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2020年3月7日土曜日

前例のない大胆政策…安倍政権は「消費減税」決断を! 財務省は必死に抵抗するだろうが…ここが政権の「正念場」だ―【私の論評】積極財政と金融緩和政策の両輪で、増税と武漢肺炎による景気低迷に対処せよ(゚д゚)!


安倍総理

新型コロナウイルスが、世界と日本の経済に大打撃を及ぼしそうだ。株価はすでに急落している。これから、実体経済に波及するのは避けられない。どう対応すべきか。

 結論から先に言えば、私は昨年10月、10%に引き上げた消費税率を元の8%に戻すべきだ、と思う。財務省は必死で抵抗するだろうが、今回の事態はそれほど深刻、かつ前例がない。安倍晋三政権の英断を望みたい。

 多くの読者は、いくらなんでも増税したばかりの消費税を減税するとは「あり得ない」と思われるかもしれない。だが、私は単に自分が期待するだけでなく、「首相の政治判断としても、十分あり得る」と思っている。

 なぜなら、安倍首相は2月29日の記者会見で、次のように語っていた。

 「各地の主要な株式市場において、軒並み株価が大きく下落するなど、世界経済の動向も十分に注視しながら、そのインパクトに見合うだけの必要かつ十分な経済財政政策を行っていく」

 この「インパクトに見合うだけの政策」というフレーズは、私の記憶にない。安倍政権は「コロナ・ショック」がどれほどひどくなっても、それに見合う景気刺激策を展開する決意なのだ。そんな刺激策は減税しかない。

 これまで、日本で景気下支えと言えば、大型公共投資のような歳出拡大策ばかりが展開されてきた。だが、本来は歳出拡大だけでなく、減税もある。実際、ドナルド・トランプ政権を含め、米国では減税が多用されている。

 日本が減税に消極的なのは、財務省が抵抗するからだ。彼らは大きな声で言わないが、「予算のバラマキ」こそが権力の源泉になっている。減税すれば、それだけ原資が小さくなるので、彼らは必死で抵抗するのだ。

 だが、今回の事態は、財務省の都合に耳を傾けているような場合ではない。コロナ・ショックは、2008年のリーマン・ショックを上回る可能性もある。2月27日には、米国のダウ平均株価が過去最大の下げ幅を記録した。

 危機の終わりが見えないどころか、日本も米国も試練は始まったばかりなのだ。リーマンは金融の危機だったが、今回は金融にとどまらず、個人消費、設備投資はもちろん、製造業のサプライチェーンも直撃している。

 加えて、中国、北朝鮮、韓国の政権基盤も揺さぶっている。私は目を覚ますたびに「今日は何が起きているか」と緊張感に襲われる。人々の不安と恐怖は、とてつもなく大きい。そんな心細さはリーマンの時もなかった。

 そうであれば、安倍政権は前例のない大胆な政策で対応すべきだ。言葉ではなく、行動で「政府は国民とともにある」と訴える必要がある。昨年10~12月期の国内総生産(GDP)がマイナス成長に陥ったのは、消費増税が原因だった。減税は増税の誤りを正す結果にもなる。

 最悪なのは、不十分で小出しの対応である。対応に失敗すれば、夏の東京五輪・パラリンピックは吹っ飛び、政権の足元も危うくなるだろう。ここが「本当の正念場」だ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

【私の論評】積極財政と金融緩和策の両輪で、増税と武漢肺炎による景気低迷に対処せよ(゚д゚)!

武漢肺炎の猛威はすさまじく、北海道では感染者はとうとう90人を超えました、100人を超えるのも間近いでしょう。これにともなう、経済的損失も凄まじいものになるでしょう。

週明けに発表される去年10月から12月までのGDP=国内総生産の改定値について、民間の調査会社の間では、年率でマイナス6.3%だった速報段階から下方修正され、マイナス幅がさらに拡大するという予測が多くなっています。

去年10月から12月までのGDPの伸び率は、先月の速報段階では、消費税率の引き上げなどの影響で物価の変動を除いた実質でマイナス1.6%、年率に換算してマイナス6.3%となりました。

去年10月から12月までのGDPの伸び率は速報値では−6.3%だったが
このGDPについて、最新の統計を反映した改定値が、週明け9日に発表される予定です。

民間の調査会社など11社の予測によりますと改定値は、実質でマイナス1.6%からマイナス2.0%、年率換算ではマイナス6.1%からマイナス7.9%となりました。

11社のうち10社は、速報段階から下方修正されマイナス幅がさらに拡大するとしています。

これは、最新の統計で企業の設備投資が下振れしたためで、2社は前回、6年前の消費税率の引き上げ直後の年率マイナス7.4%よりも落ち込みが大きくなると予測しています。

もうすでに、景気後退局面に入っている可能性もあります。ちなみに、景気後退局面とは一般的に、国内総生産(GDP)が2四半期連続でマイナス成長となった場合をリセッションとみなします。日本経済はすでに景気後退局面に入っている恐れもあります。

これは、武漢肺炎前の数字です。さらに、1月から3月までのGDPも新型コロナウイルスの感染拡大の影響でマイナスになるという予測も出ていて、そうなれば、日本は間違いなく景気後退局面に入ることになります。そうして、これはほぼ確実です。

すぐにでも、消費税減税をしたほうが良いのは言うまでもありません。消費税減税をするにしても、8%未満にするには、法的手続きが必要です。それには、ある程度時間がかかります。

しかし、すぐにできる方法があります。それは、消費税10%はそのままにして、全品軽減税率8%を適用することです。これなら、すぐにできます。これを実行するには、法律を変える必要はありません。安倍政権はまずはこれを速やかに実施すべきでしょう。


さらに、必要とあれば8%未満にできるようにするために新たな法律づくりに着手すべきでしょう。

積極財政には、減税の他にも様々な方法があります。例えば、香港で実施されたように、国民に対する現金の一律支給や、所得減税や社会保険料の減免も考えられます。公共事業の増額もあります。さらには、期限付きのクーポンの支給などもあります。

さらに、今の国債マイナス金利の環境を生かして、政府がマイナス金利で国債発行し、それをそのままマイナス金利で民間に貸し出す「緊急融資制度」を行うということもできます。武漢肺炎で損失を被った個人や企業はマイナス金利で一定額借入できるようにするという方法もあります。

日銀も、武漢肺炎がなかった時期ですら、物価目標を達成できなかったのですか、今後はイールドカーブ・コントロールなどはやめて、異次元の緩和に戻ってもらいたいものです。
中央銀行の資産は金融緩和の度合いに比例する、日銀は緩和しなかったことがわかる

このブログでは何度か掲載してきたように、リーマン・ショックのときには、欧米等が大規模な緩和に踏み切ったにもかかわらず、日銀はほとんど緩和をしなかったために、デフレが深刻化し、円高になりました。

そのため、震源地の米国や悪影響を受けた英国などではいち早く不況から立ち直ったのですが、日本一人だけがなかなか不況から立ち直れず、一人負けの状態になりました。

今回の武漢肺炎による景気に落ち込みは、リーマン・ショック時より酷いことになる可能性は高いです。日銀は、リーマン・ショック時の失敗を繰り返さないように、すみやかに従来の異次元緩和に踏み切るべきです。そうして、それを維持する旨をすぐ公表すべきです。

政府が景気後退局面からの脱出や武漢肺炎対策等のため、国債増発を通じて政府支出を増加させると、長期の市場金利に上昇圧力が加わり、これが次第に民間投資などを抑制するメカニズムが働きます。これに対して、政府支出が拡大するもとでも、中央銀行が市場金利の上昇を抑制すれば、民間投資などへのマイナスの影響は限られ、景気刺激効果の強まりが期待できます。

今般の、景気後退局面と武漢肺炎による経済活動の低下というダブルパンチに対処するためには、政府の積極財政と日銀の緩和政策の両輪で対処するしか方法はないのです。

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2019年5月20日月曜日

米中貿易戦争 検証して分かった「いまのところアメリカのボロ勝ち」―【私の論評】中国崩壊に対して日本はどのように対処すべきか(゚д゚)!

