえる。トランプ大統領は2017年9月の国連演説で「原則に基づく現実主義」という理念を掲げ、国家主権に基づく「力による平和」という政策を語った。それとともに、潜在敵であるロシアや中国の膨張を抑えるために、軍事力を大幅に強化し始めた。トランプ政権の2018年度の国防予算は、前年度から13%増加し、GDPの4%ほどに達している。

トランプ大統領はもう1人いる?

 だが、反トランプのメディアはそうした政策をほとんど取り上げない。その代わりにトランプ大統領の自由奔放な発言、放言、失言を引き出して、集中砲火を浴びせる。 

 それでも、米国一般のトランプ支持は揺らがない。大手世論調査機関で唯一、毎日、大統領支持率の調査を実施するラスムセン社の発表では、トランプ大統領への一般米国民の支持率は45%以上であり、ときには50%近くにもなる。この支持率はこの数カ月間、上昇傾向にある。

 さらにトランプ大統領への支持の特色は、本来の支持層の支持がきわめて堅固であり、しかも増加の動きをみせている点である。ごく最近でもその支持率は85%以上の高い水準にある。「命運が尽きた大統領」というイメージとはほど遠いといってよい。

 7月24日の報道でも、トランプ・プーチン会談の最中と直後の7月中旬に、ウォール・ストリート・ジャーナル紙とNBCテレビが共同で実施した全米世論調査では、トランプ大統領への支持率が前回の44%から45%に上昇したという。ネット・メディアの「ザ・ヒル」の同時期の世論調査では共和党支持層のトランプ大統領への支持率は88%という記録破りの数字を出したという。

 こうした諸点をみてくると、米側の反トランプメディアや日本側のいわゆる識者の多くが描くのとは異なる「もう1人のトランプ大統領」を、私はどうしても実感させられるのである。

【私の論評】日米マスコミの報道は鵜呑みにできない、特に総理と大統領関連の報道はそうだ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にもでている、米国の調査会社ラスムッセン社が毎日行っている世論調査で、今年2月27日にはトランプ大統領の業績を支持する者が50%となりこの内35%が「強く支持」していました。一方不支持率は48%で「強く不満を持つ」は39%でした。

トランプ大統領の支持率が50%になるのは昨年6月中旬以来のことです。その後30%台にまで転落していたのですが昨年暮れ以降上昇機運にありました。

この50%という支持率が高いのかどうかですが、オバマ前大統領の第一期目の同時期の支持率が43%であったのと比較すると、かなり良い数字だと考えざるを得ません。

その原因ですが、時期的に見るとトランプ大統領に大きな影響力を持っていた超保守派のスティーブ・バノン前主席戦略官が暴露本「炎と怒り」に、大統領の娘イバンカさんや娘婿クシュナー氏を批判する発言を引用されて、ホワイトハウスから完全に放逐されたことと重なります。

暴露本「炎と怒り」

その後トランプ大統領の口から「アメリカ・ファースト」という言葉も出なくなり、政策的にも移民に同情的だったり、今年3 月のフロリダの高校での銃乱射事件でも銃規制強化を提案したり柔軟な姿勢が見えるようになったことが支持を拡大した可能性が大きいです。

ただ、同時期に発表されたCNNの世論調査ではトランプ大統領への支持は35%で過去最低と並んだとされました。片やラスムッセン社がトランプ大統領は「評価されている」としたのに対して「最低水準」という結果はどうして生まれたのでしょうか。

トランプ大統領の支持率を伝えるCNNの画面

同じ疑問を米国でも持ったようで、ワシントンの保守系のニュースサイト「デイリー・コーラー」が分析を試みていました。

同サイトはまず回答者について調べた結果、CNNの場合「民主党支持者」33%「共和党支持者」23%「その他」44%となっていることに着目した。通常米国国民の内共和党を支持する者は37%とされているので、14%ほど民主党寄りの回答者が多かったのではないかと指摘しました。

次に、回答者の選び方もCNNが「18歳以上の成年男女」としたのに対してラスムッセンは「投票すると回答した有権者」だった。大統領選挙の投票率は通常50%前後なので、世論調査の対象としては「投票する」とした有権者の方が正確を期せるといいます。

さらに、CNNの調査は調査員が電話で尋ねる方法をとりますが、この場合回答者が調査員の意向をしんしゃくする場合があるのでラスムッセンのように録音メッセージで機械的に行う方が好ましく「CNNは調査のデータをねじ曲げ(skewing)た」と「デイリー・コーラー」は断じています。

CNNが「ねじ曲げた」かどうかはともかく、ラスムッセン社の世論調査は一昨年の大統領選の際にトランプ候補とクリントン候補の得票差をほぼ正確にとらえていたことで評価されており、いまトランプ大統領が上り調子であるという調査結果は素直に受け入れても良いと認識すべきと思います。

実際、ブログ冒頭の記事にも「大手世論調査機関で唯一、毎日、大統領支持率の調査を実施するラスムセン社の発表では、トランプ大統領への一般米国民の支持率は45%以上であり、ときには50%近くにもなっている」とあります。そうして、この支持率はこの数カ月間、上昇傾向にあります。

CNNといえば、昨年ドナルド・トランプ米大統領の上級顧問がロシア疑惑で連邦議会の調査を受けているという記事を米CNNが撤回し、CNNは26日、関わった記者3人の辞職を発表していました。

CNNを辞職したのは、記事を担当したトマス・フランク記者、調査報道部門編集者でピュリツァー賞受賞経験もあるエリック・リクトブラウ氏、調査報道部門の責任者のレックス・ハリス氏。

米国のCNNや他の報道機関の報道でも、トランプ大統領に関する報道は偏向しているとみるべきでしょう。やはり、ラスムッセン社の世論調査などを参照すべきです。

日米マスコミのトランプ報道は鵜呑みにできない

そもそも、このブログでも過去に何度か述べているように、米国のマスコミはリベラル派が牛耳っています。新聞はすべてが、リベラル派です。テレビ局では唯一フォックスTVだけが、保守派で他はリベラルです。

報道する時の視点はすべてリベラル派の視点からによるものです。米国のマスコミの報道だけを見ていると、それは米国の半分だけみていることになり、もう半分の保守派についてはスルーすることになります。

日本のメディアの安倍総理報道も鵜呑みにできない

それは、日本の安倍総理の報道も、産経新聞などを見ることなく、朝日新聞やテレビ報道を真に受けていれば、とんでもないことになると同じことです。

日米双方とも、マスコミの大部分は偏向しているとみなすべきです。そもそも、両方ともトランプ大統領の登場を予測できませんでした。そんなマスコミを単純に信じ込むことはできません。

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2024年3月5日火曜日

米最高裁がトランプ氏出馬認める決定 コロラド予備選、トランプ氏「大きな勝利」―【私の論評】トランプ氏の政策シンクタンク、アメリカ第一政策研究所(AFPI)に注目せよ

米最高裁がトランプ氏出馬認める決定 コロラド予備選、トランプ氏「大きな勝利」

まとめ
  • 連邦最高裁が、トランプ前大統領が2021年1月の連邦議会襲撃事件で「国家への反逆」への関与を理由に否定された出馬資格を覆し、コロラド州予備選への出馬を認める判決を出した。
  • 判決は修正第14条に基づく連邦レベルでの出馬可否判断の権限が各州にないとの立場。
  • トランプ氏は判決を受けて「米国にとって大きな勝利」との声明を発表し、司法上の大きな成功となった。

