2016年2月25日木曜日

【緊迫・南シナ海】米原潜、ステルス艦「ズムワルト」展開も 中国を抑止 太平洋軍司令官が証言―【私の論評】南シナ海の米中の武力衝突の前に、尖閣で前哨戦があったとしたら(゚д゚)!

7日、出航した米海軍最大級の新型駆逐艦ズムワルト=東部メーン州

 ハリス米太平洋軍司令官は24日、下院軍事委員会の公聴会で証言し、中国による南シナ海の軍事拠点化を抑止するための方策として、西太平洋に米空母2隻を常時、配備することは当面、難しいとの認識を示す一方、最新鋭のズムワルト級ステルス駆逐艦や、攻撃型原子力潜水艦の前方展開を検討していることを明らかにした。

 空母2隻体制についてハリス氏は「2隻目が欲しい。早いほど喜ばしい」としつつも、「2隻目を(常時)配備するには予算や外交、政治上の克服すべきハードルがある」と述べた。

 そのうえで「攻撃型原子力潜水艦や駆逐艦の追加的な駆逐艦、恐らくDDG1000(ズムワルト級)の前方展開が考えられる」と指摘。「空母の不足を補うために、できることは多い。(ズムワルト級などの前方展開は)、スプラトリー(中国名・南沙)諸島におけるさらなる軍事化を抑止するための、大きな部分だ」と語った。

 米国防総省はリバランス(再均衡)戦略に基づき、アジア太平洋地域に米軍艦船全体の6割を配備し、国防予算の厳しい削減下における量的な制約を、最新鋭艦船を配備することにより質的に補おうとしている。

 ハリス氏がレーダーに捕捉されにくいズムワルト級に言及したことは、リバランス戦略の一環であることに加え、中国による急速な軍事拠点化に対する強い危機感の表れだとみられる。

 ズムワルト級は当初、30隻以上の建造が計画されたが、高額のため3隻に削減された。1番艦は昨年に進水し、航行試験を経て年内に海軍に引き渡される。

 国防総省は2017会計年度(16年10月~17年9月)の国防予算案に、米軍佐世保基地(長崎県佐世保市)での運用を想定し、桟橋の改修工事費を盛り込んでいる。ただ、工事期間は17年5月から18年10月までで、米カリフォルニア州サンディエゴを母港とする予定の1番艦を前方展開するにしても、得意な形状の船体をもつズムワルト級の寄港地を、早急に確保することが先決となる。

【私の論評】南シナ海の米中の武力衝突の前に、尖閣で前哨戦があったとしたら(゚д゚)!

ハリス米太平洋軍司令官
ハリス太平洋司令官は、2つ空母戦闘群の常駐と、原潜の派遣、ズムワルトの派遣を検討しています。

ハリス米太平洋司令官が、公聴会でこのような証言をすることは、十分予想がつきました。それに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【緊迫・南シナ海】米中、軍事衝突秒読み 米空母が東アジアで2隻展開も―【私の論評】南シナ海の武力衝突の趨勢は米潜水艦により決まり、中国軍はなすすべがない(゚д゚)!
米海軍のCVN-73ジョージ・ワシントンとCVN-74ジョン・C・ステニス空母戦闘群
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では南シナ海の武力衝突の趨勢は米潜水艦により決まり、対潜哨戒能力の弱い中国軍はなすすべながないことを掲載しました。その部分のみを以下にコピペします。

"
空母2隻の戦闘群が、表の顔とすれば、潜水艦は裏の顔です。空母は航行すればその姿ははっきりと中国側に捉えられ、空母群が最初に攻撃を加えるということになれば、中国側もそれをすぐに察知して、それに「紅旗(HQ)9」を用いて反撃を加えることができます。さらに、航空機を用いて、反撃することもできるでしょう。

しかし、潜水艦にはそのような対処は一切できません。突如とて米潜水艦からミサイルが発射され、それを防ぐ手立てはありません。また、米潜水艦は、当然のことながら、南シナ海の中国の軍事基地に対する弾薬、燃料、水、食料などの補給を絶つこともできます。