米中貿易戦争 検証して分かった「いまのところアメリカのボロ勝ち」

そして、その先にあるものは…

ついにばれてしまった中国の手口

先週13日に発表された3月の景気動向指数は、景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」であった。GDPと景気動向指数はかなりの相関があるので、本日月曜日に発表される1-3月期のGDP速報もマイナスになっている可能性がある。

政府与党は「雇用や所得など内需を支えるファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)はしっかりしている」、「内需、設備投資はいい傾向が出ている」として防衛線を張っているが、雇用、設備投資、所得などは「遅行指数」といわれ、景気の後からやってくるものだ。これらがいいといっても、既に景気の下降局面であることは否定できないのだ。

国内の景気が良くないうえ、これからは海外要因も日本の景気への足かせになるだろう。米中貿易戦争は当面の出口が見えず激化の一途をたどっているし、欧州のブレグジットでも当面の混乱は避けられない。

筆者はこれまで米中貿易戦争について数々の書物を書いてきたが、例えば『米中貿易戦争で日本は果実を得る』では、米中貿易戦争は結果的に中国経済への打撃が大きく、アメリカへの影響は軽微であると分析している。そのうえで、もちろん日本への影響もあるが、上手く振る舞えば漁夫の利もありえるとしてきた。

これは、IMFレポートなどで書かれている国際経済の分析フレームワークを使えば、当然に出てくる答えであるが、最近の情勢を踏まえて、さらに先を読んでみよう。

目先の関心は、いつ頃米中貿易戦争が終息するかにあるだろうが、結論からいえば、当分の間、米中が互いに譲歩することはなかなか考えにくい。

これは、本稿コラムで再三指摘してきたが、米中貿易戦争は貿易赤字減らしという単なる経済問題ではなく、背景には米中の覇権争いがあり、それは、古い言葉で言えば、資本主義対共産主義の「体制間競争」まで遡るものだからだ。

この体制間競争は、旧ソ連の崩壊で決着がついたが、中国は旧ソ連の体制をバージョンアップさせて、再びアメリカに挑んできたともいえる。

たしかに中国はしたたかで、トランプ大統領率いるアメリカは昨今いろいろな国と摩擦を生み出している。アメリカが孤立し、結果として中国が中心に新たな国際社会が成る、という見方もある。

しかし、ここで思い出すのが、フリードマンの『資本主義と自由』だ。同書の第1章「経済的自由と政治的自由」で、フリードマンは経済的自由と政治的自由は密接な関係だとし、経済的自由のためには資本主義の市場が必要だと説いている。

この観点から言えば、政治的自由のない中国では経済的自由にも制約があり、そうである限りは本格的な資本主義を指向できない。結局、政治的自由がないのは経済には致命的な欠陥なのである。それでもこれまで中国は、擬似的な資本主義で西側諸国にキャッチアップしてきたが、トランプ大統領は中国の「窃盗」を見逃さなかった。

つまり、資本主義国に追いつくために、中国はこれまで知的所有権・技術の「窃盗」を行ってきたことがバレたのだ。

勝ち目はないようにみえるが…

米国議会報告書等が、その手口を明かしている。典型的なのは、まず中国への輸出品について、中国当局が輸入を制限する。それとともに、輸出企業に対して「中国進出しないか」と持ちかける。

ただし中国進出といっても、中国企業を買収し、100%子会社にするのではなく、中国企業との合弁会社を持ちかけるのだ。その場合、外国資本の支配権はないようにしておく。そして、立ち上げた合弁企業から技術を盗みだし、中国国内で新たな企業を創設して、その技術の独占を主張するといった具合だ。

このような事例は、決して珍しいわけではないし、また中国が他の先進国に直接投資し子会社を設立してから、投資国の企業や大学などから企業秘密や技術を盗むこともしばしば報告されている。

筆者が「中国の共産主義は旧ソ連のバージョンアップ版である」というのは、中国はソ連のような体制内のブロック・閉鎖経済を志向するのではなく、貿易については世界各国と取引しているからだ。貿易で対外開放しているかのように見せかけたうえ、中国内への投資も自由なように見せかけているのは、旧ソ連とは明らかに異なる。

共産主義の本質は「生産手段の国有化」であるので、完全には対内投資を自由にできない。そこで、中国は実質的に支配する合弁会社を利用するという手段で、見かけ上は中国への対内投資が自由にできるようにしているのだが、これがソ連のバージョンアップ、というわけだ。そしてその隠れ蓑のなかで外国の技術を盗み出すわけでだからなかなか巧妙である。

しかし、アメリカは、中国による知的所有権・技術の「窃盗」を見逃さず、それを梃子にして中国を攻めている。それが、アメリカの対中関税の引き上げにつながっているわけだ。

もちろんそれに対し、中国も報復関税をアメリカに対して課している。しかしながら中国のアメリカからの輸入額が1300億ドル、アメリカの中国からの輸入額は5390億ドルなので、報復関税をやりあっても、中国のほうが先に弾が切れてしまう。このことだけをみても中国には勝ち目はないように見える。

もっとも、報復関税に関して本当に勝敗がつくのは、関税によって自国の輸入製品の価格が上昇するときだ。実は、どのくらい関税をかけられるかではなく、関税の結果、価格が上昇するかしないか、が勝負の本質なのである。

物価指数をみれば一目瞭然

この観点からいえば、アメリカの勝ちは明白だ。というのも、米中貿易戦争以降も、アメリカの物価はまったく上がっていないからだ。インフレ目標2%に範囲内に見事におさまっている。


これは何を意味するのか。アメリカが中国からの輸入品に関税を課したら、関税分の10~25%程度は価格に転嫁されて、結果、価格上昇があっても不思議ではない。しかし、それでも物価が上がっていないということは、関税分の価格転嫁ができていないのだ。それは、中国からの輸入品が、他国製品によって代替できているということだ。価格転嫁ができなければ、輸出側の中国企業が関税上乗せ分の損をまるまる被ることになる(一方アメリカ政府は、まるまる関税分が政府収入増になる)。

中国の物価はどうか。中国では、食品を中心として物価が上がっている。つまり、価格転嫁が進んでいるのだ。



これで、(現時点では)貿易戦争はアメリカの勝ち、中国の負けということになる。

もっとも、中国がアメリカからの輸入品(農産物)に関税をかけ続ければ、そのうちアメリカの輸出農家も影響を受けるだろうともいわれる。しかし、その場合には、アメリカ政府は輸出農家に何らかの形で補助金を出せばいい。なにしろ関税収入があるので、補助金対策の財源には困らないからだ。

崩壊、が見えたワケ

それでも、中国は負けを認めるわけにはいかないから、「wait and see」(当面注視)と言い続けざるを得ない。この「wait and see」は、トランプ大統領が好む言葉で、これを中国は負け惜しみで使っているが、持久戦になれば中国にとって不利であるのは間違いない。

これをやや長期的な視点で見ると、前述の体制競争論にあるように「自由のない共産主義体制下においては、経済成長は難しい」という結論が導き出される(再確認される)ことになるだろう。

さらに中期的にみても、脱工業化に達する前に消費経済に移行した国は、一人あたりの所得が低いうちには高い成長率になるものの、結局先進国の壁を越えられない......という「開発経済の限界」が中国にも当てはまることになるかもしれない。これが中国にもあてはまるならば、次の10年スパンで中国の成長が行き詰まる可能性が高いだろう。

かつてレーガン米大統領は、1980年代初頭に「力による平和」を旧ソ連に仕掛け、それがきっかけになり、旧ソ連の経済破綻、旧ソ連の崩壊を10年で引き起こした。

筆者には、トランプ大統領の対中強硬姿勢が、かつてのレーガン大統領の対旧ソ連への強硬姿勢にダブって見えるのだ。

トランプ大統領は、中国の知的所有権収奪と国家による補助金を問題にしている。もちろん、中国はこれらを拒否しているが、それも当然。なぜならこれを拒否しなければ、中国の社会主義体制が維持できないからだ。中国の一党独裁体制の下で進められた政策を放棄すれば、それは体制否定にも成りかねない。

つまり、この貿易戦争は、中国国内の政治構造にも大きく影響を与えるだろう。中国は広大な国土をもつ国なので、日本では想像ができないくらいに中央と地方の関係は複雑である。

そのなかで、これまで経済発展のためには、ある程度地方分権を容認せざるを得なかったが、習近平体制になってから、逆に中央集権化の流れを加速している。そして知的所有権収奪と国家補助金については、中央政府とともに地方政府もこれまで推進してきたが、それを「アメリカの追及が厳しいから、もうやめよう」と習主席が認めると、地方政府からの突き上げをくらう可能性が高い。だから、習主席としては絶対に認められないのだ。

ということは、米中貿易戦争はしばらく続くことになるが、続けば続くほど、中国にとっては不利で、結局、習近平体制の基盤を揺るがすことにもつながるかもしれない。こうしてみると、ひょっとしたらトランプ大統領は中国の現体制の崩壊まで、この貿易戦争を続けるつもりなのかもしれない。

【私の論評】中国崩壊に対して日本はどのように対処すべきか(゚д゚)!

上の記事などを読むと、中国が崩壊するのは今後10年から20年とみて、日本などそれに対する準備をすべきと思います。

中国の過去の帝国が崩壊したときには、国内が、血で血を洗う内戦に突入しました。中華皇帝が倒れると中国は何時もとんでもない内戦になり人口が激減しました。

今回は、単に中国が歴史を繰り返すというわけにはいかないでしょう。何しろ現在の中国は核を保有しています。

通常想定されている核戦争は、双方に核を持っている者同士の戦いです。中国の過去の内戦は、核のない時代でも、多数の人間が死ぬ戦争ものでした。それも、人民を多数巻き込んだものでした。

もし、仮に現在の中国で内戦状態になったとき、核戦争にならない保証はありません。核抑止とは、国対国において成り立つことで、現在の中国が内戦状態になったときには、に通用するとは限らないです。

もともと中国でいう国とは、都市部のことで農村のことではありません。国という漢字を見るとわかるように壁に囲まれた都市の中に玉があります。これが、中華の国の概念です。過去においては、都市を殲滅できないから、外で戦っていました。

しかし現代は、ロケット戦争の時代です。外で殺し合いをしなくてもボタンを押すだけで都市を破壊できます。
現代の中国は、米国のように敵の居場所を特定する手段を持っています。独裁国家は、頭を倒せば崩壊します。これほどわかりやすい体制はないですし、これほど分かりやすい標的はないです。