トランプ氏

 米連邦最高裁は、2021年1月の議会襲撃事件におけるトランプ前大統領の「国家への反逆」への関与を巡り、コロラド州最高裁の出馬資格否定判断を覆し、トランプ氏が同州予備選に出馬できるとの決定を下しました。この判決は、トランプ氏が大統領選に再出馬する可能性に大きな影響を与えるものとなった。

 事件の背景には、連邦憲法修正第14条が立ちはだかっていた。コロラド州最高裁は、トランプ氏が2020年の大統領選敗北を扱うために支持者を扇動し、議会襲撃を引き起こしたと認定し、これに基づいて修正第14条の対象と判断した。しかし、トランプ氏はこれに不服を申し立て、連邦最高裁に上訴していた。

 最高裁の判断は、州が公職に就く資格を判断する権限がある一方で、修正第14条に基づいて連邦レベルでの出馬資格を判断する権限はないというものだ。この立場から、トランプ氏のコロラド州予備選への出馬は許可された。この判決は、トランプ氏にとっては司法上の大きな勝利であり、他の州でも同様の争いが続く中で注目されている。

 トランプ氏は判決を受けて、同日に「米国にとって大きな勝利だ」との声明を発表した。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】トランプ氏の政策シンクタンク、アメリカ第一政策研究所(AFPI)に注目せよ

まとめ
  • トランプ前大統領がコロラド州での予備選出馬を連邦最高裁で認められた。
  • 連邦最高裁は、修正第14条に基づく出馬資格判断は州にはないとし、コロラド州最高裁の判断を覆した。
  • トランプ氏は判決を歓迎し、裁判所が選挙に介入するべきでないと強調した。
  • 最新の世論調査によれば、トランプ氏はバイデン大統領に対し支持率が上回り、特に共和党支持者の中で熱狂的な支持がある。
  • トランプ政権下での日米関係は、緊密で安定していた。アメリカ第一政策研究所(AFPI)は日米関係を重要視する発言をしており、トランプ氏の再出馬に向けて重要な情報源となっている。
米連邦最高裁

今回の判断は米連邦最高裁判事9人全員一致によるものでした。トランプ氏は4日、フロリダ州で演説し「非常に重要な決定だ。有権者は(投票によって候補者を)選挙戦から排除することができるが、裁判所がすべきではない」と最高裁の決定を歓迎しました。

今回の訴訟では、コロラド州最高裁が昨年12月、トランプ氏が2021年の米議会占拠事件に関わったと認定し、反乱に関与した人物が官職に就くことを禁じた米国憲法修正14条3項に抵触するとした判断を巡って争われていました。

連邦最高裁は「連邦政府の高官や(大統領)候補に対する14条3項の規定を執行する権限は州にはない」と判断しました。占拠事件を巡るトランプ氏の関与については言及しませんでした。

5日にコロラドを含む15州で共和党の予備選などが集中する「スーパーチューズデー」を控える中、返り咲きを狙うトランプ氏には追い風となりました。

米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は2日、2月下旬に実施した最新の世論調査結果を報じました。11月の大統領選に向けた支持率では、トランプ前大統領(77)が48%を得て、バイデン大統領(81)の43%を上回りました。2人の支持率は5ポイント差で、昨年12月の前回調査(2ポイント差)と比べてやや広がりました。

今回の調査で浮かび上がったのは、バイデン氏の不人気ぶりです。同じ2人の対決だった2020年大統領選前の調査と比べると、バイデン氏を「好ましい」と答えた人は52%から38%に大きく減少しました。これに対し、トランプ氏を「好ましい」と答えた人は43%から44%と微増でした。「トランプ氏は4年前と同様に不人気だが、それを下回るほど今のバイデン氏は不人気だ」と同紙は報じている。

各党内では11月の本選に向けた予備選が続いていますが、2人が各党の指名候補に選ばれることは確実視されています。共和党支持者の間では、トランプ氏が指名獲得することに「熱狂を感じる」と答えた人が48%に達しました。だが民主党支持者では、バイデン氏の指名獲得に「満足するが、熱狂はしない」と答えた人が43%で最も多かったとしています。

トランプ氏が再び大統領に帰り咲く可能性が高まってきました。そうなると、日米関係は最悪になると、警戒するメディアや識者が存在します。しかし、日米双方のメディアによるトランプ氏への解釈には矛盾があり、当初トランプ氏は選挙での敗者であると報じられていましたが、予備選での圧勝が示すように、その見方は誤りだったことが証明されました。

その後のメディアや一部の識者が語る「再選されたトランプ氏がもたらすリスク」に関しても、事実に基づかない恐怖心を煽るものであり、そのような反トランプの感情が分析をゆがめているようです。

トランプ政権下での日米関係は、一部のメディアや識者危惧したような緊張状態にはありませんでした。トランプ氏と当時の安倍晋三首相の元で、日米関係は主要な国益に基づいて緊密で安定して機能していました。2017年の初の公式会談や、その後のフロリダでのゴルフを含めた交流は、この緊密な関係を象徴するエピソードといえます。

フロリダでゴルフを楽しトランプ大統領と安倍総理

アメリカ第一政策研究所(AFPI)が提唱する"アメリカ第一"の方針は、外交政策においてもその基本姿勢を示しています。これは選挙戦に際してトランプ陣営が支持し、掲げる政策の方向性を示すものですが、これが必ずしも孤立主義や同盟破棄につながるわけではありません。

アメリカ第一政策研究所(American First Policy Institute, 通称:AFPI)は、ドナルド・トランプ元大統領の政策を支援し、彼の政治哲学「アメリカ第一」を推進するための政策研究機関です。2021年4月にトランプ政権の退陣から3ヶ月後に新設されました。

米国が自国民の安全、繁栄、福祉を確立することで、国際的にも平和と安定への寄与を目指しているとされています。そのため、トランプ氏の政策を支持し、政策面で彼の陣営の主張をまとめる活動を展開しています。

本部はワシントンD.C.にあり、150人前後のスタッフが常時活動しています。トランプ氏の批判者が多いとされるメディアでは活動の取り上げが少ない傾向にあり、AFPIの知名度や影響力が十分に伝わっていない可能性があります。

トランプ氏の大統領に返り咲きがあり得る状況になった現在、この研究所の発する情報は、さらに重要性を帯びてきました。特にトランプ氏が再び大統領になったときに、どのような政策をするかを占うには、この研究所の存在は無視できない存在になりつつあります。

トランプ氏が大統領になった場合を想定するには、偏った識者やメディアなどの情報だけを鵜呑みにせずに、まずはこの研究所の発信している情報を確認することをおすすめします。

AFPIのポータル画面

以下にAFPIのポータルサイトのURLを掲載します。


メディアによる過激な解釈の裏には、事実に基づかない感情や過去の誤解が横たわり、これらが日米関係に関する不安を不必要に煽る結果を招いている可能性があります。将来の日米関係は、トランプ元大統領の政策と、その実際の施行に関する検証を経て理解されるべきでしょう。

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2022年11月22日火曜日

ハーバード世論調査:トランプがデサンティスに18ポイント差で勝利、仮定上の2024年共和党予備選挙で―【私の論評】 中間選挙でトランプの共和党内での立場は盤石になり、現状で大統領選の最有力候補に(゚д゚)!