そのような米軍の攻撃に対して、中国側は全く打つ手がなく、大パニックに陥ることでしょう。

USSバージニアの魚雷発射管室内の制御装置
実際に武力衝突が始まるとすれば、米国側は最初は潜水艦による攻撃で口火を切るでしょぅ。先ほども述べたように、米側は、中国の艦船、潜水艦の動向をすべてつかむことができますから、まずは潜水艦によって、これらを無力化できます。これらは、初戦ですべて海の藻屑と消えます。

その後に、米潜水艦は、中国のミサイルや、その他の軍事的脅威を標的に攻撃をしかけ、これらも無力化することでしょぅ。

その後に、空母戦闘群が攻撃を加え、中国の軍事基地を無力化し、その後で海兵隊が上陸し、島嶼の基地を破壊し、戦闘員を殺害するか、捕獲して、比較的短時間に米軍の勝利に終わります。
米軍の攻撃型バージニア級原子力潜水艦
万に一つも、中国側に勝つ見込みはありません。中国軍は、最初から最後まで、苦しい戦いを余儀なくされるでしょう。

このように、南シナ海では日本の海上自衛隊の対潜哨戒による中国軍の監視と、米側の潜水艦による戦いにより、またたくまに趨勢が決まり中国側は、なすすべがなくなることでしょう。

そうして、当然のことながら、すでに米国の潜水艦は、南シナ海に派遣されており、いつでも攻撃ができる体制を整えていることでしょう。空母やイージス艦などは、これらを米国が南シナ海に派遣すれば、それは中国側にも、南シナ海の近隣諸国にもすぐに知られてしまうので、米側もこの海域に派遣することなどすぐに発表します。

しかし、潜水艦は違います。潜水艦はあくまで隠密行動で、米側も何も発表しません。しかし、まず間違いなく、派遣していることでしょう。
"

南シナ海で軍事衝突があったにしても、中国側の対潜哨戒能力が極度に劣っていることから、中国側は米国の潜水艦には太刀打ちができません。これに、さらに日本の自衛隊により対潜哨戒が実行されることとなると、日本の哨戒能力は世界一であるため、中国の艦船や潜水艦の行動を逐一把握できるにもかかわらず、中国側は米国の潜水艦や、ズムワルトの行動は把握することはできません。

しかしながら、特にズムワルトは最新鋭のステルス型駆逐艦であるため、日本での報道はこれに対する扱いが大きいですが、実際の戦闘ではやはり、潜水艦が趨勢を決めてしまうでしょう。

なぜなら、ズムワルトはステルス型ですが、それにしても、航空機や艦船などから視認することはできます。中国側が哨戒活動を強化すれば、たとえレーダーで捉えられないにしても、その動向はかなり把握できる可能性はあります。やはり潜水艦の隠密性には、今でも及ばないということです。

それと、ズムワルトはまだ一隻しか建造されていません。さらに、今後の予定でも、3隻ということで、これでは大きな戦闘力とはなりえません。補助的な役割を担うことになると思います。

米軍の戦略型オハイオ型原子力潜水艦
それに比較すると、潜水艦は昨年の米側の広報によれば、71隻です。そうして、先ほども述べたように、中国側の対潜哨戒能力はかなり劣るので、米国の潜水艦は全く察知されずに、南シナ海の領域に入り、中国側拠点に近づき攻撃を加えることができます。

やはり、南シナ海の武力衝突の趨勢は米潜水艦により決まり、中国軍はなすすべがないというのが実態であり、ハリス米太平洋軍司令官の脳裏にもそれがあり、ブログ冒頭の記事のような発言になったものと思います。

潜水艦発射弾道ミサイル・ハッチ
さて、このような動き、日本としても今後もこうした南シナ海の動きに、注視していかなければならないです。かといって、原油の運搬ルートでもある、シーレーンがどうのこうのという話はあまりにも当たり前のど真ん中なので、ここでは改めて説明はしません。