日本には、毎年中国から大量の黄砂がやってきます。現在でも、PM2.5を含む黄砂のせぃで、体調不良を訴える人が大勢います。さらに、最近では黄砂がなくても、PM2.5が中国から到達していることもわかっています。もし中国が最悪の事態になったとしたら、協力な放射性物質が日本に襲ってくることにもなりかねません。



さらに、もっとも警戒しなければならなのは難民でしょう。無論中国が内覧状態になった場合当初は、中国から北朝鮮やロシアに大勢の難民が押し寄せるでしょう。しかし、北朝鮮やロシアは最初は多少は受け入れても、後には軍事力でこの難民の流入を防ぐでしょう。

その頃韓国が経済的に疲弊していれば、多数の韓国人難民や中国人難民が入り乱れて、日本に押し寄せてくる可能性もあります。そうなると、日本も対岸の火事どころではなくなります。

中国が緩やかな連邦国家等に移行できるのなら、分裂した多くの中国が存在した地域の国々と日本は、国交を結ぶことが出来るかもしれません。多くの民族が、独自に国の色を出す世界ができれば、中国は大繁栄するでしょう。

しかし、そのような簡単なことではすまないでしょう。中国には中華思想などという厄介なものがあります。新たな指導者はまた、習近平のように皇帝を目指すでしょう。

そうなれば、人が入れ替わるだけであり、何も変わらないことになります。放置しておけば、中国は必ずそのような道を歩むことになるでしょう。

それを防ぐために、米国などが直接介入しても、困難でしょう。しかし、それを防ぐ方法はあります。それは先日このブログでも掲載したように、中国内のいくつかの地域を互いに競わせるようにすることです。

競わせるとはいっても、無秩序に競わせるのではなく、かつて西欧列挙が歩んできたように、民主化、政治と経済の分離、法治国家を実現して国を富ませ、その結果国力を強化できたような形で競わせるのです。そうして、互いに拮抗した新たな秩序を形成するのです。

この考えの詳細については、ここで再び掲載すると長くなってしまいますのて、当該記事のリンクを以下に掲載します。
天安門事件30年で中国は毛沢東時代に逆戻りする予感アリ―【私の論評】毛沢東時代に逆戻りした中国はどうすべきなのかを考えてみた(゚д゚)!
紅衛兵に髪を掴まれて引き回される彭真の画像
米国や他の先進国がこのようなことを実施して、現在の中国に民主的な国家が成立する可能性はあると思います。しかし、それ以前に現中国が崩壊するときには、とんでもないことになることが予想されます。

もし、中国が崩壊するような事態になると、今の体制に肩入れしている人間は、全員、標的になります。日本の政権与党がタイミング悪く、中国に肩入れしていたとしたら、日本も標的にされかねません。

中国が崩壊ということになれば、当然のことながら、中露対立が再燃するでしょうし、インドとも対立が激しくなるでしょう。ベトナムや北朝鮮も行動を起こすかもしれません。

中国には中東のような宗教という支えがないです。結局は、俺が、俺がの世界です。過去においては、中華皇帝が入れ替わるとき、前の皇族は一族郎党が殺されました。さらに、民族浄化も起きたこともあります。それらを一挙にかたずける方法が現代にはあります。とにかく、現中国が崩壊すれば、周辺国に大迷惑を掛けることになることは大いにありそうです。

これにどのように日本は対処すべきなのでしょうか。どうすれば、最悪の事態を避けられるか今から真剣に考えておくべきです。

2019年2月18日月曜日

「台湾は中国からの武力行使にどう対処するか」古くて常に新しい問題―【私の論評】日本には、中、露、韓は放置し、台湾を支援すべき時がやってきた(゚д゚)!

「台湾は中国からの武力行使にどう対処するか」古くて常に新しい問題

岡崎研究所

 1月2日に中国の習近平国家主席は、台湾政策に関する包括的な演説を行い、「一国二制度による台湾統一」を打ち出すとともに、いざとなれば「武力行使を排除せず」との姿勢を明確にした。今のところ、中国が台湾に対し、直接武力侵攻を行う可能性は決して高いわけではないが、ここ20年間で中国と台湾の軍事バランスは大きく中国の側に傾斜した。軍事費だけとってみても、1996年には辛うじて台湾の2倍だったのが、今や15倍になっている。


台湾海岸にて。台湾への日本人観光客が増えている。特に修学旅行で行くケースが急増。

 台湾においては、中国からの武力行使の可能性に備え、いかに対処するかは古くて常に新しい問題である。一つの有力な戦略として「ヤマアラシ戦略」がある。これは、大型の戦闘機や軍艦ではなく、安価で機動力の高い小型兵器(自動制御機雷、武装ドローン、ミサイル等)により、接近してくる中国軍を沿岸部で疲弊させることを目指すものである。米国による勧奨もあり、台湾は2017年に「ヤマアラシ戦略」を含む包括的な防衛構想を打ち出している。

 他方、最新の大型兵器の保有にも意味がある。戦車、大型艦船、戦闘機は、それ自体が抑止力として働き得る。台湾人の士気を高める効果も期待できる。しかし、こうした大掛かりな武器は費用がかかる。例えば、潜水艦は、国産であっても1隻10億ドル以上するが、台湾の国防費は年110億ドルである。徴兵制から志願兵制に移行中の台湾軍は、人件費の高騰にも悩まされている。その結果、兵士は削減され、1996年と比べると15万人以上も減り、現在は21万5千人である。

 結局、台湾の防衛のカギとなるのは、台湾関係法を持つ米国と台湾との安全保障上の特別な関係ということになる。米国の潜水艦8隻により中国の水陸両用艦隊の40%を戦争開始から1週間で撃沈できるというシミュレーション結果もある

 台湾関係法に基づき、米国は台湾に防禦用の武器を売却することにコミットしている。同法に加え、昨年、トランプ政権下において、米国議会は、ほぼ全会一致で「台湾旅行法」(米台高官の交流を勧奨)、「国防授権法」(台湾の防衛力強化にコミット)を可決した。

 今後の米国の台湾に対する武器輸出が、これまでより航続距離の長い攻撃用戦闘機などを含むようになるのか、米国の軍事演習やリムパック軍事演習に台湾が参加できるようになるのか、米国の軍艦が台湾の港を使用するようになるのか、米国の海兵隊員が台湾に駐留するようになるか、というような諸点が今後の注目点となろう。

 今や、毎年3500人から4000人の米国防省関係者が台湾を訪問し、2010年以降の米国の台湾への武器売却の総額は150憶ドルを超えたという。これらのことは、米国の台湾の安全保障へのコミットメントが、着実に深まりつつあることを示している。

 なお、1月2日の習近平の演説に対し、蔡英文は直ちに「一国二制度」の受け入れを断固拒否するとともに、台湾にとって「防衛力の構築が重要政策のなかでも最優先だ」と強調した。そして、同時に「台湾の防衛力強化に協力してくれるすべての国と協力したい」と述べ、米国だけではなく、日本を含むすべての国々との安全保障協力にも期待感を表明した。この蔡英文のスピーチが特に日本の名前を挙げている点は注目を要することである。台湾の現役の指導者が、安全保障関係で日本の協力に期待する、との趣旨の発言を行ったのは、恐らく今回が初めてであろう。日本にとっては、これまでの防衛関係者同士の交流、意見交換等に加え、台湾の安全保障のために何をすべきか、何ができるか等について、台湾、米国の関係者らとよく擦り合わせ検討すべき段階に来ていると思われる。
【私の論評】日本には、中、露、韓は放置し、台湾を支援すべき時がやってきた(゚д゚)!
馮世寛前国防部長(左)

台湾で昨年5月に発足した政府系シンクタンク「国防安全研究院」は12月13日までに、中国軍が進める組織改革について「国土防衛型から外向進攻型への転換を意図している」と指摘し、台湾海峡や東シナ海、南シナ海の周辺諸国にとって「深刻な脅威」になると警告しました。

同研究院は中国や地域情勢の専門研究を目的に発足、馮世寛前国防部長(国防相)がトップを務めています。今回は「中国共産党の政治と軍事」「インド太平洋地域の安全情勢」「国防科学技術産業」に関する三つの報告をまとめました。

陸海空軍の統合作戦指揮化を柱とする中国軍の改革について、海外での国家利益の確保、軍事技術の向上、習近平国家主席の絶対的指導力確立などの思惑があると指摘。軍改革は2020年までの完成をめどにしており、それまでは軍隊の調整期にあるため台湾海峡で大規模な危機が起きる可能性は低いと分析としています。

さて、今日本が真っ先にすることは「台湾と事実上の『同盟』をいかに結ぶか」です。

日本の保守派からは、20年以上も前から「台湾との連帯の重要性」が諭されてましたが、一向に「世論」は盛り上がりませんでした。その理由は、メディアが台湾に目を向けず、ひたすら「日中・日韓」との友好・連携ばかりを言い立ててきたからですが、今、日本政府が「台湾との連携」を言い出したとしても「反対」を叫ぶ国民はごく少数に違いないです。

すでに多くの日本国民が「台湾こそが日本にとって最も大事な『友人』だ」と認識しています。特に、東日本大震災後(3・11)の台湾国民からの熱い支援は、多くの日本人の胸に刻まれています。3・11のとき、世界最大の支援をしてくれたのは台湾でした。マスコミで報じられた以外にも民間レベルで、国家レベルに匹敵する支援が行われました。