ハーバード世論調査:トランプがデサンティスに18ポイント差で勝利、仮定上の2024年共和党予備選挙で


<引用元:ブライトバート・ニュース 2022.11.18
最新のハーバードCAPS・ハリス世論調査で、共和党の2024年大統領予備選挙を仮定した場合にドナルド・トランプ前大統領がフロリダ州のロン・デサンティス知事に18ポイントリードし、明らかな最有力候補者であることがわかった。

世論調査では、共和党有権者の46パーセントがトランプを支持していることがわかった。一方デサンティスの支持者は28パーセントだった。

2024年に大統領選挙に出馬するとの憶測が多いマイク・ペンス前副大統領は、わずか7パーセントの支持率だった。テッド・クルーズが3パーセントで4位に着け、ニッキー・ヘイリー、マイク・ポンペオ、そしてティム・スコットはいずれも2パーセントだった。

ハーバード世論調査は、先週の中間選挙後、そしてトランプの2024年大統領選挙出馬の発表後に実施された。

「アメリカを再び偉大で輝かしくするために、私は今夜合衆国大統領に立候補することを発表します」とトランプは、15日にマーアラゴの私有地で支持者の聴衆に語った。

また世論調査では、デサンティスならジョー・バイデン大統領と同点となるが、トランプであれば2024年のリターンマッチを仮定した場合にバイデンに勝利することもわかった。

仮定上のリターンマッチでは、有権者の42パーセントがバイデンを支持するのに対し44パーセントはトランプを支持する。調査ではまた、仮定上の選挙でトランプがカマラ・ハリス副大統領を7ポイント差で破ることもわかった。

一方デサンティスとバイデンは調査では43パーセントで同点となった。

調査ではほとんどの有権者がバイデンの精神面の健康状態に疑問を持っており、2期目の出馬を行うべきでないと考えていることもわかった。

ハーバードCAPS・ハリス世論調査は2,212人の登録済み有権者に対して11月16日から17日まで実施された。

【私の論評】 中間選挙でトランプの共和党内での立場は盤石になり、現状で大統領選の最有力候補に(゚д゚)!

上の記事にでてくる、フロリダ州のロン・デサンティス知事、州知事選で、民主党の対立候補に圧勝して知事再選を果たし、2024年の次期大統領選に向けた共和党の「新星一番手」という地位を確保したとみられる人物です。

ロン・デサンティスフロリダ州知事

トランプ前大統領が15日に次期大統領選への再出馬を正式表明すると予測される中で、デサンティス氏は、自らの政治生命を賭けてトランプ氏と共和党大統領候補の座を争う覚悟があるのかどうか決断を求められることになります。

日本では、ほとんどのメディアは中間選挙は、共和党の完璧な敗北であり、その責任の一旦はトランプにあり、トランプの大統領復帰など、あり得ないという論調です。

しかしこれは一方的な見方にすぎないことをこのブログでは、主張しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
暗号資産FTX経営破綻 米で12月に公聴会へ 債権者は100万人超か―【私の論評】トランプの大統領選を有利にする、民主党リベラルの大スポンサーFTXの経営破綻(゚д゚)!
サム・バンクマンフリードFTX前最高経営責任者(CEO)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より一部を引用します。
トランプ氏の次期大統領選出馬表明について日米のメディアは強く批判ばかりしています。その最大の根拠は「中間選挙で共和党が惨敗」したという見方です。

しかし上院で今回選挙戦が争われたのは35選挙区です。民主党の改選議席数は14(非改選36)、共和党の改選議席数は21(非改選29)下院は共和217、民主207。これでは、共和党が惨敗とはいえません。むしろ、選挙戦そのものでは共和党のほうが勝っているともいえます。

そうして、トランプが支持した候補は予備選等も含めて235人当選し、敗北は22人です。これもトランプが敗北したとはいえません。

そうでなけば、2024年の大統領選に出馬することを表明したりはできなかったでしょう。

日本のメディアは、米国のリベラルメディアの報道を垂れ流すのみで、以上のようなことを報道しません。
無論、共和党は中間選挙で旋風を起こせなかったのは事実です。ただ、それを全部トランプのせいにするのは、あまりに無責任といわざるをえません。

この記事で主張したように、共和党は「トランプ党」なのか「反トランプ党」なのかを明確にしないまま、選挙戦に突入したのに対して、民主党はインフレなど不利な面があったので、より結束を強めて選挙戦に突入することができました。

そのため、共和党は中間選挙では旋風を起こすことができなかったのです。しかしながら、朝日新聞は以下のように伝えています。
 トランプ氏は選挙後、米FOXニュースに対し、推薦した候補の大半が当選したとして「我々はとてつもない成功を収めた」と語った。米紙ワシントン・ポストによると、トランプ氏は上院で21人、下院で156人の計177人を推薦した。米CNNによると21日時点で、上院では15人、下院では148人が当選を確実にしている。「トランプ派」の推薦候補のうち9割超が当選したことになる。

 ただ、朝日新聞は、続けて、中間選挙の選挙区を「共和党有利」「接戦区」「民主党有利」の三つに分類すると、トランプ氏が推薦した先は「共和党有利」の候補ばかりだとしています。

ただ、トランプ氏がなぜ推薦を行ったかといえば、トランプ派の議員をなるべく増やすためです。この目的を成就するためには、共和党が有利な選挙区で、トランプ派の議員が立候補していれば、その議員を推薦し、反トランプ派の議員が立候補している場合は、刺客を送り、反トランプ派の議員を落選させることが、最も効率的ですし、効果的です。

これは、このブログでも以前述べましたが、ワイオミング州で8月16日、連邦下院選の共和党候補を決める予備選が行われた結果、昨年の連邦議会占拠事件を巡ってトランプ前大統領への批判を強める現職のリズ・チェイニー氏(56)が、トランプ氏の推薦を受けた「刺客」候補に敗れたことをみても明らかです。


トランプ氏の推薦候補は、上下両院の共和党の当選候補のうち7割近くを占めています。今後の米議会でも、トランプ派が共和党内で存在感を保つことは確かです。私自身、今回の中間選挙でトランプ氏の共和党内での立場は強くなったとみています。

確かに共和党の大統領候補指名レースに限れば、トランプ氏はデサンティス氏を含む他のどの政治家に対しても優位に立つとみられます。党の支持層の間では高い人気を維持し、手元にある潤沢な選挙資金はこれからさらに増えていく一方でしょう。

それを見越している人が多いからこそ、最新のハーバードCAPS・ハリス世論調査で、共和党の2024年大統領予備選挙を仮定した場合にドナルド・トランプ前大統領がフロリダ州のロン・デサンティス知事に18ポイントリードし、明らかな最有力候補者であることがわかったのだと考えられます。

トランプ氏が2024年の大統領選挙における有力な候補であることは間違いないです。ただ、一つトランプ氏にとって不安材料があります。それは、今回の中間選挙で共和党が「共和党旋風」を起こせなかった原因となった、共和党が「トランプ党」でいくか、「反トランプ党」でいくかをはっきりさせないことです。

これが、はっきりしなければ、トランプ氏も、共和党も「勝てる選挙」でも勝てなくなってしまう可能性があります。

共和党としては、どちらの道を行くにしても、早い時期に決めて、決まった以上は一致団結して、選挙戦に望み、次の選挙では、共和党旋風を巻き起こすべきと思います。

過去をみると、共和党政権にとっては、日本にとって良いことが多く、民主党政権のときはあまり良くなかったと思います。


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2024年3月22日金曜日

もしトランプ政権になれば その2 NATO離脱ではない―【私の論評】トランプ氏のNATO離脱示唆はメディアの印象操作?アメリカ第一政策研究所の真の見解

もしトランプ政権になれば その2 NATO離脱ではない

古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)

「古森義久の内外透視」

まとめ
  • 民主党側は「トランプ大統領はNATOから離脱する」と警告する。
  • しかし、トランプ氏はNATOからの離脱ではなく、強化の実効策をとっていた。
  • トランプ氏の基本姿勢、「力による平和」と「抑止」は二期目も変わらないであろう。