そんなことよりも、日本にとって尖閣諸島の危機がより一層高まることを予期して、それに備えることが日本の当面の緊急課題になるということです。

これに関しては、以前もこのブログに掲載しました。その記事のURLを以下に掲載します。
中国海軍、尖閣接近のウラ 米爆撃機の威嚇に習政権“苦肉の策”か ―【私の論評】日本と戦争になれば、自意識過剰中国海軍は半日で壊滅!東シナ海で傍若無人ぶりを働けば撃沈せよ(゚д゚)!
(昨年11月)中国海軍の艦艇(東調232)が、東シナ海で不審極まる航行をしたことが注目されている。沖縄・尖閣諸島南方の接続水域の外側を、東西に反復航行していたのだ。 
航行が確認されたのは中国海軍のドンディアオ級情報収集艦で、海上自衛隊のP3C哨戒機が発見した。菅氏は「単なる通過ではなく、1日で東西に反復航行したのは特異な航行だ」と指摘し、警戒感を示した。 
中国といえば、南シナ海の岩礁を国際法を無視して軍事基地化したことをめぐって、米国と緊張関係にある。 
米軍は「航行の自由」と「法の支配」を守るため、先月27日、イージス駆逐艦「ラッセン」を派遣したうえ、米原子力空母「セオドア・ルーズベルト」をマレーシア沖で航行させて中国をけん制した。 
今月8~9日には、グアムから飛び立った、核爆弾搭載可能なB52戦略爆撃機2機が、南シナ海の人工島近くを飛行するなど、圧力を強めている。中国軍は、こうした米軍の攻勢に目立った動きをみせていない。
こうしたなか、少し離れた東シナ海で特異な航行をしたのはなぜなのか。 
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「情報収集艦の航行は、南シナ海での動きと連動しているとみて間違いない」といい、続けた。 
「中国は、米国が艦船だけでなく、戦略爆撃機まで投入するとは思っていなかったはずだ。対抗措置を取らなければ、中国のメンツが立たないうえ、国内世論の反発を食らう。といって、緊迫する南シナ海で下手に動けば、軍事力で歴然の差がある米軍と衝突する事態になりかねない」 
「苦肉の策として導き出したのが、東シナ海への艦艇派遣だったのだろう。『自衛隊が相手ならば、大きな事態にならない』と考えたのではないか。それだけ、米軍の『フリーダム・オブ・ナビゲーション(航行の自由)作戦』で追い詰められているということだ」
そうして、昨年12月には、中国はそれまでには派遣していなかった、機関砲を装備した公船を尖閣付近に派遣しています。さらに、最近では南シナ海にミサイルを配置したりしています。

「海警31239」(上)と「539 安慶」艦(退役)(下)の写真
中国は元フリゲート艦を公船に改造して尖閣諸島に派遣している
いずれにせよ、中国としては今後も米国が南シナ海に圧力をかけるのは目に見えているのですが、それに対して真正面から対峙しても全く勝ち目がないことは明らかです。

なんといっても、中国の貧弱な対潜哨戒能力では、どうみても一方的に惨敗するだけです。だから南シナ海での米軍との武力衝突はなんとしても避けたいのですが、さりとて、それに対する対抗措置を何もしないということになれば、国内での習近平に対する批判は高まります。

それをかわすために、習近平は再び、尖閣諸島に目をつけるかもしれません。日本の海軍力は中国を上回っており真正面から中国が日本に戦いを挑むと、これまた中国には勝ち目は全くありません。特に、先に述べたように、中国は対潜哨戒能力が極度に劣ることと、日本の潜水艦は、攻撃型としては世界一と言って良く、特にステルス性は世界一です。

日本の攻撃型潜水艦である「そうりゅう型潜水艦」
しかし、日本には憲法第9条があり、軍事的攻撃を受けた場合の防御しかできないとい縛りがあります。これは、中国側にも広く知られた事実です。

しかし、憲法解釈には東大を頂点とする日本の主流の憲法学者らの解釈では、「日本は自衛のためであっても、武力を保持したり攻撃することはできない」としていますが、少数派の京都学派の解釈では、「国際紛争を解決する手段として、武力を保持したり攻撃してはならないのであって、自衛のために武力を保持したり攻撃することまでは禁じられているわけではない」としています。