3.11の時に最大の支援をしてくれたのは他ならぬ台湾だった

高名な画家は自分の個展を開き、その売上金をそっくり岩手県の病院再建に寄付しました。日本と台湾を結ぶ航空会社と言えば、中華航空が真っ先に浮かびますが、今は台湾民族資本の「長栄」(エヴァ・エア)の便数が一番多いです。3・11の折には、長栄の長栄発会長は個人で20億円をカンパしています。

その機体には「キティちゃん」が描かれ、機内食用のプラスチック製ナイフやフォークもキティちゃんでそろえるほど日本大好きなのです。

キティちゃんが描かれた長栄航空の機体

台湾の人たちが大切にする価値観は「親切」「誠実」「清潔」「勤労」「公に尽くす」などで、こうした価値観を台湾の人々は「日本精神」、台湾語で「リップンチェンシン」と常に口にします。神奈川・座間の海軍工廠に徴用で来日した台湾少年工は、補償を要求するどころか、感謝の意を表すため高齢となってまで家族ともに来日しています。

そこへ行くと韓国は、台湾とは反対に日本に対して徹頭徹尾「怨恨」しかありません。加えて「解決済みの賠償問題を蒸し返し=たかり」「経済失政を日本にツケ回し=失業大学生を日本企業に輸出」する有様です。「徴用工判決」で痛めつけている日本企業に、韓国の「就職難民」を雇ってくれと言っているのだから、呆れてもモノも言えない。さらには、最近では自衛隊の哨戒機にレーダー照射をするという、とんでもないことをしでかしました。

「怨恨」は単なる憎悪感情ではありません。心理学者によると、「強者に対する弱者の憎悪や復讐衝動などの感情が内向的に屈折している状態」といいます。こんな国と仲良くなどと、たわけたことを言っている場合ではないです。今、日本が極東アジアで組むべき相手は台湾しかないです。

ブログ冒頭の記事にもあった、米国が昨年3月に成立させた『台湾旅行法』と同じ法律を成立させるべきです。同法は、閣僚級の安全保障関連の高官や将官を含む米政府当局者全員が台湾に渡航し、台湾側の同等役職者と会談することや台湾高官が米国に入国し国防総省や国務省の当局者と会談することを定めた法律です。

米国は中国との国交樹立以降、台湾とのこうした交流を自粛してきましたが、これをトランプ大統領は反故にしました。ラブコールを送る友人に日本も応えるべきです。

台湾に対する支援は、覇権主義の中国、「怨恨」感情を露わにする韓国や、強欲ロシアとの北方領土返還交渉にカネを使うより費用対効果は高いはずです。

日本政府は、過去40年にもわたり合計3兆円も、中国への途上国援助(ODA)をしてきましたが、今年度を最後に終了します。

北方領土に関しては、昨日のこのブログにも掲載したように、米国の対中制裁が継続されれば、中国が弱体化し、そうなれば現在は影を潜めた中露対立が高まることになり、それでロシアは疲弊することになり、その時がまさに交渉のベストタイミングです。今はベストではありません。

本当は、ベストタイミングは以前もありました。それは、無論ソ連崩壊のときです。あのときに、日本が強力にロシアと交渉すれば、あの時点で北方領土が戻ってきた可能性は十分にありました。

中露対立が高まった場合には、その機を逃さず日本はロシアに対して強力な交渉をすべきです。

現在は、交渉の時ではないです。将来を見越して、ロシアに経済援助するなどのことは絶対にすべきではありません。

日本は、ここしばらく、中露対立が高まるまでは、中国、韓国、ロシアなどへの支援はせずに、台湾に対して支援すべきです。それが、日本の将来を左右することになります。

台湾への支援もいろいろあります。まずはTPPに加入してもらうべきです。さらに、軍事的にも、技術的にも様々な支援を行っていくべきです。ただし、台湾にも大陸中国に親和的な勢力もあるので、それらを利することによって大陸中国を間接的に利するようなことだけは、避けながら、細心の注意をしながら支援すべきです。

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2018年5月3日木曜日

米専門家の緊急警告「東京、大阪に北朝鮮のミサイル攻撃」―【私の論評】北は国家崩壊の淵で「あらゆる手段」を使う、これに日本が対処しなければ世界から爪弾きされる(゚д゚)!

米専門家の緊急警告「東京、大阪に北朝鮮のミサイル攻撃」

融和ムードに騙されたのか、日本メディアは朝鮮半島有事について真剣に論じようとしない。平和ボケ日本とは逆に、アメリカの専門家は緻密な情報分析に基づいて危機的状況に警告を発している。ジャーナリストの古森義久氏が報告する。

 * * *

 北朝鮮をめぐる軍事衝突が起きたとき、日本への軍事攻撃が考えられる。この想定は決して過剰反応ではない。日本の安全のため、戦争を防ぐためにはその戦争をも想定せねばならない。安全保障での抑止の鉄則だ。

 北朝鮮の日本への軍事攻撃シナリオはこれまでも各方面で研究されてきた。当事国の日本でよりもアメリカでの研究が多かった。いま私が取材活動を続ける首都ワシントンでは北朝鮮の核兵器と弾道ミサイルの脅威に対する懸念がかつてなく高まり、朝鮮半島での戦争という事態についても論議は盛んである。

 そんな中、北朝鮮のミサイルによる日本攻撃の危険について警告を発する書が3月に刊行された。『迫りくる北朝鮮の核の悪夢(The Coming North Korea Nuclear Nightmare)』と題した本の著者は、中央情報局(CIA)や国務、国防両省、さらには連邦議会で25年以上、北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルの動きを追ってきたフレッド・フライツ氏である。

フレッド・ライツ氏 写真・チャートはブログ管理人挿入 以下同じ

 同氏はいま民間研究機関「安全保障政策センター」の副所長を務めるが、トランプ政権の国家安全保障担当の大統領補佐官に新たに就任したジョン・ボルトン氏の国務次官時代に首席補佐官を務めたフライツ氏も政権入りが予想される。だからこの書もトランプ政権の政策を予測するうえで注目されるわけだ。

同書は北朝鮮のミサイルによる日本攻撃についてどう触れているのだろうか。

The Coming North Korea Nuclear Nightmareの表紙

 まず日本を射程内におさめ、しかもすでに照準を合わせているとみられるミサイルは次の通りだという。呼称はアメリカなど西側の国際基準を優先する。

 ▽短距離弾道ミサイル(SRBM)スカッド=射程300~800km。保有約100基(*)。

 ▽準中距離弾道ミサイル(MRBM)ノドン=射程1300km。保有約50基。

 ▽中距離弾道ミサイル(IRBM)ムスダン=射程3500km。保有約50基。

 ▽潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)ハンチャ=射程900km。開発中。

 【*各ミサイルの基数についてはフライツ氏は具体的にあげることを避けており、他の出所による。】

 このほかにアメリカにまで届くとされる長距離弾道ミサイルのテポドンなどがあるが、日本への脅威はこの4種類だという。

チャート上のBCのミサイルは日本に到達、DEは米国に到達する


 ◆「あらゆる手段をとるだろう」

 フライツ氏は北朝鮮が日本を激しく敵視する実態を北当局の「日本列島を核爆弾で海に沈める」という昨年9月の言明を強調し、攻撃がありうるとしている。最悪の場合、核攻撃の可能性も排除できないという。

 北朝鮮と日本は首都間の距離でも1200kmほど、九州となると平壌からわずか700kmである。日本海に自衛隊の艦艇が出動すれば、北の短距離ミサイルの射程にまで入ってしまう。

北朝鮮はミサイルを日本のどこに、どう撃ち込んでくるのか。日本国内の具体的な攻撃目標についてアジア安全保障の専門家である国防大学国家戦略研究所のジム・プリシュタップ上級研究員は、在日米軍基地がまず狙われるだろうと指摘する。

 「最も現実的なシナリオはアメリカと北朝鮮の間で戦闘が起き、北側が米軍の戦闘、兵站両面での後方基地となる日本国内の基地をミサイル攻撃で破壊しようとする可能性だろう」

 であれば米朝開戦へ介入度合いの高い米空軍や海兵隊の基地がある三沢、横田、岩国、沖縄が標的となる。

 歴代政権の国防総省高官だったブルース・ワインロッド氏は北朝鮮の行動は合理性に欠けることも多く、東京や大阪といった大都市をミサイル攻撃するという悪夢のようなシナリオも想像はできると述べた。

 この点、プリシュタップ氏も「北朝鮮が日本を攻撃するときは、米軍の全面反撃により北の国家が滅びるときだから、あらゆる手段をとるだろう」と論評した。

 北朝鮮が米軍と戦闘状態になく、日本だけを攻撃する可能性は極めて低い。そんな事態になれば日米安保条約により米軍が参戦する。いずれにせよ米軍の激しい攻撃が北に加えられるのだ。

 北朝鮮が国家崩壊の淵で「あらゆる手段」を使うとなると、ミサイルに化学兵器や細菌兵器の弾頭をつけて攻撃してくる危険さえ否定できない。米軍当局は北の核以外のこの2種の大量殺戮兵器の存在にも再三、警告を発している。