 トランプ政権時、一部メディアがトランプ大統領がNATO離脱を示唆していると報じた。しかし、それは事実と異なる誇張であった。トランプ氏は確かに、防衛費負担が不十分な加盟国に対し、有事の際は防衛しない可能性を示唆した発言をしていた。しかし、それは単なる交渉の材料であり、真意はNATO全体の強化にあった。

 実際、トランプ政権はNATO堅持を国家安全保障戦略に明記し、NATO加盟国バルト3国に対する対ロシア抑止力強化にも取り組んだ。さらに、防衛費増額に応じないドイツからは一部米軍をポーランドに移駐させるなど、同盟国に公平な負担を求める措置を講じた。しかし、これらはNATO離脱を志向するものではなく、むしろ同盟の強化を目指す動きだった。

 一方で、トランプ政権は中国の脅威、特に軍事拡張への対決姿勢を鮮明にした。歴代政権の対中関与政策の失敗を宣言し、大規模な国防費増額で中国の軍事攻勢を抑えようとした。ロシアや北朝鮮に対しても強硬な姿勢を貫いた。対中戦争への備えとして「想定される対中戦争への準備と勝利できる能力の保持」を掲げ、「力による平和」「抑止」を基本姿勢とした。この軍事重視の姿勢は、バイデン政権の思考とは根本的に異なるものだった。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】トランプ氏のNATO離脱示唆はメディアの印象操作?アメリカ第一政策研究所の真の見解

まとめ
  • 一部メディアがトランプ氏の発言を切り取って「NATO離脱」との印象操作を行った。
  • トランプ氏は実際に「NATO強化に向けた交渉の道具」としての発言をしただけであった。
  • アメリカ第一政策研究所(AFPI)は、トランプ政権の政策理念を継承する保守系シンクタンク。
  • AFPIは「アメリカ第一主義」の立場から、同盟よりも米国益を優先する発言をする一方で、NATOの集団防衛の重要性を否定したことはない。
  • トランプ氏が再選されても極端な政策の実施は避けられる可能性が高い。

NATO旗

マスコミはトランプ氏が大統領を退いた後でも、NATO離脱を示唆していると報道しています。

具体的には以下のようなメディアの報道があげられます。
  • 2022年1月にニューヨーク・タイムズは「トランプ氏は大統領に返り咲いた場合、NATOから離脱する可能性がある」と報じた。
  • 2022年1月、NPR(全米公共放送)は「トランプ氏は欧州諸国が防衛費を増やさなければ、米国はNATOから撤退する可能性がある」と伝えた。
  • これらの報道では、トランプ氏が実際に発言した「防衛費を払わない国はロシアの攻撃を米国が守らないかもしれない」という条件付きの発言を、文脈を無視して「NATO離脱」と誇張した形になっている。
  • トランプ氏自身は後にFOXテレビで「私の発言はNATO強化に向けた交渉の道具にすぎない」と釈明している。
このように、一部メディアはトランプ発言の一部を切り取り、「NATO離脱」との印象操作を行ったと考えられます。

最近の日本のメディアでも、トランプ氏の「NATO離脱」をほのめかす報道がなされています。
  • NHKでは、「トランプ前大統領発言 試されるNATOの結束」という解説記事で、トランプ氏が任期中にNATOの加盟国に対して十分な軍事費を負担しない場合の防衛義務の不履行に言及したことを報じている。(2024年2月13日 )
  • 日本経済新聞では、トランプ氏が再選された場合にNATO離脱を示唆したという内容の記事が掲載されている。(2024年3月11日)
このような印象操作には惑わされないようにすべきです。そうして、このような切り取り等の印象操作に惑わされないようにするには、確かな情報源にあたることをおすすめします。

その一つとして、アメリカ第一政策研究所の発信する情報があります。

アメリカ第一政策研究所(America First Policy Institute)は、2021年に設立された保守系のシンクタンクです。元トランプ政権の高官らが中心となって設立され、トランプ前大統領の「アメリカ第一」の政策理念を継承・推進することを目的としています。

設立当初、AFPI設立に関わった有力者には以下のような人物がいます。

国務大臣時代のポンペオ氏
  • ポンペオ、前国務長官-トランプ政権の国務長官であり、創設者の一人に挙げられる。
  • ドナルド・トランプ・ジュニア - ドナルド・トランプ元大統領の息子。
  • ブルック・ロリンズ - トランプ大統領の元国内政策審議会ディレクター。
  • ラリー・クドロー(Larry Kudlow) - トランプ政権下で国家経済会議の元ディレクター。
  • リック・ペリー - トランプ政権下の元米エネルギー長官。
  • ラス・ヴォート - トランプ政権下の前管理予算局長。
  • ロバート・ライトハイザー - トランプ政権下の元米通商代表。
主な活動は以下のようなものです。
  • トランプ政権時代の政策を分析し、今後の共和党政権に向けた政策提言を行う
  • 移民制限、対中強硬姿勢、保護貿易主義などトランプ路線の政策を支持
  • 中間層への経済支援策や経済ナショナリズムの推進を唱える
  • ワークショップ開催やメディア露出を通じて、保守層への影響力行使を図る
共和党内でトランプ支持層の影響力が根強いことから、同研究所の発言力は大きいと見られています。

アメリカ第一政策研究所(AFPI)は、NATOに対して複雑な見解を持っているようです。彼らのイデオロギーの中核はアメリカの利益を優先することにあり、それが国際的な同盟関係に対する懐疑につながることもあるようです。しかし、NATOの価値を否定するような主張はしていません。

以下は、その姿勢に関する要点です。

アメリカ第一主義:  AFPIは「アメリカ第一主義」の外交政策を推進し、同盟関係よりもアメリカの国益を優先します。そのため、NATOのコミットメントが米国の利益に合致しているかどうかを疑問視する可能性があります。ただ、アメリカ政府が国益を重視するのは当然であり、民主党政権などの政策は、特に移民問題、外交等で必ずしもそうはなっていないことを批判する立場を明確にしているといえます。

同盟強化の支持:「 アメリカ第一」という立場から、AFPIはNATOを支持しています。特に、最近のロシアのウクライナ侵攻を受けて、AFPIに所属する退役中将はフィンランドとスウェーデンのNATO加盟への支持を表明し、強固な同盟関係の重要性を強調しました。

全体として、NATOに対するAFPIのスタンスは進化しているようです。一般的には同盟の費用対効果に疑問を呈するかもしれないですが、ウクライナ戦争のような最近の出来事によって、集団防衛におけるNATOの重要性をさらに認める方向にあるようです。

要するに、柔軟な立場を示しているようです。トランプ氏には、譲れない立場や理想等があるでしょうが、それにしてもそれを実現するために、国際情勢を読み間違えたり、政策の順番を間違えれば、とんでもないことになりかねません。

その危険性については、トランプ氏自身が恐れていることでしょう。だからこそ、AFPIを設立し、様々な政策提言などをさせるようにしているのです。

よってトランプ氏が大統領に再選されたにしても、極端な政策が実施される可能性は少ないでしょう。しかし、そもそもトランプ氏が大統領在任中に極端な政策を実行したでしょうか。

岸田首相とバイデン大統領

たとえば、トランプ氏の移民政策はかなり批判されましたが、大局的に見れば、バイデン政権の移民政策はトランプ政権とさほど変わっていないと言えます。

両政権とも、基本的には不法移民の流入を抑制し、国境管理を厳格化する方針は同じです。法の執行や送還措置においても、大きな方針転換はみられません。

ただ、バイデン政権の動きには共和党から"緩め過ぎ"と批判されていて、実際その弊害もありますが、移民問題における両政権の政策の違いは、細部や具体的な手段の違いにとどまり、全体としては不法移民抑制と国境強化という大本の方針で大きく変わっていないと言えます。

理想や理念を語ることと、実際の政治とはまた別ものです。トランプ政権になれば、とんでもないことになるという見方は間違いだと思います。実際に政権運営をした結果で評価すべきです。

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2020年10月3日土曜日

トランプ氏、コロナ感染は「逆風」か「追い風」か 最先端「抗体カクテル療法」実施、軽症&早期回復なら大逆転再選も―【私の論評】トランプが2週間の隔離プロセスが終了直後の第二回討論会に出られれば、完璧な「オクトーバーサプライズ」になる(゚д゚)!