もし、中国が南シナ海での対応に手詰まり、中国国内で、習近平に対する批判が高まれば、習近平は人民解放軍による尖閣上陸を決断するかもしれません。日本が尖閣の実効支配を失えば、軍事基地の建設が進む南シナ海と同じ事態になることは、目に見えてはっきりしています。

元米海兵隊政務外交部次長のロバート・D・エルドリッヂ氏は「中国は尖閣に、簡単に基地を造ることができるだろう。オスプレイのような技術を盗み、機材を開発できるようになれば、大きな飛行場は要らない。ジェット機も尖閣に着陸できるようになる」と警鐘を鳴らしています。

中国は尖閣を奪取した場合、南シナ海の環礁のように
付近を埋め立て、軍事基地化することは十分予想される

尖閣は現在の南シナ海と同じく尖閣周辺を埋め立て「日本に最も近い中国軍基地」と化してしまう恐れが十分にあります。いよいよ、中国が尖閣に上陸というということにでもなれば、日本としては、憲法改正がそのときになってもできなかったとすれば、京都学派の憲法解釈に従い、人民解放軍に対峙すべきものと思います。

ただし、実際に尖閣諸島で本当に戦争になり、日本の自衛隊がこれに対して何の縛りもなく真正面から対峙することができれば、中国の人民解放軍には全く勝ち目がなく、中国側の艦船はことごとく海の藻屑と消え、戦争は短期間で終了することでしょう。

そうして、国際感覚からいえば、日本がこのようなことをしても、これに対して批判をするのは中国だけで、他国は全く批判などしないし、できないでしょう。自分の国の領海や領空を侵犯されたり、あるいは領土に上陸され場合、それに反撃するのは当然のことであり、それを真っ向から批判しては、世界秩序を保つことはできません。

これは、自然権(独立国として当然の)権利であり、国連憲章にも定められた、独立国の権利であり、これを否定することは本来中国を含めていずれの国も否定できません。そうして、多くの国々では、国の自衛権はあまりに当然の権利であり、憲法典にはわざわざ記載されていません。こんなことからも、京都学派による憲法解釈は国際感覚からすれば、当たり前の解釈といえます。
そうして、習近平が一番恐れているのは、安倍政権が尖閣諸島に自衛隊を派遣して、尖閣付近から中国の勢力根こそぎ奪ってしまうことです。

習近平にとって、一番良いのは、中国の軍事力を日本の国民が過度に脅威に感じて、戦争を防ぐために、尖閣諸島を中国に譲ることです。

日本としては、とるべき道は当然のことながら、中国が尖閣に上陸する場合は、それを全力で防ぐことです。米国のオバマは及び腰で、南シナ海や尖閣問題を現状のように、複雑なものにしてしまいました。


南シナ海では、今日のような行動を5年くらい前に発動すべきでした。それでも、中国が南シナ海での傍若無人ぶりをやめないというのなら、軍事的行動をとるべきでした。尖閣問題にしても、オバマは早めに、尖閣諸島は日本固有の領土であり、日中間に領土問題は存在しないと宣言すべきでした。

オバマが煮え切らない態度をとり続けたことが、中国の増長を招き、今日のような複雑な事態を招くこととなりました。しかし、そのオバマ大統領ですら、米国内での突き上げもあって、やっと重い腰をあげて中国に対峙しようとしています。オバマですらそうなのですから、次の大統領になれば、中国への圧力はますます強まるでしょう。

米国の圧力によって窮地に立たされている習近平(写真左)
安倍総理そうして、日本は、アメリカの二の轍を踏むべきではありません。中国が尖閣上陸をしそうになったら、日本の領海、領空、尖閣諸島上の中国人民解放軍を武力で殲滅すべきです。

以上のように、南シナ海での米中の本格的な浮力衝突の前に、中国による尖閣奪取というシナリオは十分に考えられます。それに対する、日本の自衛隊の備えは現在の中国人民解放軍の能力からすれば十分です。ただし、そのときの日本の国民の覚悟がその後の日本のあり方を決めてしまうことは間違いないようです。

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