 ●こもり・よしひさ/慶應義塾大学経済学部卒業。毎日新聞を経て、産経新聞に入社。ロンドン支局長、ワシントン支局長、中国総局長などを経て、2013年から現職。2015年より麗澤大学特別教授を兼務。著書に『戦争がイヤなら憲法を変えなさい』(飛鳥新社)、『トランプは中国の膨張を許さない!』(PHP研究所)などがある。

 ※SAPIO2018年5・6月号

【私の論評】北は国家崩壊の淵で「あらゆる手段」を使う、これに日本が対処しなければ世界から爪弾きされる(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事に掲載されている、フライツ氏は"The Coming North Korea Nuclear Nightmare"の中で、いまの日本が北朝鮮のこれほどのミサイルの脅威に対しても有効な自衛手段をまったく持たないことへの懸念を表明しています。以下に一部を引用します。
日本の現憲法は日本に向けての発射が切迫した北朝鮮のミサイル基地を予防攻撃することを許さない。アメリカに向けて発射されたミサイルを日本上空で撃墜することも認めない。憲法9条の規定により、日本領土外の敵は攻撃できず、同盟国を守るための軍事行動もとれないというのだ。日本は自国の防衛を正常化する必要がある。
憲法9条に根拠をおく専守防衛、そして集団的自衛権禁止という年来の日本の防衛態勢の自縄自縛が北朝鮮のミサイルの脅威によって明らかな欠陥をさらしているということです。

いまの日本では政府・自民党は北朝鮮のミサイルに対して敵基地攻撃能力の保持は憲法に違反しないという主張を表明し始めました。だが憲法9条の戦力の禁止や交戦権の禁止という明記を一読するとき、日本がいかに自衛のためとはいえ、外国への攻撃能力を持つことは禁止という意味にしか解釈できない。なにしろ憲法9条の不戦の精神をそのまま体現したような「専守防衛」という基本政策はなお健在なのです。

ただし、憲法学の京都学派の佐々木惣一氏は「憲法9条は自衛戦争まではは禁じていない」という見方をしていましたが、残念ながらこの見解は日本国内ではそもそも存在しなかったかのように、かき消されていしまっています。保守系の人でも知らない人も多いようです。そもそも、日本国内で現在ほとんど顧みられていません。

佐々木惣一

集団的自衛権の行使についても同様です。平和安保法制の発効で集団的自衛権はその一部が特定の条件下では行使できるというようになりました。しかしまだまだ二重三重の縛りがかかり、全世界の他の諸国が主権国家の自衛では自明の理とする自由な集団的自衛権の行使とは異なるのです。日本は憲法によって自国を守るという国運をかけた活動にさえ、厳しい制約を課しているのです。

日本の現憲法はいまから72年前の1946(昭和21)年、占領米軍によって書かれたものです。この当時、憲法9条が課題とした日本の防衛といえば、敵の地上軍が日本領土に上陸してきて初めて活動開始というのが前提の概念でした。現在のように遠方から飛んでくるミサイルが日本の防衛を一気に崩壊させうるという常識は夢想だにされていませんでした。

だから72年前の戦争や防衛という概念から生まれた規制をいまの国際安全保障情勢に当てはめることは、アナクロニズム(時代錯誤)の極致です。日本の憲法と防衛のそんな時代錯誤はいまワシントンで刊行された書によっても裏づけられたといえます。

今日は憲法記念日です。全国で、護憲派と改憲派が集会など開いていて、それぞれの主張をしています。

しかし、北朝鮮という国や、金正恩という独裁者の正体を知れば知るほど、いつ現行の日本国憲法の想定を超えた事態が始まってもおかしくないということは容易に想定できます。叔父を処刑したり、実の兄を殺害したり、

高射砲による処刑は金正恩委員長が最も気に入っているという

ブログ冒頭の記事にもあるように、北朝鮮が国家崩壊の淵で「あらゆる手段」を使うとなると、ミサイルに化学兵器や細菌兵器の弾頭をつけて攻撃してくる危険さえ否定できないです。

そのような時に、政府が緊急に国民の命と財産を守ろうとして何かの行動を起こした場合、それに対して合憲だ、違憲だと言っても、事態を変えることはできません。事態をかるには行動するしかありません。

政府としては、国民の命や財産が重大な危機にさらされるようなとき、憲法解釈を変えてでも、行動すべきと思います。それで、国民の命や財産を何もしなかったよりは、まもられればそれで良いと思います。

その後に憲法解釈をこのように政府が変えて行動したと表明して、危機が去った後に憲法解釈を巡って解散総選挙を行えば良いと思います。そのときに国民が妥当だと思えば、与党が勝つでしょうし、そうではないと判断すれば、与党側が負けることになります。

それよりも、何よりも、日本に向けての発射が切迫した北朝鮮のミサイル基地を予防攻撃することをしないで攻撃を許してしまうとか、同盟国アメリカに向けて発射されたミサイルを日本上空で撃墜することも認めないとか、憲法9条の規定により、日本領土外の敵は攻撃できず、同盟国を守るための軍事行動もとらないなどというような馬鹿な真似はするべきではありません。

そんなことをすれば、日本は世界から爪弾きにあいます。特に米国から爪弾きにあいます。

北朝鮮の特殊部隊

しかしそうなれば、米国の軍事力に頼れなくなった日本は、中国、ロシアが日本を格好の餌食とします。いずれ日本は米国・中国・ロシア等によって分割統治されることになります。まかり間違って北朝鮮が残っていたとしたら、北朝鮮も分割統治に加わるかもしれません。そうして、各国は日本の富を簒奪できるだけ簒奪します。

そうなってしまってから、護憲派が憲法を守れとか、憲法解釈を変えるななどと主張しようにも、その時には日本という国家は実質的になくなっています。国があってこその憲法なのです。

リベラル・左翼が「安倍辞めろ」ではなく、「金正恩辞めろ」、「習近平辞めろ」、「プーチン辞めろ」などと叫び声をあげれば、すぐに拘束されて、その後は命の保証など、当然のことながらありません。十中八九斬首されることになるでしょう。

そうならないためには、私たちは政府が憲法解釈を変えざるを得ない局面もあり得ることを認識しておくべきです。

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2017年11月14日火曜日

フェイクニュースにいかに対処するか―【私の論評】マスコミや野党は、全体主義的手法を用いることはもうやめるべき(゚д゚)!

フェイクニュースにいかに対処するか

朝日などのリベラル系マスコミの「報道しない自由」は偏向報道だ


米ハワイで、日本に向かうため大統領専用機に乗り込む際に手を振る
ドナルド・トランプ米大統領(2017年11月4日撮影)
 今年の新聞週間の標語は「新聞で 見分けるフェイク 知るファクト」であった。この標語からも今年の流行語に「フェイク」は「忖度」と共に選ばれる資格があるであろう。

 フェイクは米国の大統領予備選時に、ドナルド・トランプ氏の言動をCNNやニュヨーク・タイムズなどのリベラル系マスコミが悪意的に報道したことに対して、トランプ氏が「フェイク・ニュース(偽記事)」だと反撃したことで表舞台に華々しく登場してきた感がある。

 日本では通常国会の終盤で加計問題が浮上し、「行政が歪められた」という前川喜平氏の発言や野党の追及だけが大々的に報道され、誘致当事者の「歪められた行政が正された」という証言はほとんど報道されなかった。

 こうしたことから「報道しない自由」が「編集権を盾に都合の悪い情報は報道しないメディアを嘲笑するネットスラング(用語)」(宮脇睦「ネットバスターズ」『正論』2017年9月号所収)として話題になった。

 マスコミが恣意的に印象操作して「火のないところに煙を立てる」フェイク・ニュースを作り出すのであれば、「正確と公正」などを掲げる新聞倫理綱領や公正中立を旨とする放送法に違反する。

第1次大戦で出現した宣伝戦

戦争プロパガンダでは敵の残虐性を強調し、自国の軍隊は国民のためはもちろん、他国の民衆をも救うためにも活動し、残虐行為など行うはずもないという好印象を植えつける。

 第1次世界大戦では宣伝戦が大々的に活用された。その1つに、敵が捕虜の指を切り落とす残虐行為を行っているとの報道もあり、帰還兵たちは出迎えた人たちに指を出して「自分の指はあるよ」とVサインして見せた。ヴィクトリーのVに通じていることは言うまでもない。

第一次世界大戦中のドイツの徴兵用のポスター
写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 フランクリン・ルーズベルト大統領は米国を第2次世界大戦に参戦させないことを公約して3選された。しかし、英国の苦戦を見かねた大統領は米国世論を参戦に誘導する。ドイツ挑発に失敗した大統領は日本を参戦させるように動く。

 日華事変では蒋介石を支援して宣教師を中心に反日宣伝戦に協力。国民党軍の戦いぶりを見た米国人ジャーナリストが「蒋介石はプリンターで戦っている」と書いたように、国民党軍はフェイク・ニュースを垂れ流して戦局を有利にする戦いを展開した。

 中国から帰米後、日華事変に関わる中国発の対日情報がフェイクであることを米国人に訴える努力をした上記ジャーナリストや元駐中国外交官らは、日米戦争が始まると「妨害者」として収監される。

 中国発のフェイク・ニュースがルーズベルト政権にいた200人を超す共産主義スパイによって拡大・拡散され、米国民を参戦に導き、また戦意を向上させるために使われたのである。