 トランプ氏、コロナ感染は「逆風」か「追い風」か 最先端「抗体カクテル療法」実施、軽症&早期回復なら大逆転再選も


マスク姿でホワイトハウスを出るトランプ大統領

 米国が非常事態だ。新型コロナウイルスに感染したドナルド・トランプ大統領(74)は米国時間2日、首都ワシントン郊外の軍の医療施設に搬送された。発熱や倦怠(けんたい)感などの症状があり、臨床試験中の人工抗体薬で治療している。米軍の最高司令官でもあるトランプ氏の容体が今後、重症化する事態となれば、世界の安全保障体制に与える影響も大きく、1カ月後の大統領選にも大打撃だ。一方、軽症で回復すれば、大逆転再選の目も出てくる。 

 「これから病院に行く。私は元気だと思うが、念のための措置だ」

 トランプ氏は2日、ツイッターに動画を投稿、健在ぶりを強調した。

 スーツにマスク姿でホワイトハウスの庭に駐機した大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」に歩いて乗り込み、ウォルター・リード国立軍事医療センターに入院。予防的措置としており、数日間、同施設内で執務に当たる。

 CNNは、トランプ氏に2日朝から発熱の症状があると報じた。同日昼の電話会合に出席せず、マイク・ペンス副大統領(61)が代わりを務めた。

 ホワイトハウスはトランプ氏の同日午後の状態について「倦怠感がある」とする専属医の記録を公表。米製薬企業リジェネロンが開発し、臨床試験中の人工的な抗体による薬の投与を受けていると明らかにした。

 リジェネロン社は、2つの抗体を組み合わせた「抗体カクテル療法」の臨床試験で、患者のウイルス量が減り、症状が軽減されたとの結果を発表している。

 西武学園医学技術専門学校東京校校長で医学博士の中原英臣氏は、「抗体カクテル療法は、2つのモノクローナル抗体を組み合わせて用いる治療法だ。1つの抗体よりも2つを組み合わせた方が治療効果があると見込まれている。米国では最近認められた治療法で、最先端の治療の一つを利用するということだろう」と解説する。

 最大の関心事が1カ月後の大統領選への影響だ。トランプ氏の選対本部は2日、11月の大統領選に向け計画している集会やイベントはオンラインで実施するか延期すると発表した。

 これに対し、9月29日の第1回候補者討論会でトランプ氏と激論を交わした民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)は2日、検査を受けた結果、陰性だったと明らかにした。

 拓殖大海外事情研究所の川上高司教授は、トランプ氏の容体について「重症化や死亡といった万一の事態も想定しうる。その場合、ペンス副大統領が大統領候補になり、副大統領候補を再度選出するため共和党大会が開催されるが、間に合うか分からない」と指摘する。

 トランプ陣営にとって危機的な状況に陥ったことは間違いないが、トランプ氏が軽症で早期に回復した場合は、別のシナリオも浮上する。

 「トランプ氏が体力的に回復して、健康な姿を見せることができれば、国民や共和党員の支持を集めるだろう。バイデン氏がコロナ対策の追撃をためらうようなことがあれば、トランプ氏が有利になることも考えられる」と川上氏は語る。

 バイデン氏は2日、激戦州の一つ、中西部ミシガン州のイベントに参加し、トランプ夫妻の早期回復を祈っていると表明した。バイデン陣営は、トランプ氏を攻撃するネガティブキャンペーンも取りやめた。

 米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏は、トランプ氏の入院が、かえって存在感を高めるのではないかと強調する。

 「トランプ氏が激戦区を訪れることができないのは確かに痛いが、経済では2日に発表された雇用統計でも、失業率が7・9%と5カ月連続で改善しているという実績もある。民主党やメディアに攻撃され続けてきたトランプ氏だが、今回のコロナ感染によって、『もう4年続けてもらわないと困る』と国民が目を覚ますことになるだろう。メディアの報道もトランプ氏の容体に時間を割いており、バイデン氏が何かを発言したところで国民には響かない」

【私の論評】トランプが2週間の隔離プロセスが終了直後の第二回討論会に出られれば、完璧な「オクトーバーサプライズ」になる(゚д゚)!

米国主要メディアは火曜日の夜に行われた討論会を「史上最悪の討論会」などとトランプ大統領をこき下ろして報道していますが、日本のメディアもそれを鵜呑みにして一緒にこき下ろして報道していて滑稽です。

米メディアがトランプ氏をこき下ろしている理由は次回の討論会までに討論会のルールを変更しようという魂胆があるからです。そうしないとバイデン氏が残り2回も討論会を生き残れないからです。

討論会でのバイデン

そのようなことも理解せずに日本のメディアはそのまま米メディアの翻訳して報道していて本当に情けない限りです。何やら司会者が討論者のマイクの電源を切れるような「サイレント・ボタン」を設置するのはどうか?などといった話も出てきています。

そんな機能が司会者側に設置されれば、機関銃のように喋れるトランプ大統領には不利になります。バイデン氏は討論の途中、やはり単語が出にくい場面がありました。やはり認知症の疑いがあるのではないかと私は感じました。

NBCの人気ドラマ「The Blacklist ブラックリスト」(日本ではNetflixでみられます)に出てきたモサドのエージェントでFBIに潜入したサマルという捜査官が任務中の事故で血管性認知症に冒されて失語症や記憶を失い始めるシーンがありましたが、あのようなな感じでした。

サマル・ナヴァービ役のモズハン・マーノ

ホワイトハウスはフロリダ州での集会など大統領が2日計画していた政治イベントをキャンセルしました。トランプ氏の隔離が続くことから、ウィスコンシン、ペンシルベニア、ネバダなど重要州への訪問を含む今後数日の予定も中止されるでしょう。

集会に姿を見せ有権者と触れ合うことで、資金を集めるとともに支持者の熱狂をあおるのがトランプ氏のスタイルです。また、選挙戦の最終盤で焦点を新型コロナから移し、最高裁判事指名や景気回復、暴動などに向けたい考えでした。しかし今や、今後数週間の話題はトランプ氏の健康状態に集中するでしょう。

得意の政治集会や、選挙の焦点をずらす作戦が不可能ならば、民主党候補バイデン氏の世論調査でのリードを覆すのは難しくなる公算も大きいです。

ただ、トランプ氏の陽性判定のわずか72時間程度前に討論を行っているバイデン氏も、自主隔離に入るかどうかを決めなければならないでしょう。バイデン氏陣営は今のところトランプ氏の感染についてコメントしていないですが、対立候補の病気を喜んでいるような様子は決して見せずにトランプ氏の新型コロナ対応への批判を続けるという適度な姿勢を保つことが必要になります。