 戦闘行為の一環としての南京事件が「南京大虐殺」として今日世界に拡散するのも、東京裁判などにおける米国人宣教師たちのフェイク情報に負うところが大きい。

米国宣教師マギーにより撮影されたとされる、南京虐殺当時の南京市民の写真
多く女性が平静であるようにみえる、特に最前列の女性は満面の笑み。
 米国内では日本の南進に抗議して鉄屑など必需品の日本への輸出を禁止し、最後には血の一滴と称された原油の全面禁輸に踏み切る。「窮鼠猫を噛む」状況に追い詰められた日本はパール・ハーバー攻撃を行う。

 資源小国であった日本は原材料の輸入が制限されては付加価値を生む製品が作れないし、石油がストップされては国家機能が麻痺してしまう。

 ダグラス・マッカーサー元帥が解任され帰国後に議会で証言したように、「(日本は)安全保障上の必要」からABCD(米英中蘭)包囲網を打開する必要性に迫られ、やむを得ず開戦に踏み切ったのだ。

 しかし、戦争挑発人の大統領は日本が宣戦布告もしないで奇襲攻撃を仕かけたとするフェイク・ニュースを流し、「リメンバー・パールハーバー」を合言葉に米国民を戦争へ駆り立てた。

 「リメンバー・パールハーバー」はスペイン領フィリッピンを手に入れるために米兵が乗ったメーン号をスペインが爆破したように見せかけ、「リメンバー・メーン」を呼号して米国民を米西戦争に導いた43年前の再現であった。

 こうした宣伝戦は開戦や戦勝を勝ち取る手段で、年月を経て歴史家などがフェイクであったことを明らかにしてきた。

 しかし、中国の宣伝戦は日本を「悪徳国家」に落して、自国を倫理的に優位な立場に置き、共産主義の素晴らしさを人民に見せる建前上、一過性で終わらない。

戦争をプレイアップしたマスコミ

『朝日新聞の戦争責任』(安田将三・石橋孝太郎共著、太田出版、1995年8月刊)を読むと、「当時から日本を代表する(朝日)新聞」が「いかに虚報と偏向報道に明け暮れ、国民を戦争に導いたか」が分かる。

 本書は『読んでびっくり 朝日新聞の太平洋戦争記事』としてリヨン社から前年7月発刊され、版を重ねるが4か月後に朝日新聞社から著作権を理由に抗議され、絶版となる。

『読んでびっくり 朝日新聞の太平洋戦争記事』の表紙
 そこで著者は編集方法に工夫を凝らして改訂・再編集して上梓する。著者は「(朝日新聞が)戦争を美化、正当化し、国民の戦争熱を煽っている」状況を、記事そのものを通じて読者に伝えたかったと語り、あえて初版本の復刻版と呼んでいる。

 当時は戦争に悪影響を受ける部分は削除や書き換えるなどの検閲があり、統制を受けていた。

 しかし「統制を受ける前に、自発的に先回りして、統制側が望んだものよりも進んだ、より激しい戦争遂行、戦意高揚を説く記事を載せたらしいことが、記事を読めば伝わってくる」とも書いている。

 これは今日言うところのフェイク・ニュースであり、朝日が戦前・戦中、権力機構にいかに寄り添い、多くの日本人を死地に送り込んだかの証しでもある。だから、著作権を理由に、絶版に追い込んだとみられる。

 その朝日新聞は今や人権擁護、反戦反安保で護憲のエース格とみられている。慰安婦問題では意に反する強制連行をしたとして32年間も日本を難詰し続けてきた。

 しかし、「強制連行」がフェイクであることが分かると、「強制性」があったとする主張に替え、慰安婦像や慰安婦碑が世界に拡散する大本を作った。

 朝日は元記者の長谷川煕氏が言うように、共産党員でなければ朝日の記者に非ずといった雰囲気の中で読者を伸ばしてきた新聞であるから、当然の報道姿勢かもしれない。

 日本新聞協会は創立(昭和21年)に当って新聞倫理綱領を定めたが、環境が激変した中で21世紀にふさわしい規範として平成12(2000)年に新しい倫理綱領を制定した。

 新綱領の前文では「国民の『知る権利』は民主主義社会をささえる普遍の原理である。新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい。新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によってこうした要望にこたえ、公共的、文化的使命を果たすことである」(概要)と述べ、本文においては、「自由と責任」「正確と公正」「独立と寛容」「人権の尊重」「品格と節度」の5項目を掲げている。

 新聞の責務の大なることを綱領で謳いながら、正確でも公正でもなく、人権を蹂躙し、また日本の品格と日本人の名誉を貶めるフェイク・ニュースを流し続けることは、国家の崩壊につながりかねない重大事である。

都議選や倒閣に多用されたフェイク報道

都議選時(今年7月)の小池百合子東京都知事は国政にも大きな影響をもたらす存在であった。そこで、安倍一強を好ましく思っていなかった多くのマスコミが小池氏の影響力の極大化に尽力したことは言うまでもない。

 小池氏が知事就任直後のあいさつ回りで、自民党の都議会議長に握手を拒否されたとする映像が流された。

悪手拒否があったとされた、フェイク報道のキャプチャー画面
 都議選で自民党が惨敗した翌日のTBS「ひるおび!」がこの映像を流し、キャスターがこうした態度が(自民党)惨敗の理由の1つだとして、「握手ぐらいすればよいのに」と嘲笑する。

 しかし、前出『正論』によると、ネット民の検証で、実際は握手をしていることが判明しており、「同番組は握手をする直前と直後の映像をつないで放映」したのだ。


 宮脇氏は「TBSの報道ぶりは酷すぎる」と批判しているが、これは「報道しない自由」ではなく「捏造」である。

 野党は安保法案を「戦争法案」と喧伝し、テロ準備罪の法案審議では「喫茶店で話し合っただけで(犯罪者に仕立てられる)」かのように恐怖心を煽った。視聴者受けを狙った言い掛かり質問もいいところで、フェイク報道と言っていいだろう。

 野党が目指すのは安倍一強政治の打破であり、そのために「女の壁」をつくり、それを「強行採決」で突破する「暴走内閣!」に仕立てた。それでも、国民の間には安保法制やテロ準備罪も必要不可欠な法律との認識が強く、成立した。

女の壁=馬鹿の壁?
 しかし、加計学園の獣医学部新設問題が政府・自民党に与えた影響は大きかった。

 ほとんどのメディアが前川氏の発言を写真入り、スポーツ紙並みの大活字で取り上げた。朝日や毎日系の新聞テレビは「報道しない自由」を偏向報道に置き換えてフェイク報道をし続け、国民に誤った印象を与えて恣意的に安倍一強に打撃を加え続けた。

フェイク報道をした朝日新聞
 当事者であり、安倍第1次政権以前から誘致してきた元愛媛県知事の加戸守行氏は「取材は沢山きたが、都合の良いところだけ使われた」と語った通りで、こと加計問題では印象操作によるフェイク報道が横行した。

 その流れで、都議選では「報道しない自由」が効果的に活用され、自民党に大打撃与える結果となり、安倍一強打倒への声は非常な高まりを見せた。

夢と消えた共産主義社会

こうした状況下で、北朝鮮の核と弾道ミサイルの脅威が一段と現実味を帯びてきた。しかし、中長期的には中国の野望への対処が重要である。

 中国では汚職が蔓延して貧富の差が拡大し、年間の暴動が20万件以上という報道もあった。習近平総書記が進めた汚職追放が歓迎された。

 さらに運動を進めるためには強大な力が必要である。また貧富の差がなく、皆がひとしく生活を享受できるとするマルクス・レーニンの共産主義が提示する社会は、夢のような世界として期待されよう。

 そのためには歯ブラシ1本、靴下1足という細部に至るまでの国家による計画経済が不可欠である。

 数人の友人や家族においてさえ意見の衝突が起きる人間社会において、数万、数十万の地方自治体や、数百万、数千万の国家において矛盾を生じない方がおかしい。まししてや中国は13億人超の人口を有する国である。

 ちなみに、中国には現在400万人超の死刑囚がいると言われ、日本に換算するとほぼ40万である。戦後日本の実際の死刑は年間2~41人(1952年)であるところからも、社会主義は犯罪者を大量に生み出すシステムにほかならない。

 理論では夢の世界を抱かせた共産主義国家ソ連であったが、現実の過程では地獄の悪夢しか与えることができず、70年余で消滅した。その教訓から中国が学ぶところは大きかったに違いない。

 習総書記が掲げる「中華民族の偉大な復興」という中国夢を実現するためには、「戦争」で破壊をもたらしてはならない。当然ながら世界一の軍事力を背景にしながらも三戦をはじめとした超限戦を駆使して、孫子のいう「戦わずに勝つ」方策を追求することになる。

 「新時代の中国の特色ある社会主義思想」と名づけられた習思想の主な柱は、経済、政治、文化、社会、エコロジー文明の建設を総合的に進める「五位一体」と、小康社会の建設、改革の深化、法による政治、党の綱紀粛正を全面的に進める「四つの全面」とされる。

 反腐敗運動をさらに進め、政治・思想・組織に限ったこれまでの指導から、党政軍民学と東西南北中の一切を指導するとしているから、党による統制強化が一段と図られるということである。

 2012年ハリウッドでリメイクされた映画「1984年」より
 このためには徹底した監視と強力な統制が必要になる。そうした社会が何をもたらすか。すでにスターリン治下のソ連と毛沢東治下の中国で経験されたことではないだろうか。いや、習思想は、さらに統制を強めるという意味ではジョージ・オーウェルの『1984年』そのものの世界に近いかもしれない。

日本の対処

国家の名誉ある存続のためには、時には自衛戦争を含む強硬な態度をとることもやむを得ない場合がある。自衛力の保有は自然権であるが、条文上からは交戦権を認めないので、有効に活用できない。

 これでは脅威が存在する現実の国際社会で主権を行使して生き延びることはできない。

 日本の領土が不法に占拠され、国民が連れ去られる事案はこうした状況下で起きた。日本は9条ゆえに、自分自身で自国の首を絞める主権放棄にも等しい国家に成り下がっていたのだ。

 憲法前文は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と述べる。そもそも「平和を愛する諸国民」という認識がフェイクである。

 現実は国益を競う権謀術策の諸国家が存在する。そうした国家を信頼して「安全と生存を保持」するにはただ一つの地球共同体(国家)となる以外にないであろう。現在のところ、地球共同体は仮想世界でしかない。

 憲法の前文を受けて、第9条がある。そこで、現実に生き延びるために解釈改憲を重ねてきた。それでも、矛の部分は米国に依存し、日本は盾の部分だけしか保有していない。

 同盟国相互が信じ合うことは素晴らしいが、国益が衝突すれば同盟が一瞬にして崩壊することは歴史が教えている。

 習総書記の共産党大会における発言を見る限り、一党独裁体制をますます強め、言論の自由は制限され、国内の不満は圧殺されて聞こえ難くなる。

今年の共産党大会で挙手をする習近平
亡命中国人などは、習思想が「世界秩序を破壊し、民主国家を脅かす」とみている。先の党大会では中国に批判的なマスコミが排除された。この一事は今後の予兆であろう。

 特異な社会主義大国を目指す中国に対し、日本は盾と矛をバランスよく備えた「自分の国は自分で守る」意志と能力を備えた自己完結型国家を目指すべきではなかろうか。

 また、日本国民は一向に気にかけていないが、中国は北朝鮮以上の核兵器を保有し、現実に日本を目標にした弾道ミサイルを配備している。中国の大国志向から、日本への(核)ミサイルの脅威が登場しないとも限らない。

 今こそ、掘り下げた「核論議」(核装備ではない)をしておくことが必要ではないだろうか。

 覇権大国を目指す中国は、超限戦を駆使して南京事件以上のフェイク・ニュースで日本に汚名を着せ、また世論を分断して混乱と弱体化を企図するであろう。韓国もフェイク・ニュースで嫌がらせを続けている。

 法の支配は言うまでもないが、自由で民主主義、人権を重んじ、貴賤を区別しない日本であるファクトを世界に発信することが大切である。

 同時に、万葉集の「言霊の幸はふ国」であり、「言葉」に霊力が宿るとして、ファクトを重視する日本であることも再確認する必要がある。

【私の論評】マスコミや野党は、全体主義的手法を用いることはもうやめるべき(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事、結局現在のマスコミのフェイクニュースに関して、全体主義の脅威・危機にについて警鐘を鳴らしているのだと思います。それは、2つの側面があります。一つは、日本の近隣の北朝鮮や中国のような全体主義国家による危機です。もう一つは、マスコミが煽る日本国内の全体主義化の危機です。

特に国内危機としては、マスコミや野党が、自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」であり、「アベ政治を許さない」と言う揺るがない信念をもって報道したり、国会で論戦をしたていることです。しかし、これが多くの日本国民の民意でないなら、自分たちにの価値観の押し付けであり、これが成就すれば、全体主義へ大きく舵をきることになります。

確かに、今回の選挙では結局、与党側が大勝し、マスコミの目指す方向にはならなかったのですが、これは多くの人々がマスコミの価値観を拒否したということです。そうはいいながら、確かに大きな危機でもあったことは間違いありません。そうしてこれには、ネットの力が大きく作用したことはいうまでもないと思います。

もし、ネットが存在せず、多くの人々がマスコミの垂れ流すフェイク・ニュースを鵜呑みにしたとしたら、とんでもないことになっていたかもしれません。

現在では、若い層を中心に、テレビはあまり視聴せず、新聞はほとんど読まず、情報はもっぱらネットからという人が増えています。もし、この状況がなければ、とんでもないことになっていたでしょう。



2000年以前、インターネットを使うためには、まず「電話を掛ける」事が必要でした。常にインターネットを利用できる「常時接続」は大学や企業の研究所だけでした。

家庭では、3分10円の電話代を気にしながらの「ダイヤルアップ接続」が主流でした。事前にメールを書き溜めておき、電話を掛けるとまとめてメールの送受信を実行、その間にせかせかとホームページを見て回り、用事が済むとすぐにネットから切断するような使い方でした。

深夜23時以降に電話料金が定額になる割引サービスの利用者も多かったのですが、その影響で夜はネットが大混雑。電話を掛けてもプロバイダのアクセスポイントの回線が全部埋まっていてネットが利用できません。「話し中」の通知音を聞きながら、リダイヤルを繰り返すのが日課でした。

一方、携帯電話も普及しておらず、家庭の電話は家族共用。ネットの最中に家族がうっかり受話器を上げてしまい、通信エラーで強制切断、など事もよくありました。

私は、パソコン通信の時代からネットを利用していましたが、この時代はもっと悲惨で、ネット上で少し複雑なことや、時間のかかることをしてしまうと、電話代が4万円以上にもなっしまいました。これでは、とてもじゃないですが、ネットが情報源になるというようなことは期待できませんでした。

実際、パソコン通信やインターネットが普及し始めた頃は、私自身テレビや新聞の報道にあまり違和感を抱くことはありませんでした。ネットが普及したばかりの頃までは、私を含めて多くの人が新聞やテレビに相当印象操作をされていたのだと思います。



しかし、それもだんだんと変わってきました。その変化は、最初に携帯電話からおこりました。「通話」のためのものだった携帯電話に、「メール機能」がついたのは20世紀から21世紀に変わる間際でした。

「ケータイのメール」は瞬く間に日本中に広がり、ゼロ年代のコミュニケーションの主役に躍り出ました。とはいえ、携帯電話のエリア整備はまだ不十分で、「電波のいい」場所を探してうろうろする事もありました。

小さな画面、少ない文字数で多くの情報を伝えるために考案された「絵文字」が、大切な気持ちを伝えるための小道具として多用されるようになったのもこの頃でした。

各社が競うように種類を増やした「絵文字」は、その後海外でも注目を集め、いまや「emoji」として世界中で使われるようになりました。振り返ってみると、現在使われているネット上のサービスの多くが、この時代に生まれた考え方を下敷きにしている事に驚かされます。このあたりから、インターネットも常時接続が普及していきました。この頃から、ネットからの情報も豊富になっていきました。今や高齢層しか利用しないとされている「2チャンネル」もこの頃でできました。

iPhone3GS

2010年代に入ったころから急速に普及を始めたスマートフォン。私自身は、iPhone3GSが最初のスマートフォンでした。これは、2009年に発売されています。これは、基本的には今のスマホとほとんど変わりません。私の記憶では、このあたりではまだまだスマートフォンを普及せず、iPhone4でかなり売れだし、iPhone4Sでかなり売れだしたという記憶があります。

これにより、従来の携帯電話にはなかったバラエティ豊かなアプリ・サービスが生まれますが、その背景にはインターネットの技術がありました。この頃に現在のスマホから、様々な情報が入ってくるようになりました。現在の主だったSNSもこの前後にでてきたものです。

従来の携帯電話と比べ高い処理能力を持つスマートフォンでは、スマートフォン自身で高度なプログラムを動かす事ができ、また、直接インターネット上のサーバと通信が行えるようになったのです。

また、スマートフォンは、プラットフォームが世界共通になったという事も大きな出来事の1つです。海外で始まったSNSが日本でも定着し、インターネットの新しい使い方が広がりました。

メールのような1対1のコミュニケーションと、ホームページのような意識的な情報発信の中間のような形で、特に宛先なく気持ちをつぶやき、そしてそれを見たどこかの誰かが「いいね」を返す、そんな緩やかなつながりがインターネットを通して世界を覆うようになりました。

現在のインターネットは格段に使いやすくなった
このような時代では、マスコミや野党が、自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」であり、「アベ政治を許さない」と言う揺るがない信念をもって報道したり、国会で論戦したとしても、自分たちの望む方向に世論を誘導することは難しくなりました。

特に若い世代は、安倍政権を支援するということで、保守化したなどと誤った認識を持つ識者などもいますが、それは間違いであり、若者は単純に雇用が良くなったことを評価しているだけであることをこのブログに以前紹介しました。

多数の若者は、マスコミがいくらフェイク・ニュースを流したとしても、ネット上で、安倍政権が雇用に関して、かつてないほどに改善したことを知ったのです。そうして、その継続を臨んだのです。だからこそ、若者を中心に安倍政権を支持したため、今回の選挙で大勝したのです。