今後の米大統領戦のポイントは以下の2つです。 

(1)症状の重さ 
(2)回復の早さ 

症状が重ければ、現職の大統領としての実務が続けられなくなります。ホワイトハウスというかなり厳重に感染対策が行われているはずの場所で、側近に続いて大統領夫妻が感染したとなれば、ホワイトハウスの統治機能そのものに大きな疑問符がつきます。 

これまでトランプ氏のコロナ政策を批判してきた野党・民主党は、ここぞとばかりに、『自業自得』だと批判の声を高めることが予想され、トランプ支持者から見てもトランプ氏がこれまで主張してきたことの信ぴょう性が崩れることになります。ただ、その一方で重症化すれば同情の声もあがり、病気の人への批判はやりづらくなるという面もあります。 

一方で、症状が治まって比較的回復も早かった場合は、逆にトランプ氏に『有利』に働く可能性もあります。 

支持者らはトランプ氏自身が言っていたように「やはりコロナは大したことなく、大統領は強い人だ」と再認識することになりますし、選挙集会なども予定通り行われれば、トランプにとっては、自分はコロナから回復した「強い指導者」であるとアピールする場となるので、追い風になる可能性もあります。

米国で開催されたコロナパーティー

さらに、トランプ氏の容態が良かろうが、悪かろうが、トランプ支持派にはかなりの危機感が芽生えたと思います。共和党内も、トランプ支持で結束を固めることになるでしょう。米国内の保守派もそうなるでしょう。

そういう意味では、今回の感染判明が一方的にトランプに不利になるわけではありません。今後の最大の注目点はトランプ氏が重症化するか、比較的早く回復するかというところです。

次に予定されている二回目の大統領候補者の討論会は10月15日ですからちょうどトランプ大統領の2週間の隔離プロセスが終了するときです。なんというタイミングなのでしょう。しかも討論会の舞台をトランプ大統領の第2の庭であるフロリダ州に変更したのは6月ごろでした。

このタイミングで、トランプ氏が、二回目の討論会に出ることができれば、トランプ氏にとっては、かなり有利な展開になります。それにしても、まるで最初から図ったようなタイミングです。それにトランプ氏としても、多少体調が悪くても、他者に感染させる可能性がなければ、無理をしてでも出るでしょう。

米国では選挙の直前に驚くべきことが起きて選挙情勢を大きくひっくり返すことを「オクトーバーサプライズ」と言いますが、まさに文字通り、10月に入ったばかりでの感染確認は、最大のオクトーバーサプライズになったと言えるかもしれません。

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2019年10月17日木曜日

トランプは大差で再選される──最も当たる調査会社が予測―【私の論評】現時点で、トランプの再選はないと、どや顔で語るのは最悪(゚д゚)!

トランプは大差で再選される──最も当たる調査会社が予測
Historically Accurate Forecast Predicts Trump Win in 2020 
ニューズ・ウィーク

フロリダ州オーランドの選挙集会で再選への出馬表明をしたトランプ大統領夫妻(6月18日)

<1980年の大統領選以来、一度しか予測を外したことのないムーディーズ・アナリティカがトランプ勝利を予測する背景は>

2020年米大統領選挙をめぐる世論調査で、ドナルド・トランプ大統領は現在のところ、民主党の複数の有力候補に遅れをとっている。だが、正確さで定評のある大統領選予測モデルを擁する調査会社ムーディーズ・アナリティクスは、トランプが大差で勝つと予測している。

同社は、1980年以降すべての大統領選で勝者を的中させてきた。唯一外れたのは、トランプとヒラリー・クリントンが対決した2016年の大統領選だけ。もっともこの時は、他の予測もほとんどがクリントンの勝利を予測した。トランプ勝利を予測できたほうが例外的だ。

赤がトランプ(共和党)が勝つと予想される州、そして青が民主党が勝つと予想される州。
    ムーディーズ・アナリティクスは、トランプが激戦州を制すると予想

ムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ、ダン・ホワイト、バーナード・イェーボスの3人は、「2016年大統領選で予測が初めて失敗した理由の一つは、想定外の人々が投票に出かけたことだった」と書いている。

「我が社のモデルは、候補者がどの政党の支持者かという以外の個人属性を考慮していなかった。つまりトランプとクリントンの得票は、それぞれの所属政党の支持者の動向で決まると思っていたが、そうではなかった」

ムーディーズは、経済面で3つのモデルを使って予測を立てているが、いずれのケースでも、2020年の大統領選でトランプは少なくとも全部で538人の選挙人中289人を獲得する見通しだという。

市場の評価は今一つだが

3つのモデルのうち1つ目の「財布」モデルでは、経済についての3つの変数を重視している。ガソリン価格、住宅価格、個人所得の3つだ。いずれも、価格の変動が財布の中味に直結する。好調な米経済を背景に、トランプがいちばん大差で勝つのはこのモデルで、351人という圧倒的な選挙人を獲得する。

「有権者が主として自分の懐具合に基づいて投票した場合、トランプが圧勝するだろう」とムーディーズ・アナリティクスのリポートは書く。

2つめは「株式市場」モデルで、これがトランプにとっては最も厳しい。ここで重視するのは、スタンダード&プアーズ(S&P)500社株価指数とそこに組み込まれている優良企業500社の収益動向だ。米企業と株式市場は今、主にトランプの貿易政策をめぐる不透明感から悪影響を受けている。だからトランプに厳しくなるが、それでも、現時点ではまだトランプが勝つという予測になっている。

最後の「失業率」モデルでは、現在の低失業率が来年半ばごろまで続くという見通しを背景に、トランプの楽勝を予測する。

ムーディーズ・アナリティクスは、前回の大統領選では予測を外したものの、同社が2016年にトランプの大統領在任中の経済状況について行った予測は、おおむね現実になっている。

<参考記事>嘘つき大統領トランプがアメリカの民主主義を打ち砕く
<参考記事>民主党予備選で着実に支持を上げるエリザベス・ウォーレ

2016年、ムーディーズ・アナリティクスはトランプ政権下の経済について以下のように予測した。

「トランプの経済政策は、米国経済の孤立化を深める結果になるだろう。国際貿易と移民は大幅に減少する。貿易と移民の減少に伴い、外国からの直接投資も減少するだろう」

「この分析のもとになった経済モデルや根本的な仮定の正確さに若干の変動があったとしても、トランプの経済政策の影響に関しては、次の4つの基本的な結論が得られる。1) 米国経済の国際性が低下する結果になる。2) 政府の赤字と負債が増加する。3) きわめて高収入の世帯が主に恩恵を受ける。4) 米国経済が弱体化し、雇用が減少して失業率が上昇する」

もっとも、2020年の大統領選についてもまた外れる可能性はあると、ムーディーズ・アナリティカは警告する。トランプの経済政策には「詳細が欠けているため、定量化には複雑さが伴う」という。

「トランプという候補が過去の例からあまりにも逸脱しているために、モデルがうまく機能しない可能性もある」とザンディは述べる。「結局、モデル化できない原動力に結果を左右されていた、ということになるかもしれない」

【私の論評】現時点で、トランプの再選はないと、どや顔で語るのは最悪(゚д゚)!
米国のトランプ大統領は、日米メディアや、日米リベラル左翼からは史上最も人気のない大統領と思われているようです。政権はスタッフの入れ替わりが激しく、主要な政策を進めるのにも苦労しています。それでも、トランプ大統領が2020年に再選される可能性は高そうです。

トランプ大統領

ギャラップが4月17~30日世論調査では、トランプ大統領の支持率は約45%でした。これはオバマ前大統領の同時期の支持率とほとんど変わらず、前大統領は2012年に再選されています。