野党、マスコミはそろそろ気づくべきです。どんな組織も、外に永遠に敵を作り続けることはできないのです。外に敵をつくり続けるということでは、韓国も、中国も同じです。

韓国と中国は、歴史の修正を行い、日本を意図して意識して、悪者にしたてあげ、国内での秩序を保っています。というより、そうしなければ、国民の巨大な憤怒のマグマが自分たちに直接向くと、自分たちは崩壊するしかなくなるので、それを日本に向けるようにして、一時しのぎをしているだけです。しかし、それはどう考えても長続きはしません。

野党、マスコミも同じことです。事実の修正(フェイク)で、安倍総理個人、与党を意図して意識して、悪者にしたてあげ、自分たちの存続を図っているのです。

考えてみると、これは全体主義に共通するやりかたです。

ナチスやスターリンなどの全体主義のシステムには最初から大きな欠陥があります。それは以下の三点に集約されます。
・永遠に敵を作り続けなければいけない(外にケンカ売る)
・外部からの資源の調達コストが上がり続ける(外から嫌われる)
・経済が破綻し、戦争に負ける(負けたら終わり)
 ナチスは連合軍を始め世界の大半を敵に回したため、資源の調達のためにポーランドやウクライナなど東欧の侵略をせざるを得ず、戦争の収拾がつかなくなりました。


経済システムの限界、そして独裁者という「絶対的個」はいつか死ぬという避けられないシステム不備があります。しかもそこに、国民個人の自由や幸福の追求はなく、生活水準もどんどん下がっていくことになります。
ナチス党大会
にもかかわらず、ドイツ国民はなぜ全体主義を支持したのでしょうか。
それはその当時代替案がなかったからです。全体主義は、格差と失業に苦しむ民にとっての短期的なソリューションだが、長期的に考えると破滅が待っています。しかし、絶望に苦しむ民にとって「無いよりまし」なのです。
「全体主義は間違っている」と反対しても、状況を変えるのは難しいのです。なぜなら全体主義は民にとって災厄ではなく「ソリューション」であったからです。
まずそのことを認めたうえで、必要なのは「あ、なるほど。そっちの方がより良い」と思える長期的な成功モデルの構築なのです
安倍政権は、長期的な成功モデルとして、金融政策を示して実際に成功しました。さらに、安全保障に関しても、新機軸を打ち出しつつあります。さらに、決して十分とはいえないものの、ここ20年で経済的は最もパフォーマンスが良く、安全保障の面でも高い能力を発揮しています。
しかし、野党やマスコミはそれを示せていません。ただただ「安倍政権を潰す」ことだけを表明するだけです。その後に何があるのか彼らは示しません。これも全体主義的です。全体主義では、具体的なビジョンはなく、既存の体制の批判をドグマ(教義)とします。

ヒトラーもそうでしたし、スターリンもそうでした。習近平もそうです。習近平が今年共産党大会で語ったことには、長期的な成功モデルの片鱗もありませんでした。あの悪名高い、毛沢東(大躍進、文革)や鄧小平(天安門事件)のほうがはるかにましです。

これからも、日本ではインターネットという「長期的な成功モデル」の一つであるインフラがある限り、政治的にも極端に全体主義的な方向に走ることはないでしょう。マスコミや立憲民主党や希望の党などの野党は、全体主義的手法を用いることはもうやめるべきです。そうでなければ、いくら既存の方向で努力したとしても、今回の選挙結果にみられるように衰退するばかりです。

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2017年10月22日日曜日

【北朝鮮情勢】「韓国から個人資産の移動勧める」 非公式警告したトランプ政権高官は「申し分のない立場の人物」―【私の論評】北朝鮮情勢はますます緊迫!速やかに対処せよ(゚д゚)!


ソウル空港上空を飛ぶ米軍のB-1爆撃機と護衛のF-15戦闘機
 東アジアを専門とする有力ニュースレター「ネルソン・レポート」は21日、複数のトランプ政権高官が非公式の見解として、核・弾道ミサイル開発を続ける北朝鮮に対する米軍の先制攻撃などの軍事作戦が実行される可能性を真剣に受け止めるべきだと警告したと伝えた。高官らはその上で、「韓国から個人資産を移動させることを勧める」と指摘したという。

 米政府系放送VOAのワシントン支局長がツイッターでレポートの内容を転載したところでは、同様の勧告は北朝鮮国内で活動する複数の非政府組織(NGO)に対しても非公式に伝えられた。高官らは、朝鮮半島有事の際は北朝鮮で外国人が人質として拘束される恐れがあるとしている。

 レポートは、これらの高官が「申し分のない立場」にある人物だと指摘しつつ、一連の勧告は「あくまで非公式だ」と強調。高官らはトランプ大統領が北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)の獲得を阻止するため軍事行動に踏み切る覚悟を決めたわけではないと語ったとしている。

 ただ、高官らは、日中韓政府に対し、米政権が単に仮定の有事に備えているのではなく、軍事作戦に向けた一連の準備行動を真剣にとらえるべきだと訴えたという。

【私の論評】状況はますます緊迫!速やかに対処せよ(゚д゚)!

上の記事でもわかるように、北朝鮮情勢はますます緊迫化しています。70年あまりの間、一部拉致問題などがありながらも、基本的には平和を享受してきた日本人に、未曽有の危機が迫っています。今回の衆院選での政府与党の大勝利は、有権者がこの危機を理解し、与党にこの危機への対処を付託したものと言って良いでしょう。

複数の政府筋はすでに、「年明け早々にも米軍が北朝鮮に軍事行動を起こす可能性がある」と明かしています。

安倍晋三首相が衆院解散を決断したのは、北朝鮮有事を想定したからでした。機密情報に触れる立場だけに、あいまいな表現に終始したあげく、消費税問題などを持ち出したために一部混乱を招きましたが、「国難突破解散」と名付けたことからもその真意は読み取れます。
もともと首相は来年12月の衆院任期満了前に、衆院選と憲法改正の国民投票のダブル選挙を行う腹づもりだったようです。野党の執拗な「もりかけ」での追求やマスコミのフェイクニュースにより、支持率は一時さがり、当初は今回解散すれば自民、公明両党で3分の2超の議席を失う公算が大きいと予想されていました。

しかし、悲願である憲法改正を半ば諦めてまで解散に踏み切ったのは、北朝鮮情勢が「小康状態」にある今秋しか政治空白を作るチャンスはないと考えたからです。

米軍の軍事行動は予断を許さない状況にあります。米側は北朝鮮に反撃の隙を与えず、核・ミサイルを無力化できるという自信を示してはいますが、撃ち損じたミサイルが日本に飛んでくる可能性はゼロではありません。

総攻撃が短期間で終わっても、そこで事態が収拾するわけではありません。日本海側に大量の難民が小舟で押し寄せる可能性もあります。日本国内にも多数存在するとされる、北朝鮮の工作員によるテロの危険もあります。一方、北朝鮮体制の崩壊がおきれば、それに乗じて拉致被害者は救出できる可能性もあります。

北朝鮮が崩壊すれば、占領統治や復興支援はどうなのか。これら様々な問題に、日本政府は長期にわたり、あらゆる対応を迫られることになります。

野党やメディアは「首相は北朝鮮危機を煽(あお)っている」と批判していましたが、これは全くの世迷い言としか言いようがありません。国際情勢を冷静に分析すれば、憂うべき現状は分かるはずだ。彼らは、それを分かった上で国民の目を背けました。

そんな中、希望の党を率いる小池百合子東京都知事が民進党の合流に際し、安全保障関連法の「踏み絵」を迫ったのは今から考えると大英断でした。

小池知事としては、「反安倍」「反安保法」で野党共闘を呼びかけた方が選挙戦を有利に運べたに違いないです。あえてそうしなかったのは、今から振り返ると、北朝鮮有事を前に日米同盟が揺るげば、民主党の鳩山由紀夫政権や菅直人政権以上の混乱を招くと考えたからでしょう。

22日、パリのホテルで記者会見する小池東京都知事
今回の衆院選の本当の争点は、消費増税でも「もり・かけ」問題でもありませんでした。北朝鮮有事に備えて何ができるか。何をすべきか。与野党問わず候補者たちは、国民とひざ詰めで真剣に語り合うべきだったのです。

しかし、野党もマスコミもそうではありませんでした。それは、野党一党が立憲民主党になったことでもわかります。

今衆院選後の国会論戦はいまのままでは、従来と同じく、そもそも何が問題であるかもわからないような「もりかけ」のようなスキャンダル追求や国難を防ぐための真摯な議論をいたずらさけ、時間を浪費する場ともなりかねません。特に、立憲民主党はこのような立場を崩すことはないでしょう。

民進党の幼稚な国会運営で、北朝鮮対応の議論が十分になされていない。これが国会?馬鹿か?
しかし、昨日も掲載したように、自民と希望の党の保守派・良識派、維新の党議員を加えると、自公よりも多くなることが予想されます。これらが協調すれば、北朝鮮対応に関して現実的・具体的議論ができる可能性があります。

今後の国会では、ぜひともそのような関係を構築して、年末から来年にかけて日本を襲う戦後最大の国難に備えていただきたいものです。

企業や個人単位でも、できることは今からやっておくべきです。不要不急の訪韓はしないこと、社員・家族を引きあげさせること、資産を日本などにひきあげること、その他諸々できることはしておくべきです。

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