2011年4月中旬にオバマ前大統領が再選を目指すと発表した直後、その支持率は43%から45%あたりを推移していました —— まさにトランプ大統領のう4月の水準と同じです。

なお、ギャラップによると1995年4月中旬に支持率が46%だったクリントン元大統領も、再選を果たしています。

トランプ大統領には現職大統領として、資金集めの面で有利です。民主党候補には2月から3月にかけて数多くが名乗りを上げていて、立候補者の間で資金が割れてしまっています。

トランプ大統領は2019年の第1四半期に3000万ドルを集め、総額約4000万の現金が手元にあります。一方、民主党内の候補者としては、資金集めでリードしている民主党のバーニー・サンダース上院議員が第1四半期に集めたのは1820万ドル、カマラ・ハリス上院議員は1200万ドルでした。

同時に、有権者はトランプ大統領の経済政策を圧倒的に支持しているようです。これも再選を目指すトランプ大統領にとっては良いサインです。

直近のデータは、4月時点では、アメリカの雇用市場は依然として好調で、賃金も上昇していました。9月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が緩やかな伸びを示しました。これは製造業の軟調さが経済全体に広がっている兆しを示している可能性がある一方で、雇用の伸び鈍化は予想の範囲内で基本的には労働市場は健全であることが単に示されただけかもしれないと受け止められています。

消費マインドも4月には不況以来、最も高い水準に近いことを示していました。8月の米小売売上高で、前月比0.4%増と、市場予想の0.2%を上回る大幅な伸びとなりました。これらを見る限り、米中冷戦によね製造業のマインド悪化が雇用や賃金、個人消費など、人々のおサイフや消費行動にまで波及している様子は伺えないです。そうして過去のデータを見ると、経済が好調だと大統領の再選の可能性が高まることも分かっています。ただし、そのつながりは近年、弱まっているようです。

CNNが3月中旬に実施した世論調査で、アメリカ人の71%は経済がうまくいっていると回答。これは2001年以来、最も高い数字です。

同調査では、回答者の過半数(51%)がトランプ大統領の経済政策を支持しています。これは調査会社「リアル・クリア・ポリティクス」が出した各社の世論調査(トランプ大統領の経済政策への支持)の平均値、51.5%とほぼ同じです。

さらに、ジョージタウン・インスティテュート・オブ・ポリティクス・アンド・パブリック・サービス(Georgetown Institute of Politics and Public Service)が3月下旬から4月上旬にかけて実施した「バトルグラウンド・ポール(Battleground Poll)」調査では、2020年の大統領選で投票する「可能性が高い」と見られる登録有権者の58%が、トランプ大統領が経済のためにやってきた仕事を支持すると回答しています。

同調査ではまた、回答者の55%がトランプ大統領を全体として支持しないと答え、57%がアメリカは誤った方向へ向かっていると答えています。しかし、共和党支持者の間でトランプ大統領を支持する有権者は依然として多く、その74%が米国は正しい方向へ進んでいると答えました。

そして、ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が2月に実施した調査では、米国人にとって最大の課題は経済の強化と考えられていることが分かりました。ただし、調査によってはヘルスケアといった別の課題が経済よりも上位にきています。

再選に向けて、トランプ大統領の経済政策に対するプラスの評価がどれだけのアドバンテージになっているかは分からないが、マイナスになることはないようです。

さらに、今回の、ムーディーズ・アナリティカの分析によっても、トランプ大統領の勝利が予測されています。

さらに、このブログでも解説したように、米国では最初から禁じ手とわかっている「弾劾」を今回だけではなく、過去にも画策して結局失敗した民主党は、相当追い詰められているとみべきです。その記事のリンクを以下に掲載しておきます。
民主党へのしっぺ返しもあるトランプ弾劾調査―【私の論評】トランプ弾劾は不可能、禁じ手を複数回繰り出す民主党は相当追い詰められている(゚д゚)!
リチャード・ニクソン氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、米国では民主的手続きで選ばれた大統領を弾劾することについては、党派を問わず反対する人も多いにもかかわらず、民主党は複数回にわたってトランプ大統領を弾劾しようとしており、これは民主党が大統領選ではよほど窮地に立たされている見るべきであるとの結論を下しました。

この予想や、今年はじめの複数の調査会社の調査結果や、今回のムーディーズ・アナリティカの調査においても、トランプ大統領が大統領選で大差で再選されると予測しているわけですから、よほどのことがない限り、トランプ氏が再選されるとみて間違いないのではないでしょうか。

ただし、選挙は水ものですから、最後の最後までどうなるかはわかりはしません。ただし、現時点で、トランプは弾劾されるとか、トランプの再選はないと、さしたる裏付けもないにもかかわらず、日米のテレビや新聞の情報だけで判断して、どや顔で語るのはやめておいたほうが良いと思います。

はっきりいいますが、そのようなことをすれば、馬鹿と思われるだけでなく、信用を失います。

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2022年8月17日水曜日

米共和「反トランプ」急先鋒のチェイニー氏、下院予備選でトランプ氏「刺客」に敗れる―【私の論評】24年の次期大統領選に向け、着実に道筋をつけつつあるトランプ氏(゚д゚)!

米共和「反トランプ」急先鋒のチェイニー氏、下院予備選でトランプ氏「刺客」に敗れる

破れたリズ・チェイニー氏

 米国の中間選挙(11月8日投開票)に向け、ワイオミング州で16日、連邦下院選の共和党候補を決める予備選が行われた。複数の米メディアによると、昨年の連邦議会占拠事件を巡ってトランプ前大統領への批判を強める現職のリズ・チェイニー氏(56)が、トランプ氏の推薦を受けた「刺客」候補に敗れることが確実になった。

 ワイオミング州は保守の牙城で、保守層に対するトランプ氏の影響力が依然として強固なことが示された。チェイニー氏は議会占拠事件を巡るトランプ氏の 弾劾だんがい 訴追決議に賛成した共和党議員10人の1人。事件を巡って下院が設置した特別調査委員会の副委員長としてトランプ氏の責任を追及するなど、党内の「反トランプ」の急 先鋒せんぽう だ。

 トランプ氏はチェイニー氏の対抗馬として弁護士のハリエット・ヘイグマン氏(59)を推薦した。

【私の論評】24年の次期大統領選に向け、着実に道筋をつけつつあるトランプ氏(゚д゚)!

エリザベス・リン・チェイニー(英語: Elizabeth Lynne Cheney, 1966年7月28日 - )は、アメリカ合衆国・ウィスコンシン州出身の政治家、共和党員。愛称のリズ・チェイニーとも称されています。

セカンドレディ・リン・チェイニーとディック・チェイニー副大統領の長女で、ジョージ・W・ブッシュ政権下で国務副次官補(近東担当)などの要職を歴任しました。

2017年からはワイオミング州選出のアメリカ合衆国下院議員を3期務めています。2019年からは下院共和党で3番目に高い地位である共和党会議議長に選出されました。

ネオコンの主導的な政治家の一人であり、他国への介入を避けるトランプ政権のモンロー主義的外交政策には批判的態度を取ってきました。共和党の指導者でありながら、トランプ大統領の弾劾決議に賛成票を投じたため、トランプ支持者や共和党右派によって批判を受けています。2021年5月には党内の内部対立が原因で党会議議長を解任されました。

ハリエット・ヘイグマン氏

今回勝利した、ヘイグマン氏は弁護士で、共和党全国委員会の元メンバーでした。ヘイグマン氏は2018年のワイオミング州知事選に立候補したが敗れていました。13年には上院選に出馬したチェイニー氏のアドバイザーを務めてもいました。

ヘイグマン氏は2021年9月9日の声明で「多くの州民と同様、私は国政を目指したリズ・チェイニー氏を支持した」「しかしその後、チェイニー氏はワイオミング州を裏切り、国を裏切った。そして私をも裏切った」と述べていました。

7月26日、トランプは昨年1月の米大統領退任後、初めて首都ワシントンに戻り、自身を支持する政治団体の会合で演説しました。

「この11月、わが国の破壊を止め、米国の未来を救うために投票しよう」

11月の中間選挙を控え、トランプが矛先を向けるのは与党民主党だけでなく、エスタブリッシュメント(支配層)派と呼ばれる既得権益を持つ共和党内の支配層に近い議員たちです。先日もこのブログに掲載したように、米国の富の大きな部分を握ってるわずか上位0.1%がエスタブリッシュメントです。

このエスタブリッシュメントは、過去においては、大統領は無論のこと、連邦議員や、地方議員などの選挙にも大きな影響力を発揮してきました。この状況から、米国では大統領もエスタブリッシュメントの操り人形だと揶揄されてきたのです。


しかし、トランプは違いました。
実業家のトランプ氏はエスタブリッシュメントの資金ではなく、自ら選挙キャンペーン費用を調達し、大統領になりました。

トランプ氏はエスタブリッシュメント派を「腐敗した組織」と切り捨て、急進的な改革を志向する党内の「草の根派」の支持者らに自身への忠誠を求めました。

ここで言葉を整理しておきます。エスタブリッシュメントとは、先にも示したように、米国の富の大きな部分を握ってるわずか上位0.1%の実質上の米国の支配層のことです。エスタブリッメント派とは、エスタブリッシュメントに親和的な議員、大統領のことです。

トランプ氏は、大統領在任中にも反エスタブリッシュメント色を深めました し、大統領を退いてからは地方選の予備選にも、「刺客」の候補者を次々に送り込み、地方政治に深く関与するエスタブリッシュメントに脅威を与えています。

その象徴となったのは、5月に行われたアイダホ州知事選の共和党予備選でした。トランプの支持を受ける草の根派の現職副知事ジャニス・マクギーチン(59)が、エスタブリッシュメント派と目される現職知事ブラッド・リトル(68)に挑みました。

マクギーチンは副知事在任中、知事のリトルと激しく対立。リトルが出張で州外に出た隙を狙い、知事代理の権限で新型コロナウイルス対策のマスク着用義務やワクチン接種義務を独断で取り消したこともありました。こうした仕事ぶりが災いし、予備選の結果はマクギーチンが得票率で20ポイントも差をつけられる大敗でした。

連邦議会上下両院の予備選ではトランプの推薦が強く作用しますが、有権者の生活に直結する地方政治の代表は実績や好感度で選ぶというところがあります。こうした傾向は各地の地方選予備選で顕著に表れ、ジョージア州でも大物知事として知られる現職ブライアン・ケンプが、トランプの「刺客」候補を大差で破りました。ただ、反トランプ派の勝利はこれくらいのものでした。

そうして、共和党内では草の根派が着実に力をつけています。かつてエスタブリッシュメント派一色だった共和党は、10年の保守派運動「ティーパーティー(茶会)」で政治に関心のなかった層を取り込み、16年大統領選で当選したトランプがさらに大きなうねりを生み出しました。今やアイダホ州共和党の要職は大半が草の根派です。

中間選挙で与党・民主党の苦戦を予想する見方が広がるなか、攻勢を強めてきたのが共和党のトランプ前大統領でした。

220人以上の候補者に推薦を出して勢力を広めつつ、共和党内の「反トランプ派」には「刺客候補」をぶつけて再選を阻んできました。近く、2年後の大統領選に向けた出馬宣言をするかどうかも注目されています。

昨年1月の議会襲撃事件を受け、民主党はトランプ氏の弾劾(だんがい)訴追を提案しました。これに共和党から賛成した下院議員が10人。これらの議員が「裏切り者」として狙い撃ちにされているのです。

10人のうち、予備選を勝ち抜いて11月の中間選挙に出馬できる議員は2人にとどまります。3人は予備選で「刺客」に敗れ、4人は不出馬を決めました。

そして最後の1人が、リズ・チェイニー下院議員でした。ブッシュ(子)政権の副大統領だったディック・チェイニー氏を父に持ち、自らも過去3回の選挙で圧勝してきました。

ところがトランプ氏を批判したことで状況は一変しました。16日に投開票されたワイオミング州予備選に向けて、世論調査では「刺客候補」にリードを許す苦しい展開となりました。

米連邦下院選のワイオミング州共和党予備選に向けた集会で、トランプ前大統領(右)の支持を受け、握手するハリエット・ヘイグマン氏=米ワイオミング州キャスパーで2022年5月28日

そうして、今回ワイオミング州では、トランプ前大統領への批判を強める現職のリズ・チェイニー氏(56)が、トランプ氏の推薦を受けた「刺客」候補に敗れることが確実になったのです。

トランプ氏は6日にはテキサス州で開かれた保守系団体の集会で、「バイデン(大統領)をクビにする」と気勢を上げました

中間選挙で完全復権を果たし、24年の次期大統領選に向け道筋をつけるのかの、答えは3カ月後に出ます。ただ、今回リズ・チェイニーがトランプの刺客に敗北したことで、トランプ氏は、この道筋を着実につけつつあるといえます。

トランプ氏は、現在機密文書に関連して家宅捜査を受けたことなどが、報道されていますが、これに対して、私は米民主党はトランプ弾劾に続き、スパイ容疑でトランプ氏を貶めようとしたが、失敗に終わると断言しましたが、その見立ては正しかったと確信を深めました。

もし、これが本当だとすれば、今回のようにチェイニー氏がトランプ氏の刺客に敗北することなど考えられないからです。

日本のANNニュースも、このニュースを取り上げていました。そのニュースは以下のリンクからご覧いただけます。


このニュースでは、米CNNがコマーシャルを中断してまで、リズ・チェイニー氏が敗北したことを伝えていました。

そうして、最後のほうでは、アメリカを分断したトランプが共和党内でも、分断をはかっていると批判していました。

しかし、米国はもともと随分前から分断しており、オバマの頃から分断が激しくなり、それ故にトランプが登場したというのが現実です。実際オバマが大統領時代の米国を調べれば、分断が酷くなっていたことを確認できるはずです。

また、トランプが共和党を刺客を送ることにより、新たに分断したようなことを語っていますが、これも間違いです。

米国で最初の、反エスタブリッシュメントの大統領は、ケネディ大統領です。ですから、この頃から民主党はエスタブリッシュメント派とその反対派で分断していました。その頃から共和党も分断していました。

共和党にも、民主党にもエスタブリッシュメント派と反対派が存在し続けています。米国政治においては、共和党、民主党という党派の別があるとともに、エスタブリッシュメント派とその反対派が存在してきたのです。

その時々で、エスタブリッシュメント派が優勢であるとか、そうてもないときもありましたが、分断していたのは事実です。

ケネディ以後、はっきりと反エスタブリッシュメントを掲げた大統領は、民主党にも共和党にもいませんでしたが、トランプ大統領が反エンタブリュッシュメン派を掲げた大統領として登場したのです。これを理解しないと、メディアのネガティブな報道にも関わらず、トランプ人気がなぜここまで続くのか理解できません。

このあたりの事情も知らないで、トランプ氏が刺客を送ることにより、共和党内での分裂を招いたというのは、あまりにも浅薄な見方です。

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